君はキャンディ/
最新刊『君はキャンディ』
『キャンディ♥キャンディ』は、原作:水木杏子、原画:いがらしゆみこによる日本の少女漫画作品。また、それを原作とした派生作品の総称。テレビアニメ版の主題歌(作詞:名木田恵子、作曲:渡辺岳夫)の曲名にも使われた。
概要
講談社の少女漫画雑誌『なかよし』にて、1975年4月号から1979年3月号にかけて連載され、単行本は当時「KCなかよし」で全9巻が刊行された。
講談社編集部が企画し、作画には当時講談社専属であったいがらしゆみこが、原作者として水木杏子が選ばれた。なお、通名である「名木田恵子」名義で別の漫画が連載中であったため、名木田名義でなく「水木杏子」名義となっている。
テレビアニメ化(1976年10月1日から1979年2月2日にかけてテレビ朝日系で放送、全115話)・劇場公開もされ、性別・年代を問わず大好評を博し、主題歌レコードもヒットした。舞台化や小説化もされている。
最盛期には、キャラクター人形が1年間で200万個・約80億円を売り上げた大下英治『日本(ジャパニーズ)ヒーローは世界を制す』角川書店、1995年、155頁。ISBN 4048834169。
単行本の累計発行部数は約1200万部日経エンタテインメント! 2000年7月号。単行本の7巻は、日本の漫画単行本としては初めて初版100万部が印刷された村上知彦、米沢嘉博、高取英『マンガ伝―「巨人の星」から「美味しんぼ」まで』(平凡社、1987年、ISBN 4582742068)pp.8-9。その後、愛蔵版・新装版・文庫版コミックスでも発行されている。
1977年(昭和52年)度、第1回講談社漫画賞少女部門受賞。
水木杏子といがらしゆみこの間に本作の著作権帰属を巡るトラブルが発生し事実上の断絶状態になったため、2001年以降は原作もテレビアニメ版も再版・再放送ができない状態になっている。詳細は後述のキャンディ・キャンディ著作権裁判を参照のこと。
世界各国での反響
中華民国(台湾)と香港では『小甜甜』というタイトルの中華民国中国語と広東語吹き替え版が放映され、好評を博した。大韓民国ではほとんど日本と時差なく放送が開始。髪が長くて愁いを帯びた素敵な男性のことを「テリウス」(テリィのこと)と言う浜野保樹『模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで』祥伝社新書、2005年、p84。。後に日本でも人気になった韓国ドラマ『冬のソナタ』のストーリーに影響を与えた米沢嘉博『売れるマンガ、記憶に残るマンガ』メディアファクトリー、2007年、p154.。また、インドネシアなどアジア地域でも放映された。
ヨーロッパ、特にフランスでの放送は大好評で、日本ではなくフランス国産のアニメーションであると信じて疑わなかった国民が多数いたらしい。「日本人にこのような(西洋風の)物語が考えられるわけがない」と思わせるほどの出来の良さを物語るエピソードであった。イタリアでは放映に合わせて、ファブリ社が少女雑誌『キャンディ』を創刊し、原作漫画を翻訳して連載。これが大人気となり、イタリア独自の続編漫画が、イタリアのみの公開という条件で許可されて、1984年に制作された宮原照夫『実録!少年マガジン編集奮闘記』講談社、2005年。
アメリカ大陸においては、ラテンヨーロッパ文化の影響が強い、主に中南米諸国、そしてカナダでもフランス語版が放映され、人気を博した。ただしアメリカ合衆国においては、小説『あしながおじさん』と設定が瓜二つなことや、劇中の音楽などが差換えられた経緯もあり、ヒットしなかった。
ストーリー
20世紀初頭のアメリカ中西部およびイギリスを舞台に、明るく前向きな孤児の少女キャンディ(キャンディス・ホワイト)が、周囲の出自への偏見に負けず人々の愛情を受けて成長する過程を描く、ビルドゥングス・ロマン。
キャンディは、ミシガン湖に近い孤児院「ポニーの家」で明るく元気に暮らす少女。おとなしくて優しいアニーは同い年の親友である。5歳のある日、アニーが富豪の養女として引き取られた。キャンディはしばらくアニーと文通していたが、出自が知られることを嫌ったアニーから文通を断られ、孤児院近くのポニーの丘で泣いていたところ、スコットランドの民族衣装をまとった見知らぬ少年に声を掛けられる。「おチビちゃん、笑った顔の方がかわいいよ」キャンディは銀のバッジを落としていったその少年を「丘の上の王子さま」と名付け、彼と再会することが最大の願望のひとつとなった。
12歳になったキャンディは富豪ラガン家に引き取られる。しかし、養女ではなく、その家の娘イライザの話し相手としてであった。そこでキャンディはイライザとその兄ニールから手酷いいじめに遭う。ある日、2人の意地悪に耐え切れず、バラ園で泣き出してしまった。そこに、いつの間にか丘の上の王子様そっくりの少年が現れ、「おチビちゃん、笑った顔の方がかわいいよ」と、かつてと同じ言葉を掛けられたが、その少年はすぐにいなくなってしまった。バラ園の門には銀のバッジと同じ紋章が刻まれていた。また、発明好きのアリステア(ステア)、おしゃれなアーチーボルト(アーチー)の兄弟とも出会い、親しくなる。
アードレー一族のパーティーにキャンディも出席し、スコットランドの民族衣装を着たステアとアーチーとともに丘の上の王子様に似たあの少年もいた。彼の名はアンソニー。バラの品種改良が趣味の心優しい少年であった。3人、とりわけアンソニーと親しくなったことで、ラガン家でのいじめはますます激しくなっていった。キャンディはアンソニーから誕生日を聞かれたが、自分の誕生日を知らない彼女に、アンソニーは次に自分と会った日が君の誕生日だと約束をした。後日キャンディはアンソニーと再会し、彼が品種改良して作った新種のバラをプレゼントされた。花の名前はスイートキャンディ。
キャンディはラガン家に来ていたアニーを見かけて喜ぶが、彼女を避けているアニーを気遣い、声を掛けることをためらう。ある日キャンディはニールとイライザが、アニーにいたずらをしてキャンディのせいにしようと企む話を聞き、ニールを殴って阻止したが、事情を知らないアンソニーから単にお転婆が過ぎるためと思われ、傷ついてしまう。落ち込んだキャンディは、ボートに乗って川を下っていけばポニーの家まで行けるかもしれないと思い、そのままうたた寝してしまった。そして気付いた時には、目の前に滝が迫っていた。
