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少女革命ウテナ/さいとうちほ

共有

著者: さいとうちほ
巻数: 3巻

さいとうちほの新刊
少女革命ウテナの新刊

最新刊『少女革命ウテナ 第3巻


出版社: 小学館
シリーズ: 小学館文庫


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

yamatone RT @zoknd: 昨日発売の新刊の上位、当初の予想とずいぶん違う順番となったので並び替え。おがきちか『Landreaall』最新31巻がとても売れています! → 25日の新刊マンガ「Landreaall 31」「少女革命ウテナ AfterTheRevolution」「アオイ…
1000k_d RT @zoknd: 昨日発売の新刊の上位、当初の予想とずいぶん違う順番となったので並び替え。おがきちか『Landreaall』最新31巻がとても売れています! → 25日の新刊マンガ「Landreaall 31」「少女革命ウテナ AfterTheRevolution」「アオイ…
asura14as RT @chihochat: 「少女革命ウテナ 〜After The Revolution」 本日 小学館から発売です! 20年ぶりに 原作ビーパパスでウテナの新作を描きました! 学園の門を出た後の彼らを どうぞご覧ください
srnknt 少女革命ウテナ × ARTEMIS KINGS 薔薇の刻印 ピアス/イヤリング 【2018年5月発送予定】| プレミアムバンダイ https://t.co/EVuC8AZ2gQ
rpmtwjdajg75 RT @shuhei0919y: 本日の「乃木坂週刊映画」更新しました!質問回答編です! =乃木坂46 能條愛未、主演ミュージカル「少女革命ウテナ」を振り返る:質問回答編 https://t.co/G2WdUPaEGt #乃木坂46 #能條愛未 撮影は「映画の食事会」でも…

少女革命ウテナの既刊

名前発売年月
少女革命ウテナ 第1巻 2003-09
少女革命ウテナ 第2巻 2003-10
少女革命ウテナ 第3巻 2003-10

少女革命ウテナ』(しょうじょかくめいウテナ)は、J.C.STAFF制作のアニメ。テレビシリーズアニメとして1997年4月2日から同年12月24日までテレビ東京系で放送された。全39話。略称は「ウテナ」。

概要

『美少女戦士セーラームーン』シリーズのメインスタッフだった幾原邦彦が少数精鋭のスタッフを集めて制作集団ビーパパスを結成、少女漫画家さいとうちほと組んで世に放った異色作。アニメーション神戸97'TV番組部門最優秀賞受賞。

男装の麗人、書き割りの様な背景、影絵の少女達による不可思議な劇中劇など、宝塚歌劇と前衛舞台劇を折衷したような徹底したアバンギャルドな演出が特徴。また、学園といった閉鎖世界や薔薇や王子様といった少女漫画的モチーフを中心に、おとぎ話や古の貴族のような決闘、同性愛まで多くの要素を扱い、かつ哲学的な言辞と象徴や図式を大小に首尾一貫してちりばめている。合唱曲「絶対運命黙示録」など、かつて寺山修司率いる「天井桟敷」で音楽を担当していたJ・A・シーザーのアンダーグラウンド的楽曲を採用した事も、独特の世界観を作り上げる大きな要因となった。

TVアニメ放映時にさまざまなメディアミックス展開が行われ、漫画、ゲームのほか、ミュージカルや小説版(ノベライゼーション)なども発表された。劇場版公開時には、「月蝕歌劇団」による舞台が公開された。また、劇場版公開に合わせてTVアニメ版12話までが1999年8月9日・16日にテレビ東京の深夜帯で再放送された。また、さいとうちほによる同名の漫画作品が「ちゃお」(小学館)において1996年から1997年末まで連載された。テレビ放送に先んじて世に出ているが、テレビシリーズの制作が決定したことを受けての連載のため、原作ではなくコミカライズの一種と位置づけられている。

TVアニメ版、漫画版、小説版、劇場版ではそれぞれ、話の展開や設定が異なっている。アニメ版は当初、が、前々番組である「超光戦士シャンゼリオン」が4クールに延長されることになり、97年4月に変更。当初はシャンゼリオンの後番組となる予定だったがシャンゼリオンが予定より早く終了し時間変更で放送された「赤ちゃんと僕」の後番組となっている。

企画

ビーパパス(Bepapas)は幾原邦彦がオリジナル作品制作のために作ったチームで、その名前は「大人になろう」の意DVD 1巻ライナーノーツ(小黒祐一郎)。従来は著作者として認められることがほとんどなかったアニメーションの制作スタッフが原作者の立場で表に立つことも目的としていた「コミッカーズ」(美術出版社)1997年8月号 さいとうちほインタビュー

企画として最初に形になったものはコアターゲットを狙ったOVAで、主人公の名前はウテナ、敵の名前は「世界の果て」であった。この頃、幾原は「世界の果て」という言葉を絶望という意味でよく口にしたという。しかし幾原がさいとうちほの作品と出会うことで、この企画はより一般向けのテレビシリーズを志向するようになる。さいとうにキャラクター原案を依頼した時点での作品名は「少女革命ウテナKiss」で、主人公が誰かとキスすることで男装の美少女へ変身するというもの。玩具メーカーをスポンサーに想定した子供向けアニメである。

幾原はウテナとアンシーを親密な仲にする構想を持っていたが、さいとうは少女漫画家としての自負から、視聴者である少女が望むものではないとその構想を強く否定、このショックで幾原は急性胃腸炎を起こしたというDVD北米版最終巻 オーディオコメンタリー。ただし、放送終了後の座談会でさいとうは、ビーパパスの影響で同性愛的なものを肯定するようになったと心境の変化を語っている「薔薇の黙示録」(青林工藝舎)ビーパパス座談会 1998年3月26日発行 ISBN 978-4-88379-000-5

その後、キングレコードの大月俊倫プロデューサーの目に留まることで企画はより本格的な制作体制に移り、また大幅な変更が行なわれて最終的な形になっていったLD 9巻解説(小黒祐一郎)

演出・美術

作品には幾原監督の作家性が色濃く出ているが、他のスタッフもまた自発的に様々なアイディアを投入している。例えば、影絵少女は幾原ではなく、シリーズ構成の榎戸洋司の発案である「ぱふ」(雑草社)1998年1月号 ウテナ特集

生徒会室内で様々な演出が行なわれるようになったのは、第5話で錦織博が林檎をウサギに変えたことが機であるという。橋本カツヨはこれを、たった2枚の絵で、世界を革命するという行為の本質を暗示して見せる演出だと高く評価している。同じく第5話で桐生冬芽の胸をはだけさせたのも錦織であるLD 7巻解説。この後、スタッフ個々によるキャラクターの露出合戦がエスカレートしていった「薔薇の黙示録」(青林工藝舎)ビーパパス座談会 1998年3月26日発行 ISBN 978-4-88379-000-5

