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実録!関東昭和軍/田中誠

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著者: 田中誠
巻数: 6巻

田中誠の新刊
実録!関東昭和軍の新刊

最新刊『実録!関東昭和軍 6


出版社: 講談社
シリーズ: モーニングKC


実録!関東昭和軍の既刊

名前発売年月
実録!関東昭和軍 1 2006-11
実録!関東昭和軍 2 2007-03
実録!関東昭和軍 3 2007-07
実録!関東昭和軍 4 2007-10
実録!関東昭和軍 5 2008-02
実録!関東昭和軍 6 2008-04

実録!関東昭和軍』(じつろく!かんとうしょうわぐん)は、田中誠による日本の野球漫画作品。『モーニング』(講談社)にて2006年から2008年まで連載された。単行本は全6巻。

概要

東京西部にある架空の高校、関東昭和高校(略称「関昭」)で戦前の軍隊教育のように過酷な体罰奨励の環境の中、試合を「戦い」と称して命がけで甲子園を目指すために手段を選ばない高校球児と関係者を描いたヒューマン・コメディ漫画である。

高校野球界が直面している様々な問題を風刺しており、漫画の各所に実際に起きた様々な不祥事などの事件が取り上げられている。また、当時起きた社会問題も小ネタとして度々使われている(時津風部屋力士暴行死事件等)。一方、監督の采配や試合中の選手の心理描写など、野球に関する理論は殆ど描写されていなく、ほとんどが監督による選手への脅迫・ヤキと、それを受ける選手の恐怖・発奮に終始している。関東昭和高校以外の登場高校は全て実在する高校の捩りであり(例:報徳学園→報得学園、帝京→亭京など)、監督の容姿も実在の人物をモデルにしている。

