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レッド/山本直樹

共有

著者: 山本直樹
巻数: 6巻

山本直樹の新刊
レッドの新刊

最新刊『レッド volume 6


出版社: 講談社
シリーズ: 講談社コミックスDX


レッドの既刊

名前発売年月
レッド volume 3 2009-06
レッド 4 2010-06
レッド volume 5 2011-02
レッド volume 6 2012-02

レッド』は、山本直樹による日本の漫画作品。1969年から1972年の日本を舞台に、革命を起こす事を目指した若者達の青春群像劇。連合赤軍およびその母体となった2つの新左翼団体をモデルにしている。講談社の漫画雑誌『イブニング』にて隔号連載中。

2010年8月現在、単行本は既刊4巻。以降続刊の予定である。

概要

1960年代末から1970年代初頭にかけての、日本の新左翼運動の中で起こった事件をテーマとした作品である。何人かの主要人物を軸に、時間的経過に沿って事件の進行や当時の時代背景を淡々と叙述していく伝記的な手法がとられている。また、登場人物のその後の運命を示す文章が頻繁に登場したり、人物が亡くなっていく順に1から15までの番号が付されるなど、あらかじめ物語の先には悲劇的結末が待ち受けることが強調されている。登場人物の名前は、姓についてはすべて山岳名にちなむものである。名についてはモデルとなる人物の名と同じ読みで漢字を変えている場合が多い。

雑誌上でのタイトルロゴには、大きな「レッド」の文字に重ねて、小さく「Red」の英字表記と、舞台となった時代を表す「1969〜1972」の文字があるが、単行本第1巻(初版)ではタイトルロゴから「1969〜1972」の文字は消えている(※第1巻2刷以降、及び第2巻は表記あり。単なるデザイン上の問題か)。

本作はフィクションであるとの注意書きが連載・単行本に書かれているが、山本は「基本的にはあったことほぼそのままを描いてこうとは思っています。」と述べており山本直樹 - ルーフトップギャラクシーw、2008年8月15日、本作の内容は連合赤軍事件関係者の手記をかなり忠実に再現したものとなっている。

あらすじ

1969年、東京大学安田講堂の陥落を境に全共闘運動は勢いを失いつつあった。同じ年の夏の終わり、青森の■■大学ではバリ封(バリケード封鎖(ストライキ))が盛り上がりに欠けるまま機動隊突入、立てこもり学生の退却という結末となる。ほぼ同じ頃、外相の訪ソ訪米阻止のため「革命者連盟」の若者たちは羽田空港に侵入、「反米闘争路線万歳」「毛沢東思想万歳」を叫びながらジャンボジェット機に火炎瓶を投げつけた。

革命の退潮に抗うように、ダイナマイトによる非合法のゲリラ闘争へ傾斜していく革命者連盟のメンバー。しかしリーダーである筑波を始めとして多数のメンバーが逮捕されたことで組織崩壊の危機に直面することになった。彼らは筑波を奪還するために、交番を襲撃して拳銃を奪取する計画を立てる。この作戦を契機に革命者連盟はもう一つの急進的グループ「赤色軍」との同盟関係をうち立て、いっそうの武装闘争路線へと突き進んで行くのだが…。

登場人物

以下、単行本第4巻までに描かれている時期(1971年8月まで)の内容に限定する。

革命者連盟

神奈川県を拠点に活動する比較的少数の新左翼グループ(日本共産党革命左派神奈川県委員会に相当)。毛沢東思想に基づきゲリラ闘争路線をとるが、警察による1969年末のリーダー筑波らの根こそぎ検挙で壊滅的な打撃を受ける。またあまりにも先鋭的かつエキセントリックなその闘争路線は、大衆からの孤立を懸念する他党派からしばしば顰蹙を買っていた。しかし、1970年末に都内での交番襲撃作戦を敢行し、(結果としては失敗に終わり大きな犠牲を払ったものの)この事件により一躍新左翼内部での注目と支持を集めることとなる。合法組織は「共闘戦線」(「京浜安保共闘」に相当)。機関紙として『革命の鐘』(『解放の旗』に相当)を刊行している。ヘルメットは無地に「革」。「革命者連盟神奈川委員会」が正式名称らしいが、赤城と谷川のアジトは茨城にあり、そのことを宮浦に揶揄されている。 毛沢東思想に基づく反米路線をとっており、メンバーはピンポン外交のような米中の歩み寄りを理解できないでいる。