気が付くと、髭面でサングラスの男性がキャンディを介抱してくれていた。一見怖い印象だった彼はとても心優しく、いつも動物達と一緒に自由な放浪生活をしていた。その男性はアルバートといい、辛いことがあったらいつでも連絡するようにと励ましてくれた。アルバートさんと別れたキャンディはラガン家に戻った。
ラガン家でのいじめは相変わらずであった。当初は話し相手だったはずが、使用人見習いにされ、次に馬屋番として馬屋での寝泊りを強要され、挙句の果てに泥棒の濡れ衣を着せられてメキシコに追いやられることになった。しかしメキシコへの出立の直後、3人の少年達がアードレー家の総長「ウィリアム大おじさま」へ送った直訴状によって、キャンディはアードレー家の正式な養女となった。エルロイ大おばさまはキャンディを疎んじるが、キャンディはとまどいつつもアードレー家の生活に馴染んでいった。
アンソニーはキャンディが身に付けている丘の上の王子様の銀のバッジを見付けた。そのバッジはアードレー家の男子が持つ物だと説明し、キャンディは丘の上の王子様のこと、そしてアンソニーにそっくりだということを話す。アンソニーはキャンディが自分を丘の上の王子様に重ねて見ているのではと危惧するが、キャンディは「アンソニーはアンソニーだから好きなの」と告白する。アンソニーは幼い時に亡くした母のことをキャンディに話す。キャンディのお披露目を兼ねてきつね狩りが開かれた。その朝、不吉にもスイートキャンディは枯れてしまっていた。アンソニーはキャンディをエスコートしてきつね狩りに参加するが、落馬事故によりキャンディの目の前で命を落とす。
アンソニーの死は皆を悲しませた。特にエルロイ大おばさまはキャンディに辛く当たる。失意のキャンディは再会したアルバートさんの言葉に元気を取り戻し、ポニーの家に帰った。ステアとアーチーも家を出ようとするが、ウィリアム大おじさまの使いのジョルジュに止められる。その頃、地主の意向でポニーの家が立ち退きを迫られていることを知ったキャンディは、地主の家に直談判しに行く。キャンディは地主への批判を本人とは知らずに言ってしまい、キャンディはお詫びにポニーの家のみんなでささやかなクリスマスの贈り物をする。無邪気で素直な子供達に心を動かされた地主はポニーの家の存続を決めた。そこにウィリアム大おじさまの命令で、ロンドンの聖ポール学院へ留学させるための迎えがやって来る。遠い海外へ行くことに不安を抱いたキャンディは拒絶するが、ステアやアーチー達もすでに渡英して彼女を待っていると伝えられたため、旅立ちを決心する。
イギリスへ向かう船上で、後姿がアンソニーに似た少年テリュース(テリィ)に出会う。キャンディは泣いていた彼の姿を見てしまい、そのことを伝えるが、「悲しそう?こいつは面白い、この俺が悲しそうなんて」と一笑される。テリィは先ほどとは別人のように彼女をからかい、キャンディはその豹変ぶりに驚き、戸惑う。
規則ずくめの学院生活で、気弱だが心優しい少女パトリシア(パティ)とキャンディは親しくなる。ある日、想いを寄せるアーチーを追ってアニーがアメリカから学院に転校してきた。幼馴染との再会を心の中で喜ぶキャンディだが、アニーは孤児院出身を必死に隠すあまり、またアーチーの心がキャンディにあるのではとの恐れがあるため、キャンディを避けていた。ある日アニーの素性がイライザ達に露見し、一時姿を隠したが、アーチーの言葉に励まされて昔の素直なアニーに戻った。それ以降キャンディ・アニー・パティの3人は固い友情で結ばれるようになった。
奇しくも同じ学院でキャンディはテリィと再会する。そしてキャンディは偶然テリィの出生の秘密を知ってしまう。彼は、独身で通っているブロードウェーの人気女優エレノア・ベーカーの息子であった。母親に会いにアメリカに渡ったものの、「愛してはいるがあなたは決して誰にも知られてはいけない存在、だからもうここへは来てはいけない」とエレノアは残酷にも彼に言った。傷つき、後悔して涙を流していたテリィとキャンディが初めて出会ったのがあのイギリスへ向かう船上だったのだ。イギリスへ戻っても、冷たい継母と貴族という体面を重んじるあまり彼を愛せない父に反発し、学院で不良を装っていたテリィ。キャンディはテリィとケンカを繰り返しつつもいつしか惹かれ、テリィもまたキャンディに心を寄せていく。
5月になり、灰色の学院生活の中で珍しく華やかな催しである五月祭(メイ・フェスティバル)が開催された。しかし開催直前にパティをかばって院長に暴言を吐いてしまったキャンディは参加禁止の上、反省室で過ごすことになる。しかし窓から抜け出し、大おじさまからプレゼントされた衣装とかつらで変装したキャンディは思う存分パーティーを楽しむ。しかし、繁みで密かに着替えているところをテリィに見られてしまう。憤慨するキャンディにテリィは礼儀正しくダンスを申し込む。2人きりのダンス。キャンディはこれは初めてアンソニーと踊った曲だと打ち明けた。するとテリィは突然キャンディを抱きすくめ、唇を重ねた。「不良!」泣きながらキャンディはテリィを平手打ちして言った。アンソニーならこんな乱暴なことはしない…。テリィはキャンディの心の中からアンソニーを追い出すため、嫌がる彼女を馬に乗せて疾走した。落馬で命を落としたアンソニーの記憶が残るキャンディは馬を極度に恐れ、泣き叫んだ。しかし、テリィに促されて周りをよく見ると、緑が飛んでいき、景色が生き生きとして見え、次第にアンソニーの面影が薄れていき、すぐそばにいるテリィの存在が大きくなるのだった。
イライザもテリィに横恋慕していた。テリィとキャンディの仲にイライザは腹を立て、何とかテリィを振向かせようとキャンディの悪口を吹聴するが、逆にテリィにばかにされてしまう。怒ったイライザは卑劣な計略を立てた。2人を夜の馬小屋に呼び出して落ち合わさせ、そこにシスターたちを連れてきたのだ。
