なんて素敵にジャパネスク/山内直実 氷室冴子
山内直実の新刊
氷室冴子の新刊
なんて素敵にジャパネスクの新刊
最新刊『なんて素敵にジャパネスク 第11巻』
twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)
『なんて素敵にジャパネスク』は、氷室冴子の平安時代の宮廷貴族社会を舞台にした少女小説シリーズ。また、これを原作にした漫画、テレビドラマや、NHK-FMでラジオドラマも製作されている。
小説
第1話は集英社『小説ジュニア』(現在の『Cobalt』の前身)1981年4月号に発表され、その後書き下ろし、番外編などを含め集英社コバルト文庫から計10冊の文庫本が発売されている。
物語は平安時代、貴族・内大臣家のおてんばな16歳の娘・瑠璃姫が自身の結婚問題などから事件を起こしたり、また貴族社会の東宮・帝即位問題に関係する政治陰謀事件などを解決して行くラブコメディーで小中学生から高校生まで人気を得た。当時の社会風俗が分かりやすく学べる事から、古典への入門書としても読める。
主人公が「親から執拗に結婚を勧められ、困り果てる」という設定は、氷室が当時、同様に結婚を両親に勧められて辟易していたことに起因する。
1995年時点で、累計720万部が発行されている。
登場人物
- 瑠璃(るり)
- 本編の主人公であり、外伝を除く物語全体の語り手。名前の由来は『源氏物語』の登場人物玉鬘の幼名。
- 摂関家(藤原氏)の流れを汲む内大臣家の姫君。初登場時16歳。10歳まで京の都から離れた吉野で祖母に育てられる。そこで出会った初恋の少年・吉野君の面影が忘れられず、当時の結婚平均年齢であった13~14歳を過ぎても独身主義を通していた。美人ではないが、性格は明るく勝ち気で活発、理性的だが、時に突飛な行動を取り、情にもろい一面もある。
- お忍びで他家に侵入するのが得意。その性格ゆえに様々な事件に関わり、結果として「物の怪憑きの姫」という芳しくない噂を立てられることになる。
- 裁縫、琴など当時の女性の必須科目が苦手。和歌は人並み以上に機知に富む。
- 高彬(たかあきら)
- 瑠璃の幼馴染みであり、許嫁を経て夫となる。
- 右大臣家の四男坊。初登場時15歳。左衛門佐(さえもんのすけ)から後に右近少将に昇進する。家柄も良く有能な為、帝の覚えもめでたい当代随一の公達の一人。
- 瑠璃の弟・融の幼馴染みであり、瑠璃とは「筒井筒」の仲。幼少の頃に共に遊んだ瑠璃を一途に想い続けている。性格は生真面目でお役目一辺倒、瑠璃とは違い、身分や世間体を重んじる常識人である。堅物すぎる余り、帝をはじめとする他の宮中人からその生真面目さをからかわれる。瑠璃と結婚してからは嫉妬深い一面を覗かせる。字も和歌も下手で、初夜の時には瑠璃から後朝の歌の心配をされるほど。
- 教育係でもある乳兄弟の兄・守弥に頭が上がらなかったが、瑠璃を認めない守弥に反発することもしばしば。
- 吉野君(よしののきみ)
- 瑠璃が吉野に住んでいた頃の幼馴染みで、瑠璃の初恋の人。
- 本人は知らなかったが、実は帝の息子、東宮の別腹の弟であった。東宮争いの陰謀に巻き込まれ父と対面するも、父帝に拒絶され出家、後に唯恵(ゆいけい)という名で後宮に出入りするようになる。
- 小萩(こはぎ)
- 瑠璃の側近の女房。瑠璃より2歳年上で独身。いつも瑠璃のことを心配しており、小言もずけずけ言うお姉さんタイプ。ややミーハー。
- 鷹男(たかお)
- 瑠璃がある事件で出会った公達。東宮の密命を請けて事件の解決に臨んでいたが、その正体は……。
- 藤宮(ふじのみや)
- 先帝の第八皇女。時の内大臣に降嫁するも、16歳で未亡人となる。東宮にとっては叔母、遠野宮の異母妹。