赤城容子(あかぎ ようこ?)
モデルは永田洋子。名前の由来は赤城山から。この物語の中心人物の一人の、女性活動家。病院勤務の薬剤師であったが革命運動に専念するため退職。病弱でしばしば立っていられないほど苦しむことがある。組織活動への熱意は人一倍で、ゲリラ闘争が唯一の正しい方針であると信じ、それに自分のすべてを捧げたいと考えており、

しばしば他のメンバーに対し感情を爆発させる。保釈中の谷川から突然プロポーズされ、最初は 断ったものの結局は受け入れる。谷川との間に子供を宿すも中絶し、それ以降活動を理由に出産を諦めるのはよくないと考えるようになる。1970年9月、精力的な活動が評価され、指導部の選挙で組織のリーダー(獄外)に選ばれる。1970年12月の銃器奪取作戦の直後、谷川、吾妻と共に非合法活動に移る。一見地味な容姿で、彼女を「鬼ババ」と呼ぶメンバーもいる。

谷川博(たにがわ ひろし)
モデルは坂口弘。名前の由来は谷川岳から。赤城の夫。工場で働いていたが、1969年9月の羽田空港での火炎瓶闘争に参加し逮捕、同年末保釈され、翌年2月に東京地裁で懲役7年を求刑される。その過程で赤城にプロポーズし、結婚生活を始める。赤城の真面目さに対しては敬意と愛情を抱いているが、健康上の理由でしばしば活動の足手まといになる彼女に苛立ち、暴力を振るうこともある。当初は組織ぐるみのゲリラ闘争路線に懐疑的だったが、次第に熱烈に支持していくことになる。海洋大学出身で手旗信号に習熟しており、1970年6月、獄中のリーダー・筑波との接見に際し彼からの秘密の指示を読み取る。その後同志達が次々と逮捕され、潜伏生活に疲弊する中、活動拠点を「山」に移すことを提案する。
吾妻正久(あづま まさひさ)
モデルは吉野雅邦。名前の由来は吾妻山から。谷川とともに羽田空港での闘争に参加し逮捕。1969年末に釈放され翌年2月東京地裁で懲役5年を求刑される。しばしば組織活動よりも同棲中の恋人・宮浦との関係を優先したことから党員資格停止処分を受けたこともある。しかし、かつて10.8で頭を叩き割られた経験から「デモも集会もいくらやっても何も変わらなかった」と大衆運動やゲバ棒程度の実力闘争に絶望し、武装闘争路線が正しいと考えているため、組織への不満を漏らす宮浦をたしなめる。宮浦が妊娠した際には活動を理由に中絶を求めた。
宮浦(みやうら)14

名前の由来は宮之浦岳から。吾妻の恋人。白根、高妻とはY大の同級生。組織内では救援活動に従事しているが、これはもともとは逮捕された吾妻個人の救援のつもりが組織全体の救援まで背負わされてしまったためである。自身や吾妻を一時権利停止にした赤城や谷川ら指導部には不満があり、大衆運動より非合法のゲリラ闘争を重視する組織にも反対の立場である。吾妻に「組織を辞めて2人で喫茶店でも開きたい」と告げたこともある。その後、指導部と共に北海道に逃れた吾妻とは離ればなれの生活を余儀なくされる。

