HOME > コミック > 怪物王女

怪物王女/光永康則

共有

著者: 光永康則
巻数: 18巻

光永康則の新刊
怪物王女の新刊

最新刊『怪物王女 18


出版社: 講談社
シリーズ: シリウスKC


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

AoriTakumi 【怪物王女(12) (シリウスコミックス)】を読んだ本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/4063762238
okurachang_RX さて今からガーデニア聴きながら怪物王女の新刊読んで、九時になったら踊る大捜査線見よう。なにこの非リア充生活(>_<)

怪物王女の既刊

名前発売年月
怪物王女 1 2006-01
怪物王女 2 2006-05
怪物王女 3 2006-12
怪物王女 4 2007-04
怪物王女 5 2007-08
怪物王女 6 2007-12
怪物王女 7 2008-05
怪物王女 8 2008-11
怪物王女 9 2009-05
怪物王女 10 2009-11
怪物王女 11 2010-02
怪物王女 12 2010-07
怪物王女 13 2010-12
怪物王女 14 2011-03
怪物王女 15 2011-06
怪物王女 16 2011-10
怪物王女 17 2012-02
怪物王女 18 2012-06

怪物王女』(かいぶつおうじょ、Princess Resurrection)は、光永康則による日本の漫画作品。及び、それを原作として制作されたTVアニメ。

作品概要

『月刊少年シリウス』(講談社)において、2005年8月号から連載中。

バイオレンスとヒロイック要素を軸に、時にコメディの側面を含むホラー漫画。

怪物達を統べる王族の一人「姫」の冒険と戦いの日々、その中で変化していく主人公の少年「ヒロ」の姫に対する想いを絡めながら物語が進行していく。初期はヒロの視点を中心として描かれることが多かったが、物語が進行するにつれて三人称で描かれることが多くなる。また、連載初期は各話読み切りのスタイルを取っていたが、現在ではおおむね単行本1巻分のボリュームで進行する話も現れている。

奇譚語りに加えて激しい暴力描写や古典的ホラー作品(古今東西新旧の映画作品も含む)を意識した舞台設定・作劇・演出が特徴である。本作に登場する怪物の設定は、多くが古典的ホラー・映画作品における通俗的な設定をそのまま適用し、現代風にアレンジしている。また、時折、同一ジャンルのホラー作品からの引用やそれに基づいたパロディが用いられる。

藤子不二雄による作品『怪物くん』を強く意識した世界・キャラクター設定を持つが、現代の作品らしく、時に意味もなく無辜の人々に対する虐殺や大量殺戮が行われるといった不条理なストーリー展開もよく用いられる。

各回のサブタイトルは「○○王女」と必ず「王女」の言葉が含まれる(例えば○○には「蘇生」「破壊」など、その回のストーリーを示唆する二字熟語が入る)。

テレビアニメが2007年4月から9月にかけTBSほかにて放送された。

2010年冬には新作アニメ (OVA) が発表予定。

あらすじ

不慮の事故で死亡した平凡な中学生の少年・日和見日郎ヒロ)は、現場に居合わせた少女「」によって仮初めの命を与えられ蘇生した。しかし、それが原因で凄惨な戦いに巻き込まれることとなる。姫は「怪物」を統べる王族の王女であり、兄弟姉妹達の王位争いの渦中にいたからだ。

「血の戦士」として王女に仕える立場となったヒロは、姫の命を狙って次々と現われる怪物達や、姫と敵対する者達との戦いを続ける中で、次第に姫の隠れた素顔とその境遇、そして不可思議な世界の姿を知っていく。

