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オメガJ/小林源文

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著者: 小林源文
巻数: 1巻

小林源文の新刊
オメガJの新刊

最新刊『オメガJ


オメガ7』(おめがセブン)は小林源文の漫画作品シリーズ(フィクション)。

概要

本作品は日本の特殊部隊「オメガ」とその隊員達の活躍を描いた作品である。

今日までにオメガ7シリーズが3作、一般漫画雑誌向けにリファインした「オメガJ」が出版されている。

設定

オメガとは、日本の国益を守る為に創設された元自衛官などで構成された超法規的特殊部隊。表向きの名称は「防衛庁第4技術研究所」。

その任務は、独自の人質救出作戦、国益を損なう人物や物証の抹消、テロの報復など表沙汰になれば重大な政治問題、国際問題に発展しかねない危ない物ばかりである。 作戦の障害になると判断した場合は同盟国や国連の部隊であっても場合によっては排除することを許されている。交戦規定は常に「捕虜を取らない、捕虜にならない」

副題こそ「自衛隊特殊部隊」となっているものの実在する自衛隊特殊部隊である陸上自衛隊特殊作戦群や海上自衛隊特別警備隊とは全く別系統の自衛隊「非正規」特殊部隊であり彼らの身分も自衛官ではない。防衛省上層部もオメガの存在を一切認めていないため、オメガ隊員は実質的にこの世に「存在しない」ことになっている。