赤石一郎(あかいし いちろう)1
モデルは柴野春彦。名前の由来は赤石岳から。落語好きの青年で赤城とは比較的親しい。ゲリラ闘争路線を熱烈に支持しており、警察に指名手配されたため都内のアパートに潜伏していた。ほとんど外出できず、同棲中の恋人に生活を

依存していたが、ある日逃げられてしまい、その後は白根の世話になる。リーダーに選ばれた赤城に「リーダーとは最初に死刑になる人間」と冗談めかして予言するが、自分は筑波奪還のため都区内の交番で銃器を奪取する作戦に参加、反撃する警官から銃弾を浴び死亡。登場人物中では最初の犠牲者となる。

筑波(つくば)
モデルは川島豪。名前の由来は筑波山から。革命者連盟のリーダー。組織のゲリラ闘争を指導するが1969年末に逮捕され、以降は獄中にいる。接見に来た赤城に「俺は闘争を降りる」と弱気な面をのぞかせたかのようだったが、実は巧妙な偽装転向だった(と谷川には信じられている)。また同じ大学の後輩である谷川に対し、手旗信号により自分の奪還作戦を密かに指示する(これが銃器奪取作戦へ組織が踏み出す契機となった)など、獄中から組織を動かそうとしている。
六甲(ろっこう)
モデルは石井功子。名前の由来は六甲山から。女性活動家。ゲリラ闘争に使用するダイナマイトを入手し赤城に手渡す。体の弱い赤城に厳しい言葉で接することもある。赤色軍の武装闘争を第三者的に批評した発言が、新リーダーになった赤城から「ゲリラ闘争に対する理解が足りない」と咎められることになり、突然首都圏の指導部から外れ関西に赴くことを求められる。そして大阪での活動中に(直接関わっていない)銃器奪取事件の容疑で逮捕され、その際、アパートに隠し持っていたダイナマイトを押収されてしまう。
白根(しらね)13

名前の由来は白根山から。合法部門の女性活動家。大山の恋人でおとなしい性格。宮浦、高妻とはY大の同級生。組織の指示で恋人に去られた後の赤石の生活を世話していた。交番襲撃作戦以前に、赤城から「今回の任務がすんだら大山と結婚したら」と勧められ当惑する。大山の逮捕にショックを受けるが、その後五竜と付き合い始める。

安達幸一(あだち こういち)10
モデルは寺岡恒一。名前の由来は安達太良山から。1970年5月の米軍基地の敷地内でのダイナマイト爆破や翌年の北関東の銃砲店での銃器奪取などの作戦に参加するなど、実行部隊のリーダー格。いささか軽口らしく、会議中に宮浦の妊娠中絶の噂を口にしたことから、赤城に

自己批判を求められる。札幌潜伏後の1971年5月、自身を組織のリーダーとし、半合法の活動家を入軍させる組織の改組案を出すが、赤城に闘争方針の展望の無さを批判され指導部の改組を取り下げる。6月、高妻と結婚。8月、空木と五竜を処刑。

稲村一郎(いなむら いちろう)
手配写真のみの登場。1969年11月、神奈川県内の米軍基地にダイナマイトをしかけ、筑波と共に指名手配になる。その後もダイナマイトをしかけ続けるが、12月に逮捕される。
烏場(からすば)
名前のみの登場。神奈川県内の米軍基地に稲村と共にダイナマイトをしかけるが、警備員に見つかり逮捕される。谷川は烏場が非合法活動を行っていたことにショックを受ける。
早池(はやいけ)
名前のみの登場。1969年11月、稲村と共にアメリカ領事館に爆弾を仕掛ける。未遂。
蒜山(ひるやま)
革命者連盟の中心メンバーの一人。1969年12月、ダイナマイトを持っていたところを逮捕される。
岩湧(いわわき)
革命者連盟の創始者の一人で、最古参の活動家。最近の爆弾ゲリラ路線に

