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むこうぶち/天獅子悦也

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著者: 天獅子悦也
巻数: 33巻

天獅子悦也の新刊
むこうぶちの新刊

最新刊『むこうぶち 33


出版社: 竹書房
シリーズ: 近代麻雀コミックス


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

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むこうぶちの既刊

名前発売年月
むこうぶち 第1巻 2000-12
むこうぶち 第2巻 2000-12
むこうぶち 第3巻 2001-04
むこうぶち 第4巻 2001-09
むこうぶち 第5巻 2002-02
むこうぶち 第6巻 2002-07
むこうぶち 第7巻 2002-11
むこうぶち 第8巻 2003-03
むこうぶち 第9巻 2003-07
むこうぶち 第10巻 2003-12
むこうぶち 第11巻 2004-05
むこうぶち 第12巻 2004-08
むこうぶち 第13巻 2005-01
むこうぶち 第14巻 2005-06
むこうぶち 第15巻 2005-11
むこうぶち 第16巻 2006-03
むこうぶち 第17巻 2006-09
むこうぶち 第18巻 2007-01
むこうぶち 第19巻 2007-06
むこうぶち 第20巻 2007-09
むこうぶち 第21巻 2008-04
むこうぶち 第22巻 2008-08
むこうぶち 第23巻 2008-12
むこうぶち 第24巻 2009-05
むこうぶち 第25巻 2009-08
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むこうぶち 高レート裏麻雀列伝』(むこうぶち こうレートうらマージャンれつでん)は、漫画:天獅子悦也、協力:安藤満(安藤満逝去後はケネス徳田が闘牌協力)による日本の漫画作品。『近代麻雀』(竹書房)にて連載中。2010年7月現在、単行本は27巻まで刊行中。コンビニ版総集編『麻雀破壊神・傀』(VS水原祐太「奈落に落ちるエリート麻雀プロ」編・VS江崎編・VS日蔭「氷の打牌」編・VS上野の秀「地獄の赤牌」編・「仁義なき御無礼」編)も発売された。

概要

  • 麻雀プロであり、1980年代の賭け麻雀事情にも詳しい安藤の見聞をもとに描かれた作品。高レート麻雀に集う人々の内面を力強く描いている。相手に決定的な敗北を告げる時に傀が口にする「御無礼」という台詞は、麻雀好きの間でちょっとした流行語になっている。
  • いわゆる「麻雀劇画」が一般的には「麻雀で勝った者の勝者のストーリー」であるのに対して、この「むこうぶち」は「傀と麻雀して負けた者」を描いた「敗者のストーリー」である点が画期的であった。その意味で本作品の本当の主人公は、さまざまな理由で高レート麻雀の卓に着き、傀に敗れていく者たちであると言える。直接的な比較は難しいが、ちょうど『ゴルゴ13』が長年愛読されているのと似た構造になっている。この本作品独特の視点と合わせて、高度な作画力と闘牌シーンで2000年代を代表する麻雀劇画となった。
  • DVD映画化されている。
  • ニンテンドーDSとプレイステーション2でゲーム化もされている。

ストーリー

「むこうぶち」――それは誰とも組まず、何処にも属さない一匹狼。誰も何も必要無い、真のギャンブラー。

バブル経済が頂点に差し掛かりつつあった1980年代の東京。市中の雀荘に飽き足らず、1000点1000円、あるいはそれ以上の高レートで行う賭け麻雀に走る人たち。その中に一人の男が現れた。一見優男。しかし、彼に狙われた者は、この言葉と共に、獣に食い殺されるが如く敗れ去るのみ-「御無礼」。

