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多数欠/宮川大河

共有

著者: 宮川大河
巻数: 6巻

宮川大河の新刊
多数欠の新刊

最新刊『多数欠 6



多数欠の既刊

名前発売年月
多数欠 2 2015-06
多数欠 3 2017-12
多数欠 4 2017-12
多数欠 5 2019-08
多数欠 6 2020-12

多数欠』(たすうけつ)は宮川大河による漫画作品。

あらすじ

第一部

突如「皇帝」によって始まった多数欠により世界中の人々が死んでしまう。生き残った人々は毎日午前0時に多数欠をとり多数派だった人々が死ぬこと、特権と権利という能力を手に入れることができることが伝えられる。その中で実篤らは皇帝を倒すことを決意する。

第二部

多数欠終了から1ヶ月。治安維持のためにごぼうらは皇帝のふりをし続けていた。しかし皇帝が変わったことに気づいた謎の「女王」という存在が現皇帝を倒すと宣戦布告する。彼らは特権利を使って再び戦うこととなる。

第三部

ある日高校生の津川虎徹は一瞬の暗闇の後、法廷という場所で皇帝と名乗る謎の人物によって「多数欠」に参加させられる。穢土と名乗る青年に助けられて現実世界に無事帰還した虎徹は、幼なじみの奏斗と共に多数欠を止めるため皇帝を倒すことを決意する。

