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トライガン/内藤泰弘

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著者: 内藤泰弘
巻数: 2巻

内藤泰弘の新刊
トライガンの新刊

最新刊『トライガン N-2


出版社: 少年画報社
シリーズ: YKコミックスネオ


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

tokimekini_sis RT @wtamoriw: なにこれ?と思ってる人いるだろうけど、血界戦線前に連載してたトライガンと同時進行で内藤先生がキャラクターデザインと監修していたゲームなんです。 PS2で2作あって、十数年ぶりに昨年続編がVRで発売、そしてまた続編が予約始まったよ!なんか皆んな知らない…
oowatarikarasu @7hgii81 しかもキャラデザは血界戦線やトライガンの内藤泰弘先生やで!
Huris056 RT @sow_LIBRA11: るろうに剣心 トライガン ヘルシング パンプキン・シザーズ プラモ狂四郎 宵闇眩燈草紙 無敵看板娘 からくりサーカス ブラックジャック #読んだマンガも人間性に影響するらしいのであなた人生のベスト10を教えて あと一つはあえてカードを…
Flag_ham 黒田洋介に推しを殺された過去を持つマンがトライガンを読み始めました
tataki_noon RT @hartamanga: 2月15日発売。『S.Flight 内藤泰弘作品集』。『血界戦線』『トライガン』の内藤泰弘、若き日の傑作短編がついに単行本化!コミティア100で頒布され、既に入手困難となっている同人誌『S.Flight』をB6サイズに再編集。1989~1997に…

トライガンの既刊

名前発売年月
トライガン N-1 2010-01
トライガン N-2 2010-01

トライガン』は内藤泰弘による日本の漫画作品。またそれを原作にした日本のテレビアニメ作品。

当初の掲載誌の『月刊少年キャプテン』が廃刊した事により、『キャプテン』に掲載されていた『トライガン』と、その後『ヤングキングアワーズ』にて連載再開した『トライガン・マキシマム』の2作品という形をとっている。

概要

地球から遠く離れた、過酷な自然の中でどうにか人類が暮している星を舞台に、600億$$(ダブドル)の賞金首、「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」ことヴァッシュ・ザ・スタンピードが繰り広げるガン・アクション。

アメコミに強い影響を受けている一方、欧米でも愛好者が多い作品で、コミック巻末のオマケ漫画において、内藤当人の尊敬する海外の著名人であるジェフ・ダロウから「貴方の本を持っている」と言われたという事もあった様子が書かれている。筆者によれば、このオマケまでも吹き出し外まで訳される徹底振りだという。

漫画版『トライガン』(1995年 - 1997年)

『月刊少年キャプテン』(徳間書店)で連載。まず1995年2月に読みきりとしてパイロット版が掲載された。既に世界観は確立していたが、主人公の描写などの細かい点には若干の差違が見られる。そして同年4月より同誌で連載を開始。しかし、1997年1月の『月刊少年キャプテン』の休刊で連載は途中で休止した。

内藤は後述の「トライガン・マキシマム」で連載を再開した際は、中断した部分のエピソードに一旦けりをつける形でストーリーをはじめ、中断していた部分については、アニメ版の特集も兼ねた1998年発行のアニメージュ9月号増刊「トライガン最終完成型」で残りが描かれて完結している。

単行本は徳間書店で全3巻(最終話は「トライガン最終完成型」にさらに描き下ろしが加わった)。後に少年画報社より、2冊に再構成され復刊されている。本編内容は同じだが、表紙及び巻末のオマケ漫画が差し替えられている。

漫画版『トライガン・マキシマム』(1997年 - 2007年)

内藤は1997年10月より少年画報社の『ヤングキングアワーズ』にて「トライガン・マキシマム」(以下「マキシマム」と表記)として連載を再開した。先述のように『トライガン』(以下「無印」と表記)の中断部分から再開せず、一旦ストーリーを区切って新たに始められている。

実に10年近い長期人気連載となり、2007年5月号で完結した。単行本は全14巻。

2009年度星雲賞コミック部門を受賞。

漫画版『トライガン 番外編』(2010年)

「ドドンゴ兄弟ハニーカムドビレッジの決闘」『ヤングキングアワーズ』2010年5月号・6月号にて掲載された。

『雷神-RISING-』(2010年)

GUNG-HO-GUNSの雷泥・ザ・ブレードを主人公にしたスピンオフ作品。作画は竹山祐右。『ヤングキングアワーズ』2010年4月号に掲載された。

あらすじ

砂だらけの荒涼たる大地、容赦無く照りつける二重恒星からの日差し……ここは5つの月を従えた砂漠の星。人々は荒れた大地にしがみつき、血と汗で大地を湿らせながら細々と生きている。そのささやかな暮らしも、荒くれどもが銃をぶっ放して台無しにすることもある……ここはそんな世界。

その過酷な世界に1人、赤いコートにトンガった金髪の、トラブルメーカーがいた。名をヴァッシュ・ザ・スタンピードという。彼は荒涼としたこの世界を放浪しながら、何かを探している。分かっているのは彼が凄腕のガンマンで、とてつもなくタフで、そして、筋金入りの平和主義者だということ。気のいい青年だが余りの傍迷惑ぶりに、付いた渾名が「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」。とうとう局地災害指定を受ける羽目になった彼には、保険会社からお目付け役が派遣される始末。

