HOME > コミック > エンバンメイズ

エンバンメイズ/田中一行

共有

著者: 田中一行
巻数: 1巻

田中一行の新刊
エンバンメイズの新刊

最新刊『エンバンメイズ 2



twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

hexagon63 @ShizukaIse あと「エンバンメイズ」という漫画があって、それ設定はめちゃくちゃだけど、とにかく賞金を糧に、ダーツ勝負をする話なのね。そういう賭け事のかけられる対象になる人も、ヤクザと対等に渡り合えるイメージある笑 勝手に… https://t.co/wJ0DRXMWhF

エンバンメイズ』(ENBAN MAZE)は、田中一行による日本の漫画作品。

概要

『good!アフタヌーン』(講談社)2014年(平成26年)6月号から連載開始。2015年7月より漫画アプリ『マンガボックス』でも後追い連載開始。2015年11月号をもって『good!アフタヌーン』から『マンガボックス』へ完全移籍し、電子書籍化した後も連載継続となり、2016年10月12日更新分(2016年46号)で完結した。

田中一行の連載作品としては『イコン』に次ぐ2作目となる今作は、心理戦を用いた駆け引きがメインのダーツアクション漫画である。

裏社会のダーツ賭博で活躍するダーツプレイヤー烏丸 徨(からすま こう)と、ダーツプレイヤーを育成する謎の組織の暗躍とその影を追う烏丸の前に立ちはだかる個性豊かなダーツプレイヤーたちとの対戦をテーマにした作品。本作のダーツプレイヤーは基本的に全員、ミリ単位で矢を自分の狙ったところに当てられるうえに1000回投げてもミスをしないレベルの腕を持っている第一話冒頭の語りによれば、狙いを外すのはデカい隕石が落ちてくるくらいの非日常レベル。。そのため、如何に相手の思惑の裏をかき、ルールの盲点を突くことでゲームの続行を不可能にし、ダーツの矢を外させるかというブラフと心理戦が入り乱れた勝負が主軸となっており、通常のダーツとは常軌を逸した多種多様のゲームルールで戦うこととなる。

