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かりん/影崎由那

共有

著者: 影崎由那
巻数: 14巻

影崎由那の新刊
かりんの新刊

最新刊『かりん 14



かりんの既刊

名前発売年月
かりん 1 2003-10
かりん 2 2004-03
かりん 3 2004-07
かりん 4 2004-11
かりん 5 2005-03
かりん 6 2005-07
かりん 7 2005-10
かりん 8 2006-04
かりん 9 2006-09
かりん 10 2006-12
かりん 11 2007-04
かりん 12 2007-08
かりん 13 2007-12
かりん 14 2008-04

かりん』は、影崎由那による日本の漫画作品。また、これを元にしたアニメーション他、各種メディア作品のメインタイトル。

概要

富士見書房の月刊漫画雑誌『ドラゴンエイジ』で2003年5月号から2008年3月号まで連載。ただし本編連載終了後、番外編となる読切作品が2作品『ドラゴンエイジ』(同年5月号および6月号)に掲載されているため、実質的な連載終了は2008年6月号となる。漫画単行本は雑誌刊行元と同じ角川グループホールディングス傘下である角川グループパブリッシング(同社設立前の2006年までは角川書店)の「カドカワコミックスドラゴンJr.」レーベルにて全14巻で発刊されている。2009年1月9日に『ドラゴンエイジ』2008年5月号と6月号に掲載された番外編と読み切り短編2作を収録した「かりんairmail 影崎由那短編集」が発刊された。

また雑誌刊行元の小説文庫レーベル「富士見ミステリー文庫」よりライトノベル版となる『かりん増血記』が全9巻および外伝2巻の全11冊にて発行。扱っている内容は原作漫画を補完するための小説版オリジナルストーリーとなっている。一方でドラマCDも発売された。

2005年11月3日(正確には11月4日)から2006年5月11日(正確には5月12日)までの間、深夜帯にてTVアニメがWOWOWにて放送された。又、2007年9月14日から2008年2月22日までAT-XでもCS放送されていた。

なお、連載期間は上記の通りだが、原作漫画本編における作内の時間は2003年4月から2006年3月までと2028年における断片的な時間で固定・構成されており(番外編は過去のストーリーを扱うことが多いため、この限りではない)連載期間=作内時間ではない。アニメ版では、この作内時間に関するこだわりはほぼ無視されており、放映期間=作内時間となっている。

あらすじ

椎八場市に住む女子高生・真紅果林には、人に言えない秘密があった。それは、自分が吸血鬼一家に生まれた事だ。幼い時から吸血鬼の何たるかを教えられて育ったが、なぜか血が増える増血鬼として覚醒してしまう。吸血鬼の弱点全てが通用しない代わりに、特殊能力が全く使えない為、「落ちこぼれ」として兄や妹に馬鹿にされる憂鬱な日々を送っていた。

ある日、彼女が通う学校に雨水健太という少年が転校してきた。彼を一目見た途端、果林の胸が大きく脈打った……。

登場人物

※担当声優は各メディアの「声の出演」を参照のこと。

主要人物

真紅 果林(まあか かりん)
主人公。1987年10月13日生まれ。身長152cm。体重は秘密。スリーサイズはB:89cm・W:52cm・H:77cmで、Eカップの巨乳。趣味はお香集め。髪は小豆色でおかっぱ。漫画版の第13話ぐらいから牙が目立つようになる。
椎八場第一高校の1年D組。恥ずかしがり屋でドジっ子。吸血鬼一家に生まれるが、「不幸」に反応して血が増えてしまい限界に達すると鼻血を拭いて倒れてしまう増血鬼で、吸血ではなく供血のために人間に噛み付く。初めて人を噛んだ時期(おそらく初夏)になると血が増えやすくなる。落ちこぼれというコンプレックスに悩まされる日々であったが、健太との出会いが彼女に変化を与えていく。最初は自分の増血の原因の健太を避けていたが、自分が増血鬼と分っても普通に接してくれている健太に次第に恋心を抱くようになり、種族の違いという壁に悩むも第36話にて遂に恋人同士となる。しかし友里耶を殺そうとするエルダから『ヴァンパイアと人間の混血児は子供を作れない』という衝撃の事実を告げられてしまい、健太が望む『普通の幸せ』を自分が与えられないことに苦悩するが、それでも尚自分と共にある事を望んだ健太の愛情に救われる。
生活費を稼ぐ為、ファミリーレストラン「ジュリアン」でアルバイトしている。吸血鬼は食費も光熱費も必要ない為、結果的に殆どを果林が使用している事になるからである。ヴァンパイアである母・カレラは基本的に味覚を持たないので作る料理は『すごく辛いかすごくしょっぱいかのどっちか』といった具合だったらしく、小学校の頃に友人の時任麻希の家でおやつをご馳走になったり、学校で給食を食べるようになったりしてから初めて知った「味のある料理」に感動し、自らその腕を磨くようになったため、今や料理の腕は一級品。バイトが出来ない年齢の頃は八百屋で葉っぱのクズを貰ったり、パンの耳を貰ったりしてやりくりしていた。そのため特に節約料理や家計管理などにおける家事の一般技能は名人域に達している。
普通の吸血鬼は血を吸うと何らかの要素を吸い出すが、果林の場合は供血した相手にこうありたい自分に近づく為のエネルギーを与える。他の家族が太陽の下に出ることができないため、昼間彼女の助けになるのは杏樹のみであり、困ったときには彼女にメールをして記憶消去の手伝いなどをしてもらっていたが、やがて杏樹も吸血鬼として覚醒し、ついに真紅家でただ独り、昼間の世界に取り残される事になった。実は「プシュケーの泉」という特別な存在。そのためプシュケーの血を狙うブリジット等ブラウンリック家およびコレに与するヴァンパイアたちに誘拐されてしまう。さらに連れて行かれた先で「プシュケーの血族を残すためだけに愛無き性交渉を強いられ、さらには全てのヴァンパイアに血を絞り取られて死に至る」という「プシュケーの泉」の(ブラウンリック管理下における)過酷な運命を知らされ、これに絶望するもヘンリーや煉、エルダらマーカー家の面々と健太&ソフィアの連携による活躍で、大事に至ることなく見事に救出される。
その後、健太と本当の愛情が芽生えた事で増血しなくなり、普通の人間とほとんど変わらなくなる。この為、高校を卒業した夜に煉の手で家族の記憶を全て消去され、家族は最初から居なかったと思い込むようになる。記憶消去の翌朝、真紅家の面々から子細を聞かされていた健太にプロポーズされ、これを快諾して婚約者同士となる。
さらに後にはバイト期間の成績が認められ「ジュリアン」に正社員昇格の形で就職。家族の用意してくれていた(本人は昔から住んでいたと思い込んでいる)アパートで一人暮らしをはじめる。20代半ばで健太と結婚し雨水果林となり、25歳で娘の歌音(かのん)を出産。2028年現在は14歳となった娘の少し変わった性癖にハラハラしながら、平凡な家庭の平凡な主婦として日々を過ごしている。
雨水 健太(うすい けんた)
果林のクラスに編入してきた少年。バイト先も同じくファミレス「ジュリアン」だが、ファミレスでのバイトが無い日は隣市にある宅配便「黒犬ダミアン」で配送アルバイトとして働いている。1988年2月29日生まれ(単行本6巻より。しかし、同時にうるう年という矛盾もある)。身長180cm。体重70kg。血液型A型。
三白眼で目つきが悪いため初対面の人には恐れられるが、弱い者には優しい。母親の文緒と共に、真紅家がある丘のすぐ麓にある1LDKのボロアパートに暮らしている。常に文緒を気遣うとても母親思いの性格で、貧しい家庭を支えるため日夜バイトに明け暮れ、遊びより勉強を優先する真面目な性格(彼の場合、学校がある方がよっぽど休めている)。成績も非常に優秀で、将来は真人間として、真っ当な人生を送り墓に入りたいと考えている。
実は文緒の事情(後述)により出生から実に15年間にわたり祖母からネグレクトを受けていたため、そのときの経緯から「存在を否定される事」を非常に嫌っており、不純異性交遊や年少者の男女交際に関してもかなり保守的なスタンスをとっている。ゆえに恋愛スキルは完膚なきまでにゼロである。
果林の供血行為を目撃し(杏樹の画策により)彼女が人間でない事を知ってしまうが、上記の理由から果林の抱える苦悩も理解できるため、秘密を共有した上で協力する事に。彼もまた自分の抱える果林への想いに気付き、第36話にて果林に告白する。
高校卒業後、果林の記憶を消した真紅家一同から改めて彼女のことを託され、自分達の存在を消し去っても尚果林の幸せを願う彼らの深い想いに恥じぬように『必ず果林を幸せにしてみせる』と決意。果林の新居先(記憶のない果林にとっては昔からの住居だが)のアパートでプロポーズして果林と婚約する。某大学に学問奨学生待遇で入学し、その間にもバイトを続け、卒業後に某企業に就職。果林と結婚して2028年現在は家族で賃貸マンション暮らしのサラリーマン生活を続けている。
自称エゴイスト。