美術監督を務めた小林七郎は当時64歳(放送開始時)の大ベテランである。幾原監督は理詰めでなくイメージを重視した指示を出し、例えばアーチを描くにしてもその先にあるはずの建物などを描かせず、向こう側に真っ白な空を描かせたという。その衝撃はかつて小林が共に仕事をした出﨑統と似た感覚で、そのような発想の飛躍は自分にはないものであり、いい刺激になったと語っている。また建物の大半をデザインした長濱博史についても、その重力や力学を無視した自由な発想に小林はショックを受け、その良い部分を生かすようにしたとのことであるLD 10巻解説(小林七郎インタビュー)

番外編

  • 序章 バラの刻印
  • カレーなる変身
  • 3つの願い
  • 深き琉璃色の影
  • 黒バラの刻印
  • アドゥレセンス黙示録 前編・後編

あらすじ

幼い頃に助けてくれた王子様に憧れ、王子様になりたいと願うようになった少女・天上ウテナは、入学した鳳学園で「薔薇の花嫁」と呼ばれる少女・姫宮アンシーと出会う。エンゲージした者に「永遠」に至る「世界を革命する力」を与えるという「薔薇の花嫁」をかけて戦い続ける生徒会役員(デュエリスト)たちは、ウテナがかつて王子様から貰った指輪と同じ「薔薇の刻印」と呼ばれる指輪を持っていた。ウテナもまたこの決闘ゲームに巻き込まれ、その背後にある「世界の果て」へと迫っていく…。

1〜13話が生徒会編、14〜23話が黒薔薇編、24〜33話が鳳暁生編、34〜39話が黙示録編。

登場人物

デュエリスト達の名前には植物と関係のある文字・単語が入っている。

生徒会執行部のメンバーは、気高さを持つ者として「世界の果て」から選ばれたデュエリスト。合い言葉は「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。雛は我らだ、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ、世界を革命するために」。ヘッセの「デーミアン」がモチーフになっているものと思われる。

初期決闘関係者

天上ウテナ(てんじょう うてな)
声:川上とも子
本作の主人公。鳳学園中等部二年(TV版がベースのゲーム版では後述の劇場版同様に転校生とされている)。幼い頃に両親と死別した際に白馬に乗った「王子様」に救われ、彼に憧れるあまり自身も王子様になろうとする男装の少女。一人称は、「僕」。中等部では主に女子生徒達の人気の的。「王子様のように気高くかっこよく」生きることを信条としており、スポーツ万能で正義感が強い。幼い頃出会った王子様にもう一度会いたいと願っている。親友・若葉の恋心を踏みにじった西園寺莢一の言動を非難したことを機にデュエリスト達の決闘ゲームに巻き込まれていく。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は白。武器はディオスの剣(第1話の西園寺との決闘では竹刀、第12話の冬芽との決闘では樹璃から手渡された剣を使用。第20話での若葉との決闘では剣を抜かずに闘った)。鳳学園の女子の制服ではなく黒い学ランに

赤いスパッツという出で立ち(一度冬芽に負けた後は女子の制服を着用した)。漫画版では当初ピンクの学ランを着ていたが、冬芽との決闘で切り裂かれ、それ以降はアニメ版と同じ黒い学ランを着用するようになる。劇場版では最初は白い学ランに白い帽子を被っているが、後にTV版の衣装に良く似た白い学ランに白いスパッツという出で立ちになる。

