ぼくんち/西原理恵子
著者: 西原理恵子
巻数: 3巻
最新刊『ぼくんち 3』
『ぼくんち』は、西原理恵子による漫画作品、およびそれを原作とする実写映画作品である。2010年には舞台化もされた。漫画は1995年から1998年にかけて小学館『ビッグコミックスピリッツ』に連載された。単行本はスピリッツとりあたまコミックスで全3巻。第43回文藝春秋漫画賞を受賞した。
概要
舞台となる水平島は、西原が幼少時に過ごした高知県高知市沿岸部の浦戸地区をモデルにしており、西原作品にはしばしば登場する。母子家庭の兄弟である一太と二太と、姉のかの子の生活を描く。母・今日子はなかなか帰って来ない。それでも、三兄弟姉妹は笑顔で過ごすのであった。
キャッチフレーズ:「シアワセって、どこにある?」
登場人物
- 一太
- 「ぼくんち」の長男。弟の二太をよく気にかけている。物語中で大きく成長し、逞しくも優しく成長していく。遺体処理などの汚れ仕事もこなせるものの、それを割り切れない青年に育っていく様子が描かれている。途中からこういちくんの元で働くようになり、多くのことを彼から学んでいく。
- 二太
- 「ぼくんち」の次男。無邪気な性格で、偏見を持たず心優しい。一太とは対照的に物語中であまり成長する描写は見られない。かの子と共に暮らし、町の人々を見つめていく。
- かの子
- 「お母ちゃん」が連れて帰ってきた「ぼくんち」の長女。ピンサロ嬢。兄弟二人を大切にしており、一家を取りまとめている。「泣くなら笑え」がモットー。一方で、二太にシモの話を平気でする一面も。物語冒頭では三人は初対面であるような描写がされているが、実際には全員で暮らしていた時期もあった。
- かあちゃん(今日子)
- 「ぼくんち」の母親。子どもはすべて父親が違う。かの子を連れて3年ぶりに「ぼくんち」に帰るが、その後家の権利書を持ち出して3人を捨て、新しい男の元に家出する。
- こういちくん
- 町で一番有名な不良。トルエンの小売りから注射器販売、ホテトルの手伝いに強盗など多くの"商売"をこなすが、根はお姉さん想いの優しい青年。母親を始め、その取り巻きのおばさんたちにはあまり手も出せず、弱い一面もある。父は働き者の漁師だった。著書『西原理恵子の人生一年生 2号』によると、後に西原が東京で出会うゲッツ板谷(本名が宏一である)がモデルとされている。
- こういちくんのお姉さん
- "暴力ホテトル"を1人でこなす、こういちくんの姉。夢は小さな南の無人島を買い、自給自足の生活をすること。こういちくんにとって無くてはならない存在である。
- さおりちゃん
- 二太の幼なじみ。父親から虐待されており、よく二太の家に泣いて逃げてきていたが、「よわねこ」を見届けて以来腹を決め、逆に父親の世話役になる。年齢の割りに性格は大人びていて、冷めた物言いをすることもある。
- さおりちゃんのとうちゃん
- さおりちゃんの父。組員ではなく、パートタイムのヤクザ。酒乱で、酒を飲むと暴力的になり、逆にシャブを打つと温厚になる。学生時代は覚せい剤を打って甲子園でホームランを打ったことがあるらしい。のちに「自分のシマ」を手に入れる。
- 鉄じい
- 金物を何でも買う老人。河川敷に洪水で流されてしまうような簡素な家に住んでいる(のちに引越し)。町の長老役で、物知り。「体があったまる」と醤油を飲んでいる。自分の家をブルトーザーで壊された事があるものの、その腹いせにブルドーザーを闇ブローカーに売り飛ばし、家を新築したりする等、作中では大胆で羽振りがいい人物である。
「ぼくんち」がある町
住民の多くが貧しく、山と海しかない田舎町とされている。子どもはいるが、学校に通うシーンなどは一切描かれていない。子どもたちの半分は非行に走り、もう半分は大人になるまでに亡くなるだろうと言われるほど、劣悪な環境で育っている。一方で、山の上には富裕層が住む一帯もあるらしく、一太と二太が歩いていける範囲に競艇場や新幹線の駅もあり、かの子達の新しい家がマンションであるなど、十分に開けた土地でもある。また、かの子の勤める店をはじめとした風俗店街もある。町には医者がいないので、住民の多くが体調が悪くとも我慢するとされているが、さおりちゃんのお父さんが死にかけて病院に運ばれていたり、同じくホームレスのとろちゃんも、老人専用の病院に入っていた。また、薬物中毒の少女が入院していたこともあった。詳しくは出てこないが、作者西原理恵子が幼少時に過ごした高知県高知市の某地区の可能性が考えられる。
実写映画版
2003年4月公開。主なロケ地は舞鶴。
- 制作総指揮:三宅澄二 畑利明
- エクゼクティブプロデューサー:横濱豊行(オメガ・ミコット)、眞澤洋士(東映京都撮影所)、亀井修(小学館)、石川富康(衛星劇場)、木綿克己(テレビ東京)、青山悌三(エフエム東京)、豊島雅郎(アスミック・エースエンタテインメント)
- プロデューサー:塚田有希(東映)、妹尾啓太(東映京都撮影所)
- 共同プロデューサー:渡邉直子(オメガ・ミコット)、石川博(テレビ東京)、柘植靖司(アスミック・エースエンタテインメント)
- 原案協力:八巻和弘(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」編集部)
- 企画制作協力:椎井友紀子(キノ)
- 監督:阪本順治
- 脚本:宇野イサム
- 音楽プロデューサー:谷奥孝司(ミリカ・ミュージック)
- 音楽:はじめにきよし
- 制作:東映京都撮影所
キャスト
- かの子:観月ありさ
- 一太:矢本悠馬
- 二太:田中優貴
- コウイチ: 真木蔵人
- 今日子:鳳蘭
- 末吉まもる:岸部一徳
- 鉄じい:志賀勝
- 猫ばあ:新屋英子
- ピンサロの女:西原理恵子
- 安藤:今田耕司
- ツレちゃん:濱口優
- まゆ:氏家恵
- ボートの老人:笑福亭松之助
- じっちゃん:南方英二
- 床屋:福本清三
- じゅん子:久保田磨希
主題歌
- ガガガSP「卒業」
挿入歌
- 大西ユカリと新世界「ナンキバウンド」
- KAJA&JAMMIN'「DOWN&FLY」「DON'T STOP THE MUSIC」「RUNNIN'」
「ぼくんち」フィルムパートナーズ
- オメガ・ミコット(宮崎大)
- 東映京都撮影所(奈村協)
- 小学館(植田文郎 長谷川一 高橋功 黒木重昭 小林慎一郎 志波秀宇 水野麻紀子 神村正樹 山下暉人 勝山健晴 佐藤敏章 庄野美穂子)
- 衛星劇場(秋元一孝)
- テレビ東京(松迫由香子 谷真輝)
- TOKYO FM(古川一博)
- アスミック・エースエンタテインメント(石橋隆文 今村景子)
舞台
"STRAYDOG" Presents #20として上演(2010年9月28日 - 10月3日、テアトルBONBON)
キャスト
- 小野晴子
- 森田涼花
- 柴田明良
- 森田亜紀
- 佐藤仁
- 岡田愛美
- 真凛
リンク
くんち category:ビッグコミックスピリッツ category:日本の映画作品 category:漫画が原作の映画作品