真紅家

ヘンリー・マーカー
果林の父親。長身に先の尖った口髭、という一見威厳ある風貌の持ち主だが、実は素直でナイーブかつセンシティブな平和主義者。普段は妻・カレラの尻に敷かれているが、果林のことになると性格が急変する。血の嗜好は「プライド」。
かなりの子煩悩で心配性(どちらも主に果林方面に発揮されている)。果林と健太の仲が進展してしまう事が悩みの種だが、健太の事も気遣っている。所謂普通の(ちょっと気弱でお人良しな)お父さんタイプ。カレラを心底愛しており、彼女が侮辱されるとキレる。
果林の救出作戦の時は、大木を何本も引き抜いては、槍のようにグラーク達に投げつけるという怪力を発揮。娘を守る父として奮闘するが、エルダに助けられた後に(戦いの恐怖と母が来た事による緊張からの開放で)大泣きしてしまう。
カレラ・マーカー
果林の母親。グラマーな美人だが凶暴で、ドライに見えてかなり嫉妬深い性格。血の嗜好は「嘘つき」で、辛みばしった味が好み。
スリッパによる打撃は真紅家最強の武器。ヘンリーとは見合い結婚。旧姓はアルマーシュだが、義父のジェイムスによってその事は固く秘匿された上に顔立ちが父親似であった事も手伝い、エルダは長年セシリアの娘だと気づかなかった。実は熟年好みで、昔はジェイムスのことが好きだった。ヘンリーに会ってからは彼に「もっと老けろ」と焚きつけ、血液の摂取を制限させたりもした。そのため義母のエルダとは犬猿の仲で、彼女の棺桶に重石を置いて干乾びさせようとした事がある。子供を3人も産んだため他の吸血鬼達からは羨望の的になっており、集会の時は子供が産まれなくて悩んでいる若奥様達に取り囲まれていた。
真紅 煉(まあか れん)
果林の兄。1982年11月1日生まれの21歳。身長182cm。体重69kg。
杏樹の事は甘やかしているような素振りを何度か見せるが、落ちこぼれの果林の事はバカにしており、特に両のこめかみをコブシでぐりぐりと痛めつけたりとイジメる描写が多い。が、文句を言いつつ世話を焼く事もある。血の嗜好は「ストレス」だが、女性からしか吸血しない(健太の母・文緒を狙った事もあった)。
基本的に女好きで(ジェイムス譲りらしい)、趣味はナンパ。強いストレスを抱えている女性を殊更魅力的に感じるらしく、また基本的に彼の場合吸血行為はそのまま相手との性交渉に直結する。ただし、吸血後は相手への興味が無くなってしまうので、すぐに乗り換えたりと貞操観念はかなり薄い。このため彼女は常時複数おり、中にはストーカーとなった女性も存在。特にストーカーに対しては姿を見せずにいることでストレスを溜めさせ、それが臨界間際となったトコロで吸血行為にいたるという「ストレスの養殖」ともいえる行動をとっており、本人はこれを「ストレスのキャッチアンドリリース」などと嘯いて家族を呆れさせた。ただ、そのためには養殖先との定期的な交際を長期間続けることが必須となるため、基本的に自らの吸血行動およびそれに直接かかわる事柄以外の記憶は消すことができずにいる。
男は触れる事すら嫌がり、特に健太の事を快く思っていない(健太から「ストレス」を感じ取ってしまう事も毛嫌いする理由の1つ)。ぶっきらぼうで無愛想な性格で、キレるとかなり怖い。小さい頃に死ぬほど可愛がられた事がトラウマで祖母のエルダの事を苦手としており、現在の歪んだ性格は、そのトラウマが原因である模様。果林に対する邪険な扱いも、彼女が記憶の中のエルダと瓜二つであるということが少なからず関係している。漫画版の番外編『煉の卒業と日向の名残り』では中学の時、クラスメイトの少女である藤谷日向とお互い惹かれあっていたようだったが、吸血に目覚めた事で別れを余儀なくされた。その頃の記憶は現在でも微かに尾を引いているらしい。
邪険にしているが果林の事は彼なりに大切に思っており、果林救出作戦の時に果林に暴力を振るったブリジットに本気でキレて、彼女を太陽で灰にしようとした。そのままブリジットと関係を持ってヘンリー達を唖然とさせたが、最終回にて長年の火遊びのツケが回ってきたか、ブリジットとのできちゃった結婚の危機に陥っている。ちなみに、10代で「おばさん」になってしまう事に果林と杏樹はショックを受けていた。また、ブリジットがカレラの従姉妹である事には気付いていないようである。
前述の通り、最終回で果林の家族に関する記憶を消しているが、ここでこれまでの果林に対する扱いは全て、この記憶消去のための「仕込み」であった事が明かされた。これは日中ともに過ごすことのできない家族と居ても彼女が幸せにはなれないだろうというマーカー家一同(果林を除く)の総意に基づくものであり、さらに果林が人間と事実上変わらなくなったことで、彼女を健太に託して人間社会に送りだすという決断がされた上での行為だった。実際には誰よりもできの悪い妹を強く愛する兄であり、その妹の幸せを思えばこそ、いつかは妹と離れる日が来ることを自ら理解し、ただそのために下手な未練や情けが残らぬよう、妹に冷たく接していただけのことだった。
アニメ版では過去に全寮制の男子校に入れられ、ルームメイトの男子である藤谷誠を女と間違えて好意をもってしまった事に絶望。開き直り、その場にいた数人の男の血を吸い覚醒した。この話の底本はもちろん前述の番外編であるが、なぜか微妙にボーイズラブがごとき展開の回となっている。
真紅 杏樹(まあか あんじゅ)
果林の妹。1992年6月6日生まれの小学5年生。身長146cm。体重38kg。
無口で大人しい美少女。黒を基調としたいわゆるゴスロリ系の服を着ており、出歩くときは日傘を常用する。多少毒舌家だが非常に姉思いな性格であり、果林の敵を無条件で嫌う。果林の素性を知っても変わらずに接する健太に、ある種の興味を持っている。幼いながらもコウモリを操る能力は家族から「天才」と言われる程のもので、果林の為に情報収集や記憶操作を行っている。またなぜかオカルト的な能力を持っており、趣味で集めている人形はブギーくんはじめ、どれも何らかのいわく付き。普段こそ歳に似合わず無口だが、人形の事となると饒舌になる。太陽に当たると体調がすぐれなくなるため学校は欠席しがちで、成績は見た目に反してかなり悪い。
同級生に対してはクールな振るまいを続け、自分に想いを寄せてくる鯉淵や瀬良に対してもそれは同様であったが、覚醒が近いことを自覚すると家族にそのことを隠そうとしたり、無理をして多少晴れている日でも登校したり、覚醒を遅らせようと必死になるなど、級友達や姉と共有できる時間を失うことを内心ではとても寂しく思っていた様子が伺える。また鯉淵に対しても微妙に憎からず想っているらしい態度を示すようになるが、彼の淋しさに触れたことも手伝い12歳という吸血鬼としても早すぎるらしい年齢で「淋しさ」を好む吸血鬼として目覚め、級友達とも別れることとなった。この際果林が善意のつもりで「おめでとう」と彼女にとっては無神経極まる言葉を言ってしまったことに対しショックを受け泣いていた。
なお、小説版1巻での杏樹は少し口調が違う。
物静かな性格とは裏腹に無茶な行動が多く、小説版8巻から9巻では健太に果林を任せても大丈夫かどうかを確かめる為に、ノエルと「危険な賭け」をしていた。(負けた場合、ノエルに貞操を奪われた可能性がある。)
アニメ版では第20話で覚醒。血の嗜好は「嫉妬」。エルダのことは初登場時に果林の胸を強く揉んだことに怒り、嫌っている。
ブギーくん
