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哭きの竜/能條純一

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著者: 能條純一
巻数: 9巻

能條純一の新刊
哭きの竜の新刊

最新刊『哭きの竜 9


出版社: 竹書房
シリーズ: 近代麻雀コミックス


哭きの竜の既刊

名前発売年月
哭きの竜 1 1992-11
哭きの竜 2 2004-11
哭きの竜 3 1987-04
哭きの竜 4 1987-10
哭きの竜 5 1988-05
哭きの竜 6 1989-03
哭きの竜 7 1990-03
哭きの竜 8 1991-01
哭きの竜 9 1991-08

哭きの竜』(なきのりゅう)は、能條純一の漫画作品。あるいは、同作品に登場する主人公の異名。1985年から別冊近代麻雀で連載された。

概要

鳴き麻雀を信条とする竜と、竜の強運を追い求めるヤクザたちの織り成す人間模様を、ナレーション風の状況説明「のちに述懐す…」や印象的なショットの連続で描いた作品である。

通常、麻雀は“鳴く”と役(ハン数)が減り、手の内の一部を明かすなどの不利な側面があるが、本作の主人公「竜」は意外とも思える“哭き”で手役を完成させていく・あるいは相手からの捨て牌で見事にアガるという、ドラマチックな展開が見せ場のひとつとなっている。

これまでの麻雀劇画の流れを大きく変えた作品であり、OVA化、川本淳市(当時:川本淳一)主演で実写化もされた。

2005年、竹書房の麻雀漫画雑誌「近代麻雀」誌上で、続編となる『麻雀飛翔伝 竜・外伝』が連載開始された。本作の10年後を描いたもので、死んだと思われた竜とおぼしき人物が登場し、またもやヤクザらの竜争奪戦が勃発、というストーリーである。

数々のインパクトのある名台詞を残し、麻雀漫画、ゲーム、同人誌等ではよくパロディとして使われる。

また、2003年から2004年にかけて近代麻雀にて連載された「覇王 Mahjong King Fighters」という漫画には(C)能条純一との表記がある「本物の哭きの竜」が登場し、おなじみの名セリフや闘牌を繰り広げて話題となった。

喜国雅彦「まあじゃんまんが王」において、あるエピソードで場に四枚しかないはずの發が五枚切れているシーンがあったことをバラされた。

登場人物

竜(りゅう)
通称「哭きの竜」。本名も年齢も不明だが、連載第一回目では川地、室田と対局した際に職業を聞かれ、「親の遺産で暮らしている」と話している(真実かは不明)。当初は時折、対局中に笑顔を見せたり、雀荘のマスターと電話で話したりと、人間らしい部分も見せており、「テツ」と呼ばれる弟分らしき人物も登場する。以降の印象は、彼を見た通行人曰く、「死人のような」やや青白い肌であり、無口で暗い。鳴きにより、素早く大きな役を作り出すのを得意とする。彼を知る者は

彼の鳴き麻雀を戒めるが、意に介さず己の道を行く。対局中はタバコを吸い(銘柄は作者によれば『峰』をイメージしているらしい)、右手に火が付いたタバコを持ったまま牌をツモったり切ったりするシーンが多い。また、鳴いた牌を晒す際に牌が光るように見えると言われることが多い。フリー打ちの雀荘にしばしば出没する。また台詞は少ないながらも名言が多い点も、竜の魅力の一つになっている。「あンた、背中が煤けてるぜ…」はあまりにも有名。