登場人物

メインキャラクター

烏丸 徨(からすま こう)
本作の主人公であるダーツプレイヤーで基本は右投げだが左手でも投げられる。矢を3本まとめて投げて最高得点を取り、更にはそれを同時に両手で行うことも出来るなど、投射技術は高いレベルに達している。通り名は「迷路の悪魔」で、対戦相手にもよく「悪魔君」などと呼称される。矢のデザインは迷路。
負け知らずの一流プレイヤーで主に裏社会で催される賭けダーツ場にてプレイしており、対戦者を指定できるぐらいの「人気者」。だが、相手を選びすぎるせいでなかなか勝負を受けてくれないらしい。常に高襟の赤いシャツに白スカーフ、襟が特徴的な黒スーツ姿をしている。
冷静な性格であり、何があっても揺るがない心を持っているがゲーム中に見せる焦りや驚きの表情は、ほとんどがフェイク。、絹守や剛堂の挑発に対して本気で怒るなど、自分のプライドを傷つけられるのを嫌う。対戦相手には容赦ない反面、憎しみに満たされた真琴を優しく落ち着かせたりと、根っから冷酷な性格というわけではなく、他人に対しての優しい心も併せ持っている。
昔、何らかの事情でダーツプレイヤーを養成する「施設」に10歳から14歳までの4年間所属しており、その頃からダーツの腕前は天才的であり、プレイヤーランクも最高のAクラスであった。
「施設」を出たあとは10年間ダーツ賭博によって巨万の富を築き上げ、「施設」とは離れて生活していたが、華原との一件をキッカケに親友であった瀬戸を殺し、鈴音の喉を傷つけた「施設」の実態を探るために勝負をするようになる。
ゲーム中に勝利の抜け道を見つけたり、自分の作戦が成功していたりする際には、目の付近に謎の「びびびびびび」という擬音語が描かれる剛堂によるとどうやら音も出るらしい。
相手の心理を見抜き、巧みな話術や自分の身を削ってまでの演技で相手の目を欺くことで「迷路」に誘い込み、自滅させることで勝負を決めることを得意の戦術としている。その時の烏丸の表情や目つきはまるで「悪魔」さながらで、決着が着いたときに烏丸が言い放つ、「ここが“行き止まり”(デッドエンド)だ」という台詞と共に、本作を象徴する場面である。
異名の通り、対戦相手を迷わせるのが得意だが、本人は極度の方向音痴であり、時には自身の家に帰ることもままならない第一話では冒頭から自宅のマンションの場所がわからなくなっていた。。これは烏丸が相手の思惑を読み取ることに長けているためで、本人が言うには「色々な奴の思惑で目印の地理や建物がコロコロ変わる」のが原因らしい。子供の頃からダーツしかやっていなかったため、コンピュータやタブレット等の電子機器の扱いも苦手である。
友達が少ない。喫煙者で、りんごジュースと巨乳が好き。
絹守 一馬(きぬもり かずま)
講談組というヤクザの若頭。右利き。第1話から登場。ダーツ賭博の元締め。ダーツ賭博に足を運ぶ観戦者たちにも有名な存在であり、「胴元のトップ」として名を馳せている。「写し身(ツインズ)」戦では「若頭」の異名で呼ばれた。矢のデザインはトンカチ(マナーを守らない観客を殴打したり、拷問に好んで使用するアイテム)。
黒髪のオールバックに白髪の触角が生えたような髪型と糸目のメガネ姿が特徴。仕事では必ずスーツを着用している。常に微笑んでいるように見えるがたまに開眼する。体には左肩を中心に大きな刺青が彫られている2巻44pの絹守がシャワーを浴びているシーンで確認できる。
試合時には基本的に賭け主の接待に当たり、専用の席へ案内したのち賭け主にルールの説明や解説を行い、共に烏丸の試合を見守る。また、それ以外の時にも会場や対戦相手の手配、勝者の報酬となるお金や情報、土地の取立てなど、仕事内容は多岐にわたる。
マナーやルールを順守しないような客の横暴などには「お客様は神様だが、この場では神であっても服従してもらう」と容赦なく暴力を振るい、時には拷問も行うが、基本的に誰に対しても常に敬語で話し、初歩的な質問も笑いながら答えてくれるなど、怒らせない限りはむしろ気の良い人物。
ダーツは趣味程度でやっているが、三流レベル。しかし山田と時盾とのタッグ戦では烏丸のパートナーとして鈴音の代わりに競技場に立つことになった際は、自前のダーツを用意するなど彼なりの本気が伺える。他にも烏丸のアドバイスをしっかりメモするなどやる気はある様子。ゲームではルールの盲点を突くことで相手の圧倒的なリードを埋めつつ、機械による正確無比な制裁を逆用してほぼ無傷でやり過ごすなど頭もかなりの切れ味を見せている。平然とそれらを行う自身を「苦痛の熟練者」と称している。ただしダーツの実力そのものは「力とやり合えば負ける」と烏丸に言われるくらいヘタ。
烏丸とはビジネスライクな関係のようで、行動を共にし、時折冗談などを言い合う仲。過去に二台、他人の手によって自分の車を破壊されている一台目は1巻92pで愛子が車の上に落下して破壊。二台目は、後藤たちが故意に衝突して破壊した。。喫煙者。
(かつらぎ すずね)
この漫画におけるヒロインであり、烏丸の施設時代の幼馴染。右利き。第4話で初登場。一人称は「私」もしくは「アタシ」しかし、アタシと発言したのは1巻190pの一回のみ。。ウサギと甘い物が好きでかなりの大食い。
黒髪ロングの美女。施設時代ではイヤホンで音楽を好んで聴き、カラオケを一夜漬けで歌うことも。普段着はセーター、屋外ではコートを羽織る。ピアノのコンサートではドレスも着こなしていた。
