カイチュー!/林佑樹
著者: 林佑樹
巻数: 10巻
最新刊『カイチュー! 10』
twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)
『カイチュー!』は、林佑樹による日本の漫画作品。
概要
『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2009年51号より連載を開始したが、2010年20号(第20話)でヤングジャンプ本誌での連載を終了。第21話以降は、同年4月22日より、『ヤングジャンプ』のWebサイトでweb連載となった。なお、現在でもヤングジャンプの目次ページには本作の名前と、作者のコメントが掲載されている。
連載作品前身の読切版は、『ヤングジャンプ増刊「漫太郎」』(集英社)の2006年度版(同年4月11日発売)に掲載。
現在、YJコミックスより単行本が第3巻まで既刊。また、原型となった読みきり版がwebアニメ化した(後述)。
弓道部に所属する主人公を核にしたラブコメであり、タイトルの「カイチュー」は、弓道用語の「皆中」(放った矢が全て命中すること)に由来する。
あらすじ
弓道少年の「立川達矢」は、中学校時代の全国大会で出会った「不動権三郎」先輩に憧れて彼と同じ高校に進学する。しかし、達矢が高校で見たものは、想像を絶するものであった。そして、達矢の権三郎への憧れは、また別の感情へと変わっていくのだった。
登場人物
小田川高校
神奈川県西湘市にある高校。近年は、毎年一次予選敗退の弱小高で、権三郎を除いた上級生達は、基本動作は出来ているものの高校から弓を始めた初心者集団。新入生は、達矢・健太・真壁の3人のみ。2年、3年生には名前も出番もない背景部員が存在する。
弓道部
- 立川 達矢(たちかわ たつや)
- 物語の主人公で小田川高校1年。ポジションは「大前(おおまえ)」。
- 中学2年の時に西中学校で全国大会に出場したが敗退し、試合会場で落ち込んでいた所を当時の権三郎に励まされ、弓道に対する姿勢に心を打たれる。神奈川の名門・山王高校からの誘いを断り、憧れの権三郎と再び全国大会を目指すことを夢に小田川高校へ入学した。
- 常識人ゆえに、どこかズレた感性を持つ他のキャラクターと一線を画しており、基本的に突っ込みを担当。不動のファン達には、ツッコミを入れ、ついていけないと思いつつも男と知って受け入れる自分への素直さには感心している。
- 再会した権三郎のアプローチに道を踏み外さないか不安を抱いている。
- マンションで両親と暮らし。ストイックに弓道に打ち込み、部屋にはトロフィーや教本など弓道一色。
- 不動 権三郎(ふどう ごんざぶろう)
- 本作の重要人物。小田川高校2年。ポジションは「落(おち)」。
- 弓道の名門「不動流」の不動家長男で中学の大会は、一射も外さず3連覇し、かつて「神の子」とまで呼ばれた弓道会のサラブレッド。
- 師範である父を上回る実力の持ち主である為破門された。母方の祖父の家(姓:佐々木)で暮らし、達矢との再会まで本気で弓を引くことはなかった。
- いわゆる「男の娘」であり昔から家では女装し、現在では制服も普段着も女装をしている。中学時代は、校則が厳しく、普通の格好をしていたが自宅では、日常的に女装をしており、回想シーンではセーラー服を着ていた1巻カバー裏の表紙、第3射の回想。その可愛らしい容姿からファンクラブまでが存在する(容姿が可愛ければ性別は関係ないとの事であり、周囲も本人の性別は気にしていない)。愛称は「ゴンちゃん」。
- 達矢のことは初めて会った時から意識していたようであり第一射のセリフより、高校で再開してからは積極的なアプローチに加え、肉体関係も狙っている。平成7年4月4日生まれ。
- 杉村 健太(すぎむら けんた)
- 達矢の友人。1年。アフロ髪(天然)の気の良く、無駄に熱い男。話についていってるようで話題がズレて唐突にボケる事もあれば、器用に突っ込みもこなす。学級委員に(無理矢理)を務めている。
- 中学時代からの経験者で自称「東中の最終兵器」。隣の的に的中させるが、合宿で矯正に成功しつつある。根拠は無いが自信家であるため、メンタル面の強さだけなら部内でもピカイチ。