2人の言い分も聞き入れられず、学院長の命令によりキャンディは退学処分、テリィは自室での謹慎処分となる。同じ理由で謹慎と退学という不平等の処分にテリィは学院長へ抗議したが、決定は覆らなかった。そこで彼はキャンディの身代わりに自ら退学してアメリカに渡り、それを知ったキャンディもまた彼の後を追う。
苦心の末アメリカへ戻ったキャンディは、懐かしいポニーの家に向かった。そこで直前までテリィが訪ねてきていたことを知るが、一歩違いで会えなかった。突然帰って来たキャンディに、先生達は驚いて訳を聞くと、看護婦になるために戻ってきたのだと彼女は説明した。春になり、ポニー先生の紹介で、キャンディは働きながら看護婦になれる病院に勤め始めた。程なくヨーロッパで戦争が始まる。戦争は拡大し、病院内でも従軍看護婦が派遣されるのではないかとの噂が囁かれる。そしてキャンディを含む5名の看護婦が、外科と内科が専門のシカゴの大病院へ派遣されることになった。
シカゴで働き始めたある日、キャンディはテリィがブロードウェーで役者の道を進んでいて、テリィの劇団がシカゴへ公演に来ることを知る。どうしても彼に会いたい気持ちを押さえきれずキャンディは夜勤を抜け出し、たった一回だけの公演を観に行く。なんとか会おうとするが既に彼は人気スターとなっており、大勢のファンに阻まれて近づくこともできなかった。馬車に乗り込む寸前、キャンディの必死の呼び声にテリィは一瞬振り返るが、彼女の姿を見つけることはできなかった。ファンの雑踏に揉まれるキャンディの脳裏に、イライザの言葉がよぎる。「テリィはあんたなんかとっくに忘れているわ。彼は美人女優のスザナと噂になっているのよ」。キャンディはテリィに直接会って確かめようと滞在先のホテルを訪れるが、スザナに嘘を伝えられて会うことができなかった。スザナもテリィに恋していたのだ。実はテリィも先ほどのキャンディの声が気になっており、公演後のパーティーでステアやアーチーからキャンディがこの公演を観に来ていたことを知ると、パーティを抜け出してキャンディの勤める病院で彼女の帰りを夜通し待っていたのだった。結局2人は会えず、キャンディはテリィが門番に託したメモから彼が病院で待っていたこと、そして昼の列車で出発することを知る。テリィの心が変わっていなかったことにキャンディは喜び、駅に向かって走る。プラットホームではテリィが出発ギリギリまで待っていたが、キャンディはとうとう現れず、発車後もデッキに残っていたところ、遠くから懸命に列車に駆け寄るキャンディを見つけた。「キャンディ!」「テリィ!」ほんの一瞬だったが、はっきりと2人はお互いを認める。
ある日、キャンディが勤める病院に、アルバートさんによく似た男性が搬送されてきた。顔色をなくし、髪の色は違うものの、アルバートさんにそっくりなこの男性は記憶を失っていた。身元不明のこの患者は病院では歓迎されず、正式な看護婦となったキャンディはこの男性を自分のアパートに引き取って看護する。
キャンディと文通で近況を報告し合っていたテリィは、もう帰さないつもりでキャンディをブロードウェーへ招待する準備を始めた。ある日スザナが偶然キャンディからの手紙を読んでしまう。スザナはテリィに思いを告白し、テリィはキャンディへの気持ちを打ち明けるが、それでもスザナはテリィを諦めることはできなかった。新しい演目の初日が近づいた舞台稽古中、テリィの頭上に落ちてくる照明器具からスザナが身を挺してテリィをかばう。この事故によりスザナは右足切断の重傷を負う。やっとニューヨークでキャンディと再会したテリィだったが、スザナのことが頭をよぎり、時折暗い表情を見せるのだった。事情を知ったキャンディはスザナに会いに行くが、彼女は書置きを残して死ぬつもりでいた。間一髪彼女を助けたキャンディは、彼女の足のことやテリィへの愛の深さを知り、身を引くことを決意した。テリィもスザナを見捨てることができず、最後にキャンディを抱擁して2人は別れた。テリィとの身を引き裂かれるような別れの傷心を抱き、キャンディはシカゴの病院へ戻っていく。
キャンディがニューヨークに行っている間に志願兵となって戦地へ赴いていたステアは戦死してしまう。敵軍のエースパイロットと一騎打ちするものの相手の機が不調だったのを見逃したところを別の敵機に撃ち落とされてしまったのだ。恋人のパティは嘆き悲しむが、キャンディ達に励まされる。アーチーは、アンソニーが死んで悲しすぎるとして、二度と吹かないとステアと約束したバグパイプを吹く。
ある日、街でニールがチンピラに絡まれているところに、偶然キャンディが通りかかり助ける。ニールは、それ以来キャンディに付きまとい始める。
一方、「うさん臭い黒服の人物と会っているのを見た」とアルバートさんの身分を怪しむアパートの大家や住人たちがキャンディと揉めているのを知ったアルバートさんは、これ以上迷惑はかけられない、と静かにキャンディの前から姿を消してしまう。失意のキャンディの元に、アルバートさんから一通の手紙が届く。アドレスを頼りにアルバートさんの滞在する街を訪れたキャンディが見たのは、場末の芝居小屋で演じるテリィであった。かつての輝きは見る影も無く、自暴自棄となりすっかり精彩を欠いたテリィを、キャンディは客席から涙ながらに激励する。舞台上のテリィは客席に悲しげな表情のキャンディを半分幻のように捉え、キャンディもスザナも幸せにできなかった自分を悔い、もう一度役者の道を一からやり直すことを決意する。
ニールはキャンディに惚れて求婚するが、あっさり断られる。キャンディへの思いを更に募らせたニールは、「キャンディと結婚できなければ志願兵に行く」と心にもないことを言い出し、「ウィリアム大おじさま」の命令だとしてキャンディと婚約することになる。アーチー達に逃亡を勧められるが、キャンディは理不尽な命令に断固抗議することを決める。養父でありながら一度も会ったことのない「ウィリアム大おじさま」にキャンディは直談判するため会いに行くと、そこにいたのはあのアルバートさんこと、ウィリアム・アルバート・アードレーだった。記憶を取り戻したアルバートさんは、一族の束縛を嫌い、身分を隠して放浪の旅を送っていたと語った。アルバートさんからアンソニーは甥だと聞かされ、キャンディのことを姉ローズマリーに似ているとも言った。そしてアードレー家総長として初めて公の前に姿を現し、キャンディとニールの婚約はウィリアムの出現により解消された。
