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アンラッキーヤングメン/藤原カムイ

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著者: 藤原カムイ
巻数: 2巻

藤原カムイの新刊
アンラッキーヤングメンの新刊

最新刊『アンラッキーヤングメン 2


出版社: 角川書店
シリーズ: 単行本コミックス


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

hiramekimanga RT @manaview: 『除染と除霊』がタイトルじゃなくて『Young,Alive,in Love』って『アンラッキーヤングメン』的な気が! RT @DBP65 よろしくですっ RT @jumpkai: 【新連載!】西島先生の新連載が明日10日発売のジャンプ改7号で始 ...
kitsunetsuka 藤原カムイさんの「アンラッキーヤングメン」 #好きなんだけどなかなか同士がいない漫画
kitsunetsuka 藤原カムイさん『アンラッキーヤングメン』 #周りに読んでるひとがいないけど好きな漫画

アンラッキーヤングメンの既刊

名前発売年月
アンラッキーヤングメン 1 2007-07
アンラッキーヤングメン 2 2007-07

アンラッキーヤングメン』は、原作:大塚英志、作画:藤原カムイによる日本の漫画作品。雑誌『野性時代』(角川書店)にて、2004年から2006年にかけて連載され、角川書店から単行本全2巻が出版されている。帯のキャッチコピーは“オレたち ついてない”。

概要

1968年の学生運動真っ只中の東京が舞台であり、連続射殺魔事件・連合赤軍・三億円事件・盾の会事件等の実際にあった事件が互いにリンクし、永山則夫・北野武・永田洋子・三島由紀夫・平塚八兵衛・奥崎謙三等の実在した人物をモデルにしたと思われるキャラクターが登場するなど、原作者・大塚英志の得意とする偽史的な手法で描かれた作品である。


各章のタイトルを初めとする至るところに、石川啄木の短歌や詩が引用されており、本作品独特の淡々とした空気を形作っているほか、大江健三郎の小説(「性的人間」「われらの時代」)や、三島由紀夫や中上健次をモデルにしたと思われるキャラクターが登場するなど、原作者の近代日本文学への深い造詣が読み取れる。

『このマンガを読め!2008』の第8位にランクインした。

あらすじ

1968年、日本が学生運動の渦中にあり、一番熱かった時代。中学卒業後、青森から上京し盗んだ拳銃で4人を殺している連続射殺魔のN、学生運動から逃げ出して売れない漫才師をしながら映画の製作を夢見るT、薬学部の学生で革命に情熱を燃やすも原爆病に蝕まれつつあるヨーコの3人は、新宿のジャズ喫茶、『ビレッジ・バンガード』で出会った。時代の熱い空気に流されるまま日々を過ごし、ただ大人になりきれずにいた彼らは、Tが書いた映画脚本『アンラッキーヤングメン』をもとに現金輸送車を襲撃する計画を立てる。警察官の息子で同性愛者の薫が仲間に入ったり、ヨーコが学生運動の仲間のKに強姦され、精神のバランスを崩していくなど、紆余曲折ありながら、3人は計画を実行。シナリオどおり3億円を手にしたのだが……。

登場人物

※明らかに実在の人物をモデルとしたと思われるキャラクターが多数登場するが、登場人物の役回りは実際とは微妙に変更されている。モデルとなったと思われる人物についてはリンク先を参照されたい。

アンラッキーヤングメン

N
『ビレッジ・バンガード』のボーイにして連続射殺魔。20歳前後、青森出身。優男で、すぐに謝る癖がある。渡米することを夢に集団就職で上京するも、就職したフルーツ・パーラーを無断で辞め、在日米軍基地に忍び込んだ際に盗んだ拳銃で、これまでに4人を無差別に射殺した。その後、雇われたジャズ喫茶、『ビレッジ・バンガード』でTやケーコらと出会う。女にはもてるらしく、何人かの女友達はいるが、結婚するまではしないと決めている。アパートで元同僚のケイコと同棲していたが、後にヨーコと同棲する。生まれは網走番外地で、母親のことは思い出したくない様子。Tの書いた映画に出演依頼をされたのがきっかけで、現金強奪事件に参加。
T
『ビレッジ・バンガード』のボーイ。23歳前後、東京荒川出身。丸いサングラスを常に掛けている。X大学で学生運動に身を置いていたが、友人に対する総括(リンチ)などからその恐ろしさを知り、逃げ出すように大学を中退。年増の女のヒモをしつつ売れない漫才師をしていたが、Nのアパートに転がり込む。映画監督を志望しており、映画の脚本を書き溜めているが、脚本の不十分さや、カメラが無いことなどを口実に、映画の撮影を先延ばしにしてきた。最終的に、彼が書き上げた脚本『アンラッキーヤングメン』を基にして現金強奪事件が計画される。かつてヨーコとは付き合っていたらしい。
ヨーコ(洋子)
フルネームは山本洋子。23歳。大学の薬学部に籍を置きながら、学生運動に身を投じている。母親の胎内にいた時、広島の原爆によって被爆し、そのため自分はすぐ死ぬと決め込んでいる。Nと同じく、結婚するまで寝ない主義だった。かつてTとは付き合っていたらしい。
Kのセックスフレンドのゲイボーイ。感化院から脱走してきた後、Kの家に情夫として転がり込むが、追い出され、男の家を転々としている。今まで数々の不祥事を起こしてきたらしいが、交通機動隊の警察官である父親によって隠蔽され匿われてきた。Tの現金強奪計画を聞いて参加することになり、親の制服を盗んでくる。
ケイコ
Nの同棲相手。フルネームは川田恵子。長野県松本市出身。Nと同じフルーツ・パーラーで働いていた頃から付き合っている。Nの優柔不断な態度に不満を持ちつつも、彼のことを好いている。Nがヨーコに惹かれていく事を知り、親の借金を契機に田舎へ帰る。