杏樹がいつも抱いている人形。中には包丁で13人殺した連続殺人鬼の霊が入っている。他人(特に果林)によく攻撃的なツッコミをする。しかし杏樹には逆らえない。杏樹の手を離れると、人形から抜け出して動くこともある。生前は通称「ボーダーシャツの赤い切り裂き魔」と呼ばれていたらしい。なお、名称などのモデルとなったのは、ホラー映画「ハロウィン」の殺人鬼、ブギーマンと思われる。
アニメ版では杏樹の覚醒とともに死亡(魂の消滅)。
ジョアンナ
杏樹の人形コレクションの一つ。「〜ですわ」等の口調で話す。
お茶目な性格で、文化祭のお化け屋敷で人を怖がらせては楽しんでいた。
名称などのモデルとなったのは影崎の知人で、当時、ゲームメーカー「アアル」の社員だった和南城ジョアンナであり、影崎の同人誌や単行本等のあとがきに登場する本人像そのままである。
エルダ・マーカー
果林の祖母(ヘンリーの実母)。胸が小さい点以外は果林に瓜二つ(他に違う点は髪の色ともみ上げの髪の長さ)。原作では血の嗜好は不明だが中年男性から吸血し、健太を見て「食指が動かない」と言っていたことから、その年頃の血を好むと思われる。
200年前、人間に追われて最初に日本へ渡ってきたのは彼女らの世代で、特に直系のマーカー家の一族で日本に渡ってきたのは彼女一人だけだった。そのため文書に残っていないような大陸から伝わるヴァンパイアの知識を持っていると目された。(実際は大陸を離れた頃は、彼女はまだ幼かったのでそれほど知識を持っていたわけではない。実際に知識があったのは、エルダの夫であるジェイムスの方だった)かつての吸血鬼狩りの時代、他の者が自分以外のマーカー家の吸血鬼を見捨て、自分だけを連れて強引に脱出してしまったために、自分の身内以外の全てを嫌い、同じヴァンパイアでもまったく信用していない。その様は「手の付けられない凶暴な鷹」だとグラークに評されるほどで、同世代(ひいては日本に在するすべての吸血鬼の中でも)最強とも称される。特に彼女と同世代およびそこから少し下(ヘンリーやエルスマンたちの世代)からは、ほぼ伝説レベルで恐れられる。杏樹の才能は彼女譲りでコウモリを操る力も当然、杏樹より強い。特にエルダの場合は他者の支配下にあるコウモリたちのコントロールをも完全に奪ってしまうほど強い意志力を持つ。吸血鬼にも寿命が存在する設定で、吸血頻度が老化に影響するようであるが、16年無補給で身体が萎びた後の吸血で、孫である果林と見間違えるような若々しい肉体に戻る。大陸から渡ってきた世代の他のヴァンパイアが寿命で亡くなる状況下で、並外れた生命力を有している事を示した。
ゆえに保守的で傍若無人かつ、極度の人間嫌い。特に現代の常識が通用せず、人間を殺すことも厭わない。ただし、気紛れで飽きっぽいために、これと決意した行動以外は完遂することは少ない。日本に渡航後、ジェイムスの半ば強引なアプローチを受け続け結婚するが、孤独だった自分に家族を再び与えてくれた彼のことを深く愛するようになった。家族は溺愛しているが、嫁のカレラとは犬猿の仲。ただし、ある種の愛情の裏返しとも取れる態度をとる。自分と瓜二つで、最も血の繋がりが濃く見えることから果林を可愛がっているが、嫁譲りの巨乳の部分は嫌っている。ジェイムス似の顔立ちである煉のこともお気に入り。幼き頃に吸血鬼狩りで多くの一族を、現代になって目覚めてからは眠りすぎの過失から夫を失っている為、これ以上身内を失う事を誰よりも恐れ、家族を守るためには何者を敵に回すこともまったく厭わない。保守的な異端嫌いのため、果林の増血を知られると途端に果林を嫌いだして一家から排斥しだすのではないかとヘンリーに危惧されたが、逆にわが息子にそんな疑惑を抱かれていたことにショックを受け、即座にヘンリーを叱り飛ばして疑惑を否定した。それだけ、こと「家族」に対してはどんな形であっても愛情深い「おばあちゃん」である。
果林救出作戦の時は最終局面で現れてブラウンリックのコウモリたち全てのコントロールを奪い去り、太陽に焼かれる直前のヘンリーを助け、ブリジットのコウモリたちに引き裂かれそうになった果林と健太を解放した。さらに日が落ちると共にブラウンリック家に殴り込んで果林の誘拐に関わった関係者全員を完膚無きまでに叩きのめした。が、ブリジットの騒動が勃発すると面倒が起こる前にさっさと逃げ出している。
アニメでは果林をかわいがる理由として「人間と恋に落ちるという境遇まで同じ」という過去が追加されている。また、カレラの「スリッパ」に対し常時持ち歩いている「傘」で対抗する、という設定も追加されている(原作では「傘」は杏樹のシンボル)。なお、胸に関しては「まな板」とウィナーに言われて怒ったことから、自分の小さい胸がコンプレックスになっている可能性がある。アニメにおける血の嗜好は「恋心」で、その為に人間との恋に悲劇的な結末を迎えていた。そのため健太と果林の恋を知ると、果林に自分と同じ思いをさせまいと健太から恋心を奪おうとした。それに失敗すると、果林を吸血鬼にする為の情報を調べる為に外国へと渡る。ウィナーの祖父・ヴィクターとは因縁がある。また、アニメ版17話で高校生と思われるカップルが告白して付き合うという場面に現れそのカップルを『つまみ食い』した。以前から周り(時任麻希等)にも仲の良いことが知られていたカップルであった為、このことが原因で文化祭にエルダが来ていることに果林が気付いた。
実は両親は健在で、エルダが日本に脱出した後に弟が産まれてマーカー家を継いでいるのだが、エルダはその事実を知らず、逆に両親からは死んだと思われている。
ジェイムス・マーカー
煉とよく似た容貌の、果林の祖父(ヘンリーの実父)。紳士的な性格で吸血鬼には珍しい親人間派。マーカー家の姓を日本風に『真紅』と読み替えて孫たちに名乗らせたのもこの人。初登場時には既に死亡しており、この事が後に事態をさらにややこしくさせた。
血の嗜好が「若さ」のため、自分が人間から若さを吸い取ってしまう事を気にして、あまり吸血したがらなかったようである。それ故に、エルダが代わりに血を集めていたが、生きる気力に乏しくなっていたようでエルダが眠りについている間いつのまにか干涸びて死んでいた。
マーカー家への婿養子であり、旧姓はエドウズ。プシュケーを祀りし2家のうち、プシュケーの境遇に憤りを感じて立ち上がるも、ヴァンパイアの血族の裏切り者として誅されてしまった一族の末裔。以来、プシュケーの運命よりの解放はエドウズ一族の悲願となっており、そのため自家に「アルマーシュ」の血族を取り入れる(=いずれ生まれるプシュケーをブラウンリックの支配から遠ざけ、自らの目の届くところに置き守護する)事を望み、結果としてセシリアを騙し彼女の娘のカレラをマーカー家へ嫁がせる事に成功した。
死後に幽霊となってマーカー家の屋敷内をうろついていた所を杏樹にとっ捕まって熊の縫いぐるみに封じられ、以後は杏樹の耳となってヘンリーやカレラの果林についての内緒話を杏樹に伝えていた。最終回で縫いぐるみの姿のままエルダと再会したが、エルダがジェイムスと認識していたかどうかは不明。
エルガ・マーカー
番外編に登場した女吸血鬼で、エルダの姪(弟の娘)、すなわちヘンリーの従兄妹に当たる。エルダと同じく保守的な吸血鬼で教会に強い憎悪を持っていたが、甥のフリードリヒが教会のシスターと恋仲になった事を契機に考えを改めるようになる。
フリードリヒ・マーカー
番外編に登場した吸血鬼で、かりん達の又従兄妹。母親はエルガの姉だが、彼を産んだ直後に死亡している。吸血鬼狩りを生業としていた教会を監視していたが、その教会に捨て子であったロザリーを置いてきた事で吸血鬼と人間の間の蟠りを自ら捨てる。日本の漫画に傾倒しており、ロザリーも彼に感化されている。

