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大奥/よしながふみ

共有

著者: よしながふみ
巻数: 7巻

よしながふみの新刊
大奥の新刊

最新刊『大奥 7


出版社: 白泉社
シリーズ: ジェッツコミックス


大奥の既刊

名前発売年月
大奥 第1巻 2005-10
大奥 第2巻 2006-12
大奥 第3巻 2007-12
大奥 第4巻 2008-12
大奥 第5巻 2009-10
大奥 第6巻 2010-08
大奥 7 2011-06

大奥』(おおおく)は、よしながふみによる日本の少女漫画作品。隔月刊誌『MELODY』(白泉社)にて連載されている。単行本は2010年8月現在6巻まで刊行されている。第1章「水野・吉宗編」が2010年に二宮和也主演、柴咲コウ共演で映画化された「大奥」 よしながふみ

あらすじ

関東の田舎のある村、一人の少年が茸を採りに山へ出かけ、熊に襲われた。虫の息の状態で家へ連れられてきたが、間もなく息を引き取る。少年の死後、兄や幼馴染みや村人が次々と高熱を出し、真っ赤な発疹が全身に広がり、爛れ膨れ上がって死んでいった。そしてその奇妙な病は隣村から数年後には関東一円にまで伝染していった。しかも、病に罹るのは若い男ばかりだった。

そして治療法も見つからぬまま80年余りが経過し、病は『赤面疱瘡(あかづらほうそう)』という名で国に根付いていた。凄まじい勢いで減っていった男子の人口は、女子の約4分の1で安定した。そして男子はその生存率の低さから子種を持つ宝として大切に育てられ、女子があらゆる労働力の担い手となっていくのであった。

江戸城でも、3代将軍徳川家光以降、将軍職は女子へと引き継がれていった。そして、大奥は、ただでさえ男子が少ない中で美男3000人が将軍に仕える女人禁制の男の城となっていた。

各話概要

物語は、男子の突然の減少により男女の立場が入れ替わった、日本のみの男女逆転世界である。儒教思想など当時の概念はそのままであるが、社会運営の根幹や権力は男から女へと移っていく。

掲載誌『MELODY』での扉絵や柱にある粗筋では「男女逆転!パラレル時代劇」「これは日本の江戸時代とは似て非なる物語」と必ず記載されており、いわゆるSF作品(歴史改変SF)であると位置付けされている。