主な登場人物

尾宮 貫一(おみや かんいち)
50歳。野球部監督。昭和49年度関東昭和高校卒業後、関東産業大、社会人野球の旭日ガスを経て、昭和56年に関昭野球部コーチに就任。平成5年に監督に昇格し、 選手にヤキを入れながら厳しく鍛える。こすっからい性格だがここぞの場面では芯の通った所も見せる。高校、大学、社会人と現役時代は一度も全国大会に出場出来ず、未だに燃え尽きていない情熱を選手達に託している。妻子に逃げられた過去があり、今も未練タラタラ。最終回では春季東京大会優勝直後のインタビューで舌禍事件を起こし、渡邉にはほとぼりが冷めるまで誤魔化す事を勧められたが、選手に示しをつけるため自ら監督を辞任してコーチに降格、しかしヤキを入れることは止めていない。名前の元ネタは金色夜叉の間貫一とお宮。現役時は遊撃手で右投右打。
三河屋 三平(みかわや さんぺい)
32歳。野球部コーチ。尾宮同様に女と博打が大好きで常に監督の側にいる。平成5年度関昭卒業後、東洋文化大学から社会人の大和魂運輸を経て平成13年にコーチに就任。現役時は捕手で右投右打。
戒名 喜寿(かいみょう よしひさ)
連載開始時は3年生。野球部員の中で一番腕っ節が強かったため、鶴嘴がキレて手がつけられなくなった時に鎮圧のために駆り出されたが、一発でのされてしまった。卒業後は暴力団の年金厚生会に入り、関昭での教育のおかげか親分の評判も上々の模様。
三野 文太(みの もんた)
連載開始時は2年生。正捕手で4番を打つ主将。右投右打。一時期は若鷺、安宅らと共にクビになっていたが一葉、山棟蛇、鶴嘴など癖のある投手陣を気迫と機転で巧みに操縦する。卒業後は野球推薦で東海道大学(東海大学)への進学が決まっている。名前の元ネタはみのもんた。
一葉 知秋(いちよう ともあき)
連載開始時は2年生。途中まではエース投手だった。一葉知秋とは四文字熟語で「小さなことの成り行きから将来の衰亡を察すること(「一葉落ちて知る天下の秋(文録)」の漢詩に由来)」。右投右打。調子に乗りやすい性格で投球にもそれが出る。後輩の山棟蛇からは大した実力もないくせに調子に乗りやすいと評され、下級生にも嫌われている。センバツ直前に石部、山口らと共に喫煙しているところを写真週刊誌にスクープされてしまい、それ以降は一切出場機会を与えられなくなった。
卒業前に行われる3年の引退試合には出してもらえることになり、大学の先輩から貰ったドーピングのおかげ?で下級生相手に完全試合を達成する。喫煙騒動は世間に公表こそしなかったが、最終回の卒業式では全校生徒の前でエースでありながら喫煙問題で出場出来なかったことを3人揃って壇上で土下座して謝罪した。卒業後は野球推薦で都の東北こと亜穂田大学への進学が決まっている。
後生 大事(ごしょう だいじ)
連載開始時は2年生。外野手。右投右打。ゴリゴリ頭が自慢。2年の途中で鶴嘴にレギュラーを奪われてしまう。3年夏の西東京大会決勝で9回裏1点差の場面で三塁走者として本塁に帰還しようとするが、つんのめって甲子園行きをダメにしてしまい、あまりのショックに首吊り自殺を図るが未遂に終わる。もっとも、翌日他の3年生と一緒に海に連れて行ってもらった時は既に元気になっていた。
神楽坂 一心(かぐらざか いっしん)
連載開始時は2年生。外野手兼一塁手。右投右打。ころころレギュラーが代わる中で常にクリーンナップを外れない点や、監督などの台詞から実力はあることが伺われる。
鸛 出来太(こうのとり できた)
連載開始時は2年生。遊撃手。右投右打。打順は主に6番で忘れた頃の一発がある。2年の頃からレギュラーを務めており、二重まぶたが特徴。4巻裏表紙では鸛の顔だが表示されている名前は鴨ノ橋 太郎となっている。
安宅 正路(あんたく まさみち)
連載開始時は2年生。右投右打。鉄壁の二塁手。打順は主に9番だが山口よりも能力は上。三野、若鷺らと共にクビになっていた時期がある。
若鷺 銀二(わかさぎ ぎんじ)
連載開始時は2年生。右投右打。三塁手。2番打者としての出番もある。三野、安宅らと共にクビにされていた時期がある。
文無 次郎(もんなし じろう)
連載開始時は2年生。一塁手兼投手。右投右打。投手として活躍している様子はあまり無い。日学大三高(日大三高)との練習試合あたりから鴨ノ橋にレギュラーを奪われた。クビの期間あり。
石部 金吉(いしべ きんきち)
連載開始時は2年生。外野手。2年夏の予選メンバーに入っており一定の実力はあると見受けられる。センバツでもベンチ入りしたが一葉、山口らと共に喫煙報道で干され、最終回では卒業式で3人揃って全校生徒に謝罪した。一葉と顔が似ているが一葉の鼻が円に対して石部は点。卒業後は野球を続けず就職する予定。
山口 百吉 (やまぐち ももきち)
連載開始時は2年生。二塁手。右投左打。寮では桶谷と同部屋。センバツではベンチ入りしたが一葉、石部らと共に喫煙報道で試合には出られず、その後も干された。最終回にて卒業式で3人揃って全校生徒に謝罪。名前の由来は山口百恵。なお、桶谷と同部屋の2年生3人は、全て女性歌手が名前の由来である。
雨虎 梅夫 (あめふらし うめお)
連載開始時は2年生。捕手。右投右打。気が優しく頭が回り、秋季東京大会ではクビになっていた三野の代わりに活躍。守備要員として常にベンチ入りしている。
桶谷 五朗(おけたに ごろう)
連載開始時は1年生。通称「桶」。三塁手。右投右打。序盤のいくつかのエピソードでは語り部を務めている。中学の頃に大怪我をして仕方なく関昭へ入学。殴られっぷりは悪くない。鋳掛屋の悩みを聞いたり、福井兄弟へのヤキを止めたりと面倒見が良い。
山棟蛇 千里(やまかがし せんり)
連載開始時は1年生。外野手兼投手。右投左打。野球の才能は素晴らしいが、あまりの凶暴さに強豪校からは誘いがかからず関昭に入学。先輩はおろか指導者からも恐れられており、ヤキを入れられることはない。
死球を受けた投手相手に次の打席で手が滑ったように見せかけてバットを投げつけるなど、試合中でもすぐに切れる悪癖を持つ。一匹狼的な性格だが野球に対する情熱は本物で、後輩には優しさも見せるなど侠気もある。経験を積む中で精神的にも成長し、上級生引退後はエースで4番かつ主将となる。
鶴嘴 温助(つるはし ぬくすけ)
連載開始時は1年生。外野手兼投手。右投左打。打っては長打連発、投げては豪速球のパワフルな選手で「怪人」の異名を持つ大男。しかし、異常なまでに頭が悪くサインを一切覚えられない。普段は大人しいがキレると手がつけられないため、入学後初めてキレた後は一切ヤキを入れられなくなり、山棟蛇とともに恐れられている。
鋳掛屋 丁治(いかけや ちょうじ)
連載開始時は1年生。捕手。右投右打。寮で桶谷と同室。リトルシニア時代は「西東京に鋳掛屋あり」と言われるほどの選手だったが、野球名門校への入学が内定した祝いを居酒屋でやっているところをチクられ入学取消となり関昭に拾われた。その事もあってあだ名は「居酒屋」。上級生引退後は正捕手で副主将になったが、副主将としては山楝蛇を恐れてあまり意見を言えないでいる。名前の元ネタはいかりや長介(映画の居酒屋兆治の意味もあり)。
一縷 千鈞 (いちる せんきん)
連載開始時は1年生。遊撃手。右投右打。強気で単純な性格のムードメーカー。山棟蛇の負担を減らすためという理由で代理ながら主将に選ばれる。名前の意味は「一本の細い糸で千鈞もの重量を吊るす、きわめて危険である事のたとえ」
鴨ノ橋 太郎 (かものはし たろう)
連載開始時は1年生。通称「鴨」。一塁手。右投右打。元々は投手だったが活躍出来ず、1年の後半から一塁手にコンバートされレギュラーを確保。センバツでは5番に座った。しかし福井兄弟が入部した影響で神楽坂が一塁手にコンバートされると煽りをくらった形で控えに降格。その後調子を落とし秋季大会ではベンチを温める。
福井兄弟(ふくいきょうだい)
双子で兄は俊宏、弟は俊政。共に右投右打。桶谷や山棟蛇の後輩にあたる新入生で、捕手以外はどこでもこなせるユーティリティプレイヤー。素晴らしい俊足、強肩、野球センスを持ち引く手数多だったが、特待生問題の影響で名門校が好条件を出しにくい中、なりふり構わず札束攻勢に出た関昭に入学。入部直後から共にレギュラーを獲得。打撃に専念させたい尾宮の意向で投手はあまりやっていない模様。名前の元ネタは福井俊彦。
コムスン・ノーバ
福井兄弟と同じ新入生でアメリカ人とのハーフ。家庭の事情で苦しい経済状況だったところを関昭に買われる。貴重な左投手として1年夏からベンチ入り。外人顔だが英語は話せない。名前の元ネタはコムスンとNOVA。
朝津風ドルジ(あさつかぜドルジ)
モンゴル出身で強肩強打の三塁手。右投右打。桶谷と熾烈なレギュラー争いを繰り広げる。態度がデカく、問題を起こして盟徳義塾(明徳義塾)から関昭へ流れ着いた。サッカーも上手。名前の元ネタは朝青龍(明徳義塾高卒)と時津風部屋。
渡邉 爪雄(わたなべ つめお)
学校法人・関東昭和学園理事。尾宮には「甲子園に出場したら一千万!全国制覇で三千万!」という口約束をしていたが、本当にセンバツ出場を決めた時には払わなかった。名前の元ネタは渡邉恒雄。
蛇道 平琵(じゃのみち へび)
52歳。関昭野球部OBで構成される関昭球友会会長(平成12年就任)で、OBたちを指揮して様々な裏工作を行う。関昭の昭和48年度卒業生で、1年後輩の尾宮とは寮でも同部屋だった。関昭卒業後は大東亜商科大を経て不動産会社に就職。現在はガソリンスタンドとコンビニエンスストアを経営している。現役時は右翼手。名前の元ネタは「蛇の道は蛇」という諺から。

