HOME > コミック > この世界の片隅に

この世界の片隅に/こうの史代

共有

著者: こうの史代
巻数: 3巻

こうの史代の新刊
この世界の片隅にの新刊

最新刊『この世界の片隅に 3


出版社: 双葉社
シリーズ: アクションコミックス


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

katakun052514 RT @mihonanohana: #この世界の片隅に 神奈川県藤沢市鵠沼海岸にある #シネコヤ で 7月15日(日)〜24日(火)上映されます。1日5回上映です。貸本屋さんでもあるシネコヤではこうの史代特集も。パン屋さんもやってます。 https://t.co/jtJSVi9
amnesia666 RT @ohjitter: 今朝、嫁から来たLINE ラジオ番組「武田鉄矢 今朝の3枚おろし」 で”このセカ”を採り上げたそうです 明日に続くとか #この世界の片隅に https://t.co/pH9gfnOKmo
arukeiarukei 岡田惠和は『おひさま』の際にはうまく描ききれなかった「庶民のなかの戦争と平和」を『おひさま』では背景として描くことに成功していた。岡田氏、次はもっとダイレクトに戦時を描くのではと思っていたところで、#この世界の片隅に である。
hagipiyopiyo RT @ohyabu: 『この世界の片隅に』: EDで使われていた漫画の画像。今回の映画で描かれなかったリンさんの物語のだ。彼女の物語を加えた完全版の完成が待たれる…。 今度は映画館で見たい!(この作品は映画館で見るものだなぁと、TV画面から見ながらひしひしと感じたわ。)
a_color0079 RT @katabuchi_sunao: 広島市郷土資料館では「企画展 漫画『この世界の片隅に』に見る戦時下の暮らし」を開催中。7月8日まで。アニメーション関係の展示、北條家の模型などもあります。

この世界の片隅にの既刊

名前発売年月
この世界の片隅に 1 2008-02
この世界の片隅に 2 2008-08
この世界の片隅に 3 2009-04

この世界の片隅に』(このせかいのかたすみに)は、こうの史代による日本の漫画作品。『漫画アクション』(双葉社)にて2007年1月23日号~2009年1月20日号まで連載。単行本は同社より上・中・下巻が発売。

第13回(2009年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。「THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!」(フリースタイル)第1位。「ダカーポ特別編集 最高の本! 2010」(マガジンハウスムック)マンガ部門第1位。

概要

こうのが、代表作となった『夕凪の街 桜の国』に続いて「戦争と広島」をテーマに描いた作品である(ただし『夕凪の街 桜の国』と異なり、主要な舞台は広島ではなく近隣の軍港・呉に設定されている)。本作の構想は『夕凪の街 桜の国』刊行の頃から作者自身によって語られていたが、2006年初めから翌2007年初めにかけて発表した戦前期(1930年代)の広島を描いた3編の読み切り短編作品(いずれも主人公・浦野すずの幼少時がテーマとなっている)に続いて、『漫画アクション』誌上に本作の連載が開始されることになり、2008年1月にはコミックス単行本(上巻)が刊行された。こうのにとっては通算7本目の単行本化作品となる。

本作品のストーリー本編は12月、すずが周作と出会い翌年2月に2人が祝言を挙げるところから始まるが、コミックス化に際して上記の3編も本編のプロローグ部分として上巻に同時収録された(目次の配列はストーリー上の時系列に沿っている)。初出掲載時およびコミックスでは、各回ごとに(「18年12月」というように)昭和元号により舞台となる時期(年・月)を示すサブタイトルが付されている(ただしプロローグの3編については初出時には時期設定が明示されていなかったため、コミックス収録時に新たに付された)。

『夕凪の街 桜の国』では登場人物の姓名がすべて広島市内の地名・町名にちなむものであったのに対し、本作においては、主要な登場人物の名は「元素名にちなむ名前」という基準で設定されている(例えば「すず>錫(Sn)」、「周作>臭素(Br)」、「哲>鉄(Fe)」など)。

