HOME > コミック > クロカン

クロカン/三田紀房

共有

著者: 三田紀房
巻数: 18巻

三田紀房の新刊
クロカンの新刊

最新刊『クロカン 18



クロカンの既刊

名前発売年月
クロカン 1 2007-06
クロカン 2 2007-07
クロカン 3 2007-08
クロカン 4 2007-09
クロカン 5 2007-10
クロカン 6 2007-11
クロカン 7 2007-12
クロカン 8 2008-01
クロカン 9 2008-02
クロカン 10 2008-03
クロカン 11 2008-05
クロカン 12 2008-06
クロカン 13 2008-07
クロカン 14 2008-08
クロカン 15 2008-09
クロカン 16 2008-10
クロカン 17 2008-11
クロカン 18 2008-12

クロカン』は、三田紀房による日本の漫画作品。1996年から2002年まで日本文芸社の漫画雑誌『週刊漫画ゴラク』に連載された。

あらすじ

桐野高校編

物語は、群馬県の県立校・桐野高校野球部を舞台にして始まる。

桐野は創立100年まであとわずかだった。野球部も90年以上の歴史があるが、甲子園出場はいまだなし。OB会、後援会など、周囲の期待を裏切る年が続いていた。

現在の野球部の監督は黒木竜次、通称クロカン。桐野出身でこの時28歳の若手だが、選手をまとめあげる手腕は歴代の監督ナンバーワン。監督就任3年目でベスト4、4年目で準優勝と、またたく間に桐野を県内の強豪に押し上げた。しかし、それほどの業績にも関わらず、彼は極端に評判が悪かった。

粗野な言動、粗暴さや態度の悪さ、そして時にセオリーや定石を破り捨てるようなバクチ采配(これを部員たちは「クロカン野球」と呼ぶ)。後援者の助言など意に介さないその態度に、周囲からは監督更迭の声すらあがっていた。4年目の夏も準優勝、その秋もベスト4に終わり、きわどい状況に立たされた黒木だったが、少数の理解者と彼を慕う部員たちの尽力により、どうにか監督の座は守られた。

そして迎えた5年目の夏。桐野は危なげなく予選を勝ち進み、決勝も接戦を逃げ切り、ついに念願の甲子園出場を果たす。だが、再び後援者側と意見が衝突したことにより、ついに黒木は野球部を去ることになった。後任を部長だった森岡にたくし、黒木はあこがれの甲子園の土を踏まずに監督を辞した。

鷲ノ森高校編

1部 坂本編

桐野を去った黒木は、しばらく家業(豆腐屋)などを手伝って残暑を過ごしていた。ある日、そんな彼のもとに鷲ノ森高校の野球部員たちがやってきた。万年コールド負けの自分たちを鍛えて欲しいという彼らの申し出にこたえ、黒木は山間の田舎チームの監督として新たなスタートをきった。

部員たちは基礎がまるでなっていなかったがたった一人、ずば抜けた素質を持つ男がいた。彼の名は坂本拓也。それから1年後。エースで四番となった坂本を中心とするチームに生まれ変わった鷲ノ森。春季大会は初戦でつまづいたが、夏の甲子園予選では坂本の好投であれよあれよと勝ち進み、ついに前年優勝校の桐野を破って甲子園初出場を成し遂げた。甲子園でも鷲ノ森の快進撃は止まらない。怪物・坂本の投打にわたる活躍、そして黒木の冴えた采配が両輪となってチームの勢いを加速させる。各地の強豪を次々と撃破し、一気に優勝までたどりついてもおかしくないほどだった。

しかし、準決勝で思わぬエラーの連発により、鷲ノ森は京陽高校にサヨナラ負けを喫する。坂本と黒木のコンビによってミラクル旋風を巻き起こした鷲ノ森は、ベスト4で甲子園を去ることになった。

2部 逆境編

生徒数の減少による廃校の噂もささやかれる中、自分の今後を心配しつつも黒木は新チームの調整を進める。チームの主力は1年生。怪物・坂本にあこがれて、春に県内各地から集まった粒よりの選手たちである。これまでの坂本のワンマンチームとは違い、新チームには柱となるべき選手はいなかった。とすれば、全員の結束で勝つしかない。彼らを走攻守のバランスのとれた理想形のチームに仕上げることが、次なる黒木の使命だった。

惨事は大会の直前に起こった。校舎が出火し、一夜で全焼してしまったのである。抱えきれない衝撃を受ける鷲ノ森野球部。県大会にどうにか出場はするものの、試合のできる精神状態ではなく惨敗を喫した。火事は思わぬ波紋を呼んだ。もともと廃校問題のあった鷲ノ森高校だったが、校舎がなくなったことでその計画が前倒しされた。来年度の生徒の募集は行われないことが決定し、野球部の未来もなくなったのである。

