名門!多古西応援団/所十三

『名門!多古西応援団』（めいもん!たこにしおうえんだん）は、月刊少年マガジンの1984年6月号から1992年5月号にかけて連載された、単行本は全21巻。所十三原作の漫画作品。 および漫画作品から派生した映画作品、ゲームソフトである。

概要

多古多西高等学校の新入生である胡女浩司（こめ こうじ）は女ばかりの家庭に育った反動で男を磨くために応援団に入ることにした。しかし多古西の応援団は女好きでナンパばかりの団長の橘（たちばな）を筆頭にしたお気楽集団であった。当初は落胆した胡女であるが、お気楽にみえた先輩たちが実はやるときにはやる男気のある硬派であることを知り、さまざまな事件を潜り抜ける中で成長していくのであった。

連載開始当初は胡女が主人公だったのだが、連載が進むにつれて橘が主人公をつとめる回数が増えてきた。 基本的に1話完結で、ケンカ中心の構成の中に人情ドラマを描いた作品。

登場人物

橘薫　（たちばな　かおる）

多古多西高応援団・団長。女好きでテレ屋でいいかげんだけど、やる時はびしっとやる。得意技はラリアット、バックドロップ。武術に長ける。

団員の中でも傑出した巨体と怪力の持ち主。キャッツアイタイプのサングラスとリーゼントがトレードマーク。

水中銃を受けてもびくともしないなど、化け物じみたタフネスを誇る。

どうやら頭脳も良いようで、卑怯な武器や手段をもちいる相手を倒すために、独創的な方法を用いることが多い。言葉遣いも、ですます調で紳士的である。

巨体→紳士→いいかげん→喧嘩師→智謀の主とイメージが変転する、その意外性こそが彼の本分である。英語も堪能。

新堀中学出身。3年5組では保健委員を務めていた。

胡女浩司　（こめ　こうじ）

連載開始時点で、エンダンで唯一の一回生。得意技は頭突き。

母親・姉2人に妹1人という家族構成に嫌気が差し、男の世界にあこがれるようになった。

多古西高校に進学して応援団に入ろうとし、姉を紹介するという条件で団長は入団を認めた。

最初は貧弱だったが修羅場を経るごとに成長し、2回生になるころには正平を難なく退けるほどになった。

桂庵　（かつら　いおり）

副団長。昔はツッパリ少年だったが、今は頭もまるめて義理と人情に生きる。

得意技は、ボクシングで鍛えた左ストレート。 懐に威嚇用の短刀を仕込んでいる。

スキンヘッドがトレードマーク。

桂建設社長の御曹司で、実家は裕福である。団員たちに建設現場のアルバイトを斡旋することも多い。

多古多第二中学出身。中学時代は番格として、左京と対立していた。

左京元　（さきょう　げん）

最大のピンチも一発勝負で切り抜けるギャンブル野郎。浩司に頭突きを教えたのは彼である。

応援団では旗手長を務めている。

トレードマークは口ひげと、丸型のサングラス。めったに素顔を見せない橘とは違い、サングラスをはずした姿も頻繁に描かれている。

新堀中学出身で、元番格。暴走族にも所属していて、桂とはグループ内のライバル関係にあった。

村田武士　（むらた　たけし）

気はやさしくて力持ち。元相撲部員。得意技はつっぱり。

応援団では渉外を務めている。トレードマークは角刈り。

天神中学出身。神明中・河波中との連合をたばねていた。中学時代に桂と左京が率いる暴走族を撃退したこともある。

甲賀勝利　（こうが　かつとし）

中学時代は健全な柔道少年。バカがつくほどのお人好し。

これといった特徴がなく、登場人物のなかでもっとも影が薄い。

人当たりの良さからか、応援団では渉内を務める。

多古多二中学出身。中学時代は優等生で、柔道部のホープだった。

桂とも仲が良く、非行を繰り返す桂を拳骨でいさめたこともある。

乾正平　（いぬい　しょうへい）

浜崎中学の総番。腕っぷしには自信があったが、胡女とのケンカに負け、舎弟にしてほしいと言い出す。

パープルエンジェルスとの一件のあと、胡女を追って多古西高校に入学してくる。

のち応援団の副団長になる。

伊達　（だて）

桂の中学時代の弟分。少年院を出てからは“狂乱”に所属。

島崎　（しまざき）

多古多の暴走族“狂乱”の頭。多古西応援団にはまったく頭のあがらない男で、何かと力を貸してくれる。

蒲生貴明　（がもう　たかあき）

暴走族"Z"（ツェット）の頭。身長2メートルの空手の達人。その強さは誰もが認める恐ろしい存在で、橘ですら自分よりはるかに格上であると認識しているほど。

縣真澄　（あがた　ますみ）

暴走族"大日本凶走連合"の親衛隊長。Zと蒲生を利用して多古多市内の応援団を壊滅させた。

ブラッド・アンガー

浜崎米軍基地の不良グループ“パープルエンジェルス”のボス。アメリカでグリーンベレーの殺人術を身につけた男。