部隊章はスペードにΩの文字を重ね、その上に「OMEGA」の文字。

登場人物

オメガ
  • 小松(オメガ7)
本作の主人公。元自衛隊員であったが除隊後クレジットカードで破産、その後も多重債務を背負い込み、その借金のカタとしてオメガに半ば強制的に参加させられている。「俺たち自衛隊じゃねえもん」と言いつつも自衛隊桜星章つきのベレーを被り首にはブラックのメッシュスカーフを巻いたスタイルが特徴。当初こそ何かに長けているわけでもなかったが、物語の中、後半にかけては新人隊員に的確な教育指導を施し、数々の戦場を生き残ってきた特殊部隊員としての経験と能力の高さを見せ付けた。強大な敵勢力に対し素直に「怖ェ」と心情を吐露するなど人間臭い台詞が多い。90年代当時の流行語「チョベリバ」を知らず後述の田中に突っ込まれるなど世間の流行には疎い様子。好きなものはパチンコとソープ。楽そうだから棒フリ警備員に憧れている。仲間にはつっけんどんながら面倒見の良さも見せる反面、敵の重傷者を嬲り者にする残忍さも。メインウェポンはMP5SD6及びM4。射撃は不得意なため、配置上近接戦闘や弾幕による制圧を行うことが多い前衛(ポイントマン)を務めている。
  • 平岡(オメガ8)
小松のチームの一員で小松のパートナー。彼も住宅ローンに苦しんでおりその返済としてオメガに参加している。子持ちの既婚者であったが離婚を迫られたようである。メインウェポンはMP5SD6。時に後方から、時に隣で、小松をサポートする相棒にして友人。神経が太く、出撃直前のヘリ上ですら居眠りできるが、緊張からいらだった小松にいつも邪魔されている。大学中退であり経済知識に長けており「楽そうでいいな」と道路工事の棒フリ警備員に転職したがる小松を「そんな稼ぎじゃ風俗いけないぞ」と諭すなど経済観念にもウルサイ。いわば小松がボケ役なら平岡は突っ込み役。
  • 田中(オメガ20)
小松のチームの一員。以前は新人であったが、最近では末次、吉岡の入隊により中堅的な立場にある。複数の女性を孕ませたあげく賠償を迫られ、その返済のためオメガに参加している。新人時代は小松にたかられたり荷物持ちを命じられる事が多かったが、最近では抵抗する面も見せる。当初はヘリ搭乗時や仲間の無残な遺体を目にするたび「ゲロッ」と嘔吐していたが物語後半では敵勢力に誘拐殺害され無残な姿で帰ってきた元警察官僚の今村の遺体を笑顔で処理するなど精神的に成長(!?)した様子。ミリタリーオタクであり各国の兵器に詳しい。コンピューターウイルスの作成もお手の物。女から逃げてるときに棒フリ警備員をやっていた。メインウェポンはM-16A1&M203→89式小銃改(レイルシステム付き)&M203。
  • 班長(本名不明。オメガ5)
チームの班長。ポルポト派報復作戦中に敵の手榴弾から仲間をかばい死亡(オメガJでは致命傷を負った際に手榴弾で敵を巻き添えにして自爆)。小松が言うには、奥さんには逃げられたらしい。メインウェポンはMINIMI。
  • 河原(オメガ5)
戦死した前任の跡を継いだ後任のチーム班長。元オリンピック射撃競技の日本代表。射撃場で小松にわざとヘタクソな射撃を見せた上で賭け射撃をふっかけ、まんまとハメられた小松は河原に数万円を支払った。しかし小松や平岡の方が実戦経験が豊富なため彼らの扱いには苦労している。サイレンサー装備のMP5PDWを使用。
  • 梅本
オメガの作戦司令官。あまり部下から信頼されていないようである。作戦の説明中、よく小松たちが私語をするので困っている。
  • 末次
小松のチームの一員。新たに入隊した新人で、400~500m先の敵をスコープ無しで命中させる等射撃に長けている。博打や風俗の負債で篠原に紹介されオメガに参加。口癖は「はぁ」。メインウェポンは89式5.56mm小銃。
  • 吉岡
小松のチームの一員。末次同様新たに入隊した新人で、自衛隊除隊後ススキノのホストをやっていた過去を持つ。しかし、常連のツケを全て背負わされ、闇金の保証人にされた為にオメガに参加。襲撃を受けた村の子供の遺体を埋葬する等優しい一面を見せるが、後に武装グループとの戦闘にて死亡。メインウェポンは89式5.56mm小銃→5.56mm機関銃MINIMI
調査部
  • 佐藤 大輔
小林作品の常連。階級は2等陸佐。オメガを裏から操る、ある意味もう一人の主人公。本作では自衛隊調査部別室に所属しており世界各国で情報収集に当たっている。そのコネクションはロシアの将軍から南米麻薬カルテルのボスまで極めて広い。一応は国益に則って行動しているようであるが、表沙汰に出来ないビジネスにも色々荷担しているらしい。彼に利用された人間は口封じのためたいてい不幸な結末をたどる(殺害など)。小松が破産したのも実は佐藤の策略であった。コーヒーの温度はきっかり85℃。結婚しており子供もいる様子だがその顔の恐ろしさから子供や猫のミミにまで恐れられている。同名の作家がモデル。口癖はカスはなにやってもカスだ無知と貧困は人類の大罪だ。
  • 中村 正徳
佐藤の部下。階級は3等陸曹。やはり小林作品の常連。強者に弱く弱者に強い性格。佐藤にこき使われ理不尽な虐待を受けている。またわざと敵に捕らえられる、故意に情報をリークさせられるなどの極めて危険な任務を佐藤に強要される。そのためか常に「畜生!いつか殺してやる!」とつぶやいており一度などは本当に佐藤を背後からワルサーMPLで撃とうとしたが、佐藤に安全装置をかけたままだと見破られ失敗した。なお、このときはカスはなにやってもカスだとの叱責だけで済んだ。そんな彼も射撃には優れているのだが、活かす機会がめったに無い。同名の小林源文のアシスタントがモデル。高校中退。
その他関係者
  • 斉藤 三弥
統合幕僚会議議長。小林作品の常連。オメガ設立の立役者の一人。部下(自衛官)を息子に例えるほど部下思いである反面、愚鈍な政治家を苦々しく思っているようでありしばしば内閣閣僚と衝突している。オメガ部隊へ実質的な指令を下す立場にある。
  • 小林陸将
現状を語る立場で斉藤と共に登場する事が多い。斉藤同様、オメガ部隊へ実質的な指令を下す立場にある。
  • 篠原
いわゆる「ブラック」の債務処理を扱う弁護士。債務を抱えた自衛官を佐藤に紹介している。裏稼業として借金の取り立てを行っている。口癖は「借りた物は返す。人間の常識」。

