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創竜伝/恵広史

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著者: 恵広史
巻数: 5巻

恵広史の新刊
創竜伝の新刊

最新刊『創竜伝 5


出版社: 講談社
シリーズ: 講談社コミックス


創竜伝の既刊

名前発売年月
創竜伝 1 2005-02
創竜伝 2 2005-02
創竜伝 3 2005-06
創竜伝 4 2005-10
創竜伝 5 2006-02

創竜伝』(そうりゅうでん)とは、田中芳樹の伝記アクション小説。講談社ノベルス、文庫から出版されているほか、これを原作としたOVAや漫画も製作されている。

概要

四大竜王の子孫であり転生した姿でもある四人兄弟が、人界や天界の悪と戦っていく物語であり、作者の現代日本社会に対する批判 が最も直接的に表現されている作品でもある。

その物語が展開する世界は現代社会とは似て異なるパラレルワールドであるが、唐突に文中へ織り込まれる件にはモデルが類推できるものも多い。作者としては右傾化する現代日本への警告を意図したものだが、事実と異なる描写についても事実だという誤解が広まる結果となった。

第1巻は(8月に刊行され初版では巻数を示す「1」は無く単なる『創竜伝』というタイトルだった、当初は年1 - 2冊のペースだったが次第に減速し、11巻 - 13巻はほぼ3年に1冊のペースとなっている(13巻は(6月刊行)。

1月には「らいとすたっふ」のブログで14巻が年内に執筆されるという公式発表がなされたとある作家秘書の日常: 新年のご挨拶よりが、2007年5月に公式発表は撤回され、14巻の刊行は未定となっているとある作家秘書の日常: 『創竜伝』文庫版13巻が出ました。より

時代設定は第1巻では1990年代中盤だったが、巻を重ねるうちに、作中では半年しか経っていないにもかかわらず、実際の年月は1990年代が終わってしまったため、21世紀に変更されている(単純に「近未来」という意味合いのものではないかという擁護的意見もある)。

登場人物

人界

竜堂兄弟

声優名は(アニメ:CDドラマ1:CDドラマ2)の順。

竜堂 始(りゅうどう はじめ)
声 - 堀秀行:速水奨:宮本充
長男、23歳。共和学院高校の元世界史教師。“活字中毒者”。頑固で厳しいが、弟思いの大黒柱。前世は東海青竜王敖広。文庫版の挿絵を担当したCLAMPの中では一番人気だそうである。作者の代表作である「銀河英雄伝説」に登場するヤン・ウェンリーと共通点が多く、本作における語り部的な存在と言える。ただし、ヤン・ウェンリーと違い、勤勉な性格である。
東海青竜王 敖広(とうかいせいりゅうおう ごうこう)
姓は敖、名は広、字は伯卿(はくけい)、号は東海青竜王。竜種の長。重力を司る。騎獣は青臞疏(せいかんそ)。
竜堂 続(りゅうどう つづく)
声 - 飛田展男:置鮎龍太郎:同左
次男、19歳。共和学院大学人文学部西洋史学専攻。美形だが毒舌家で、敵対する相手には冷徹極まりない。自称『卑怯が大好き』『嫌いな人間の苦痛には無限に耐えられる』随分な性格。小さい頃から兄の始を大変尊敬しており、基本的に始の決めたことにしか従わない。また、茉理にも頭が上がらない。前世は南海紅竜王敖紹。
南海紅竜王 敖紹(なんかいこうりゅうおう ごうしょう)
姓は敖、名は紹、字は仲卿(ちゅうけい)、号は南海紅竜王。炎と冷気を司る。騎獣は紅飛廉(こうひれん)。
竜堂 終(りゅうどう おわる)
声 - 中村大樹:石川英郎:同左
三男、15歳。共和学院高校一年生。腕白坊主。身体能力の冴えは兄弟随一。決して大柄な体格ではないが大食漢で、食に対しては才能以上のものを発揮することもある。よく“小遣い抜きの刑”をくらい、“食べることに関する懐柔策”にひっかかる。その歌唱力は、ナルサスの絵に匹敵すると言われている。得意技はヘリ落とし。前世は西海白竜王敖閏。恵広史の漫画版ではほぼ主役をはっている。
西海白竜王 敖閏(せいかいはくりゅうおう ごうじゅん)
姓は敖、名は潤、字は叔卿(しゅくけい)、号は西海白竜王。風と音を司る。騎獣は白麒麟(はくきりん)。
竜堂 余(りゅうどう あまる)
声 - 山口勝平:緑川光:石田彰
四男、13歳。共和学院中学一年生。おとなしい気性だが、時として無邪気に終をヘコませる影の毒舌家。兄弟のうち最初に覚醒した。時間と空間を超越できる『夢』を見る能力がある。また、度々陥る夢遊病に似た状態では、宙に浮いて移動し、超能力を発揮する。前世は北海黒竜王敖炎。
北海黒竜王 敖炎(ほっかいこくりゅうおう ごうえん)
姓は敖、名は炎、字は季卿(きけい)、号は北海黒竜王。雨と雷を司る。騎獣は火眼黒狻猊(かがんこくしゅんげい)。潜在能力は最大。