- 才色兼備の佳人として二条堀川邸で悠々自適な生活を送っている。ある事件をきっかけに瑠璃と親交を結ぶ。華やかな美人で明るく穏やかだが、東宮の隠密行動に手を貸したり瑠璃をからかったりと、洒落っ気のある性格である。
- 融(とおる)
- 瑠璃の同腹の弟、内大臣家の嫡男。初登場時15歳。
- 高彬の親友だが、お坊ちゃん気質のぼんくら。高嶺の花の藤宮に懸想するものの、求婚したり忍んでいく根性はなく、瑠璃曰く「情けない性格」。姉想い、友人想いの優しい気質の持ち主だが、それが空回りして事態を悪化させる浅はかさも同居している。
- 東宮/今上帝(宗平親王)
- 初登場時19歳。
- 東宮という身分にありながら、自ら陰謀を探るためにお忍びで暗躍するなど、才気煥発で行動力に溢れた青年。高彬が絶対の忠誠を誓っている。かなりのプレイボーイでもある。ある事件をきっかけに瑠璃に好意を寄せ、しばしば高彬と瑠璃の仲に波風を立てる。子供の頃は病弱であったため、当時庇ってくれた母親(大皇の宮)には帝になってからも頭が上がらない。
- 守弥(もりや)
- 高彬の乳兄弟(大江)の兄で、高彬の教育係。高彬より5歳年長。
- 右大臣家で家司を務め、主人や北の方などの内情にも詳しいため家内の影の実力者でもある。この世で一番大切なのは自分が育てた高彬であり、高彬を事件に巻き込んで失脚させた(とされている)瑠璃姫を敵視し嫉妬している。目的のためにさまざまな計略を立てる策謀家だが、詰めが甘いため、その策略は失敗することが多い。
- 煌姫(あきひめ)
- 水無瀬宮の姫君。両親が亡くなり、家財を騙し取られたため、日々の食事にも事欠くほど零落していた。美人だが、その生い立ちゆえ「人を見たら泥棒と思え」「うまい話にはウラがある」を信条とする超リアリスト。守弥の母の妹が乳母として仕えている。
- 守弥の策略により高彬の側室の座を狙うが失敗し、後に内大臣邸(瑠璃の家)に身を寄せる。瑠璃とは反目し合っていたが、互いの目的のため共闘する仲となる。
書誌情報
- コバルト文庫新装版
- イラスト:後藤星
- なんて素敵にジャパネスク 1999年4月1日刊行 ISBN 4-08-614568-5
- なんて素敵にジャパネスク2 1999年4月1日刊行 ISBN 4-08-614569-3
- ジャパネスク・アンコール! 1999年4月1日刊行 ISBN 4-08-614570-7
- 続ジャパネスク・アンコール! 1999年4月1日刊行 ISBN 4-08-614571-5
- なんて素敵にジャパネスク3 人妻編 1999年6月3日刊行 ISBN 4-08-614593-6
- なんて素敵にジャパネスク4 不倫編 1999年6月3日刊行 ISBN 4-08-614594-4
- なんて素敵にジャパネスク5 陰謀編 1999年7月23日刊行 ISBN 4-08-614615-0
- なんて素敵にジャパネスク6 後宮編 1999年7月23日刊行 ISBN 4-08-614616-9
- なんて素敵にジャパネスク7 逆襲編 1999年10月1日刊行 ISBN 4-08-614638-X
- なんて素敵にジャパネスク8 炎上編 1999年10月1日刊行 ISBN 4-08-614639-8
コミックス
小説が好評になり、同時期に山内直実作画による白泉社の少女漫画誌『花とゆめ』に漫画版も連載されるが、1990年代初期に原作小説版の中盤(瑠璃姫の結婚)あたりで終了。10年以上の時を経て、『花とゆめ』2004年12号より人妻編として月1回の連載が再開された。しかし全12回掲載されたところで(『花とゆめ』2005年12号まで)掲載誌が変わり、現在は『別冊花とゆめ』に連載中。前期に白泉社から出版されたコミックスは、単行本全11巻。その後文庫本全6巻、愛蔵版全7巻がいずれも白泉社から再版された(収録内容はどれもほぼ同じで、イラスト収録があるのとないものの違いのみ)。再開後の人妻編は、コミックス9巻までが出版されている。