しかし、彼には幾つもの秘密と、胸に秘めた決意があった。

登場人物

声優は1998年のアニメ版の担当者。なお、次回予告のナレーションはヴァッシュ役の小野坂昌也かメリル役の鶴ひろみが担当している。

主要登場人物

ヴァッシュ・ザ・スタンピード
声:小野坂昌也
真紅のコートに身を包み、重量級のリボルバー拳銃と義肢である左腕に仕込んだ隠し銃を持ち、決して人を殺すことはなく、その超絶的な銃捌きで騒ぎを収めようとするものの結果として騒ぎを大きくしてしまうが、それでも死者は決して出さない平和主義者。
通り名「スタンピード (stampede)」には「すたこら逃げる」と「(カウボーイから見た)飼い牛の暴走」の2つの意味がある。
箒のようにツンツンに逆立てた金髪がトレードマーク。一見して間の抜けた20代の優男で、馬鹿がつくぐらいのお人好しで、ドがつくほどの平和主義者。反面、一度決意したことは決して曲げない強い意思の持ち主。
人命を守ることに拘り、たとえその人間が大悪党であっても他人が死ぬのを放っては置けない性格が災いして、トラブルに首を突っ込んだり自ら巻き起こしたりする事も多々あるトラブルメーカー。自身の超人的な戦闘能力とその首に掛けられた賞金額の大きさがその最たる所以とはいえ、余りの傍迷惑ぶりから人類初の局地災害指定を受ける。
普段はコートに隠れていて分からないが、その下には人を殺さずに殺伐とした世界を生きてきたが故の“代償”が数多く刻まれている。超人外の戦闘能力、身体能力、射撃技術とずば抜けた反射神経、しぶとさを持ち、随所で人間を遥かに超えた能力を見せる。
その正体は、突然変異によって生まれたプラントの「自立種」。百数十年もの間生き続け、大墜落(ビッグフォール)から生き延びた人類とその子孫を守るため、惑星中を彷徨っている。また、右腕にプラントとしての強大な力を発揮する機構「エンジェル・アーム」を秘め(原作では腕自体に内蔵、アニメではマイクロ・プラントが仕込まれた銃と融合して発動)、遥か上空でエネルギーが炸裂しただけで数千万人規模の大都市ジュライを一瞬の内に消し去り(後に「ロストジュライ」と呼ばれる)、発射の衝撃で巨岩の都市を消し飛ばし、発射されたエネルギーは月に地上から確認出来るほどの巨大な穴を穿っている。特に前者は彼の大きなトラウマとなっている。他のプラントと交信、同調することも可能。
双子の兄弟であるナイブズの凶行を阻止するために旅を続けている。
メリル・ストライフ
声:鶴ひろみ
ヴァッシュの起こす「災害」を査定するベルナルデリ保険協会の外交員として彼に同行するが、その旅を通じてヴァッシュと触れ合い、やがてこの星の人類の存亡に関わる事件に巻き込まれていく。
黒髪ショートヘアの小柄な女性で、白いマントの様な服を羽織っている。口調は丁寧(いわゆるお嬢様口調)で、性格は常識的。ヴァッシュと一緒に旅をしているうちに、彼に惹かれて行く。
ハイスタンダード・デリンジャーを扱う早撃ちの名手であり、マントの下にデリンジャーを大量に隠し持っている。
ただし、自ら積極的に引き金を引くことは滅多になく、専ら「切り札」としている模様。原作では銃に対する嫌悪感を持っていたが、射撃教官の「男女の力の差を無くしてくれる力」という助言から持ち歩くようになったエピソードや、初めて人を撃った際に精神的ショックで人目も憚らず嘔吐した事があるエピソードなどが語られている。
ミリィ・トンプソン
声:雪乃五月
メリルの後輩で彼女と行動を共にする。メリルとは対照的に大柄で、非殺傷性の大口径・大型スタンガン(一般的にイメージされる電撃護身具ではなく、十字型に展開する「空飛ぶ金属棍棒」を発射する銃)での中長距離攻撃を得意として、またこの重量級火器を片手で軽々と扱う怪力の持ち主である。反面、顔付きや性格はとても女の子らしく、子供好きで他人思い。大家族の末っ子で、旅先では甥っ子姪っ子に送る手紙を「月刊ミリィちゃん」と称して綴っている。天然で少々図太く、暢気過ぎる所もある。
アニメではウルフウッドと阿吽の呼吸で即興漫才を展開し、また彼の死の直前には一夜を共にしたような描写があり、想いを通じ合っている。ヴァッシュによれば、当人は全く自覚していないが、実はかなり勘がいいようだ。原作ではウルフウッドと特別に親密になる描写は無かったが、最終章で合流したブラドにウルフウッドは遠い所に行ったと聞かされた際、その意味を察し、涙を流していた。
メインキャラの中ではアニメと原作で最も容姿に差異が見られる。アニメでは濃い栗色の髪を背中まで伸ばし、身に着けたインバネスコートも細かい配色が施されていた。原作では金髪にブルーアイ、髪はマキシマム以降は肩までの長さで外はねするスタイルになっている。無印ではアニメとデザインはほぼ同じでクリーム色と茶色を基調とした配色のインバネスコート、マキシマム以降は真ん中に十字の飾りがついた緑色の前開きコート(ケープは黒)を着用している。
ニコラス・D・ウルフウッド(ニコラス・ザ・パニッシャー)
声:速水奨
関西弁らしき言葉を喋り、巨大な十字架を背負う牧師。砂漠で行き倒れになりかかっていたところ、ヴァッシュと奇妙な出会いを果たす。
情に篤い反面、冷酷非情なリアリストである。自らの悲惨な生い立ちから、ヴァッシュの「全ての命を尊ぶ」姿勢に反発しながらも、彼と同じように軽くあしらえる相手に対しては急所を外し殺さないようになる。
その正体は、暗殺者集団ミカエルの眼にて戦闘訓練と生体機能強化手術を受け、人外の戦闘能力と身体能力を持つに至った殺し屋。卓越した戦闘センスを以て、巨大な十字架型の重兵器「パニッシャー」を使いこなす。殺し屋としての通り名は兵装と断罪者の名を冠した「ニコラス・ザ・パニッシャー」。ナイブズには射殺した(と思い込んでいた)マスター・チャペルの名を騙り接触し、GUNG-HO-GUNSに名を連ねた。
代謝速度向上による超回復力と引き替えに老化が進んでおり、見た目は30前後の風貌だが実年齢は10代から20歳程度と推測される。
フィフス・ムーン事件後、行方をくらませていたヴァッシュを探し出し、ナイブズの元へ導くことを使命として行動するが、次第に奇妙な友情が芽生えていく。
故郷である孤児院(実は、「ミカエルの眼」の候補生を選び出す為に維持されている施設)に住む家族を守るため、ミカエルの眼からの刺客であるリヴィオとマスター・チャペルに単身で挑む。最初は敵側の圧倒的な攻撃力に劣勢を強いられ心身共に絶望の淵に陥るが、やがて乱入したヴァッシュと共闘、その生き様からリヴィオを改心させることで、辛くも勝利を修めた。しかし戦闘のために致死量の代謝促進薬投与を行い、命を失うことになる。変わり果てた自分を温かく迎えてくれた孤児院の家族の想いに涙を流し、盟友・ヴァッシュとの酒の席で静かに息を引き取った。
アニメでは設定が大きく異なる主要キャラクターである。チャペル・ザ・エバーグリーンの弟子であり、GUNG-HO-GUNSの正規メンバーではない。また生体機能強化手術は受けていないので、肉体的には通常の人間である。最期はレガートに操られたエバーグリーンの攻撃を受けて、教会まで何とか辿り着いた後に「死にたくない」と言って息絶えた。
ミリオンズ・ナイブズ
声:古澤徹
ヴァッシュの双子の兄。
人間を一途に信じようとする弟とは逆に、プラントをひたすら搾取するだけの人類に憤り、人間達を星の寄生虫と断じてその全てを抹殺せんとし、それ故ヴァッシュと対立する。ヴァッシュの左腕を切り落とした張本人でもある。
ヴァッシュと同じくプラントの自立種にあたる。またその力を巧みに操る術を知っているために人間の常識を超越した圧倒的な力を示し、レガートを指先で軽く「縦に押し潰す」描写もある。「持ってくる」力により刃状に変化させた腕を自在に操り、その力は一瞬で大気圏外の人工衛星を切断、一瞬で大都市をガレキの山に変えるほどである。刃の先端は平面化された次元の刃であるため、どのような物でも斬り裂く。更に「持っていく」力で対象を次元ごと追放する事も出来る。その能力と人外の身体能力に加えて更に他のプラント達と融合して、惑星そのものを滅ぼしかねない力を手にする。