竜堂兄弟の関係者(仲間)

鳥羽 茉理(とば まつり)
声 - 玉川紗己子:水谷優子:松井菜桜子
四兄弟の父方の従姉妹、18歳。勝気で明るい性格。竜堂家の家事を一手に引き受けてくれる大恩人。作中で危機に陥るたび、無意識に自身がまとめる鳥たちを呼び寄せて助かってきた。前世は、仙女の太真王夫人。
太真王夫人(たいしんおうふじん)
西王母の末娘。“鳥たちの女王”。青竜王とは淡い恋仲であり、天界の住人たちの好意的な冷やかしのネタにされる。
蜃海 三郎(しんかい さぶろう)蜃(シン)、虹(コウ)、蛟(ミズチ)はいずれも竜の眷族であり、前世では竜王に仕える将軍であった。
声 - 玄田哲章: - :立木文彦
四兄弟と行動を共にする元新聞記者。共和学院のOB。記者としての経験などから情報収集に優れ、それが一行の役に立っている。
虹川 耕平(にじかわ こうへい)
声 - 安西正弘: - :家中宏
四兄弟と行動を共にする元刑事。共和学院のOB。水池の言動に呆れながらもしっかりツッコミを入れる。
水池 真彦(みずち まさひこ)
声 - 矢尾一樹: - :森川智之
四兄弟と行動を共にする元陸上自衛官。歯に衣着せぬ物言いと人をおちょくったような性格から、自衛官時代から敵が多かった。
松永 良彦(まつなが よしひこ)
品種不明の小犬。水池の後をついて来て、適当に名づけられた。茉理の優秀な“ボディーガード”で、余とは良い友好関係を築いている。
※天狗(てんこう)。赤城王の飼い犬。
黄老(こうろう)
本名は黄世建(ホアン シェーチェン)。抗日戦争の英雄。竜堂兄弟の祖父・司の友人。反骨精神に優れ、自由闊達で明朗な老人。
黄大人(ホアンターレン)
本名は黄泰明(ホアン タイミン)。黄老の弟。華僑の指導者。