烏丸が少年時代に居た「施設」において、烏丸と肩を並べるほどのダーツの名手であった。ランクも烏丸と同じA。歌が上手く、将来の夢は歌手になることだったが、「施設」の卒業試験で「命より大切なものを破壊せよ」という指示を受けた鈴音は、自ら喉を矢で突き刺し、声を失う。「施設」を出た後はピアニストとして舞台に立っているが、ダーツの腕は衰えていない。
スケッチブックとマーカーを肌身離さず持っており、それらをつかった筆談によってコミュニケーションをとる。烏丸とは卒業後も親交があり、絹守の招待で烏丸の試合もよく観戦している。
烏丸とは文字通り「死線を共に超えた仲」であり、互いをこの世で唯一の、肉親以上に大切な存在と見なしている。多くの人々の死を目の当たりにし、自らも声を失うという辛い経験を経ても、明るさとユーモアを忘れていない、芯の強い女性である。烏丸曰く、酒癖があまり良くないらしい。
5巻終盤及び最終巻では強制的に烏丸とのダーツ勝負を受けることになってしまうが、彼の機転と仲間たちの奮闘により窮地を脱した。
(ごうどう ちから)
ギャングチーム“KING CONG”リーダー。右利き。第15話で初登場。部下や柳田からは「ゴードー」と呼ばれている。矢のデザインは王冠をかぶったドクロ。
頭髪は刈り上げであるが、後頭部の髪は長く伸ばして三つ編みにしてあり、いわゆる弁髪。袖なしのアンダーシャツを着け、ベルトのバックルや左腕の腕輪、左手の人差し指の指輪に至るまでドクロのマークがあしらわれている。右腕にはタトゥーも彫られている。歯はギザギザであり、筋骨隆々な体つきをしている。また、多数の部下を引き連れている。
頭が悪く、算数ができない3巻151pの柳田の発言によると、剛堂がいつもルールをラウンドアップに固定するのは、ゼロワンだと算数ができず、クリケットはルールが複雑すぎて覚えられないため。ほか、烏丸の難しい話をなかなか理解できずにいた。非常に短気で、柳田や烏丸の発言にいちいち大声で怒鳴る。
ダーツの腕前は良いが烏丸たち一流プレイヤーには遠く及ばない。“DEVILS BANK”3巻141pにて烏丸が店の名前を尋ねるシーンで、女性店員は“ハット・トリック”と答えているが、これは烏丸を騙すための嘘である。というダーツバーを経営しており、柳田や部下たちと共に客相手にダーツ勝負を無理やり吹っかけており、「オゴり」と称して多額の現金を巻き上げる詐欺行為を行っていた。
来店した烏丸を「最高のカモ」と思ってソフトダーツで勝負を挑むが圧倒的点差をつけられたため、柳田と協力し、イカサマを使って勝とうとする。その仕掛けも突破され、敗北するが、負けた時には必死で勝負自体をなかったことにしようとするほどプライドが低いことが判明し、柳田や部下に呆れられていた。店そのものは真面目に経営しており、手作りのパエリアを振る舞ったり、来店してきたネネからも「なかなかいい店」と言われている。
烏丸とのゲームに敗北した後は、烏丸とは親交を結ぶようになり、本人の意向によって烏丸の試合を絹守や鈴音、柳田と共に観戦したり、試合での勝利を一緒に祝ったりするようになる。烏丸のことを「兄さん」、鈴音のことは「姉さん」と呼んでおり、烏丸の実力を知ると素直に尊敬を示すと同時にいつか追いついてやるとやる気を見せていた。また皆月との決着後、謝罪と別れを言いに来た志道に対し「ゴチャゴチャ言ってねえでメシ食え!」と首を締め上げ、強引ながらも彼の自決を取りやめさせた。
最終巻では烏丸と鈴音を救うため絹守に協力し、黒服の「後藤」たちを叩きのめすなど腕っぷしの強い活躍を見せた。
柳田 陸(やなぎだ りく)
ギャングチーム“KING CONG”の参謀役(紹介では「相談役」と表記)。理屈屋らしく、内容をわかりやすく説明しようとするあまりに部下からも苦手な印象を持たれている。手持ちの携帯と連動させた的を自作するなど手先は器用で、それを利用して烏丸を嵌めようとしたがイカサマの仕掛けを逆用されて敗北した。その後は剛堂共々、烏丸の数少ない友人になり、剛堂と共に烏丸が志道や皆月との対決を絹守達と共に観戦している。
(しどう みやこ)
ダーツプレイヤー。右利き。通り名は「求道者(ファナティック)」。矢のデザインは蟻。
皆月の弟子。刺客として烏丸との勝負を行った。「勝利には苦痛が伴う」という信念を持ち、自身に振りかかる困難を喜んで受け入れるなど通り名が示すように求道者のような性格をしており、皆月から烏丸との勝負をする際の対価に「生命」を要求された時は泣いて喜びながら首を吊り、それでも生きているという精神力で皆月を驚かせた。その真価が発揮されるのは逆境に陥ってからである。烏丸の矢を3本まとめて両手で同時に投げるという曲芸めいた技により追い詰められるものの、中継されている姿から短時間でその技術を身に付けてしまうなど、強大な困難が立ち塞がる程に成長が加速する強敵だが、ゴールまでの僅かな時間差によって烏丸に最後の追い上げを許してしまい敗北。その後は興味を無くした主人の皆月からも見放されるが、彼に興味を持った烏丸に気に入られ、続く皆月と烏丸の勝負に絹守達と共に招待客として観戦している。師の敗北後は「貴方にも省みる時が来ることを願っています」と言い残し立ち去っていった。その後、烏丸たちの前に姿を現し自害することで姿を消そうとするが、剛堂に「いいから飯食え!」と首を絞められ無理やり仲間にされてしまった。
最終巻では長いことやっていたという空手を用いて「後藤」たちを倒し、烏丸と美鈴の救出作戦に協力した。後日談では、酔っぱらった美鈴に「お馬さんごっこ」されたことで「酔った貴方にすら及ばなかった」と彼女の前でひざを折るようになった。また剛堂の店で働き始め、その容貌で女性客を無意識に魅了し売り上げに貢献している。