キャンディはポニーの家に帰る。それまでの事を思い出しながら思い出のポニーの丘に登ったキャンディ。自然と涙がこみ上げてきた。「おチビちゃん、きみは泣いている顔より笑った顔のほうがかわいいよ」後ろから声がして振り返ると、そこには大人になった丘の上の王子様が立っていた。幼いキャンディが出逢い、心の支えにしてきた「王子さま」は少年時代のアルバートさんだったのだ。
登場人物
キャンディと彼女を取り巻く人々
- キャンディス・ホワイト・アードレー
- 声:テレビ版・映画版 松島みのり
- 愛称「キャンディ」。アメリカの孤児院「ポニーの家」で育ったお転婆で天真爛漫な少女。ラガン兄妹にいじめられても、過酷な運命に遭っても、いつも前向きで強く折れない芯を持つ。赤味かがったウェイブのかかった金髪と緑色の瞳とそばかす、鼻ペチャがチャームポイント。人並み外れた運動神経の持ち主で得意は木登りと輪投げ。名前の「ホワイト」は、拾われた時とても色白だったことから、孤児院の先生方につけられた。12歳の時アードレー一族のラガン家に引き取られるが、後にアードレー本家の正式な養女となる。6歳の頃ポニーの丘で出会った「丘の上の王子様」が初恋の人。次に王子様にそっくりのアンソニーと出会い、互いに惹かれ合うが、落馬事故で亡くす。留学のためロンドンへ向かう船上で知り合ったテリュースと相思相愛となったが、スザナのために身を引く。自分の道を切り開くため、看護婦(現在でいう看護師)として働く。それからはニールからの横恋慕によるクビ、記憶喪失になったアルバートさんとの同棲、親友ステアの戦死とパティとの別れなど様々な悲しい経験を積み重ね、終盤では一人ポニーの丘に帰郷して悲しみ続けていたが、その直後バグパイプを吹いて現れた「丘の上の王子様」と意外な形での再会を果たすことが出来た。
- クリン
- キャンディが幼い頃から可愛がっているアライグマ。アニメのみ登場。
- アルバートさん
- 声:井上真樹夫
- 「アルバート」を名乗りキャンディを影から支えるナイトのような青年。普段は束縛を嫌い、動物達と共に放浪の旅を続ける自由人。アンソニーの死やメキシコに売られそうになった要所でキャンディを支え見守り続けてきた。戦争中に事故で記憶喪失となる。偶然キャンディの勤める病院に運ばれたため、彼女が世話をしつつ、一緒に暮らした時期がある。記憶を取り戻してからはキャンディに黙って行方を暗ました。
- その真の正体はアードレー一族の総長「ウィリアム・アルバート・アードレー」であることをキャンディに明かす。その若さ故にエルロイに総長の任を委ねて身分を隠さなければならなかったため、まだ幼かったキャンディやアンソニーたちには本当の名前を明かせずにいた。その際にアンソニーの母が自身の年の離れた姉であることも明らかに。ニールと結婚させられそうになるキャンディを守って婚約取り消しにするなどなど最後までキャンディの善き理解者として貢献する。アニメ版では、物語終盤で再びポニーの丘に帰郷したキャンディのもとに民族衣装でバグパイプを吹いて登場。その際にキャンディが6歳の時ポニーの丘で出会った初恋の人=「丘の上の王子様」であることを明かした。原作では普通の服装でポニーの丘に現れ、キャンディと初めて会った時のセリフを言い、キャンディが自分でアルバートさんが「丘の上の王子様」だと気付く。
- 原作では手違いで茶色の髪で登場し、記憶喪失となったところで突如、金髪となる。アードレー家総長の身分を隠すため「変装していた」というセリフで、何とかつじつま合わせがなされた。アニメでは最初から金髪である。
- プッペ
- アルバートさんが飼っているスカンク。
- ジョルジュ
- 声:戸谷公次
- ウィリアムに仕える使用人。ウィリアムに忠実で、その正体が明かされないようにキャンディたちへの影のフォローに徹底した。
- 小説の後日談によれば少年時代は不遇な運命を背負う不良少年の孤児であったという(その際に先代のウィリアム大おじ様に雇われた)。
- アンソニー・ブラウン
- 声:テレビ版 井上和彦、1992年映画版 堀川亮(現・堀川りょう)
- アードレー一族のブラウン家の長男。「丘の上の王子様」そっくりの容姿をしている。キャンディがラガン家に引き取られた時に出会い、互いに惹かれ合う。バラの品種改良が趣味で、乗馬を好む。金髪で深い青い瞳。おとなしい性格だが、芯はしっかりしている。幼い頃に母を亡くし、親族に養育され、父は船乗りでほとんど不在という環境で育つ。キャンディのアードレー家の養女として迎えられた記念で行ったきつね狩りパーティの際に事故で落馬して命を落とす。アニメでは24話という早い段階で死んでしまうが、その後も思い出として回想シーンの中で度々登場する。
- テリュース・G・グランチェスター
- 声:富山敬
- 愛称「テリィ」。キャンディの実質上の恋人。父はイギリスの名門貴族、母はブロードウェーの人気女優。両親いずれからも愛されていないと思って育ち、暗い影を持つ。学院では不良として振舞うが、本当は誠実で男らしい。よく学園を抜け出して街をふらついており、街で喧嘩をしていたときにアルバートさんに助けられ、知り合いになる。出会った当初、キャンディからはその非道ぶりを拒絶されていたが、ニールとその仲間にいじめられていたキャンディを助け、ニールたちを追い払ったことから互いの親交が深まり相思相愛になる。自分が相手にされないイライザの嫉妬心による策略のためにキャンディが退学処分になりかけたところを庇い、学院を自主退学。その後自分の生きる道を求めアメリカへ渡り、役者になる。素質を認められつつあった頃、自分をかばったスザナの事故により責任を感じ、キャンディと別れてスザナの元に残る。その後キャンディを忘れられず自暴自棄になったが、幻のように現れたキャンディの姿に自らの取るべき道を再発見し、ブロードウェーに戻る。終盤では役者業としての復帰成功を修めたことが新聞で明かされる。
- アリステア・コーンウェル
- 声:テレビ版 肝付兼太、1992年映画版 小野坂昌也
