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デスハンター/桑田次郎

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著者: 桑田次郎
巻数: 3巻

桑田次郎の新刊
デスハンターの新刊

最新刊『デスハンター 3


出版社: パンローリング
シリーズ: マンガショップ


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

tera_mono 平井和正/桑田二郎「デスハンター」の設定と大筋を初めてwikiで知る。「憑依侵略もの」とでも呼ぶべきジャンルとしてはハインラインの「人形使い」などが古典だろう。はるか後年の「寄生獣」もその亜種に入れてしまっていいだろうか。

デスハンターの既刊

名前発売年月
デスハンター 1 2005-01
デスハンター 3 2005-01

デスハンター』は、『8マン』を大ヒットさせた平井和正・桑田次郎(現:桑田二郎)コンビによる漫画作品である。1969年、『週刊ぼくらマガジン』に連載された。平井和正はこのマンガの原作を小説形式で執筆しており、その原作原稿は後に小説として結実、『死霊狩り』(ゾンビー・ハンター)三部作となった。なお、この小説『死霊狩り』は、梁慶一作画により『死霊狩り』として再漫画化されている。

ストーリー

レーサーの職を失って自暴自棄になっていた田村俊夫は、シャドウと名乗る男の誘いに乗り、ジャングルでの命懸けの選抜試験に挑む事になり、片腕と片目を失いながらも、元女テロリストのリュシール・ブルーエ、中国人の元工作員・林石隆と共に試験に合格する。義眼と義手を与えられてサイボーグ化された俊夫は、大勢の人間を虐殺する為としか思えない過酷なテストに憤りシャドウを殺そうとするが、シャドウが彼らを選抜した理由が、人間に取り憑いて凶暴化させる謎の生命体とその憑依体「デス」を密かに発見・抹殺する「デスハンター」の組織結成の為と知る。

そして日本に戻った俊夫は、かつての恋人・マリアンヌが自身を誘拐した男達や俊夫の姉を惨殺したデスとなっている事を知り、凄惨な戦いの末に彼女を倒す。そしてデス化の疑いがかけられている加賀見技師一家に近づき、その妹・良子に惹かれるが、加賀見家は妻、幼い子供2人、飼い猫、そして良子までもが憎むべきデスであり、加賀見技師はその事を知りつつも、デスとなった家族を愛していたと告白。俊夫は愕然とする。そして結果として加賀見一家を全員葬った俊夫は次第にシャドウの望む冷酷な殺人者と化していき、かつての仲間に捕らえられたリュシールが拷問され痛めつけられた上に顔の皮を剥ぎ取られた瀕死の状態で帰還しても、何の感情も抱かない人間となっていた。

そんなある日、孤島にあるデスハンター基地にデスが侵入、次々とデスハンターたちが殺されていき、基地内はパニックになる。シャドウは基地を見捨てる事を決断するが……。

小説『死霊狩り』との比較

小説版と対比すると、小説でのゾンビーがデス、ライラ・アミンがリュシール・ブルーエ、加賀技師が加賀見技師、Sがシャドウというように、何人かのキャラクター名称が異なっている。また少年誌掲載の漫画という事もあり、小説でのジャンジーラ(マンガではマリアンヌ)が誘拐グループに性的暴行を受けていた痕跡や、人種差別主義者のゾンビーハンターと俊夫の間で半狂乱になった女職員のエピソードといった、性的な要素が殆ど存在していない。

ただし残酷描写は、拷問で生爪を剥がされた上に顔の皮を剥がれたリュシールの顔をそのまま見せたり、銃撃で顔の半分が崩れ去った血まみれのマリアンヌが執拗に俊夫に向かってきたり、デスに殺されたデスハンター(イワノフ)の生首が転がったり、銃撃で人間の顔を吹き飛ばしたり、毒ガスによって痙攣しよだれを垂れ流しながら林石隆が悶死したり、桑田次郎がそのシャープな画風を駆使して、今読んでも直接的と感じる凄惨な描写が多い。

本作が最も小説版と異なっているのは、その結末であろう。小説ではシャドウ (S) が基地に中性子爆弾を仕掛けて脱出、それを解除しようとする林石隆が毒ガスによって倒れ、俊夫が基地に侵入したデス(ゾンビー)からその本当の正体と目的を知らされる中、爆弾が爆発して全てが終わってしまう。