ダーツプレイヤー

対戦相手

今作の賭けダーツに参加するダーツプレイヤーは、一部の例外を除き、全員が通り名を持っている。紹介は戦った順番。

基本的な通り名の構成は日本語の表記に英訳したルビを振ったものであり、本項では通り名を持っている登場人物の通り名も記載する。

神谷 総一郎(かみや そういちろう)
金融業はっぴぃファイナンス社長、ダーツプレイヤー。右利き。第1話のみに登場。通り名は「冷血(コールドブラッド)」。その通り名の通り無表情で冷徹に残酷な行為を平然と行い、自ら「道に沿って歩く人間じゃない」と述べる。矢のデザインはスマイルマーク。口癖は「面倒な○○だな」。
黒髪。肌が青白く、目が赤い。白色のスーツの下には黒色のシャツを身につけている。部下に島田と塚本がいる。
過去に真琴の父の代打ちとして賭けダーツに出場して勝利しているが、その後代打ち料として父に高額な金額を請求。真琴の両親が自殺する原因を作った。
通り名のように冷徹な性格で、人が傷ついたり死んだりすることに抵抗がなく、部下の島田が子供を轢いてしまった時は、自分の送迎を優先させ、子供を病院に連れて行かせる必要がないように「轢き直す」ことを要求した。その後、島田には「人を殺したんだから自首しろ。常識のない奴だな」と告げ事実上解雇した。もしも子供を殺さなかった場合は島田の妻を拉致して償いをさせるつもりだったため、島田は従うしかなかった。更には烏丸とのゲーム中に自分の勝利のため、烏丸の右手に矢を突き刺すという暴力行為を起こす。
美琴から依頼を受けた烏丸により対戦相手として指定される。実はある病気にかかっており、5時間おきに薬を注射しないと死んでしまうどのような病気なのか、作中では一切説明されていない。。このことを見抜いた烏丸によって、神谷は試合を延々と続けるしかなくされた上に、部下の塚本からも見限られ薬を取りに行ったきり戻ってこないという状況に追い込まれた。1億円支払うことと引き換えに敗北して試合を終わらせる権利を買い取った後、半狂乱状態に陥りながら会場の出口にたどり着いたと同時に島田と塚本の逆襲に遭い、「この人を生かしておいても俺たちにいいことなんて一つもない」と車で二度轢かれ殺された殺されるシーンは描写されていないが、コミックスの挿絵に幽霊になって「塚本、許すまじ」と呟く神谷が描かれている。
空山 蒼治(そらやま そうじ)
ダーツプレイヤー。右利き。第2話で初登場。通り名は「自由人(フリーマン)」。金髪のロングヘアーでありもみあげがカールしていて、まつ毛が長い。青いシャツの上に白のベストを着ており、胸には猫が描かれた水色のボタンをつけている。矢のデザインは羊。
自身が自由であることに異常に固執し、他人が不自由であることに幸福を感じるという異常な性癖を持つ建物に入場する簡単な「許可を得る」ことにすらかなりのイラ立ちを覚えるほど。。自分専用のマンションを所有しており、泊まり込みバイトと称して訪れた人を監禁して他人の不自由を楽しんでいる。が、烏丸に言わせれば「不自由に怯えているだけ」とのこと実際に決着寸前には追い詰められたことで錯乱し、「病気の母親を介護する」「家族を守るために働き続ける」などの「進めば進むほど不自由になる」ことを恐れているのを独白している。
烏丸曰く居住しているマンションは「国内唯一の“個人”刑務所烏丸曰く「うさん臭ぇ泊まり込みバイトでも最悪なヤツ」とのこと。」で、愛子もここで監禁されていた。監禁された人は全裸でベッドに拘束され、見聞きする自由まで奪われ、食事も点滴のみ、排泄もその場でされるという非常に粗悪な環境。勝手に喋るなどの行為を行えば拷問に等しい罰まで与えられる。しかし一定期間が経過すれば解放され、大金を得られたようである1巻102pの空山によると、10ヵ月コースで800万円。。なぜこんなことをするのかというと「自分より劣る人間を見て安心感を得るため」である。
絹守の上司である熊谷がお世話になっていた愛子を監禁したことによって講談組の怒りを買い、烏丸と対戦することになる。烏丸との対戦では「自らを由(よし)とする」という信念のもとに烏丸を追い詰めたかと思われたが、烏丸が仕掛けた言葉の罠により敗北。最後の1投まで逆転するチャンスは残っていた(最後の得点が20点ならば空山の逆転勝利)が運を引き寄せることが出来なかった。その後は絹守の手にわたり3億に及ぶ賭金を回収される。敗北後には絹守に監禁され「落とし前」として拷問を受け「自由を奪われる」末路を辿った。また絹守の会話からマンションを差し押さえられたことが窺える。生死については不明。作中ではっきりと言明はされていないが、「施設」の出身者であると取れる描写がある6巻136pにて、作中に出てきた施設出身者の人物像の中に登場している。
華原 清六(かはら きよろく)
ダーツプレイヤー。右利き。第2話で初登場。通り名は「恋人(ラバーズ)」。赤い頭髪にハネ毛があるほか、右目の下に泣きぼくろがある。服はフリルが付いた白いシャツを着用している。試合では「博士(ジーニアス)の矢」と「実験体(モルモット)の矢」という特殊ダーツを使用したため、矢のデザインは不明。
第2話と第3話では、烏丸vs空山の試合を観戦するため、野々口と共に賭博場に足を運ぶ。その時はよく語尾に「♪」がついていた。
烏丸がいた施設についての情報を持つ人物。「愛情」に彼なりの理論を持っており女性たちに「命令」し、「愛情を試す」ことで自分がどれだけ愛されているかを測るなど。、容姿端麗なことからも大勢の女性信者を持つ。また、華原も彼女らをつかって烏丸を包丁で刺させようとしたり、試合でのイカサマに使用したりしており、勝つためには手段を選ばない。
その一方で鈴音を賭けの対象にしたり彼女のコンサートに現れるなど、鈴音に対しては周りの女性信者とは別格の感情を持っている。
ネネと呼ばれる人物と親しいが、関係性は不明。
「施設」で使用されていたカードを烏丸に提示し、「施設」の情報と金を賭けて烏丸との対戦を仕向けた。
毒ガスを使ったゲームで烏丸と戦う(後述)が、自身の過去の経験から「見えないもの」を確認したがる欠点があり、そこを烏丸に見抜かれた挙句に逆用され、先の展開を見越した烏丸の策により敗北が確定。勝利が不可能だと悟った華原は敗北を認めながらも最期までダーツプレイヤーの矜持を貫き、自ら残り時間を0にして致死量の毒ガスを吸い込んで死亡した。その際に華原は自身が「施設」の出身者だということを烏丸に明かしており、そのことによって「施設」は烏丸がいた所以外にも複数存在することが明らかとなった。勝負の前こそ鈴音の過去を引き合いに出した挑発によって険悪な雰囲気になったものの烏丸は勝負中に「アンタのこと好きになっちまう」とこぼすなど、華原のこと自体は嫌ってはいなかった様子。
