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島根の弁護士/あおきてつお

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著者: あおきてつお
巻数: 13巻

あおきてつおの新刊
島根の弁護士の新刊

最新刊『島根の弁護士 v.13



twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

GrandeRoma1927 島根の弁護士と言う懐かしい漫画を読んでますね

島根の弁護士』(しまねのべんごし)は、ビジネスジャンプ・2004年から2008年16号(7月16日発売)で連載されていた漫画作品。

原作/香川まさひと(1~66話)漫画版では66話で降板している(降板の理由は不明)。67話以降は作画のあおきてつおが原作も担当。・あおきてつお(67話~)、作画/あおきてつお、シナリオ協力/春木修、協力/島根県弁護士会。

概要

弁護士の数、僅か26人2004年連載当初の時点で、島根県弁護士会に所属する弁護士は、僅か26人であった。その後は、県弁護士会の地道な努力により、2007年4月時点で36人にまで増えている。ドラマ内では、山崎水穂が37人目という設定になっている。。日本の都道府県で最も弁護士の数が少ないと言われるその島根県に、主人公山崎水穂は27人目の新米弁護士として赴任した。司法試験の勉強しかしてこなかったその彼女が、様々な訴訟事件に対し真摯に向かいあう姿を描く。

本作は基本的に一話完結のスタイルを採っている。ごくありふれた弁護士もの作品ではあるが、巷によくあるサスペンスものでもなければ、ミステリーものでもない。一つ一つの事件は大きなものではないのかもしれないけれど、その事件の裏にある人間模様は非常に深い。本作の魅力は、事件ではなく人間模様を深く掘り下げ、それを通じて山崎水穂が大きく成長していく姿を描く点にある。

何事にも一生懸命取り組み、傍から見れば「お人好し」と思われながらも、「人を信じる」ということを信条に弁護活動に取り組んできた水穂。そんな水穂の一生懸命な姿を見て、ボスの秋田は水穂を独立させようと考えるようになる。そんな矢先、尼子卓郎の死、また松江市で放火事件が発生する…。水穂は、その事件の被告の国選弁護を引き受けることに。だがその事件、水穂は被告から思いがけない事実を告げられ、一転被告の無罪を勝ち取ろうとする。母・秀子との共同弁護という援軍を得た水穂は、果たして無罪を勝ち取れるのか…?