部員の中には、私立の強豪への転校を考える者もいた。それと同時に黒木の去就も注目された。他校の招聘に応じるのか、それとも先のない鷲ノ森にとどまるのか…。黒木の選んだ道は逆境だった。2年生3人、1年生13人、たった16人の部員たちとともに、彼はいばらの道を歩む覚悟を決め、残りの2年間に甲子園優勝への道を賭けたのである。

道は険しかった。ほとんど控えのいない中で試合を強いられる鷲ノ森は、周囲の視線からも戦わねばならなかった。「逆境で頑張る野球部」のイメージの肥大化をあおるマスコミと、それに踊らされる少年たち。投手陣が安定しないために、点を取っては取られるという展開を、何とか黒木の采配で乗り越えていった。

2度目の夏は予選ベスト8止まり。その年の秋季大会には打線爆発で優勝し、最初で最後の関東大会でもベスト4にまで進んだ。これが評価されて春のセンバツへ出場できたものの、準々決勝でまさかの大敗。土壇場で精神力の弱さが露呈する試合が続いた。

最後となった夏の大会、鷲ノ森はセンバツでのショックを負ったまま出場した。決してチームは本調子ではなかったが、部員たちの最後に賭ける思いは強く、際どい試合を何度も制して勝ち進み、決勝でも大逆転劇を演じて優勝を果たした。2度目となる甲子園でも、鷲ノ森はその強さを存分に発揮した。坂本だけが頼りの2年前と違い、今回は選手の多くが力を秘めている。最大の弱点だった精神面も、予選を勝ち抜く中で克服した。勝負所で常に打線が活躍し、鷲ノ森は順調にこまを進めていった。そしてたどりついた決勝。対戦相手は同世代NO1投手、江崎擁する京陽盛岡高校…。

登場人物

桐野高校編

黒木竜次(くろき りゅうじ=通称クロカン)
主人公。家業の豆腐屋(黒木豆腐店)をやりながら、高校野球部の監督をしている。教員ではない。現役時代は桐野高校で森岡とバッテリーを組み(ポジションは投手)、予選決勝まで進んだが甲子園出場はならなかった。卒業後も野球部の練習を手伝い、野球部OB会と後援会が市長選挙をめぐって対立、混乱のさなか桐野高校野球部監督に就任。低迷していた野球部を建て直し、着実に力をつけるが、たびたび解任騒ぎが起こる。大胆な選手起用・戦術で甲子園初出場に導く。しかし予選終了後に学校・後援会との意見の対立から辞任。甲子園では指揮を執ることはなかった。

鷲ノ森高校編

1部 坂本編

桐野を去った黒木は、しばらく家業(豆腐屋)などを手伝って残暑を過ごしていた。ある日、そんな彼のもとに鷲ノ森高校の野球部員たちがやってきた。

坂本拓也 ピッチャー:右投右打 MAX152km

投げては剛球と鋭いカーブで相手打線をねじ伏せ、打っては天与のパワーでオーバーフェンス。エースで四番という大黒柱。高校卒業後、西武にドラフト1位で指名され、プロでも奮闘14勝6敗という好成績で1年目を終える。

浅井和史(キャプテン) キャッチャー:右投右打

鷲ノ森高校のキャプテン。元々はサードを守っていたがキャッチャーにコンバートされる。坂本のストレートをキャッチ出来ないでいたが、「恐怖の特訓」を乗り越えることで克服する。

小笠原剛 セカンド:右投右打

二番を打っているが、バントはあまり得意ではないらしく、甲子園では全試合を通じて一回しかバントを決めていない。

八角和秀 サード:右投右打
駒入由和 ショート:右投右打
木挽俊憲 レフト:右投右打
山内洋平 ピッチャー、外野手:右投右打

坂本の前の鷲ノ森のエース。球速は110km/h前後で、ボールはシュート回転で真ん中に入ってくる。外野守備面では、甲子園でファインプレイを見せた。

福松春彦 ファースト:右投右打

元はキャッチャーだった。試合では代打の切り札として起用され、体型を活かして死球で出塁したり、甲子園でサヨナラヒットを打ったりしている。

大原雅也 外野手:左投左打

2部 逆境編

生徒数の減少による廃校の噂もささやかれる中、自分の今後を心配しつつも黒木は新チームの調整を進める。チームの主力は1年生。怪物・坂本にあこがれて、春に県内各地から集まった粒よりの選手たちである。これまでの坂本のワンマンチームとは違い、新チームには柱となるべき選手はいなかった。