時盾 実(ときだて みのる)
ダーツプレイヤー。右利き。第11話で初登場。山田とタッグを組んでおり、通り名は2人合わせて「写し身(ツインズ)」。
作中のリストに載っている情報によると、26歳で東京都千代田区九段北に山田と同居している「施設」の出身者。矢のデザインは狛犬の横顔で阿吽の吽。
髪は黒色で、肩までの長さがある。深い緑色のベスト、白いシャツを着用。無表情で抑揚がない喋り方だが、怒ると女性に対しても躊躇なく暴行を加える、危険な人物。
講談組と対立するヤクザに腕を買われ、山田と一緒に雇われる。それゆえ、講談組の利権を奪うため、烏丸は彼らから情報を得るためタッグマッチで対戦することとなる。
時盾と山田は「2人で1人」という異常な性質を持っており、お互いの経験や情報、そして苦痛でさえ、共有することで倍速の成長と完璧な共感を得られると信じている。片方が怪我をすればもう片方も同じく怪我をする。
烏丸と絹守との、手を犠牲にして得点を得るゲームでは先ほどの信念に従い、山田の手に針が刺さった際に自分の手にも刺すほどの結束力の強さを見せつけるが、絹守の粘り強さと戦略性に負け、山田より先に心が折れてしまう。
ゲームによって右手を負傷。敗北したあとは謎の組織に殺される前にある情報を引き出すため、絹守によって買い取られた。絹守の拷問を受けても情報を吐かなかったが、その後山田と共に謎の組織に命令された後藤達によって“回収”されてしまう。
山田 ロミオ(やまだ ロミオ)
ダーツプレイヤー。右利き。第11話で初登場。時盾とタッグを組んでおり、通り名は2人合わせて「写し身(ツインズ)」。矢のデザインは狛犬の横顔で阿吽の阿。
作中のリストに載っている情報によると、21歳で、時盾と同居している「施設」の出身者。
髪は赤色で前髪を切りそろえている。白いパーカを着用してさらにフードを被っており、その上に紫のボタンが特徴的な青色のジャケットを着ている。そして手足の袖をどちらともまくり、ハイソックスを履いている。時盾とは逆に口数が多く感情豊かで騒がしい性格。美男子らしく、登場当初は自分に惚れたという女性を抱いた後だった。
時盾と同じようにヤクザに雇われ、烏丸たちと対戦する。最後まで戦い抜こうとする強い精神力を持っており、絹守のトリックを知った後もゲームを続行しようとしたが、相方の時盾が戦意喪失したことで「自分も心が折れてしまい」ともに崩れ去る。
ゲームによって右手を負傷。敗北後は絹守に買い取られた。絹守の厳しい拷問に耐えかねて謎の組織に関する情報を吐いた直後、時盾と共に謎の組織に“回収”されてしまう。
剛堂 力(ごうどう ちから)
志道 都(しどう みやこ)
皆月 司(みなつき つかさ)
ダーツプレイヤー。右利き。通り名は「純粋(ホワイト)」。13歳と若輩ながら烏丸とは別の『施設』の卒業生で吸血鬼のような衣装と犬歯が特徴。矢のデザインはペロペロキャンディ。
弟子である志道を破った烏丸の次の相手として勝負を挑まれる。子供らしく甘い物が好物なのかチョコレートやドーナツなどを持ち歩いている。自分の元に報告に来た『後藤』の素顔が見たいから殺す顔を見せたら主人に殺されると拒否した後藤を自分が先に殺すから問題ないと殺害した。。『施設』の卒業試験で死んだ同級生達の死体を見て自分が強者であることに快感を得るなど、子供特有の無邪気さが醜悪に歪んだまま成長してしまっている施設の中でも卓越した実力者であり、相手が皆月と知って自殺した者もいるという。。烏丸との勝負では『施設』生徒たちも勝負に加わっており、彼らを護ろうとする烏丸とは違い、面白半分に彼らを犠牲にするやり方で勝負を進めていた。このやり方は絹守から「外道め」と悪態をつかれている。「正義の味方」を演じる烏丸を散々バカにした後、最終ラウンドにて逆に生徒たちの逆襲と烏丸の策によって敗北が確定となり、「こいつら全員殺してやる……」とつぶやき続け半狂乱を起こす。そして敗北後、烏丸によって「くたばれ」と殴り倒された。以後の消息は不明だがネネによれば「もう会えない」とのこと。
桂木 鈴音(かつらぎ すずね)
瀬戸 真悟(せと しんご)
烏丸の施設時代の幼馴染。第4話と第5話に登場。一人称は「オレ」。本作における最終的な敵であり、最強のダーツプレイヤー。通り名は「羽化(レインボウ)」。矢のデザインは英語の「B」に独特の模様を入れたもの。
烏丸、鈴音とは施設内での食事なども一緒に取るなど仲が良いが、2人とは違いダーツの腕はそこそこ。最終試験前までAクラスになれずBクラスのままであった。
多少口が悪いが、本人に悪気はなく、それを知っている烏丸と鈴音も「めんどくさいヤツ」と思いながらも好意的に接していた。烏丸と鈴音の二人と自分に大きな差があることに気づいており、自分の未来を悲観していたが、それを口に出すことは最後までなかった。
実は卒業試験前に出された朝食には、Aクラス以外の全員の料理に毒が盛られており、それを摂取した瀬戸も瀕死の状態となる。自分を助けようとした烏丸に対し、自分に構わずに卒業試験を受けるように指示。そのまま生死不明となる。
が、最終巻では生存していることが判明。組織に囚われた烏丸の前に現れ、仲間たちの解放と全ての施設の破壊を賭けたラストバトルの対戦相手となる。当時食べた食事には毒が入っていたが、実は烏丸と美鈴からもらった食事には入っていなかったためわずかな毒しか口にせず「死に損なった」という。その結果右足が義足になり、右目は血を流したことで変色してしまった。以後は「施設」の統括者である老人のもとで修業を積み、皆月司を超えるとまで言われたダーツプレイヤーに成長を果たした。負ければいつでも死ねるようにと首飾りに毒入りの瓶を入れている。そうまでして戦い続けるのはひとえに烏丸に追いつきたいという思いからだった。その思いを烏丸に吐露した後、互いに恨みっこなしの勝負を展開。技術的にはほとんど互角の攻防を見せ烏丸からも「そこそこ」と評されたが、主催者である「主人」が行った独断のイカサマが仇となって敗北。イカサマを見抜いた烏丸に逆転され、逆にイカサマに気づけなかった真悟は最期まで彼に勝つことはできなかった。その直後、約束を違え烏丸らを抹殺しようとする主人に毒入りのダーツを投げつける。かつてBクラスの子供たちを毒殺した猛毒で主人を道連れにし、後藤たちの銃撃によって銃殺される最期を迎えた。

