妖怪始末人トラウマ!!/魔夜峰央
著者: 魔夜峰央
巻数: 4巻
最新刊『妖怪始末人トラウマ!! 4』
妖怪始末人トラウマ!!の既刊
名前 | 発売年月 |
---|---|
妖怪始末人トラウマ!! 1 | 2006-02 |
妖怪始末人トラウマ!! 2 | 2006-05 |
妖怪始末人トラウマ!! 3 | 2006-08 |
妖怪始末人トラウマ!! 4 | 2006-11 |
『妖怪始末人トラウマ!!』(ようかいしまつにんトラウマ!!)は、魔夜峰央による日本の漫画作品。1986年から1988年にかけて連載された。本項では続編である『妖怪始末人トラ・貧!!』および『妖怪始末人トラウマ!!と貧乏神』も含めて解説する。
概要
白泉社の『月刊コミコミ』にて1986年から連載。連載当時の時代の日本を舞台に、妖怪始末人ギルドのヒラ始末人「トラウマ」が、相棒の貧乏神とともに日本各地で妖怪退治を行うという内容。短編連作の物語で、各話につき一体の妖怪が登場し怪事件を起こし、それをトラウマたちが解決して(わずかな報酬を頂いて)大団円というのが毎話の構図である。水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』とテレビ時代劇の『必殺シリーズ』を合体させたパスティーシュとも言える作風となっている。 もともとの連載誌が少年誌だったこともありバトル要素が多い物語になっているが、主人公コンビのとてもヒーローとは思えない情けなさや、漫才を彷彿とさせる軽妙な会話のやり取りが他の妖怪退治漫画にはない独特の味付けになっている。
1988年の連載誌『月刊コミコミ』休刊にともない連載は一次中断となったが、1991年に秋田書店の『プリンセスGOLD』にて『妖怪始末人トラ・貧!!』のタイトルでシリーズが再開された。こちらは1993年に無事完結している。また2007年から2009年にかけて、集英社の『別冊YOU』にて、 『妖怪始末人トラウマ!!と貧乏神』が連載された。なお、1998年には白泉社より『妖怪始末人トラウマ館』が書下ろしで刊行されている。
比較的短いシリーズの多い魔夜峰央の作品としては、『パタリロ!』、『ラシャーヌ!』に並ぶ長期連載作品となった。
登場人物
トラ貧コンビ
- 本作の主人公である2人組。ろくな仕事を回してもらえずにいつも困窮しているが、貧乏生活を楽しむ知恵には長けており、周囲の目をよそに本人たちは極めて楽天的。
- 実力がけっして高くない主人公たちが、知恵と機転と運とハッタリで凶悪妖怪を退治するのが本作の醍醐味である。
- 虎馬猫太郎(とらうま ねこたろう)
- 7歳の妖怪始末人。通称「トラウマ」または「トラちゃん」。外見は、制服に学帽とランドセル姿の小柄な少年。始末人としてのランクは最下級である「ヒラ始末人」。
- もとは普通の小学生だったのだが、ふとしたきっかけで「妖怪始末人ギルド」を発見してしまい、強制的に始末人とされた。この時に、両親を含むかつての関係者の記憶は全て改変されてしまったため、人間の世界に戻る術は残されていない。
- 「打出の小槌」や「仙人魂」といったアイテムの力でそこそこ攻撃力はあるものの、防御力のほうは極めて低い。
- 生活に苦労しているせいか、7歳にしてすでに人生の空しさを悟ったかのような発言もよくする。貧乏神との掛け合いでは、主にツッコミ役。
- 貧乏神(びんぼうがみ)
- 通称はそのまま「貧乏神」。外見はみすぼらしい老人で、むくんだ大きな顔が特徴的。
- 一応神様であるが、嘱託メンバーとしてギルドに入り浸っていたところをトラウマと出会い、コンビを組んで共に生活している。
- 長年風呂に入っておらず、戦闘ではその不潔さを武器として「アブラ足」「フケ嵐」「三年青タン」等の技を駆使するが、妖怪にはめったに効かず、戦闘力はトラウマ以下。
- クイズが趣味で、つまらないギャグをよく飛ばす。金持ちを夢見て様々な金儲けを企むが、上手く行ったためしがない。