あらすじ

第二次世界大戦中、広島の漁師町に育ち絵を描くことが好きな少女・浦野すずは軍港・呉の高台の町に住み海軍で働く北條周作に嫁ぎ夫婦生活を送っていく……。

主な登場人物

主人公と北條家の人々

浦野(北條) すず(うらの(ほうじょう) すず)
主人公。広島市江波の海苔梳きの家に育った少女。絵を描くことが好き。呉の北條家に嫁ぐ。のんびりおっとりした性格から時折小事件を巻き起こす。次第に物資が乏しくなる生活に先行きの不安を感じつつも、夫や北條家の人々を愛し、彼らから愛され戦時下の生活をそれなりに楽しんでいる。
北條 周作(ほうじょう しゅうさく)
すずの夫。呉鎮守府の軍法会議録事(事務官)。幼い頃に一度だけすずに会ったことがあり、それをきっかけに見初めた。真面目な性格で周囲から「暗い」と言われるのを気にしている。すずを愛し彼女のささやかな絵描きの趣味にも理解を持っているが、すずが幼なじみの哲に淡い想いを抱いていたことにうすうす気づいている。
北條 サン(ほうじょう サン)
周作の母(すずの姑)。足を痛めているためほとんど自宅だけで寝起きしている。
北條 圓太郎(ほうじょう えんたろう)
周作の父(すずの舅)。広海軍工廠技師。かつて軍縮のため一時解雇されていた。
黒村 徑子(くろむら けいこ)
周作の姉。元モダンガール。結婚して家を出ていたが、時計屋であった夫の病死後、嫁ぎ先と折り合いが悪くなり、黒村家が下関に引っ越したのを機に離縁し、娘ともども北條家に戻ってきた。嫁ぎ先に残してきた息子のことを気にかけている。はっきりものを言う性格でしばしばすずに厳しい態度で当たるが、それほど嫌ってはいない様子。
黒村 晴美(くろむら はるみ)
徑子の娘。国民学校初等科への入学を控えている。母とともに北條家に同居し、すずに懐いている。
黒村 久夫(くろむら ひさお)
離縁した徑子が跡取りとして黒村家に預けてきた息子。妹・晴美の入学祝いとして自分が使っていた教科書を送ってくるが…。

江波(すずの実家)の人々

浦野 十郎(うらの じゅうろう)
すずの父。かつては海苔養殖に従事していたが工業港建設で海が埋め立てられたため廃業し、埋立地に建てられた工場に勤務している。
浦野 キセノ(うらの キセノ)
すずの母。森田の叔父さんと横顔がよく似ている。
浦野 要一(うらの よういち)
すずの兄。通称「鬼(おに)いちゃん」。陸軍軍人としてニューギニアに出征していたが戦死の知らせが届く。しかし浦野家の人々は彼の死を実感することができず戦死という事実自体認めていないようである。
浦野 すみ(うらの すみ)
すずの妹。女子挺身隊員として陸軍の軍需工場に勤労動員されている。
水原 哲(みずはら てつ)
小学校時代のすずの幼なじみ。海軍兵学校の生徒だった兄を海難事故で失い、小学校卒業後志願兵として海軍に入隊する。水兵として乗り組んでいた青葉の停泊中、入浴と一夜の宿を求めて北條家を訪れる。
りっちゃん
小学校時代のすずの幼なじみ。卒業後、女学校に進学。

草津の人々

森田イト(お祖母ちゃん)
すずの祖母。広島の西の草津に住む。いつもすずのために着物を仕立ててくれている。古江から嫁いできた。
森田(もりた)の叔父さん・マリナ(叔母さん)
すずの叔父・叔母。お祖母ちゃんと同居し海苔梳き業を営んでいる。しばしばすず一家が手伝いに来ている。
千鶴子(ちづこ)
森田夫妻の娘(すずの従妹)。晴美より少し年上。

呉の人々

白木リン
朝日遊郭「二葉館」の女。子だくさんの家に育ち、口減らしのため子守りとして売られた。そこを逃げ出して放浪の末、行き着いた呉で誘われて遊郭に入った。闇市での買い物帰りで道に迷ったすずと偶然知り合い仲良くなるが、ふとしたきっかけで周作と旧知の仲であることが判明し…。
小林夫妻
圓太郎の姉夫妻で周作にとっては伯父・伯母。すずと周作の仲人を務めた。戦災を避けて北條家に自宅の荷物を預けに来る。
知多
近所の主婦で北條家と同じ隣組。刈谷とは仲が悪かった。かつては看護婦として病院に勤めていた。入市被爆の影響で白内障を患う。
刈谷
近所の主婦で北條家と同じ隣組。知多とは仲が悪かった。新聞を購読している。息子は軍人で広島にいた。
堂本
近所の老婦人で北條家と同じ隣組。
テルちゃん
リンと同じく「二葉館」の女。九州方面の出身であるらしい。若い水兵の心中の道連れにされ、入水して体調を崩してしまう。リンを訪ねてきたすずに、南の島の絵を雪上に書いてもらい喜んでいたが…。
栗本
圓太郎の同僚。晴美のために使い古しの教科書を譲る約束をしていた。1945年3月の初空襲で家が焼けてしまう。

その他

ばけもん
幼少時に広島の街中(中島本町)へとおつかいに出たすずと周作をさらって食べようとした。正体は不明。
憲兵
高台にある畑で停泊中の軍艦をスケッチしていたすずを「間諜行為」と叱責し、愛用のスケッチブックを押収する。