真紅家の姻族

セシリア・アルマーシュ
果林の祖母(カレラの実母)で先代プシュケーの末裔。杏樹とそっくりの容貌を持つ、銀髪の女性。明るく人懐っこい性格。
ジェイムスからアプローチを受けていたが、真の目的(アルマーシュ家の血を取り入れる)は知らないまでもジェイムスが自分を本気で好きではないことを察し断った。エルダとは200年前大陸から逃げた際に使った船の中で出会っているが、当時、家族を喪って傷心のどん底に浸っていた彼女に馴れ馴れしくちょっかいをかけてきたものだから、エルダには「真剣みが足りない(他人の苦労や苦しみを理解もしない)お嬢様」と嫌われることになる。彼女の家系はある種の「呪い」を受けており、その権益を独占する為に代々長老のブラウンリック家に幽閉されていた。その呪いを解くには「アルマーシュ」の名を捨てさせればいいというジェイムスの嘘をダニエルと共に信じ、「家を出たら2度とアルマーシュへは戻らない」と約束させた上でカレラをマーカー家へ嫁がせる。カレラが増血鬼の事について聞き出そうと赴いた時には、既に亡くなっていた。
ダニエル・アルマーシュ
果林の祖父(カレラの実父)。父親の命令でアルマーシュ家に婿養子入りする。旧姓はブラウンリック
妻・セシリアへは親の命令による結婚とはいえ深い愛情を持っていたと思われ、彼女が亡くなった事で生きる気力も失いそのまま枯れて死のうとしていた。死ぬ直前に再会したカレラに増血鬼の秘密を明かす。天使の様に思っていたカレラがナイスバディの女性になっていた事にショックを受け、出会い頭から死に掛けた。
エドワード・エドウズ
ジェイムズの大叔父(祖父の弟)で、果林にとっては高祖叔父にあたる。当作につながる最初の因縁を作った人物。愛称はエド
1000年前に果林の先代となるプシュケー(ソフィア)と恋仲になり、彼女をその運命から解放すべく駆け落ちを図るも、プシュケーを祀りしもう一つの血統と長老一族のブラウンリックによって殺害されてしまった。

