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サード・ガール/西村しのぶ

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著者: 西村しのぶ
巻数: 6巻

西村しのぶの新刊
サード・ガールの新刊

最新刊『サード・ガール 6


出版社: 小池書院
シリーズ: 道草文庫


サード・ガールの既刊

名前発売年月
サード・ガール 1 1996-08
サード・ガール 2 1996-09
サード・ガール 3 1996-10
サード・ガール 4 1996-11
サード・ガール 5 1996-12
サード・ガール 6 1997-01

サード・ガール』は1984年に西村しのぶが「COMIC劇画村塾」(スタジオシップ)で連載を開始した漫画。

概要

COMIC劇画村塾1984年4月号に掲載されたデビュー作『D-アウト』の設定をそのまま引き継ぎ、同誌1984年6月号の第1話「右手に美也」より月刊連載化。神戸というスタイリッシュな舞台設定、ブランドファッション、事実婚など、当時の感覚にマッチした絵柄やストーリーが評判を呼び、カルト的な人気を博した。

2007年現在、スタジオシップからのコミック8巻(絶版)、小池書院からの文庫版6巻および「完全版」と銘打ったA5版8巻が刊行されている(詳細は後述)。

あらすじ

大人の恋愛関係にある工学部生の涼と美也に、中学生の夜梨子が加わり、神戸を舞台に「プラトニックな三角関係」を繰り広げる。やがて涼・美也は同棲を始め、夜梨子は高校、短大と進学しながら淡い恋愛経験を重ねていく。

美也と広瀬の間に見られる「若い女と中年歯科医」という恋愛関係など、後の西村作品で繰り返し用いられることになるモチーフが各所に見られる作品でもある。

登場人物

佐々木涼:主人公の1人。国立K大学電子工学科を卒業して建築会社に勤める。大学時代に美也を口説き落とし、卒業とともに事実婚状態になる。浮気性で、美也と恋人同士でありながら頻繁に他の女性に声をかけるが、女性には尽くすタイプ。本編では数少ない東京出身者。愛車は日産・シルビア(S110)。身長180cm。
岸田美也:主人公の1人。神戸出身で、国立K大学電子工学科を卒業して悪友まりをの経営するブティックに勤務。結婚・出産という既成の人生設計に反発しつつ、家事はまめにこなす。時代劇マニア。身長167cm+ヒール7cm。
神崎川夜梨子:主人公の1人。神戸出身で、聖K女学院中等部・高等部・短大とエスカレータ進学。中学時代に大学生の涼にナンパされ、それ以来自称「愛人」として付き合うことになるが、プラトニックな関係を超えることがない。幼稚園の先生を目指し勉強中。身長155cm。
大沢悠也:夜梨子の彼氏。神戸のR学院から京大に進学して夜梨子と疎遠になり、「年上でロングヘアーの京女」にたらし込まれたところを目撃されて夜梨子と別れる。
久遠寺まりを:美也の悪友。ブティック経営。
広瀬和正:歯科医。妻子がありながら、かつて美也と不倫関係にあった。
田野喜美子:通称「たのこ」。夜梨子の同級生・親友で、大沢を紹介した。
松井浩一:大沢の同級生・親友で、たのこの彼氏。K大に進学する。
水野和臣:通称「カズ坊」。K大生。松井の高校テニス部以来の後輩。松井に紹介され、夜梨子の新しい彼氏となる雰囲気。

掲載誌・単行本化

本作品は、多くの漫画雑誌を転々としたことでも知られる。

当初の掲載誌であった劇画村塾は、第48話「クロース・イナフ」が掲載された1988年5月号をもって休刊。その後、第49話「キンダー・ガーデン」のみ「コミックHAL Vol.1」(1989年6月, スタジオシップ)に掲載され、続く第50話「不思議の街のピアス」(1991年10月)から第60話「STRAWBERRY SUPREME」(1994年4月)までは、季刊誌「コミック・コサージュ」(スタジオシップ)に掲載されたが、同誌も休刊。その後、新作は発表されていない。

こうした度重なる連載中断により、単行本の掲載内容も時期によって差がある。スタジオシップから刊行された全8巻では『D-アウト』(「Prologue: D-アウト」と改題)および第1話から第58話まで収録されており、第59・60話は未収録となっている。また、第53話「TRAIN DANCE」と共にコサージュ1992年7月号に掲載された、サード・ガール番外編にあたるショートストーリー「まりをちゃんのこと」もコミックス未収録となっている。

1996年に小池書院から刊行された文庫版6巻では、第57話「ラブ・ストーリー」までの収録となっている。

2006年10月から2007年5月にかけて、小池書院から「サードガール 完全版」として全8巻が刊行された。この版では連載時のカラー表紙などに加え、上記各版で未収録であった第59話と第60話(第8巻)および番外編(第7巻)も収録され、既発表済みのストーリーについてはすべて単行本化されたことになる。また、完全版では表紙や背表紙からあとがき文章に至るまで、すべて中黒のない「サードガール」で表記が統一されている(コミック版あとがきの再掲載に関しては、中黒ありの「サード・ガール」表記が残っている)。

なお、文庫版あとがきでは書き下ろしコミックス第9巻の予定も述べられたものの、2007年段階で未刊行である。また、タイトルの意味は長らく秘密となっていて、西村自身がインタビューにおいて「詳細を最終回で明かす」と述べていたが、これは完全版第8巻のあとがきで明かされた。こうした点から、作品としてのサード・ガールは完全版第8巻で終了したと考えられる。

トピックス

  • 1986年から1987年にかけて、夜梨子がNTT中国総支社のキャンペーンキャラクターとして採用された。
  • 登場人物の出身校は当初イニシャル表記で隠していたが、夜梨子の大学進学ごろからK大→神大、R学院→六甲学院と明らかになった。
  • 夜梨子の自宅は神戸市灘区六甲町という設定になっている。また阪急電車の利用者であることを示唆するセリフがあることから、阪急六甲駅に近いエリアと想定される。涼と美也の暮らすマンションは「北野ルイ・ハイツ」という名称であり、神戸市中央区北野町付近のエリアと想定される。