その他のダーツプレイヤー

野々口 昇(ののぐち のぼる)
ダーツプレイヤー。第2話で初登場。一人称は「オレ」。
作中のリストに載っている情報によると、19歳で東京都杉並区荻窪に住んでいる「施設」の出身者。
身長は低く、頭髪は黒色で、中央で分けている。フレームが太いメガネをつけており、「施設」のAランクが身につけるものと同一のジャージの襟で口の一部を隠している。言葉の一部や語尾がカタカナで表現される。
第2話と第3話では、烏丸vs空山の試合を観戦するため、華原と共に賭博場に足を運ぶ。試合の状況を瞬時に把握し、烏丸の勝利を予言した。その後、第12話で烏丸vs華原の翌日から行方不明になったことが絹守から烏丸に告げられる。彼の言う行方不明とは「死体の所在が不明」という意味で、既に殺されているものと見られている。
里中 只久(さとなか ただひさ)
第12話で名前のみ登場。作中のリストに載っている情報によると、22歳で神奈川県横浜市朝日町に住んでいる「施設」の出身者。
烏丸が「施設」のデータを手に入れた翌日に、野々口と同じく行方不明となった。絹守は謎の組織によって「消された」と表現している。
真壁 剣多(まかべ けんた)
作中のリストに載っている情報によると、22歳で神奈川県厚木市水引に住んでいる「施設」の出身者。唯一「行方不明」になったという描写がないが名前だけで登場はしない。

その他の人物

烏丸の依頼人

美作 真琴(みまさか まこと)
17歳の女子高生。第1話のみに登場。一人称は「私」。ピッグテールが特徴的。
真琴の父親は小さな会社の社長だったが、経営が上手くいかなくて借金に苦しんでいた。そして賭けダーツの話を聞いた父親は代打ちとして神谷を雇い、勝負に勝つ。しかし今度は神谷に代打ち料として1000万円要求されたため、借金を払えなかった父親は母親とともに首吊り自殺を遂げてしまう。神谷に借金が返せない場合は風俗で働かせると脅され、困り果てた真琴は、今度は烏丸に代打ちを依頼することになる。
神谷の命乞いを聞いた時は、周囲の目も憚らずに「そいつを殺してくれ」と泣き叫ぶほど激昂したが、烏丸に「そっちは行き止まりだ」と諭され、一線を越える前に踏み留まる。勝負が終わった後は賭け主として烏丸が稼いだ賭け金の2800万円を受け取る。
桃里 愛子(ももさと あいこ)
VIP専門の高級コールガール。第2話と第3話に登場。一人称は「私」。
ロングヘアーであり、髪の二箇所を縛ってお団子頭にしている。試合観戦時にはチャイナドレスを着ていた。
泊まり込みバイトの募集を知り、空山のマンションを訪れるがそのまま空山に監禁されるどれくらいの期間監禁されたのかは定かではないが、森田などの被害者の様子と比べると、比較的短い期間だったようである。
だがある日、なんらかの方法でマンションの窓から脱出。高層から落下したが、幸い落下地点に絹守の車があったために奇跡的に軽傷、烏丸と絹守に保護された。
講談組の熊谷が彼女のお世話になっていたため、烏丸は空山と対決することになる。
実はS嬢。烏丸が試合に勝ったあとは、彼に“サービス”を無料で提供した。

講談組

熊谷(くまがや)
講談組の一員で、絹守の上司にあたる。第2話で絹守の通話相手としてのみ登場。
お世話になっていた愛子が空山に監禁されていたことを絹守から知らされて激怒。本来なら空山を“袋詰め”にするところを、お金を絞り出すために烏丸と対決させるように要求した。

謎の組織関係者

謎の老紳士(主人)
ネネに「兄さん」と呼ばれる謎の男性。豪華な屋敷に住んでいる。施設を出た後の鈴音を世話していたらしい。その正体は「施設」の総括者であり、ネネの実兄。後藤たちからは「主人」もしくは「ご主人様」と呼ばれる。
互いに財を成す才能があった為、巨万の富を巡ってネネと対立。穏便な解決方法として「互いに育成した戦士同士の決闘」という結論に行きつき、「施設」を建造し子供たちを超一流のダーツプレイヤーに育て上げていった。しかしその過程で「一流を一流たらしめる情熱」に魅入られ、彼らが見せる苦悩、挫折、足掻く姿によって得られる「情熱」を脳に注ぎ自分を「王」として居続けさせると語っている。その狂気は烏丸や絹守すらも一瞬怯ませたほどだった。最終巻ではその醜い本性を表し烏丸と真悟の勝負に横やりを入れ、真悟が必ず勝てるようにイカサマをしていたがネネによって妨害を受け、更には烏丸にイカサマを看破されてしまう。その結果、イカサマが仇になって真悟は敗北。敗者の代償である「命」を支払わず、烏丸たちを殺そうと狂乱を起こすが真悟が投げた毒入りのダーツにより、全身から出血が起こり、苦しんだ末に「死にたくない……」と呟きを残し息絶えた。
ネネ
体格の良い妙齢の謎の女性。華原を「キヨ」と呼び囲っている。華原に施設の情報を与えた。皆月の敗北後は自ら烏丸たちのもとを訪れ「招待状」を渡して立ち去っていった。華原のことは本当に可愛がっていたらしく去り際には「私の可愛いキヨ」と烏丸に話していた。最終巻では、彼女もまた施設を統べるものであり、老紳士とは実の兄妹であり互いに財を成す才覚があった故に幾度も対立していたことが明かされた。莫大な富を巡って穏便な解決方法を施行した結果、「互いに育成した戦士同士の決闘」による解決方法を見出す。しかしその過程を過ごす内に「一流が戦う美しさ」に魅入られ、烏丸たちに興味を持っていた様子。その信念に従い、ルールを捻じ曲げてまで勝とうとした兄のイカサマを妨害し、兄の死後は約束通り「施設」の全てを破棄した。
剣田 竜男(つるぎだ たつお)
烏丸と鈴音のいた『施設』の主任教官を務めていた。当時は39歳。生徒想いのように見えるがそれはAランクの優等生のみに接する時だけで、それ以外の者が話しかけても適当に冷たく流すなど露骨に態度を変える。その後の消息は不明。
後藤(ごとう)
謎の組織の案内役。ガスマスクにシルクハット、スーツ姿で不特定多数存在する。絹守いわくこの姿のものはみな「後藤」と名乗る。素性がばれたら「ご主人様」に殺されてしまうためだという。