危惧を抱いており、指導部を説得して方針を変えようとするが、支持を得ることができず、1969年12月、組織からの離脱を宣言。その6年後に病死する。

白山秋生(しろやま あきお?)
合法部門「共闘戦線」の議長で赤色軍との連絡役。1971年4月頃、警察の強引な捜査方針により、合法部門メンバーでありながら逮捕される。前岳とは結婚関係にある。1971年7月に釈放され、活動に復帰。1971年8月、組織を離れていた前岳を連れ戻すが、安達の「(今度前岳が脱走したら)殺ることになる」という言葉に組織の異変を感じ取ったのか、前岳と共に脱走する。
伊吹逸郎(いぶき いつろう?

)4

1970年5月、安達、黒部一郎らと共に都内の米軍基地にダイナマイトを仕掛け爆破させる。1971年6月の時点では救対担当。
黒部一郎(くろべ いちろう)7
安達、伊吹らと共に米軍基地にダイナマイトを仕掛ける。1971年6月、入軍。空木・五竜の処刑が検討された際には、「人民内部の矛盾を暴力で解決するのは間違い」と疑問を持つ。
和歌山公平(わかやま こうへい)
革命者連盟指導部の一人。筑波の偽装転向に、共産主義者としてどうなのかと疑問を持つが、谷川からはそんな問題は瑣末だと言われる。その後、北関東での銃砲店襲撃作戦に参加。銃の奪取には成功するものの、その後東京に向かう途中火打と共に逮捕される。
火打(ひうち)
党員資格停止中の吾妻と神戸の調査を行う。後に北関東での銃砲店襲撃作戦に参加。銃の奪取後、東北方面で車を乗り捨てる当初の計画を実行せず、和歌山を送り届けるために東京に向かった。検問に引っかかり懸命に逃走するが、和歌山と共に逮捕。結果として組織を危機に陥れることとなる。
大山(おおやま)・英彦(ひでひこ)
赤石らとともに交番での銃器奪取作戦に参加。警官の銃弾を浴びて負傷し逮捕される。大山は白根の恋人。英彦は高校生。
八幡(やはた)
合法部門の活動家。赤石を追悼する「人民葬」集会での暴動方針に強く反対し、ポスター貼りの際に一人だけ検挙されなかったこともあって、谷川・安達からスパイと疑われている。
筑波八重子(つくば やえこ)
筑波の妻。赤石のアジト設定や筑波が収監されている拘置所周囲の下調べなど裏方の仕事に励んでいる。
黒部次郎(くろべ じろう)
高校中退の活動家。米軍基地爆破作戦の実行部隊の一人である黒部一郎の弟。1971年初めの赤色軍合法組織との共同集会に参加。大阪で活動中、爆弾を隠し持っていた六甲のアパートにいたため、次郎も共に逮捕されてしまう。
恵那検索(えな けんさく)
北関東での銃砲店襲撃作戦後、赤城らと行動を共にし札幌に潜伏。楽観的で明るく、奪取した銃をお祝いとしてお酒と一緒に置いたりもした。銃を党の中心に置くことを「あやまった物神化」と批判するが、後に赤城に説得され合意する。
栗駒信一郎(くりこま しんいちろう)
北関東での銃砲店襲撃作戦後、初めて赤城と会う。その後赤城らと共に札幌に潜伏。指名手配写真が似ておらず、買い物を頼まされることが多い。赤城とは仲が良いらしく、しばしばふざけ合う。白山とも親しいらしい。1971年8月、空木と五竜の処刑にかかわるが、空木の処刑後、組織をやめたいと言うようになる。
明星伸子(みょうじょう のぶこ)
栗駒の彼女。栗駒が入軍して以来、二人の間の連絡はしばらく途絶えていたが、(空木処刑後の)栗駒と再会し、共に活動するか一緒に逃げようと言われ、共に活動することを選ぶ。「反米愛国路線はよくわからない」と話すが、すぐに変装としてパーマをかけるなど、活動には積極的。
前岳(まえたけ)
機関誌編集を担当。赤城の古い友人。赤色軍の北と面識がある。白山とは結婚関係にあるが、赤色軍の鳥海とも恋愛関係になり、そのことを赤城に批判される。1971年7月、赤城との待ち合わせに現れず、脱走。
空木(うつぎ)2
名前の由来は空木岳から。白山にアジトを提供していた。活動歴は短い。ノンポリの医者の彼氏がいるが、結婚の意志は無い。組織内での痴漢問題の解決を条件に入軍入山するも、五竜の脱走後、自分も山を降りたいと望むようになるが認められず、脱走未遂を起こす(その際も組織への配慮はしていた)。その後、交番調査中に脱走。バイト先で山に行っていたと話したり、半合法部のメンバーに山での生活の不満をぶつけたりするが、そのことが赤城らの怒りを買い、1971年8月、処刑される。空木自身は合法部で活動を続けることを望んでいた。組織内で殺された最初の人物。
荒島(あらしま)
半合法部の活動家。札幌から帰還した赤城・谷川らと都内を転々とする。平に好意を寄せており、性関係も持っているが結婚の意志は無い。そのような平との関係を赤城に批判されるが反発し、赤城と衝突する。脱走しようとした空木を連れ戻した際には、逃げる者を無理にとどめるのはナンセンスだとして赤城らに反発するが、空木・五竜の処刑が検討された際には、その後の二人の行動からこれに賛成した。
一湊(いちみなと)
半合法部の活動家。警察からはマークされていない模様。札幌から帰還した赤城・谷川らと都内を転々とするが、1971年5月、脱走。
高妻(たかつま)
名前の由来は高妻山から。半合法部の活動家。宮浦、白根とはY大の同級生。1971年6月、安達と結婚。
五竜(ごりゅう)3
名前の由来は五竜岳から。半合法部の活動家。仙丈とは高校の同級生。「いちテロリストとして闘いたい」と活動に加わり、入軍入山。また、白根との交際を始める。しかし、山を降りることを望むようになり、脱走。その後、公安と酒を飲んでスリルを味わっていることや、山の事をネタにした小説を書いていることを尋ねてきた白根に話すが、そのことが白根に五竜処刑の決意をさせることになる。1971年8月、処刑。空木に続いて組織内で殺された二番目の人物となる。
平(たいら)
半合法部の活動家。
苗場(なえば) 12
共闘戦線中京支部の活動家。名古屋での交番調査の車を提供。
薬師(やくし) 6
車の運転ができる。空木、五竜の処刑を嫌がるが、免許を持っているのが彼女だけだったため実行メンバーの一人に加えさせられる。栗駒に好意を寄せるも、明星が活動に加わったことによりその想いは破れる。
仙丈(せんじょう)
半合法部の活動家。五竜とは高校の同級生。白根の入軍入山の際、彼女の日記を預かる。
矢玉(やだま)
名前のみの登場。1971年6月初旬の拡大党会議への出席を拒否する。
唐松(からまつ)
半合法部の活動家。
穂高(ほだか)
救対担当の活動家。
乃木(のぎ)
救対担当の活動家。