決して己の内面を見せず、その強さ鬼の如し。男の名は「傀」。

登場人物

主人公と関係者

傀(カイ)
魔物じみた強さを持つ謎の麻雀打ち。どこからともなく雀荘(高レートが多い)に現れる。卓に座った瞬間に敗者を見抜き、彼に「御無礼」を言われた対戦相手は必ず負ける。
本名、出身、住所一切不明。「傀」という名前は「人鬼」から来ている。常に丁寧な物腰で決して声を荒げたり暴力を振るったりすることはないが、容赦なく対戦相手から金を毟り取るため「暴虎」の異名を持つ。一匹狼の真のギャンブラーを意味する、「むこうぶち」の名で呼ばれることもある。
極端に無口で表情に乏しいため一見冷静沈着に見えるが、傲慢な相手やイカサマをする相手は率先して潰す。特に、イカサマを見破っている事をこれ見よがしに打ち筋で相手に伝えたり、相手の待ちスレスレの牌を連打するなどの行為から、印象よりは感情の起伏があると思われる。特に、ニヤリとニヒルな笑みを浮かべるシーンは非常に多い。また、たまにではあるが、相手を言葉で挑発して勝負に乗せる事もある。一方で、麻雀に真摯で腕も立つ者や、欲望に取り付かれず引き際を知る者を、追いかけてまで殺そうとはしないなど、彼なりの美意識を持っている事も伺わせる。
主人公というわけではなく、各話に出てくるゲストキャラ(これが主人公にあたる)の対局相手として登場する(はじめの話で出てきた水原祐太のように彼と対局しないパターンもあり)。『笑ゥせぇるすまん』でいう喪黒福造のような存在。
雀風は特に固定されておらず、自由自在。鬼ツモや御都合的な役満、イカサマを使っているわけではなく、一回戦落としてでも相手の戦術やイカサマを見抜き、それを逆手にとってトータル収支で勝つパターンが多い(ノーテンリーチなど強引なことをする事はある)。初めのうちは負けておいて、レートやビンタを吊り上げてから逆転して有り金を奪いつくすのが常套パターン。相手の運を奪い、自分の流れを掴むまでのパターンは様々だが、一旦自分が優勢と見るや徹底的に攻め続け、一気呵成に叩き潰す。
その猛攻の中でも特に傀の代名詞的なものになっているのが、牌の流れを正確に読んでのロン牌見逃し後の一発ツモである。
相手のクビを切る(相手の点数を25000点未満にし、自分の収益を増やす)ためにオーラスのトップ親で連荘することすらある。
単純に麻雀が強いだけではなく、自動卓から発せられる異音を察知して卓に改造が施されていることを完全に見抜き、複雑な通し(コンビ打ちの際に用いる特有の合図)をすぐに解読したりなど、頭の切れそのものが常人離れしている。
麻雀以外では中国麻雀(麻将)に関する知識も深いらしく、21巻では中国人の張(チャン)相手にわざわざ中国麻雀の役(当然日本の麻雀にはそれらの役はないので、実際には単なるトイトイのみなどの安い手であることが多かった)で圧倒した。また、安永に案内されて地下カジノでトランプゲームのバカラをしたこともあり、麻雀と同様の鋭い読みを見せている。
対戦相手を待つ間には英字新聞(誌名不明)、ルモンド(仏語版)、ロシア語新聞(誌名不明)など様々なものを読んでいる。このことから傀の学識の広さが伺え、フィリピン語を理解していることを示す場面もある。
対戦相手は彼との対戦によって、人生に多かれ少なかれ影響を与える。全てを失う者もいれば、大切な何かを見つける者もいる。
大概は雀荘「東空紅」に現れる。都内の高レート雀荘に出没しているが、その打ち筋ゆえに客を殺してしまう(有り金を根こそぎ奪う=破滅させるという意味、直接殺してしまう事は無い)ため、高レートの店主には彼を恐れている人間もいる(出入り禁止としている処もあるらしい)。
高レートの場に現れているが、求めているのは大金ではなく強者との勝負。ゆえに安永などにそれらの存在を聞かされては足を運ぶケースもある。
タネ銭は帯封のまま紙袋に入れるなどして無造作に持ち込む(数百万から数千万)。勝ちで得た金は、作中で明示されている分だけで数億円に及ぶが、彼がその金で物を買うシーンは無い。金の行方は不明だが、一度だけ描写された時には駅のコインロッカーにしまっていた。ただし、明らかに銀行から引き出してきたと思われる封のされた新札の束を取り出す場面もあった(第2巻)。
そもそも彼は金そのものには一切興味が無いらしく、第2巻では普通に戦えば最低でも数百万は勝てる可能性があるところを、5分の条件に持ち込み相手を確実に負かすためにわざわざ1000円だけの収益にとどめた。
「傀は相手の敗北する姿が見たいのだ」とは作中でも言われている。
傀と複数回戦う人物は何人か居り、久しぶりに彼と会った者は「傀は自分のことを覚えているのか?」と考えることがある。
しかし第24巻にて、第2巻(作中でも24巻の数年前の時代)に登場した勝田のことを覚えていると思しき発言をしたため、彼は今まで対戦した相手の詳細は記憶している可能性がある。
生活観や人間らしさが全く無いとは作中でも言われており、服装もいつも殆ど同じである(ただのシャツであったりジャケットを羽織っていたりなどの違いはあるが、殆どの場合上下とも黒の服を着ている)。
ただし、喫煙というある意味かなり人間らしい習慣を持っている。
及川勝依(おいかわ かつより)
大企業の会長(作中では「社長」と呼ばれる)にして相撲部屋「伯洲部屋」のタニマチ。裏では政界のフィクサーとも噂される。軍隊時代は少尉の地位にあった人物で、当時の部下とは年に一度の戦友会を行う。作中、傀とコンタクトを取れる数少ない人物のようで、傀の闘牌に魅せられている。大勝負見たさに傀を招き、負け分を立て替えても笑って済ませる大物。