ゲームルール

本作におけるダーツゲームはそれぞれのゲームに特別ルールを設けて行われるが、基本的に明言していないことは如何なる行為であっても禁止されていない。そのため、暴力行為が禁止と明言されてなければ、自傷行為や対戦相手の手を潰して矢を投げられないようにすることも許される(そもそも暴力禁止というルールは常識なので、わざわざ明言する必要がない)。しかし勝負は『興行』という形のエンターテイメントとして行われており、大勢の客が勝負を観戦することを目的にしているので、客が楽しめなくなるようなゲームに無関係な対戦相手への暴力行為はない前提で進められる。

VS神谷戦のルールと概要
  • 賭け金は1000万円、敗者は追徴金として更に勝者の総得点×100円を支払う。
  • 3投×8ラウンドの『カウントアップ』によるゲームで、ゲーム終了時に総得点が高い方が勝者となる。
  • 8ラウンド終了時に両者の総得点が同点だった場合に限り、サドンデスの1ラウンドを追加して決着が付くまで行う。先攻がわざとミスをしても後攻がそれと同じ点数を取る限り勝負は延々と続けられる。
  • ゲームが始まったらいかなる理由があろうとも、ゲームが終了するまで『プレイヤー』『賭け主』共に会場の外に出ることは出来ない(それ以外の者は自由に出入り可能)。
VS空山戦のルールと概要
  • 賭け金は3億円
  • 3投×5ラウンドの『カウントアップ』によるゲームで、ゲーム終了時に総得点が高い方が勝者となる。
  • マトは点数の書かれていない白紙の状態で始まり、どこが何点であるかはコンピューターによってランダムに入れ替えられ、矢が当たった部分のみ点数が開示される(場所が入れ替わっているだけで同じ点数が重複することはない)。
  • このゲームに限り、中心のプルは0点として扱う
  • 各プレイヤーが3投する毎に得点を集計し、両プレイヤーの総得点が500を超える度に的の点数はリセットされ白紙に戻り、再びランダムに点数が配置される。
  • 点数を調整しつつ、相手が投げる前に如何にリセット状態へ追い込むかが勝負の鍵となる、運に大きく左右されるゲーム。
VS華原戦のルールと概要
  • 賭け金は10億円
  • 3投×ラウンド無制限の『カウントアップ』によるゲームで、勝利条件は自身の総得点が1080点に到達するか、対戦相手が死亡した場合のみ。
  • ゲーム中は両プレイヤー共にガラス製の密室に監禁され、ゲーム終了まで外に出ることは出来ない。さらにゲームが開始すると同時にガラスの密室には防音が施されるため、外部からの音は一切遮断される。よって、プレイヤーは外部のアナウンスや観客の歓声によって対戦相手が投げた矢を推測することができない。
  • お互いのマトがある位置には両者の賭け金の札束で出来た十億円の壁が設置されており、対戦相手が投げた矢を目視で確認することもできない。
  • ゲーム開始と同時に致死性の毒ガス(吸い続けるとまずは咳が出始め、徐々に鼻や食道から出血が現れ、最終的に髪がごっそり抜け始める)が流し込まれる。144分後に毒ガスが致死量に達するため、その時点で中にいるプレイヤーは確実に死亡する。
  • ゲームは10点につき1分間自分の部屋のガスを止めることができるが、一切加点できない『博士(ジーニアス)の矢』と、通常通り射抜いたマトの点数だけ加点することができるが、10点につき1分間追加のガスが注入されてしまう『実験体(モルモット)の矢』の二つを使用する。
  • どちらの矢を投げるかは自由に選択できるが、必ず3投とも同じ種類の矢を投げる(『博士』を2本、『実験体』を1本などはNG)。
  • 『博士の矢』でガスを止めない限りは相手のプレイ中にもガスが出続ける。
  • 3投を投げる制限時間は1ラウンドにつき18分まで。逆に言えば1ラウンドにつき18分まで矢を投げずに待機することができる。
  • このゲームにはスコアボードが存在せず、観客も両プレイヤーの得点や残り時間を知ることはできない。そのかわりプレイヤーの手元には専用のタブレットがあり、その端末には自分の総得点と残り時間が表示される。しかし、相手の情報は一切知る事が出来ない。
  • 使用する矢の先端にはチップが埋め込まれており、この情報を元に所持するタブレットに点数と残り時間が記録されるのでデータの偽装は不可能。
  • 羽根の部分はプレイヤーが矢を選択する際の目印及び、投げたのはどちらの矢なのかを観客へ見せるためのものである。極端な話、羽根を外してバレルだけ投げても構わない。
  • 自室のガスを止めて安全を確保しつつ、如何に相手の思惑を読み、こちらの手の内を誤認させて時間を稼ぐかの見極めが重要なゲーム。
VS写し身戦のルールと概要
  • 賭け金は30億円。
  • 基本は3投×6ラウンドの『カウントアップ』による勝負