登場人物

第一部

※声優はドラマCDのもの。

成田実篤(なりた さねあつ)
声 - 中澤まさとも
一部の主人公である高校生。幼い頃に事故にあい、母を亡くしている過去を持つ。みんなが多数欠で生き残るのに必死になっている中で皇帝を倒すことを決意する。実は父親が収容所の元研究員で、自身もある特権を持っていたことが判明する。皇帝討伐作戦においてあえて多数欠をとらせ、自身は捨て身で皇帝を倒す。
二部においては八木橋が停止権を解除して紗綾と共に復活。世界を救うため再び行動する。
藤代紗綾(ふじしろ さあや)
声 - 雨宮里奈
一部のヒロイン。実篤らと共に皇帝に立ち向かう。無権者であるが敵に自ら立ち向かっていく。皇帝討伐作戦において実篤と共に捨て身で皇帝を倒す。
神臣(じん おみ)
声 - 白兎夕季
準最強の特権・拒否権と権利・被回答権を持つ。収容所出身者で、男が全滅した時もルールを逆手に取り蘇生させることに成功する。多数欠終了後には東北地方へ向かう。拒否権を駆使して尋問や防御などをする。
ちなみにキャラクター人気投票ランキングでは2位の八木橋に300票差をつけて堂々の1位である。
一之瀬龍太(いちのせ りゅうた)
声 - 後藤啓介
実篤の親友。多数欠の試運転1日目に死んでしまうが、臣のおかげで蘇生する。その後は行動を共にし、特権・融合権を駆使してチームの戦力を担う。多数欠終了後は臣、理科と共に東北地方へ移動。融合権を使いこなし格段に強くなって帰って来る。イクサとは2度交戦、味方が多かったとはいえ全勝している。陸上部に入っていて、運動神経が良い。
須藤良平(すどう りょうへい)
声 - 野宮一範
全国学力模試1位。序盤で実篤らを襲い始めるが、皇帝を倒すためであった。幼少期に兄と父を事故で亡くし、その後は母と親友の八木橋のみが自身の理解者であった。しかし多数欠試運転時に母と八木橋を亡くして皇帝を激しく恨み自分の命がどうなろうと皇帝を倒すことを決意した。実篤にチームに裏切り者がいることを示唆し、助ける。多くの情報を残して御堂に殺された(実際には仮死状態)。特権・確保権を保持していた。復活後はチームのブレインとして活躍、八木橋と共に仲間にも作戦を明かさずに着実に勝利に近づけていった。
八木橋藤十郎(やぎはし とうじゅうろう)
声 - 原田友貴
実篤らの高校の生徒会長。試運転2日目に東京に住んでいなかったため死んでしまうが、実篤や龍太と共に臣のおかげで蘇生。
その後はチームのブレイン的役目になる。実は特権・誘導権と権利・停止権を持っていた。どちらも強力な特権利で停止権を駆使して実篤、沙綾、須藤、一彦と、死んだと思われていた人物を救っていた。女王・如月や吉井鉄平、柳陽翔とはいとこ同士である。
篠崎宗太郎(しのざき そうたろう)
収容所出身者。高校の教師で実篤らを自分が生き残るために利用しようとしていた。須藤の言葉に目が覚め、仲間としてもう一度チームに戻ることを決意。特権・視認権で探索などの役割を果たしていた。二部では光の脱出作戦においてコウに見つかり、作戦の成功を龍太に託した後殺される。身体能力はかなり高い。
国後依恋(くなしり えれん)
高校2年生。多数欠により男が全員(臣を除く)死んだ時に実篤が手にしていた封筒を開け、権利・服従権を保持する。初めは逃げてばかりだったが仲間と過ごすうちに強くなっていく。最終決戦では、服従権でめぐるを倒す。
護国鳳天寺暴麟丸(ごこくほうてんじ ぼうりんまる)
通称ごぼう。
中学二年生。篠崎に追われる一彦と臣を権利・表示権によって篠崎を追い払う形で救う。その後は行動を共にし、皇帝の死後は表示権を使い治安を守る。自らを皇帝と名乗っていたため女王に命を狙われる。皇帝討伐作戦、最終決戦ではいずれにおいても重要な役割を担っている。
佐藤一彦(さとう かずひこ)
実篤や龍太と同じクラスの高校生。運動を勉強もできないが、明るい性格でみんなを支える。一部の物語後半まで無権者であったが、特権・爆破権を保持する。皇帝を倒す最終作戦において発電所を破壊するために至近距離で爆破。仲間に後を託して自爆する。その後は行方不明となっていたが、会長の権利・停止権によって助けられていた。その後は女王を倒すための戦力となる。
相馬隼人(そうま はやと)
特権・現化権の保持者。子供の頃に篠崎に火事の中救われ恩を感じており、多数欠でも篠崎と行動を共にする。しかし、変わってしまった篠崎を元の自分のヒーローだった頃にに戻って欲しいと思ったため、実篤たちに合流しけじめをつけようとする。その後は篠崎と共にチームに加入する。光と共に女王の拠点から脱出する時、コウに見つかってしまう。光を脱出させることを第一に考え、龍太と光を逃がすために現化権の使用限度を超えて使用し、体力を使い切る。篠崎に続く形で命を落とす。
鈴木理科(すずき りか)
特権・回避権の保持者。生きることにやっきになっており、臣を殺そうとする拒否権により防がれ、生きろと言われたことにより良心を取り戻す。その後一色に特権を強制取得させられるが、一色のことは大切に思っていた。その後は実篤らと共に行動する。多数欠終了後は東北地方へ向かう。二部では頼音らが襲われているところを救出し、チームに再び加わる。その後相馬を拠点に送り、帰る際に深海と遭遇、女王に忠誠を求められていた深海によって首の傷を譲渡され殺されてしまう。番外編では、水着姿で登場。ナイスバディであった。
海藤美佳(かいどう みか)
実篤らと同じ杉並第ニ高校の2年生。須藤がみんなを襲い始めた時に行方不明となった。実はポストを見つけて「男or女」という質問を投稿していた。父親からの虐待、男子生徒からのいじめなどにより男に対して激しい憎悪を抱いていた。男を多数欠によって全滅(臣を除く。)、須藤の死体の前で喜んでいたが、次の日の臣の質問により死者は全員生き返る。その後改心する様子が無かったため、やむなく須藤が射殺、殺されることとなる。
入賀煉(いるが れん)
実篤と同じ高校であった収容所出身者。特権・分割権により物理戦ではほぼ最強を誇る。人を殺すことをいとわないようで、全人類の殲滅が目的と語っていた。一色を殺すなどしていたが、親友である鉄平の正義がまだ繋がれていることを知り、実篤に皇帝討伐を託す。二部では八木橋、須藤と秘密裏に作戦を立てており、女王サイドに潜入していた。
御堂密(みどう ひそか)
元収容所の研究員。権利・透視権により全特権利を把握した。特権・相続権により皇帝の回収権ごと相続し、自分以外の人類の殲滅を行おうと目論んでいた。しかし実篤らが皇帝を倒したことを知った入賀が実篤との約束を守り、殺されることになる。
一色美和(いっしき みわ)
収容所出身者で、特権・再実行権を持つ。御堂の命令を受け多数欠を再実行、多くの人々を殺すこととなる。殺意を持ってやったことは事実だが、彼女自身酷く後悔していた。理科に特権を取得させ、共に行動していた。裏切った御堂と入賀を殺してくれるよう実篤らに託すが、その直後に入賀に殺されてしまう。
吉井鉄平(よしい てっぺい)
収容所出身者で入賀の親友。命令権という最強の特権の保持者だったが、その力を使ったら収容所の行いを認めるようなものだと決して使わなかった。そのため試運転1日目にして死んでしまうが、命令権が誰の手にも渡らないよう4つの単純命令と「その封筒が無事である限り自身に帰属したままにせよ」という合計5つの封筒を入賀に託す。4つの単純命令はそれぞれ「死ね」、「守れ」、「壊せ」、「愛せ」である。
柳陽翔(やなぎ はると)
皇帝。収容所で当たりである特権・回収権を保持し、研究員達に祭り上げられる。収容所の地獄を味わったせいで人類に復讐することを決意する。回収権により死んだ保持者の特権利を回収、いくつもの特権利の複合により多数欠を行なっていた。元々は普通の少年であった。実篤らの作戦により殺される。その後二部では蘇生権によって蘇生、自分も信用できる部下が欲しいと考え、甲斐と頼音を交渉権で部下にする。頼音は皇帝を騙しており実際には部下になっていないのだが、皇帝は同じくらいの歳である頼音を親友のように思うようになった。
二本柳周示(にほんやなぎ しゅうじ)
通称煮しめ。
一部の後半に皇帝を倒す有志を集うよう呼び掛けた表示権を見て皇帝を倒すことを決意した有志組の1人。権利・優先権を持ち皇帝の傀儡を引き寄せる役割を果たす。多数欠終了後はごぼうの片腕として治安を守る。頼音を励ます、仲間を逃がすために捨て身で敵を引き寄せるなど仲間思いである。最終決戦では命令の書3「壊せ」を使用し優先権を超特権化させる。
蛯名光(えびな ひかり)
有志組の1人。二部の始めにおいて女王の情報を掴んでいることが分かるが、その直後に裏切ったと勘違いした平山によって殺される。蘇生権により生き返り、嘉藤兄妹や平山と組んでいたことが判明。その後はその3人と共に頼音や龍太と手を組み、女王を倒すことを目指す。