水原裕太と関係者

水原祐太(みずはら ゆうた)
元競技麻雀プロの青年。第一話で安永と対戦し、競技麻雀で優勝を収めるも納得のいかない勝ち方をしてしまう(トップ目から安永の見逃し山越の親倍に振りこんでしまうが、それを他家の頭ハネで命拾いして優勝を拾った)。その後安永に「東空紅」に連れて来られ、そこで傀の麻雀を見て衝撃をうける。それ以降「東空紅」へ通い、彼の強さの秘密を探ろうとする。「東空紅」ルール(東風戦アリス)での勝ち方を見つけ、勝負に勝つようになる。が、その直後忽然と安永の前から消息を絶ち、長い間行方不明だった。
13巻で大阪・九州に行き、代打ちになっていたことが判明。風貌も性格も大きく変化した。東京に戻り安永と再会し、傀と戦うこととなる。西日本仕込の完先麻雀で手役確定思考が強かった。しかし傀に弱点を突かれて翻弄されるも、自分の打ち方を対局の中で進化させていった。
代打ちで培った雀力は傀も認めたらしく、傀に対局後「…名は?」「…水原祐太。」と名前を尋ねられた作中唯一の人間である。
さらに20巻での傀、安永、友人のジョージとの激闘ののちに、ジョージとともに日本全国を巡り麻雀を打つ旅打ちに出た。
面前派であるため鳴き麻雀が苦手であったが、傀、安永、ジョージ、日蔭など様々な強敵との対戦を重ねるごとに、その弱点は徐々に克服されており、今なお進化し続けている。
また、集中が極限に達した時、傀がいないにも関わらず「ああ…人鬼はそう打つのか…」と傀の手筋の幻を見るなど、「むこうぶち」に近づきつつある。
日蔭との対局中にも、「傀さんのように打っているんだ」と述べる場面があり、傀を強く意識し、目標としていることが感じ取れる。
また、この作品ではほぼ全ての話に傀が登場するが、稀に傀がまったく登場しない回もあり、その場合は話の中心には必ず水原祐太が存在している。
このことからも、この作品において祐太がかなり特殊な存在であることが解かり、本作のもう一人の主人公とも言うべき存在である。
旅打ちの中、傀の立つ「むこうぶち」を目指す。
条二(じょーじ)
ごつい体格と坊主頭が特徴の青年。打ち子をして稼いでいたが水原祐太と友人になったことがきっかけで傀と対戦し敗北、祐太と二人旅打ちに出る。雀風は鳴き麻雀一筋だが安易な速攻ではなく、プレッシャーを与える鳴きで相手の足を止め高い手作りをする重厚な打ち筋。
左手マヒの麻雀狂や流浪の裏プロ・日陰との邂逅を経て打ち手としての「線引き」を考えるようになり、傀の領域を目指して一線を越えていこうとする祐太を見送る。