- 捏造新聞を作成した為クラスの女子生徒に総スカンを食らっている。
- 日野(ひの)
- 弓道部主将。弓のセンスがある3年生で基本が出来ており、癖がなく安定している。和を重んじ、天然おっとり系の女性で大らか過ぎる部分もあるが、締めるところは締める。
- 容赦ない一面を持ち、策士であるものの他人を蹴落としたり我欲に走るタイプではないので腹黒とは言い難い。実家は学習塾。
- 中野(なかの)
- 2年生の女子生徒。不動とは同じクラス。弓道の腕は部内では一番低い。比較的常識人で達矢・権三郎の相談役であるが、傍観者で渦中には踏み込まない。
- 髪型をお団子にしているが、プライベートでは下ろす事もある。
- 近藤(こんどう)
- 2年生の女子生徒。クールな常識人。権三郎の弟・まことがお気に入り。
- 菊嶋(きくしま)
- 3年生の女子生徒。勝気な性格だが射にはムラがある。巨乳。コンビニでアルバイトをしている。
- 真壁(まかべ)
- 唯一の1年生女子。眼鏡をかけていて性格は大人しく部に馴染めて居ないのを気にしており、変身願望を抱いている。
- 小学生時代に弓道経験があるが、ブランクがある様子。
- 小森 啓介(こもり けいすけ)
- 弓道部副主将。3年生の眼鏡男子。日野が気になり弓道部に入部した。
- 進一、山下とのトリオで登場することが多いが3人の中では存在感がある。
- 弓の腕前は3人とも的中率5割に満たない程度だがその中でも一番下だが、副主将としての責任感で精神面は安定している。ポジションは「落前(おちまえ)」。
- 阿部 進一(あべ しんいち)
- 3年生の男子生徒。短髪。近藤が好きで、恋愛のことは真剣に考えている。自作の近藤抱き枕まで作り、それを毎日愛でている。ポジションは「二的(にてき)」。
- 山下(やました)
- 2年生の男子生徒。二重で顔立ちはいいがナンパする柄ではない。菊嶋の巨乳に惹かれて入部したおっぱい星人。
- 3人トリオの中では的中率が高く山王戦では、ポジション「中(なか)」をつとめた。
- 木村 明徳(きむら あきのり)
- 弓道部顧問。老齢で体を壊す前は寛大な指導で有名で、かなり名を馳せた弓道県連の古株。現在は体調が思わしくないため部活や試合に顔を出す機会は少ない。
- 昔から不動流の道場へ出稽古に行き、幼い頃からの不動を知る人物。
- 救心を常備し、ブルマを愛し、男の娘が縛られるシーンを眺めるのが好きな先生。
- 岩山(いわやま)
- 男子生徒。3年。容姿は威圧感が溢れるモアイ顔で鍛えられた腕を持つ。
- 一切喋らず日野に通訳してもらい、稽古中は弓を引く最中にさえ眠る。
- 那須 与太郎(なすの よたろう)
- 那須与一の子孫を自称する甲冑を纏い、弓道場で流鏑馬したりボウリング場に馬を連れてくる。弓道場以外の学内で彼を見た人物はいない。
- 実力は確かだが28歳以上であり、一度それが原因で試合で反則負けになっている。夢は部員を率いて徳川軍に討って出ること。
弓道部以外の生徒
- 矢野(やの)
- 1年生の男子生徒。達矢と同じクラスで校内の女子の情報に詳しく、権三郎目当てに山王戦を観戦した。
- ゴンちゃんファンクラブの人々
- 権三郎のファン。女性の槇原敬之の『どんなときも。』の精神で好きなものは好きと言える方々。
- 他の女子には見向きもせず道場横で生写真を販売したり騒いでいる。
- 鈴木圭吾(すずき けいご)
- 権三郎ファンクラブ会長。
- 野口(のぐち)
- 多数の同志を集めまことファンクラブを作ろうとしたが、まことの剛弓を見て断念。
山王高校
5年連続インターハイ出場の神奈川県の名門校。昨年の全国ベスト8。レギュラー全員が過去の大会で優秀な成績を修めているエリート集団で、県外からの志望者も来る。男子チームは接戦であるほど的中率が上昇する。
- 松平 龍ノ介(まつだいら りゅうのすけ)
- 弓道部の主将(3年)。ポジションは「落」。長身で髭面、普段は楊枝を咥えている。
- 達矢をいろんな意味で見込んでいて小田川高校まで偵察に訪れた。達矢とはプラトニックな関係を望んでいるが、シャイでメルアドを聞けずにいる。
- 勢いの強い言動が特徴だが、後輩に指導を求められた時はしっかりと答えている。中学時に権三郎に敗戦。
- 二川 美香(ふたがわ みか)