- 「オカマとアンモニアが大嫌い」(本人談)だが、なぜかオカマによくモテる。トラウマとの掛け合いでは、主にボケ役。
妖怪始末人ギルド関係者
- 岳禅坊(がくぜんぼう)
- 上級始末人。高い法力を持ち、負け知らずの実力派。
- 一つ目だが普通の人間。修行の結果肉体が変化したらしい。心眼はひとつでよい、とは本人の言。
- なぜかトラ貧コンビに目をかけてくれる人格者。
- マタリン
- 上級始末人。正体は猫又で、「化け猫」と呼ばれると怒る。
- 「猫じゃ猫じゃ」の節回しに合わせて敵を踊らせ、踊りの終わりと共に呪殺する技を得意とする。
- 猫らしく、犬が苦手で、ネズミにはつい反応してしまう。
- トラ貧コンビを何かと気にかけ、仕事に一枚かませてくれるが、その厚意は報われない。
- 疫病神(やくびょうがみ)
- 貧乏神の兄。ギルドの嘱託メンバー。
- その名のとおり、ただでさえトラブルの多いトラ貧コンビを、さらに引っかき回す迷惑者。
- 飛ばすギャグのつまらなさは、弟をはるかに上回る。
- 八海仙人(はっかいせんにん)
- 中国は雲南省に住む仙人。白いヒゲを蓄えた、いかにも中国の仙人といった風貌。
- トラウマに仙人魂を与えたかわりに、トラ貧コンビを拉致し、日給10円でさんざんコキ使った。
- 相当な実力者と思われるが、始末人を拉致して実験に使う悪癖があり、ギルドで問題視されている。
- 浦原瀬奈可(うらはら せなか)
- 引退した始末人・浦原上人の娘。ボンボリ頭が特徴的な女子高生。
- 背中から巨大な口を出現させて、敵を噛み裂く技を得意とする。
- トラ貧コンビとは共に仕事をする仲だが、お金にがめつく、トラウマとはなぜか馬が合わない。
- ジュリアーノ松平(じゅりあーの まつだいら)
- 上級始末人。美男子で腕利きだが、気障で女たらし。
- 異次元の扉を開き敵を封じ込める技「薔薇門再来」を得意とする。
- ゴキブリが大の苦手。
- あかなめ
- ギルドのメッセンジャーボーイ。正体は垢嘗。
- トラ貧コンビと仲がよく、風呂場をきれいにするバイトで稼いだ金で、よく食料などを差し入れてくれる。
- ゆかなめ(弟)、そこなめ(父)、とこなめ(母)等、外見がそっくりの一族が多数存在する。
- 童子(わらしこ)
- ギルドの東北支部に所属する始末人の少女。正体は座敷童子。
- 防御力はズバ抜けて高いが攻撃力は極めて低い、というトラウマとは正反対の能力を持つ。
- 後にトラウマとコンビを組み、上級始末人待遇を得る。ちなみにノーパンである。
その他の人々
- ゴンザレス
- バー「ジブラルタル」でホステスをしているニューハーフ。
- 貧乏神に惚れこみ、積極的にアプローチを繰り返す。
- 始末人ではないが、妖怪をタコ殴りにするほど強い。
- 銀子(ぎんこ)
- 子供の頃に妖怪「毛羽毛現」にさらわれて、働かされていたところを、トラ貧コンビに助けられた少女。
- 中学生だが、恩返しとしてギルドの手伝いをしている。実は大財閥の令嬢。物事を遠慮せずにはっきり言う性格なため、口が悪い部分もある。
- 毛羽毛現の手下だった頃に、長い髪の毛を自由に操る技を身につけている。
用語
- 妖怪始末人ギルド
- 妖怪退治を有償で行う組織で、トップは大黒様。全国各地に支部があり、あの世にも支部が存在する。トラウマ達が所属するのは関東支部。
- この組織のメンバーは「妖怪始末人」と呼ばれる。いずれも妖怪退治を行うプロフェッショナルであり、人外の者も珍しくない。始末人は能力により「ヒラ始末人」、「下級始末人」、「上級始末人」などランク分けされており、上と下ではその待遇は天と地ほども違う。
