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度胸星/山田芳裕

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著者: 山田芳裕
巻数: 4巻

山田芳裕の新刊
度胸星の新刊

最新刊『度胸星 4


出版社: 講談社
シリーズ: モーニングKCDX


度胸星の既刊

名前発売年月
度胸星 1 2007-11
度胸星 2 2007-12
度胸星 3 2008-01
度胸星 4 2008-02

度胸星』(どきょうぼし)は2000年に週刊ヤングサンデーで連載されていた山田芳裕の漫画作品。全4巻。

ストーリー

1969年のアポロ計画からおよそ50余年、人類はついに火星に到達したのである。NASA(アメリカ航空宇宙局)による第4惑星への計画(エンターフォー)は順調と思われた。しかしその矢先、突如として火星と地球の交信が途絶えてしまう。計画を推し量っていたアメリカは、火星に取り残されたと思われる4人のクルーを救出するため、全世界から新たにクルーの募集を始める。そして日本ではNASDA(宇宙開発事業団)が全国にクルー候補生を募り、トラック運転手である三河度胸が仲間と供に厳しい選抜試験を切り抜けていく。一方、火星ではたった一人生き残った宇宙飛行士、スチュアートが事故の発端となった正体不明の物体「テセラック」に壮絶な戦いを挑む。

登場人物

クルー候補生

三河度胸(みかわ どきょう)
主人公。21歳。トラック運転手の父と母、妹を持つ。父親の死後、大学を中退して家族の手伝いをしていた。
生真面目な性格で嘘と暴力を極端に嫌い、自分の「度胸」という名前も嫌っている。死んだ父親のことを好きでは無いが、火星に行きたいという父親の願いだけは叶えてやりたいと言う強い意志を持っている。
筑前智(ちくぜん さとる)
香港出身の21歳。スチュアートの本を読んだことがきっかけで宇宙飛行士に志願。口八丁と要領の良さが最大の武器である。選抜試験開始当初は金がなく、筑波の森でテント生活をしていた。度胸とは親友になる。
市原茶々(いちはら ちゃちゃ)
人の心を読む能力のある女性。オーストラリア出身。自分の名前と能力を嫌っている。生物の住んでいない場所に行きたいという願望から、選抜試験に志願した。
石田友助(いしだ ゆうすけ)
中学校を卒業したばかりの15歳。色々なことを簡単にこなしてしまい、無感動な性格。救出クルーへの応募の動機は「こっちのほうがおもしろそうだったから」「ほかにおもしろそうなことないから」。
武田勇(たけだ いさむ)
ヤクザの若頭。23歳。自分が選抜試験で生き残るためには暴力を振るってでもライバルを蹴落とそうとする。度胸とペアを組む無重力環境訓練の事故を通じて度胸のもつ「クソ度胸」を認め、暴力に頼ろうとする考えも少しずつ変わっていく。
坂井輪利宏(さかいわ としひろ)
物理学者。超ひも理論研究のエキスパート。体力的な面では他の候補生達に劣るものの、サバイバル訓練では妻の光子と共に経験豊富な知恵を披露する。ブロンソン飛行士とはアメリカの大学の研究室時代の学者仲間。
坂井輪光子(さかいわ みつこ)
坂井輪利宏の妻。夫婦で共に選抜試験に応募し、候補生となった。

クルー候補生と関連のある人物

三河愛嬌(みかわ あき)
度胸の妹。高校生。兄の度胸とは正反対で気が強く、未成年ながら煙草を吸ったりと不良っぽい。母親の手伝いをするために無免許でトラックの運転をしたりと問題を起こすこともしばしば。
三河四郎(みかわ しろう)
度胸の父親でトラックの運転手。交通事故にて死去。喧嘩早い性格で暴力沙汰に家族を巻き込むことも多かった。火星に行きたいと言う夢をいつも幼い度胸に言い聞かせていた、度胸の人生に最も影響を与えている人物。
三河しのぶ
度胸の母親で四郎の妻。夫の死後、トラックの運転手として度胸や愛嬌の手を借りながら家族を支えて来た。度胸の夢を陰ながらに見守っている。

NASA由来の人物

スチュアート
宇宙飛行士。人類初の火星着陸クルーの一人。火星着陸直後にテセラックに遭遇、仲間の3名のクルーもろとも着陸船を破壊され、一人でテセラックの正体を探り戦いを挑む。地球にいた頃は腕っぷしの強さで有名で、タックルでブラッドレー飛行士のアバラを折ったこともある。
ブラッドレー
宇宙飛行士。救出隊の隊長を務める。日本の候補生の選抜のため来日する。スチュアートとは親友。
ブロンソン
宇宙飛行士。救出隊の一員で元科学者。ブラッドレーと共に来日する。
ハリコフ
宇宙飛行士。ロシア出身。救出クルーのメンバーだったが、打ち上げ2日前に突然辞退を申し出る。
女司令官
火星探査計画において、プロジェクトの指揮を受け持つ女司令官。豪腕として知られる。

その他

大統領(ダン・オブライエン)
黒人のアメリカ合衆国大統領。国民の生活水準の底上げを目的とした第4惑星への計画(エンターフォー)を推進している。しかしそれにかかる莫大な費用が国の財政を圧迫し、多くの反感を買う。山田芳裕の別作品「デカスロン」に登場する主人公のライバルが十種競技(陸上競技の一種)界から現役引退し、後に政界進出・大統領に選出されたという設定とされている。
教官
部下思いのNASDAの鬼教官。危険な状況の訓練でブラッドレーたちが訓練中止を進言しても、候補生たちを心から信頼しているため自分が責任を取ると言い訓練続行を宣言する。
週刊誌「実話セブン」の記者。NASAやロシアの宇宙機関の取材を主に行っており、非公開の機密情報も手に入れる。

テセラック

人類初の火星着陸クルーのスチュアート飛行士の目前に突如現れた、立体の影を持つ謎の物体。乗員もろとも瞬時に着陸船を破壊し、火星周回軌道を飛ぶ母船のスキアパレッリ2号もいとも簡単に破壊する。一方でスチュアートが砂嵐に遭い崖から転落した時はスチュアートを救い出した。人間にとっては離れた場所に存在する物体を破壊したり、人間の身体や着陸船を裏返したりできる。スチュアートの考察によるとテセラックには距離という概念が存在せず、人類が知る事のできる3次元ではない高次元の存在であるとされる。当初は立体の十字架型をしていたが、二度目にスチュアートの前に現れた際、二重の立方体のような形状(実際には全ての辺の長さは等しく、全ての角は直角)の超立方体へと変化する。

打ち切り問題

ヤングサンデー誌の編集長交代による方針転換等、様々な事情のため打ち切りとなった。その後、いくつかの出版社から作者に続編執筆の依頼はあったが、連載中のファンレターは数通だけで手ごたえを感じられなかった、等の理由で意欲が無いとして断っている(「映画秘宝」22号、作者のインタビューより)。