しかし本作ではその後が描かれている。シャドウに妻子を人質に取られた一人の男が、その指示により不死身の肉体と生命を保証する新興宗教を探りに行き、そこでデスによって進化した俊夫とリュシールの2人と出会う……というもので、小説版で最後のどんでん返しとなっていた人類とデス(ゾンビー)の存在の違いをさらに拡大し、シャドウたち「野蛮で残虐な人類」の時代がやがて終えることを示唆した、非常に宗教的なメッセージを強調した終結を迎えている。

登場人物

田村俊夫
主人公。「東和自動車」の元専属レーサー。自動車の故障による大事故から数度の手術を経て、奇跡的な回復を果たすが、東和自動車より解雇される。自暴自棄の中での暴力沙汰で逃走中の俊夫を、莫大な報酬と共にスカウトしたのは、シャドウだった。過酷な熱帯ジャングルのサバイバルテストの中で、知り合ったリュシールや林らと共に、宇宙からの侵略者"デス"を抹殺するデス・ハンターの道を進む。数次にわたるサバイバルテストの結果、右目と左腕を失うが、代わりに赤外線を見ることが出来る義眼と怪力を発揮する義手を装着している。
リュシール・ブルーエ
アラブゲリラの一員であった女性。指揮官として決行した旅客機ハイジャックで、着陸に失敗し重傷を負うが、極めて強靭な生命力で生き残り回復したため、シャドウにデス・ハンターとしてスカウトされる。サバイバルテストの中で、俊夫や林と助け合い、友情を持つようになる。
(3巻)任務途中で、アラブゲリラの元仲間に囚われ、裏切り者とされ凄惨な拷問を受ける。半死半生の姿でデス・ハンター基地に帰還するが、廃人同然とみなされる。しかし、デス・ハンター基地に潜入したデスは彼女に憑依し、破壊工作を開始した。
林石隆
元某国の破壊工作員。破壊活動の中で、不死身といえる生命力を示したことから、シャドウにスカウトされ、デス・ハンターのひとりとなる。サバイバルテストで知り合った俊夫やリュシールに友情を持っているが、工作員としての経歴の長さから、俊夫の精神的な弱さを案じている。
(4巻)半ば夢見心地での「良子」との再会で洗脳状態から自我を取り戻し、リュシールを見捨てることが出来ないとデス・ハンター基地の残留を選んだ俊夫に殉じて、林もまたシャドウの命令を拒絶し、デス・ハンター基地残留を選ぶが銃撃され重傷を負う。意識を取り戻した林は医師の協力を得て、基地自爆用の中性子爆弾の時限装置を解除しようと図るが…。
シャドウ
デス・ハンター機関の司令官。銀髪に常にサングラスで、感情を一切現さず、暴力の脅迫にも動揺する様子がない。ある航空事故に際し、偶然撮影され回収されたフィルムより、人間に寄生する宇宙からの侵略者"デス"の存在を知り、"デス"を抹殺するデス・ハンター機関を創設する。CIA設立者アレン・ダレス長官作中で明記されている設定。史実ではない。の懐刀だったと言われ、それ以外は生まれも経歴も一切不明。その冷静な立ち居振る舞いとは裏腹に内面は不気味なほどに冷酷かつ破壊的で、関わる人間を敵味方第三者の区別なく殺戮と破滅へ導いていく。ある意味、"人類悪の権化"のような人物。姉と恋人の死の原因となったシャドウを、俊夫は誰よりも憎悪している。
田村俊夫の姉
俊夫の家族。愛情深い人物で俊夫の心の支えでもあった。林の元仲間である某国工作員グループにより、誘拐される。
マリアンヌ
俊夫の恋人。俊夫の姉と家族同様に暮らしていたが、俊夫を脅迫するため、某国工作員グループにより誘拐される。だが、マリアンヌは既にデスに憑依されていた。
加賀美技師(2,3巻)
本名・加賀美明。「コスミック電機」の元技術者。実用レベルのレーザー兵器に流用できるレーザー光線を開発したため、CIA他各国の工作員から狙われるが、その最中に工作員が惨殺される事件が発生したため、デス・ハンター機関よりデス汚染を疑われる。
加賀美良子(2,3巻)
加賀美技師の義妹。加賀美家への潜入を試みた俊夫の標的となるが、俊夫は意図せず彼女に心惹かれていく。だが、某国工作員の加賀美邸襲撃の最中、俊夫は、既に良子がデス汚染されていたことを知る。しかし、良子の行動は俊夫のデスに対する固定観念を大きく揺るがすものだったため、俊夫に甚大なトラウマをもたらす結果となった。
加賀美陽子(2,3巻)
加賀美技師の妻。某国工作員の襲撃に対し、加賀美技師が作り上げたレーザー兵器を用いて、地獄絵を作り出す。その光景に、俊夫は彼女がデス汚染されていることを知る。
加賀美英夫(2,3巻)
加賀美ナナ(2,3巻)
加賀美技師の子供たち。
ケント(2巻)
加賀美家潜入に対して、俊夫に協力するCIAの幹部。デスというものを知らず、俊夫の慎重な態度を笑うが、俊夫の義手の怪力のデモストレーションに態度を改める。
白人デス・ハンター(3巻)
レイシストであり、デス・ハンター専用食堂で黒人デス・ハンターが同席することを嫌い私闘からついには刺殺してしまう。俊夫に対しても、その鉾先を向け私闘を仕掛けてくる。
デス・ハンター基地の暴徒たち(3巻)
侵入したデスの破壊工作により、パニック状態に陥り、武装して、目をつけた人物をリンチ・惨殺することを繰り返していたデス・ハンター基地の職員たち。私刑を制止しようとした林にも従わず、一触即発の状態に陥りかけるが、林より通常人とデス汚染された人間との識別法を教えられ、パニックは収拾された。
イワノフ(3,4巻)
林から「デス・ハンター一の怪力」と評されたデス・ハンター。デスによるデス・ハンター基地襲撃に際し、惨殺され、首だけが転がる無残な姿となる。
デス・ハンター基地の医師(4巻)
デスに襲撃され、壊滅状態となったデス・ハンター基地を、デス・ハンターだけで撤退するシャドウの命令を拒絶し、銃撃を受けた林に手当を施す医師。シャドウが残した時限式中性子爆弾を止めようとする林に協力するが、解除装置に仕掛けられた毒ガスにより悶死する。
木村(4巻)
「毎朝新聞社」の記者。デス化し、帰国した俊夫とデス・ハンター機関との銃撃戦に巻き込まれ、妻子をデス・ハンター機関に人質に取られ、シャドウの命令で記事の差し止めと、俊夫が身を寄せる宇宙救済協会への取材を命じられるが…。