プロ雀士

安永萬(やすなが ばん)
表と裏の世界を行き来するプロ雀士。作品中、傀の次に登場回数が多い。初登場時は五段だったが、のちに六段に上がった。過去、初めて傀と対決した際、「単に沈まないだけ」と評され、それ以降二着をキープする雀風になってしまった。
傀の強さについて研究し、秘密を探ろうとする。しかし傀に肉薄する打ち手の心の闇を知る都度、自分に欠けているものがあると思い知らされる。
雀力はプロ雀士としては強いが、傀には及ばない。一方で傀を意識する余り、表プロの闘牌ではここぞという時に勝ちきれない弱点を持つ。
全雀連に属し、理事として若手プロ雀士の育成に努めている(25巻現在六段)。表では意志を持った面前志向の打牌を通し、「メンチンの安永」の異名とともに慕う者も多い。見込まれた若手は伸びるが、睨まれた若手は長続きできないらしい。若手プロが一人前になれるかどうかの試金石として、あえて傀と戦わせる事もある。
裏では高レート雀荘で金を稼いでいる。こちらでは鳴きも存分に使う。二着狙いの闘牌が結果として大勝を避け、店からも客からも嫌われていない。
都内雀荘において顔が広いため、賭場荒らしが現れた時などに相談役を頼まれる場合がある。自身でも倒せないほどの相手に対しては、傀をぶつけたりもする。
裏において傀と同卓する機会が多いため、しばしば傀のメッセンジャーと思われているが、彼自身も傀と直接連絡を取れるわけでは無い。雀荘にあらかじめ連絡をとって、傀が現れたという店に安永自身が足を運んで用件を伝えている(それでも傀が来るかどうかは傀自身の意思による)。
多河巧典(たがわ よしのり)
元暴走族の安永の後輩。漢字が苦手。だが真面目な性格で、安永を慕っている。傀との対戦以降、登場ごとに雀力が付き強くなっている。若手プロ中心の有志団体「青龍會」の指導者的立場。
傀を知ってからは彼の強さを目指すようになり、幾度かの対局の中では読み合いの末に傀に直撃を当てるまでになり、傀も満足げだった。
樹村潤子(きむら じゅんこ)
全雀連所属の女流プロ。プロ雀士としてタイトルも持っているが、かつては効率打法と勘麻雀を併せたような、説明不能の打ち筋だった。安永の引き合わせで傀と戦い、敗れたものの自分のスタイル「すっぴん打法」に目覚める。以来プロとして活躍しているが、裏の猛者と戦うにはまだまだ力不足。現在はOLとの兼業からプロ一本に転進。
藤永太郎(ふじなが たろう)
全雀連所属のプロ雀士で、「青龍會」の中核的存在。効率打法を得意としているが、闘牌レベルは安永や多河のそれより数段劣る。傀との初対戦では呆気なく負けたが、本人は傀の闘牌の凄さに気付かず「効率を無視したツキ野郎」と思っていた。ところが19巻では一転して傀を「さん」付けの敬称で呼び、その次の登場21巻では傀を日本代表と例える場面が何度もあった。藤永の傀に対する考えがこのように反転した理由や描写は一切無く、謎に包まれている。その後もちょくちょく登場しては、他エピソードで傀と対戦する敵手に翻弄される役回りを背負っている。
張(チャン)
雀荘で働く中国人。中国麻雀で鍛えられた巧みな鳴きを駆使しての素早いアガリを得意としており、プロ雀士の藤永を圧倒した。その後傀と対戦し敗れるものの藤永から腕を見込まれ、青龍會に誘われる。洞察力が鋭く、他人が雀荘で打った時の話を聞いただけでその雀荘に仕掛けられていたイカサマのカラクリを見抜いたりもしている。
鉈切初男(なたぎり はつお)
全雀連所属だったが、織田・高山らを巻き込みクーデターを起こす。タイトル戦の決勝卓で安永包囲網を敷くも、前夜に傀と打ち勘を研ぎ澄ませた安永に逆転勝ちを許してしまう。その後傀とも同卓し、手痛い敗北を喫する。現在は東北地方を中心に活動するプロ団体「アックスボンバー」の主催者。
織田(おだ)
全雀連所属のプロ雀士。実家は会社を経営しており、所謂ボンボンである。名声欲しさに同じプロの佐藤を引き込み、イカサマを使って優勝をかすめ取った。それに怒りを覚えた安永は、彼らを高レート雀荘で傀と戦わせることにした。
自惚れ屋で、安永を「過去の人物」と見下す一方、自身はすぐばれる様なイカサマばかり繰り返す。安永いわく「プロとしても人間としてもまがいもの」。案の定負け続け、佐藤は途中で返されたが、大量の小切手を持っていた彼は返してもらえなかった。
その後再び登場し、安永と敵対する。