第二部

王野頼音(おうの らいおん)
二部の主人公である少年。中学二年生でごぼうとは同い年。多数欠終了後の皇帝が前までの皇帝と別人であることに気づき、ごぼうらと接触する。その後は現皇帝を殺すと宣戦布告した女王を倒すためごぼうらと手を組む。イクサらとの戦いにおいて煮しめを助けるために無計画に飛び出してしまいピンチに陥るが、龍太、臣、理科の助けにより間一髪で助かる。嘘が特技で女王内部に潜入することに成功する。(女王サイドには現皇帝サイドに潜入してるという形で、二重スパイをしていた)。後に特権・偽証権と権利・共有権を保持し、入賀と共にコウと直接対決に挑む。初めこそ皇帝を激しく恨んでいたが、無邪気に親友のように接してくる陽翔に心が揺れ始める。
王野佳月(おうの かづき)
頼音のいとこで、彼の嘘を認めていてくれた。しかし多数欠の試運転1日目に死んでしまい、頼音が皇帝を強く恨むようになった。
平山義明(ひらやま よしあき)
特権・固定権を持った青年。初めから光、嘉藤兄妹と手を組み、多数欠を行なっていた皇帝と女王の双方を倒して悪の根源を断とうとしていた。最初はごぼうたち現皇帝サイドが頼りないと思い、相馬らを襲おうとするが現化権により殺される。蘇生権で蘇生された後は光の提案により現皇帝サイドと手を組み、女王討伐を目指す。深見とも秘密裏に手を組み一度は女王を殺すことに成功するが、結果的に失敗、コウに殺されることとなる。
深見傭平(ふかみ ようへい)
チーム「炎兵羅亜」のリーダーで、廃病院を住処に生存者狩りをしていた。しかし睦月冬哉の襲撃によりチームは自分以外全滅してしまう。そのことで女王を激しく恨み、入賀と手を組んで女王サイドに潜入、殺す機会を伺っていた。特権・譲渡権により理科を殺し、女王の信頼を得る。平山と共に女王を殺すことに成功するが実際には力をもっていたのはコウだったため、直ちに女王は蘇生、2人は殺されてしまう。
賀来戦(がらい いくさ)
女王の部下三権者の1人。最初に相馬、煮しめらと交戦した時は水利権という特権を持っていたが、女王(実際にはコウ)に特権利の交換を行ってもらい、発電権を得る。龍太とは因縁で本人は彼と戦いたくてしょうがないようである。
月岡めぐる(つきおか めぐる)
三権者の1人。特権・交換権と権利・複製権を持つ。交換権によりワープのようなことができ、敵同士で相打ちにさせることができる。イクサとはかなり仲が悪い。
如月麻里亜(きさらぎ まりあ)
女王。特権利をこの世におろしたイタコだと思われていたが、実際はイタコはコウであり、彼女自身は無権者である。後に鉄平、柳陽翔と実の兄弟であることが判明する。彼女の目的は3人がまた揃うことである。
霧島コウ(きりしま こう)
三権者の1人。女王の側近のような役割を果たしていたが、実際には彼自身がイタコであった。そのためいくつもの特権利を使い、篠崎、相馬、平山、深見など数多くの有権者を始末する。
嘉藤騎士(かとう ないと)
睦月、璃莉と共に前線組の1人である子供。権利・飛翔権と、特権・破壊権というかなり強い特権を保持している。母親、さらには璃莉を人質に取られて従っていたが、八木橋の作戦により璃莉と共に女王の拠点から脱出。その後は頼音らと行動を共にする。まだ9歳で、無邪気で素直な性格である。
嘉藤璃莉(かとう りり)
前線組の1人。特権・設置権により罠を仕掛けるなどしていたらしいが、騎士が八木橋に敗北したことに危機感を持った女王によって人質とされる。昏睡状態にされている。
睦月冬哉(むつき とうや)
前線組の1人で、特権・重力権を持つ。深見らを殲滅するなどした。女王にかなり強い忠誠心を持っている。しかし一彦と八木橋により捕まり、八木橋の誘導権と臣の拒否権により知っている情報を全て吐かされることとなった。その後爆破され死亡するが、蘇生権により蘇生。再び女王の忠実な部下として行動する。
セラフィエル
本名は田之中権三郎で、正真正銘の神父。女王・如月の古くからの知り合いである。特権・気象権という生産属最強の特権を保持している。龍太、一彦、騎士と現皇帝サイドの主戦力3人相手にほぼ互角で戦えるほどの実力である。
葛西甲斐(かさい かい)
特権・抵当権により数個の特権利を保持していた。彼自身は地上権をよく使う。蘇生した皇帝が特権利を回収するために街に出てきていた時、皇帝が回収していた特権・模倣権により目の前で彼女を殺される。しかしその力を目の当たりにして交渉権により忠実な側近になることを決意、皇帝の右腕となる。