登場人物

姫とその周囲の人物

姫の屋敷に住む人物

thumb|200px|笹鳴町のモデルである浜松市。後方にあるのはシャーウッド姫が台風とモールス信号で会談したタワーのモデル

姫(ひめ)
本作のヒロイン。やや細めの身体と長いストレートの金髪を、ボンデージ素材を連想させるロンググローブ、タイトドレス、オーバーニーブーツ、頭にはティアラという黒ずくめのゴシック・ファッションで包んだ美少女。本名をリリアーヌというが、この名を嫌い誰にも呼ばせようとしない。
全ての怪物の上に君臨する王の娘であり、第2王女。年齢は17歳光永康則「回帰王女」『怪物王女』9巻、講談社、2009年5月22日、179頁。。兄弟達の骨肉相食む王位継承権争いの渦中にいる。
気心強く・誇り高く常に堂々とした態度を崩さず、本心を下々に晒すのを良しとしない気高い気質。危機に及んでは極めて好戦的な一面を見せるが、通常時は争いごとを好まず読書や紅茶を楽しむ生活を送っている。人(怪物)の死や不幸に対しては理解と憐憫の情を持ち、それに触れると寂しそうな表情を見せる。理知深く、他者の苦しみや悲しみを理解でき、度量が大きい。だが一時の感情によって大局を見誤ることはなく、それ故、冷徹かつ残酷な行動を取らざるを得ないこともしばしである。知略・策謀にかけては天才的であるが、それはあくまでも防御のためにのみ用いており、自ら悪用は決してしない潔癖さを備えている。
武器はレイピアから銃、モーニングスターにチェーンソーまで幅広く使いこなす上、臨機応変にその場にある道具を武器にして戦うなど技量も高いが、身体能力は人間と大して変わらない(前述の武器を両手別で使ってみせるなど、技量のみが人間離れしている)。
戦闘時の移動は大型トラックのいすゞ・ギガ当初は「ISUZU」と実名のメーカーロゴのエンブレムが描かれていたが途中から「IZUZU」という架空のメーカーロゴになっている、プライベートの移動には高級車のジャガーMK.2 3.8リッターモデル27話「激突王女」内でJAGUAR 3.8 MK.2というエンブレムが確認できると使い分けているが、自分では運転せず、主にフランドル、たまにリザが運転している。
静岡県原作の救急車の車体に「静岡県」との表記が見える。笹鳴町(ささなきちょう)に住んでおり、丘の上にある大きな屋敷で暮らしている。なお、笹鳴町のモデルは静岡県浜松市中区佐鳴台とされている光永康則原作、月刊少年シリウス編集部監修『怪物王女 OFFICIAL FANBOOK』講談社、2007年8月23日、64頁。
ヒロを蘇生させた主人であり、彼女の死は血の戦士であるヒロの死にほぼ等しい(一応は、他の王族から血を貰う事で生き延びられる)。
作中での過去の経緯や表現から王国の庶民や人々からは広く愛されていると思われるが、彼女自身は「王座になど興味はない」と宣言している。人間界に居を構えた理由や、かつての親衛隊「血の騎士団」が全滅した経緯など、本作中で徐々に説明はされているが、その詳細は依然、謎に包まれている。
前述のとおりかつて親衛隊を全滅させられており、物語開始時の手勢は寂しいものだったが、その性格や能力を評価する者達が集まって現在は人狼・吸血鬼・神族を含む兄弟姉妹間でも稀に見る重厚な布陣を敷いている。
日和見 日郎(ひよりみ ひろ)
通称:ヒロ。笹鳴学園に通う中学2年生の少年。フランドルの曳く荷車とワゴン車の衝突事故の巻き添えにより(アニメ版では建設中のビルから落下していく鉄柱の下に立っていた姫を守ろうとして下敷きになり)死亡するが、「良い死体だ」と見込まれた姫に生き血を与えられて(アニメ版では命の炎を吹き込まれて)蘇生した。その夜の狼男との遭遇戦で、姫の見込み通り身を挺して彼女を守り、その資質を認められ、改めて「血の契約」により姫の下僕かつ血の戦士となった。