竜堂兄弟の親類

竜堂 司(りゅうどう つかさ)
竜堂兄弟と茉理の祖父。共和学院の創始者。意思が強く、柔軟な考えの持ち主。兄弟にとっては育ての親でもあり、大きな影響を与えた(特に始)。故人。
鳥羽 靖一郎(とば せいいちろう)
声 - 青森伸: - :沢木郁也
竜堂兄弟の義叔父で茉理の父親。共和学院の現学院長。共和学院を大きくしようと卑屈に政治家に頭を下げ、教師や生徒に対しては尊大かつ傲慢。そのことで時に竜堂兄弟に敵対する立場となるが、本来はただ気が小さく、かつ他人の影響を受けやすい人物であるようだ。代議士の古田重平の影響で人格を貶めたが、かつて司の存命中は、司の影響でいっぱしの教育家気取りだったようである。
鳥羽 冴子(とば さえこ)
声 - 吉田理保子: - : -
竜堂兄弟の叔母で茉理の母親、竜堂司の娘。冷静沈着で、司の娘らしく、また茉理の母親らしく、意志が強い。

アメリカ合衆国

フォレスター大統領
声 - 村越伊知郎

四人姉妹とその配下

四人姉妹(フォー・シスターズ)モデルとなったのは、四大財閥の総称としてはセブン・シスターズ、各財閥はロックフェラー家、モルガン家(JPモルガン・チェース)、メロン財閥、デュポンであると思われる。ゴルゴ13にも世界経済を牛耳る存在としてロックフォードが登場する。
ロックフォード、マリガン、ミューロン、デュパンの四大財閥。西側世界を経済的に支配しており実際にも、巨大財閥が世界を支配していると主張する人物はいるが、一般には陰謀論の類いとされる(陰謀論の一覧#財閥陰謀論、王室陰謀論を参照。、牛種とも繋がっている。
ランバート・クラーク
四人姉妹の新たなる当主。全ての家の血を引く男だが、その影響で牛頭人体の怪物となる。
大君(タイクーン)大君Tycoonとは英語で「大物」「実力者」の意味。語源は日本語の「大君」であり、江戸幕府の将軍の外交上の呼称に由来する。
もともと四人姉妹のそれぞれの財閥の長を指す。本名も素性も不明で、最初こそラスボス的な意味深な雰囲気を漂わせたが、ランバート・クラークの登場によってすっかり影が薄くなってしまった。
マリガン
声 - 中庸助
ダグラス・W・ヴィンセント
アメリカ大統領補佐官。ホワイトハウスにおいて四人姉妹の命令に従っている。
ウォルター・S・タウンゼント
東アジアにおける四人姉妹の代理人。
レディL(パトリシア・セシル・ランズデール)
声 - 戸田恵子: - :島津冴子
タウンゼントの部下。エキゾチックな美人で、弁護士でもある才色兼備の女性。竜堂兄弟に敵対しながらも彼らに心を惹かれ、それが元で味方に射殺される。

その他

船津 忠厳(ふなつ ただよし)
声 - 大塚周夫: - :大木民夫
鎌倉の御前(かまくらのごぜん)」と呼ばれる日本政財界の黒幕。四兄弟の祖父とちょっとした因縁がある。竜種の血を得る事によって人外の力を得ており、世界を支配する四人姉妹も一目置いていた。さらなる力を得るために竜堂兄弟を狙っていた。
小早川 奈津子(こばやかわ なつこ)
船津忠厳の娘。外見はもとより、身体・考え・欲などにおいて、人並み外れた力の持ち主。ある意味、田中芳樹作品最強のキャラクターであり、竜堂兄弟にとっては四姉妹や牛種を遥かに上回る最凶最悪の敵。読者人気は相当高く、イラストを担当する天野喜孝はノベルス版の表紙イラストに彼女を採用しようとした事がある。現在は諸般の事情で竜堂兄弟と共同戦線を張っている(通称:天使のなっちゃん)。
古田 重平(ふるた じゅうへい)
船津の配下で、「ラスベガス事件」を模倣した描写や「党内きっての武闘派」「学の無い奴」など、特定人物を指定するかのような判り易い説明で典型的悪徳代議士とされる。竜堂兄弟にコテンパンにしてやられた悪役第一号である。
古田 義国(ふるた よしくに)
重平の次男。興国大4年で裏口入学者。重平を更に劣化したような徒党を組んだ暴力大学生。ちなみに長男(父親描写の関係上、これまた特定人物と思われる)は義国よりも出来はいいようだが、作中では未登場である。
高林 健吾(たかばやし けんご)
船津の配下で、現職の内閣官房副長官。粗野な成り上がり者である古田に対して、冷徹なエリートであり、優秀な頭脳を持つ強敵…であったはずだが、結局は竜堂兄弟の前に道化に成り下がる。
首相
「私立大学卒業」「歴代の首相の中で、唯一上目遣いがよく似合う」と馬鹿にされる。本作が開始された頃の日本国首相がモデルだと言われるが、「髪が黒い」といったモデルとされた人物とは異なる描写もある。続・終・余・茉理らに拉致された挙句、外国の山中で置き去りにされた。
元首相
政界に隠然たる勢力を持つが、小早川 奈津子の前では腰が低く、下僕同様に扱われた。「不沈空母発言」など、モデルとされた人物が誰であるか、かなり露骨に描写されている。