第三部

津川虎徹 (つがわ こてつ)
第3部主人公。体格の良い高校生で、練馬台高校では無敵らしい。突如目の前が真っ暗になり、穢土らと同様、皇帝と名乗る何者かに集められる。その後穢土の助けにより法廷から現実世界に戻ることに成功し、奏斗と共に多数欠の真実を知ろうとする。
犬飼穢土 (いぬかい えど)
厨二病。突然の皇帝からのメッセージにデスゲームだと考える。虎徹を善人だと判断し、手を組むこととなる。
桜雷奏斗 (さくらい かなと)
虎徹の幼馴染。めったに物事に興味を持たないが、虎徹の異変には気づいていた。現実世界に戻った虎徹から法廷での多数欠の話を聞き、虎徹に協力する。
林音音 (はやし ねね)
虎徹、穢土らと共に皇帝に集められる。彼女にとっては2回目の多数欠となる。実はリンネという芸名でビーバックス社に所属するシンガーソングライターとして活動している。

特権利

特権利とは意識世界にあった人間の欲望が形になった超能力のようなものである。特権と権利は1人につきそれぞれ1つずつ保持することができる。特権利は全部で666個あるらしい。

特権

特権は権利に比べてより強力な力で、許可属、変象属、生産属、そして例外の4つに分かれる。体の一部分をリスクとしてしはらう必要がある。特権を得る時にできることや使用条件などが説明される。