吉宗編

あらすじ
貧乏旗本の長男、水野祐之進は幼馴染みのお信のことが好きだが、身分違いのため決して添い遂げられない運命にあった。それならばいっそ……と思った祐之進は大奥へ奉公へ上がることを決意。
水野が大奥へ上がって間もなく、7代将軍家継が死去、8代将軍吉宗の誕生である。吉宗は先代の側用人を全員罷免し、質素倹約を推し進める政治を行う。
ある日、水野は藤波から武士らしさを買われ、御中臈に抜擢される。その後、吉宗が即位して以来初めての朝の総触れで、水野は吉宗に見初められ「ご内証の方」に選ばれる。「ご内証の方」は実際に処女であるかどうかは問わず将軍を破瓜する罪人と見なされ、死ぬ運命にあった。初夜の直前にそのことを知らされた吉宗は策を講じ、彼女の計らいで町人・進吉としての新たな生を得た水野はお信の元へ行く。
女が男名と女名の両方を持ち、公式的な文書には男名で記録されるなどの慣習をかねてより「何となく」疑問に感じていた吉宗は、その疑問を解消しようと、3代家光の頃から日記を付け続けている御右筆頭の村瀬を訪ねる。彼女はそこで男だと思っていた春日局が女だったと知り驚愕する。江戸城の大奥、そして女が男を装い政治に携わる歴史の始まりは、家光即位の頃にさかのぼる───。
水野 祐之進(みずの ゆうのしん)/進吉(しんきち)
貧乏旗本の息子で物語開始時点で19歳。多くの女から子種をと頼まれる美男子だが、貧しい女達への同情から金品を受け取らず種付けに応じていた。幼馴染みのお信のことが好きだが、身分が違うため諦めており、彼女への想いを断ち切るためと家計を助けるために叔父の伝手で大奥にあがる。
大奥では「水野」と呼ばれる。御三の間として仕えるが、後に御中臈へと昇進する。武芸にも秀で、女性と触れ合う機会のない大奥の少年達から憧れられる存在にもなっていた。吉宗に見初められ、「ご内証の方」となる。
吉宗との夜の後に命を奪われる運命を受け入れる覚悟でいたが、彼女のはからいにより記録では急病死とされ、「進吉」の名を与えられ町人となりお信の元へ行く。
お信(おのぶ)
水野の幼馴染みで、薬種問屋・田嶋屋の跡取り娘。祐之進のことが好きで、彼が大奥に上がった後も忘れられず両親からの婿取りの話を拒み続けていたが、吉宗のはからいで町人として帰ってきた彼を滂沱の涙で迎える。
お信の父
婿取りを拒む娘に困惑しつつも、 祐之進が娘の元に町人となり戻ってきた時は涙を流して喜び、内心では娘の恋が叶うことを願っていたことが明らかになった。
松島(まつしま)
大奥の御中臈の一人。
藤波(ふじなみ)
大奥総取締で、御年寄筆頭。水野を御中臈に引き上げるがその真意は……?
杉下(すぎした)
御三の間の一人。水野が御中臈になったのに伴い、御広座敷に昇進。大奥で仕えて10年経つ古参。実家は最下級の貧しい御家人で、家のため14歳から金で女の相手を毎晩させられ18歳で婿入りしたが子ができず離縁され実家に帰ることも出来ず他に行き場所がないため大奥にいる。実家や婚家で虐待も受けていた経験から、大奥で多少のことがあっても動じない。水野を何かと助ける。
副島(そえじま)
御三の間の一人で、新参者の水野に何かと因縁をつけたり、程度の低いいじめをするが、水野が御中臈となった時には、態度を一変させた。
鶴岡(つるおか)
松島のお気に入りの青年。剣が強い。
徳川吉宗(とくがわ よしむね)
8代将軍に就いた女性。質素を好み、将軍職に就く前は木綿の小袖で過ごしていた。合理性を重視する性格で、大奥での仰々しい夜伽などの作法も嫌い、慣習にも疑問を持つ。
女としての名は「信(のぶ)」といい、水野との夜に想い人が自身と同じ名であることを知り、お庭番によって彼や田嶋屋の事情を調べさせ、町人として人生をやり直させる粋なはからいを見せた必ずしも善意のみではなく、貴重な男子を殺すのがもったいないというケチ根性にも基づく行動であった。。仕事熱心で朝から着替えもせず執務し、堅物に見えるが男性関係は意外と奔放で、手も早い。財政再建のため大奥の男性達のうち若く美形な者50人に暇をだし、古くいる実務に長けた者を残し、彼らの服装についても華美を禁止した。
間部詮房(まなべ あきふさ)
6代将軍・家宣の側用人を務めていた女性。質素倹約を好む吉宗に贅沢な着物を用意した(彼女を田舎者と見下す意味もあった)ために、暇を取らされる。
加納久通(かのう ひさみち)
紀州時代から吉宗に仕える片腕的存在。遠江守。
女としての名は「おみつ」。柔和な造りの容姿も手伝い一見のんびりしているように見えるが、実はキレ者で肝が座っており、藤波とも堂々と渡り合う。夫が1人いるが、「1人で手一杯」とのことで自身は側室を持っていない。
大岡忠相
奉行を務める堅物な中年女性。吉宗が水野の件でお庭番を使い調査したことに小言を言うものの、基本的にケチな性分のため吉宗とは気が合う。
垣添(かきぞえ)
呉服の間に仕える少年で水野に憧れている。くじ引きで勝ち、水野の裃を仕立てる役目に就く。
柏木(かしわぎ)
御中臈の一人。聡明な美男子で御中臈の中でも抜きん出た存在。藤波のお気に入り。
三郎左(さぶろうざ)
公儀お庭番。普段は呉服の間に務める。
村瀬(むらせ)
御右筆頭。97歳。春日局の命でずっと大奥に残り続け、日記「没日録」を執筆。
水野頼宣
祐之進の母。息子の祐之進と、その姉にあたる跡取り娘の志乃を持つ貧しい旗本だが、息子を金で売ることはない矜持も持ち合わせる女性。既に24歳になっている志乃の婿の確保と、婿に行きたがらない祐之進に頭を抱える。