後に同じデュエリストとして戦う事になる西園寺莢一、桐生冬芽とは幼い頃に会った事があるが、本人は覚えていない。
実は王子様(ディオス)に会った時に「百万本の剣」で貫かれたアンシーの姿を見せられており、その際に「薔薇の刻印」の指輪を授けられていた。その際、ウテナの本当の目的は「王子様との再会」ではなく「アンシーを助け出すこと」だったことが明かされる。後に暁生とアンシーがただならぬ関係にあることを知ってもアンシーを助けるという意志は揺るがず、最終回では「女の子だから王子様になれない」という事実を突きつけられるも薔薇の門=アンシーが閉じこもっていた「棺」を開く事に成功し、アンシーを助ける事は出来なかったが代わりに彼女の意識革命に成功した。しかしその代償としてウテナはアンシーの身代わりとなり(アンシーと離れ離れになった直後に「百万本の剣」が彼女に迫る描写がある)、鳳学園という世界から消え、アンシーと暁生を除く他の人々から実質忘れられてしまった。
漫画版では「物語の中核から外されている主人公は漫画には向かない」というさいとうの意向から、早期に「世界の果て」の情報を知ることになり、中盤では生徒会に出入りしている。最後は暁生との決闘で相打ちになるも新たな光のディオスとなり、暁生(闇のディオス)と一つになり彼と共に消滅。彼女の存在はアンシーと冬芽を除く全ての人々から忘れ去られた(TV版では言われれば思い出す為完全には忘れられていないが、漫画版では話題にも上がらない)。
名前の「ウテナ」は、花の萼(がく)のことを指す。ピンク色の髪に水色の瞳(漫画版では最初は金髪だった)。TV版では長いストレートヘア。劇場版では、白と黒の学ランを着、ロングヘアを男子の様なショートカットに編みこんでいる。デュエリストの衣装に変身すると、靴のデザインは変化し、ズボンもスパッツになり、衣装の白と黒の基色には赤のさし色が入り、頭髪にはウェーブがかったロングヘアが露になる。
劇場版では他校からの転校生、冬芽とは幼馴染という設定になっており、「王子様になりたい」と願うのではなく、「王子様」を失った傷心を抱えながらも志高く生きようとする少女として登場する。また、冬芽に好意を持っている事が明確になっている。物語の終盤でアンシーを連れて“外の世界”へ出ようとした際に巨大な洗車機に取り込まれて車に変身し、アンシーを乗せて“外の世界”へと旅立った(ラストで元の姿に戻ったが、車の一部は残っていた)。
姫宮アンシー(ひめみや -)
声:渕崎ゆり子
決闘勝者に「世界を革命する力」を授ける「薔薇の花嫁」として、デュエリストたちに争われる少女。中等部二年。日々温室のバラ園(鳥かごをイメージした形をしている)の世話をし、独自の人付き合いが無いなど所有者(エンゲージした決闘勝者)に従属して主体性を感じさせない存在だが、ウテナとの関わりによってのちに精神的な変化が見られるようになる。チュチュというペットを飼っている。ウテナとエンゲージしてからはウテナのルームメイトになる。丸い眼鏡を掛けているのが特徴。口癖は「どぅも、どぅも」。
黒薔薇会編で、理事長代行・鳳暁生の妹であることが明かされる。更に物語後半では暁生の過去の姿であるディオス(王子様)の妹であったことが判明する。かつて人々の願いを叶えすぎて傷ついたディオスを封印したが、その代償として彼女は「魔女」と見なされ、ディオスに救ってもらうはずだった「お姫様」達の家族によって無数の剣で刺し貫かれ、以降人々の憎しみから成る「憎悪に光る百万本の剣」を受け止め続ける事になった。
物語終盤では徐々に「魔女」としての一面が現れ始め、実兄である暁生と肉体関係を持っていたことが発覚する。そのことを知ってもなお自分を友達として信用してくれたウテナの姿を見て少しずつ心境が変わり始めるが、暁生とウテナの決闘の際にウテナを裏切ったととれる行動に出た。だがその後、傷つきながらも薔薇の門=自分が閉じこもっていた「棺」を開いて自分を助けようとしているウテナの姿を目の当たりにし、結果的に彼女によって意識革命を起こされる。最後は決闘に固執する暁生を見限り、消えたウテナを探すためにチュチュと共に学園を去った。
兄であるディオス(かつての暁生)の「理想」=「ディオスの剣」を心に封印している。この剣はエンゲージした者のみがアンシーの心から取り出すことができる(作中の映像ではアンシーの胸から生えてくる剣をエンゲージしたデュエリストが引き抜いている)。
「抑圧された自我」の象徴であり、この「自我の解放」すなわちアンシーの「(精神的)革命」が本作のテーマである。
名前の「アンシー」はラテン語で「花ひらく」の意。紫色の髪に緑色の瞳・褐色の肌という容貌で、額にビンディーのような赤い印がある。実は非常に長い髪の持ち主で、本来の髪は長いウェーブヘア。
漫画版では人間ではないことを示唆している(2桁では済まない年月を生きてきたらしいことも発言している)。物語の最後でウテナが暁生と共に消滅した後、性格が明るくなり、ウテナのように男装するようになる。また人々がウテナのことを忘れてしまっても冬芽と共にウテナのことを覚えていた。最後はアニメ版同様消えたウテナを探すために学園から旅立つ。
劇場版では眼鏡を掛けておらず、髪も長いストレートヘアで、TV版のウテナと似たキャラクターデザインとなった。また、TV版とは異なり、ウテナと対照的ながら対等な友人関係や行動力を見せる(テレビ版ではウテナを「ウテナ様」と呼び敬語で話していたが、劇場版ではウテナを呼び捨てにしており話し方も普通になっている)。兄の暁生を「私の王子様」として慕っており、彼が自分を密かに抱いても「王子様だから好きにしていい」とまで言い切るほどだったが、その想いが結果的に暁生を自殺に追いやる事になってしまう。それ以来、アンシーは暁生の幻影に支配され続けてきた。物語終盤でウテナが姿を変えた車に乗って“外の世界”への脱出を試みた際、遂に兄の幻影を振り切ることに成功し、最後はウテナと共に“外の世界”へと旅立っていった。
桐生冬芽(きりゅう とうが)
声:子安武人