【許可属】

許諾に関係する特権。

命令権
全特権利中で最強の特権。命令するだけで物理的にあり得ないことを起こす事も可能。吉井鉄平が持っていたが、彼は特権を使わないという信念を持っていたため、彼自身が使うことはほぼ無かった。
拒否権
許可属第2位の強さを誇る特権。相手に何か言われたことに対して「断る」と宣言することで相手にそのことをできなくさせられるが、使用者主体の拒絶に限るため第三者への効果はほぼ現れない。臣の特権で多数欠を断ることも可能。
譲渡権
許可属第3位の特権。相手に対して譲渡と宣言することにより、自分の傷などを相手に譲渡することができる。深見が保持していた特権で、譲渡をはねのけることができるのは単体では拒否権と命令権のみ。(ただし複数の特権利を複合して行使すれば防ぐことができる。)
交渉権
皇帝が回収したことで使っていた特権。相手との交渉に使われ、交渉成立したものについては絶対的になる。ただし、交渉したどちらかが死んだ場合は成立した交渉は無効になる。皇帝はこの特権を使用し実篤に親権を破棄させたり、頼音と甲斐を側近にしたりする時に使用していた。
抵当権
葛西甲斐の特権。相手の特権利を担保にし、自分がつけた条件に相手が違反するとその特権利を奪うことができる。甲斐は相手に無茶な条件を付けて奪っていた。
再実行権
物理現象を除く特権利の行使などを再実行させることができる特権。一部では一色が保持していた特権で、多数欠を再実行させて1日に2度も多数欠を行わせたりしていた。二部では一色の死後、コウが自身の固有の特権にしており、過去に自身が使った特権利を再実行することでいくつもの特権利を使用していた。
偽証権
自分がある物に触れながら証言することによって、5秒間その証言を「嘘」とし、生死以外の簡単な状態変化を起こすことができる。偽証できるのは1つの対象につき一度にひとつである。保持した特権で、棒を「これはムチではない」と宣言することによりムチにするなどして使っていた。
相続権
御堂の保持していた特権。所有の意思や所有者を失ったものを即時に相続することができる。御堂は多数欠に質問するためのパソコンを相続させようとしたり、皇帝の死後には回収権ごと自分に相続させようとしていた。
解除権
コウが使用する特権。触れることで入賀の空間分割を解除した。特権利以外にも有効かは不明。
抑制権
コウが使用する特権。対象の出力や速度を抑制・制限できる。劇中では分割権の出力や、コウ自身の落下速度に対して使用した。
隔離権
コウが使用する特権。任意に境界線を作り、使用者が解除するまで内外が相互に干渉することができなくなる。
議決権
皇帝が保持していた特権。詳細不明。多数欠を行うのに使用していたと思われる。
質問権
皇帝が保持していた特権。詳細不明。多数欠を行うのに使用していたと思われる。
承認権
皇帝が保持していた特権。詳細不明。多数欠を行うのに使用していたと思われる。
除外権
皇帝が保持していた特権。詳細不明。多数欠の対象から自身や傀儡を除外させるのに使用していたと思われる。
管理分配権
皇帝が保持していた特権。この特権により、特権利保持者が死亡した時、その特権利を宙に浮かさずにそれぞれの保持者に留めていた。
統制権
皇帝が保持していた特権。詳細不明。傀儡を操るのに使用していたと思われる。
委託権
皇帝の保持していた特権。任意の対象に指定したものを委託することができる。皇帝は製造権で作った義眼に両目の視力を委託することで、視力を得ていた。
通行権
甲斐が抵当権の担保として奪って得ていた特権。詳細不明。

