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ブラッディエンジェルズ/みず谷なおき

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著者: みず谷なおき
巻数: 2巻

みず谷なおきの新刊
ブラッディエンジェルズの新刊

最新刊『ブラッディエンジェルズ vol.2


ブラッディエンジェルズ』は、みず谷なおきによる日本の漫画作品。『週刊少年サンデー増刊号』(小学館)にて、1986年から1987年まで連載された。全12話、単行本は全2巻。

概要

神奈川県の西湘市という架空の市を舞台とした、新米婦人警官・内海夕紀と高御堂聖の活躍を描いたコメディ作品。神奈川県が舞台ということで、『あぶない刑事』の女性版のような作品となっている。

登場人物

内海夕紀
神奈川県警察西湘警察署交通課の新米警察官。階級は巡査。20歳。本作の主人公の1人。童顔で背が低くて胸も無い幼児体型のため、よく女子中高生に間違われる。それが本人のコンプレックスでもある。家庭的な性格をしており、家事が得意。高御堂聖とは高校時代の同級生。喧嘩ばかりしているが、本当は聖の最大の理解者であり、作中で大喧嘩した後も普段通り夕食を作って待っていた。警察官としての仕事に誇りを持っており、歌手・朝倉瀬里が西湘署で警察官一日体験をした際、彼女の軽はずみな発言に激怒してビンタした。剣道2段で、上社兵衛(以下、ヒョウ)の戦績に初めて土をつけた人物でもある。石戸伴に想いを寄せていたが、彼が聖に気があることを知り、失恋する。住まいの部屋番号は「203」。西湘署には1986年10月1日付けで配属。
高御堂聖
神奈川県警察西湘警察署交通課の新米警察官。階級は巡査。20歳。本作の主人公の一人。背が高い長髪の美人で、街を歩いていると軟派されることが多々ある。性格は荒く、ガサツで家事が出来ない。夕紀とは高校時代の同級生。コンニャクが嫌い。合気道三段・柔道初段の実力を持ち、刃物を持った通り魔の男にもまったく動じない強さを持つ。刑事課長の鯖須に目を掛けられており、本来なら刑事向きらしい。警察学校では常にトップだった。正義感が強くて突っ走る性格のため、すでに何台ものミニパトをオシャカにしている。始末書の提出は日常茶飯事。石戸とは始末書の数など、くだらないことで張り合っている。住まいの部屋番号は「203」。西湘署には1986年10月1日付けで配属。
石戸伴
神奈川県警察西湘警察署交通課白バイ隊の警察官。階級は巡査。22歳。県警本部から異動してきた白バイ隊員。聖と同じく無鉄砲な性格で始末書と謹慎処分の常習者。聖とは口喧嘩が多いものの、内心は聖に気がある。無精髭のため、実年齢よりも老けて見られる。ヒョウとは従兄弟同士。ヒョウに喧嘩の仕方を教えた張本人でもある。夕紀を悲しませたと勘違いしたヒョウから殴られ、それをきっかけに4人を交えた交流が始まる。西湘署には夕紀や聖の配属から1~2ヶ月ほど後に配属。
上社兵衛
神奈川県西湘市立東高等学校の生徒。学年は3年生。18歳。通称はヒョウ。今時珍しい長ランにリーゼントという格好で、喧嘩に明け暮れる不良。しかし、根は善良であり、夕紀にタバコを止めるように言われ、火の付いたタバコを素手で掴んで奪い取られたことから自分のことを心配してくれていると気づき、以降はタバコを止める。5つのビルを経営する裕福な家庭に生まれるも、母親は病死。父親は年がら年中旅行していて、家族の温かみに触れずに育ったことが不良になった原因と思われる。学校に一番近い所に在るビル『キャッスル上社』に一人暮らし(家業なので家賃は無料か?)。住まいの部屋番号は「505」。過去の戦績は「33戦32勝1敗」。唯一負けた相手が夕紀だった。夕紀とは、非番だった夕紀が街に繰り出した際に軟派され、困っていたところを助ける形で出逢う。喧嘩の約束まで時間があったので、夕紀にボウリングに付き合うように言って付き合わせるが、40点そこそこのスコアしか出せなかった夕紀に空気の読めていないフォローを出したり、夕紀の顔をまともに見られないことをマインドコントロールに掛けられたと思い込むなど、女心や恋愛に鈍感であったが、後に聖との決闘に勝った際に腕の骨に皹が入り、それを心配してくれた夕紀に対して恋だと自覚するようになる。作中で夕紀を悲しませたと勘違いし、従兄である石戸を公務中に殴り、公務執行妨害で逮捕されるも、当の石戸の計らいで釈放される。以降は4人組の構成で交流する。
交通課課長
神奈川県警察西湘警察署交通課の課長。階級は警部補。本名・年齢は不明。夕紀・聖・石戸の直属の上司。問題児たちを抱えていつもイライラしているが、彼女たちの警察官としての資質を見抜いており、「将来有望な警察官」として評価している。刑事課の面子からはぷっつん課長の通称で渾名されている。警察官としての本分を忘れておらず、県警本部等の上層部から朝倉瀬里の警察官一日体験をさせるように命令を受けた際には上層部の命令だからと従うも、内心は鉛筆を圧し折るほどに不満を滲ませていた。刑事課長の鯖須とは旧知の仲で、かつては鯖須が刑事課に引き入れようとした際に、「一生涯、一交通課警察官でありたい」として断ったらしい。