鳳学園の高等部二年で生徒会長。学園一のプレイボーイ。桐生七実の実の兄。西園寺莢一とは幼馴染みで、同じ剣道部に所属している。生徒会メンバーで唯一「世界の果て」と呼ばれる人物と通じ合っている。前髪に朱色のメッシュを入れた赤いストレートの長髪に青紫の瞳。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は赤。鳳暁生編での決闘では西園寺をパートナーとし、彼に自分の「心の剣」を抜いてもらいウテナと戦った。挑戦者の時には、西園寺の日本刀と同じ刀掛けに掛ける日本刀を使用。だがウテナを世界の果てから守るための第3戦では、前述の通り西園寺が「心の剣」抜いたが、「剣」は日本刀ではなく騎士剣であった。
TV版・劇場版で共通して養子であり、劇場版では養父に性的虐待を受けていたと思わせる描写があった。TV版では当初は上昇志向のために周囲の者を利用し、陰謀によって勝利し、花嫁を形式的に尊重する陰謀家で、後に策略により西園寺を学園から追放し、その後妹の七実をディオスの力を見極めるために利用し決闘の舞台に立たせてウテナと闘わせた。更にはウテナに対して「幼い頃会った王子様は冬芽ではないか」と疑念を抱かせるような行動をとってウテナの動揺を誘った上で彼女との決闘に勝利し、アンシーを手に入れた。
その後の二回目のウテナとの決闘ではアンシーの「祝福」を受けたディオスの剣の力でウテナを苦戦させるが、アンシーの心境の変化によって剣の力が失われた事で形勢が逆転し敗北。この後、敗北のショックからしばらくの間部屋に閉じこもり学園に出てこなくなった(その間は妹の七実が生徒会長の代行をしていた)。
子供の頃、西園寺と共に「棺の中の少女」に出会った経験があり、その経験が「永遠」を求める原点となっていた。実はこの「棺の中の少女」は幼い頃のウテナだったのだが、冬芽はその事実に長い間気付かず、ウテナが「棺の中の少女」だったことを知ったのは物語が終盤に入ってからだった。なおこの経験の影響かどうかは分からないが、後にウテナに好意を抱くが、そのとき初めて、自分が「プレイボーイの生徒会長桐生冬芽」としてのマニュアル化された恋愛しかしらない初であると思い知らされる。
鳳暁生編では暁生とウテナが恋愛関係にあることを知り、暁生に嫉妬心を抱くようになる。後に幼い頃に出会った「棺の中の少女」がウテナだったことを知ったことで自分が永遠を求める原点に気付き、「ウテナを棺から出す」ために彼女に三度目の決闘を申し込んだが、結局ウテナを止める事は出来なかった。
漫画版では策略家としての面は薄れており、TV版でも時折描かれていたウテナへの好意をこちらではより明確に描写されている。ウテナが消えた後人々の記憶からウテナのことが消えてしまってもアンシー同様ウテナのことを覚えていた。
劇場版ではウテナとは幼馴染だったという設定になっている。裏表がありつつも高い志をもつ人物として描かれ、草時や瑠果、そしてディオスの役割も兼任している。実は「死んだ王子様」と呼ばれる既にこの世から去った存在であり、幼い頃溺れている子供(幼い樹璃)を助けようとしてウテナの目の前で死んだことが物語後半で明かされる。彼が亡き者であることは、ウテナと樹璃との決闘の場面にて幹が冬芽が隣に居るにもかかわらず冬芽の存在を知らないことを示唆する台詞を口にする場面で暗示されている。物語後半で、アニメ版をイメージした告白室(下降するエレベーター)にてウテナが冬芽は既に亡き者であることを思い出したと同時に、ガラス越しにウテナに別れのキスをして姿を消した。
漫画版の「アドゥレセンス黙示録」ではウテナを「外の世界」へ脱出させるために自分が「死んだ王子様」であること・亡き者である自分の記憶を忘れれば「外の世界」に出られる事を告げて消滅。彼の記憶はウテナの中から忘れ去られた。
妹の桐生七実が、冬芽の小さいころの写真がないことと、両親と七実の血液型がB型なのに対し、冬芽だけがA型であることから、七実と冬芽に血の繋がりは無いのではないのかと苦悩するが、七実が赤ん坊の時に同じ両親の下から兄弟揃って桐生家に来ただけであり、血は繋がっている。
彼の決闘に当てられた名前は、1回目が「信念(conviction)」、2回目が「自分(soi)」、3回目が「選択(choix)」。
当初の予定では「太陽を盗んだ男」の「山下満州男警部」をイメージしていた。
西園寺莢一(さいおんじ きょういち)
声:草尾毅
鳳学園高等部二年で生徒会副会長にして剣道部の主将。ウテナの前の「薔薇の花嫁」の所有者。冬芽とは幼馴染で、同じ剣道部に所属している。硬派として女子に非常にもてるが、間抜けな実態を知る友人からは影で馬鹿にされがち。樹璃曰く「生徒会のピエロ」、御影曰く「道化」。不器用で単純、粗暴な性格で、女性に対しても純情と横暴の交錯するさまがアンシーや若葉との関係によって描写されている。名前の「莢」は豆のさやなどのこと。ウェーブがかかった緑の長髪に茶色の瞳。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は薄緑(劇場版では赤)。武器は日本刀。
第9話でアンシーを連れ出した上勝手に決闘広場に入ろうとするという事件を起こし、その際止めに入った冬芽に怪我を負わせる。この一件の後、冬芽の策略によって退学処分となるが、行く当て、金、友人全てなく、かつて傷つけた若葉の下に一時居候をさせてもらう。その後は彼女と良い仲になったが、御影の策略により破局。御影が若葉を黒薔薇のデュエリストにする際に取引し、居候のお礼に若葉に渡す予定だった手作りの髪飾りを御影と交換することで復学することとなる。物語終盤で幹同様決闘に不信感を抱くようになり、決闘から手を引く決意をした。彼の行動の根幹には、幼い日に冬芽と共に遭遇した「棺の中の少女」の影響がある事は初期の内に明かされるが、この時点で視聴者の誰もが理解した「棺の中の少女=ウテナ」と言う事実を西園寺が知るのは物語の終盤である。
彼の決闘に当てられた名前は、1回目が「友情(amitie)」、2回目が「選択(choix)」、3回目が「関係(relation)」。
漫画版では謹慎処分に留まり退学は免れた。アンシーに付くチュチュを邪魔者扱いする。(チュチュにちょっかいを出す緑のカエルは彼を暗示している)