家光編

あらすじ
江戸城内、春日局は絶望していた。3代将軍家光が「赤面疱瘡」に罹って亡くなったのだ。世継ぎがいないまま将軍が死んだとなれば、太平を迎えた世は再び戦国乱世に戻ると考え、家光の死を隠蔽し、長女・千恵を家光として据える。春日局は更に、男子の数が減少していることが異国に知られれば、内憂外患状態に陥ると考え、異国船の入港を長崎に限定した。これにより日本は鎖国状態となった。
家光の死から6年後、慶光院の新院主となった万里小路有功は継目御礼のため江戸城へ登城。将軍に謁見した後、有功は将軍から江戸逗留を申し渡される。仕方なく逗留を決めた有功だが、予定していた外出さえも認められず、拝領屋敷で待っているようにと言われる。4日後、何の音沙汰もなくやきもきしていると、春日局がやって来て、「還俗し大奥に入って家光の小姓になってもらう」と告げられる。当然断る有功だが、遊女をけしかけられるなどされる。有功をどうにか籠絡させようと必死の春日局は、頑なに断り続ける有功の目の前で付き添いの僧侶と遊女を斬り殺させ、断れば更に人が死ぬと脅す。有功は絶望に打ちひしがれながら、僧としての道を諦め、お小姓になる決意をする。
ようやく髪が伸び登城の日を迎えた有功が謁見した将軍は、まだ幼さの残る少女だった。
徳川家光(とくがわ いえみつ)
千恵の実父。男色家であり女性に興味を示さなかったが実母や春日局からの世継ぎを作るようにとの重圧に耐えかねて性格が歪み、夜歩きに出た際に出会ったお彩を半ば八つ当たり的に暴行し千恵を儲ける。その後赤面疱瘡に罹り、31歳で逝去するが、その死は長く隠蔽されていた。外見的には決して美男子ではない容貌に描かれているが、口元や眉の特徴が千恵に引き継がれた。
春日局(かすがのつぼね)
家光の乳母を務めた女性。幼い頃から容貌により虐められたり戦乱で辛い目にあい続けたため戦乱のない世の中を願う執着心が強い。一度は嫁いで千熊(後の正勝)らを設けたものの、千熊を虐待した夫の側室を殺害してしまったことで婚家を出て家光の乳母となる。これらの経験から家光の血を残すことにも激しく執着しておりそのためには手段を選ばない。家光の死後、遺児である千恵を将軍に据えようと画策する。
万里小路有功(までのこうじ ありこと)
公家・万里小路有純卿の三男。貧しい人々の暮らしを垣間見、出家する。真面目で温厚であるが、芯の強い性格。お茶目な一面もある。
春日局により還俗を強要され、大奥に入る。最初の頃は将軍である家光(千恵)が女性であることに衝撃を覚える。またその起伏の激しい性格に辛く当たったこともあったが、自らを殺しながら男を嘲笑う姿をみて彼女の中の秘めた女として存在できないことの哀しさを垣間見たことで彼女を支える事を決心する。「お万の方」と呼ばれ、やがて千恵の寵愛を受け、自身も一人の女性としての千恵に惹かれ、彼女を深く愛するようになる。学問のみならず武芸にも才覚を持つ。千恵との間に子ができなかったため自ら身を引いて彼女と関係を持つことを止め後に大奥総取締役として大奥を仕切り、他の側室の男子に対しても慈愛を持って接する。
玉栄(ぎょくえい)
有功のお付きとして江戸に随行してきた小僧で、彼とともに還俗した。親に死なれ、身寄りがなかったところを有功に助けられ有功に対し忠義に近い念を思っている。その一方で裏で角南を切腹に追いやるなどのしたたかな一面があり、武芸の筋も良い。
有功の部屋子として大奥に入り、後に有功の嘆願により千恵の側室「お玉の方」となる。
明慧(みょうけい)
有功に随行してきた僧侶。徳川家をよく思っていない。有功を還俗させるための脅迫の一環として彼の目前で殺害される。
千恵(ちえ)/家光(いえみつ)
家光亡き後、その死を偽装するために3代将軍・家光として据えられた少女。家光とお彩の間にできた娘。当初は身代わりである事を隠すために男装していたが、後に女将軍家光として、男子の減った日本社会の維持を図る。
過去、城中で浪人に狼藉を働かれて破瓜した相手の男性は千恵により事後その場で殺害されている。上に身篭り、望まない出産を強いられた挙句、難産の末に子供を死産すると言う辛い経験をしており、勝気で気性が荒く、癇癪を起こすこともしばしばあったが有功とであったことで変わっていきやがては堂々たる女将軍へと成長した。本来は無邪気で優しく子供っぽい性格。その振る舞いとは裏腹にとても頭の回転が早く賢く周りの状況を全て解った上で行動している。またその境遇故か人の思惑に聡い一面を見せ、政治にも優れた才覚を発揮していき時に冷徹な政策も躊躇なく行った。
徳川の跡継ぎとなる男子を儲ける役目にあったが、産んだ子は全て有功以外の側室の子であり、また全て女子であった。わずか27歳で亡くなるが、最後まで有功を想っていた。
稲葉正勝(いなば まさかつ)
春日局の実子。家光が亡くなってからは、春日局の命で家光の影武者的存在となり、事情を知らない者が将軍に謁見する時は身代わりとなる。
公には赤面疱瘡で死んだものとされている。
村瀬正資(むらせ まさすけ)
有功の身の回りの世話係に命じられた。後に御右筆の役目を命じられる。吉宗編の村瀬の若き日の姿。
お彩(おさい)
家光が20歳の頃、夜歩きしている時に襲われ千恵を妊娠。江戸城を訪ねるも門前払いされるが、春日局の計らいで、江戸郊外に乳母と屋敷を与えられる。後に証言隠滅のため惨殺される。
勝田頼秀・和田正隆・角南重郷
御中臈。角南は玉栄の罠に嵌り、千恵の命令で切腹を命じられる。後に勝田は表使、和田は毒味係としての役目を命じられた。
澤村伝右衛門(さわむら でんえもん)
剣術指南役。明慧を斬り殺した男。赤面疱瘡で息子を亡くしている。
六人衆
千恵の近臣。
しず/松平輝綱(まつだいら てるつな)
松平信綱の娘。赤面疱瘡で死んだ兄・輝綱として元服させられ普段は男装していた。恰幅の良い容貌のため男性にしか見えないが、両親を気遣ってわざと男らしい生活や趣味の方が性に合っているかのような軽口を叩いている。
千恵が女将軍となった後は女の姿に改めている。
捨蔵(すてぞう)
古着屋の息子。有功に瓜二つのプレイボーイ。春日局により大奥に上げられ、千恵の側室「お楽の方」となり、千代姫をもうけたが、事故により半身不随に。後に赤面疱瘡により死亡する。娘に対する愛情は深く、最後まで千代姫を気にかけていた。
千代姫(ちよひめ)
千恵と捨蔵の間に生まれた子。後の将軍家綱。
溝口左京(みぞぐち さきょう)
名門の出の男。春日局により大奥に上げられ、千恵の側室「お夏の方」となる。
神原さと(かんばら さと)
百姓神原家の長女。父の死後、女の身で家や村を支えようと奮闘する。