お人好しで、困っている人を見捨てておけない。転校初日にいじめの標的にされるなど気弱で奥手な性格。時にトラブルメーカーとなり、結局は姫などの手を煩わせる一面があるが、仲間の危機にはその身を挺してでも守るといった強さも見せる。その人柄から、姫を始めリザ、令裡やシャーウッドに信頼されていく。当初は困惑の中で血の戦士として、姫を守る戦いに巻き込まれていたが、姫の人となりを知るにつれ、彼女への想いを深めて自発的に姫を守る行動を取るようになり、姫との生き血で繋がった絆を、日々深めている。
シャーウッド曰く、最強の血の戦士に成り得る素質があるらしい(本人の素質によるものなのか、それとも別の理由によるものなのかは未だ不明)。戦闘においては、もともと武芸の心得がないので基本的に体当たりや身代わりが中心であったが、慣れてくるに従い獲物として斧をよく使用している。姫が危機に晒されると血の戦士として覚醒し、そうなるとまさに「怪物化」して、勇敢かつ献身的に「姫を護るため」にのみ行動するようになる。
フランドル
姫の第一の家来である人造人間。メイド服を着た童女の姿をしており、無敵に近い防御力と怪力を持つが、動きは鈍い。大木を武器として振り回すことが多い。「ふが」以外の言葉は発せないが、その言葉にも複雑な意味があるようで、王族や他の人造人間とは会話が成立している。自重は推定数トン。動力は電気であり、充電式。1か月あたりの消費電力は日本の一般家庭の電気代に換算して30万円弱とのことである。人造人間として最も小型化に成功した王国科学技術の粋を集めたボディである。しかし、そのために機能が制限されている面もあり、最も基本的な家政婦としての仕事、情報機器の操作や自動車の運転はこなせるものの、他の人造人間に見られる特殊能力は備えていない。時々見当外れな行動を取っては、姫に叱責されることもある。ずっと呆けたような表情であるが、感情がないわけではなく、その勤めの必要上、そのようにしているだけの様子である。ちなみに充電時には鼻提灯を出したりする。
アニメ版の番外編では暴走して、怒りなどの感情を見せている。番外編で明かされたが取扱説明書が存在するらしい。
紗和々(さわわ)
ヒロの姉。原作では姓が明言されたことはないが、オフィシャルファンブックでは「日和見」と表記されており光永康則原作、月刊少年シリウス編集部監修『怪物王女 OFFICIAL FANBOOK』講談社、2007年8月23日、44頁。、アニメ版第1話では「日和見」と名乗っている。姫の屋敷で住み込み家政婦として働いており、料理の腕は姫も認める一級品。屋敷が怪物に襲われても全く気付かず眠り続けるなど、その図太い神経と酷くズレた性格は、数々の騒動の後も姫の正体やヒロの身体の異常に一切の疑問を持たないほど。男が誰しも振り向く巨乳の持ち主であり、驚いたときなど彼女の胸が揺れる際は小さく「ぽよん」「ぽよ…」などの擬音語が用いられる。
怪物の存在に気付いていないという設定上、住み込みにもかかわらず作中に登場しないことが多い。しかし、アニメ版では出番が増えている。
パフェが好物で、アニメ版では商店街の喫茶店でパフェを食べているシーンがよく見られる。
リザ・ワイルドマン
人狼族の戦士で、狼男であるヴォルグ・ワイルドマンを父に、人間を母に持つ半分人間(ハーフブリード)の少女。軽いクセのあるショートヘアとヘソ出しTシャツが特徴。兄を姫に謀殺されたという誤解から姫を襲うが、後に事情を知り和解。真犯人である王族を探すため、姫の元に身を寄せている。