【変象属】

様々な変化や現象を起こすことができる特権。

分割権
入賀煉が保持している、変象属最強の特権。物理戦においては無敵を誇る。物理的分割、性質的分割、概念的分割の3つが使える。空間分割によって視認権や透視権を使っても見えないようにして移動したり、最大数分割して敵を粉々に分割して倒すなどしていた。
誘導権
変象属第2位の特権。物理的な動線を誘導する特権。地球上では基本的に重力がかかっているため事実的にすべてのものを動かすことができる。八木橋が持っている特権である。
破壊権
変象属第3位、嘉藤騎士の特権。半径50メートル以内のものを破壊することが可能。しかし、騎士はまだ子供であるため、使いこなすことができていない。
融合権
一之瀬龍太の特権。物質と細胞レベルで融合したり、分離したりすることができる。龍太は足にスプリングを生成したり、腕に剣を生成するなどしていた。保持者の練度に比例して強力になるため、龍太が二部で修行した後に登場した際には、一部の時よりもかなり強くなっていた。
回避権
鈴木理科の特権。「自分に関わる物理的損害を完全回避する効果」があり、周囲数メートルの物理攻撃を完全に無効化することができる。彼女の近くにいることでその人も攻撃を回避することができる。また自分に関わらない存在=敵には効果が及ばないため、回避権の効果範囲内においてはノーダメージで一方的に相手を攻撃できる。また第三部4話の作者のあとがきによると、高所から落下しても「(地面に)衝突前にフワッてなって、衝撃諸々回避権で外にポイされて着地」と語られており、衝突によるダメージも衝撃も回避できることが判明した。
重力権
睦月の特権。自分の周囲の重力を自由に変えることができる。自分自身にかかる重力をゼロにして、浮遊するようなことも可能。最大重力1兆倍まで可能だが出力と持続時間は反比例であるため、1兆倍ならば0.5秒しか持続できない。また、重力そのものではなく「物体にかかる重力」を変えるため光や空間そのものには作用しないが、第二部終盤では睦月の周囲の空間が歪む演出がなされている。この理由については作者からも作中においても語られていない。
固定権
平山の特権。物理固定と法則固定が使える。物理固定においては、人差し指で指差しすることによりその部分を固定することができる。また、平山は特権利を法則固定することにより騎士、相馬、深見らの特権が彼らが死んでもコウに渡らないようにしていた。
視認権
篠崎の特権。距離に関わらず、砂つぶ程のものも選び、見ることができる。壁などに遮られている場所は見ることができないが、わずかな反射からでも辿って視ることができる。
確保権
須藤が保持している特権。ある物の最後の1つを永続的に確保することができる。須藤は銃の弾丸を確保したり、ビスケットを確保して食料を得るなどしていた。
発電権
イクサの特権。自在に電気を扱う。スピードが速いので反射神経で避けるのは不可能だが、電気を放つ前に手元がスパークするので、それを見極めれば避けることができる。
交換権
めぐるの特権。一度実物を見たことのあるものと自身の位置を交換することができる。あらかじめグルーピングすることで、自分「たち」と入れ替えることもできる。皇帝が頼音を迎えに行くときに一緒に来て拠点まで彼らと共に交換権を使って帰るなどもしていた。効果範囲は30メートルであり、補助効果として対象との距離計測を行なうことができる。
回収権
皇帝の保持している特権。所有権の無い指定のものを回収することができる。作中では保持者の死んだ特権利や味方の死体などを回収していた。
領空境防衛権
コウが使用していた特権。領空からの物理攻撃を防ぐことができる。回避権と異なり、直接触れての攻撃や、地中・海中からの攻撃は防ぐことができない。
切断権
コウが使用する特権。腕を振った先にある物体で、最初に当たった対象を切断できる。コウの攻撃はほとんどこの特権を使っていた。篠崎、平山、深見はこの特権により殺された。
合流権
コウが使用する特権。対象のそばに瞬間移動できる。
貫通権
コウが使用する特権。使用者の周囲含む上下に存在する物を消滅させることができる。コウが使用した際に空中に浮かび上がる描写が見られるが、詳細は不明。貫通という名称が用いられているが、周囲に影響なく通り抜ける類のものではなく、周囲を消し去るシーンが多々見られる。
設置権
璃莉の特権。3段階発動であり、1段階目で相手の特権利を受け止めて保留、2段階目でそれを任意の場所に設置、3段階目で保留してあった特権利を発現させる。攻撃を受けないよう保留し捨てたり、罠やカウンターとして使用できる。劇中では兄の騎士の破壊権を罠として発動させていた。同時最大保留数は10件。
水利権
イクサが初登場時に保持していた特権。水を手元に吸い寄せ、高速で放つことができる。コンクリートを破砕するほどの威力があるが、放つ水の軌道は単純な直線であり、何かに当たった水は再度手元に集めるまで操作できない。
回帰権
コウが使用する特権。対象をもとの状態に戻すことができる。衣服の汚れや切断された両足なども、一瞬で元に戻していた。
隠匿権
皇帝やコウが使用していた特権。対象を視認することができなくすることができる。この特権によって皇帝は皇帝の塔を、コウはマザーライトを隠していた。
模倣権
二部において皇帝が回収して保持した、物事を模倣できる特権。皇帝は回収権によって回収した大量のナイフのうち、投げた一本のナイフの動きに模倣させて騎士を攻撃するなどしていた。また、ゲームの技などの模倣も可能で、甲斐の前に現れた時もゲームの技の模倣により甲斐の彼女を瞬殺した。
集積権
甲斐が抵当権の担保として奪って保持していた特権。詳細不明。
復元権
回収権の説明に名称のみ登場。放出権などとセットで行使することで、回収権によって回収したものを元の状態に復帰させることができる。
放出権
回収権の説明に名称のみ登場。復元権などとセットで行使することで、回収権によって回収したものを元の状態に復帰させることができる。
浮上権
第二部の番外編に名称として登場。詳細不明。

【生産属】

かなりの力を持つものを生産できる特権。生産属に限り特権の名前を宣言することが必要。さらに、体力を消費する必要がある。

現化権
相馬隼人の特権。生産属第3位。紙やカードなどに書かれているものを具現化することができる。発電所破壊後の電気や、ごぼうらの食料もこの特権によってまかなっていた。体力の消費が激しく、おまけに右の肺がリスクだったため1日3回が限界であった。
気象権
セラフィエルの特権。生産属最強の特権。気象を自在に操り、雷をいくつも落としたり雹を降らしたりできる。さらに相手の攻撃を局地的下降流で防いだり、相手をトルネードによって吹き飛ばしたりもしていた。使用者は気象権で生み出した事象によっては一切被害を受けない。
爆破権
一彦の特権。爆破自体の攻撃は自分自身は受けないが、その炎や煙などは自分も被害を受けてしまうため、大規模な爆破は自爆となってしまう。
蘇生権
コウが使っていた特権。生産属第2位。死体にこの特権を使うことで蘇生・復元させられ、細胞レベルの欠片に対しても効果が発揮される。女王サイドはコウとセラフィエル以外全員この特権によって蘇生されたことがある。
地上権
甲斐がよく使う特権。自分の所有地以外の場所に自在に建築物を建てられる。
製造権
皇帝が保持していた特権。皇帝はこの特権によって、リスクで失った両目の代わりとなる義眼を製造していた。(作者のTwitterより変象属ではなく生産属とのこと。)