元々は「人間と自分達は共存できる」と信じていたが、原作において先に生まれていた(=ナイブズ達の姉に当たる)自立種テスラ(後述)に人間が行なった仕打ちを知って――アニメ版では、人間の愚かしいまでの自分本意主義を目の当たりにして、人類に対して絶対的な憎悪と殺意を抱くようになり、150年前に人類が砂の星に落ちる大墜落の原因を作った。
レガート・ブルーサマーズ
声:関俊彦
ナイブズ直属にして腹心の部下であり、GUNG-HO-GUNS(ガンホーガンズ)のナンバーズとは一線を画す存在。
他者の身体を、その肉体の限界を超えて意のままに操る(たとえ複数であっても、また死体であっても)という特殊な能力を持つ。
原作ではレガートが万全の状態ならこの技に誰も抗うことは出来ない。
原作では相手に微細な金属糸を刺し微電流を流し直接に肉体を操る技で、後に自力では動かせなくなった自分の体でさえ、その能力で完璧に操れるまでになっている。
加えて、物語終盤におけるヴァッシュとの戦闘では、受けた傷の縫合、人体の限界を完全に無視した脳内麻薬の操作、防衛反応を示すヴァッシュの「力」を見切るための結界としても利用している。
また身体能力も自身の4倍以上ある超巨大鉄球ゲルニカ(アイアン・メイデンにも似た得物でモーニングスター状。いくつか突起がついており、それがパージされると中から機関砲銃身が現れる)を軽々と片手で持ち上げたり、銃弾よりも遥かに速い尖翼に先んじて相手の背後を取る速度で動いたり出来る程であり、体が使い物にならず箱に収まっていた状態でもわずか数センチの距離から放たれた銃弾も撃たれた後に避ける事も出来る。
アニメにおいては、念動力と催眠術を合わせたような非接触の遠隔操作である。
狂信的な性格の持ち主で、いついかなる時もナイブズへの狂的なまでの忠誠心は揺るがない。
後述する過去の境遇ゆえに「世界」や「人間(自分を含めた)」というものに全く関心を示しておらず、ただナイブズへの忠誠を示すことのみを唯一の存在意義としている。
ナイブズがヴァッシュに執着することを快くは思っておらず、彼に対しては特に思い入れを持ち、執拗につけ狙う。
最初の接触でヴァッシュにコインケースを渡し、GUNG-HO-GUNSと彼を戦わせる。しかし、この行動がその当時ヴァッシュが引き起こした「ロスト・ジュライ事件」により身体が使い物にならなくなっていたナイブズの不快感を招き、復活したナイブズに一蹴されてしまう。その為に『マキシマム』では長い間、自身の四肢が使い物にならなくなっていた。
元はどこかの砦の有力者の性奴隷として飼われていた。その状況から逃げ出すため砦の住人皆殺しを決意するも、当時は力が足りず未遂に終わる。罰として殺される直前にナイブズによる大殺戮が起こるが、意図せずに自ら仕掛けてあった金属糸でナイブズを操って死を免れる。その後、ナイブズの存在そのものに心酔して、彼の腹心になる。
GUNG-HO-GUNS(ガンホーガンズ)は、始めの内こそレガートの指示により“ヴァッシュの死”を目的としていたが、レガートがナイブズに一蹴された後(『マキシマム』以降)は、“ヴァッシュに最高の苦しみを与える”ことに変更された。しかしGUNG-HO-GUNSのメンバーはそれぞれの理由でGUNG-HO-GUNSに所属しており、必ずしもレガートに従っている訳ではない。
また、ウルフウッドはナイブズから直接ヴァッシュを連れて来るように指示されて行動していたが、レガートには知らされていなかった。
因みにヴァッシュに渡されたコインケースは、自分の必殺技である金属糸の動きを封じる電磁場発生装置であった。
原作、アニメ共に、「不殺」を誓うヴァッシュに自らを殺させることでその誓いを破らせた人物。
レム・セイブレム
声:久川綾
地球からの移民船団を運行していたクルーの1人であった黒髪の女性。船内にて異質な存在として生まれたヴァッシュとナイブズを保護して育てた、ヴァッシュ達の母親のような存在。独自の哲学と強い信念を持っており、命を賭けて誰かを守ろうとするその献身の姿と思想が、後のヴァッシュの行動原理となっている。
大墜落にて、ヴァッシュとナイブズを避難させた後、最後まで移民船団を救う為に母船に残り続け、制御不能な衝突コースの船と運命を共にした。最期まで、自分の子供のように思っているヴァッシュとナイブズを気遣っていた。
原作では、移民船クルーとなる以前に「アレックス」という名の恋人が存在した(そして、おそらくは既に亡くなっている)事が示唆されている。
尚、ヴァッシュの真紅のコートも、レムの大好きな花「ゼラニウム」の色をイメージしており(ゼラニウムの花は数種類あり、色も様々なので、おそらくレムが好きだったのはその中の赤い花を咲かせる品種だと思われる)、花言葉は「決意」である。
アニメ放映当時、原作では短い回想シーンのみの出演だった為、アニメ版では清楚で華奢な雰囲気でまさに聖母といった風体であるが、原作の過去編では太い腕を持ち、錯乱したヴァッシュがナイフで自殺しようとした時には文字通り身体を張って止めるなど、母性だけでなく父性も併せ持つ気丈で力強い存在として描かれている。また、ヴァッシュとナイブズの誕生パーティーに鼻眼鏡をかけたり、クルー仲間のジョークに軽口で返すなど、ユーモアや茶目っ気もある。
レブナント・ヴァスケス
本名はウィリアム(ビル)・コンラッド。ナイブズ一派からは「ドクター」と呼ばれていた、ナイブズの主治医的存在。レムとは同じ移民船のクルーであり、彼女と同じくヴァッシュ達の存在を他のクルーには秘密にしていた。
大墜落後にヴァスケス伯を名乗り、プラント技術者の権威として暮らしていたが、ナイブズによって同行を強要される(その際に死んだ事にされ、ヴァッシュに殺害容疑が掛けられる)。研究者としての知的探究心に流され助力、ヴァッシュとナイブズに「エンジェル・アーム」の施術を施したが、その一方でプラントの力を使用する度に命を蝕む黒髪化を待っていた(万が一2人が暴走した際、彼らが人間を滅ぼすのを阻止する為)。黒髪化発現後のナイブズによって殺害され、唯一の解決策である「DNAコード」は永久に封印された。
アニメ版でのヴァスケス伯は、別個のキャラクターとして描かれている(こちらにはコンラッドが登場しない)。レムの血縁者であったが、レムに執着するヴァッシュを挑発するためにナイブズにより殺害され、ヴァッシュがその犯人として濡れ衣を着せられた。
原作、アニメ版とも、ロストジュライ事件が起こるのはこの直後の事である。
テスラ
ヴァッシュ達が生まれる前に誕生した女性型自立プラント。誕生と同時に「新たなる種との遭遇」「世紀の大発見」と狂喜したプロジェクトSEEDSのメンバーによって観察がなされた。初めはただの観察の域を出ないものだったのだろうが、次第にその行為はエスカレートし、倫理的・人道的に外れる手段を用いてまで彼女を調べつくした。この中でテスラは急速に衰弱、最後には無理な治療まで施されたが死亡(作中では「機能停止」と書かれている)、その遺体は解剖され標本にされた。死した彼女や当時の記録との出会いが、その後のヴァッシュとナイブズの関係を大きく狂わせ、道を分かつ結果となった。なお、この事件はSEEDSクルーらにとってもトラウマだったらしく、かつてのそのブロックは厳重に封鎖されており、封鎖されていた医療室のコンソールには造花が手向けられていた。
なお、レムとコンラッドは実験反対派だった。
クロニカ
砂漠の惑星へと人類救済に現れた地球船団「ピーセズ・オブ・アース」のクルーであり、冷静沈着な切れ者の女性型自立プラント。生まれは人類とは異なりながらも人間として扱われ、人権を持っていることが作中の他のクルーとの様子から読み取れる。日本茶を好み、緑茶をすするなど、文化などに対する志向が強いようだ。
相棒であり、ナイブズによって融合体と化した自立種ドミナには強い仲間意識を持っており、報復のために分離後のナイブズへ攻撃を仕掛ける場面があった(これはリヴィオに阻止される)。