家綱編

登場人物の多くが家光編から引き続いての登場となる。第6巻発売時で唯一、一話のみで完結している。

あらすじ
家光の死後、将軍に就いた家綱。大奥に残った有功ら近臣の尽力もあり、社会は安定しつつあった。家綱が14歳の時、宮家から縁談が持ちかけられるが…。
徳川家綱/千代姫(とくがわ いえつな/ちよひめ)
4代将軍。政治や色めいた事に興味を持たず、口癖から「左様せい様」と呼ばれる。母である家光や、実父であるお楽が有功に非常に似た美貌の持ち主であるのに対し、本書ではあまりぱっとしない地味な容貌で描かれている。性格はたおやかであり、優しい気性の持ち主。
万里小路有功/お万の方
大奥総取締。家綱の親代わり的存在。家光亡き後の大奥の総取締として周囲に信頼されている。あることをきっかけに再び仏門に入る。
保科正之(ほしな まさゆき)
家綱の大叔母。家光の弟家光が逝去した時、家光の弟の保科正之が存命していた(第2巻)。の名を名乗っている。
矢島局(やじまのつぼね)
家綱の乳母。女性。3巻では春日局の看病をしていなかったりという傲慢な女性だった。しかし、4巻では男ばかりになった大奥の長局でひっそりと暮らしている。江戸城が火災になったとき家綱と逃げている。
花房(はなぶさ)
御右筆。
倉持(くらもち)
家綱の「ご内証の方」に選ばれた男。