劇場版では劇中最初に登場したアンシーの所有者であり、彼女への暴力からウテナは怒りを爆発させ、決闘ゲームの意味も解らないまま決闘を行う。終盤でジープに乗って樹璃や幹と共に“外の世界”へ出ようとするウテナとアンシーを助け、別れ際にアンシーに「外で会えたら今度は堂々と口説き落としてみせる」と言い残した。
有栖川樹璃(ありすがわ じゅり)
声:三石琴乃
生徒会メンバーでフェンシング部長(代行)。高等部一年。教師達も恐れる不良としての一面も持ち合わせている。男装の麗人。親友の高槻枝織を密かに意識し、彼女の写真をペンダントに入れている。枝織に本心を伝える事、あるいは枝織と結ばれる事は樹璃にとって奇跡に等しき所業であり、奇跡の力を願いつつも否定する葛藤の中で決闘ゲームに参加している。後述の瑠果の献身により枝織への恋慕の情から解放されるが、後に彼女へのその想いは自分の中に根強く残っていることをウテナに告白する。ただ、同時にそれに関した事を冗談の種にしてみたりと、大分自分を客観視できるようになった節も見られる。オレンジ色の縦ロールの髪に青い瞳。決闘の際に胸に挿す薔薇の色はオレンジ。武器はフェンシングのエペ。鳳暁生編での決闘では瑠果に自身の「心の剣」を抜いてもらいウテナと闘った。
TV版では二度ウテナと決闘するが、初戦は自分の攻撃によって弾き飛ばされたウテナの剣が自分の薔薇を貫くと言う不運で負け、二度目の戦いではウテナの剣がペンダントを弾き飛ばし壊してしまったことへのショックにより自ら決闘を放棄し、結果二度とも敗北した。但し剣の実力で敗北した事はない。また、他のデュエリスト達が薔薇を散らされて負けているのに対し、彼女は唯一負けたときに薔薇を散らされていない(最初の決闘では落下したディオスの剣が薔薇を貫いており、二度目の決闘で自ら決闘を放棄した際には自分の手で胸に挿していた薔薇を捨てている)。
彼女の決闘に当てられた名前は、1回目が「恋愛(amour)」、2回目が「選択(choix)」。
漫画版では七実の役割を兼任。冬芽に好意を持ち、彼を巡るウテナへのライバル心から決闘を挑むが、TV版とは違い実力で敗れる。実は冬芽は瑠果の代用で好意を抱いていたことが後々分かる。瑠果が命を失ったようなことを聞いても、その話を信じず瑠果を想い続けた。
劇場版では枝織に唆される形でウテナと決闘するが、実力で敗れる。なお劇場版でもペンダントは携行しているが、こちらでは枝織の写真が入っているかは明らかにはなっていない(枝織の発言は冬芽を誘惑するためのハッタリの可能性がある)。また枝織との関係もTV版とは大きく異なっており、劇場版では束縛と服従を強要する枝織を振り払いたがっている。終盤で西園寺や幹と共にジープに乗って現れ、“外の世界”へ出ようとするウテナとアンシーを助けた。
薫幹(かおる みき)
声:久川綾
生徒会の役員で、13歳にして大学生のカリキュラムを受ける秀才の少年。中等部一年。フェンシング部に在籍する優秀な選手で優れたピアノ演奏者でもある。素直で人当たりの良い性格から、上級生のファンも多い。幼き過ぎし日に、妹の梢とピアノ連弾をしていた庭の思い出を「輝くもの」と形容。「輝くもの」を取り戻すべく「薔薇の花嫁」としてのアンシーを求め、同時に彼女を一人の女性としても愛する。生徒会室での会話のシーンでは、時折ストップウォッチで時間を計っている。何をどんな理由で計っているのかは不明。登場人物に理由を問われたり、不思議がられる事もある(この計測時間は直前に言葉を発した時間と一致する。要は一種の楽屋オチである)。青い髪に青い瞳。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は青。鳳暁生編では梢を「花嫁」とし、彼女に自身の「心の剣」を抜いてもらいウテナと戦った。物語終盤で決闘に不信感を抱くようになり、決闘から手を引く事を決意。その後生徒会の集まりで決闘制度を取りやめようと宣言する。
身勝手な大人を嫌悪しており、世界の果てから「君たちのために天上ウテナを倒せ」という手紙が来たときは「『君たちのために』と言う大人は信用できないもの」と嘆いた。鳳暁生編で、身辺の大人たちの行為に困惑させられ、スポーツカーに乗ったときに、梢から「周りが汚れていたら、自分も汚れて欲しいものを手に入れるしかない」と説かれ、自分の運転するスポーツカーに乗ったアンシーの姿を夢想、アンシーを自らのものにするために梢と共に決闘に挑む。
彼の決闘に当てられた名前は、1回目が「理性(raison)」、2回目が「誘惑(tentation)」。
漫画版と小説版ではアンシーではなく、ウテナに好意を持っている。小説版では、冬芽との同性愛的描写もあった。
劇場版ではTV版同様決闘者ではあったが、ウテナと決闘をすることは無かった。また冬芽のことを知らないらしく、ウテナと樹璃の決闘の最中に樹璃が冬芽の名前を挙げた際、冬芽が傍に居るにもかかわらず「冬芽って誰だ?」と呟いている場面がある(この場面は冬芽が既に亡き者であることを暗示していた)。終盤で西園寺や樹璃と共にジープに乗って現れ、“外の世界”へ出ようとするウテナとアンシーを助けて自分達もいずれは後に続くつもりと伝え、「外の世界で会おう」と言い残し分かれた。設定によると枝織と同じ身長。
桐生七実(きりゅう ななみ)
声:白鳥由里
冬芽の妹。13歳で中等部一年。気が強く高飛車、非常にプライドの高い性格で、なかなか素直になれないが、心優しい一面も持っている。絶対的な存在である兄に近づく女は誰であろうと許せず、特にウテナとアンシーを事ある毎に目の敵にするが、その度に酷い災難に遭う。
冬芽と彼女は幼い頃に同じ両親の元から二人一緒に今の両親に引き取られた養子であり、そのことを知らなかった七実は家族の血液型が合わないことに気づいた際に自分と冬芽は血の繋がりがない兄妹であると勘違いした。