- 愛称「ステア」。アードレー一族のコーンウェル家の長男。発明が大好きで、多くのユニークな作品を作るが、ほとんど失敗作ばかり。そのため、いつも弟のアーチーに呆れられている。空への憧れが強く飛行機を作って乗ることが夢。キャンディに惹かれるが、遠くで見つめているのが一番だと冷静に判断し、後にパティと強い絆で結ばれる。自分の母国が戦争に関わらず粋がっている状況に憤慨して志願兵になり、第一次世界大戦に参加することを決意。ニューヨークへ向かうキャンディに、オルゴール「キャンディが幸せになり器」をプレゼントし、そのまま誰にも告げずに戦争に赴いた。これが、キャンディとステアが2人っきりで親密に話した最初で最後の時だった。後に戦死した友人ドミール・ロアン少尉の敵討ちを胸に出撃するが、騎士道精神を重んじる優しさを逆手に取られ、自身が撃墜され、命を落とす。彼の死は恋人パティや弟のアーチーの他、多くの人々を悲しませた。その後、彼の作ったオルゴールは今まで作ったガラクタの中で初めて完全に上手く作られていたことが判明した(原作では、特にそのような記述はない)。
- 小説版の後日談では戦時中も珍発明に努めて戦友たちを呆れさせていたらしい。戦争が終わってからは、最終回でガンスミスをしていた事が判明した。
- アーチーボルト・コーンウェル
- 声:テレビ版 三ツ矢雄二、1992年映画版 緑川光
- 愛称「アーチー」。アードレー一族のコーンウェル家の次男。兄のステアととても仲が良く、大変おしゃれでセンスがいい。ステアと同様キャンディに惹かれるが、キャンディはテリィとカップルになり、またアニーが自分を思う気持ちを知ったため身を引き、アニーの想いを受け入れる。アンソニーやステアと同様ラガン兄弟を嫌っており、アードレー一族の中で、キャンディにとっては常に心強い味方である。
- アニー・ブライトン
- 声:テレビ版 小山まみ、1992年映画版 冬馬由美
- キャンディの幼なじみで同い年。キャンディと1時間違いでポニーの家に拾われた。おとなしくて心優しく、お洒落な可愛い少女。5歳の時にお金持ちのブライトン家に引き取られた。アーチーに心を寄せる。一時、孤児院出を恥じて頑なになったが、アーチーに諭されて元の素直さを取り戻す。キャンディとパティは無二の親友。
- 原作では金髪、アニメでは黒髪という設定になっている。
- パトリシア・オブライエン
- 声:川島千代子
- 愛称「パティ」。キャンディがロンドンの学院で最初に友達になったイギリス人の少女。気弱でおとなしい性格だが、厳しい規則ずくめの寄宿舎生活の中、内緒でカメのヒューリィを飼っていた勇気がある。ステアと意気投合し、心から彼を愛するようになる。ステアの死後、悲しさのあまり彼の後を追おうとしたが、キャンディに諭され思いとどまる。アニメ版ではステアの葬儀後、祖母と共に両親の居るシカゴに移りキャンディたちと別れる。キャンディ、アニーとは大の仲良し。
その他の人物
初期から登場する人物
- ポニー先生
- 声:中西妙子(1992年映画版も担当)
- 「ポニーの家」の院長先生。大らかで優しい女性。
- レイン先生
- 声:山口奈々、1992年映画版 川島千代子
- ポニーの家でポニーとともに子供たちの面倒を見る修道女。時として優しく、また厳しくお転婆なキャンディを見守っていた。
- ジミィ
- 声:千々松幸子
- ポニーの家の少年。キャンディを姉のように慕い彼女のことは「親分」と呼ぶ。キャンディがラガン家に行ってからはポニーの家の子供たちを仕切っていた。アニメ版では、キャンディを思うあまりポニーの家を飛び出してラガン家に向かったり、後に近隣の牧場主であるカートライトさんの養子になっている。漫画では、カートライトさんの牧場で働いている、という情報だけ記されている。ステアが戦争に身を投じていた頃、自身も憧れて牧場を継ぐのを辞め志願兵になろうと考えていたが、「そういった甘い考えが死につながるのよ!」とキャンディに厳しく注意される。その後怒り任せに牛を暴れさせカートライトさんも牛の暴走に巻き込まれ、牛も多く死んでしまう。カートライトさんが辛うじて一命を取り留めてからは反省し、牧場でひたすら働いていこうと決意する。トムを兄のように慕う。
- トム
- 声:山本圭子(少年期)→山田俊司(青年期)
- キャンディの幼馴染。漫画では最初だけの登場でその後出番無し。アニメでは頻繁に登場。ポニーの家ではキャンディとよく喧嘩した。本当は喧嘩に強いが、女の子相手に本気を出したくないという男気から敢えてキャンディに手加減していた。後にスティーブさんという牧場主の養子になった。牛乳の配達中、イライザの馬が暴れたことが原因で仕事を荒らされたため、最初はイライザと一緒にいたアンソニーを敵対視していたが、喧嘩がきっかけですぐに和解した。それからしばらく成長してからは長髪になり、牧場を受け継いだ。
- ラガン夫人
- 声:テレビ版 山口奈々、1992年映画版 小宮和枝
- ポニーの家からキャンディを引き取ったアードレー一族「ラガン家」の夫人。終盤ではニールの言葉巧みな陰謀に乗せられ、キャンディとニールを結婚させようとした。
- ニール・ラガン
- 声:テレビ版 小宮山清、1992年映画版 中尾隆聖
- アードレー一族のラガン家の長男。口だけが達者な臆病者。孤児院出身のキャンディを蔑視し、妹のイライザと共にキャンディをいじめていた。キャンディに窃盗の冤罪を着せてメキシコへ売り飛ばそうと企んだことからアンソニーやコーンウェル兄弟からも嫌われ始めることに。キャンディを守るために暴力も省みないテリィが苦手。後に、街で不良にからまれているところをキャンディに助けられたのをきっかけに、彼女に惹かれていく。キャンディに執拗にアタックするも、当然のことながら嫌がられ続ける。ついには卑劣な手段で無理矢理婚約しようとしたが、ウィリアム大おじさまの出現により取り消される。
- アニメでは褐色肌が特徴的。
- イライザ・ラガン
- 声:テレビ版 中谷ゆみ / 山田栄子、1992年映画版 山田栄子