綱吉編

あらすじ
男性関係が奔放な将軍綱吉は側室の伝兵衛との間に一子をもうけていた。それを快く思わない正室の信平側は京より側室候補として右衛門佐を迎える。しかし右衛門佐はお褥すべりの年齢を迎えており、綱吉の手には届かぬ存在となっていた。後日、右衛門佐は有功以来空席となっていた、大奥総取締の座に就く。
徳川綱吉(とくがわ つなよし)/徳子(とくこ)
5代将軍。男遊びが奔放だが、一人娘の松姫を溺愛する。実母の家光が多忙だった上早世したことから幼少の頃親身に面倒をみてくれたのは父桂昌院しかいなかったという思い出があるため、常に父の意を汲んでしまうところがある。松姫の急死をきっかけに精神的なバランスを崩してゆき父の言葉に乗せられ「生類憐みの令」作中の生類憐みの令は旧来知られていた悪法として描写されている。を発布し民衆の支持を失って行く。愛くるしい美貌と、豊満な肢体をしていて、性質は気弱で素直だが、本来は怜悧な頭脳の持ち主で少女時代から勉学にも優れ手も器用で、したたかな一面も持ち合わせている。気まぐれで退屈を嫌う性格のため、金品や男女関係で関わらなかった者でも面白いと思った人物右衛門佐やお信(吉宗)がそうした例である。を重用したり褒めたりすることもある。松姫の死後も跡継ぎを産まねばならない重圧に苦しみながら多数の男と関係を持つが、子に恵まれぬままいつしか閉経を迎え、晩年は気難しい老女となっていた。民衆には憎まれたが近くにいる家臣や大奥の者達は彼女に男女問わず魅入られ夢中になり翻弄されて行く。晩年右衛門佐と心を通わせたこともあり、父からの呪縛を自ら解き放ち後継に綱豊(家宣)を指名する。
柳沢吉保(やなぎさわ よしやす)/おもと
館林時代からの綱吉の腹心で、綱吉の少女時代から晩年に至るまでその化粧をほどこすのは彼女のみに許された仕事であった。すらりとした美女だが魔性ともいえる一面を持ち牧野成貞を巧妙に失脚させたり、綱吉に重用される右衛門佐にも釘を刺し彼に「物の怪」と言わしめるほどだが、権力を持ちながらもなぜか政治に関して綱吉の意に反することは行わない。桂昌院と長年の関係を持っている。彼本人に対する恋愛感情故の行いではなかったらしいことが後の展開で明らかになる。また家宣編にて夫と子がいた事が明かされている。が少女時代の綱吉にそれを知られ膝を刺された上で忠誠を改めて誓わされる。綱吉の今際の際に、実は彼女に対して主君に対する忠義以上の感情を長年抱き続けていたことを自ら吐露し、最後に自らの想いを遂げる行動に出る。
右衛門佐(えもんのすけ)/継仁(つぐひと)
貧しい公家出身の御中臈。京に居た頃は家のために女に体を売る日々を送っていた。妹が2人いる。有功を思い出させる美男子。都の貧しさと退屈さから抜け出すため既にお褥すべりの年齢であることを承知で大奥に入り、綱吉に強く魅かれ彼女と対等に渡り合いたいと願い彼女との男女関係より権力の座を望んだ。側室ではなく大奥総取締役の座を自ら望み君臨し、桂昌院や吉保と対立する。若い時はしたたかな計略家の面が目立ったが、根は学問好きで理もわきまえた人物であり、大奥の男達に学問を教えたり、綱吉を諌めることもあった。晩年は歳を取り子が産めなくなった綱吉と心身とも初めて結ばれた翌日に急死する。
秋本(あきもと)
信平付の御中臈、のち右衛門佐の部屋子になり彼の計略にも多々手を貸す。愛用の眼鏡を買うために大奥に入ったと言っているが、実はある事情から縁談を断って大奥に入った。綱吉の死後は絹江と汀の暮らす実家で余生を過ごす。
秋本絹江(あきもと きぬえ)
秋本の妹。夫はなく汀(てい)という娘を一人で育てている。兄と過去にある秘密をもっており、兄が大奥に入った本当の理由を問いただしにくる。
桂昌院(けいしょういん)
綱吉の父で、かつての玉栄(「お玉の方」)。将軍の実父として大きな影響を及ぼす。信平と彼に呼ばれた右衛門佐を快く思わず、伝兵衛の味方をしていた。少女時代より才色兼備であった娘の徳子(綱吉)を溺愛し、彼女が成人の後は将軍職を宿敵・順性院(「お夏の方」)の血筋に継がせまいと綱吉に跡継ぎを産むよう迫り、後継に綱豊をつけることには反対していた。松姫の死後跡継ぎが産まれないのは自身が家光の時代に角南を追い落とすため猫を殺したことに原因があると思い込み綱吉に生き物を大事にする政策を取る様訴えるが結果的にそれが娘をさらに追い込むことになる。
鷹司信平(たかつかさ のぶひら)
綱吉の正室。公家出身。正室として京から迎えられた際綱吉に一目ぼれするが、彼女の寵愛を得ることはできず子をなすこともなく、彼女に愛想をつかして大奥内の権力争いに明け暮れていたように見える態度を取っていた。跡継ぎを作った伝兵衛の台頭に対抗するため右衛門佐を京から呼び寄せるものの、結果的に右衛門佐の方が事実上圧倒的な権力を持ってしまったため取り巻きも訪ねてこなくなり暇をもてあます羽目に陥り、晩年は病気で総触れにも立ち会えなくなり綱吉に顔を合わせることもなくなったため綱吉にすら存在を忘れ去られてしまう。しかし内心では綱吉を想い続けていた。
小谷伝兵衛(こたに でんべえ)
綱吉の側室、松姫の父。吉保と父の関係を目撃したショックで泣いていた若き日の綱吉に魅入られたことがきっかけで黒鍬者から取り立てられ側室となった。良く言えば善良で一途、悪く言えば単細胞な性格で学もないが綱吉に金品や地位をねだることは決してない誇り高い一面も持つ。松姫を溺愛しており彼女の死後は激しく落ち込んでしまう。その後は一人で松姫の菩提を弔っていたが、晩年は亡き娘の両親同士として綱吉との絆を取り戻し、彼女の死後は出家する。
小谷ふみ
伝兵衛の姉で、館林時代は身分が低く草履取りなどをしていたが弟が側室になり世継ぎの父となったことで小谷家は御家人に取り立てられる。しかし彼女は博打に溺れたびたび弟に金を無心しにきていた。吉保に手切れ金を渡され、伝兵衛に近づかないように釘を刺されたのち何者かに殺害される。
牧野邦久(まきの くにひさ)/阿久里(あぐり)
綱吉の腹心・牧野成貞の夫。館林城主時代の綱吉と親密な関係にあり、阿久里の名はその頃に綱吉に戯れにつけられた女名。
綱吉が牧野邸を訪れた事で再び関係を(綱吉に半ば強制される形で)持つが、次第に体を弱らせ病死。跡取り息子の貞安も綱吉に見初められ大奥に入ったが、病死している。
松姫(まつひめ)
綱吉の娘。5歳の年にあっけなく病死してしまう。
吉良上野介(きら こうずけのすけ)
老女の大名。松の廊下で浅野に斬りつけられる。
浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)
この時代には数少なくなった男性の大名。男系による家督相続を重んじ、家臣にもそれを推奨してきた。元禄赤穂事件の発端となった人物で、吉良に馬鹿にされたと思い込み彼女に切りつけ「抵抗できない老人に斬りつけた」と綱吉の怒りを買い、切腹させられる。
赤穂浪士
吉良邸に討ち入りに入った浅野の遺臣たち。城代家老大石内蔵助(男性)を始め、男子42名、女子5名。年齢は若い者で16 - 18歳だったという。庶民の喝采を浴びるが綱吉により切腹させられる。
紀州綱教(きしゅう つなのり)
紀州藩主・徳川光貞の長女。隠居した母の跡を継いで紀州藩主となる。綱豊(家宣)と共に次期将軍候補として名前が挙がるが、食中毒で死亡する。
お信(おのぶ)
十歳の吉宗。当時から華美な服装や世間一般で美形とされる男性には興味がない。母・徳川光貞と共に綱吉に拝謁し、年少でありながらその肝の据わった態度を気に入られ綱吉に彼女が過去使っていた簪と領地と吉宗の名を賜る。
後に母と二人の姉を立て続けに失い紀州藩主の座に就く。
永光院
有功が再び仏門に戻った姿。己の所行を悔い苦しむ老いた桂昌院に昔と変わらぬ優しさで接し、彼の死後もすぐ駆けつけて弔った。