雨水家

雨水 文緒(うすい ふみお)
健太の母。1972年生まれ(実年齢31歳から32歳)のため、高校生の息子がいるとは思えないほどに見た目が若い。ちなみに作者と同学年。CからDカップ。女子高生に変装しても、全く気付かれなかった。
女手ひとつで健太を育てようとするが、男を惑わしてしまう魅力(フェロモン体質)が原因で仕事が長続きしない、究極の不幸体質。ちなみに下戸で、料理酒をキャップ一杯あおっただけで潰れてしまう。見た目に反して腕っ節が非常に強く、彼女に殴られた相手は全員一撃でK.Oされている。また嫉妬深い一面があり、修成が別の女性と付き合っていると話した時に、彼の向こう脛を思いっきり蹴り付けた。自分が高校を中退したため、健太にはせめて高校をきちんと卒業して欲しいと考えている。小学生の頃両親が離婚しており、母親と2人暮らしだった。16歳ぐらいの時に母親の猛反対を押し切って健太を産むが健太の存在を認めない母親に耐え切れず、健太と共に家出する。しかし、母親の事はずっと放っておく気はない。果林の事を気に入っており、健太との仲を応援している。長い間仕事が見つからなかったが、最近ようやくアンナマリアというカトリック系の女子大に売り子として雇われる事ができた。(アニメ版では、最終回でジュリアンに就職した)
健太と果林の婚約を本人たちから聞かされた際には、すでに孫ができたと勘違いし、果林の腹部をさすりながら出産日を尋ねている。
雨水 歌音(うすい かのん)
原作最終話および単行本書き下ろしストーリーに登場。健太と果林の娘。ソフィアの転生した姿。
2014年生まれ。単行本書き下ろしストーリーでは14歳。その容姿は若き日の母のそれに(もちろん曾祖母となるエルダにも)酷似している。強烈なファザコン娘で、隙を見ては父親(つまり健太)にキスをしようとする。そのため果林は非常に娘の先行きを不安がる一方で、時折嫉妬している。
実際のところは好きな相手なら誰でもキスしてしまう、いわゆる「キス魔」の気質がある。
原作本編最終話は、彼女と杏樹がすれ違うシーンで終わる。すなわち、真紅家(杏樹たち)が雨水家(果林たち)を本人たちがそれと気づかなくても永劫に家族として見守り続けていく事を示唆している。

雨水家関係者

飯塚 修成(いいづか しゅうせい)
健太の父親。外見は健太に瓜二つで果林や麻希が一瞬見間違う程。学生時代はそれこそ現在の健太そのものである。健太との違いは左目の横にある大きな傷跡(子供の頃、文緒に付けられたもの)と眉毛の形。文緒からは「修成さん」と呼ばれているが、2人きりの時は「修ちゃん」になる。
文緒とは幼馴染みで、小学生の頃引っ越してしまった文緒と中学で再会して恋人同士となり文緒が健太を妊娠してからは結婚の約束までしたが、文緒の母の猛反対により文緒と引き離される。修成自身、当初は復縁を望んではいたものの、文緒の母の強硬な姿勢と、これに伴って飯塚家そのものも雨水家を拒絶してしまったために完全に連絡を絶たれてしまい、文緒が必死に修成に連絡を取ろうとしても、修成の親がそれを握り潰すと言う最悪の状況も発生し絶縁してしまった。なお、親は死ぬまでそのことを修成に告げることはせず、彼がそのことを知ったのは親の死後数年がたってからである。
文緒と健太の家出を知り、その理由を知るため丁度文緒を捜していた米原について回り、彼等との再会を果たす。長年の誤解や行き違いが解けて和解は出来たものの、現在付き合っている女性が妊娠中である為に文緒の時のようなことにはしたくないと、最終的には復縁することなく別れていった。
なお、実は飯塚家は先祖が「三白眼のせいで友達ができなかった」という馬鹿なヤケクソで辻斬りを起こし、被害者から7代末まで祟られてしまったため、男児は代々点目となってしまう家系だったらしく、ソフィアが転生寸前に後述の願い事を行ったのもこれが理由。

因みに雨水歌音の代でようやく7代目となる。

アニメ版における健太の父は「文緒と結婚はしたが、その後、蒸発した」という設定になっている。
文緒の母
夫と離婚してから、一人娘の文緒に他人を寄せ付けない程依存しきっている。
健太が産まれても彼を15年間無視し続け、しかも文緒が家出したのは自分のせいだとは思っていない。しかし文緒と健太が出て行った後でも健太の衣類は捨てていなかった事から、健太を心底嫌っている訳ではない模様。現在は急に倒れ、入院中。その後病院を見舞って来た健太と再会したようだが、和解が成ったかどうかは語られていない。
米原(よねはら)
文緒の母が文緒を捜し出す為に雇った探偵。だが、事務所では先輩からいつもみそっかす扱いされている三流。
文緒のフェロモンにやられ、彼女と健太の事を母親に報告しないことにした。