単行本
- 白泉社花とゆめコミックス
- 1989年4月25日刊行 ISBN 4-592-11242-3
- 1989年9月25日刊行 ISBN 4-592-11243-1
- 1990年3月25日刊行 ISBN 4-592-11244-X
- 1990年8月25日刊行 ISBN 4-592-11245-8
- 1990年8月25日刊行 ISBN 4-592-11246-6
- 1991年5月25日刊行 ISBN 4-592-11247-4
- 1991年12月25日刊行 ISBN 4-592-11248-2
- 1992年5月25日刊行 ISBN 4-592-11249-0
- 1992年11月25日刊行 ISBN 4-592-11250-4
- 1993年3月25日刊行 ISBN 4-592-11258-X
- 1993年7月25日刊行 ISBN 4-592-11279-2
文庫本
- 白泉社文庫
- 1997年9月12日刊行 ISBN 4-592-88231-8
- 1997年9月12日刊行 ISBN 4-592-88232-6
- 1997年12月12日刊行 ISBN 4-592-88233-4
- 1997年12月12日刊行 ISBN 4-592-88234-2
- 1998年3月13日刊行 ISBN 4-592-88235-0
- 1998年3月13日刊行 ISBN 4-592-88236-9
愛蔵版
- 白泉社ジェッツコミックス
- 2004年6月29日刊行 ISBN 4-592-14211-X
- 2004年6月29日刊行 ISBN 4-592-14212-8
- 2004年7月29日刊行 ISBN 4-592-14213-6
- 2004年8月27日刊行 ISBN 4-592-14214-4
- 2004年9月29日刊行 ISBN 4-592-14215-2
- 2004年10月29日刊行 ISBN 4-592-14216-0
- 2004年11月29日刊行 ISBN 4-592-14217-9
人妻編
- 白泉社花とゆめコミックス
- 2005年1月19日刊行 ISBN 4-592-18211-1
- 2005年7月19日刊行 ISBN 4-592-18222-7
- 2006年2月17日刊行 ISBN 4-592-18223-5
- 2006年10月19日刊行 ISBN 4-592-18224-3
- 2007年7月19日刊行 ISBN 978-4-592-18225-2
- 2008年6月19日刊行 ISBN 978-4-592-18486-7
- 2008年11月19日刊行 ISBN 978-4-592-18487-4
- 2009年6月19日刊行 ISBN 978-4-592-18488-1
- 2010年1月19日刊行 ISBN 978-4-592-18489-8
イラスト集
- 山内直実『画集 なんて素敵にジャパネスク』(白泉社、1993年6月26日) ISBN 4-592-73110-7
ラジオドラマ
NHK-FM『ふたりの部屋』でラジオドラマ化された。1987年1月6日~17日(全10回)
- 出演者
- 瑠璃姫 - 小林聡美
- 高彬 - 坂上忍
テレビドラマ
1986年12月27日には日本テレビで富田靖子主演でテレビドラマ化された。
- 出演者
- 瑠璃姫 - 富田靖子
- 高彬 - 木村一八
- 鷹男の帝 - 仲村トオル
- 融 - 西川弘志
- 吉野の君 - 京本政樹
- 小萩 - 中田喜子
- 瑠璃姫の父(内大臣) - 石坂浩二
- プロデューサー:石坂浩二