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剣の舞/岩明均

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著者: 岩明均
巻数: 1巻

岩明均の新刊
剣の舞の新刊

最新刊『剣の舞



出版社: 講談社
シリーズ: 講談社コミックスDX


雪の峠・剣の舞』(ゆきのとうげ・つるぎのまい)は、岩明均による日本を舞台とした歴史漫画2編からなる中編集。2001年にKCデラックス(講談社)から単行本が刊行され、2004年に文庫化された。収録作品は、江戸時代初期の久保田藩のお家騒動を題材とした「雪の峠」と、戦国時代の剣豪・上泉信綱の門下の疋田文五郎を主役とした「剣の舞」である。

「雪の峠」は1999年に『モーニング新マグナム増刊』(講談社)にて、「剣の舞」は2000年に『ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて、それぞれ短期連載された。

雪の峠

あらすじ

戦国末期、常陸国を領土としていた大大名・佐竹家は、関ヶ原の戦いで西軍の石田三成方についたため、敗戦後、当時の僻地である出羽国に追いやられてしまった。そこで新しい城の築城に取り掛かることになったが、その築城場所を決める際、当主の佐竹義宣は渋江内膳ら若い家臣の意見を優先し、高齢の重臣たちを蔑ろにする素振りを見せる。それに反発した高齢の重臣たちは、大軍略家と名高い梶原美濃守を立て、自分たちの居場所を守るために対抗案を出すが……。

登場人物

渋江内膳(しぶえ ないぜん)
佐竹家近習頭。当主・義宣の腹心として、築城場所に窪田を推す。合理的な思考の持ち主でかなりの切れ者だが、ケンカが嫌いでのんびりした性格。まだ年若い上に、元々は素性の知れない食いつめ者であるため、家柄を重んじる重臣たちからは快く思われていない(ただし史実の渋江内膳の出自ははっきりとしており、作中のこの設定はフィクションである)。
梶原美濃守(かじわら みののかみ)
佐竹家重臣(客分)。穏やかながらも隙のない物腰の老臣で、頭は切れる。若い頃に上杉謙信に目をかけられたことがあり、家臣たちにその頃の逸話を何度となく話したことがある。川井たちに頼られ、旧世代の代表として金沢案を推す(のち先代の挙げた横手案に切り替えるが、あくまで渋江内膳の案に反対するのが目的であった)。しかし、行きがかり上、川井の誘いに乗ってしまい、佐竹義宣・渋江内膳の主従との「喧嘩」に加担はしたものの、合理的思考の持ち主であり、関ヶ原の戦いの際の義宣の判断を、全面的ではないにせよ内心で支持していた。後に出奔して越前松平家に仕える(作中では紹介されていないが、史実では一時期佐竹家を裏切り、北条家についた"前科"がある)。
佐竹義宣(さたけ よしのぶ)
佐竹家当主。進歩的な考え方の君主。関ヶ原の戦いの時、自身の一存で西軍につくことを決めたため、川井ら重臣たちには未だに根に持たれている。渋江内膳や梅津兄弟を重用し、内膳の献策にも我が意を得たりと頷いているが、頭の古い旧世代の重臣たちには全く理解されず、ますます反感を持たれる結果となっている。
梅津半右衛門(うめづ はんえもん)・主馬(しゅめ)兄弟
佐竹家の近習。内膳とともに義宣を支える。
川井伊勢守(かわい いせのかみ)
佐竹家家老。旧世代サイドの代表的な人物で、自分たちを軽視して次々と物事を決めてゆく義宣・内膳らが気に入らない。特に関ヶ原の戦いでの義宣の「判断ミス」を批判し、それがために渋江内膳の築城プランに感情的に反発し、梶原美濃守を巻き込んで対案を主張する。力で全てが決まった戦国の世を「古き良き時代」として懐かしみ、今は時代が変わってしまったことを嘆いている。渋江内膳が家老に昇進した人事に不満を覚え、暗殺を画策するが、具体的な話は全く進まないうちにそれが発覚して、旧世代の重臣を疎ましく思う佐竹義宣に粛正の口実を与えてしまう(史実でも川井事件として知られる)。今までの行いを反省し、義宣に詫びようとした際に粛正されてしまうという、不本意な最期を迎えた。
佐竹義重(さたけ よししげ)
佐竹家先代。かつては鬼と呼ばれた猛将だったが、今ではすっかり丸くなり、義宣の新政を黙って見守っている。義宣をかばうために横手案を出すが、それを逆に美濃守に利用されてしまう。
和田安房守(わだ あわのかみ)
主席家老であり旧世代の筆頭であるが、川井らとは一線を画し、内膳ら新世代を後押ししている。ケンカ嫌いの内膳に対し「戦をせよ」と叱咤する。
上杉謙信(うえすぎ けんしん)
越後の戦国大名。生涯70余度の合戦で負け知らずの名将。武州松山城へ援軍に行った際の逸話を梶原美濃守が語った。老臣の憧れの武将。