赤色軍

新左翼党派の一つ(共産主義者同盟赤軍派に相当)。関西で大きな影響力を持ち、関西訛りで話すメンバーも多い。1969年秋から「大阪戦争」、「東京戦争」など先鋭的な闘争を主張するが、実態は不発であり、岩木の友人からは「言うことだけはデカイ」と言われている。その後1969年末の関東地方■■■峠での武装訓練中の大量逮捕、翌年3月のリーダー石鎚の逮捕、「国際根拠地論」による主力メンバーの国外脱出などで組織は混乱し「ほぼ壊滅」とすら言われている。内部でも方針を巡る中央と地方組織の対立が顕在化する中、革命者連盟の交番襲撃作戦を高く評価し、提携関係を模索、1971年初めには合法組織である「前衛連合」(赤軍派の大衆組織「革命戦線」に相当)が、革命者連盟の合法組織「共闘戦線」と初めての合同集会を開催。更に同年2月からは「G(ギャング)作戦」と称する金融機関強盗により活動資金調達を行う。東大・京大レベルの頭の持ち主でないと入れてもらえないと言われており、革命者連盟の宮浦からは「エリート主義丸出し」と揶揄されている。メンバーへの懲罰として「禁煙禁酒」が存在し、岩木や革命者連盟メンバーからは不評を買っている。機関紙は『赤色』(『赤軍』に相当)。

