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とどろけ!一番/のむらしんぼ

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著者: のむらしんぼ
巻数: 7巻

のむらしんぼの新刊
とどろけ!一番の新刊

最新刊『とどろけ!一番 第7巻


出版社: 小学館
シリーズ: てんとう虫コミックス


とどろけ!一番』(とどろけ!いちばん)は、のむらしんぼによる日本の漫画作品。

概要

『月刊コロコロコミック』(小学館)にて1980年2月号より1983年5月号まで連載された。単行本はてんとう虫コミックス全7巻、後にトラウママンガブックス(英知出版)より上下巻が復刻されている。また、同社の『トラウママンガマガジン』3号では、同時期のコロコロ漫画と一緒に、作者による新作が描き下ろされた。また、『熱血!!コロコロ伝説』(小学館)にてんとう虫コミックス1巻が復刻されたものがおまけとしてついている。

連載初期から中盤にかけては中学受験を舞台に学力テストでの対決を格闘技テイストで描く漫画であったが、後半になって突然「これまでの受験勉強の技は全てボクシングのためのものだった」と、ボクシング漫画に方針を転換させて読者を驚かせた。

あらすじ

登場人物

轟 一番(とどろき いちばん)
この作品の主人公。昭和43年(1968年)9月24日生まれ。
塾の名門「大日本進学塾」所属。「1」と書かれたハチマキをいつもしており(連載開始当初は「1」の文字はない。更に服装も少し違う)、常に鉛筆を3本前後挟んでいる。書いても書いても芯が減らず鋼鉄より硬い「四菱ハイユニ」を使って、様々な秘技を駆使して試験問題を解く秀才。ほぼ全ての試験で満点を獲得する(「ほぼ全て」というのは、満点を取れずに補習を受けたり、ライバルの策略で0点を取ったりするエピソードがあるため)。両手に鉛筆を握り、別々の問題を解く「秘技・答案二枚返し」が必殺技。ボクシング編では、真空状態の中でパンチを放つ「水月拳(すいげつけん)」を会得する。元々はやはりボクシング選手だった一番の父親が持っていた技だった。
実は、生まれた時の戸籍提出時のミスにより、他のキャラクターよりも年齢が1歳年下。そのため、名門・開布中学(かいふちゅうがく)の入学試験で満点を獲得したにもかかわらず、開布中学に入学することができなかった。
更に翌年の入学試験では、入試スキャンダル(一番らが関与していたわけではない)のため、入試合格者なしと言う事態になり、常仁、甘井ともども結局開布中学に入学することはなかった。このときに山本も開布中学を退学している。
受験編からボクシング編にストーリーが切り替わる際、彼の出生が明らかにされる。彼が生まれたころに本物の轟家がボクシングの抗争に巻き込まれ、実の両親は放火で死亡。生まれて間もない一番をある女性が連れて避難し、自分の息子として育てた。そんな過去があったため、母となった彼女からは当初ボクシングをすることに反対された。しかし結局、轟家の再興を目指す彼女の兄である多田頑春により許される。
好物は豚カツ(受験に勝つ)、炒り玉子(志望校に入る)、スタミナ焼肉。
愛用の四菱ハイユニを自作したこともある。
四菱ハイユニ
書いてもほとんど磨り減らない幻の鉛筆とされる。一番はこれを持ちやすい長さである11cmに切って使用している。特殊強化鋼と液体鉛を56.2:43.7の割合で調合したあと一番自身のハナクソを混ぜ、203度の火(アルコールランプを使用)で炙って芯を作っていた。その芯は刃物よりも鋭く、藁束を居合斬りのように斬ることができるほど。作り方次第では強力な武器にもなる。
ネオ四菱
後に、スペースシャトルから剥がれ落ちたスーパーセラミックを母のダイヤの指輪を使って加工し、これを芯にしたアンテナペンも作成している。三段式で如意棒のように伸縮し、普段はハチマキにも隠れる短さだが、伸ばせば棒高跳にも使えるほど。
常仁 勝(つねに まさる)
一番のライバル。常仁財閥の御曹司。
一番と同じく「大日本進学塾」所属。開布中学に合格するが、翌年一番と共に再受験に挑む(後の入試スキャンダルに失望し入学せず)。一番と試験で張り合うが、後に友人となり、一番のサポート役となる。試験の点数は500点満点で大体490点位。常時2~3位に位置している。典型的な金持ちライバルキャラだが、勝負に関しては正々堂々と戦う性格である。一番が手を負傷した時、同じ条件を望む勝が、自らの手を傷つけたこともある。
ボクシング編では、轟家のライバル「拳闘寺(けんとうじ)家」の刺客となり、「火闘拳(かとうけん)」を会得するが、一番にボクシングの試合で負け、一番サイドに乗り換える。
山本 明日香(やまもと あすか)
一番のガールフレンド。
「大日本進学塾」在籍。開布中学に入学。常仁と同じく後に入試スキャンダルに失望して退学する。
甘井 太郎(あまい たろう)
「大日本進学塾」在籍。鉛筆を自分で削れない程のわがままお坊ちゃん。最初のみ一番と敵対していたが、すぐに塾生仲間としてレギュラーに定着。一番や常仁と共闘するようになる。美人の妹がいる。
多田 頑春(ただ がんばる)
通称「塾長」。「大日本進学塾」総帥3代目で、日本教育界の首領とも言われる。初代の名前は「多田 励無(ただ はげむ)」。一番たちを時には厳しく、時には暖かく見守る存在。
スキンヘッドとサングラス、髭がトレードマークであり、常に和服姿。

登場秘技

一番はその柔軟な思考による創意工夫や臨機応変な機転により、毎回のように新秘技を披露したが、繰り返し使用した秘技は数えるほどしかない。2回以上登場した秘技には以下のようなものがある。

答案二枚返し
上記の答案二枚返し。手だけでなく左右の目も別々に動かすことが特徴。基本技として様々なバリエーションを生んだ。
ゴッドハンド
目に見えないほど素早く手を動かすという、二枚返しに続く基本的な秘技。同時期の同誌の看板作『ゲームセンターあらし』で同様の特徴を持つ秘技「炎のコマ」と比較されやすい。
ダブルゴッドハンド
二枚返しとゴッドハンドを組み合わせたもの。
ウルトラタイフーンゴッドハンド
ゴッドハンドで風速250メートルの嵐を起こす技。
四菱ハイユニマグナムショット
四菱ハイユニをダーツのように投げ付ける。他にも似たような鉛筆投げの技は多数登場した。
水月拳
前述のボクシング技。水中で特訓した後、二枚返しを応用して完成した。まず左のパンチを放って真空状態を作り出し、その真空中に右のパンチを打ち込むことで通常のパンチの何倍もの破壊力を生み出す。その威力は素手で空中の風船を粉々に砕くほど(普通は割ることすら困難)。