果林と健太の友人たち

時任 麻希(ときとう まき)
果林の小学校時代からの親友。果林の正体などは知らない。恋愛話に激しい興味があり、果林と健太の仲を気にしている。
家は椎八場商店街で本屋『Toki-Books』を経営しており、時折レジや棚整理などで店を手伝っている。リク(小学1年~中学入学頃に老衰で死亡?)・カイ(リクの子供。中学1年から現在)という犬(雌)を飼っている。果林とは固い絆で結ばれており、小説版第7巻では果林に暴力を振るった男を一撃で倒した。
高校卒業後はアンナマリア女子大に入学。購買の売り子である文緒と仲良くなる。後に菊地と交際が始まるが、幼馴染の気安さからか「喧嘩するほど仲がいい」を地で行くカップルとなり、別れたりよりを戻したりを繰り返し、最終的に20代最後の年で結婚する事になる。が、結婚しても喧嘩ばかりするのは変わらず、新婚旅行先では成田離婚宣言の絵葉書を果林たちに送っている。
最終的に椎八場高校の体育教師として母校に舞い戻り、以降は歌音などの生徒たちから「姉御」と呼ばれ親しまれるようになる。
アニメ版では果林に勉強を教える為に真紅家を訪問し、カレラと杏樹に出会っている。また、しつこく果林に迫るウィナーの事を最初呆れていたが、彼の真剣な姿を見て恋心を抱く。ウィナーから果林が吸血鬼である事を告げられたが、果林は果林だと特に驚かなかった。その後のウィナーとの仲は友達以上恋人未満の関係らしい。
内藤 福美(ないとう ふくみ)
果林・麻希の友人で、1-Dの学級委員。果林達とは別の中学出身らしい。眼鏡をかけたクールな少女。果林ら親しい友人からは「福ちゃん」と呼ばれる。
ともすれば(主に果林に対して)暴走気味になる麻希たち1-D女子を諌める立場にあり、麻希とは別のスタンス(いわゆる一歩引いた立場)から果林を温かく見守り、時にきちんとした忠言も行う。
言うべきことはきっぱりと言うタイプで、他者にもそれを強いる事がある。中学時代、その性格によって後輩男子からの人づての告白を「言いたいことがあるなら自分の口で言え」とバッサリ切り捨てた経験を持つ。
初出は小説版『かりん増血記①』で、原作には6話頃から徐々に出始めた。
菊地 悠司(きくち ゆうじ)
1-Dの同級生で健太の友人。健太のほうはそうでもないが、後述の事情からか菊地自身は健太にド厚かましいほど、フレンドリーに接している。因みに最終回後の番外編まで、長らく下の名前の漢字表記が登場しなかった。また雑誌連載中においても苗字の表記が「菊」(本編単行本における表記)だったり「菊」(番外編版などの表記)だったりと、なぜか一定していない。そのため、ここでは本編における表記に倣い「菊地」として表記する。
家は椎八場商店街で銭湯『菊の湯』を経営。なお雨水母子は引越ししたばかりの頃から『菊の湯』の常連客でもあり、そのため菊地は転校前から健太と顔見知りであった。同じ町内であることから時任麻希と幼馴染だが、麻希と果林の仲が確立してからは距離を置くようになり、最近は疎遠になっている。子供の頃は「ゆーちゃん」と呼ばれていた。
文化祭では1-Dの演し物であるお化け屋敷を情熱的にプロデュース。麻希とともに健太を目目連役に抜擢。さらに文化祭前日エルダに襲われて昏倒したにも関わらず、その翌日には大復活し、見事にプロデュースをやり遂げた。
果林が健太を噛んだ後日、詰襟などで健太が首筋を(果林の噛み跡を隠すために)見せていないのを不振がり、キスマークでも隠しているのかと追及しようとして健太にスゴまれている。
健太の転校前に文緒のフェロモン体質にノックアウト。「同級生の母親を好きになる」という壮絶な初恋を経験してしまった。麻希に後押しされて告白しようとするも、様々な間の悪さからこれを断念する。その後は前述の通り、麻希と交際していくことになる。
アニメ版では悲しいかな「その他大勢」と判断されてしまったためか登場できず、本来、原作内で彼が担っていたはずの役割は1-D男子クラス委員長やウィナーなどのアニメオリジナルキャラクターが分担して持ち回るように設定されてしまっている。
ウィナー・シンクレア
アニメオリジナルキャラクター。果林のクラスに転入してきた美少年。
「運命の女性」こと果林に積極的にアタックを仕掛ける一方、時任麻希の事は「果林さんの友人君」と呼び、名前を覚えようとしない(実はちゃんと知っている)。言葉遣いがかなり変で四字熟語を連呼するが使い方は殆ど間違っている。自称「吸血鬼ハンター」でライセンスらしき物も持っているが、血を見ると卒倒したりヘンリーに会っても彼の正体を見抜けなかったりとその実力は皆無。文化祭に現れたエルダが果林でないと見抜いた唯一の人物(まな板だから)。
幼き頃は引っ込み思案で吸血鬼ハンターになるのを拒んでいたが、偶然出会った果林に供血され積極的になる。ヴィクターに果林が吸血鬼(正確には増血鬼)と教えられるが、初恋の相手である果林を撃つ事ができなかった。最終回でも果林をあきらめていないが、麻希との仲も進展しているらしい。