小火器

  • MP5SD6
  • M4カービン
  • HK51
  • HK94
  • M16
  • M203
  • 9mmけん銃 フロント、リアサイトの大型化、サイレンサーアタッチメントの追加などがなされた特別仕様
  • SIG SAUER P228 オメガJのみ登場
  • 89式5.56mm小銃 ノーマル及び改バージョンの2種
  • 5.56mm機関銃MINIMI
  • 対人狙撃銃 ※ボルトアクション。モデル不明
  • PSG-1 
  • AKS-74U

個人携行品及び装備

  • 陸上自衛隊2型迷彩戦闘服
  • 個人通信機
  • 暗視ゴーグル
  • タクティカルベスト
  • ノーメックス・フライトグローブ
  • カモフラージュ・スティック(迷彩用ドーラン)
  • 弾薬
  • 手榴弾
  • クレイモア対人地雷

輸送手段

  • C-130 航空自衛隊機
  • UH-60
  • CH-53 米軍からの贈与?
  • 海上自衛隊護衛艦及び潜水艦

物語の着想

91年当時、小林源文が旅行へ出向いたコロンビアの隣国ペルーにてセンデロ・ルミノソによるJICAの日本人職員殺害事件が起きた。このとき日本政府は遺憾の意を表明するだけで指をくわえて見ているだけであった。小林はこの事件、そして当時の日本政府の対応に「日本人の安全と日本国の権益を守るのは誰なのか」と疑問を感じる。(オメガ7 vol3あと書きより意訳) 日本に脅威を与え、日本人の命を奪う国家、テロ組織へ日本が直接的な軍事制裁を与えることのできる組織の必要性。 それが自衛隊「非公然」特殊部隊オメガという作品の着想につながったのであった。 作品中、小林源文と同姓でオメガ部隊を実質的に指揮する陸上幕僚監部の小林陸将は日本が本気で介入し軍事報復したことを相手国、テロ組織に誇示するため、自衛隊の制式小銃である89式を投入させたり小松が現場に自衛隊PKO部隊章を意図的に残すなど日本の組織が関与したとはっきりとわからせる場面が垣間見られる。そこに作者である小林源文の明確な意図が読み取れる。

関連作品

  • 『第2次朝鮮戦争 ユギオII 』
架空の第二次朝鮮戦争を扱った作品であるが、オメガによる北朝鮮工作員との戦闘や核ミサイル基地爆破など活躍が描かれている。
  • 『レイド・オン・トーキョー 』
ソ連の日本侵攻作戦の際に、陸上自衛隊に籍を置いていた佐藤と中村が描かれている。佐藤は当時ごくありふれた会計課の二尉であったが、急遽普通科を指揮する役を任され、最前線に赴いている。左頬の傷は、この戦闘の際に負ったものである。中村は第一空挺団に所属しており、国会議事堂における攻防戦に参加している。
  • 平成維新―戦う自衛隊―
小林作品の短編集。佐藤と中村が活躍する「平成維新」、オメガの原型となる日本の特殊部隊を描いた「LA SALIDA DEL SOL」等が収録。

書籍情報

  • 『オメガ7―自衛隊特殊コマンド部隊 (創生編) 』(日本出版社、1994/06) ISBN 978-4890484089
  • 『オメガJ―Omega force Japan 』(集英社、1997/09) ISBN 978-4087820812
  • 『オメガ7―自衛隊特殊部隊 』(再版、ソフトバンク パブリッシング、2002/09) ISBN 978-4797321647
  • 『オメガJ―Omega force Japan 』(再版、学研、2003/7/28) ISBN 978-4056031331
  • 『OMEGA7 Vol.2 』(ソフトバンク クリエイティブ、2006/5/31) ISBN 978-4797336474
  • 『OMEGA7 Vol.3 』(ソフトバンク クリエイティブ、2007/7/15) ISBN 978-4797343465
  • 『平成維新―戦う自衛隊―』(日本出版社、2000/4/15) ISBN 978-4890484294

関連項目

  • 自衛隊
  • 特殊部隊
  • サイレントコアシリーズ - この作品と同様に自衛隊の架空の特殊部隊を扱った大石英司の小説シリーズ。