- ギルドには始末人をサポートするための多くの部署がある。妖怪に関する情報収集はもちろんのこと、始末人の要請に応じて妖怪や怪異に関する様々な資料を提供することもできる。多数のマジックアイテムを所持してるほか、科学力もかなりのものがあり、霊力探知機のような魔術と科学が融合させたような機械も製造している。ただし、ギルドのサポートの多くは有償であり、サポートを受けるたびに報酬から天引きされてしまう。なお、サポートを受けなくてもギルドは仕事の斡旋料などの名目で依頼人からの報酬のほとんどを天引く。上級始末人は依頼人からの元々の報酬が数百万を軽く越える仕事(=それだけ難易度が高い)を割り振られるのでそれでも手取りは多い。一方でトラ貧コンビのようなヒラ始末人は元々の報酬が安い半端な仕事しか与えられないので、手取りで数百円から数千円などといったことも珍しくない。ギルドから支援を受けることで借金を背負うことさえある。
- ギルドの建物は、妖力を持たない者には認識できない空間に隠されており、依頼はもっぱら「霊界(妖怪)切手」を貼った手紙で行われる。
- 打出の小槌
- トラウマが所持するアイテム。これで頭を叩くと霊力が高まり、戦闘形態に変身(作中では『転身』と表記している)できる。転身後は飛行が可能になるほか、目つきがするどくなり前歯が異常に伸びる。この歯は噛み付くだけでなく、伸ばして敵を貫いたり、ノコギリのように切り刻んだり、矢のように飛ばしたりもできる。また、転身後はなぜか語尾に「ギャ」が付く。
- 初期の頃は主にこの小槌の力で妖怪にとどめを刺しているが、『トラ・貧!!』によるとこの品はギルドからのレンタル品で、使うたびに使用料金が発生するということで、トラウマの貧乏生活の一因にもなっていた。後に仙人魂を手に入れてからは使わなくなる。
- 仙人魂
- 『トラ・貧!!』でトラウマが八海仙人より入手した新アイテム。これによりトラウマは自由に変身する能力を得、攻撃力だけは飛躍的に向上した。打出の小槌と違い何にでもなることができるが、動物や人間などの分かりやすい形態に変身したことは一度もなく、作中では「数本の触手の塊」「巨大な杭」「巨岩」などの非生物的な形態への変身が多い。なお、変身後も学帽だけは残るため、「触手の塊が帽子を被っている」などというシュールな光景が展開する。
- 『トラウマ!!と貧乏神』でも打出の小槌ではなくこちらを使用している。
単行本
- 白泉社ジェッツコミックス
- 妖怪始末人トラウマ!!(全6巻
)
- 妖怪始末人トラウマ館(全1巻
)
- 秋田書店プリンセスコミックス
- 妖怪始末人トラウマ!!(B6判全4巻
)
- 妖怪始末人トラ・貧!!(全4巻
)
- 秋田文庫
- 妖怪始末人トラウマ!!(全4巻)
- 妖怪始末人トラ・貧!!(全2巻)
- 集英社クイーンズコミックス
- 妖怪始末人トラウマ!!と貧乏神(全1巻)
関連作品
作者である魔夜峰央は、妖怪をテーマにした選集が刊行されるほど「妖怪」にまつわる漫画を多数発表しているが、本作品以降に発表された作品の中には「妖怪始末人ギルド」の設定を流用したものが存在する。
- 『パタリロ!』
- 「妖怪始末人見参!」(エピソード番号175、単行本第41巻収録)で、日本を抜け出しマリネラに潜伏した妖怪を追って来たという設定でトラウマと貧乏神の2人がゲスト出演している。また、「怪獣丸」(エピソード番号183、単行本第42巻収録)でも、作品の宣伝でワンシーンだけ登場する。
- 『破異スクール斬鬼郎』
- 『恐怖まんが館 死人の花嫁』(白泉社)にて1987年に掲載された短編。後にこれを表題とする短編集にも収録された。上級始末人の最高位「破異羅漢(はいらかん)」の青年が主人公として登場する。また、ヒラ始末人の例としてトラウマが1コマだけ登場する。
- 『妖怪学園ザビエル』
- 『ミステリーボニータ』(秋田書店)に1996年から1998年にかけて連載された。人間と妖怪が共存する学校を舞台としたギャグ漫画。妖怪始末人ギルドから学園へ調査員が派遣されてくるエピソードが存在する。
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- 妖怪始末人トラ・貧!!
- Category:プリンセス