天界

天帝(てんてい)
天界の支配者。四海竜王の主君でもあったが……。
西王母(せいおうぼ)
太真王夫人の母親。崑崙山に宮殿を構え、数多くいる女仙を統轄する。母性を司る温和な女性だが、決して甘やかしたりはしない。その徳・地位は高く、天帝ですら一目を置くほど。
牛種
天界において竜種と対立する一族。殷周革命は天帝の命によって引き起こされた、竜種と牛種の代理戦争でもあった。

用語

天界
仙界
人界
竜泉郷

既刊一覧

  • 創竜伝 1 超能力四兄弟
  • 創竜伝 2 摩天楼の四兄弟
  • 創竜伝 3 逆襲の四兄弟
  • 創竜伝 4 四兄弟脱出行
  • 創竜伝 5 蜃気楼都市
  • 創竜伝 6 染血の夢
  • 創竜伝 7 黄土のドラゴン
  • 創竜伝 8 仙境のドラゴン
  • 創竜伝 9 妖世紀のドラゴン
  • 創竜伝 10 大英帝国最後の日
  • 創竜伝 11 銀月王伝奇
  • 創竜伝 12 竜王風雲録
  • 創竜伝 13 噴火列島

他メディアへの展開

アニメ

キティ・フィルムと講談社の制作により、1991年~1993年に全12話のOVAとして発売(後にDVD化)。その後フジテレビ他一部放送局にて全話が放送された。原作1~4巻に相当するが、ラストは原作と異なる。

サブタイトル

  • 第1話 「狙われた四兄弟」
  • 第2話 「竜泉郷の伝説」
  • 第3話 「黒竜王顕現」
  • 第4話 「東京湾狂騒曲」
  • 第5話 「華麗なる代理人」
  • 第6話 「摩天楼の紅竜王」
  • 第7話 「四兄弟の逆襲」
  • 第8話 「鋼鉄竜暴走」
  • 第9話 「烈風の白竜王」
  • 第10話 「四兄弟脱出行」
  • 第11話 「天翔る青竜王」
  • 第12話 「天空の四竜王」

漫画

CLAMP版
角川書店「ミステリーDX」1994年2月号~4月号に『水都の四兄弟 創竜伝・外伝』が連載されたが、事情により未完。
恵広史版
講談社「マガジンSPECIAL」2004年6月号~2006年1月号連載。単行本5巻(全20話)で完結。4兄弟が覚醒する順番は原作と同様だが、三男・終の覚醒場所、水地・虹川・蜃海と出会った状況など、異なる部分も多数ある。

ドラマCD

番外編である原作5巻相当分が1995年10月、原作1巻~4巻相当分が1996年10月~1997年6月に発売。前者と後者では発売元や声優などが異なる。

脚注

関連項目

  • 天野喜孝 - ノベルズ版イラストレーション担当
  • CLAMP - 文庫版イラストレーション担当

外部リンク