剣の舞

あらすじ

時は戦国の世。農家の娘ハルナは、戦のどさくさでならず者の武士たちに家を襲われ、陵辱された上に家族を皆殺しにされてしまう。ハルナは武士から盗んだ碁石金を元手にして、天下一と名高い上泉伊勢守の道場に弟子入りし、武士への復讐のために剣術を習おうとする。そこで伊勢守の門弟であった疋田文五郎は、伊勢守が考案したばかりの(しない、竹刀)を手に、ハルナに剣を指導することになったが……。

登場人物

疋田文五郎(ひきた ぶんごろう)
上泉伊勢守の甥。若くして相当な腕の剣の遣い手で、師でもある伊勢守から「もはや天下一かもしれぬ」と言われるほどの実力を持つ。最初はハルナに剣を教えるのを面倒がっていたが、徐々に打ち解けてゆく。新陰流の分派、疋田陰流の祖。
ハルナ
農家の娘。小幡上総介の手勢の武士に家を襲われ、家族を皆殺しにされる。その後碁石金を奪って逃走し、甘楽春之介という名で男装して上泉道場に押しかけ、文五郎に剣を教わる(ただしすぐに正体はバレた)。楽観的な性格でお調子者。家族の仇である逆さ鳥居たちに復讐を誓う。架空の人物。
上泉伊勢守秀綱(かみいずみ いせのかみ ひでつな)
長野家の家臣で、天下一の名高い剣豪。ハルナを気に入り、自ら考案したを使って文五郎に剣を教えさせる。武田家による箕輪城攻略の際は、疋田文五郎や神後宗治らを従えて搦手から打ち出て、武田の軍勢を突破するものの、大勢には何ら影響しなかった。落城後は放浪して上方に向かう。新陰流の祖。
神後宗治(じんご むねはる)
上泉伊勢守の弟子。大勢いる伊勢守の門弟の中でも、文五郎と並ぶ存在。
与吉(よきち)
ハルナと同郷の若者。ハルナを追いかけて、上泉道場のある箕輪にやって来る。
十郎左(じゅうろうざ)
数人の仲間とともにハルナの家を襲い、家族を皆殺しにした男。小幡上総介の手勢の一人。着用している兜の飾りが逆さにした鳥居に似ていたため、ハルナには逆さ鳥居と呼ばれる。下卑た性格のスケベオヤジ。架空の人物。
大殿(長野業正)
作品中にて既に死去しており、直接は登場しないが、長野家の家臣たちの軍議の場で話題にされる。史実では武田信玄は長野業正の生存中は、上野国に手が出なかったと伝えられる。戦上手で知られた大殿の死が武田方に知られた事により、箕輪城の長野家中は、敗戦・落城を覚悟する。なお、当代の箕輪城主である長野業盛は作中に登場しない。
藤井
箕輪城を囲む武田信玄の軍勢に感嘆し、最期の死に花を咲かせる舞台が飾り立てられたと笑う、剛胆な男。作中の解説は無いが、上泉伊勢守とともに長野十六槍のひとりとして数えられる長野家の家臣。
小幡上総介
武田家の新参の家臣として、箕輪城攻略の先鋒をやらされ、城中の長野家の家来たちに降伏を呼びかける。作中での言及は無いが、巻末の解説にて、長野家の娘婿であったが所領回復のため武田側についた事が解説されている。史実においては、上泉伊勢守は小幡上総介の呼びかけに応じて降伏しており、作中のように門から打って出てはいない。
大場八十衛門
小幡上総介の家臣。疲労した疋田文五郎に対し「わしの手柄になってくれ!」と立ち会うが、返り討ちに遭いまっぷたつになる。
柳生新左衛門宗厳(のちの石舟斎)
奈良の宝蔵院にて疋田文五郎と立ち会う。新当流の弟子たちは、当主の新左衛門が立ち会うにもかかわらず、新陰流側は弟子が立ち会う事に対して憤るが…。
宝蔵院胤栄
新陰流と新当流の試合の立会人。

書誌情報

  • KCデラックス(2001年3月、講談社)ISBN 978-4063343878
  • 講談社漫画文庫(2004年10月、講談社)ISBN 978-4063608236

関連項目

  • 佐竹氏 - 久保田藩
  • 上泉信綱 - 疋田景兼