その他、果林と健太に関わる人々

人間

店長
果林と健太、友里耶がバイトしているファミリーレストラン「ジュリアン」の店長を務める太目の中年男性。たびたびバイトを休む果林達にも小言ひとつ言わない人の良いおじさん。果林と健太の仲を暖かく見守っている。「青春だね~」が口癖。
白井(しらい)
椎八場一高の先生。果林達が1年の時の担任(眼鏡の女性)。それなりにベテラン。
池(いけ)
椎八場一高の先生。果林達が2年に進級してからの担任。まだ新米。
寺西 唯香(てらにし ゆいか)
番外編その1にて初登場。杏樹のクラスメート。
気が強く生意気な性格で、男子に人気のある杏樹を快く思っていない。その為杏樹が落としたブギーくんを素直に返さず家に持ち帰ってしまうが、杏樹から離れたせいで人形から出て来てしまったブギーくんに殺されかける羽目になった。それ以来人形恐怖症となり、椎八場一高の文化祭の際、果林達のクラスのお化け屋敷で展示されていたジョアンナのお茶目に泣いて怯えた。
鯉淵克(こいぶち すぐる)
杏樹のクラスメートの男子(6年生では別のクラスになった)で成績はトップ。杏樹に想いをよせており、あの手この手でアタックするが杏樹にはすげない態度を取り続けられていた。覚醒が近いことを悟った杏樹から「学校を辞める」と告げられショックを受ける。実は母親から中学受験を強要されていて、そのため級友達と同じ中学へ行けないことを寂しく思っており、そのことと杏樹が去ることへの悲しみに関して母親が無理解な返事しかしなかったことでさらに寂しさをつのらせていた。
覚醒がいよいよ近くなり太陽の光に耐えられなくなった杏樹が体育倉庫の暗がりで倒れていたところにブギーくんのお節介により誘導され、杏樹の最初の吸血相手となる。その後は級友や教師ともども杏樹に記憶を操作され、吸血された記憶をなくし杏樹は既に転校したと思い込まされる。
瀬良 洋光(せら ひろみつ)
杏樹のクラスメートの男子。鯉渕同様杏樹に想いを寄せていた。鯉渕に比較するとかなり能天気な性格。
藤谷 日向(ふじたに ひなた)
番外編その2に登場。かつて煉が通っていた中学のクラスメート。
あまり学校に来ない煉をクラスに馴染ませようと世話を焼く。告白する事は無かったが、煉に対してほのかな恋心を抱いていたようである。煉の人間の世界に対する唯一の心残りと言える存在。
ヴィクター・シンクレア
アニメオリジナルキャラクター。ウィナーの祖父にして吸血鬼ハンター。
戦闘時には剣や銃などさまざまな武器を使用。ウィナーと違いかなりの実力者で、エルダと互角にやりあった。また、家の窓が太陽側に面していないことから吸血鬼の村だと推理するなど頭も良いが、吸血鬼が人間より少し体が丈夫だという事は知らなかったらしい。エルダの昔の恋人・アルフレッドの子孫で、吸血鬼と恋に落ちた為に名折れしてしまったシンクレア家の汚名をそそぐためにマーカー家を探していた。エルダをいぶり出すために火を放つなど、吸血鬼を討つためには手段を選ばない。また、先祖であるアルフレッドの失意の果ての死や、彼が遺した『贖罪』の意図を、かなり自らに都合よく曲解していた。
女性に対する免疫が無かったのか果林のはだけた胸を見て卒倒し、その後真紅家全員に血を吸われて性格が完全に丸くなってしまった。
アルフレッド・シンクレア
アニメオリジナルキャラクター。ヨーロッパ某所の領主・シンクレア家の一人で植物学者。エルダのかつての恋人で、彼女からは「アル」と呼ばれていた。
学者であるが故に生態系の理を理解し、ミツバチと花などにおける相利共生関係を人間と吸血鬼の関係の最も理想的な姿と考えていた人物。しかしキリスト教圏においては、その考え方は異端でしかなく、周囲はおろか、領主であった父親からも冷遇されてしまった。
父のヴァンパイア迫害が苛烈を極める中、ついにエルダの住む村が焼き討ちに遭い、その際に彼女を助けようとする。しかし、逃亡の果てにエルダは体力を消耗し、回復のためにアルフレッドの血を吸ってしまう。これによってアルフレッドの中にあるエルダへの想いが一時的に消え、ヴァンパイアに対する本能的な怖れが理性を上回ってしまい、反射的にエルダを否定してその胸に杭を打ち込もうとした。
この事でエルダは人間に絶望して失意の逃亡を行うが、一方でアルフレッドはエルダが去った後に自身の心を取り戻して自らの行動を嘆き、深い後悔の念を抱く事となった。そして、家族からも見放され、自らの信念を貫き通せなかったが故に愛する者も失った彼はエルダへの贖罪を願いながらも失意のうちにこの世を去ることになる。
その墓はかつて彼が愛した「エルダと共にあった時間を過ごした場所」に置かれ、その周囲には、かつてアルフレッドがエルダに贈った花が「贖罪の証」として美しく咲き誇っている。

ヴァンパイア

グラーク
関西在住の関西弁のヴァンパイア。普段は裏の情報屋を営んでおり、ヤクザと通じている。
表向きは人当たりが良く気さくに見えるが、実はアルマーシュの血が成す「プシュケーの泉」の血を狙っており、友里耶をマーカー家へのスパイとして送り出す。友里耶から果林の存在を聞かされた後、彼自身も椎八場市へやって来る。そして友里耶の手引きで果林を攫う事に成功した。自らの小柄な体格がコンプレックスで、指摘されるとキレる。彼の一族は何千年も前からヴァンパイアの中ではプシュケーの事を探求してきた、いわば祭祀の一族。
ハーフへの偏見は特に持っていないようで、友里耶を大切にしている。実際、友里耶をスパイとして送り出した背景には、彼女の存在をブラウンリック家に認めさせる目的もあった事が明かされている。
エスルマン・リーガン
ヴァンパイアの男性。ブラウンリック家の婿養子になった青年の父親。
傲慢でデリカシーに欠ける性格。ヴァンパイアである事に強い誇りと矜持を抱いており、人間を見下している。他のヴァンパイア同様、若い頃はエルダに散々苛め抜かれたらしく、今でも彼女を恐れている。そのため果林に会った時は、彼女をエルダと勘違いし恐れおののいた。
ブリジット・ブラウンリック
ヴァンパイアの長老の孫娘。グラークからは「お嬢さん」と呼ばれている。不妊に悩むヴァンパイアの若奥様方のリーダー格。
エルダにも匹敵する攻撃的気質の持ち主で、敵には全く容赦しない高飛車かつ冷酷な性格。反面、自分が認めた相手などには好意的。自家のメンツゆえに一刻も早く子どもを授かるため「プシュケーの泉」を渇望しており、それに該当する果林を「救いの女神」として崇めている。一方で生殖能力のないハーフである友里耶を「役立たず」だと忌み嫌っており、早く死ねばいいとさえ思っている。
最終的に煉にキツーイ(おそらくは18禁な)『おしおき』をされて、果林たちに謝罪。挙句の果てに煉に熱を上げて彼の子を身ごもり、離婚騒動・認知騒動・できちゃった結婚騒動を引き起こす。ちなみに産んだのは男子(名前は玲)。
実はカレラの従姉妹で、カレラとヘンリーとは同世代。煉とはいわゆる近親相姦の関係になった事になる。