岩木泰広(いわき やすひろ)
モデルは植垣康博。名前の由来は岩木山から。この物語のもう一人の中心人物。青森の■■大学(理学部)の全共闘学生活動家。静岡県出身。1969年夏、大学バリケードストライキと本部棟占拠に参加するが、参加学生は少なく方向性も定まらず、全共闘内ではストの自主解除まで検討される。そんな最中、■■大学を訪れた赤色軍の荒船(後述)にオルグされ赤色軍への参加を決意、■■大学を退却し上京する。しかし、赤色軍から指示らしい指示は与えられず、同年10月21日の国際反戦デーでは赤色軍と関係なく■■■■■■の部隊に参加し新宿での投石戦により検挙、以後1年あまりにわたって投獄される。1970年末にようやく保釈されたのち、ほどなくして上京し赤色軍での活動を再開する。潜伏先のアジトでは赤色軍の女性活動家4名と寝起きし、雑魚寝で悶々とした夜を過ごす。また収入も途絶え、貧乏生活を余儀なくされているが、半ばそのような生活を楽しんでいるように見える。共闘戦線(革命者連盟)との初めての合同集会で司会を担当。その後「組織再編」に伴って非合法部入りし、志賀の指揮する部隊の下でG作戦に従事しながら東日本各地を転々とするようになる。
鳥海(とりうみ)
モデルは青砥幹夫。名前の由来は鳥海山から。岩木と同じ大学(医学部)の活動家。彼を赤色軍の荒船に紹介する。大学のバリケードストライキの件で逮捕・投獄されていたが、ほどなくして保釈され活動に復帰。組織のサブリーダーとなり、前衛連合を指導、「革命者連盟に続くのは赤色軍」と意気込む。1971年6月、■■公園で機動隊に爆弾を投げる。
月山 幸子(つきやま さちこ?)
名前の由来は月山から。都内のアジトで岩木と同居していた4女性のうちの一人。恋人と別れたばかりで、岩木に好意を持つ。アジトではガリ版切りと電話中継という地味な任務に従事し、倦怠感を抱いている。「組織再編」後に三里塚闘争(第一次強制代執行)に参加した後、G作戦従軍に旅立つ直前の岩木と肉体関係を持つ。その後、赤色軍の川崎アジトに他のメンバーといたところを警察に襲撃されるが、お湯を沸かしていたヤカンを投げつけ脱出、バンドホテルに潜伏していた岩木らと再び合流するも、程なく逮捕される。革命者連盟の平らは月山に憧れている模様。
金峰(かなみね)
岩木と同居していた4女性のうちの一人。ビートルズの解散を知らず仲間に「遅れてる」とからかわれる。
アイコ
岩木と同居していた4女性のうちの一人で、アジト提供者。快活で姉御肌。組織の方針を「大衆路線の欠落した武装闘争」と批判していたためか、「組織再編」と共に党派を除名され、岩木ら4人をアジトのアパートから追い出す。
太平(たいへい)
赤色軍合法部隊「前衛連合」副委員長。保釈中の岩木を半ば強引に故郷から連れ戻し、組織の裏方仕事にこき使う。他のメンバーからは「官僚的」と陰口を叩かれている。一方で自身も雑用をしたり料理をしたりするなど、家庭的な面もある。
荒船(あらふね)
モデルは梅内恒夫。ストライキ中の■■大学にオルグ活動にやってきた赤色軍の理論家。市街戦(ゲリラ闘争)を主張するも組織の中では次第に疎外されつつある。
普賢秀雄(ふげん ひでお)
最初に革命者連盟との接触を図ってきた赤色軍からの使者。革命者連盟の交番襲撃作戦を高く評価し合同の会議を持つことを提案する。組織に極めて忠実で、札幌での革命者連盟との会合で酒がふるまわれようとした時も懲罰中で禁煙禁酒であるとして拒否し、革命者連盟側からつまらなそうに見られる。1971年6月、逮捕される。
志賀邦夫(しが くにお)
モデルは坂東國男。名前の由来は志賀山から(滋賀県も掛けているか?)。赤色軍の代表の一人として革命者連盟との合同会議に出席。弾圧を逃れるための変装として眉毛を剃っている。中央軍との連絡が途絶えがちな中、部隊を指揮してG作戦を実行する。
北盛夫(きた もりお)
モデルは森恒夫。名前の由来は北岳から。「組織再編」により、赤色軍で獄外に残っている者のリーダー(中央軍議長)となる。かつて「中央派」(さらぎ徳二らの共産主義者同盟関東派