混血の人狼であるため肘から先までしか変身できないが、戦闘能力は同族の中でもかなり高い。狼の耳は普段は髪の毛に隠れている。単純で粗暴な面もあるが、誇り高く純粋な性格をしており、犬扱いはご法度。ヒロの優しい性根を好んで四六時中遊び相手に付き合わせている一方、姫からは格好のからかい対象として扱われている。令裡とは天敵同士ということもあって反りが合わず、顔を合わせると罵詈雑言の応酬をしていたが、キニスキーとの戦いで共に行動してからは関係に変化が見られるようになった。
人狼の血ゆえか、バイクやジェットスキーなど、スピード感のある乗り物を好む。自称「笹鳴峠最速」。ハーフとはいえ人狼の例に漏れず、満月の夜には身体能力が格段に上がるが、逆に月食の夜は格段に戦闘能力が低下する。
嘉村 令裡(かむら れいり)
純血種の誇り高き吸血鬼の少女。年齢は不明。ヒロが通う笹鳴学園の高等部に属し、美貌と上品な物腰から学園のアイドル的存在である。長い黒髪と特別あつらえの黒いセーラー服がトレードマーク。学園の少女達から「令裡さま」と慕われる立場を気に入っている。一般的な吸血鬼一族としての弱点を踏襲しており、日光に弱い身体を押して通学しているが、それが祟って突然倒れてしまうことも。“儀式”と称し、自分を好いている女子から血を貰っては糧としている。また、古の作品に倣ってトマトジュースを飲んでいる場面も見られる。原作では黒い下着を着用しており、それが見えてしまうシーンが多いが、アニメ版ではどんな時でも見えてしまわないような修正描写が施されている。
かつて吸血鬼としての高い能力を活かし、策略を持って姫の生き血を狙うも失敗。その時、大胆かつ豪放そして慈悲深い行動によって自らを破った姫には一目置いており、共闘も辞さないようになった。元々同族間でも孤高を好んでいたが、行きがかり上、キニスキーと敵対したことにより理不尽にも吸血鬼の社会から追放される立場となってからは、住み処を失くしたために姫の屋敷に居候する。ヒロのことはからかい半分ではあるが、その純粋さを気に入ってもいる。当初はリザと反目していたが、次第に仲が深まりつつある。ちなみに、口にする血にはこだわりがあるようで、処女の血にしか興味がないようである。元来、非情で冷酷な性質をもつ吸血鬼でありながら、ツェペリ殺害の件をキニスキーに問い詰めようとしたり、学園の生徒を守るために神族に戦いを挑むなど、優しい一面も持つ。
戦闘力はかなり高く、それは本編中でリザが牢獄で受けた災厄で証明される事になる。また、飛行能力を生かした諜報や探索をすることが多い。『決戦王女』にてギリアムがソード・ビーイングで切りつけた際、脚で防御し剣の動きを止めるなど、吸血鬼の回復能力の高さを生かした戦い方なども見せる。
南久阿(なくあ)
神族。日本各地に古くから土着し、その地域に住む人間たちから生け贄や供物を受ける代わりにその土地を鎮守する、いわゆる土地神、産土神。見た目は黒髪ロングヘアーの少女。山野に隠れて生息していたが、生息地を追われて笹鳴学園に落ち延びてきた。校舎内に自らの領域を作り上げ、配下の大蜘蛛を操って夜に校舎に立ち入る生徒を捕食し始めた。それが姫達に知られるところとなり、その行為について姫は黙認するものの、南久阿の行為を良しとしない、元々学園をテリトリーとする令裡とリザに征伐されることとなったが、かろうじて生き延びた。その報復に捨て身の戦法で姫一派を別荘ごと二千年前の世界に封じ込め、神罰と宣言する。しかしフランドルの機転によってその居所を曝かれ、姫に対して生命の危機を与えた罪から、姫のチェーンソーの前に斃れる。
この戦いの末に力の大半を失うも消滅まではせず、ひっそりと土地神の仕事を続けていた様子で、邪神族が街を襲う事件において姫と共闘し、その戦いの後に姫の館の敷地内に彼女を祀る祠が建てられた。それ以来、屋敷の中で気ままに姿を見せる。姫に敗北して以降は生贄を求めず、祠へのお供えを力の元としている。