  • プレイヤーは開始時に利き手を宣言し、『ゲームに関わる全ての動作』は利き手しか使えない。
  • 『ゲームに関わる全ての動作』とは『矢の投擲』『センサーに手をかざす』『懺悔の口(後述)に手を入れる』の3つ。
  • ゲームはタッグを組んで行われ、投擲は先攻チームの1番手→後攻チームの1番手→先攻チームの2番手→後攻チームの2番手の順(チーム内の順番はラウンド毎に変更可)。
  • 得点を確定させるには『節制の的』と呼ばれるマトの前にあるセンサーに手をかざさなければならない。チームの合計点が181点以上になった場合は利き手に針が刺される(針に刺されるのはチームの2番手)。
  • 針は10点ごとに1本追加され、タッグが両方共180点、つまり360点とった場合は18本の針に利き手が貫かれる
  • 各ラウンド終了時に『懺悔の口』と呼ばれるボーナスチャンスを得る3台の機械に挑める。口に手を入れると針に刺されるが、それぞれの口の中には矢がランダムで1-3本入っており追加で使用する事が可能(この矢で得た得点は何点であっても『節制の的』の対象とはならない)。
  • 『懺悔の口』は得点を支払えば3台の内、どれかの口をランダムで噛むのを止める(60点で1台、120点で2台)ことが出来る。このため、運が良ければ60点の支払いで怪我を負わずに3本の矢を手に入れることも出来るが、運が悪ければ点数を支払ったのに噛み付かれ、挙句の果てに1本しか手に入らない場合もあるので、その時は手に怪我を負うだけ無駄骨となる。
  • 『懺悔の口』の希望者がいなくなったら次のラウンドへ移行する。
  • 相手のチームの得点を上回るためには、どこかで必ず誰かが手を犠牲にする必要がある。如何に払わなくても良い『犠牲』を無くすかが肝。
VS剛堂戦のルールと概要
  • 賭け金は1000万円
  • 3投×8ラウンドの『カウントアップ』によるソフトダーツの勝負
  • 柳田手造りの的を使用して行われる
VS求道者戦のルールと概要
  • 賭け金は10億円
  • 1000×3投の『早投げカウントアップ』による勝負。
  • 両者の得点が同点の場合、早く先に投げ終えた方の勝利となる。
  • プレイヤーは用意されたフィールドの中に1000台のダーツ台を用いて、対戦相手がプレイする迷路をタブレットで作成する。ゲームはそれぞれがプレイするフィールドの入口から同時に開始される。
  • 迷路の設置条件はダーツ台の前方に投擲に必要な3メートルの幅を設けること以外特にないが、上下にダーツ台を積み重ねるのは禁止。
  • プレイヤーは小型のインカムを装着しており、ゲーム中もプレイヤー同士の会話が可能。プレイ中の姿は会場に設置された大型のスクリーンによって中継され対戦相手も確認が出来る。
  • 対戦相手の性格と思惑を見抜いて迷路を作成し、ゴールまでの時間をどれだけ稼げるかが重要なゲーム。

用語

ダーツ賭博
本作ではアンダーグラウンドでありながら大人気を博しているダーツゲームが舞台となっており、この勝負は用意された様々な会場で行われる。ダーツプレイヤーはカードを見せるだけで選手専用の入口から会場に入れるが、一般人は特定の手順を踏んで入場する必要がある。大勢の観客が見物する興行として開催されていることからかなりの大金も動く絹守によれば30億円でもハシタ金。ので、胴元の利権を求めて同業者から勝負を挑まれることもある。
施設
理由は不明だが子供を集めてダーツプレイヤーを育成するための場所で、烏丸は10歳頃から4年間ここで過ごし超一流のダーツプレイヤーとして成長した。施設を出る際には『卒業試験』が行われるが、その実態は自分達の眼鏡にかなわなかった者を処分するための篩に過ぎず、価値が無いと判断された者は卒業試験を受けることも出来ずに毒殺されるなど、生き残るのは良くて数名程度である。烏丸と鈴音のいた場所の他にもいくつか施設は存在しており、そこでも同様のことが行われていた模様。何らかの大掛かりな組織によって運営されているらしく、下手に情報を漏らしたりするだけで命の危険に脅かされる。

書誌情報

  • 田中一行 『エンバンメイズ』 講談社〈アフタヌーンKC〉、全6巻
    1. 2014年11月7日発売 ISBN 978-4-06-388009-0
    2. 2015年3月6日発売 ISBN 978-4-06-388039-7
    3. 2015年10月7日発売 ISBN 978-4-06-388097-7
    4. 2016年3月7日発売 ISBN 978-4-06-388129-5
    5. 2016年8月5日発売 ISBN 978-4-06-388166-0
    6. 2016年12月7日発売 ISBN 978-4-06-388223-0

脚注

外部リンク