GUNG-HO-GUNS(ガン・ホー・ガンズ)

ナイブズによって選出され、彼の下に集った超異常人外戦闘集団。レガートによりコインを持たされ、ヴァッシュへの刺客として送り込まれる。なお、原作とアニメではメンバーの顔触れ(リヴィオ&ラズロ、エレンディラは原作のみ、エヴァーグリーン、ケインはアニメのみ)、細かな設定、ナンバーが異なる。

1. モネヴ・ザ・ゲイル
声:天田益男
最初の刺客。筋骨隆々とした屈強な大男で、顔の上半分を鉄仮面のようなマスクで隠している。
超重量級の連射火器の扱いを得意とし、多数の重火器を持ち歩いている。遮蔽物や障害物をまるで問題にしないその威力から「疾風(はやて)」の異名を取る。ヴァッシュのみをターゲットとした戦闘マシンとして、20年以上地下室で育てられトレーニングを重ねてきた。
その圧倒的な巨大ガトリング砲の火力でヴァッシュを追い詰めたが、ヴァッシュの人外の反応速度と精密射撃を立て続けに喰らい戦意を喪失。その後ヴァッシュに解放されるが、第2の刺客として放たれたマイン・ザ・EGマインによって処刑された。
2.マイン・ザ・EGマイン
声:堀川亮
モネヴが敗れた後に現れた第2の刺客(アニメではドミニクが敗れた後に現れた)。ヴァッシュとの戦いに破れたモネヴ(アニメではドミニクも)を処刑するが、原作ではヴァッシュに装備の装着部分を撃たれ無力化された後、一蹴(銃ではなくバッグでの殴打で)、アニメでは雷泥との仲間割れの末に一突きで殺された。
ハリネズミのような球体装甲を纏い、敵に金属製の針を放射して串刺しにする。全方位攻撃が得意で、死角が無い事が自慢。原作初登場時やアニメでの名前はE・G・マイン
3. ドミニク・ザ・サイクロプス
声:沢海陽子
片目をシャッター付きの眼帯で隠した女ガンマン。その目に秘められた特殊能力で相手を短時間催眠状態に陥らせ、知覚と意識に空白を作り、その隙に接近して(相手には瞬間移動したように見える)銃撃を行う。
眼帯側の目は、原作では爬虫類を思わせる異形のそれであったが、アニメでは形は普通で色が真紅になっただけ(いわゆるオッドアイ)として描かれている。
原作ではジェネオラ・ロック・シティにてヴァッシュと一騎打ちを繰り広げる。当初、物理的に説明の付かない瞬速に完全に翻弄されていた(と錯覚していた)ヴァッシュだったが、戦闘直前での出来事による指先の痛みから催眠術の存在を見抜き、勝負をひっくり返す。その後、敗れてレガート(若しくはナイブズ)の足手纏いになることを拒否した彼女はビルの屋上から身を投げ、自ら命を絶った。
なお、アニメ版ではモネヴの次に登場し、ナンバーは2となっている。最期はヴァッシュに諭されてGUNG-HO-GUNSから逃亡しようとするが失敗、マインによって処刑される、という流れに変わっている。
4. レオノフ・ザ・パペットマスター
声:肝付兼太
骨格や肉付きなど人体を極限まで再現し(そのため、人形のモデルとなった者達は殆どが生きながらにして腑分けにされている)、傍目には人間としか思えない精巧な操り人形を、糸と金属球のからくりで大量に(かつ同時に)操る老人。発音に不自由がある(何らかの障害なのか、訛りがきついだけなのかは定かでない)ため、通常は愛用の人形ウーニカを介して腹話術で話す。
本人が喋る際、原作では「月」と書いて「ルナ」と、「」(りく)を天地逆にして「くり」と読ませるなど、一見誤変換のようなセリフの表記が印象的であった。アニメではさすがに表現できず、若干たどたどしい口調になった程度。
大量の人形を駆り立て、かつ、その中に一般人を紛れ込ませることでヴァッシュの反撃を削ぐというゲリラじみた戦法でヴァッシュを苦しめたが、最後は「シップ内部のスプリンクラーを強制起動させ、水滴を人形に絡みつかせることで重くし、操作を無力化させる」という機転の前に敗れる。
本名はエミリオと言い、ヴァッシュの昔の知り合いであったらしい。しかし、ある出来事を境に人格と記憶が崩壊し、殺人者への道へ踏み込む(最期を迎える直前にそれらを取り戻したと思える描写はある)。作中では彼の過去にあった出来事には具体的に触れられていないが、少年時代に片想いだった女性・イザベラをモデルとした人形を命より大事にしている様子が描かれている。
5. ニコラス・ザ・パニッシャー
ウルフウッドのGUNG-HO-GUNSとしての通り名。
フィフス・ムーン事件後、復活したナイブズの勅命で「ヴァッシュを自分の処までなるべく傷つけずに連れてくる」という任務を請け負う。
本来は後述する彼の師マスター・チャペルがその任務に就く予定であり、そのため入れ替わりの事実を知らなかった他のメンバーとの合流直後は、彼自身が「チャペル」と呼ばれていた。当初は、ヴァッシュとナイブズを潰し合わせる画策をしていたのだが、ヴァッシュとの接触でその計画と彼自身の運命は大きく変わっていく事になる。
なお、アニメにおいては彼自身は正式なメンバーではなく、エヴァーグリーンの台詞から察すると欠員が生じた場合のリザーバー的な立場であったらしい。
マスター・チャペル