ヴァンパイアと人間の境界に立つ者

橘 友里耶(たちばな ゆりや)
椎八場市に引っ越してきた女性。ジュリアンで働き始めた果林と健太の同僚。
かなりボロボロのアパートに住んでおり、本人にはそれがコンプレックスの模様。また、胸がぺったんこで分厚いパッド入りの下着を身に着けている。ちなみに、それを見た果林から深く同情されている。
その正体はヴァンパイアと人間の間に生まれた子供(いわゆるダンピールだが、作内ではヴァンパイア・ハーフと表記される)である。昼に外を歩くのは平気でコウモリもある程度使えるようだが記憶操作は下手。「一族の恥」という事で、存在自体を身内の中では隠されていた。父親が死ぬと同時に一族から勘当され、ただ1人の身内の母親を亡くしてからは人間側のヴァンパイアであるジェイムス・マーカーを頼ってきた。だが、「おじさま」ことヴァンパイアの1人であるグラークの差し金で「プシュケーの泉」の存在の有無を探るべく、マーカー家へコンタクトをとるべくやって来たのが真の目的。半人半魔の半端者という辛さを抱えている為、似た様な境遇の果林との間には友情らしきものが芽生え始めておりグラークの想いとの間で板挟みとなっていたが、第49話で遂に彼に果林の存在を明かす。葛藤を抱えながらも、グラークに果林を引き渡した。しかし果林達を裏切った後も密かに罪悪感に苛まれた。そしてグラークたちの果林に対する待遇が、徐々にひどいものになっていく事に耐え切れなくなり、さらにはソフィアの影響で自己肯定のきっかけを得た事もあいまって、果林を逃がそうとするがブリジットに見つかって失敗してしまう。
結果論とはいえ、連続して二転三転と裏切りまくっているため、果林に直接会うこともできなくなり、結局、健太にお侘びの言葉と新品の携帯電話(グラークが果林の携帯電話を廃棄してしまったため)を託して2人の前から姿を消すことになる。
ピスティス・ソフィア
健太にしか見えない、果林の姿をした謎の存在。果林よりもお調子者。
作内の描写からすれば、エドと駆け落ちした先代プシュケーの魂の一部ともとれるが、救出作戦後の言動からすれば実際は代々のプシュケーによる魂の統合体というのがもっとも相応しくも見える。果林に供血されたもしくは友里耶の様に果林の血が体内に入った(つまりプシュケーの命が体内にある)人間には彼女がその人物にとって大切な人間の姿になって夢の中に現れる。そのため健太には果林の姿に見え、最初に会ったのは夢の中だった。ちなみに文緒には修成に、友里耶には母親に見えた。友里耶の場合は健太についているソフィアの介入の影響により、現実でも幻視の形で母の姿のソフィアに出会い、自分自身による自らの肯定とそれに端を発する立ち直りのきっかけを得ることになった。
永遠に「プシュケーの泉」の運命に縛られ続ける魂の在り方に諦観さえ覚えていたが、エドの死によって自らの運命に「終わり」が来ることを望むようになる。また、代々ヴァンパイアたちにその命や愛するものたちを奪われ続けてきた悲しみから、ヴァンパイアをまったく信頼しておらず、健太に対しては自らの存在を口止めしている。幾億幾星霜もの時の流れの果てに果林と健太の愛しあう姿に出会い、健太が「終わりをもたらす者」である事を期待し、その愛情に導きを与えるようになる。果林の血が健太に完全同化したことで一時は姿を消すも、再び果林が健太を噛んだ事で再登場。しかし果林がグラークたちにさらわれた事で、現代でも「終わりが来なかった」事を察知して一旦は健太の前から姿を消す。しかし健太の諦めない姿に今までの自分たちとは違う何かを感じて、今一度彼の前に姿を現した。結界も関係なしに果林の居場所を察知できるため、健太に協力し、最終的に健太は彼女たちの期待通りに「運命に終わりをもたらす者」として果林を助け出すことになる。
健太と果林の恋愛が見事に成就したことで、望み通りに自分たちを縛っていた「プシュケーの運命」から開放され、成仏・転生が可能な状態になる。なお、万が一、果林がプシュケーの運命に殉ずる事になっていたら、果林自身もソフィアの一部となっていたはずだった。
かくて、すべてが落着した後で健太の魂に同化。さらに後に再び果林の胎内に戻り、2人の娘である雨水歌音(うすい かのん)として転生する。なお、転生前に一度だけ25歳の健太の前に最後の姿を現して、前述の理由から「子供を作るときは絶対に女の子として産んでほしい」と結果的にはかなったものの、非常に無茶な注文を突きつけた。

小説版登場人物

十文字 燿一郎(じゅうもんじ よういちろう)
小説第1巻に登場。元華族の富豪の御曹司でモデル顔負けの美男子。しかしその肩書きとは裏腹に、父親は事故で昏睡状態、母親は音信不通という不幸な境遇。
果林に供血されてからは彼女の事を自分のそんな不幸を変えてくれる「幸運の女神」だと信じ、果林を追って転校してきた。その情熱っぷりは初日に公衆の面前で薔薇の花束を抱え果林に交際を申し込んだ程。転校前は名門校の優等生だった。かなりの自信家且つ強引な性格で、人の話を聞かない所がある。
折坂 千奈(おりさか ちな)
小説第2巻に登場。聖クリスチナ修道院に住む、修道女見習いの純真無垢な美少女。
男性に免疫が無いせいか結構惚れっぽく(本人無意識)、絡まれていた所を助けてくれた上傘まで貸してくれた健太や、また絡まれていた所を助けてくれた煉にときめいたりしている。
松宮 雲英(まつみや きら)
小説第3巻に登場。一人称が「ボク」のボーイッシュな女子中学生。
金持ちが愛人に生ませた子供という身の上で、母親を亡くしてからは世話係の省吾と暮らしている。お嬢様育ちのせいか性格は我儘で強引。何故か巨乳の女性が大好きで、ジュリアンで出会った果林を夏休みの遊び相手として別荘に誘う。
太刀掛 省吾(たちかけ しょうご)
小説第3巻に登場。8年前から、雲英の世話係を務める青年。まだ20代だが、冷静沈着な態度と雲英の事を第一に考えるその様は忠実な執事そのもの。
趣味は料理で、レストランの料理を再現して作るのが好き。
大崎 まゆみ(おおさき まゆみ)
小説第3巻に登場。雲英の遊び相手のアルバイトとして別荘に呼ばれた巨乳女子大生。
昔ブスだと馬鹿にされて以来オシャレに興味を持っていなかったが果林に供血されて性格が変わり、オシャレを始め自分がモテる事を楽しむように。
関 翔子(せき しょうこ)
小説第3巻に登場。果林やまゆみ同様雲英の別荘に呼ばれた巨乳のフリーター。19歳。高校中退。
人をからかうのが趣味。どうやら腐女子らしく、バイトの合間を見ては同人誌に載せる漫画を描いている。
木島 秀実(きじま ひでみ)
小説第4巻に登場。杏樹の通う市立青葉小学校の臨時教師。関西弁の童顔な青年。
正義感の強い性格で、学校に滅多に来ない杏樹の事も気にかけている。電車内で痴漢に遭っていた所を助けた事がきっかけで果林に一目惚れし、遊園地に誘ったり車で送ったりと積極的なアプローチを仕掛ける。姉の美花(みか)を初めとし、親戚、同僚まで周囲に気の強い女性が多い事に疲れ気味。小説版第8巻にて再登場した。
扇町 彩羽(おうぎまち あやは)
小説第5巻に登場。果林や健太の通う椎八場一高2年。土地開発会社の社長令嬢。校内でも1、2を争う美少女。
惚れっぽい所があり健太に興味を持つが、素直になれない性格の為色恋沙汰に疎い健太には通じなかった。しかし果林に供血されてから積極的な性格に変わり、健太に熱烈なアタックを仕掛ける。幼馴染にして従弟の忍に絶対的な信頼感を寄せている。
忍同様、小説版第7巻にて再登場を果たす。
霧丘 忍(きりおか しのぶ)
小説第5巻に登場。椎八場一高1年。
頭脳明晰・眉目秀麗・運動神経抜群で家は金持ちという彼だが頭が良過ぎるせいか損得勘定で動く傾向があり、かなりクールな