登場人物

山崎水穂(やまざき みずほ)
主人公。新米弁護士。
高校生の時、友人の父親の裁判を傍聴したことがきっかけで弁護士を目指す。島根県には縁もゆかりもなかったが、小泉八雲の愛好家であり「八雲が好き」という理由(それに加え、弁護士の少なさを放っておけないという思い)から、赴任先として島根県を選んだ。
赴任前は父と実家で二人暮らしをしていたが、赴任後は「石塚石材店」の2階に下宿している。後に炎樹から「半次郎」という子犬を譲り受け、飼っている。
幼い頃は文学少女で、八雲の愛好家になったのも、実家の本棚にあった八雲の小説を読んだのがきっかけ。また酒と甘いものが好物で、特に酒に関してはなかなかの酒豪である。ちなみにDはあると噂されるほどの隠れ巨乳でもある。
秋田良市(あきた りょういち)
弁護士。水穂が勤務する「秋田法律事務所」の所長で、通称「ボス」。水穂に対しては基本的に優しいが、時に厳しく突き放すことも。
元々は東京で弁護士活動をしていたが、妻の臨終を看取ってやれなかったことを後悔し、妻の故郷・松江市に移り住んだ。そこで法律事務所を開き現在に至るが、地方都市の悲しさか収入はそれほど多くなく、事務所の経営には苦労している模様。
桜井秀子(さくらい ひでこ)
松江にある小料理屋「虫の音」の女将で、水穂の実の母。検事だった過去を持つが、「20年以上前の事件」の後に職を辞し、松江で「虫の音」を営みながら暮らしてきた。
娘・水穂とは偶然再会を果たし、その後、水穂が弁護士であることを知って、敢えて自ら母であると名乗り出た。そして水穂が松江に来て半年ほど過ぎた頃、「虫の音」を畳んで松江を離れ、広島県弁護士会所属の弁護士として法曹界に復帰する。現在は広島市のマンションに住み、市内に「桜井法律事務所」を構えている。「虫の音」時代も弁護士となってからも和服を着ており、広島では美人の和服敏腕弁護士として評判になっている。
「20年以上前の事件」とは、今から遡ること25年前の検事時代に担当した、㈱MN薬品と東京Y病院が起こした医療事故が深く絡んでいる。製薬会社と病院が新薬開発を焦って無謀な臨床試験を繰り返した結果、副作用で多数の被害者が出たという事件であり、秀子は検事として真相を徹底究明しようと動き出したのだった。ただそれは結果的に、事件の当事者(に仕立て上げられてしまった)であり、かつては恋仲でもあった東京Y病院の勤務医・尼子卓郎を訴えることにもなってしまった…。これをきっかけに、炎樹の実家である尼子家からは「魔性の女」と恐れられるようになった。
水穂には、春雄と別れた理由、家を出た理由、「20年以上前のある事件」など、自ら進んで語ろうとはしなかった。また、春雄にも口止めしていた。ただ、家族を捨てたこと、幸せを捨てたことは全て「自らが選んだ贖罪の道」である、と炎樹には語っていた。
弁護士となったのは、生活費を稼ぐという理由もあるが、「お人好し」の水穂に対して「お前の性格では弁護士は務まらない、だから自分が弁護士の厳しさを教え、弁護士を辞めさせよう」という気持ちがあったからである。しかしそれでも立派に一人前の弁護士として成長している水穂の姿を見て、自分が弁護士を辞めることを決める。
山崎春雄(やまざき はるお)
水穂の父。横浜市で「理容ヤマザキ」を営む。
元妻・秀子とは、彼女が検事だった時に知り合う。ある雨の日、裁判の帰りに傘も差さず(半ば放心状態で)店の前を歩いていた秀子に春雄がタオルを差し出したのが、両者の出会いとなった。その際、秀子に頼まれて彼女の髪を切ったが、それ以降、たびたび秀子が店に客として顔を出すようになる。秀子は髪を切ってもらった礼として毎回店に本を残していき、いつしか理容ヤマザキは「本屋のような床屋」になってしまった(六法全書など法律関係の書物が多く目立っているのもそのためである)。
その後、「20年以上前の事件」を受けて「贖罪の道を選んだ」秀子に理解を示し離婚する。それ以降、水穂に対しては、ずっと「母は亡くなった」と言い聞かせていた(尤も水穂は戸籍謄本を見たことで「母が生存していること」は知っていた)。
石塚道雄(いしづか みちお)
水穂が下宿する「石塚石材店」の跡取り息子。水穂に好意を持ち、何かと世話を焼くようになる。
炎樹卓也(えんじゅ たくや)
自称、ビジネスコンサルタント(具体的に何をしているかは不明)。年齢は30代後半。法律を敵にとるような態度を示す。
秀子と深い係わりを持ち、彼女の娘である水穂に対しても興味を抱いている。
本名は尼子卓也(あまご たくや)。実家である尼子家は松江では有名な旧家(本作ではそういう設定)で、片山という年を召した使用人がいる。
父親は「20年以上前のある事件」の後に起こった"不幸な出来事"を秀子のせいだと今でも思い込んでおり、そんな父親を許せないでいる。その後、父親から勘当され、炎樹卓也と名乗るようになった。
秀子と知り合ったのは、秀子が春雄と離婚し松江にやってきた直後であり、それは自身が中学生になったばかりの頃でもあった。その後は地元の私立八岐高等学校に進学。水穂には、国護町の介護施設で撮られた、自身と秀子が写っている写真を「自身が秀子さんと知り合ったきっかけのヒント」として渡した。そのように秀子とは付き合いが長く、また互いに信頼し合っているため、秀子に頼まれ、客のフリして春雄の店に入ったこともある。
法律を敵にとるような態度を示すようになったのは、やはり「20年以上前のある事件」がきっかけである。それは秀子のせいじゃないと信じており、また秀子にもそれをずっと言い聞かせてきた。だがそれでも秀子は「贖罪」に拘ったことから、「人を不幸にするための法律は馬鹿らしい」と考えるようになった。
秀子に対しては、ずっと幸せになってほしい、また十分すぎるほど贖罪をしてきた、と考えている。そんな秀子を自分自身は救ってやることができず、もどかしい気持ちになっている。ただ、娘である水穂なら救えるかもしれないと考え、「秀子さんを救ってやって欲しい、救えるのはお前だけだ」と水穂に頭を下げた。
木川礼子(きがわ れいこ)
秋田法律事務所の事務員。水穂より少し年長。
早野玉枝(はやの たまえ)
秋田法律事務所の事務員。ひき逃げ事故を起こして被害者を死亡させた(ただし故意ではない)ことから実刑判決を受けて服役した過去を持つ。この時に弁護を担当したのが秋田であり、その縁で出所後は秋田の下で働くことに。後に秋田からプロポーズを受け、結婚した。
虎門和彦(とらかど かずひこ)
松江地方検察庁所属の検事。被疑者の起訴をめぐり水穂と事あるごとに対立する。
島津茜(しまず あかね)
島根県弁護士会所属の(本作における)28人目の弁護士。つまり水穂の次の弁護士であり、水穂の着任から半年後に島根県に着任した。地元松江市の出身。
水穂とは対照的に理論派で情緒は不要と考えており、水穂をライバル視している。秀子に憧れており、胸に付けていた弁護士バッジを秀子に付け直してもらった時は非常に喜んでいた。
秋田真央(あきた まお)
秋田の一人娘で、大学3年生。母の臨終の際も仕事をしていた父を疎ましく思っており、それがきっかけで弁護士を嫌うようになった。
小生意気な性格だが、友達思いでもあり、友達の母の手術費用を工面しようと、自分の母親の形見である指輪を質屋に入れたこともある。その返済代金を稼ぐため、水穂の紹介により秋田法律事務所で事務員のアルバイトを始めることに。
尼子卓郎(あまご たくろう)
秀子のかつての恋人。小泉八雲のファンであり、学生時代、大学の図書館で八雲の本を手にしようとした時、偶然同じく八雲の本を取ろうとした秀子と知り合い、交際を始める。
秀子とは一時期将来を約束しあったほどの仲であったが、後に秀子は司法修習生、卓郎は研修医となり、互いに多忙ですれ違いが増えたことから、それぞれが別々の人生を歩むことを選択する。
その後、二人は残酷な再会を果たす。卓郎自身は無実であったにも拘らず、当時勤務していた大学病院と製薬会社にハメられ、「20年以上前のある事件」の当事者に仕立て上げられて容疑者扱いされてしまう。この時秀子は検事として事件の徹底究明に全力を注いでおり、かつての恋仲であった卓郎に対し、私情を捨てて容赦なく取り調べあげたのであった。
事件がマスコミに興味本位で取り上げられるようになってから自宅近辺が騒がしくなり、身重だった妻はノイローゼになり流産してしまう。その治療のため夫婦でマイカーで病院へ向かっていたある日、山道の途中で妻が「死なせて」と発狂しだし、無理矢理ハンドル操作を誤らせて車ごと崖に転落、妻は即死、卓郎は重度の障害を負ってしまうという"不幸な出来事"が起こる。
その後卓郎は濡れ衣であったことは晴らせたものの、障害者となってしまった事実は変わらなかった。不正を見抜けず、全くの無実である卓郎に罪を着せようとした秀子は、その変わり果てた卓郎を見て、深い自責の念にかられ、「自らは幸せになってはいけない」と考えるようになった。そして秀子は幸せを捨て、家族を捨て、卓郎の目の前で「贖罪として、一生卓郎の世話をする」と誓ったのだった。
それから秀子は、国護町の介護施設で卓也とともに卓郎の世話をしながら、小料理屋の女将として生きていったのだった。ただ、介護施設が閉鎖されたことから、秀子は生計を立てるため広島市で弁護士として再出発し、また自宅マンションで介護ヘルパーとともに卓郎の世話を続けていたのであった。
卓郎自身は、秀子とともに広島に越した頃には頭髪は全て無くなり、首から下が完全に不随で寝たきりの状態となっていた。それから間もなく秀子に看取られながら死去(炎樹も秀子から卓郎が危篤状態になったことを知らされ、急いで広島に駆けつけるも、卓郎の臨終には間に合わなかった)。

