HOME > コミック > 公家侍秘録

公家侍秘録/高瀬理恵

共有

著者: 高瀬理恵
巻数: 7巻

高瀬理恵の新刊
公家侍秘録の新刊

最新刊『公家侍秘録 7


出版社: 小学館
シリーズ: ビッグコミックスビッグ


公家侍秘録』(くげさむらいひろく)は、高瀬理恵による日本の漫画作品。小学館の雑誌『ビッグコミック』および『ビッグコミック増刊号』にて1997年から不定期で掲載された。

概要

江戸時代後期の京都を舞台に、少禄の公家に仕える青侍・天野守武を主人公にした漫画。守武は日野西家に伝わる名刀・粟田口久国の守役「刀守り」(かたなもり)である。主人である日野西晴季やその一人娘の薫子との微笑ましいドタバタ劇を交えつつ、権力を武器に粟田口久国を狙う幕府の役人や大名家の武士たちとの戦い、あるいは京都で起こる様々な事件への関わりを描く。エピソードは1話完結または前後編(『ビッグコミック』本誌掲載作品のみ)になっている。

高瀬が本作以前に『ビッグコミック増刊号』で不定期連載していた『首斬り門人帳』(1995年 - 1998年、2002年)に1回限りのゲストキャラクターとして登場した侍が本作品の主人公となっており(ただし細部で設定が変更されている)、本作はスピンオフ作品といえる。さらに本作からのスピンオフ作品として、準レギュラーの斎之介・千香夫妻を主役に据えた『表具屋夫婦事件帖』が『ビッグオリジナル増刊 ビッグコミック1』に2006年から2009年まで連載された。

時系列などは厳密になっていないが、単行本第1巻第2話において「西の丸老中の水野忠邦」に言及するくだりがある。また、『首斬り門人帳』でも同じく忠邦が西の丸老中と呼ばれる描写があるため、(本作品と『門人帳』が完全に同一世界の話であるとするなら)本作品は水野忠邦が西の丸老中に就任した1828年から、本丸老中に任ぜられる1834年までの時期に収まる話であると推定される。一方、実在の人物で唯一準レギュラーである千種有功が壮年の姿で登場することを合わせて推定すると、ほぼ1830年代前半の天保年間初期に絞られることになる。

主な登場人物

天野守武(あまの もりたけ)
主人公。日野西家に仕える青侍。貧乏な日野西家における唯一人の家人として、家中の雑用から生活費を捻出するための内職までこなしている。しかしその実態は、日野西家に代々伝わる粟田口久国の名刀を守る「刀守り」であり、京八流の剣術に加えて隠密の術にも長けた凄腕の剣客。ひとたび事件が起きれば、その技量を生かして事件解決に奔走する。
元は『首斬り門人帳』に登場したゲストキャラクターで、名前や役職も同一であったが、『門人帳』では、日野西家の姫が結婚するとの話題が出ているため、両作品が連続しているとするならば、時系列的には『門人帳』の方が後のエピソードということになる。
日野西晴季(ひのにし はるすえ)
守武の主人。近衛家支流日野西家の当主で従四位。無役のため生活は苦しく、当主の彼自身もかるたの製作や代筆業の内職で稼いでいる。また参内の必要がないため、ヒゲ剃りも数日に一度しか行わず、普段は無精ヒゲを伸ばしている。しかし公家としての矜持は高く、家宝の粟田口久国を売ってほしいとの申し出には決して応じない。
日野西薫子(ひのにし かおるこ)
晴季の娘。子供っぽくわがままな性格で、公家の誇りや風雅よりも食べ物と金銭に興味を持つ現金な振る舞いで晴季を悩ませている。しかしその分、行動力は並外れており、町人風に装って遊里を覗きに行くなど、公家の姫らしからぬ冒険に乗り出すことも。母親とは幼い頃に死別しているため、あまりよく覚えていない。
斎之介(いつきのすけ)
日野西家とかつて親交のあった高丘家の青侍。そして同家が所有する藤原定家直筆の断簡を守る「古筆守り」でもあった。当代の主が古筆を叩き売ってしまったため職を辞し、古筆守りの一環として覚えた技術を生かして表具師(掛軸、襖、屏風などの仕立てを行う職人)として独立する。
本作品のスピンオフ作品『表具屋夫婦事件帖』では、妻の千香とともに主人公を務める。
高丘千香(たかおか ちか)
高丘家の娘で、薫子の幼馴染。高丘家の下女を母親とする妾腹の姫である。父親が病気になり、薬代を工面するために女郎屋に身売りしたが、父が亡くなって長男が家を継ぐと、腹違いの妹を疎んでいた兄に見捨てられてしまう。後に斎之介が身請け金を返済し、彼と夫婦になった。
斎之介とともに『表具屋夫婦事件帖』では主人公を務める。
千種有功(ちぐさ ありこと)
実在の人物。公家ながら自ら刀を鍛えるほどの刀剣愛好家。ある事件で近衛家を通じて守武に仕事を依頼したのをきっかけに、刀剣がらみの事件で何度か登場する。

単行本

小学館ビッグコミックス刊

  • 第一集 2000年2月発売 ISBN 978-4091855619
  • 第二集 2001年6月発売 ISBN 978-4091855626
  • 第三集 2002年12月発売 ISBN 978-4091855633
  • 第四集 2004年4月発売 ISBN 978-4091855640
  • 第五集 2005年11月発売 ISBN 978-4091855657
  • 第六集 2007年9月発売 ISBN 978-4091815897
  • 第七集 2009年8月発売 ISBN 978-4091825865
関連作品
  • 表具屋夫婦事件帖 2009年2月発売 ISBN 978-4091824554
  • 首斬り門人帳
    • ビッグコミックススペシャル版 1998年8月発売 ISBN 978-4091857019
    • 新装版(ビッグコミックス) 2003年3月発売 ISBN 978-4091857026