備前大介(キャプテン)セカンド、キャッチャー、ピッチャー:右投両打

初球から積極果敢に狙うスイッチヒッターで、塁に出れば牽制の癖を見抜いて次の塁を脅かし、守れば堅実なボール捌きでピッチャーを援護。まさに走攻守揃った名選手。しかし、人はその技術よりもたぎる闘志に敬意を表し、彼を「ガッツ備前」と呼ぶ。3年夏はセカンド、キャッチャー、ピッチャーの三役をこなす大車輪の活躍ぶり。浅井の後継となる精神的支柱の役割を見事に果たした。

小鹿養太郎 ピッチャー、ファースト:右投右打

備前と同じリトルリーグ出身のピッチャー。重い速球を主体とするピッチングで、1年秋からは左の久賀と二枚看板を形成した。泣くと球威が増すことからニックネームは泣きの小鹿(バンビ)。大人しい性格で、書く文字が小さい。

久賀稔彦 ピッチャー、ライト:左投左打

鷲ノ森のバカと言えばこの選手。バカ肩、バカ足、バカ頭、まさに三拍子揃ったバカ。成績も下から何番目で、なにかにつけてバカと呼ばれる男。だが「バカになれ」がモットーのクロカン野球によって、その能力は十二分に発揮された。左腕投手で、中学時には県大会準優勝。怪物・坂本にあこがれ、強豪校の誘いをけって鷲ノ森へ入学した。ピッチング専門の小鹿と違い、運動能力に優れる久賀は外野手としても一流である。全身バネの異名があるだけに守備範囲は広い。打っては左の強打者として存在感を示した。素質だけなら抜群、しかし頭を使うピッチングができない。調子が良ければどんな打線でも敵ではないが、悪ければどんどん打たれて深みにはまる。黒木が「究極の気分屋」、「毎試合が丁半博打」と語っているように、エースナンバーをつけるにはいささか不安があった。

大竹豊 センター、ファースト、サード:右投右打

強肩強打の大型野手。1年夏は五番センター、秋からは四番ファースト。オールディフェンス体制時にはセンターやサードをつとめた。卒業後はプロに進んだ。気の強い性格で、先輩にも堂々と意見が言える。そのためか部内でトラブルを引き起こしてしまうこともあった。

田代良治 キャッチャー、ファースト:右投右打

相撲から野球に転向した異色のキャッチャー。もっとも、黒木が目をつけたのは何よりもそのパワーだった。外れも多いが当たれば長打、四番の大竹と強打コンビを組んだ。

建部浩之 サード:右投右打

ミートの上手い選手。ユニフォームが汚れるのを嫌がるなど、繊細な面もある。

堤隆俊 ショート、キャッチャー、レフト:右投右打

仕事人と評され、打撃でも守備でも安定感がある。

平田 ファースト、レフト:右投右打

一年時からファーストとして試合に出場している。三年生になるとパンチ力のある二番として活躍した。

国定 センター:右投左打

同期の13人の中で、地元の鷲ノ森村出身の部員は5人(国定、田代、桜井、木下、高野)。その筆頭格がこの国定である。地元出身者がぬけるわけにはいかないと厳しい練習に耐え抜き、解散するまで野球部の一員として活躍した。 俊足を活かして甲子園でセーフティバントも決めている。

桜井 レフト、ライト:右投右打
木下 内野控え:打撃成績なし
佐藤 キャッチャーと外野手の控え 打撃成績なし
高野 外野控え 打撃成績なし

このほかにも備前と同期の選手は何人かいたが、皆鷲ノ森の廃校決定に伴い他校へ移った。野手では鳥居、捕手では斉藤・西谷、スコアラーの若森。入学時にはあわせて二十数名はいたようだ。

ライバル校

1部 坂本編

常洋大鴨原高校(全国高校野球選手権記念・群馬大会準決勝)
桐野高校(全国高校野球選手権記念・群馬大会決勝)
鹿児島示現高校 -鹿児島代表-(全国高校野球選手権記念大会・1回戦)

2部 逆境編

花岡中央高校(群馬県秋季大会・1回戦)
岡山光輪高校 -岡山代表-(選抜高校野球大会・1回戦)
常洋大鴨原高校(全国高校野球選手権記念・群馬大会決勝)
京陽盛岡高校 -岩手代表-(全国高校野球選手権大会・決勝)

甲子園決勝で鷲の森と死闘を繰り広げる。結果は延長13回表に3点を入れられ、その裏に2点追いつくが3-2で鷲の森に敗れる。

江崎建太郎 ピッチャー:左投左打

大会NO1投手。甲子園決勝では延長12回まで一人で0点に抑える。

外部リンク