甲斐 正三(かい しょうぞう)
桜道会甲斐組初代組長。桜道会若頭。竜に惹かれるものを感じ、その「強運」を手に入れるべく、竜に勝負を挑む。桜道会と敵対する美好一家により狙撃され、車椅子生活となる。その後も、竜を追い続けるが、竜、甲斐、丸子、桜田道造の4人で麻雀をしたあと、目の前で桜道会会長である桜田が狙撃される事件が発生する。組をあげて美好一家への復讐を行うが、そのさなかに死亡する。
石川 喬(いしかわ たかし)
桜道会甲斐組二代目組長であり、桜道会初代幹事長。甲斐の跡をついで甲斐組組長に就任する。甲斐と同様、竜の「強運」を手に入れるべく麻雀勝負を挑む。同じ甲斐の門下生であった本宮春樹の死がきっかけで本宮の弟の配下に襲撃され収容先の病院で死亡する。背中に夜叉の刺青を持つ。
桜田 道造(さくらだ みちぞう)
広域暴力団桜道会初代会長。竜との麻雀勝負の後、敵対する美好一家組員による狙撃を受け、入院。石川に親子の盃を与え、その後、再び竜との麻雀勝負を願いつつ息を引き取る。
川地 幸一(かわち こういち)
桜道会川地組組長。反甲斐組勢力の代表格。ひげとメガネがトレードマーク。桜田道造の死後、反甲斐派勢力を率いて桜道会を脱退、幸友会を結成するが、石川の指示により殺害される。最初に竜を発見した極道。
室田 栄(むろた さかえ)
桜道会室田組組長で川地の腹心。川地同様、甲斐組の手にかかり死亡する。
本宮 春樹(もとみや はるき)
桜道会系本宮組組長。本宮秋生の兄。石川とは「同じ釜の飯を食った仲」だったが、二代目甲斐組組長の座を取られたという感情から、海東武に唆され石川暗殺を謀る。自ら鉄砲玉となり出向くが石川に諭され侠としてけじめを付けるべく、竜と対局中の海東を襲撃し命と引き換えにその左目を奪う。
本宮 秋生(もとみや あきお)
本宮春樹の弟。兄:春樹を侠と慕い男を磨くが兄との確執を避ける為に甲斐正三の誘いを受け東京新宿に一家を構える。兄の死に関わった者たちに復讐する為に配下を使い石川を襲撃。竜と命をかけた対局中、和議の申し入れに現れた外田の「勝った者が全ての我が儘を通す」との提案に乗り一局勝負をするも、竜の見逃しにより外田が勝者となる。外田の希望は配下の三上信也を譲り受ける事であった。のちに替え玉の真相を知るものとして口封じに暗殺される。
三上 信也(みかみ しんや)
本宮秋生の配下。石川暗殺後に外田裕二によって石川喬の替え玉に祭り上げられる。当初は外田の策に乗っているが、密かに甲斐組系組織を抱きこみ石川喬より改名し、三上信也の名で桜道会二代目を襲名する。続編である『麻雀飛翔伝 竜・外伝』にも登場している。
外田 裕二(そとだ ゆうじ)
二代目甲斐組若頭。石川の死後、桜道会内外に対抗する為に三上を利用する。多くの極道が死んだのは、竜の持つ「魔性」のせいだとして、竜を倒すべく麻雀勝負を仕掛ける。対局に破れたのち、桜道会二代目を襲名した三上に(直接かは不明)暗殺される。竜との対局は最多の四回。
草野 光(くさの ひかる)
二代目甲斐組若頭補佐。外田が三上を手に入れた麻雀勝負の際、本宮秋生の配下である三上に、外田が頭を下げる場面を目撃する。その謎を解く為、竜から事情を聞き出そうと外田組が仕切る雀荘で麻雀勝負をするが、居合わせた三上に「海東と繋がっている裏切り者」との名目で射殺される。
海東 武(かいとう たけし)
関西共武会初代会長。一代で関西を又にかける巨大組織を創った巨魁。石川の桜道会二代目会長立候補の後見人を依頼されたが、以前よりあった「関東を手に入れる」という野望の為、本宮春樹を手玉に取って石川の暗殺を目論む。石川の度量を計る為(後に「雑魚を呼ぶエサ」とも話す)と称し、竜を拉致し麻雀勝負するが、最中に本宮春樹の襲撃により左目を失う。後に竜の事を「自分が唯一、殺せなかった男」と語る。