原作にのみ登場するミカエルの眼の幹部で、ウルフウッド及びリヴィオ、ラズロの殺しの師。
ナイブズの勅命で「ヴァッシュの案内役」を任されるはずの人物だったが、故郷である孤児院から「自分のような存在」が出ることを危惧したウルフウッドによって「作戦中の事故」を装った襲撃を受け、一度は再起不能となる。
辛うじて一命は取り留め、車椅子による移動が可能になる程度に回復はしたものの、身体には相当な無理を強いたらしく、老化が極度に進行してしまい、老人と化している。
冷酷な完璧主義者で、自身が育てる弟子に対する執着は狂的。
ウルフウッドに対しては「復讐の対象」「自身が育てた弟子」といった、愛憎ない混じった複雑な感情を抱いている。
ウルフウッドがナイブズへ反旗を翻してからは彼に狙いを定め、故郷である孤児院を占拠。一度は戦闘不能にした上で心身ともに絶望の淵に追い込むが、ヴァッシュの救援と命を省みない代謝機能促進薬のオーバードーズによって復活したウルフウッドの「頭突き」一発で頭蓋を砕かれ戦闘不能に追いやられる。
最期はラズロごと背後からウルフウッドを襲撃するものの失敗。これがラズロの逆上を招くことになり、彼の銃撃によって蜂の巣にされ死亡。
主要兵装は十字架型のセミオートのカノンで、パニッシャーと見た目は似ているがパニッシャーではない(銃と銃身部分を大型のパイルバンカーとして撃ち出すことができる)。
6. ホッパード・ザ・ガントレット
声:難波圭一
高速回転する盾「グーデリア」で、自身もろとも突撃する肉弾戦を得意とする鉄砲玉のような男。6つの穴が開いたホッケーマスク風の仮面を付けており、また生まれつきの障害のためか、屈強な上半身に比べると下半身は赤子並み、という異形の姿をしている。
グーデリアは自身の体とほぼ同じか、あるいはそれ以上の大きさのある鋼鉄のコマのような形をしていて、防具兼武器であると同時に移動手段(車輪のように回転させて進む他、飛行能力もある)として使われる。原作では他に使用武器としてスパイク付のブーツのようなデザインの拳銃(グーデリアだけでは不安定な身体を支える役割もある)が登場した。また、アニメではグーデリア自体にマシンガンのギミックがついている。
過去にヴァッシュが引き起こしたロスト・ジュライ事件により、「半身」を失う。この半身とは、彼が保護していた、虐待の末に心を病み失明した女性であった。これを発端としてヴァッシュに個人的な激しい復讐心を抱き、復讐を果たすためなら自身の命を顧みないドーピングを行い、刺し違える事をも厭わない程に精神を追い詰めていた。
潜伏場所を襲撃した警官隊に引き返すよう警告したり、脱走を計画していたミッドバレイに対してヴァッシュとの戦いが終わった後は彼の脱走を見逃しその足跡を消してやると約束したりする等、その奇怪な外見とは裏腹に、GUNG-HO-GUNSメンバー内では最も人間的な人物であった。ヴァッシュが暴走した際に彼の過去と想いに接触、最後は『生きて苦しめ』とヴァッシュに吐き捨てることで自分の心に決着をつけ、大往生を遂げるという、殆どがロクな死に方をしていないGUNG-HO-GUNSメンバーの中では非常に例外的な結末を迎えたキャラクターである。
原作より先行して登場したアニメでのナンバーは3。単なる戦闘狂の快楽殺人者という原作とは正反対の性格であった。
7. ミッドバレイ・ザ・ホーンフリーク
声:西村朋紘
愛用の特別製サクソフォン(アニメでは「シルヴィア」と名づけられている)で、人間の脳の中枢神経に衝撃音を叩きつけて死に至らしめる「殺人音楽」の使い手。「音界の覇者」の異名をとる。
異常なまでに鋭敏な聴覚の持ち主で、可聴音域、範囲ともに常人の数十倍。サクソフォン自体も特別製で、凄まじい音量、音域、衝撃を持つ上、機関銃を内蔵している。音楽を奏でることによって、物理的な衝撃波に加えて痛覚を波長とシンクロさせて直接刺激する攻撃を行う。原作ではウルフウッドを一瞬で戦闘不能(一時的な視覚障害)に追い込み、アニメではヴァッシュの放った弾丸を空中で止めてみせた。
加えて原作では特定範囲内に「聞き分けた音と逆の位相の音をぶつけ、周囲一帯を完全無音状態にする」ことすら可能としている。ヴァッシュへの復讐に向かうホッパードの援護の為に、この技を披露した。
ニヒリストであり、リアリスト。過去、ともに暗殺稼業を営んでいた仲間を一瞬でナイブズに殺されて以来、ナイブズの人知を超えた力を恐れており、そこから逃れようとしていたが、最終的にはそれが遠因となってレガートに惨殺される。
アニメではナンバーが11となっており、ヴァッシュがレガートと対峙する直前にGUNG-HO-GUNS最後の1人として登場した。原作とは違いレガートには絶対の忠誠を誓っており、躊躇わずにヴァッシュに戦いを挑む。最期は半ば自殺するようにして、損傷したサクソフォンであえて攻撃を仕掛け、そのために爆発にしたサクソフォンにより死亡。
8. グレイ・ザ・ナインライヴズ
圧倒的な怪力を誇る巨人。その名が示す通り9つの命をその身に宿し(原作では9人の小人