鯖須
神奈川県警察西湘警察署刑事課の課長。階級は不明だが、交通課課長が警部補なので、同じく警部補だと思われる。下の名前・年齢は不明。通称はスッポンの鯖須。スキンヘッド・サングラス・スーツに開襟シャツ・葉巻、というヤクザのような風貌の刑事。聖を目に掛けており、何とか刑事課に引き入れたいと思っているも、振られる。しかし、その後も聖と夕紀の理解者である。女性とは縁が無く、妻子は居ない。自らを「こんなジイさんで悪いが」という台詞からも、聖らを娘のように可愛がっていることが窺える。交通課課長とは旧知の仲で、かつては交通課課長を刑事課に引き入れようとしたことがあるらしい。なお、初登場時は開襟シャツではなく、普通のワイシャツを着てネクタイも締めていた。
上温湯隆生
神奈川県警察西湘警察署刑事課の警察官。階級は不明。年末のある日、西湘署に配属になった人物。前所属先は不明。なぜか勤務外でも拳銃を所持しており、それも44MAGNUMなど、日本の警察官が使用しない拳銃を使用している。一見、何もなさそうな所からでも事件が発生していることを予知する能力を持っており、銀行強盗事件を解決したこともあるが、スーパーでの強盗事件の際には犯人に不意をつかれて拳銃で殴られて気絶してしまい、犯人を逃がしてしまう。
西湘警察署署長
神奈川県警察西湘警察署の署長。階級は警視。氏名は不明。温和な人物で、夕紀や聖の活躍に期待を寄せるも、過激な彼女らに胃を病むこともしばしば。朝倉瀬里のファンでもあり、それが彼女に警察官一日体験をさせるきっかけになったが、理由のひとつとしては、彼女が警察官を体験する直前に道路交通法違反で反則切符を切られたことがあり、そのことを本人に解からせるためという意図もあった。
朝倉瀬里
アイドル。18歳。本名は権藤瀬里香。神奈川県警察のイメージガールに抜擢されているが、実は免許の取りたてでスピード違反や初心者マーク不貼付で聖に同行を求められる。アイドルであることを利用して違反切符を免れようとするなど、したたかな面がある。彼女が警察官一日体験をすることに聖と交通課課長は不満だった。一日体験が終わり、署に戻ろうとした際に交通事故の現場処理に向かうように指令が出たため、現場に向かうも、事故現場を見てみたい・面白そうと軽はずみなことを口に出したため、激怒した夕紀にビンタされる。事故現場では3人の遺体や潰れた車など、事故の凄まじさを目の当たりにしたことで、交通ルールの大切さと命の尊さを知る。
律子
夕紀・聖の高校時代の同級生。苗字は不明。夕紀・聖・もう一人(氏名不詳)との仲良し4人組で、少年隊のライブに行くためのチケットを購入しにプレイガイドに行くが、途中で道に迷って購入に遅れ、4枚買うべきところを3枚しか買えず、聖に責められた。この時、夕紀は「正直いって苦しいのよね、今月は。」と言って自ら不参加を申し出て身を引く。「問題が生じて誰かが犠牲にならなければいけない時はその貧乏くじを自ら引き受ける」という夕紀の人柄を感じさせるシーンでもある。聖の回想シーンにのみ登場し、現在には登場しない。
小林
神奈川県警察の警察官。階級は巡査。石戸の同期。下の名前と年齢は不明だが、石戸をさん付けで呼び、敬語で話すことから、石戸よりも年下だと思われる。海沿いの派出所勤務だが、正式な所属先は明らかにされていない。所属先の署長が居眠り運転による事故防止のために怪談話を振りまき、彼が亡霊役を担当している。
椎名門
有限会社S&W探偵事務所所属の探偵。通称はシナモン。1万人を超える組員を抱える丹波組の組長の娘・丹波静香が家出をし、捜索をするように依頼されて発見したところを聖に誘拐未遂に勘違いされる。静香を追うため、自分の前に立ちはだかった聖に対し、彼女の胸を揉んで逃げようとするも警棒で殴られ、強制猥褻(もしくは誘拐未遂、または公務執行妨害、あるいはそのうち2つ以上)で逮捕される(罪名は作中で明らかにされていない)。彼女を追っていた旨を取調室で供述するも、信じてもらえずにいたところに鯖須が入ってくる。鯖須とは旧知の仲で、鯖須によるとシナモンがガキの頃からの知り合いで、かつては養子に考えていたほど。故に悪意があってやったことではないことを知っているため、鯖須からも静香を捜す旨を依頼され、釈放。聖とのコンビで神田組の組員を倒し、捜し出して保護する。本人曰く、「一度見た女の子の顔は絶対忘れん!!」。車を抱え上げることが出来るほどの力の持ち主。
丹波静香
女子高に在籍する女子高生。実家は1万人を超える組員を抱える丹波組で、父親は組長。ヤクザの娘ということで友達が出来ず、「普通の女の子になりたい」という想いから家出する。心配した父親がシナモンに捜索を依頼していた。家出したときは神田組と縄張り争いで一触即発の状態だったため、シナモンたちは捜索を急いだ。最後はシナモンから父親に代わってお仕置きされ、父親が自分のことを心から心配していたことを知り、帰る。