三橋秀俊(みつはし ひでとし)
「上野(ノガミ)の秀」の異名をとる赤ドラ麻雀専門の有名な裏プロ。幾度か傀と対戦する。機嫌が良いと歌い出す癖がある。
中古品屋を副業としていたが実際は窃盗犯。傀に負けた夜に逮捕され執行猶予の判決が出た。拘置所を出た後も、安永を通じて傀にリベンジを挑んだり、チップ麻雀の時に偶然傀に出会って勝負したりとたびたび登場している。傀の麻雀を研究しており、傀を彼なりに認め、尊敬してもいる。傀と共闘?した事も。
安永にとっては己の暗黒面のような存在。「表に未練がなかったらアイツみたいになっていた」と言わしめている。安永とは対立しているものの奇妙にウマが合い、そのやり取りはまるで掛け合い漫才のよう。
15、16巻で森江とのチップ麻雀に大苦戦しているところにも傀が現れ、そこで傀を利用し浮きの2着をかすめ取った。
しかし、「この勝ち方は確かに屈辱的だ、安永もこんな気分を味わっていたのか」と落ち込み、傀を追いかけ2着を狙うことはもうしなかった。
高レート雀荘の指南役として生きる道を選ぶ。
巫藍子(かんなぎ あいこ)
裏カジノの女ディーラー。「キラークイーン」と呼ばれている。興味のない人間には声をかけられても無視するなど冷たく傲慢な性格。過去の交通事故で足が不自由なため車椅子に乗っている。場の流れを読むことに秀でている。
傀に勝負を挑むも傀に「当たる価値が無い」とロン牌をスルーされ、相手にされないことに動揺し、流れを奪われ、最後にやっと相手にされ、喜んで負けてしまう。これは巫に限らず、傀と戦った女性雀士には多い負け方。
これ以降彼女は傀に夢中になってしまい、16巻で再会し、勝負を挑んだ。
流れ読みの鋭さが前回の対戦よりも鮮明に描写され、傀とほぼ互角に渡り合えるほどの力を持っていることが解かる。
この対局中、巫は常に傀の手を完全に読みきっていたものの、
同席していた安永や彼女の父のせいで傀にアガられてしまうという場面が何度もあった。
江崎や水原裕太と並んで、作中でもトップクラスの強さを持っている。
日蔭(ひかげ)
裏プロ。「氷の男」と呼ばれている。麻雀渡世で地方や東京を巡行し、ホテル暮らし。能面のように無表情でいることが多い。冷静で効率重視の打法をする。
傀に自分と同じ匂いを感じ取り、勝負を挑むも勝負の最中、自分のホテルが火災に遭っていることが分かって動揺し、最後は冷静さを欠いて大敗を喫し、麻雀の負けとホテルの火災で何もかも失う事となる。
その後再び東京に姿を現して裏で遭遇した樹村潤子プロを下すが、又もや傀と遭遇し、大敗こそしなかったが獲物を傀に横取りされる事になる。
更にその後、地方を巡行中に水原祐太と遭遇し、雀荘で勝負をすることになる。
再登場の度に確実に実力を上げているが、傀との戦いはかなりのトラウマになっている様子。
勝田(かつた)
裏プロ。茨城では無敵の腕で、高レートの雀荘を荒らしまわった茨城ナマリのチーム「水戸グループ」の兄貴分。
剛腕麻雀の打ち手だったが、傀に通しを見破られた上に大敗を喫し、「マイナス千円の価値の男」と評されて自信を失った。
その後新しい舎弟分を引き連れて再登場し、以前よりも慎重な打ち筋を見せたが、またしても傀に敗れ、「今度はマイナス一万円」と見下された上に、舎弟分も離れていってしまった。

東空紅

河田(かわだ)
赤坂の雀荘「東空紅」のマスター。かつて「東空紅」は高レートも手がけていたが、好景気によるマンション麻雀の台頭で現在はアリス麻雀による低風速の道を選んだ。高レートで有名な傀や安永が、そんな自分の店を今でも贔屓にしてくれる事を「雀荘冥利」と喜んでいる。物言いがやや文学系チック。
上島(うえしま)
「東空紅」の常連客で、本職はインテリアデザイナー。オカマのような口調で話すことが多い。マスター曰く「遊びがキレイ」で、一見の客も生かさず殺さずの闘牌で常連客に引き上げる凄腕。店で傀とは何度も対戦しているが、その打ち筋ゆえに決定的な負けを喫した事は無い実力者。
香港へ旅立ち、二度と傀と打つことは無いと残念がっていた。