物語に登場する地名

ここでは1944年頃までの状況を述べる。なお斜体部分は物語上の設定に関する記述である。

広島

江波(えば)
すずの実家(浦野家)の所在する町。広島市の本川と天満川に囲まれた三角州の南端の町で、かつて江波山・皿山から先は広島湾だった。古くから漁港が発達し牡蠣や海苔の養殖が盛んな漁師町だったが、1940年以降広島工業港建設の一環として沖合の海面が埋め立てられたため養殖業者の多くは生産縮小や廃業を余儀なくされた。1943年12月に舟入本町まで開通していた広電江波線は1944年6月になって江波近くの舟入南町まで延伸された。同年、沖合の埋立地で三菱重工業広島工場が操業を開始する。
中島本町(なかじまほんまち)
江波時代のすずがおつかいに出かけた広島市中心部の町。浦野家から海苔を買い付けていた料理屋「ふたば」が存在する。元安川と本川に囲まれた三角州の北端の町で市内では有数の繁華街・歓楽街の一つとして知られていた。「中島勧商場(なかじまかんしょうば)」はその中心で商店や喫茶店・映画館が軒を連ねていた。
広島県産業奨励館
結婚後、広島に里帰りしたすずがスケッチを描く場所。1915年、「広島県商品陳列所」として開館し、のち広島県産業奨励館と改称。中島本町の対岸に位置し、元安川に正面を向けた瀟洒なRC造の建造物でかつては郷土の特産品陳列や美術展が行われていたが、戦局の悪化もあって1944年には産業奨励館としての機能を停止、内務省などの事務所が入っていた。
紙屋町(かみやちょう)交差点
同上。1912年の市電開通以降の再開発により、この交差点界隈は広島の中心的な繁華街となった。1944年当時、交差点の北側は陸軍の軍用地(西練兵場)に占められており完全な交差点にはなっていなかった。
広島駅
同上。広島の中心的な国鉄駅で市街地の東に位置する。明治時代の開業で1944年時点の駅舎は1922年に竣工した2代目駅舎。
草津(くさつ)
すずの祖母や叔父・叔母が住む町。広島市西郊の漁師町で、1929年に編入合併により広島市の一部となった。干潟や入江に富む地形で古い時代から港町として栄え、牡蠣や海苔の養殖が盛んだった。

上長ノ木町(かみながのきちょう)
北條家の人々が住む町。呉市内(旧市内)では北端に位置する。高地に位置するため大正末期まで世帯数は少なく、昭和時代に入って宅地化が進行した。嫁ぐ日のすずたちが乗車した木炭バスの終点である辰川(たつかわ)地区はより低地に位置する。
朝日町(あさひまち)
白木リンが住む町。明治中期以降一大遊郭地として栄え、町名は1896年に設立された共同遊郭地「朝日廓」に由来する。軍港という特殊条件により栄えた遊郭地で、1935年には46軒の遊郭に650名の娼妓を抱え、規模も豪壮で県下のみならず関西一と称されていた。
呉海軍工廠
周作の父・圓太郎のかつての勤務先。1905年、海軍工廠として設置された。日本有数の兵器工場として知られ、多くの軍艦を建造した。特に起工の戦艦「大和」は有名。
広(ひろ)海軍工廠
圓太郎の現在の勤務先。
(呉)本通り
徑子とすずが晴美の入学準備のため買物に出かけた繁華街。呉市街地中心部の目抜き通りで、市電が通っており、福屋百貨店の支店も所在する。
二河公園(にこうこうえん)
1945年の春、北條一家が花見に出かけた公園。呉市内の代表的行楽地の一つ。

初出

  • 冬の記憶 - 『月刊まんがタウン』2006年2月号
  • 大潮の頃 - 『漫画アクション』2006年8月15日号
  • 波のうさぎ - 同上2007年1月9日号
  • 第1回 - 第6回 - 同上2007年1月23日号 - 4月3日号
  • 第7回 - 第9回 - 同上5月8日号 - 6月5日号
  • 第10回 - 第11回 - 同上7月3日号 - 7月17日号
  • 第12回 - 第23回 - 同上8月7日号 - 2008年1月22日号
  • 第24回 - 第28回 - 同上2月19日号 - 4月15日号

書誌情報

  • コミックス上巻 - 2008年2月12日発行(ISBN 9784575941463)
  • コミックス中巻 - 2008年7月11日発行(ISBN 9784575941791)
  • コミックス下巻 - 2009年4月28日発行(ISBN 9784575942231)

関連項目

  • 夕凪の街 桜の国
  • ぴっぴら帳
  • 呉市#歴史
  • 呉軍港空襲
  • 太平洋戦争

外部リンク

関連書籍

  • 『広島県の地名』(日本歴史地名大系 第35巻) 平凡社、1982年
  • 『角川日本地名大辞典 第34巻:広島県』 角川書店、1987年 ISBN 4040013409