実は彼女もデュエリストであり、兄にそそのかされる形でウテナに二度決闘を申し込む。武器は曲刀と隠し持っている短刀の二刀流。鳳暁生編では、冬芽との血縁関係を失い(上記の通りただの思い込み)、自分がかつて「駆除」した茎子のような「悪い虫」の一匹であると自覚、他の「虫」や冬芽を凌駕するために冬芽立会いの下、2度目の決闘をする。決闘の際は冬芽に自身の「心の剣」を抜いてもらい、ウテナと戦った。薄い茶色のウェーブがかかった髪に黒目がちな紫色の目。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は薄い黄色。当初は鳳学園の女子生徒の制服を着用していたが、冬芽がウテナに負けて部屋に閉じこもってからは兄に代わり生徒会をまとめるようになり、決闘のときに着用した黄色い上着に黒いズボンの制服を常に学園内でも着用するようになった。
彼女の決闘に当たられた名前は、1回目が「崇拝(adoration)」、2回目が「友情(amitie)」。
漫画版では、兄が所有している写真上に登場するが、実際の登場は無い。
劇場版では牛の「ナナミ」としての登場のみ(人間としての「桐生七実」は存在していない)。
鳳暁生(おおとり あきお)
声:小杉十郎太(劇場版では及川光博)
学園の理事長代行にして、アンシーの兄。学園理事長の娘・香苗と婚約し、鳳家の養子となっている。理事長が病気で臥せっているため代行を務めている(後にこれは暁生の策略の一環であった事が判明する)。黒薔薇会編で初登場するが、正式に登場したのは25話からである。天に近い星(暁の明星。詳しくは用語を参照)の名前を持つ。
ディオスの剣を委ねる決闘劇を仕組んだ「世界の果て」の正体であり、ディオス(王子様)の現在の姿である。いつからデュエリスト達が鳳学園に集まるように仕向け、学園を実質的に支配していたのかは不明。また決闘劇だけでなく、物語中盤の黒薔薇会による決闘を仕組んだ黒幕でもある。当初は自分の後継者を望んでいたが、物語の後半で西園寺とウテナの二度目の決闘を観戦していた際に決闘の途中でディオスの剣が消失し、直後アンシーがウテナの体からディオスの剣を取り出すところを目撃。その後計画を変更して「王子様」に近い力を持つデュエリストの剣を用いて王子様の力を復活させようと企み、そのために自らウテナに近付き、彼女と恋愛関係に発展するという行動に出る。
最終的にウテナからディオスの剣を奪うことには成功したものの、薔薇の門を開こうとするも途中で剣が折れたため、目的を果たす事は出来なかった。それでもなお決闘に執着し、新たなルールの下で再び決闘を行おうとしていたが、生徒会のメンバーからはその申し出を断られアンシーが暁生に別れを告げる場面で、暁生の机に生徒会のメンバーに送った手紙と思われる手紙が封を切られていない状態で置かれている描写がある。、更にはウテナがアンシーの意識革命を起こした事にも気付いておらず、最終的にアンシーに見限られることとなった。ひなげしの花が好き。ウェーブのかかった長い銀髪(漫画版では黒髪)に緑の瞳、褐色の肌。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は薄紫。武器はディオスの剣に似た黒いサーベル。
「理想=ディオスの剣」を失った王子様(ディオス)の「成れの果て」であり、「理想」に代わり「野望」を追い求めるディオスの対極的存在となっている。「野望」のためには手段・犠牲をいとわず(例:鳳親子を篭絡して理事長の権力を手に入れる)、学園で最高の地位と権力を有している。それを象徴するように学園内で最も高い場所に理事長室(プラネタリウムの部屋)を置いている。
漫画版では「王子様の成れの果て」という設定は共通しているが、こちらでは「王子様」の体の中に宿っていた二つの意識の片割れである「闇のディオス」という設定になっている。アンシー同様人間ではないことを仄めかしている。かつてもう一つの意識である「光のディオス」と対立、彼を倒して「世界の果て」となった。最後はウテナとの決闘で彼女と相討ちになり、新たな光のディオスとなったウテナと一つになって消滅する。
彼の決闘に当てられた名前は「革命(revolution)」。
劇場版ではテレビ版・漫画版と違い短髪になっているほか、体つきも痩身。妹であるアンシーに密かに思いを寄せ、彼女を眠らせては密かに抱いていたが、ある時アンシーが自分を「王子様」として見ていたことを知り、それによって外の世界へ出るための「車の鍵」を失くして錯乱し、自殺してしまう。それ以降は冬芽同様「死んだ王子様」として登場し、アンシーを支配し続けていた。物語終盤でウテナとアンシーが「外の世界」へ脱出しようとした際に巨大な車と化した城と共にアンシーの前に立ちはだかり、アンシーを永遠に縛り続けて二人の脱出を阻もうとしたが、彼の幻影は二人に撃破され消滅した。
漫画版「アドゥレセンス黙示録」ではウテナとアンシーが「外の世界」へ脱出しようとした際に二人を決闘広場に閉じ込め、無数の薔薇を操ってウテナを生き埋めにしようとし、アンシーの前に幻影となって現れ二人が外の世界へ出るのを阻もうとするが、最後はアンシーの意志によって幻影を撃破され消滅した。
なお、当初の予定では「ガラスの仮面」の「紫の薔薇の人」をイメージしており、ウテナを影から見守るさわやかなキャラであった。しかし小杉の演技でキャラクターの性格が変更され、ストーリーにすら影響を与えた(暁生編からはそれが顕著である)。これは冬芽を演じていた子安の演技が黒く立っていたために、小杉がそれ以上にキャラを立たせようと黒めの演技をしたことによるもの。
ディオス
声:結城比呂
決闘の際、どちらか一方の決闘者に舞い降り無敵の力を与える存在。
その正体は鳳暁生の過去の姿であり、世界のお姫様を救おうとした「王子様」。かつて人々の願いを叶えすぎたために傷つき、妹のアンシーによって封印された。そのため現在では幼いウテナに語ったように無力な存在となってしまった。幼いウテナの元に現れて「薔薇の花嫁」を見せており、その時彼女に「薔薇の刻印」の指輪を贈った。元々彼が持っていたとされる「ディオスの剣」は、実は彼自身の「理想」が形になったもの。
漫画版ではかつて「王子様」の体の中に宿っていた二つの意識の片割れである「光のディオス」という設定で登場する。「闇のディオス(後の鳳暁生)」と対立するも彼に敗れ、ディオスの剣に姿を変えてアンシーの中に宿った。