企業家・フィクサー

劉(ラウ)
裏社会にも名の通った華僑の大物。自分のマンションで1000万単位の現金を動かす超々高レートの卓を立てている。同卓しては振らずあがらずの見物麻雀を行うが、その真意は弱者が破滅する瞬間を見届けたいため。一方で本気になった時の戦法として、罠を掛ける戦いを得意とする。江崎を一度は破滅させ、密入国船に送りこんだ人物。実力は未知数だが、少なくとも乾よりは圧倒的に上手。
乾(いぬい)
証券会社を経営する社長。劉の主催する高レート卓のメンバー。第4巻で初登場した時には劉と同様の見物麻雀を行い、「自分は銭金や勝負には退屈している」と述べて江崎の破滅を楽しんでいた。しかし第11巻で再登場したときには一転して江崎と傀の勝負から漁夫の利をせしめようと参戦し、逆に他の参加者達から破滅に追い込まれた。初期の江崎よりも腕は上のようで決してヘボではないと思われるが、復活後の江崎や劉、傀といった面々と比較すると流石に見劣りするようである。
鉢黒剛毅(はちぐろ ごうき)
「保守党の裏番頭」と呼ばれる右翼の大物。巫藍子の父。血を分けた子に自分の後を継がせたいと巫を庇護下に置いてきたが、自由を望む巫と傀・安永を交えて麻雀勝負を行った。打ち手としては大物らしい強運を武器としている。及川老とも知己。
小暮幸男(こぐれ ゆきお)
米穀商。高利の闇金融に手を出してしまい、なけなしの現金を持って高レートで一発逆転を図るも傀に遭遇して無残に刈られてしまい、金融屋にウルトラCでツメられてしまった不遇な登場人物第1号。特に悪人という訳でも闘牌が強い訳でもないのに、傀と同卓したばかりに全てを失った。見事な負けっぷりと傀に無心してあっさりと断られる等の往生際が悪い。
佐野(さの)
町工場の社長。かつては麻雀で食っていた剛運の打ち手だったようだが、所帯を持って守るべき家庭を作ったことで勝負運を失った。にもかかわらず麻雀をやめなかったために負けが込み、無尽やトイチ、手形などで金策をしなければならないほど追い詰められていた。最後は傀に遭遇してとどめの大敗を喫し、自殺して自分の死亡保険金で手形の代金を返済することとなった。歴代の登場人物の中でも結末の悲惨さは屈指。

その他

江崎(えさき)
悪徳不動産屋。傀の捨牌読みに自信を持ち高レートに連れて行くが敗北。
その後、傀に麻雀で復讐することを支えに3年間密入国船で働き、借金を返して傀に再挑戦する。地獄のような環境を生き延びて身に付けた捨牌・流れ読みの実力は傀にすら匹敵すると思われる。再戦の為の軍資金稼ぎの途中で多河とも戦ったがあっさりと勝利しており、彼からも「まるで傀と戦っているようだ」と評されている。
速攻で鳴き(チー)をする時に「チィ!」と唇を尖らせて独特の発声をすることがある。
本人も作中で何度も言っている通り、運(ツキ)の無さが弱点だが、それを除けば復活した後の実力は「むこうぶち」中でもトップクラスの実力だと思われる。
なお、江崎を主人公とした『むこうぶち外伝 EZAKI』がある。飄々とした性格や圧倒的な強さなど、作中でもファン人気の高い人物。
後堂(うしろどう)
倉庫会社社長の娯楽担当秘書。当初は傍観者として卓の傍に立ちつつ社長をサポートしていたが、途中から麻雀に参加する。傀に不覚をとったことから会社をクビになるが、その場で得た退職金5千万円を使ってさらに勝負を続け、体勢を立て直して傀と渡り合った。その実力を居合わせた江崎に見込まれ、勝負を中断した後場を変えて今度は劉・江崎・傀と卓を囲んで戦う。彼らには今一歩及ばず最終的には退職金を10分の1以下にまで減らしてしまうが、その実力と引き際を誤まらず破滅を逃れた判断力は劉や江崎にも高く評価された。しかし、傀だけは「引き際を誤りましたね」と発言しており、おそらく後堂が「高レートの魅力に取りつかれてしまった」ことに対しての言葉だと思われる。
手積み卓の番人(てづみたくのばんにん)
サービスエリアに駐車した保冷車の荷台で賭け麻雀を開帳する老人。玄人(バイニン)の技術と映像記憶の異能によって無敵の自信を得るに至ったが全自動卓の登場により表舞台へ出ることはできなかった。手積み卓使用・実質イカサマ容認のルールのもと「麻雀狂最後の砦」を守っていたが、傀が現れたことでついに全力を尽くしての勝負をする機会を得る。
片マヒのおっさん(かたまひのおっさん)
保冷車麻雀の常連。左手芸を得意とする凄腕だが、胴元の老人に言わせれば「半素人」。傀と老人の勝負に巻き込まれ病院送りとなる。このため左手麻痺の後遺症を負うが麻雀を止めることはできず、郷里の温泉街で打っているところに旅打ちで訪れた祐太たちと対戦。ジョージに麻雀における強者の生き方を説いた。

実写映画