家宣編

あらすじ
実母と関係を持ってから女性に対して嫌悪めいた感情を持っていた左京はひょんなきっかけで間部に見出され、家宣の下男となる。左京は間部に対して恋心を持つが、ある日その間部から「家宣の側室となってほしい」と頼まれる。やがて家宣は左京の子供を懐妊し、将軍として江戸城に入るのだが…。
徳川家宣(とくがわ いえのぶ)
6代将軍。旧名は綱豊(つなとよ)。かつて実母が下男と火遊びの果てに産んだ子であるため母に疎まれて育ったが、その分身分の低いものにもわけへだてなく接する心優しい女性で主君としても賢明で部下思い。能が好きで、踊りの巧かった猿楽師のおふさ(間部)を取り立てて家来にし、長年一番の家来として重用した。体が弱く三人の子を失っている。自分の命が長くないことを悟りながら千代姫を産んだ。
間部詮房(まなべ あきふさ)/おふさ
家宣の腹心。猿楽師であったのを甲府宰相時代の家宣に気に入れられて家臣となる。その忠誠心があまりに強すぎたことと独身を通していたため家宣と同性愛の関係にあるのではと噂されるほど。家宣や彼女のごく身近な人物以外には極めて傲岸不遜な態度を取り、彼女が将軍になることを願うあまり綱吉の危篤時には「早く死ね」と内心で念じてすらいた。家宣が将軍となった後は、女性で唯一大奥に出入りできる人物となるが、家宣の急死で激しく取り乱し自殺しようとするが左京に止められる。
勝田左京(かつた さきょう)
母と半ば強引に関係を持たされ、成人していたにも関わらず元服もさせてもらえずやさぐれていた青年。その美貌から多数の女に言い寄られるが、それに対し「勝ったら女性が1両を払い、負けたら関係を持つ」という条件で飲み比べをして多数の女性を酔いつぶし金銭を巻き上げる生活を送っていた。負けた女性の一人の仲間に袋叩きにされ負傷したところをたまたま通りかかった家宣の命を受けた間部らに救出されてそのまま下男として採用され、やがて間部の要請により家宣の側室「左京の方」となる。実母との間に二人の子をもうけており彼らには自身が実父であることを告げておらず、子供たちは左京を兄としか認識していない。二人のうち一人は後に養子に出され、養子先で赤面疱瘡にかかり死亡する。、母からの呪縛より逃れるため家宣に仕えはじめたが、家宣の優しさに触れ彼女に尽くすようになる。
左京の母
かつては「勝田玄白」の男名で加賀藩士をしており、現在は住職。息子の左京に自身との関係を強要して2人の子をもうけており、彼に元服すらさせない異常な執着を見せる。左京が家を出るときは呪いの言葉を吐いて怒るが、息子に元服をさせていなかったりしたことなどが他人にばれ世間体を気にしたのかその後は連絡をしてこなかった。
江島(えじま)
家宣に仕える男衆を束ねる男。不器量な容貌が女性に嫌われ婿の貰い手がなかったため家宣の屋敷に仕えていた。左京に武術などを一通り教える。家宣が将軍となった後はそのまま大奥にあがり秋本の後を引き継ぎ総取締となる。
千代姫(ちよひめ)
家宣と左京の間に生まれた子。後の将軍家継。幼いながらも聡明さを発揮する。
國熙(くにひろ)
家宣の正室で、現在はお褥すべりを迎えている。左京にも優しく接する。家宣との間にかつて2人子をもうけたが、1人は出生直後死にもう1人は死産だった。
新井白石
中年女性の学者で、千代姫に学問を教える。

作中の社会の風習

家光の時代

  • 江戸時代初期までは日本の男女構成比はほぼ1:1であったが、家光の時代に赤面疱瘡が大流行したため、男子が激減し、女子の約4分の1になった。その結果、土地を守る為に畑仕事を始める女性が増え始める。
  • 一家に一人男子が成人する事は稀になり、民百姓ばかりでなく大名の間でも世継ぎに死なれて難渋する藩が増えた結果、幕府にとって脅威である有力な大名家が次々にお取り潰しになる。
  • 吉原は男子の減少で廃れ、女性に体を売る不健康な男達が残った。千恵はこれを大奥の健康な男達を送り込む事で補い、花町吉原を復活させる。

吉宗の時代

  • 男は子種を持つ宝として大切に育てられ、女が労働の担い手となっていく。あらゆる家業が女から女へと受け継がれる。
  • 貧しい女たちは夫を持つことも出来ず、花街で男を買い種を付けてもらい子供を生むか、成長できた息子のいる家に謝礼を払って種付けを依頼する。当然吉原の花魁も男性である。容色の良い男子には種付け依頼が相次ぐ。
  • 婿を取ることが出来るのは、武士階級や富裕な商人・庄屋などにのみ許された権利である。大名や将軍など身分の高い武士は正室の他に側室として複数の夫を持つことができるが、下級武士や公家は娘婿の確保に苦労しており庶民同様夫を持てず子種を買うことしかできない場合も多い。
  • 家業を継ぐ者は、男名を名乗る。記録には男名で記され、夫がいても書かないか、わざわざ女名で「妻・~~~」などと記される。家督を継ぐ時は男名で公儀に届け出る。
  • この時代には家督は女が継ぐのが当たり前と考えられており、成長する事のできた若い男は謝礼を貰って子種をばら撒くよう、主に母親である世帯主によって管理される立場であった。
  • 諸外国には日本が女性中心の国家になったことは伏せられており、鎖国はその事情を隠す意味もあった。外国からの使いが来たときは将軍は男装し、直接対面はせず御簾越しに会い会話は男性の側近が代わりに行う。