テレビドラマ

2007年7月14日に仲間由紀恵主演のテレビドラマとして『土曜プレミアム』枠(21:00~23:10)で放送された。仲間由紀恵はこのドラマで初の弁護士役に挑戦した。

撮影は4月17日から約20日間、この漫画の舞台である島根でオールロケを敢行。ロケ中は地元マスコミでも取り上げられるなど、大きな話題を呼んだ。
視聴率は9.6%と、仲間由紀恵主演ドラマとしては低調に終わったが、舞台となった山陰地区での視聴率は高かった。
エキストラとして、松江フィルムコミッションの他、地元の劇団である劇団あしぶえ、劇団Yプロジェクト、演劇集団きらめき弾などからも参加・協力があった。また、山陰中央テレビジョン放送からもアナウンサーである山根収がエキストラとして参加した。

原作との変更点

  • 連載開始当初以降、島根県弁護士会所属弁護士の数は着実に増えたため、実情に合わせて「2007年春赴任、37人目」に変更。
  • 秋田法律事務所の事務員である「玉枝」は「絹代」に、検事は「虎門」ではなく「田尻」に、など登場人物の名称に一部変更がある。

キャスト

  • 山崎水穂 - 仲間由紀恵
  • 秋田良市 - 香川照之
  • 石塚道雄 - 八嶋智人
  • 石塚陽子 - 梶芽衣子
  • 絹代 - 鷲尾真知子
  • 礼子 - 眞野裕子
  • 田尻 - 益岡徹
  • 山崎春雄 - 竹中直人
  • 桜井秀子 - 樋口可南子

スタッフ

  • 脚本:十川誠志
  • 演出:林徹
  • 音楽:上田益
  • プロデュース:保原賢一郎(フジテレビ)・西岡善信(映像京都)

その他

  • 仲間由紀恵と香川照之は功名が辻でも共演している。

注釈

外部リンク