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千の目先生/石ノ森章太郎

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著者: 石ノ森章太郎
巻数: 1巻

石ノ森章太郎の新刊
千の目先生の新刊

最新刊『千の目先生


出版社: 双葉社
シリーズ: 双葉文庫


千の目先生』(せんのめせんせい)は、1968年に主婦と生活社の少女向け週刊誌「ティーンルック」で連載された石ノ森章太郎の少女向け劇画。

好き! すき!! 魔女先生』(すきすきまじょせんせい)と題してテレビドラマ化され、1971年10月から1972年3月にかけて東映が制作し、朝日放送(ABC)をキー局に(当時は関東ではTBS系)毎週日曜18時から18時30分に全国放送された。

概要

ドラマ版は遠い宇宙の彼方から突然やってきたヒロイン・月ひかる(演:菊容子)が東京の小学校に赴任して生徒たちと触れ合う学園ファンタジーもの。最初の3ヶ月間は原作と同じ学園ものだったが 、1972年の年頭に内容を一新し 月ひかるがアンドロ仮面に変身して悪者との対決をするというアクションヒロインものにスタイルを変更した。制作スタッフも、東映生田スタジオ、大野剣友会など、同時期の『仮面ライダー』とまったく同じ陣容である。

当時は変身ブームの真っただ中でもあり、このアンドロ仮面は特撮変身ヒロイン物の嚆矢にして草分けとも云うべき存在である。また、石膏像の「怪人ソクラテス」、「悪の羊飼い」、「海賊」、「黒ピエロ」などシュールなキャラクターが続出する展開は、のちの「美少女仮面ポワトリン」などに代表される東映不思議コメディーシリーズを彷彿とさせる。

変身後のコスチュームにはいささか時代を感じさせるが、後のスーパー戦隊シリーズや変身ヒーローものにおいてもヒロインはサポートに回ることが多く、女性変身ヒロインが単独で悪の怪人と渡り合うという演出は当時としては珍しいものだった。また、敵役のクモンデスは、「ナムダー」という蜘蛛の巣柄のタイツを着た戦闘員軍団を従えており、これら戦闘員と戦うアンドロ仮面のアクションは、「仮面ライダー」など男性ヒーロー物に引けをとらない本格的なものだった。「最終回で再生怪人軍団が登場する」という東映変身番組の定番パターンも、本作が初めて使ったものである。

ドラマ版(好き! すき!! 魔女先生)

スタッフ

  • 原作:石森章太郎(少女フレンド、なかよし連載)
  • プロデューサー:平山亨、小野耕人
  • 脚本:辻真先、市川森一、高久進、島田真之
  • 監督:山田稔、田口勝彦、折田至、佐伯孚治
  • 助監督:長石多可男、中尾守
  • 撮影:森隆吉、篠原征夫
  • 照明:須崎利行、安藤真之助
  • 美術:三上陸男、高橋章(エキスプロダクション)
  • キャラクターデザイン:吾妻ひでお(アンドロ仮面の元デザイン)
  • 音楽:渡辺岳夫
  • 仕上製作:映広音響
  • 録音:太田克己
  • 編集:菅野順吉
  • 選曲:鈴木清司
  • 記録:黒丸良子、紀志一子
  • 制作担当:内田有作
  • 進行主任:伊東暉雄
  • 衣裳:東京衣裳
  • 現像:東映化学
  • 技斗:大野剣友会

キャスト

メインキャラ
  • 月ひかる先生/アンドロ仮面:菊容子
  • 校長先生:潮万太郎
  • 教頭先生:牧冬吉
  • 竹取武右衛門:明石潮
  • 竹取きよ:岡村文子
  • 旗野先生:森本レオ
  • 用務員:奥村公延
  • 竜村理事長(正夫の父):太宰久雄
  • バル:甘利健二
  • 正夫:藤江喜幸
  • 進:矢崎知紀
  • 太一:石渡英典
  • タケシ:川口英樹
  • ハル子:杉山和子
ゲストキャラ
  • OB番長黒木(1話):白木みのる
  • タケシの母(2話、17話):楠トシエ
  • ヒロミ(5話):広瀬隆子
  • ヒロミの姉(5話):林寛子
  • TVレポーター(5話):鈴木泰明
  • 信夫(6話):作田修
  • 信夫の母(6話):小山明子
  • カズ子(8話):荒井久仁江
  • 正夫の子分(9話):塩屋翼
  • 旗野静子(旗野先生の妹。10話):宮田圭子
  • 光源氏(ひかるの兄。13話):佐々木功
  • 副社長(15話):高木均
  • アンドロメダ帝王(ひかるの父。16話、17話):堀田真三(声:大宮悌二)
  • カンナ(18話):大木智子
  • ルミ(20話):斉藤浩子
  • 老婆(クモンデスの変身。21話):花巻五郎(声:京田尚子)
  • カオル(23話):高柳孝子
  • ミドリ(25話):吉野比弓

声の出演

  • 牟田悌三(バルの声)
  • 大宮悌二(石膏怪人ソクラテスの声)
  • 丸山詠二(怪人ディクショナリーの声)
  • 飯塚昭三(怪人クモンデスの声)
  • 和久井節緒(黒ピエロの声)
  • 天地総子(語り手、α星宇宙パトロール員の声)
  • テーマソング:堀江美都子