【例外】

上の3つ以外の極珍しい特権。

親権
成田実篤の保持する特権。未成年に対して親だ、と宣言することでその未成年の特権を全て支配、管理することができる。実篤の父親が皇帝を倒す道として実篤に保持させていた。効果は対象が成人するまで有効である。

権利

特権ほどの力は無いが、体の一部をリスクにしはらう必要がない。また、特権と違って力を得る時にその権利についての説明がない。許可属、変象属に分かれる。

【許可属】

許諾に関する権利で、強い意志抵抗をすれば効果を受けない。

被回答権
臣の保持する権利。何か質問されたことに対してとっさに答えてしまう。強い意志を持てば抵抗できるが、初見では気づかず食らってしまうことが多い。発動までのスピードはトップクラス。
服従権
依恋の保持する権利。何か命令口調で相手に指示することにより、その通りの行動を相手に取らせることができる。二度目以降は抵抗されやすい。
優先権
煮しめの権利。物事の優先を決められる権利。身の安全を優先、避雷を優先などして、使っていた。何に対しての権利か相手にはわかりづらいので、抵抗されにくい。使用時、対象を指差ししないといけない。
共有権
頼音が保持した権利。半径50メートル以内の人1人とテレパシーができる。応用すれば、相手の思考を読み取ることも可能。
表示権
ごぼうの保持する権利。色々な情報などを各種画面に表示することができる。この権利により皇帝討伐の有志を集ったり、皇帝死後も皇帝のふりをし続けたりしていた。
傍聴権
睦月の保持する権利。他人の様子や会話を、相手の許可・拒否を受けずに傍聴することができる。発動中は目の前で傍聴していても、相手がそれを認識することは難しい。これにより離れた場所に隠れている煮しめの吐息を傍聴し、位置を割り出した。
更新権
皇帝の保持する権利。状態や契約を更新する。状態の管理能力も付属しており、特権利の管理も行なうことができる。
開示請求権
鉄平の保持する権利。行政機関の持つ情報を、許可を必要とせず即時入手することができる。
監視権
コウが仲間の様子を見るために使用していた権利。離れた人物の様子を窺い知ることができ、死体に対しても有効。ただし、肉体が消滅して存在していない人物には無効。(実際に重力1兆倍に潰された睦月に対してはこの権利の使用は不可能だった。)
追跡権
入賀の権利。事前に条件を設定した上で対象にセットし、発動すると対象の居場所・位置を知ることができる。条件に合致すれば、対象の周囲半径1m以内の別の対象を追跡することもできる。
選択権
一部において仲間になった有志組の1人、吾妻誠の権利。選択肢として提示された中で選択した時に、その選択を誰にも邪魔されないようにできる権利。
電波運用権
皇帝が保持していた権利。一部の時から保持しており、多数欠の表示に使用していた。後に女王(実際にはコウ)に蘇生された時も、この電波運用権と、回収権だけは返してもらっていた。
裁判補佐権
皇帝が保持していた権利。詳細不明。多数欠を行うのに使用していたと思われる。
貸与権
甲斐が抵当権の担保として奪って保持していた権利。詳細不明。特権利を貸せるかは不明。
出版権
甲斐が抵当権の担保として奪って保持していた権利。詳細不明。
肖像権
一部において封筒の状態で、御堂が透視権により中身を見ていた権利。詳細不明。御堂はこの権利を「別にいらないな」と言っていた。また作者によると、効果は特に考えていないとのこと。

【変象属】

停止権
八木橋が女王によって渡された権利。時限式でセットすることにより、対象または対象の半径1メートル以内の空間を時間停止することができる。一度の使用は最大4件まで。この権利を使って八木橋は仲間を数多く助けていた。本来は時間だけでなく様々な現象を停止させることができるが、作中ではほぼ時間停止のみに使用されていた。
飛翔権
騎士が保持する権利。最大3回まで空中でジャンプ、飛翔が可能。最大まで飛び切った後は落ちるまで浮遊する。
調整権
もともと皇帝がもっており、その後イクサが保持することとなった権利。温度や出力など、ものの状態を調整することが可能。
複製権
めぐるの持つ権利。目にしてから10秒以内のものを50%〜80%の精度で複製することができる。
透視権
御堂の保持する権利。物体を透かして見たり、言葉の裏に隠される真意を透視することができる。この権利により御堂は収容所で特権利の封筒の中身を透視、中身を全て把握することができた。