各話タイトル

巻数は朝日ソノラマ社刊サンコミックス版による。

  • 第1巻
    1. その男の名はシャドウ
    2. 死のジャングルテスト
    3. たすけた少女
    4. 新しい仲間
    5. 生きのびたものたち
    6. 第二次テスト
    7. 悪魔のような男
    8. 片目 片腕
    9. シャドウとの対決
    10. おそるべき記録
  • 第2巻
    1. そこでなにがおこったか
    2. マリアンヌの正体
    3. デスを殺せ
    4. ふたたびカリブ海へ
    5. 憎しみの中に生きる
    6. 疑わしきは殺せ
    7. 行動開始
    8. これが罠か
    9. おそるべき殺人光線
    10. 悪魔の心をもて
    11. 人間の皮をかぶった悪魔ども
  • 第3巻
    1. 地獄をつくりだした奴は?
    2. 炎の中で
    3. 幻の中で
    4. 冷血動物の顔
    5. 重症のリュシール
    6. デスの潜入
    7. 死こそわが友
    8. わたしはデスじゃない
    9. デスに血はない
    10. 俊夫は俺が料理する
    11. 良子の眼を持つリュシール
  • 第4巻
    1. すがたなきデス
    2. 俊夫を射殺せよ!
    3. 見すてられたリュシール
    4. 死臭の部屋
    5. ゼロ…光…死!
    6. おれは人間じゃない!
    7. それは人類のガン細胞
    8. あたらしい人類

脚注