が協力して動かす生体兵器、アニメでは9個の電子頭脳が搭載されたロボット)、不死身の生命力を誇る。

原作では同じセリフを複数の字体、ひらがな、カタコト、ローマ字表記などで繰り返すシーンが見られる。
筋肉質で大柄な巨体に不釣合いな小さな顔を持ち、その顔は名の通りグレイを彷彿とさせる。外皮の凹凸の無い皮一枚の顔面に、瞳のない巨大な眼と縦にぱっくりと裂けた巨大な口のみが覆われている(首の部分が胴部分と連結したマスクにより覆われているため、普段は口が隠されている)。
原作の設定はアニメ版のそれと比べると非常に過激なものとなっている。通常は無生物的な表情しかとらないが、激情した際には額から口元まで一気に深いシワが彫られ、一転して生物的な印象が生まれる。いかなる傷を負ってもひたすらターゲットを狙い続ける狂気の戦術をとり、その際には気のふれたような奇声を発する。また戦闘の際には鉄球状の巨大な銃をグローブのように腕に装着する。その体内に9人の小人が入り、巨体を操作している(腕などに入り込み、独立して動かすことも可能)。
ヴァッシュの第2の故郷とも言えるシップ内にて、レガートから「裏切り者」と断じられたウルフウッドと交戦する。
全身を蜂の巣にされても、砲弾の暴発で手が砕けても、シャッターに挟まれ腕が千切れても、ロケット弾の直撃を喰らい腹に穴が開いても倒れず、最終的にはパニッシャーのゼロ距離射撃でようやく機能停止したものの、それでも「9つの命」のうちの7つまでしか殺し切れなかった。
9. 雷泥(らいでい)・ザ・ブレード
声:大塚明夫
特別製のローラースケートで高速移動するサムライ。「次元斬一刀流(じげんざんいっとうりゅう)」を称する我流剣術の魔人。ヴァッシュさえ反応が遅れる踏込み速度を持つ。
球体車輪ローラースケートの機動力を活かした「円」の動きで直線的な「銃」の射線を回避し、かつ一瞬で視覚外にまで回り込むことで銃が剣に対して持ちうる「射程距離の優位性」を相殺している。
超スピードの「円」の動きを以って、銃撃を回避しつつ対象との間合いを即座に詰めて斬り掛かる「二重星雲(ふたえネビュラ)」が必殺技。
「ただの人間は斬り飽きた」という理由でヴァッシュに“死合”(一騎打ち)を申し込む、筋金入りの殺人狂。細かい策は抜きで直接殺し合いを楽しんでいたが、最後は二重星雲を仕掛ける間際の一瞬のスキを突かれ、ヴァッシュいわく「ハタキ落とし」で敗北するが、敗北を認めながらもなお“死合”を継続しようとしたところ、ウルフウッドに射殺される。
刀には仕掛けがあり、スペツナズナイフのように刃そのものが飛ぶ(この技を闇奥義「彗星突」と呼ぶ)が、ウルフウッドによって発射前に阻止された。
アニメでのナンバーは原作と同じ9だが、原作と違いローラースケートは使わず、口調も原作よりも丁寧なものになっている。また、刀には原作と同じ仕掛けがしてあるが、原作とは違いヴァッシュに向かって発射される。更に発射後の柄に鞘を取り付け、ライフルとすることもできる。アニメでは彼との闘いが引き金となり、フィフス・ムーン事件が発生する。最期は原作と同じくウルフウッドに射殺された。
スピンオフ作品『雷神-RISING-』にて、若き日の雷泥が、人斬りの狂気に陥っていく姿が描かれた。
10. リヴィオ・ザ・ダブルファング
ミカエルの眼の殺し屋であり、ウルフウッドと同じ孤児院出身の青年。孤児院に来た当初は泣いてばかりいたため、ウルフウッドからは「泣き虫リヴィオ」と呼ばれていた。
前後に銃口を持つ二連式銃「ダブルファング」を2丁扱い、強化身体能力による物理限界を遥かに超えた身体能力を誇る。また最新式の代謝促進技術が施されており、ウルフウッドよりも格段に高い再生能力を誇る。
もともとは、極めて大人しく、心優しい性格の持ち主。しかし、虐待を受けていた幼少時の境遇やもう1人の自分であるラズロの影響もあってか「自分の居場所はどこにもない」と思い込んでいた節があり、それゆえに孤児院から姿を消し、ラズロに導かれるままにミカエルの眼へと至る。
ウルフウッドと再会した時には、マスター・チャペルの「教育」の影響ゆえか感情が完全に麻痺していたが、死闘の末にラズロと折り合いをつけ、本来の自分を取り戻した。
ウルフウッドの死後は彼の意思を継いでヴァッシュの新たなパートナーとなる。
11. ラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デス
幼少期に親から虐待されていたリヴィオが生み出したもう1つの人格で、「最強の個人兵装」であるパニッシャーを同時に3挺も扱う。作中で兵器名はトライ・パニッシャーと呼称されている。
背中には第3のパニッシャーを操る機械仕掛けの義手が1本ついている。
リヴィオとは対照的に性格は凶暴で好戦的。自分以外の他者を基本的に見下しており、身体を共有しているリヴィオをすら「チンカス」扱いするなど、常に横暴な姿勢を崩さない。しかし、エレンディラとの戦いの最中にはリヴィオが自らの肉体に積んだ修練を「借り」だと言い、共闘する姿勢を見せた。
戦闘に対する才覚はマスター・チャペルが惚れ込むほど並外れており「一つの体に二つのナンバー」という途方もない例外を認めさせうるだけの実力を誇っている。
リヴィオを超える怪力と速さ、そして自身の得物である3挺のパニッシャーを総動員させた攻撃は、ヴァッシュをして「どう考えても今までの最大火力」と言わしめるほどの圧倒的破壊力を誇る(一度はウルフウッドを反撃の糸口さえ与えず戦闘不能に追い込んだほど)。
しかし、エレンディラと戦った際には「苦境に陥る」という経験が全くなかったため、土壇場での機転が利かない弱点を看過され、あっさりとねじ伏せられてしまった。
登場当初は「トリップ・オブ・デス」と呼ばれていたが、これは「TRI-Punisher OF DEATH」を略したもの。
12. ザジ・ザ・ビースト
声:神谷浩史
主に監視・情報伝達等の役割を負い、また星の先住者、砂蟲(巨大な虫に似た生物群=ワムズ)の意志を代弁する。
原作・アニメ共通キャラの中では最も両者間の描写差が大きい。
〈原作〉体の中に無数の虫を宿し、惑星中の出来事を、虫の知覚を介して知りうる事ができる。当初12歳程度の少年の姿で登場するが、ガントレットの手により絶命後に若い女性の姿で再登場。本体は別に存在している砂蟲の長で、人間体はその「端末」的なものである(負傷した時に「人間の体を治すのは人間の医者の方が得意」と言って人間の病院に入院していたので、普通の人間を操っている模様)。作中では最後に70年代のSLYじみた男の体を端末にして現れ、コインの破片をヴァッシュに渡して去っていった。
〈アニメ〉姿は少年形態のみ。恐らくは普通の人間だが、「子供が嫌いだ」という発言からすると実際の年齢は見た目より上、という可能性はある。ワムズとは直接感覚を共有するわけではなく、発信機のようなもので操る立場。
13. エレンディラ・ザ・クリムゾンネイル
本来存在しない『13番目のロストナンバー』を与えられた、GUNG-HO-GUNS最強の怪物。レガートと同じくナイブズに心酔し、片腕として働くオカマ。口癖は「えぐるわよ?」。
スーツケース状のパイルバンカー(或いは巨大ネイルガン)が武器で、金属製の巨大な釘を撃ち出す。その威力は一撃で遥か遠く飛行するロストテクロノジーの戦闘機に一瞬で届き、軽く撃ち抜き、抜いた後も更に遥か後方まで飛んでゆく圧倒的な物。自身の身体能力もそのネイルガンの速度を超えて動く事も可能。その動きによりあらゆる角度から知覚不可能な速度による連射が可能で30本ほど撃っても発射音が1つにしか聞こえない程。それにより対峙した相手は一瞬の間に串刺しにされる。怪力においてもリヴィオを上回る。また、他者を「本能」の次元で屈服させてしまうほど強烈で鋭利な「殺意」をも武器として操るなど、身体能力・戦闘能力・心理戦・駆け引きの巧妙さにおいても他のナンバーズの遥か上を行く。
普段は自分の力を抑えるため上半身に拘束具をつけており、拘束具を解除すると更にその戦闘力を上げる。
戦闘に際しては「冷酷冷血にして無情」を地で行く人物だが、自身の行動の妨げにならない人物(老人や子供など)に対しては人並みの感情や優しさを見せることもある。
本人は男と呼ばれるのを嫌っており、自分のことを男呼ばわりした発言は無視する。
物語終盤でリヴィオおよびラズロと激烈な死闘を繰り広げる。
チャペル・ザ・エバーグリーン
声:鈴置洋孝
アニメにおけるウルフウッドの師匠であり、彼に戦う術の一切を叩き込んだ人物。ウルフウッドのパニッシャーを縦に二分割したようなダブル・マシンガンの使い手。
ウルフウッドとの対決において彼を圧倒するが、最後は戦意喪失に追い込まれる。自らの敗北を悟って引き下がろうとした直後、レガートの遠隔操作により意思に反してウルフウッドを撃ってしまい、絶命させる直接の原因となった。その後、敵討ちのためにナイブズ一派に反旗を翻すが圧倒的な力の前に成す術も無く、敗北して消し去られてしまう。
ケイン・ザ・ロングショット
アニメのみのキャラクター。一見すると物干竿のごとき銃身のカスタム・ライフルによる超長距離精密射撃を行う。加えて潜伏場所の景観に同化する特技を持つため、狙われた相手は仮に一発で仕留められなくとも反撃の手段を見出せない。ヴァッシュによりライフルを破壊された後、一切の躊躇を見せる事無く所持していた拳銃で自分の頭を撃ち抜き自殺した。