黒薔薇会関係者

御影草時(みかげ そうじ)
声:緑川光
高等部3年の生徒で、御影ゼミ(通称黒薔薇会)を主宰する天才。自らもデュエリストの一人だが、根室記念館へ面会にやってきた悩める生徒(サブキャラクター)たちの心の闇に「深く、もっと深く」とカウンセリングのような形式で入り込み、心の闇を解放させ、「あなたは世界を革命するしかないでしょう。あなたの進む道は用意してあります」と囁き(もともとこの言葉は鳳暁生が根室教授に語ったことに由来)、黒薔薇のデュエリストに仕立て上げてデュエリストたちの決闘に介入した。
実は肉体・精神年齢共に、数十年に渡って成長が停止している。かつては「根室教授」と呼ばれ、100人の少年たちと、学園主催の「永遠」を手に入れるための研究を行っていた。しかし100人の少年たちと根室の関係は、根室は「純粋にビジネスのため」、少年たちは裏で根室に「電子計算機」とあだ名を付け天才・根室が淡々と利用されていることに由来。その様な人間であることは本人も認めている。、「世界の果て」との契約の証である「薔薇の刻印」を飾り「世界の果て」との契約がどのような物なのかは作中では明かされていない。、研究成果つまりは「永遠」を手に入れるためにお互いを利用しあっていたにすぎなかった。後に理事会から派遣されてきた監察官・千唾時子に心を奪われ、不治の病を持つ彼女の弟・馬宮に「永遠」を与えるために無関心だった研究に取り組むようになり、やがて研究を完成させて「城」を出現させることに成功した。しかしその後理事長・鳳暁生と時子がキスしている所を目撃したことがきっかけで「永遠」に対する執着を失い、「世界の果て」と契約。その後馬宮の言葉に背中を押され、根室記念館に火を放って草時はウテナと決闘するまでこのことを忘れており、火を放ったのは、時子と暁生の関係を知り「永遠」に興味を失った自分の背中を押そうとした馬宮だと思い込んでいた。100人の少年たちを殺害、彼らを「推進燃料」にして研究を進めるが、それも「世界の果て」に利用されることになった。
ウテナを初めて見たときに、彼女に時子の面影を感じ、彼女を「ウテナ」とも「時子」とも呼ぶが、後者で呼ばれたウテナには当然何のことなのかさっぱりだった。ウテナとの出会いを、時子の再来と考えて彼女を御影ゼミへ勧誘。ウテナは入会へ無関心だったが、自身にでも自身の友達にでも困ったことがあったら相談に乗るという言葉に誘われ、根室記念館を訪れる。だがエントランスホールに飾られていた黒薔薇のデュエリストの写真を見て御影が暁生の婚約者・香苗や親友の若葉をはじめとする黒薔薇のデュエリスト達を操っていたことを知り「やっと帰ってきましたね」「僕を捨てたこと、後悔しなくていいんです」と、彼女を受け入れる姿勢の御影を殴り倒し、左腕を締め上げ、薔薇の刻印を持つことを確認すると決闘を挑んだ(勝利者が参加者に決闘を挑むのは、アニメ版ではこの件が最初で最後)。そして告白昇降室で、自分は根室教授と呼ばれていたときから前に進んでいない、時子を倒さねば、自分は前に進めないと馬宮に告白、「世界の果てに咲き誇る薔薇、僕に」と宣言し、決闘に赴いた。最後はウテナとの決闘の最中に机の上に置かれていた写真を見て馬宮の本当の姿と根室記念館が焼け落ちた事件の真相を思い出し、ウテナに敗北したあと暁生によって「卒業」させられた。
「御影草時」という名前は根室記念館が焼け落ちた後に自らつけた偽名。ピンクの髪に茶色の瞳髪がピンク(=ウテナの髪と同じ色)なのは草時と馬宮の関係がウテナとアンシーの関係と対にされているからだと思われる。。根室教授時代は紫のレンズの眼鏡をかけていたが、現在はかけていない。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は黒。決闘の際机の上に置かれていた物はモノクロ調の時子と馬宮の写真(この写真は草時が馬宮の本当の姿を思い出すきっかけになる)。因みに同じ写真のカラー版は御影の回想の千唾家にあった。
彼の決闘に当てられた名前は「自覚(conscience)」。
漫画版では番外編である「黒バラの刻印」に登場、ウテナに決闘広場ではなく根室記念館で決闘を挑むが、馬宮が死亡していることを思い出して敗北。その瞬間に根室記念館が崩れ始めたが、御影は脱出せず生死不明となる。
劇場版に御影草時と黒薔薇会は登場しないが、下降するエレベーターの中での対話を通して心の奥底へ「降りていく」、そして本音へ「到着する」演出は再現されている。クライマックスでアンシーたちの脱出を阻止しようとする棺桶車(ベルゼブルカー)の大群は黒薔薇のデュエリストたちのメタファーとも言える。
千唾馬宮(ちだ まみや)
声:川村万梨阿
御影のパートナー。中性的な容姿の少年。御影を「先輩」と呼ぶ。不治の病を患っており、余命は幾ばくもない。姉の時子(後述)は馬宮に「永遠」という寿命を与えるために、「永遠」を生み出す研究の監察官として根室に会いに鳳学園を訪れた。口では「永遠なんて無い」と言うが、本心は永遠を欲している。当時も今も根室(御影)の良い理解者であった。後に根室が暁生と時子との関係を知って「永遠」への執着を失った際、「永遠が欲しい」と発言御影の回想より。しかしこの台詞を口にする場面では馬宮の口元は花束に隠されており、本当にこのようなことを言ったのかどうかはわからないようになっている。この回想の場面は、御影が自分の罪を馬宮に転嫁するための幻想とも受け取れる。、根室記念館を放火して100人の少年を殺し、根室の背中を押す。
現在では、御影ゼミの地下にのみ登場し、草時以外の人間と会話する機会は無かった(ただし第14話では香苗に一方的に話し掛けるシーンがある)。草時は黒薔薇の決闘を通してアンシーを手に入れた上で彼女を殺し、馬宮を新たな「薔薇の花嫁」(黒薔薇の花嫁)に仕立て上げようと目論んでいた。数十年前に根室記念館に放火した犯人とされているが、これは御影の幻想で、真犯人が御影自身であったことが黒薔薇編ラストで明かされる。銀髪に緑の瞳・褐色の肌という容姿で、容貌がアンシーやディオスに似ている。
実はこの馬宮(銀髪・緑の瞳、褐色肌で、黒薔薇編終盤まで視聴者が観ることになる姿)は世界の果て(鳳暁生)が草時を利用するべくアンシーに演じさせていた偽の馬宮で(アンシーの一人二役。容姿がアンシーやディオスに似ていたのも、黒薔薇編のアンシーがたまに転寝するのもこのため。)、本物の馬宮(こちらは千唾時子の弟で、顔もアンシーが演じていた馬宮とはまったく異なり、黒い髪でそばかすがある素朴な少年である)は既に亡くなっていた。この偽者の馬宮が、御影が自分の記憶に幻想(100人の少年(=自分以外の決闘者)は死に、自分が馬宮に永遠を与え、現在も彼が生きている)を抱けた理由である。草時は馬宮が死んでいることを忘却しており、時子への未練で馬宮を側においていたが、ウテナとの決闘の際にようやく馬宮の本当の姿と根室記念館に放火したのは馬宮ではなく自分だったことを思い出した。
千唾時子(ちだ ときこ)
声:日高のり子
千唾馬宮の姉。かつて根室教授(御影草時)の元に理事会から監察官として派遣されるが、後に余命幾ばくも無い弟・馬宮のために「永遠」を手に入れる研究に参加した。根室教授に思いを寄せられていたが、彼女自身は鳳暁生と親密な関係となっていた。やがて根室記念館が焼け落ちた事件がきっかけとなり、根室教授の下を去って行った(この事件のとき時子は根室記念館が放火された現場におり、その際に「馬宮君が火を放った」と発言した根室の頬を叩く描写がある)。
花が散ることを嫌い、「永遠」を生み出す研究の当時は、彼女宅の薔薇は散る前に砂糖漬けやドライフラワーにされていたが、現在の鳳学園で暁生に再会したときは「実を結ぶために花は散る」と発言した。
御影は時子が自分の下を去った後も時子を強く想っていたようで、後に時子と似ている女性を自らの秘書にし、彼女に髪を時子と同じショートヘアにすることを強いていた。
第22話で馬宮の墓参りのついでに鳳学園を訪れるが、その際彼女とすれ違った御影は彼女が時子であることに気づかなかった。その後時子は根室教授(御影)が今も年を取らずに鳳学園に居座っているのだと気づき、暁生に「何か間違っている」と話した。
草時や暁生と同年輩であるが、再び鳳学園を訪れた時は彼らよりも年齢が上になっていた。このことは、現実における時の流れから隔離された鳳学園の不自然さを強調するものとなった。