家督相続の事情

  • 武家では女子が元服し、男子名を名乗らせる家が増える。当初は取り潰されないために跡取り娘を男装させて男子と偽って届け出ていた家もあったが、次第にそうした家の数が増え男装に明らかに無理のある女性大名も増えたこともあり、千恵が女将軍として公に名乗りをあげ女子の跡取りが認められて以降は女性大名達も女性用の服装や髪型に改めている。しかし当初の名残として家督相続者が男名を持つ慣習だけは残った。
  • 庶民の間でも、男子の激減のせいで娘に家業を譲る事が多くなる。
  • 男子が生まれれば家業は手伝わせずに、家の奥で大事に育て、高い値で息子の体を売る家も増える。
  • 寛永の大飢饉のために農村から流れてきた物乞いが増える。それでも江戸の町は活気付いている。
  • 幕府は、諸国を治める大名家をこれ以上取り潰すと少数の大名家が広大な領地を統治する事になり、必然、一家の所有できる兵士も多くなり藩幕体制を揺るがしかねない事態になると恐れ、大名家の後継に女子が立つ事が認められた。その際、千恵が正式に女将軍となる寛永後期頃と思われる。春日局は寛永20年没。
  • 5代将軍綱吉が、松の廊下刃傷事件と続く赤穂浪士討ち入り事件を受け、血生臭い気風とともに男を政治から追い払おうと男子の相続を禁止する命を発した。後に6代将軍家宣により(生類憐れみの令と共に)廃止されるが、その頃には既に武家を女子が継ぐことは慣習化されてしまっていた宝永年間の頃と思われる。

大奥の役割

  • 家光が逝去した頃は、まだ西日本には赤面疱瘡が蔓延しておらず、幕府は兵力(男子の数)の上で不利に立たされていた。幕府存続のために「子がいなかった」家光の死を隠す必要があった。春日局は家光の娘の千恵を身代わりに据えた。大奥は、反乱の際の防衛のために、また彼女との間に次の将軍となる世継ぎを儲けるために、若い男達が集められ作られた。しかし西日本でも赤面疱瘡が流行したことで、春日局が抱いた危惧は結果として解消された。
  • 千恵の存在を隠していた頃は、大奥の男達は一生を大奥で過ごさなければならないとされていた。

大奥内の役職

お目見え以上
上臈御年寄・御年寄・御客応答(あしらい)・中年寄・御中臈・御小姓・御錠口(おじょうぐち)などで、帯刀が許される。
御中臈
将軍と御台所の身辺の世話係。この中から、「お手つき」つまり側室が出る。専用の部屋と使用人が与えられる。使用人からその部屋の主人という意味で「旦那様」と呼ばれる。年齢制限はないが、いずれも家元及び器量の良い若い男子が選ばれる。
吉宗編では、花房・松島・柏木・鈴本・白河・真行寺・瀬川の7名に水野が新たに加わる。
お目見え以下
御三の間
お目見え以下の中では最も地位が高く、旗本以上の子息しか就くことが出来ない。奥仕えの振出しとも言える役職。御年寄や御中臈の目に留まり、念者・念弟の間柄になれば、一気に出世が叶うこともある。
御三の間に仕える人々は揃いの縹(はなだ)色の着物と袴をつける決まり。帯刀は許されない。帯刀が許されるのはお目見え以上の者と、お火の番の者のみ。
仕事内容は、主に以下のようなものである。
  1. お目見え以上の人々(「旦那様」と呼ばれる)が勤めを終えて部屋に戻るまでに、部屋の掃除を済ませる。
  2. 旦那様方の身の回りの世話全般。着物などに香を焚き染める。
  3. 湯水の運搬など雑用。
  4. 旦那様方が部屋に戻った後は、膳部の仕度。指示された部屋に夕餉を運ぶ。
呉服の間
大奥中の全ての衣服を仕立てる役職。一日中裁縫に明け暮れる。
御半下(おはした)
お目見え以下の中でも地位は最下位だが、身元のしっかりした商家などの息子たち。
御用取次
吉宗が側用人を廃止し、新たに設置した役職。将軍と老中たちとの取次役、及び大奥との取次役。
ご内証の方
未婚の将軍に初めて夜伽の手ほどきをする非常に大切な役目だが、未通女(おぼこ)である将軍を破瓜し、身体に傷を付ける大罪人でもあるため、務めを終えた10日後に打ち首にされる。
綱吉・家宣は将軍になった時点で御台所がおり、家継は本人が夭逝したためご内証の方が選ばれる事は無かった。
家光(千恵)が自身の経験から定めた制度だが、吉宗の時代では春日局が決めた事と伝わっている。
御右筆
表向きへの文書作成、諸家への書状作成の他に、大奥で起きた全ての出来事を記録・執筆する役職。
お褥すべり
35歳を迎えると将軍の寝所に侍る事を辞退しなければならない。将軍の方も35歳を過ぎた男を「抱く」事は禁じられているようである。

赤面疱瘡

赤面疱瘡は、本作にて登場する、架空の伝染病。本作の作品世界に於いて、最も重要な意味を有する。

症状は、高熱を発することから始まる。そして、真っ赤な発疹が全身に広がり、爛れ上がり死に至る、というものである。致死率は100%で、発病したが最後、死ぬ以外に無い。そして、最大の特徴は罹患者は10代から20代の男性に限られていることである。ただし、作中の家光のように、30代前半での発病例も存在する。

作者のよしながふみ自身が、赤面疱瘡は架空の伝染病で実在しないことを明らかにしている。また、赤面疱瘡に似た症状の伝染病で、赤い発疹を伴う物は多いが、一部の性病を除いて性別ならびに年齢層が限られた伝染病の報告例は無い。