シャーウッド一派

シャーウッド
王族の一員で、姫の妹に当たる第3王女。黒いドレスを纏った金髪の可愛らしい童女。食人植物「トリフィド」(同名の肉食植物とは設定が異なる)を自在に操り、その能力で姫の命を狙うが、力及ばず敗れ、兄弟姉妹との凄惨かつ無情な闘いに失望して、せめて姫の傍でと、潔く自らその命を絶とうとするが、その場に居合わせたヒロに助けられる。元々、姫に対しては敵意や嫌悪感を持っていなかったため、和解に至り、同盟関係を築くに至った。
その後は姫の屋敷とは反対側の丘の上にある屋敷に居を構え、機に応じて姫の元を訪れては何度か姫を危機から救っている。本作中で現在の所、唯一健常な姉妹らしい姉妹関係を築いている。
誇り高い性格で理知的であるが、まだ幼さは抜け切っていない。初登場時に自身を「末の王女」と言っていることから、第4王女以降は存在しないものと考えられる。自ら具体的な戦闘はまだ行っていないが、自ら戦闘するよりも後方で戦闘を指揮する策士タイプと思われる。
文字通り命を懸けて自分を救ってくれたヒロにはすっかり気を許しており、数回、自身の血を与えており、自称「血の戦士第一号」と思っているところがある。姫とは違って血は足から与える。
フランシスカ
シャーウッドに仕える人造人間。常にメイド服を着用し、眼鏡を掛けた女性の姿形をしている。フランドルの姉妹機であり能力的にもほぼ同等だが、高度なプログラムにより指弾を操り、格闘技術にも長けている。フランドルよりも後に製造されたためか、知性面でもフランドルより優れているらしく、全てにおいて未熟な主人を的確にフォローすることもしばしば。ただし「ふが」としか喋れず、エネルギーが切れると鼻提灯が出るといった点は、フランドルと変わらない。
劉劉(りゅうりゅう)
シャーウッドに仕える血の戦士のパンダ。笹鳴動物園で遊具から転落死したところを、シャーウッドの血によって蘇生した(アニメ版ではフランシスカに生きた状態で連れ出された上に、ツェペリの来襲時にも死亡せず、そのまま生き残って家来となった)。血の戦士としての力が発現すると体毛が白色になるため、発現時の姿はシロクマのような外見になる。攻撃方法はいかにも動物らしく単純な打撃で、かなり荒々しい。同じく笹鳴動物園に居たパンダの関関(かんかん)張張(ちょうちょう)とは義兄弟。関関と張張が血の戦士かどうかは不明だが、この2匹も劉劉と共にシャーウッドの屋敷に住むことになる。

エミール一派

エミール
王族の一員で、姫の兄に当たるが、何番目の王子かは不明現在順位が確定している王子は、デュケーン(第1王子)・サリエリ(第3王子)・セブラン(第5王子)であり、またギリアムがエミールの兄であることから、エミールの順位は第4王子又は第6王子以下と考えられる。。装飾的なシャツを着た高貴な面立ちの青年。下馬評によると王座の継承者として最も有望視されており、それゆえ命を真っ先に狙われている。
表だってそれを露わにすることはないが、姫同様、心に信じる何かを持っており、自らの命を賭けてでも義に応じた行動を見せることがある。