その他の登場人物

ブリリアント・ダイナマイツ・ネオン
声:石塚運昇
盗賊団「バド・ラド団」のヘッド。大量の電飾をあしらったド派手な服に身を包み、それを光らせるためだけに、動きやすさを犠牲にしてまで肩に巨大な発電機(ダイナモ)を担ぐドレッドヘアーの偉丈夫。更にタバコ感覚で花火をくわえるという破天荒なセンスを持つ。
とにかく光りモノが大好きで、宝石目当てでヴァッシュの乗り合わせたサンドスチームを襲撃した。
人殺しをなんとも思わず、子供に暴力を振るう事すら厭わない悪党だが、一度決めた事は曲げない美学を持つ。
ヴァッシュが勝負に勝てば乗客を助ける、という一対一の決闘で敗北した結果、自らの命を張ってそれを貫き通した。
フランク・マーロン
声:田中正彦
アニメ版オリジナルキャラの銃職人(ガンスミス)。
ガタが来始めた愛用の大型拳銃の整備を頼むため、ヴァッシュがわざわざ探し回るほどの凄腕だが、ヴァッシュが出会った当初は犯罪者に自分の銃で人を殺されるというトラウマから自分を見失った挙句、酒に溺れて同じ町の住人達にすら煙たがられる呑んだくれだった。
しかし町が強盗団に襲われた時、住人達がかつて自分が作った銃で応戦するのを見て『何があっても自分の銃を信じてくれる』人々の存在を再認識し、強盗団の撃退後は酒と縁を切り、職人に復帰することを決意した。
先生
声:糸博
シップの指導者。本名は不明。黒いコートに帽子を被った小柄な老人。
フィフス・ムーン事件後行方をくらましていたヴァッシュの元へブラドと共に赴き、新しいコートと義手を渡す。ロスト・ジュライやナイブズとの因縁についても詳しく、ヴァッシュとはかなり昔からの知り合いと思われる。
GUNG-HO-GUNSがシップを襲撃した際に命を落とした(原作では明確な描写は無いが、パペットマスターの人形のひとつとして姿を見せたことと先生の安否を訊ねたヴァッシュにルイーダが返した反応から死亡したものと思われる)。
ブラド
声:石井康嗣
シップ生まれの青年。長身のヴァッシュよりも更に頭ひとつ分以上背が高く、強面にリーゼントというスタイル。
かつて幼い頃に一度ヴァッシュと会っており、自分達と違って時を経ても変わらない彼の姿にある種の憧憬と畏怖心を覚えていた。その為か、登場初期はヴァッシュに対して反抗的とも取れる態度を示したり、何かと突っかかる物言いをしたりしていた。彼の想い人であるジェシカがヴァッシュに惚れていることもその一因。
GUNG-HO-GUNSがシップを襲撃した際、ジェシカを脱出ポッドに乗せ住民を救う為にひとり居残るなど仁義に厚く度胸は一人前。シップの若手の中ではリーダー格で、シップの構造を利用してパペットマスターを砂洋に落下させる、戦闘機を操り方舟を損壊させるなどエンジニア・パイロットとしてもかなりの腕前を誇る。
アニメでは、パペットマスターの操る人形の銃弾からヴァッシュを庇い死亡。
ルイーダ
原作に登場するシップの指導者。
ヴァッシュとは旧知の間柄で、先生亡き後シップをまとめヴァッシュのサポートに当たる。ヴァッシュは不死身なのかと問うウルフウッドに「身体の傷が消えているならば本当の不死身」「ここに居る全員の顔と名前が一致している」と告げ、ヴァッシュの人間性を肯定する。この時の会話は、後にウルフウッドがリヴィオと対峙した時に彼の中でリヴィオを救う決心をさせる遠因にもなっている。
常に冷静沈着で物事を合理的に進める行動力とカリスマ性を持ち合わせているが、反面非情に徹しきれずヴァッシュ達自立プラントを相打ちさせるという目論見に対して涙を流すなど、女性らしい脆い一面も見せる。
方舟始動後は地球からの船団との交渉役を務め、混乱を極めるアウターの人々を保護するなど表舞台に立って活躍するようになる。
ブランドン・マーロン
原作に登場する銃職人。原作ではフランク・マーロンは話の本筋よりも数世代前の人物ということになっており(それでもヴァッシュの実年齢を考えれば面識があった可能性はある)、ブランドンはフランクの子孫。
ヴァッシュのことを「ライトニング」と呼び慕い、彼の銃の整備や弾薬の手配を度々請け負う等、アニメのフランク・マーロンのポジションを勤める人物。先祖や父親と違って酒を存分に嗜むどこまでも飄々としたノリの酔っ払い。それでも先祖伝来の職人気質に遜色は無く、引き鉄と弾丸の重みを心得ぬ者には決して銃を造らない。
腕も超一流で、「方舟」から落下した折に大破したウルフウッドのパニッシャーも、彼のお陰で復活を遂げた。