雨宮 賢(あまみや けん)
生前の本宮秋生の元で、代打ちをしていた雀士。竜を倒すべく外田に対局を依頼されるが、「自分の存在を外田がなぜ知ったのか?」を疑い、石川に扮した三上の存在に気付く。竜と対局するも最終局で竜に牌を鳴かれ、嶺上開花をされた瞬間に三上に射殺される。竜に負けず劣らず印象的なセリフが多く、竜とは対照的に「麻雀は面前で打つべき」との信条を持っているなど、竜のライバル的存在となっていた。続編である『麻雀飛翔伝 竜・外伝』に弟が登場している。
竜の女
竜と同居している女性。本名不明。川地のシマの(と思われる)賭場主が「川地からの褒美」として竜に与えた。当初はひたすら、竜の帰りを待つだけで登場シーンも少なかったが、竜の最後の対局では雀荘の前にまで出向いている。その帰り道にタクシーに轢かれ、救急車で搬送中に息を引き取る。
桜田 和子(さくらだ かずこ)
桜田道造の妻。生前の甲斐に石川の後事を頼まれ、夫に石川へ盃を与える事を勧める。夫の死後は「本宮春樹の命を助けてほしい」と石川に訴えたり、本宮秋生と竜との対局中に「石川暗殺」の訃報を聞いたりと、本宮兄弟に絡んで登場する。麻雀の腕を「まさに哭きの竜」と夫に云わしめるほど、登場する度にアガっている。
田村 光一(たむら こういち)
二代目甲斐組若頭補佐。一回目の川地暗殺を石川に命じられ、鉄砲玉による待ち伏せを決行するが、逆に川地組の襲撃に遭い未遂に終わる。翌日、飛行機でマニラへ高飛びしようと空港へ向かうが、川地組の報復により車ごと炎上、死亡する。
北島(きたじま)
石川が竜との麻雀勝負の為、竜を迎えに送った殺し屋。外田と共に対局に参加する。「石川に創られた殺し屋である為、石川に逆らう事はしない」との意味合いのセリフを竜にも語っているが、対局終了時に外田の配下による竜殺害を食い止める為、石川に銃口を向ける。石川に「天下を取るには竜が必要」と諭し、自らの頭部を銃で打ち抜く。
丸子(まるこ)
甲斐正三の義父。竜と甲斐との最後の対局に参加する。甲斐に竜と同じ「鳴き麻雀」戦法を助言する。
美濃部 茂男(みのべ しげお)
関西共武会幹事長。海東の指示により、銃撃された石川の生存を確認する為、石川の入院先へ「見舞い」と称して現れる。その車中、側近と石川の生存を賭けるも(生きていたら、美濃部が百万円と女を2,3人払う)、三上が扮した石川の姿をベッドで確認した後、無言のまま京都へ帰っていった。側近への負け分を支払ったのかは不明。
テツ
本名は不明。フリー打ち雀荘の客。竜の事を「兄貴」と呼ぶなど、弟分的な存在として親しいようだったが、甲斐に竜との対局を実現させる為の人質としてナイフを向けられて以来、登場していない。対局中は竜の真似をして、鳴き麻雀をするが、アガった場面は無い。

関連作品

実写

OVA

『麻雀飛翔伝 哭きの竜』は1988年から1990年の間に発売されたOVA作品。全3話。 

スタッフ

  • 企画:鵜之沢伸、岡田斗司夫
  • 原作:能條純一(竹書房)
  • 監督:出崎哲
  • 脚本:出崎哲、小出一巳、山賀博之
  • キャラクターデザイン・作画監督:清水恵蔵
  • 音響監督:清水勝則
  • 制作:ガイナックス

キャスト

  • 竜:池田秀一
  • 石川 喬:内海賢二
  • 川地幸一:安田隆
  • 海東 武:加藤精三
  • ナレーター:小林清志

ゲーム

  • 哭きの竜 麻雀飛翔伝:スーパーファミコン 1992年12月25日発売 アイジーエス
  • 麻雀飛翔伝 真 哭きの竜:スーパーファミコン 1995年10月27日発売 ベック