その他の人物

篠原若葉(しのはら わかば)
声:今井由香
ウテナの親友でクラスメイト。中等部二年。憧れていた西園寺に出した手紙が、ウテナが決闘ゲームに巻き込まれる発端となった。明るく人懐っこい性格で、好きな人には尽くすタイプ。
第20話では、退学処分にされた西園寺を匿う形で同居生活が始まり、密やかな幸せを得るが、御影の策略によって破局。黒薔薇会編での決闘に参加することになり、親友・ウテナと戦うことになってしまうが、彼女に敗北した事で救われた。ラストでは別の女子生徒に追いかけられる立場になった。
黒薔薇会編での決闘の際の武器は西園寺の体から取り出した黒い日本刀。決闘の際机の上に置かれていた物は木の葉の形の髪飾り(西園寺が若葉に贈ろうとしていたもの)。実はウテナがディオスの剣を抜かずに戦った唯一の相手である。
彼女の決闘に当てられた名前は「限界(limite)」。
漫画版では香苗の役割を兼任。TV版ではアンシーとは普通に話していたが、こちらでは彼女の異様なキャラに嫌悪感を催した。
劇場版では転校生であるウテナに学校の案内をするが、それ以降はフェードアウトする。終盤でウテナとアンシーを助ける樹璃たちの乗るジープに「WAKABA」のロゴと若葉マークがつけられているが、このジープが車に変身した若葉かどうかは不明。ラスト近くの場面では、達也らしき少年と一緒にいる若葉らしき少女が登場する。
風見達也(かざみ たつや)
声:置鮎龍太郎
若葉の幼馴染み。中等部2年Dクラス。小学校のときの同級生でもある若葉からは「玉ねぎ王子」と呼ばれる。第19話に登場、若葉のことが好きで、彼女のそばにいるために、その親友のウテナにラブレターを渡す。ウテナの助言により達也は若葉に想いを告げようとするが、若葉には意中の人(=寮に居候させている西園寺)が他にいると知り、悩みを相談しに根室記念館を訪れる。しかし御影に「良い人」であるが故、進む道はここにはないと、黒薔薇のデュエリストとなることなく解放される。
後の話で、他に恋人ができたらしいが、相手とキスをするときに、それがファーストキスであると告げるとフられてしまったらしい。
劇場版では若葉のボーイフレンドという設定であるが、劇中では後ろ姿しか見えない。
高槻枝織(たかつき しおり)
声:西原久美子
樹璃の幼馴染み。高等部一年。漫画版には登場しない。大人しく繊細なように見える外見とは裏腹に、図太く屈折した性格。御影からは花を腐らせる毒虫呼ばわりされていた。幼い頃の口癖は「奇跡を信じて想いは届くと」だが、本人は言葉の意味を理解していない。「一緒に育ったような」幼馴染みである樹璃に対して劣等感から愛憎入り混じったコンプレックスを持っており、彼女が自分に庇護的かつ優しく接するのは見下され馬鹿にされているからと被害妄想を抱いていた。樹璃と自分の関係を「光と影」と表現する。中等部までは鳳学園に在籍していたが転校、その後学園に戻ってくる。黒薔薇会編での決闘の際の武器は樹璃の体から取り出した黒いエペ。決闘の際机の上に置かれていた物は止まり木に停まった文鳥。鳳暁生編における「花嫁」の時のドレスの色は赤紫。設定によると身長は幹と同じ。
かつて樹璃の思い人である(と彼女の思い込んでいた)フェンシング部の少年を手に入れたのは、樹璃に対する劣等感から逃れるためのものだった。黒薔薇会の一件(第17話より)で再転入後、かつてのような樹璃との交友関係を取り戻そうと接近し拒絶されるが、草時の策略によって樹璃の愛を知り、精神的優位に立てると喜びながらも受け入れることができないことに悩む。第28話、第29話では、樹璃の師である土谷瑠果を誘惑するが、それは瑠果による「樹璃のための略奪」であり、用が済んだら(皮肉にもかつて彼女自身がそうしたように)一方的に振られ、ますます樹璃に対するコンプレックスを増す事になった。最終話では樹璃が部長を務めるフェンシング部に入部、やっと正面から対峙して正々堂々剣を交えることができた。
彼女の決闘に当てられた名前は「嫉妬(jalousis)」。
劇場版では七実や梢の役割を兼任、「私の“王子様”を死なせた」樹璃を赦さず、一生“王子様”の代役を務めさせ続けようとして冬芽や樹璃の近辺にて暗躍する。終盤で棺桶を模した黒い車に変身して“外の世界”に出ようとするウテナとアンシーを追い、二人が“外の世界”へ出るのを妨害しようとしたが、最後は防音壁に激突して大破する。
土谷瑠果(つちや るか)
声:佐々木望
フェンシング部の本来の部長で、有栖川樹璃の師。生徒会メンバー。不治の病により入院し長期間休学していたが、余命尽きる直前に第28話で復学。高等部2年の冬芽や西園寺より1つ年上なのだが、その休学により進級できず、彼等と同じく高等部2年生として過ごしている。復学後は隠れデュエリストとして謎めいた行動で樹璃を誘導、彼女を二度目の決闘に駆り立てる。しばしの後に再び入院生活へ戻り、ひっそりと息を引き取った。
復学後のある日の部活動で、自分のロッカーに寄り添う枝織を見て、「休学中、毎日ロッカーの中の自分の剣を磨いてくれたのは君だったのか」と枝織に問い、肯定した彼女と交際を始める。その後、暁生のスポーツカーで枝織を誘い、決闘に立ち会わせる。決闘では、勝利に無欲な素振りと、ウテナの力量を測るような戦いをした末、ウテナの勝利を祈るアンシーを見て「なるほど」と呟き敗北。その際、瑠果は枝織が敗北の理由だと転嫁し、ロッカーに入っていた剣は自分のものではなかったと告げ、「君の演技面白かったよ、アドリブにしては上出来だった」と言い破局した。
枝織を執拗に傷付けるように見える蛮行も、樹璃を決闘へと駆り立てる謀略も、全ては樹璃への恋慕ゆえに彼女の心を枝織への想いから解放するため行ったことだった。後にその願いは叶えられたが、彼の想いが樹璃に届く事はなかった。
樹璃から決闘(薔薇の花嫁を争わない、一般名詞の方)を受けたときは、枝織を「自分に舞い降りた奇跡が誰かの犠牲の上に成り立っているとわからない愚か者」で、(樹璃への恋路を祈る自分、枝織への恋路を祈る樹璃ではなく)彼女のような人間ばかりが奇跡を手にするのだから理不尽だと思わないかと樹璃に問いかけている。この決闘で瑠果は勝利を収め、「樹璃が勝利した場合、瑠果は枝織とよりを戻す。瑠果が勝利した場合、樹璃は彼の言いなりになる。」という条件に従って、樹璃は瑠果からの、2回目の決闘を挑むという指示を受け入れた。
瑠果と樹璃の名前を合わせると、「瑠璃」になり、瑠果の髪の色である。樹璃の2回目の決闘と瑠果の死が示唆される第29話のサブタイトルは「空より淡き瑠璃色の」である。
彼の決闘に当てられた名前は「友情(amitie)」。
幾原と高取英の対談で、高取から「髪型が監督の幾原邦彦と似ている」と言われた幾原は「自分に似せろと言ったのかもしれない。」と返した。
青い髪に青い瞳で、前髪に水色のメッシュを入れている。鳳暁生編でのウテナとの決闘では枝織を「花嫁」とし、彼女に自身の「心の剣」を抜いてもらい戦った。決闘の際に胸に挿す薔薇の色は水色。
漫画版では番外編「深き瑠璃色の影」に登場。こちらでは枝織は登場しないので、誰と交際する訳でもない。桐生冬芽とは親友に近い良き理解者の関係にある。樹璃と両想いではあるが、樹璃に直接その想いを告げることは遂になかった。こちらでは息を引き取ったことが明確ではない。
薫梢(かおる こずえ)
声:本多知恵子
薫幹の双子の妹。13歳。中等部一年。幼い頃に幹と並んで弾いていたピアノの音色が周囲から絶賛され、幹もその思い出をとても大切にしているが、現在の仲はよくない。黒薔薇会編での決闘の際の武器は幹の体から取り出した黒い剣。決闘の際机の上に置かれていた物はミルクセーキだったが、決闘の途中にアンシーが幾つか飲んでしまった。毛先が外にはねた青い髪に青い瞳。鳳暁生編における「花嫁」の時のドレスの色は青。
実際は彼女自身にはピアノの才能は無かった(梢曰く、自分が適当に弾いていても幹が勝手にフォローしてくれていたとのこと)。幹に対し非常に屈折した愛情を抱いており、幹の心が常に自分の事で傷ついているように、自分自身を傷つけて(具体的には幹の嫌がるような相手を彼氏にするなど)幹に見せつける毎日を送っていた(今で言う、ヤンデレ)。また、幹になれなれしく接していた幹のピアノの先生を階段から突き落とすなどということもやっている(梢いわく「幹を汚すやつは絶対に許さない」)。
親と不仲らしく、手紙が来ても(全寮制なので別居している)、見ずに捨ててしまう程(曰く「親