睨みつけた相手を念力で攻撃することができ、このような異能力を持つのは、王族の兄弟の中でも彼一人のみである。念力の効果範囲は本人の周囲15mであり、断片的に未来が見えることもあるようである。『激突王女』におけるキザイアのセリフによると、『秘境王女』でギリアムと戦ったことで負傷したようである。
その後『特急王女』にて修理されたフランダースGを運ぶために王国と人間界を結ぶ定期列車に乗っていたところを、ギリアムに襲撃される。『決戦王女』でギリアムにフランダースGを破壊され、メガ粒子列車砲を自身が乗っている列車に突撃させられるも、列車と姫一派及び偶然乗り込んでしまった人間を守るため、渾身の念力でメガ粒子列車砲を反転させ、爆発させる。だがその代償で命に関わる程の重傷を負った。
キザイア・ボルド
エミールに仕える人狼族の戦士。顔を縦に走る4本の傷と葉巻が特徴。リザと同様に自動車全般の運転が得意と思われ、6代目フォード・マスタングに乗っている。リザの父ヴォルグとはかつての戦友であり、憎まれ口は多いが、義を重んじ誇りを忘れない好漢。心底からエミールに忠誠を捧げている。自分の危機を知らせるために一度命を落とした人魚を大事に思っており、普段はガーディアンとしての役割をエミールより仰せつかっている様子。戦士としての伎倆は、同族のリザよりも高みにある。父親の名はカダリア・ボルド。
フランダース
エミールに仕える人造人間。フランドルらと異なり、人間の数倍もある巨大な体躯と「執事型ロボット」と形容するべき機械的な外見を持つ。発せられる声はやはり「フガ」だけ。巨大怪物との戦闘でボディが損傷した際にメモリーだけ残してフランドル並みの大きさのボディになった事がある。その後フランダースGとして両目から強力なビームが出せるように改造された(他にも改造されている部分がある可能性もある)が、移送中にその飛びぬけた戦闘能力を危惧したギリアムによって破壊される(小型ボディとメモリーは無事であった様子である)その後ギリアムによって頭部のみが修復され、姫殺害計画の片棒を担がされるも、計画が失敗に終わった後は姫とシャーウッドによって完全に破壊された。
人魚(にんぎょ)
本名不詳。幽霊船に囚われていたがエミールの命を受けたキザイアと姫一派によって解放され、エミールに保護された王族は希少怪物の調査と保護を伝統的なフィールドワークとしており、エミールが人魚を保護したのもその一環。人魚族の童女。笛の音で船舶を呼び寄せる能力を持っている。魔術師によって人間の足を持つ姿にされ、引き換えに声を発すると死ぬ呪いを掛けられている。キザイアに危機を知らせようと声を発した事によってその命脈を絶たれるが、エミールの生き血を得て彼の血の戦士となった。幽霊船から開放された後も呪い自体は解けていない。
スレッジ
「決闘王女」や「秘境王女」等でエミール一行に加わっている有翼の男。彼の血の戦士だと思われるが詳細は不明。キザイアとは仲が悪いらしく「ワン公」「トリ目野郎」と言い争っていた。鳥族だけに鳥目なので暗視ゴーグルが無いと周りが見えなくなってしまうらしい。彼もまた、心底エミールに忠誠を捧げている。
アニメ版には登場しておらず、名前が明かされたのも初登場からかなり後になった。