- アードレー一族のラガン家の長女。兄ニールと共に散々キャンディをいじめた。最初はアンソニーに好感を抱いていたが、アンソニー自身からは嫌われていた。キャンディとテリィを罠にかけて引き裂いたり、自分の思い通りにキャンディを追い出そうとするほど心の底から彼女を嫌う。聖ポール学院に来てからはテリィに夢中になるが、アンソニーの時と同様、相手にされずじまい。その妬みの一心からキャンディを退学させようと目論むが、その暗躍を悟ったテリィの自主退学によって計画は失敗。それからもキャンディに対する嫌がらせを続けるが、多くの人々によってキャンディが救われることから結果的に敗北している。皮肉にも役を演じた山田栄子はエルロイ役の中西妙子と共にファンからの批判トラブル発生の元となる『小公女セーラ』以前から本作で主人公に嫌がらせを繰り返す意地悪キャラの役で共演した。
- ラガン氏
- 声:北川国彦
- ラガン家の主で、キャンディの雇い主。愚族の多いラガン家における唯一の常識人でキャンディの味方をした、というのは恐らくアニメ版のみ。漫画ではやはり嫌な奴だった。作中で影が薄いのは、漫画・アニメ共に同じ。
- エルロイ・アードレー
- 声:中西妙子(1992年映画版も担当)
- 「エルロイ大おばさま」と呼ばれている。アードレー家の実質上の総長。幼くして総長の座に就いたアルバートの後見役となる。キャンディに対しては冷たく厳しい態度で接するが、キャンディが記憶喪失となったアルバートの世話をひたすら努めていたことを知り、また自身が病床に付した際にキャンディから献身的な看護を受け、結果的に和解することとなる(というより、認めざるを得なかった、というべきだろう)。
- シスター・グレイ
- 声:山口奈々
- キャンディたちが通う聖ポール学園の院長。威厳の塊で融通が利かない。素行の悪いテリィに対してはグランチェスター家からの資金援助のために怒るに怒れない事なかれ主義のままでいた。キャンディとテリィがイライザの罠に填められた際はテリィはグランチェスター公爵の寄付をめあてに謹慎だけで許し、キャンディのみ退学にしようとした。
- シスター・マーガレット
- 声:川島千代子
- 聖ポール学園のシスター。シスター・グレイとは正反対な性格で、生徒たちにやや甘い面がある。
- エレノア・ベーカー
- 声:北浜晴子
- テリィの母で、国民的に有名な女優。若い頃にグランチェスター公爵と恋に落ち結婚、テリィをもうけたが、公爵が貴族の身分を捨てられないことから離婚。両者とも愛されずに育ったテリィから憎まれ続けることとなった。
- リチャード・グランチェスター
- 声:柴田秀勝
- テリィの父で、グランチェスター家の公爵。若い頃にエレノアとの間に生まれたテリィをもうけたが、公爵である爵位を捨てられず別離した。イライザの策略によって退学になりかけたキャンディを守ろうと真剣に意思をぶつけるテリィを切り捨てた。テリィの自主退学後、学院への寄付援助を断ち切ろうとしたが、キャンディとの出会いで改心し、学院への契約を続行した、というのはアニメ版のみの設定。
キャンディが旅先で出会う人物たち
- メリー・ジェーン校長
- 声:麻生美代子
- キャンディがポニーの丘を出て初めて知り合った老女。当初はその不調な動きや性格でキャンディから病人と思われていたが、看護学校の面接で彼女がメリー・ジェーン校長であることを知る。出会った当初は何も知らないキャンディが空腹時や暇な時など彼女に対して積極的に接したことから看護婦試験を合格させた、というのはアニメ版の設定。原作では、面接からすんなりと看護生になっている。そそっかしいキャンディのことを「おっちょこちょい」と呼んで罵るが、それが愛嬌。ポニー先生とは旧知の仲。
- フラニー・ハミルトン
- 声:中谷ゆみ
- キャンディがメリー・ジェーン看護学校で知り合った優秀な看護生。おしゃべりとおせっかいが大嫌いなため、キャンディとは反りが合わない。職務に対して非常に真剣であり、どんな理由があろうと私事を仕事より優先させることはないと思われ、夜勤をさぼったキャンディを厳しく非難した。過去、酒癖の悪い父親からの暴力やその他兄弟や母親との確執があり、家庭的には恵まれていないため、「自分の力」しか頼ろうとせず他人の力を極端に嫌っている。後に従軍看護婦として戦場に就く事となり、異常に多忙な日々を過ごす。
- 小説版の後日談では無事に帰還、表彰されている。
- スザナ・マーロウ
- 声:菊池紘子
- ブロードウェーの新進である「ストラスフォード劇団」の人気女優。大変美しく、気品がある。入団受験にきたテリィに一目ぼれし、ついには告白するがキャンディと相思相愛だったテリィに拒絶される。舞台稽古中の事故でテリィをかばって照明の下敷きになり、片足切断という再起不能の大怪我を負う。キャンディとテリィの仲を知ってもテリィを諦めきれず、自分が生きていては、キャンディを愛するテリィを苦しめるだけと考え、投身自殺しようとしたところをキャンディに諭され思いとどまる。その結果、キャンディとテリィを離れ離れにさせてしまった。
- ロバート・ハサウェイ
- テリィ、スザナが所属するストラスフォード劇団の団長。テリィの役者として、また人生としての師匠でもある。
- カーソンさん
- アメリカへ渡る途中でキャンディが出会った中年男性。妻を手術の失敗で失ったことから医者の他、多くの人間を嫌っていた。最初はキャンディをよく思っていなかったが、熱を出した愛娘を救われてからは和解した。旅立つ際に旧知の仲であるニーブンさんの船に乗ることを勧めた。
- ニーブン船長
- キャンディがアメリカへ渡る際に密航した船の船長。
- クッキー
- キャンディが密航した際に知り合った少年。船乗り志願。
- ウィリアム・マクレガー
- キャンディが最初に働いた「ヨゼフ病院」の患者。ミーナというセントバーナード犬だけを愛する天涯孤独の老人。キャンディは最初、名前の「ウィリアム」としか聞いていなかったため、“アードレー一族のウィリアム大おじ様”だと思い込んでいた。偏屈屋で我侭であったが、キャンディの介護によって次第に本来持っていた穏やかな心を開いていく。しかしその頃には余命は既に短くなり、キャンディと病院前の公園を散歩する中、キャンディと打ち解けて間もなく静かに息を引き取る。愛犬のミーナは後にポニーの家で引き取られる。
- ボブソン先生
- キャンディが働くシカゴの医療施設の先生。頑固者だが、職務に対する責任感は強く、根は穏やか。