放送リスト

放送日話数サブタイトル脚本監督
1971年
10月3日
1決闘! すずめが丘 |style="text-align: center;" rowspan="2"|辻真先 |山田稔
10月10日2トンテンカン とんちんかん |折田至
10月17日3私を食べないで |style="text-align: center;" rowspan="2"|市川森一 |山田稔
10月24日4ソクラテス大いに怒る |折田至
10月31日5いじっぱりハモニカさん |辻真先 |山田稔
11月7日6僕の弟はロボットだ! |市川森一 |佐伯孚治
11月14日7魔女テスト |style="text-align: center;" rowspan="4"|辻真先 |山田稔
11月21日8うそつき先生 |佐伯孚治
11月28日9日輪仮面の謎! |style="text-align: center;" rowspan="2"|折田至
12月5日10神風道中 東京-大阪!!
12月12日110点バンザイ!! |高久進
佐伯孚治 |style="text-align: center;" rowspan="3"|佐伯孚治
12月19日12宇宙怪人ゾルダ現わる |辻真先
12月26日13アンドロメダの恋人たち |大原清秀
1972年
1月2日
14アンドロ仮面登場!! |style="text-align: center;" rowspan="5"|辻真先 |style="text-align: center;" rowspan="4"|折田至
1月9日15ムシ歯になった宇宙人
1月16日16ゴキブリ父ちゃん! 怪人レスラーもビックリ
1月23日17恐怖の帝王アンドロメダ来る!
1月30日18吸血魔人クモンデス現わる! |田口勝彦
2月6日19怪奇! 黒魔術の恐怖 |滝沢真里 |style="text-align: center;" rowspan="2"|折田至
2月13日20恐怖の暗闇魔人 |辻真先
2月20日21呪いの金貨 |高久進 |style="text-align: center;" rowspan="3"|田口勝彦
2月27日22恐怖! ホラ穴の悪魔 |島田真之
山崎久
3月5日23恐怖の毒薬! 地獄の妖女 |近藤正
3月12日24恐怖の黒ピエロ! |島田真之 |style="text-align: center;" rowspan="2"|折田至
3月19日25死刑台のネックレス |style="text-align: center;" rowspan="2"|辻真先
3月26日26死なないで! アンドロ仮面 |田口勝彦

映像ソフト化

  • 2008年9月21日~10月21日にかけてDVDが東映ビデオより発売された。全2巻の各2枚組で各巻13話収録。
  • 2008年7月21日発売の「石ノ森章太郎 生誕70周年 DVD-BOX」に第1話が収録されている。

オープニングタイトルの差異

オープニングタイトルは前期と後期で若干異なっている。

  • 冒頭の竹林から和装したひかる先生が登場して「ムーンライトパワー」を授けるシーン
  • その「ムーンライトパワー」を使い悪徳ギャングの乗った車を小さくしてしまう箇所
  • ひかる先生が空中遊泳(バックはフィルム映像合成)するシーン

以上の3箇所は前期はロングヘアかつアンドロ仮面に変身する前のひかる先生が登場していたが、後期のアンドロ仮面登場以後は最初の和装のシーンは変身前かつショートヘアにしたひかる先生が登場。後者の2つはアンドロ仮面に変身して登場したものに差し替えられていた。よって、後期オープニングではひかる先生がショートヘアだった時とロングヘアの時の映像が混在した格好になった

補足

朝日放送(ABC)と東映の共同制作による連続テレビドラマは、本作品と、テレビ朝日系列へネットチェンジ後の『それゆけ!レッドビッキーズ』(53話から。52話まではテレビ朝日制作)の2作品のみで、いずれも原作者は石ノ森章太郎である(テレビ朝日主幹で当時のフルネット系列局と共同制作の『徳川三国志』を含めると3作品)。なお、テレビ朝日系移行後には『土曜ワイド劇場』等で単発及び非連続のシリーズ作品を制作した実績がある。

ABCは当番組に非常に力を入れており、第1話でABCが制作した全国ネットのコメディ時代劇『てなもんや三度笠』で絶大な人気を集めた白木みのるの出演をとりつけたり、第10話で大阪ロケ(当時の朝日放送本社ビルが映るシーンがある。披露宴のシーン撮影はホテルプラザで行われた)を敢行するなど、制作局として積極的な取り組みを見せている。

当時のスポンサーはヤマキ、ナカバヤシ、SSKだったが、本番組をもって長年続いたABCの日曜18時枠が終了するのに伴い、SSKは同じABC制作のアニメ『海のトリトン』へ、ナカバヤシとヤマキも同社制作で、テレビ朝日へネットチェンジした『新婚さんいらっしゃい!』のスポンサーへ移行した。

アンドロ仮面のアクションシーンの音楽には、『魔法のマコちゃん』の楽曲(作曲者はどちらも渡辺岳夫)が使われている。

派生作品

  • 『好き! すき!! 魔女先生』のタイトルで吾妻ひでおがテレビマガジンに漫画を連載。1971年12月号から1972年4月号まで。
  • なかよしでコミカライズが掲載(別府ちづこ)
  • 少女フレンドにも放送連動型のノベライズ(小説)版が掲載された

外部リンク