姫と敵対する者達

シルヴィア一派

アニメ化の時点で原作には登場していたが、姫との直接的な対決はしていなかったためかアニメ版では登場しない。

シルヴィア
王族の一員で、姫の姉に当たる第1王女。ただ一人白いドレスを纏い、頭には王冠を被る。非常に豊満なスタイルの持ち主で、紗和々を超えるほどの巨乳。戦闘シーンなど、動きが激しい場合はかなりの乳揺れが見られる。キニスキーとは何らかの経緯で関係を持ち、最後には殺害をもくろむが、ちょっとしたミスで己の血を与えてしまい、復活したキニスキーによって捕らえられ、革紐と眼帯とボールギャグでSMチックに拘束された上、脇に蛇口を取り付けられて血を搾取されていた。キニスキーが姫を呪殺せんと夢中になるあまり、つい見せた隙に乗じて、フランセットとミカサにより救出され、その功労によってミカサに血を与える。
劇中の描写では姫と最も関わりの深い家族であるらしく、二人の間での出来事を回想するエピソードが多い。ただしそれらは姫を魔法で一晩屋敷に閉じ込めて弄んだり、姫が自分の為に精一杯作った曲を彼女に捧げた際「ありがとう」「とっても嬉しいわ」と褒める一方で、「その曲は未完成である」「私のしなやかな美しさへの表現が充分でない」「まだまだこんな地点が姫の作曲能力の最終到達点である筈はない」といった内容の発言をして幼い姫を怯えさせるなど、姫への歪んだ愛情を窺わせるものしかない。姫に「外面的には王者らしい戦いを望み、謀殺するなら決して自分が疑われぬようにやる」と評価されている通り、穏やかで優しく気品にあふれた外見の陰に、深い狂気と底知れぬ冷酷さを持ち合わせている。
ただし、兄弟姉妹間でも姫を高く評価しており、未だに姫の動向を最も気にかけている。また、幼い頃の姫に様々な心の傷を植え付けていた一方で、彼女の人格形成には大きな影響を与えているらしく、二人は所々似た形質を持っている。己の血の戦士に対する処遇は姫とは一見かなり異なる様子であるが、ある意味では非常に似た待遇であるとも言え、また吸血鬼を自陣に置いている(キニスキーを切り捨てた後、わざわざツェペリを仲間に迎え入れている)など、全体的に姫と似た布陣を敷いている。
フランセット
シルヴィアに仕える人造人間。フランドルの姉妹機で、メイド服の成人女性の姿。黒目がちな瞳が特徴。破損した左前腕部の代わりに、武器として巨大なドリルを取り付けている(姫曰く「何種かアタッチメントを用意した」とのことなので、ドリル以外にも幾つかあると思われる)。姫に一度は助けられたものの、再び放浪の中でスクラップ同然になったところを蠅男に助けられ、主であるシルヴィア救出後は再び主人と行動を共にしている。
ミカサ
セブランに仕えていた血の戦士だが、彼の死後はシルヴィアの血の戦士として延命する。黒髪のロングヘアーの寡黙な少女。過去にセブランに殺されて血の戦士となった。正真正銘の人間だが、兵器生物として創られた寄生生物を頭部に宿しており、高い戦闘能力を持つ。足に病気を患った妹がいる。
セブランの元では虐待に近い扱いを受けていたが、妹を養う為に大人しく従う以外の選択肢がなかった。シルヴィアの傘下に入ってからも同じようにサディスティックな主人に仕えている事は変わらないものの、以前よりは遥かに良い待遇に変わっている。
キニスキー
公爵の爵位を持つ吸血鬼。荒々しい長髪と整えられた髭の怪人物。王国の辺境に城を構えており「人狼殺しのキニスキー」の二つ名を持つ。王国の王座を狙っており、王族の一人であるシルヴィアを捕らえて居城に監禁したが、リザと令裡によって妨害された。自身はツェペリに重傷を負わせておきながら、「同胞に刃を向けた罪」と称して令裡を吸血鬼社会から追放した張本人でもある。
キニスキー自身は王族の血を賞味しているとして虚勢を張ってはいたものの、シルヴィアの項にある通り実はシルヴィアによって一度殺害されたが偶然によって復活しただけであり、彼女が救出され保護されてしまったため、王族からの血の補給が不可能になり死亡した。ただし彼は生まれ付きの不死の存在である純血の吸血鬼であり、本当に二度と蘇生が不可能な状態であるのかどうかは明らかにされていない。
キニスキーがお払い箱になった後にもシルヴィアはツェペリを自陣に迎え入れているなど、吸血鬼を味方にする事に関して彼女なりに何かの理由がある事をうかがわせている。
魔術師
『呪殺王女』等に登場。素性や目的、名前などは不明。頭部が蛇のような姿をしている。人魚に呪いをかけた張本人。怨霊を集め、魔導パイプオルガンによる姫の呪殺を目論むキニスキーに協力したこともあるが、再び行方を眩ませた。その後、『箱入王女』にてシルヴィアの仲間として登場。姫の屋敷を迷路化し暗殺を目論むが返り討ちにあい死亡する。
所持していた魔導書は現在シルヴィアが所持している。ちなみに所持していた魔導書や残して行った魔方陣などはクトゥルフ神話がモチーフに使われている。