- チャーリー
- アニメ版のみ登場。テリィの旧友。地元では悪さばかり繰り返しており、精神的に荒んだ一面も見せる。未成年者の施設に連行されることを恐れて電車から飛び降り負傷する。キャンディの病院に運ばれた時、「テリィ」の名を語ってその場をごまかした。過去の悪事を清算するために軍人になろうと考えていることをキャンディに明かす。正体を見抜いたイライザの策略によって一時は逮捕されかけたが、ボブソン先生によって救われる。後に別の医療施設へ移される。
- マイケル
- アニメ版のみ登場。フランス人の軍医。休暇を利用してニールとイライザが主催するパーティに参加した。ラガン兄弟の意地悪に負けずに健気なキャンディの努力を認めた。彼の職務への熱意がステアが志願兵になる決意を強める事となる。
- レナード副院長
- 聖ヨアンナ病院の副院長。時に厳しく時に優しい信頼の厚い人物だが、ラガン婦人に頭が上がらず婦人の命令でキャンディのクビを防げなかった。原作では、特に優しく信頼の厚い人物ではない。
- マーチン先生
- 失業したキャンディを雇った「ハッピー診療所」の医師。記憶喪失になったアルバートさんを治すことに協力したキャンディの恩人でもある。酒豪。
- デイジー・ディルマン
- アメリカの資産家の娘で、ラガン家のパーティで二ールに一目ぼれして、イライザもキャンディを苦しめる同志が欲しいがためにデイジーを応援する。だが、その頃は二ールはキャンディに夢中になっていたので、
- 結局は二ールに相手にされなかった。
- ハーディ・シュニッツェル
- ドイツ軍の優秀な兵士。空中戦で機体の不良で危機に陥り死を悟ったが、騎士道精神を重んじるステアによって救われる。ステアに感謝し、空の上で「また会おう」と別れた直後、友軍がステアを後から撃墜したところを見て衝撃を受ける。
- ドミール・ロアン
- 志願兵になったステアの戦友で愛称「ドミィ」。ステアと同じく志願兵で階級は少尉。マルヌ会戦で家族を失っており、残った恋人を守るために戦争に参加した。後に戦場から帰還したが、致命傷を負って満身創痍の身で飛行機を降りた際にステアに「好きな人を悲しませるな」と遺して息絶えた。
テレビアニメ
放送期間 1976年10月1日 - 1979年2月2日 毎週金曜日19時-19時30分 全115話
毎週放映のアニメが、月1回発行の漫画に追いついてしまったため、最終回のあたりでは原作と異なる部分がある。これに関しては、結果的に業界初のメディアミックスとなり、アニメの最終回放送日が漫画の最終話掲載号の発売日の前日であったことからアニメが先行して結末を描くこととなった実際には店頭早売りにより、『なかよし』を先に見た者も多い。。
スタッフ
- 企画:春日東、山口康男、茂野一清
- 製作担当:岸本松司
- 原作:いがらしゆみこ、水木杏子
- 音楽:渡辺岳夫
- キャラクター設計・監修:進藤満尾
- 作画監督:森下圭介、富沢和雄、青嶋克己、上村栄司、進藤満尾、芦田豊雄、鹿島恒保 他
- 美術設定:浦田又治
- 美術:浦田又治、下川忠海、伊藤英治、泰秀信 他
- チーフディレクター:今沢哲男、設楽博
- 演出:設楽博、葛西治、山本寛巳、山口秀憲、芹川有吾、今沢哲男 他
- プロデューサー:宮崎慎一、碓氷夕焼、落合兼武
- 脚本:雪室俊一、城山昇
- 特殊効果:平尾千秋、中島正之 他
- 撮影:藤橋秀行、佐野貞史、菅谷信行 他
- 編集:神原直美、田中修、祖田富美夫
- 録音:波多野勲、蔵本貞司
- 効果:伊藤道広
- 選曲:宮下滋
- 現像:東映化学
- 制作:NET→テレビ朝日(放送中に、商号変更)、旭通信社、東映動画
主題歌
作詞の名木田恵子は原作者の水木杏子。中国のカラオケでも歌われるほどの人気曲である。韓国においては、2004年に生命保険会社のコマーシャルソングとして使用されたが、名木田はこれをCMへの使用を許可する唯一の例外としたカン・ジェドク 「デジタルメディアを通じた韓日著作権ビジネスの新しい市場」 在大韓民国日本国大使館公式サイト内名木田恵子「韓国CMでの主題歌の使用について(Internet Archivesのキャッシュ)」 名木田恵子公式サイト内。
主題歌シングルは発売当時物品税非課税の童謡扱いであり、当時のオリコンの一般のシングルチャートにはチャートインしていない。ただし、オリコンの童謡・アニメ部門のチャートでは1977年と1978年の2年連続で年間1位を記録している。実数で120万枚を売り上げた木村英俊『THEアニメ・ソング-ヒットはこうして作られた』角川書店、1999年、p119 - p128、p.174。。
原作やアニメの内容は知らないが、主題歌だけは知っているという人も多い。主題歌に関しては、著作権裁判(後述)の影響を受けず演奏が可能となったため、本編が封印されている現在、作品に現在進行形で触れることが出来る数少ない手段となっている。それ故、堀江美都子は今尚ステージのハイライトとしてこの歌を歌っている。
レコーディング当日のスタジオに作曲者の渡辺岳夫がスキップで入ってきて、「ミッチー、今日はこれ100万枚売るよ」といったところ、本当に100万枚を超す大ヒットになった。
- オープニングテーマ
- 「キャンディ♥キャンディ」
- 作詞:名木田恵子 作曲:渡辺岳夫 編曲:松山祐士 歌:堀江美都子、ザ・チャープス
- エンディングテーマ
- 「あしたがすき」
- 作詞:名木田恵子 作曲:渡辺岳夫 編曲:松山祐士 歌:堀江美都子、ザ・チャープス
各話リスト
- 投げなわ上手のすてきな子
- 飛び出せ!ふたりで冒険
- さようならをはこぶ馬車
- 笑顔の方がかわいいよ!
- 今日からお嬢さま?
- バラの門で逢った人
- お上品に見えるかしら?
- しあわせを呼ぶ招待状
- あの人と逢えた舞踏会
- 馬小屋のお嬢さま
- 心をつなぐ小さなリボン
- バラの薫る誕生日
- ひとりぼっちが三人
- 春風いっぱい大きな木
- しあわせを奪う決定
- 知らない国への旅立ち
- はるかな渇いた荒野で
- 運命をみちびく十字架
- 苦しみの旅の果てに
- 夢のようにしあわせな私
- 友情を伝える鳩
- 負けないでアンソニー!