用語

多数欠関連

多数欠
突如世界中で行われた、多数派が「欠ける」生き残りゲーム。
毎日午前0時に二択の質問が表示され、該当する人が多い方の選択肢に当てはまった人々が死ぬ。毎日都内の指定区域内のどこかにある青いポストか赤いパソコンから質問内容を投稿することができ、先着一件をその日の質問内容として採用される。そのため生き残るには質問を投稿して自分が少数派になるような質問をする必要がある。
実はこの多数欠は皇帝・柳 陽翔が議決権など複数の特権利を使って行っていた。
試運転
多数欠本番が始まる3日前、2日前に行われた、本番とは少しルールの異なった多数欠。
試運転1日目の質問は「今これを見ている YES or NO」試運転2日目は「東京都に住む日本人 YES or NO」であった。この2つの質問により世界中の人々の大半が死に、多数欠本番が開始された時までに生き残っていた人々は約100万人ほどしかいなかった。

多数欠セカンドステージ
御堂と入賀の投書により、多数欠のルールが改正された。これは今までは青いポストと赤いパソコンで質問の投稿ができたが、これからは赤いパソコンのみになるというもの。そして誰も質問を投稿しなかった日には多数欠を採らないというものであった。これは御堂が自分に有利になるように投書したものだったが、皇帝にとってもいい条件であったために採用された。
しかし実篤たちの努力によりパソコンは保守、一部ではそれ以降多数欠が採られることは無かった。

多数欠サードステージ
二部において頼音らが女王を倒すために行った作戦。実際の多数欠ではない。どこかにいる女王を殺すこと、倒すことのできた1人が生き残れるというルールを一般人に表示した。さらに東京を封鎖して東京とそれ以外との行き来をできなくすると表示し、女王の反応を伺う。

多数欠セルステージキラーゲーム
二部において皇帝が復活した後に行われたもの。特権利の回収を進めるためのもの。特権利保持者を殺し、最終的に特権利保持者殺害数が1番多かった人には身の安全の保証が、達成できなかった人たちには更なる悪夢が、というルールだった。

収容所関連

収容所
千葉県と東京都の県境の地下100メートルに位置する円形の施設。地方の人たちを拉致、監禁して特権利を強制取得させていた。A〜Jの10エリアからなる。
その目的は「当たり」である回収権を引かせ、全特権利を回収させることにより全ての特権利を思いのままに支配することである。そのため回収権が出るまで被験者を拉致し、強制取得をさせ続けていた。
臣、篠崎、相馬、一色、鉄平、入賀らは2年前にあった被験者の大規模脱走事件の時にこの収容所から逃げてきていた収容所出身者である。
また、実篤の父・実朝や御堂はこの収容所の職員であった。
皇帝
突如、全世界で多数欠を行った人物。正体は12歳の柳 陽翔であった。収容所に拉致、監禁されて特権利を強制取得させられ、「当たり」である回収権を保持する。その結果、収容所職員らに祭り上げられるが、彼はその非人道的な仕打ちから復讐を決意する。その後いくつかの特権利を回収させられた後、収容所にて小規模な初めての「多数欠」を行う。これにより職員や脱走していなかった被験者は死亡する。さらに世界規模での多数欠を行い全特権利の回収を目指した。
意識世界
もともと特権利があったとされる人間の欲望や念が漂う世界。この世界からコウはイタコとなって特権利をこの世に降ろした。
マザーライト
超時空間・構成干渉装置。コウが発明した、特権利を意識世界から引き出すことを可能とした機械である。また、保持者が死んで一度意識世界に「浮いた」特権利も再び引き出すことができる。この装置により引き出した特権利を封筒に閉じ込めることにより特権利が作られた。コウはその特権利を後に収容所の所長となる父親に渡してしまっていた。

メディアミックス

アニメ

  • PVアニメ「多数欠」(マイクロマガジン)

ドラマCD

  • ドラマCD「多数欠」(マイクロマガジン)

書誌情報

紙の書籍としての出版は1、2巻のみで、電子書籍版で全巻出版されている。

  • 宮川大河 『多数欠』 マイクロマガジン
    1. 2015年1月30日発売。ISBN 978-4-89637-492-6
    2. 2015年1月30日発売。ISBN 978-4-89637-512-1
    3. 2016年2月29日配信開始
    4. 2017年8月31日配信開始

出典

外部リンク