関東昭和高校及び関昭野球部

  • 私立男子高校。偏差値は極めて低く、九九すらも怪しい学力の生徒が多くいる。
  • 教師は戦前のような丸眼鏡をかけていたり、髭を生やしたいかつい男性教師ばかり。
  • 野球部は東京都内では強豪で、甲子園には春夏通じて第45回選抜高等学校野球大会に一度出場している。作中で2度目のセンバツ出場を果たすが、早稲田実践(早稲田実業)や日学大三(日大三)等の一流校に比べると実力は劣る。
  • 野球部員は概して先述したような野球一流校に入れなかった者で、桶谷や鋳掛屋のようにワケありで入学してきた者も多い。
  • 野球部員は入部と同時に斗魂(とうこん)寮という寮に入寮し、盆暮れ関係なく3年間敷地から勝手に出ることを許されない軟禁同然の生活を送る。
  • 寮では上級生の命令は絶対で1年・蛆虫、2年・蝿、3年・神様と言われ、上級生の身の回りの世話一切は後輩がする。ただし、引退後の3年生は社会に出た時困らないようにするため身の回りのことを自分でしなくてはならない。
  • 3年生で最後の夏の大会にベンチ入り出来なかった部員は1日だけ夜間外出が許される。また、夏の大会敗退後も3年生は1日だけ海などへ遊びに連れて行って貰える。
  • 上述のような過酷な環境で毎日のようにヤキを入れられながら3年間過ごすため、知性や品性はともかく上下関係の意識や礼儀は身に付くので就職組はヤクザ関係を中心に引く手数多。
  • 目的のためには手段を選ばず、特待生制度を維持するために形だけの面接試験や、寄付金を集めるために振り込め詐欺まがいのことを行うなどしている。

関東昭和高校野球部五訓

  • 一、礼儀です
  • 二、忍耐です
  • 三、気迫です
  • 四、闘志です
  • 五、部費はキチンと納めます

関連項目

  • 高校野球
  • 特待生
  • 日本高等学校野球連盟
  • 日本学生野球憲章