- はじめてのデイト
- 私のアンソニー
- 哀しみを越えて明日へ
- お父さんの木は知っている
- 天使のプレゼント
- 深すぎる心の傷あと
- 希望への船出
- 愛は荒波を越えて
- 古い都の新しい日
- 牢の中のポニーの丘
- しわのある新入生
- 裏がえしの封筒
- すてきな日曜日
- よみがえった微笑み
- ふしぎなめぐり逢い
- テリュースの秘密
- 怒りをかった宝物
- 反省室は出入り自由
- 学園祭の妖精
- 真夜中のピクニック
- 湖畔のサマースクール
- 母と子の絆
- 二人でホワイトパーティー
- 夏のおわりのときめき
- イライザの黒い罠
- 冷たく厚い壁の中で
- テリュースの決意
- 朝もやの中の旅立ち
- 港への遠い道
- 馬小屋で見る星
- マウント・ロドニの夜明け
- 夜霧のサザンプトン港
- ふたりの密航者
- 嵐の海の彼方に
- 港の見える窓
- 銀世界の故郷
- おてんば一日先生
- 心に響くたくましい足音
- うぶ声は銀嶺にこだまして
- 新しい道への汽笛
- 町で会ったお婆ちゃん
- 白衣の天使はオッチョコチョイ
- 笑顔で看護
- 夢の大おじさま
- その人はどこに
- 春に散る花
- 想い出の白いバラ
- かわいい花嫁さん
- 丘の上のマドロスさん
- 特別室の少女
- テリュースのうわさ
- 大都会の病院へ
- 大おじさまの館
- 思い出を呼ぶ小さな家
- 危険なガーデンパーティ
- テリュースのメロディ
- スポットライトの陰で
- つかのまの再会
- 顔のないテリュース
- 心に咲く花
- トランプをする幽霊
- 白衣に忍びよる戦争の影
- 愛と憎しみの家族
- 過去を忘れた人
- ふたりの試練
- 大空にはばたく日
- 消えたアルバートさん
- 町はずれの小さな城
- 遠くて近い人
- 愛のショック療法
- しわのあるキューピット
- 旅の道づれ
- 美しいライバル
- 片道キップの招待状
- 夢にまでみた再会
- 胸さわぐ開会のベル
- 雪の日の別れ
- 悲しみのプラットホーム
- かすかな記憶の糸
- ポニーの丘の十字架
- 命がけの遠い旅
- 天使のいらない診療所
- やさしい逃亡者
- もうひとりの殺人犯
- 特別メニューは百人前
- 谷間にとどろく歓声
- 小さなカウボーイの涙
- 迷惑な恋
- よみがえった遠い日々
- それぞれの愛の行方
- 去りゆく人
- 大おじさまに会える日
- ポニーの丘は花ざかり
放映ネット局
※は、遅れネット。
- NET→テレビ朝日
- 北海道テレビ放送
- 青森放送(当時日本テレビ系列とのクロスネット局)※
- テレビ岩手(当時日本テレビ系列とのクロスネット局)※
- 東日本放送
- 秋田放送(日本テレビ系列)※
- 山形放送(日本テレビ系列)※
- 福島中央テレビ(当時日本テレビ系列とのクロスネット局)
- 新潟総合テレビ(当時フジテレビ・日本テレビ系列とのクロスネット局)
- 北日本放送(日本テレビ系列)※
- 北陸放送(TBS系列)※
- 福井放送(日本テレビ系列。当時はテレビ朝日系列(報道部門)非加盟)※
- テレビ山梨(TBS系列)※
- 長野放送(フジテレビ系列)※
- 静岡放送(TBS系列)※(1978年6月まで)→静岡朝日テレビ(1978年7月以降。放映当時の社名は静岡県民放送。開局初期は日本テレビ系列とのクロスネット局)
- 名古屋テレビ放送
- ABCテレビ
- 山陰放送(TBS系列)※
- 岡山放送(当時はフジテレビ系列とのクロスネット局)(放映当時岡山県域局)
- 広島ホームテレビ
- 山口放送(日本テレビ系列。1978年10月からテレビ朝日系列とのクロスネット局)※
- 四国放送(日本テレビ系列)※
- 瀬戸内海放送(放映当時香川県域局)
- テレビ愛媛(フジテレビ系列)※
- テレビ高知(TBS系列)※
- 九州朝日放送
- 長崎放送(TBS系列)※
- テレビ熊本(当時はフジテレビ・日本テレビ系列とのクロスネット局)
- テレビ大分(当時はフジテレビ・日本テレビ系列とのクロスネット局)
- 宮崎放送(TBS系列)※
- 鹿児島テレビ放送(当時はフジテレビ・日本テレビ系列とのクロスネット局)
- 沖縄テレビ放送(フジテレビ系列)※
その後、後述の著作権問題が起こるまで、全国各地の系列局・系列外局でも再放送が行われた。
また、本放送終了後も関連グッズの販売がしばらく継続されていたためか、サンテレビ・KBS京都の様に、本放送当時のメインスポンサーだったポピー(現:バンダイ)が再度スポンサーに付いて、KBSを発局とする形で2局同時ネットで再放送したという例もあった。
アニメ劇場版
いずれも20分前後の短編作品。1970年代の作品は東映まんがまつりの1本として上映。14年ぶりのリメイクとなった1992年の作品は、「夢のファンタジーワールド」と題して、「きんぎょ注意報!」、ディズニーの「シンデレラ」「ミッキーのたつまき騒動」とともに上映された。
共通スタッフ
- 原作:水木杏子、いがらしゆみこ
- 音楽:渡辺岳夫
- 製作:東映動画
- キャンディ・キャンディ
- 脚本:城山昇
- 演出:遠藤勇二
- 1977年7月公開。
- キャンディ・キャンディ 春の呼び声
- 1978年3月公開。看護婦になることを決心したキャンディがポニーの家に帰郷、アンソニーやテリィとの思い出を語る物語。
- 脚本:城山昇
- 作画監督:進藤満尾
- 演出:笠井由勝
- キャンディ・キャンディ キャンディ・キャンディの夏休み
- 1978年7月公開。夏休みに山に訪れたキャンディたちの物語。
- 脚本:笠間由紀夫
- 作画監督:進藤満尾
- 演出:笠井由勝
- キャンディ・キャンディ
- 1992年4月公開。本編序盤のリメイクで、アードレー家のダンスパーティまでを簡潔にまとめられた。多くのキャラクターは若手声優に変更。堀川亮(現『堀川りょう』名義)、小野坂昌也、緑川光、冬馬由美など現代の声優界の代表的存在声優たちが出演した。
- 脚本:雪室俊一
- 作画監督:山口泰弘
- 監督:今沢哲男
舞台
1979年に舞台化された。三越劇場で上映。主演はキャロライン洋子。これに関連して、「キャンディ・キャンディ」「あしたがすき」のキャロライン洋子によるカバー盤(編曲:戸塚修)が発売された。
キャンディ・キャンディ ニセTシャツ事件
本作の主人公のキャンディを無断でTシャツに使用し、ニセの証紙「証紙」とは、商品の許諾契約の証として箱や商品に貼付されるシールのこと。アニメ版の絵を用いる場合、制作会社のロゴを用いる場合が多い。まで貼って販売したとして、1978年7月に、アニメの著作権者である東映動画(現東映アニメーション)が大阪府警に業者Kを刑事告訴。1979年8月に、大阪地裁で被告人に有罪判決が下った。日本の商品化権侵害における初めての刑事事件とされている『マーチャンダイジングライツレポート』1983年3月号。
背景
東映動画は1970年代前半まで赤字経営であった。経営改善のために1974年に新社長に就任した今田智憲は、新施策を次々に打ち出した。そのうちの一つに繊維問屋の岩井との提携があった。
繊維業界は流通が複雑で原糸、原反、染色、捺染染色液に糊を足したもので染色する方法。俗にいうプリントのこと。、縫製でそれぞれ別業者が担当していた。繊維メーカーはそれぞれの業者と契約を結ぶわけだが、生産のミスマッチが起きやすく、生産が滞ることが多