学生運動家

K
S大学の学生運動家。仲間内では日本のレーニンと呼ばれている。ヨーコ(洋子)と革命を企てようとしていたが、本気で革命を起こす気は無く、金の為なら権力と平気でつるむ。各大学のセクトと離合集散を繰り返した結果、現在は神奈川左派と提携している。女が男の共有物でありそれが共産主義である、との持論からセクトの女の半分を手篭めにしている。薫のような男とも寝る。
ヨーコ(陽子)
白百合高校の女子高生。今まで親や教師を自分の思う通りにしてきた、まるで女王のような性格の美少女で、平気で人を殺したり女を犯させたり出来る。Nだけが自分の言いなりにならないことに苛立つ。自分と寝てくれないNに見せ付けるかのようにTと寝たりKと付き合ったりするが、その女王のような性格からKの所属するセクトの中心人物へと成り上がる。
足塚
S大学の学生運動家。映画批評誌『映画戦線』で映画批評を行いつつ映画監督を行う。ヨーコ(陽子)を主演に、少女が青春を革命にかけるドキュメンタリー映画を撮ろうとしている。常に物事から一歩引いた視点に立っている。
S
Kのセクトのメンバー。いつも人民服を着ている内気な青年。Kの命令でヨーコ(洋子)を強姦するが、責任を感じ、ヨーコに付き従うようになる。

その他

M
有名な作家。夜中の神社でN達の前に現われる。Nのことを、そいつを殺せば世界が変えられる人間を選んで殺すテロリストである、と表現し、Nに握手を求める。自分が銃を取ればそれが純粋でなくなることや、殺せば世界を変えられる人間が誰か見当が付かないことを、自らの不幸であると嘆く。私兵集団である『愛国防衛隊』を結成している。自らを男色の持ち主であると語っている。
七生
Mの付き人にして、愛国防衛隊の隊員。丸坊主で学ランを着用している体育会系風の大学生。敗戦の前日に生まれたことから「七生報国」から名前を付けられた。人を殺す大儀、そして自分が死ぬ大義を求めて、人を殺すことがどういうことかNに幾度も尋ねる。一日1本牛乳を飲むことを習慣付けている。
藤沢六郎
警視庁捜査一課七係、知能犯捜査専門の警部補。三億円事件を担当する。通称『落としの鬼六』。彼の息子とTは小学校以来の親友で、Tを共産主義に傾倒させたのも藤沢の息子であるが、総括に遭った息子が植物人間状態にされてしまったことから、Tら元同志を疑っている。モデルは吉田六郎もしくは平塚八兵衛か。
薫の父
警視庁交通機動隊の警察官。かつては学生運動弾圧の最先鋒である四機に所属していたが、薫の不祥事の為に交通機動隊に配置換えされた。権力を信奉する人間で、裏では公安部や過激派の一部とのコネクションを持っている。
オクちゃん
Tの知り合いの中年男性。ニューギニアでの従軍経験がトラウマになっており、足塚の差し金である事を実行する。
ケンジ
『ビレッジ・バンガード』のボーイ。ヨーコ(洋子)に自作の小説の構想を語る。

関連項目

  • 連続射殺魔事件
  • 学生運動
  • 少年ライフル魔事件
  • 三億円事件
  • 吉展ちゃん誘拐殺人事件
  • 上赤塚交番襲撃事件
  • 東大安田講堂事件
  • あさま山荘事件
  • よど号ハイジャック事件
  • HANA-BI
    • 北野武監督作品。永山則夫の死刑が執行された年である1997年に第54回ヴェネツィア国際映画祭にてグランプリ受賞。作中でTがサングラスをかけているのは、この映画で北野武演じる主人公がいつもサングラスをかけているイメージからの借用と思われる。
  • 多重人格探偵サイコ
    • 原作が同じ大塚英志の漫画作品。『サイコ』のドラマ版と小説版の『多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還』には山本洋子という名前の元連合赤軍指導者の死刑囚の女性が登場している(小説版では名前が山本子に変更されている)。
  • シモーヌ・ド・ボーヴォワール 
    • 作中でボーヴォワールの著書『第二の性』が言及されている。
  • 石川啄木
  • 宮谷一彦
  • 永島慎二