に相当)との闘争から逃げ出したことに負い目を感じており、その分、活動には人一倍懸命である。1970年12月の最初の革命者連盟との合同会議において、革命者連盟からの銃器援助の要請をやんわりと断る(実は赤色軍は銃器を持っていなかったので)。後、逆に革命者連盟から銃器を援助され、その際に赤城から自党派と共に中国に渡航することを勧められるが「むしろ共に日本で殲滅戦を戦うべきだ」と反論し、また「いずれ内通者や裏切り者を殺さなくてはならなくなるときが来る」と述べる。

天城(あまぎ)8
逮捕された政治局員(高原浩之に相当)の妻。前衛連合の全国代表者会議に出席し、中央組織が地方組織を軽視していることを激しく批判する。ロングヘアが印象的な美人。
蓼科(たてしな)
名前のみ登場。1971年2月、鳥海と共に前衛連合のサブリーダーになる。
舵折(かじおり)
モデルは松田久(第十二話以降

)。赤色軍指導部の一人。岩木と月山が肉体関係を持った翌朝、二人に次なる指示を出しに来る。その後も岩木に指示を出すが、1971年3月に逮捕される。

久住充(くすみ みつる?)
岩木らと共に太平隊に加わり、愛知県での金融機関の調査を行う。後に岩木らと共に志賀隊に移る。車の運転ができ、1971年3月の仙台市近郊でのG作戦に運転手として参加する。1971年5月の■■■小学校襲撃にも参加するが、同月大阪の部隊に移ることになり、翌月逮捕される。
雨飾(あまかざり)
岩木らと共に太平隊に加わり、愛知県での金融機関の調査を行う。
高千穂三郎(たかちほ さぶろう)5
無所属の立場で横浜の■町を拠点に活動していたが、赤色軍のオルグを受け岩木らと行動を共にする。
九重良子(ここのえ よしこ?)
高千穂の引っかけてきた彼女。そのまま高千穂と共に岩木らと行動することになる。元芸者で人妻。左翼運動とは無関係だった人物で、月山からは不安視されている。岩木も当初は不安視していたが、間もなく楽観的に見るようになる。岩木らは九重を部隊から外し合法生活を送れるようにしようとするが、本人はそのことに不満に思っているようである。銀行襲撃の下調べでミスをし、以降作戦から外されるが、次第に荒れるようになる。北はそのような九重(と高千穂?)の処刑を志賀に指示するが、志賀と岩木の判断で組織からの追放となる。高千穂への想いは強いようで、高千穂と共に組織についていこうとし、最後には高千穂と共に組織をやめようとしたが、結局かなわなかった。
会津(あいづ)
仙台市近郊にアジトを設置しており、1971年3月に志賀隊と合流。その後志賀の命令で東京へ行く。
本富(もととみ)