藤岡　（ふじおか）

暴走族"大日本凶走連合"の総長。本編では少年院に入っており、出番はない。

出番はないが、不良のカリスマとしてたびたび名前が挙がる人物。

志摩　（しま）

浩司のクラスメート。浩司は彼女に恋心を抱くが、その矢先に九州へと転校する。

電車が出発する直前に、不器用ながら浩司は想いを伝えることができた。

中島久美子　（なかじま　くみこ）

売れっ子アイドル。ツッパリのイメージで売り出していたが、それが元で現場との軋轢が生じていた。

偶然に彼女の風呂場をのぞいてしまった橘をチカンと呼ぶようになる。

めったにサングラスを外さない橘の、素顔を目撃した唯一の人物。

狩野　（かのう）

多古多西高3年生、美術部所属。桂邸をスケッチの題材にしたのがきっかけで、桂と親しくなる。

弱視の画家・尾形光という恋人がいることが判明する。

舞草聖子　（まいくさ　しょうこ）

多古多西高2年B組、新堀教会に通うクリスチャン。

左京のギャンブルをやめさせようとする。

広瀬真由美　（ひろせ　まゆみ）

多古西高校の園芸部員。村田の幼なじみ。

病床に伏した父親を元気付けるため、秋なのに桜の花を咲かせようとする。

眼鏡っ娘である。

ヒロミ

多古多西高2年A組、風紀委員。甲賀の幼なじみ。

いつも早弁する甲賀のために弁当を作ってくるなど、仲睦まじい様子。

アメリカからやってきた留学生、ジョーにつきまとわれる。

島野夏美　（しまの　なつみ）

正平と仲が良い。駅伝の練習中にフェラーリに撥ねられ、重体となる。

真田源次郎　（さなだ　げんじろう）

応援団の顧問。生物教師。実家は雪山でペンションを営んでいる。

黒田

生活指導の先生。生真面目。

想いやりのある先生だが、情熱が行き過ぎてしまうこともままある。

校長先生

口ひげとモミアゲが繋がっていて、スキンヘッド。端的にいえば達磨のような、ファンキーなスタイルが印象的。

応援団のやり方には比較的理解を示している。

宇喜田　（うきた）

多古多東高応援団、団長。多古西応援団とは、いい意味でのライバルで、互いに競いあっている。

榊章太郎　（さかき　しょうたろう）

多古多東高応援団、副団長。多古西高校とは隣どうしなので、なにかと出会う機会が多い。橘とは、なんとなくウマがあう。

影山美奈子　（かげやま　みなこ）

スケ番グループのリーダー。榊の幼なじみ。

米軍の父親と、米軍基地で働いていた母親との間に生れたハーフ。

パイソンのママ

多古多西、すずらん通りにあるクラブ“パイソン”のママ。多古西応援団が、いつもお世話になっている。

武田　（たけだ）

刑事だが、どう見ても筋のモノにしか見えない。中学時代の左京がよくお世話になった。

以降もスリ常習犯を捕まえたり、誘拐事件にかかわった国会議員を摘発したりと大活躍。

モデルとの類似点

所十三の出身高校である掛川西高校と、同校の應援團指導部をモデルとしており、各所にモデルと極めて類似する特徴が現れている。舞台とモデルとの共通点は以下の通り。

• 多古多西高等学校：建物の外観と配置、校章、校舎前の石碑（昭和天皇行幸記念）が掛川西高とほぼ同一。
• 多古多駅：建物の外観が掛川駅と酷似。
• 学校の近くの城跡：学校との位置関係が掛川城と同じ（作品発表時は未だ天守が復元されていなかった）
• その他、多古多西高の教諭の顔が当時の掛川西高教諭に一部似ているとの指摘もある。

映画

1987年8月15日、東映系にて公開。同時上映は「シャコタン☆ブギ」

実写映画版では、舞台が遠州地方から宮城県に変更されている。多古多市が白石市に、浜崎市が仙台市に、それぞれ変更されている。

• 製作：東映東京撮影所
• 監督：橋本以蔵
• 脚本：渡辺千明、我妻正義、橋本以蔵
• 音楽 ：本間勇輔
• 主題歌：吉沢秋絵「雨の花火」

キャラクター（出演者）

• 橘薫（我王銀次）
• 胡女浩司（南渕一輝）
• 桂庵（林統一）
• 左京元（豊原功補）
• 村田武士（松橋孝治）
• 甲賀勝利（みのわ圭一）
• 北条律子（吉沢秋絵）
• 志摩涼子（伊藤美紀）
• 宇喜多耕大（杉本哲太）
• 右京（大島剛人〔ギュウゾウ〕）
• 胡女稲子（田島令子）
• 永井一章（保阪尚輝）
• 蒲生貴明（鶴見辰吾）
• 蒲生竜二（内藤武敏）
• 藤倉昌作（高田純次）
• 北条善吉（森塚敏）
• 北条宗正（清水宏次朗）
• 真田源次郎（高橋三千綱）

ゲームソフト

1989年12月25日に、株式会社アスミックから発売された、任天堂ファミリーコンピュータ向けゲームソフト。

地名表記

• 多古多市：掛川市（映画版では白石市）
• 浜崎市：旧浜松市（映画版では仙台市）

関連事項

• たこまん（多古満）