その他

本作では、実在する多くの企業、団体、商品名が実名で登場する。登場したものは以下の通り。

企業・団体
神奈川県警察(夕紀たちが所属している警察団体)
NHK(夕紀・聖が住むアパートの表札に張ってあるシール・交通課課長が読んでいる新聞の見出し)
キリンビール(酒屋の看板。ただし、頭文字の「キ」が見えない)
コカ・コーラ(夕紀と聖が銭湯の帰りに利用した自販機)
パイオニア(レーザーディスクプレイヤーのメーカー)
NTT(作者の記載した文字)
UCC(夕紀とヒョウが入った喫茶店の看板)
西湘高校(ヒョウの台詞。国立・公立・私立のどれかは不明だが、同一の世界観にある「人類ネコ科」では市立の設定。実在するのは県立)
YAMAHA(聖との大喧嘩の際に夕紀が着ているジャージ)
スミス&ウェッソン(拳銃のメーカー)
三共(聖が飲んだ胃腸薬のメーカー)
サントリー(夕紀が用意したワインのメーカー)
少年隊(夕紀ら仲良し4人組で行く予定だったアイドルグループで、チケットに名前のみ記載)
プレイガイド(律子の台詞。律子がチケットを買いに行ったチケット販売店)
サッポロ(夕紀が利用したビールの自販機)
JR(駅構内に張ってある案内広告)
ベンツ(鯖須の所有している車のメーカー)
商品名
コカ・コーラ(聖が夕紀に買ってやり、通り魔に包丁で壊された缶ジュース)
レーザーディスクプレーヤー(型番:CLD-7)
拳銃(BERSA モデル62。銀行強盗の主犯が使用)
タウンページ(上温湯が拳銃で粉々に打ち砕いた銀行設置のもの)
拳銃(44MAGNUM。上温湯の私物)
新三共胃腸薬(聖が飲んだ胃腸薬)
テスタロッサ(瀬里の所有している車の車種名)
CITy GG(石戸の所有している車の車種名)
拳銃(DETONICS .45。神田組の組員が使用)
拳銃(CZ75。スーパー強盗の手下が使用)

サブタイトル

1巻
【始末書1】ぷっつんと泣き虫、二人は婦人警官
【始末書2】ちょっときになる白バイおじん
【始末書3】非番の日の大捕り物
【始末書4】夕紀の休日
【始末書5】西湘署の二人の課長
【始末書6】夕紀のお相手は長ラン高校生
2巻
【始末書1】ルール違反はお断わり
【始末書2】心は晴れ、のち荒模様
【始末書3】世話のやける二人です
【始末書4】おバケ、こわい
【始末書5】お騒がせの家出娘
【始末書6】天使たちに花束を

備考

  • 作品の世界観は、作者の別作『人類ネコ科』などと同一の世界である。例えば、ヒョウが西湘南公園で喧嘩する際に語った「西のランボー」こと「守ーなんとかっつーオールバックの男(ヤロー)」とは「人類ネコ科」の登場人物・守山修一郎のことである。
  • 現実世界では、パトカーやミニパトにはドアの所に「○○県警察」(東京の場合は警視庁、北海道の場合は北海道警察、京都・大阪の場合は△△府警察)と記載されているが、当作では警察署の名称が直接使用されており、「西湘けいさつ」となっている。「警察」ではなく「けいさつ」と平仮名で記載されている。
  • 夕紀の警察手帳は「神奈川県警察」となっているが、上温湯の警察手帳は「警察手帳」となっており、差異がある。