名前のみ登場。1971年3月、逮捕される。北は本富と石割の逮捕と同時に指名手配される。

石割(いしわり)
名前のみ登場。1971年3月、本富と同時に逮捕される。
高平(たかひら)
W大の部隊に所属。マルクス経済学を行列式を使って書き直せないか考えている。
神山純(かみやま じゅん?)11
高平と同じくW大の部隊に所属。合法の免許証を持っているため、岩木らと行動を共にすることになる。
石鎚(いしづち)
塩見孝也に相当。赤色軍のリーダーで、1970年3月都内で逮捕。名前のみの登場。 
十勝(とかち)
重信房子に相当。指導部の一人で、「国際根拠地論」に基づき日本国外へ脱出し、アラブへ向かう。名前のみの登場。

その他

安田
モデルは安彦良和。岩木と同じ大学(文学部)の全共闘活動家で、文学部のキャップ。バリ封鎖の自主解除を主張し、全共闘指導部内で一定の支持を得るが、結局鳥海らの強硬論が通る。その後逮捕される。
櫛形(くしがた)
横浜■町の活動家。月山を通じて接触を求めてきた岩木に銃砲店襲撃作戦への協力を要請する。
大雪(たいせつ)
横浜■町の活動家。銃や爆弾に詳しい。赤色軍に好意的で、ダイナマイトの奪取を計画する。しかし、赤色軍の面倒見の悪さに腹を立て喧嘩別れになる。
美原(みはら)
月山の知人。岩木と月山の間の連絡の中継をする。
尾立(ひじ)
横浜■町の近くの■■■小学校

で教え、未就学児童の教育活動も行っている先生。■町の活動家と親しく、赤色軍にも好意的。赤色軍の■■■小学校襲撃に加担(情報提供)する。

私服公安警官
外出する赤城にしつこく付き纏い、彼女を精神的に追い込む。

脚注

単行本

講談社コミックスデラックス(イブニングKCDX)より

  • 第1巻 2007年9月21日発行 ISBN 978-4-06-372322-9
  • 第2巻 2008年7月23日発行 ISBN 978-4-06-375527-5
    作者と、映画監督の押井守との対談が収録されている。
  • 第3巻 2009年6月23日発行 ISBN 978-4-06-375722-4
    解説:紙屋高雪 「『レッド』前史 なぜ彼らは<革命>を信じられたのか?」
  • 第4巻 2010年6月23日発行 ISBN 978-4-06-375922-8

関連項目

モデルとなる新左翼組織
  • 連合赤軍 - 「赤色連盟」のモデル。
  • 日本共産党革命左派神奈川県委員会 - 「革命者連盟」のモデル。
  • 共産主義者同盟赤軍派 - 「赤色軍」のモデル。
作中で言及されている新左翼関係の事件
  • 東大安田講堂事件
  • 大阪戦争 (赤軍派)
  • 東京戦争
  • 10.21国際反戦デー闘争
  • 大菩薩峠事件
  • よど号ハイジャック事件
  • 上赤塚交番襲撃事件
  • 真岡銃砲店襲撃事件
  • 三里塚闘争(成田空港問題)
  • M作戦
  • 明治公園爆弾事件
  • 印旛沼事件
  • 山岳ベース事件 - 今後の展開により言及されると思われる。作品中の未来の出来事として語られる「群馬県山中」はこの事件に相当する。
  • あさま山荘事件 - 同上。作品中の未来の出来事として語られる「長野県の■■■山荘」
  • ベトナム戦争 - 新左翼運動の背景にあった。
作中で言及されているその他の出来事・人物
  • アポロ11号
  • 藤純子
  • 大阪万博
  • 三島事件
  • バロン吉元