- 達矢の幼なじみで初恋の女の子。小学校6年生の時に家の都合で県外引っ越したため、高校で再会する。権三郎の恋のライバル。
- 真面目で可愛くて優しいドジな1年生。今まで異性を好きになったことはない模様。女子では一年生唯一のレギュラー。
- 芹澤 薫(せりざわ かおる)
- 女子チーム主将。容姿とストイックさから女子に人気がある。
- 針のように鋭い射を引き、他校の主将もほぼ把握している。
- なっちゃん
- 1年生。二川の友人。沢村派。
- 豊田(とよだ)
- 達矢と同じ西中出身の1年生。中学時代は弓で達矢に勝てなかった。
- 単行本1巻で『ヤングジャンプ』本誌掲載時に名前が「日野」になったのをネタにされている。
- 沢村 隆二(さわむら りゅうじ)
- 3年。鋭い目つきの眼鏡男子。大前。前年度関東大会入賞者。2番手エースだが早気持ち。
- 神谷 春夫(かみや はるお)
- 2年。両耳ピアスの問題児。腕は立つが稽古に出ず女遊びしていたため停部させられていた。
- 「口説いた女性は30人、狙った獲物は百発百中」と豪語。女を知り尽くすも、男の権三郎に魅了にされる。男女の壁を乗り越え、激しく権三郎にアプローチする立川の恋敵。
- 盛尾(もりお)
- 3年生の男子生徒。丸顔小太り。
- 蛇沼(へびぬま)
- 2年生の男子生徒。長身で髪を後ろで束ねている。
- 市ヶ谷(いちがや)
- 2年生のイケメン男子生徒。
- 広尾(ひろお)
- 女子チーム落前。ショートカット。
- 塩山(しおやま)
- 監督。体育教師。試合に勝ってもマラソンを命じるなど指導は厳しい。
聖ウクレレ女学院
昨年度の神奈川県女子代表校。
- 桃子・F・ローレン
- ローレン財閥のお嬢様。神奈川県女子個人戦の優勝者で、花でも背負ってるかの様な華やかな弓を引く。
- まだ日本語には慣れていない。
安政学院
昨年度の神奈川男子団体2位の高校。
- 一ノ瀬 清純(いちのせ せいじゅん)
- 弓道部の主将(3年)。
- 宮地 守(みやじ まもる)
- 3年生の男子生徒。
天龍高校
権三郎の父が監督を務めている。
その他
- 大熊 希(おおくま のぞみ)
- 弓具店の美人店員で店主の娘。小田川が全国大会出場した際のOGで弓道五段の27歳。
- 恩師の木村に頼まれ総体予選前に合宿のコーチを引き受けた。男より弓を取ったため彼氏いない歴5年。酒乱。
- 大熊 八兵衛(おおくま はちべえ)
- 大熊弓具店店主。釣り好きで料理上手。
- 不動 まこと(ふどう まこと)
- 権三郎の弟。中学3年。兄と同様女装している。権三郎の様に女装願望があるわけではなかったが、女装する兄を見て始め出した。
- 兄を弓の道に戻した達也に興味を抱いて接触に訪れた。20キロの弓を自在に操る。母や姉と暮らしている。
物語の舞台
本作品の舞台は神奈川県であり、登場する高校などは、基本的に架空の名称が使われている。 また、正式には言及されてはいないが、「小田川」の町は、「小田川城」の天守閣の外観が小田原城と酷似していることや、「小田川駅」が新幹線停車駅であることから、小田原市がモデルになっていることがわかる。
アニメ情報
単行本2巻の発売を記念して、ヤングジャンプのホームページで本作の原型となった読みきり版のwebアニメが配信された。制作は週間ヤングジャンプ編集部、制作協力にSoftgarage。前・後編構成で、2010年7月16日に公開された前編はおよそ4分程度、同年7月30日に公開された後編は5分程度となっている。
「アクセス数が好調な気がして勘違いした編集部がうっかりアニメを製作しちゃった」とのこと。これは本誌での連載からwebでの連載に移行のさい、作中の人物である杉村の口から「島流し」とまで評された作品週間ヤングジャンプ2010年20号であるがゆえに異例の処置となっている。
書籍
単行本(YJコミックス)は、3巻まで既刊。集英社より発売。
- 2010年3月19日発売 ISBN 978-4-08-877806-8
- 2010年7月16日発売 ISBN 978-4-08-877874-7
- 2010年10月19日発売 ISBN 978-4-08-879045-9
脚注
関連項目
- 弓道
- スポーツ漫画
外部リンク