用語・メカニック

プラント
砂漠の惑星が舞台の本作で人類が絶滅しない理由が、この技術によるものである。エネルギー源および各種物質などの、ありとあらゆる物を物理法則を無視して「生産」を行う生体ユニットで、作中では通常の管理運営技術以外は失われたテクノロジーとなっている。元々は宇宙移民船の動力源であり、作中世界では惑星への不時着時に崩壊した宇宙船から切り離され、各所に散ったものの中から活動可能なものを利用している。その為、都市や街の中心地には必ず移民船の残骸がある。
視覚的には巨大な電球に酷似し、そのフィラメント部分に相当する場所に何等かの生物に見える存在があり、これに二酸化炭素や熱・光を供給すると、あらゆる生産活動を行う。
また、肥沃化プラントの影響を受けた土地はジオ・プラントと呼ばれ、この砂漠にあっても植物が育つ程に豊かになる。
活動が暴走するとプラント自身がショック状態を引き起こしたり、生産された熱や重力エネルギーにより大災害が発生することもある。また、それ以外に疲弊が進むと「死ぬ」事もある。
これを利用して、疲弊して生産の望めなくなったプラントに対して強制的に暴走状態を引き起こして大生産するラスト・ランとよばれる技術も存在する。
コンラッドやザジが「門」と呼んでいたように、生産活動としての「持ってくる力」以外にあらゆる物を消滅させる「持っていく力」の両方がある、ブラックホールとホワイトホールのような存在。
作中世界の住人には知られていないが、突然変異によって生まれた自立種と呼ばれる、人間と変わらない行動や意思疎通ができる個体がいる。
A・arm(エンジェルアーム)
ヴァッシュとナイブズは人間に似ているが、そうではない存在である。この2人には自然の摂理を超越したエネルギーが集まる「ゲート」の様なものがあり、ナイブズはこれに目を付け、左手をコンマ数ミクロンの「刃」として自在に操られるようになる。
逆にヴァッシュはその力に気が付かずに射撃の訓練を積んでいたため、ナイブズとの接触の際に強制的に共鳴させられたときには「刃」ではなく、右手が「銃」となって発動してしまった。
威力はナイブズの場合、その刃は成層圏の外まで一瞬で届き、ありとあらゆる物を切り刻むことが出来る。ヴァッシュは、砲撃で月に着弾すると肉眼で確認できるほど巨大なクレータができ、地表近くで暴発しただけで数百万人の大都市を消してしまう。
Project SEEDS(プロジェクト・シーズ)
地球規模で進んだ汚染により、種の維持が危ぶまれた人類が行った延命計画の1つ。大規模移民船団を組織し、生存に適した惑星へと移民する計画。
自分たち以外に生体実験として殺された自立種が生まれていたことを知ったナイブズの破壊工作により失敗、かろうじて大気は呼吸可能だが生存は適さない惑星へと墜落・大地に衝突するコースに乗せられた所を、レムの機転で船団の何割かが不時着に成功した。この事件は大墜落ビッグフォール)と呼ばれており、そもそもの事件の発端である。
$$(ダブドル)
作中世界の通貨単位で、1$$で2 - 300円程度の価値は充分にありそうだが、詳細は不明。10$$もあれば、1 - 2日分の食費は賄えそうでもある。これの下位単位としてセンズがある。
アニメ版の第3話で下っ端の1人が誤って「ドルドル」と読んでいるが、「頭の悪そうなキャラクターだからいいだろう」ということでOKになったという逸話がある。
砂蒸気(サンドスチーム)
人の生存に適さない砂漠を横断するための巨大な乗物で、現代の豪華客船に匹敵する。独立したプラントを内蔵しており、蒸気エンジンで駆動する。生存に必要な物資を独立して生産できる能力がある。また、武装強盗団を撃退するために強力な火器を装備している物も多く、サンドスチーム自体を用心棒として、街と街を移動するキャラバンと呼ばれる集団を引き連れていることもある。アニメ版と原作版に登場した最大級のハンプバック級のほか、原作では幾つかの級があることが伺える。比較的道路が整備されている地域では街の間を結ぶ長距離バスも運行されているが、サンドスチームはそれよりも早くて、長距離の移動を任されているようである。
サイボーグ
作中世界は地球と比べ物にならない自然環境、高重力に対応するため己の体をサイボーグ化することも普遍的に行われている。また極めて無秩序な銃社会(西部劇の世界に近い)の様相を呈しているため、負傷者・死者も多く、これを移植手術で治したり、またはサイボーグ化するなどの処置もある。特にコミック版ではこれらの描写も多いが、首だけになるような瀕死の重傷でも助ける事も可能なようだ。ただ、社会的な格差は地域的に大きく、そのような医療が受けられるのは、かなり規模の大きな都市に限られるようでもある。
ロスト・ジュライ(失われた都市)事件
ヴァッシュが作中世界で史実上、最初に起こした事件。星歴0104年7月21日2時6分に発生。当時7大都市と呼ばれていた第2位の規模を誇る都市、ジュライが一瞬の内に壊滅した。ヴァッシュ自身には事件当時の記憶がない。
原作では住人全員が都市ごと消失、その日に都市を離れていた人間以外は全滅している。唯一事件現場で公式に確認されたのはヴァッシュのみであり、地図の上からジュライの文字が消えた。ちなみに同所には致命傷を受けたナイブズも居た。
アニメ版では、この破壊による直接の死傷者は報告されていない。しかし、その後に起こった飢餓や暴動により、多数の死傷者を出したとされ、同都市は放棄されている。
フィフス・ムーン事件
またの名をジュネオラ・ロック・クライシス。星歴0110年10月16時7分に発生。作中では衛星が5つ存在し、これが月とされているのが名前の由来。
巨岩に支えられた3つのプラントを持つジュネオラ・ロック・シティにて起きた事件。
ヴァッシュとナイブズが接触した際、ナイブズによってヴァッシュのエンジェル・アームが暴走、ヴァッシュの抵抗により大惨事は逃れたものの、巨岩の1/3が消失、上空にあった第5衛星に超大規模なクレーターが空く結果となった。
この事件を機にヴァッシュは公式の記録から2年間も姿を消す。
シップ
メルカバルドル大砂洋の中心に位置する船。かつて大墜落ビッグフォール)で星に落とされた船団の1つであり、砂洋のクッションと内蔵された重力制御プラントによってほぼ完全な形で残っている。周囲は重力制御プラントによって発生する砂霧に覆われ、百数十年もの間外界とは隔絶された独自の環境を築いてきた。
内部ではかつての乗組員(冷凍睡眠者)の内、目覚めた者達の子孫が生活しており、生活水準や治安は外の世界とは比べ物にならないほど高い。住民たちは外の世界のことを総じて「アウター」と呼んでいる。その環境と代表者の考えから外の世界には存在を知られておらず、砂洋のほとりと繋がるロープウェイ(トマ小屋もついており、ミリィいわく「五ツ星」)だけが外界との唯一の繋がりである。その一方で、アウターの人間であるウルフウッドやメリルやミリィにもシップを救ったとはいえ、歓迎して隔てなく接するなど、訪れるものは拒まない面も見られる。
かつて砂洋のほとりで行き倒れていたヴァッシュを拾い手厚く看護したことが縁となり、数世代に渡って彼の積極的なサポートを行っている。GUNG-HO-GUNSの襲撃により住民の半数近くが虐殺されるという被害を受けるが、その後も兵器を駆使して方舟と戦ったり、ヴァッシュやウルフウッドを救助・運搬したりと重要な役割を果たしている