書誌情報

よしながふみ 『大奥』 《白泉社・ジェッツコミックス》 2010年9月現在既刊6巻

  1. 2005年10月4日発行、ISBN 9784592143017
  2. 2006年12月4日発行、ISBN 9784592143024
  3. 2007年12月25日発行、ISBN 9784592143031
  4. 2008年12月24日発行、ISBN 9784592143048
  5. 2009年10月5日発行、ISBN 9784592143055
  6. 2010年8月28日発行、ISBN 9784592143062

英語訳 "Ōoku: The Inner Chambers" (VIZ Media)

  1. 2009年8月、ISBN 1-4215-2747-2
  2. 2009年12月、ISBN 1-4215-2748-0
  3. 2010年4月、ISBN 1-4215-2749-9

受賞歴

  • 第5回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞(2005年、単行本第1巻が対象)
  • 第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞(2006年)
  • 第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞(2009年)
  • 2009年度ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞(2010年) — 英語訳1巻と2巻に対して

ドラマCD

『大奥』極上音絵巻

  • 掲載誌『MELODY』と1巻連動で行われた応募者全員サービスのために作られた。

声優

  • 水野祐之進:小西克幸
  • 徳川吉宗:田中敦子
  • 杉下:堀内賢雄
  • 藤波:若本規夫
  • 柏木:川島得愛
  • 松島:山野井仁
  • 鶴岡:中村俊洋
  • 副島:竹田雅則
  • 垣添:菅沼久義
  • 赤坂:高階俊嗣
  • 三郎左:岩田翼
  • 加納久道:石塚理恵
  • 間部:斎藤恵理
  • お信:小林沙苗
  • 三田村:原田正夫
  • 水野の母:真山亜子
  • 町人:足立友、〆野潤子、藤村歩、宮本真利、床井聖子、平野佳奈
  • ナレーション:西村知道

映画

概要

2010年10月1日公開。前売り券第一弾は5月1日に発売され、一日でほぼ完売。第二弾は5月15日に発売。8月28日には『大奥 公式ガイドブック―大奥細見―』がコミック6巻と同時に発売された。

映画化の話は、約5年前から進められていた。当時は原作コミックが1巻しか発売されていなかったこともあり、今回の映画化も必然的に1巻の映像化となった。

映画の企画段階であった5年前から、企画書の吉宗役には柴咲コウの名前があった。原作者であるよしながふみ自身も当時からそれを熱望しており、スタッフ、原作者の思いが5年経ってようやく実現する形となった。8月20日『オトナファミ』でのインタビューより

キャッチコピーは「将軍は女、仕えるは美しき男たち三千人」。

2010年10月1,2,3日初日3日間で興収4億6515万8500円、動員は39万5,703人(土日成績は興収2億9740万900円、動員23万738人)になり映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第2位となった映画興行成績ランキング2010年10月2日~10月3日goo映画 2010年10月5日。また、ぴあ初日満足度ランキング(ぴあ映画生活調べ)でも第1位になるなど高評価されている。

キャスト

  • 水野祐之進:二宮和也
  • 徳川吉宗:柴咲コウ
  • お信:堀北真希
  • 鶴岡:大倉忠義
  • 垣添:中村蒼
  • 松島:玉木宏(特別出演)
  • 水野頼宣:倍賞美津子
  • 水野の父:竹脇無我
  • 加納久通:和久井映見
  • 杉下:阿部サダヲ
  • 藤波:佐々木蔵之介
  • 瀬川:細田よしひこ
  • 白河:竹財輝之助
  • 柏木:松島庄汰
  • 副島:ムロツヨシ
  • 山元:崎本大海
  • 石塚:三上真史
  • 三郎左:金子ノブアキ
  • 水野志乃:白羽ゆり
  • 三田村:田上晃吉
  • 八重:宍戸美和公
  • 御伽坊主:浅野和之
  • 大岡忠相(越前):板谷由夏
  • 間部詮房:菊川怜

スタッフ

  • 監督:金子文紀
  • 脚本:高橋ナツコ
  • 音楽:村松崇継
  • エグゼクティブ・プロデューサー:豊島雅郎、濱名一哉
  • プロデューサー:荒木美也子、磯山晶
  • 撮影:喜久村徳章
  • 照明:長田達也
  • 録音:山方浩
  • 美術:花谷秀文
  • 装飾:山下順弘
  • 衣裳デザイン:小川久美子
  • ヘアメイク:藤懿裕美子
  • 編集:松尾茂樹
  • 助監督:藤江儀全
  • 監督補:芝崎弘記
  • 制作担当:山本礼二
  • VFXスーパーバイザー:小坂一順
  • 美術プロデューサー:竹村寧人
  • 音楽プロデューサー:志田博英
  • ラインプロデューサー:鈴木嘉弘
  • 企画・制作:アスミック・エースエンタテインメント、TBSテレビ
  • 制作協力:イメージフィールド
  • 製作:男女逆転「大奥」制作委員会(アスミック・エースエンタテインメント、TBSテレビ、ジェイストーム、松竹、毎日放送、白泉社、電通、中部日本放送、RKB毎日放送、Yahoo!JAPAN)
  • 配給:松竹、アスミック・エース

主題歌

  • 嵐 「Dear Snow」(ジェイ・ストーム)

脚注

外部リンク