ツェペリ一派

ツェペリ
純血の吸血鬼の一人で、浅黒い肌と銀髪・顎髭を持つ優男。吸血鬼の根城である笹鳴総合病院の主。自らは前線に立たず暗躍する道を好み、姫を狙い様々な策謀を巡らす。
同族の令裡とはある程度は協調関係にあったが、彼も恐れるキニスキーを令裡が敵に回して以来、吸血鬼社会の決定に従い令裡と敵対する。しかし、『旋律王女』において彼自身も自分なりの方法でキニスキーと戦っていることを明かし、令裡への義理を忘れたわけではないと発言する。シルヴィアを利用しようとする蝿男と何らかの密約を交わしているようで、シルヴィアに病院裏手の笹鳴霊園を貸し、蝿男の死者再生の実験を黙認した。
吸血鬼らしく狡猾かつ残忍で、自己陶酔的な戦略を用いて相手をおとしめるのを好む。
アニメ版では手下の蛹田との掛け合いシーンが多いせいか、原作より小悪党的に描写されているものの、数々の事件の首謀者として存在感を高めている。
蛹田 方正(さなぎだ ほうせい)
笹鳴総合病院の院長であり、ツェペリの部下でもある人間の男性。2度目にヒロが笹鳴総合病院へ運ばれたときに、そこで再びヒロが生き返ったことを知るや否や「デッドマンウォーキング」と呼んで生体研究しようとするが、姫とフランドルに阻止されて焼死する。後に笹鳴霊園の死者再生事件にてゾンビ化して再登場するが、フランドルによって爆死させられる。
血の戦士の存在を知らされていなかったことから、ツェペリには軽んじられていたようだが、ゾンビ化した際に知能を保っていたことやその後のシルヴィアの発言によれば、生前に下層吸血鬼化されていたようである。
アニメ版では焼死せずに生き残ったので原作より出番が多くなり、ことあるごとにツェペリを「マイ・マスター」と呼んで崇拝している。ツェペリと対等の口を訊く令裡が気に入らないが、令裡からは相手にされていない。
シエル
人造人間。見た目は長身の男性。「ふが」としか話せないフランドルらと違い、普通に会話が可能。また、フランドルの言葉も理解できる。3年前までは王国のデューテリウム鉱山で働く鉱夫だった彼は、そこを逃げ出して目にした海に感動し、自由に生きたいと願う。そして、町を歩いていた時に偶然フランドルと出会い、姫の屋敷で故障箇所の修理をして貰うも、実はツェペリの手で10時間前(アニメ版では10日前)に作られたばかりの存在で、作られてから27年が経過したという過去の記憶も作られたものであった。ツェペリに仕組まれたプログラムが作動し姫をさらおうとするが、シャーウッドとフランシスカにより阻止される。その後で真実を知らされた彼は、フランドルに修理用部品を提供した後、ツェペリの元へ復讐に赴き自爆する。
蠅男
蠅頭人身の科学者。己が開発した生物兵器を姫に売り込もうとして、彼女を屋敷の地下に作った迷路に閉じ込めるが失敗する。ミカサに宿る寄生生物も彼が開発したものである。王室のテクノロジーに対して少なからずコンプレックスを抱いている様子である。キニスキーの死亡後は、シルヴィアの財力に目をつけてツェペリと手を組み、利用しようと目論んでいる。シルヴィアの魔導書から死者再生の秘薬「トライオキシン」を開発した。
アニメ版では登場しない。

セブラン一派

セブラン
王族の一員で、姫の兄に当たる第5王子。眼光鋭い金髪の美青年。小心者で卑劣漢だが、肩に王のマントを模した黒いコートをぞんざいに羽織っており、威勢を張るなど弱い内面を隠そうとしている。
町一帯の住人を死霊化させるなど、法に抵触する手段を選ばぬ策謀を次々に犯してでも王位奪取を狙う悪辣な野心家。故に王国を簒奪しようとする不逞の輩につけ込まれ、その跳梁跋扈を許してしまうことになる。血の戦士も、自らの手で殺し強制的に配下に加えた(本来は掟で禁じられている)ミカサしかいないという有様であった。自らの「死霊を野に放つ禁を犯した」罪を姫に着せようとして起こした裁判の結果、姫の申し出で決闘で決着をつけることとなり、その決闘に敗れて死亡する。
姫の本名「リリアーヌ」は、元々は彼が飼っていて弄んで殺してしまった猫の名前である。
フランツ
セブランに仕える人造人間。黒のスーツにボウタイを締めた執事の姿をしており、カメラのように稼働する機械的な左目とそこから走る傷痕が特徴。作中で発した声は「フガ」のみ。主であるセブランの死亡を見届けて自爆した。

ギリアム一派

ギリアム
王族の一員で、シルヴィアの弟、エミールの兄にあたる光永康則「熱砂王女」『怪物王女』8巻、講談社、2008年11月21日、200頁。が、何番目の王子かは不明。髪をオールバックにし前髪を額に垂らしている。武器としてはサーベルを愛用する。
派手な仕掛けや重厚長大な兵器を好み、悪趣味な手下と獲物を使って戦うなど、好戦的で武闘派である。しかしながら作戦がうまく行くと油断し、ここ一歩の所での詰めの甘さを露呈しやすいところがあるようだ。
『遭遇王女』にてO郡警察署で姫に不意打ちを試みたが、ヒロに阻まれて撤退。その後、エミールが修理を終えたフランダースGを列車にて移送中に、メガ粒子列車砲と血の戦士を引き連れて襲撃。姫一派の介入もあり、フランダースGを破壊することには成功したが、最終的にエミールの乗っている車両に突っ込ませようとしたメガ粒子列車砲を念力で跳ね返され、爆炎に消える。死んだかと思われたが、フランダースGを修理し姫の命を狙っていたようで、姫を屋敷ごと光子砲で吹き飛ばそうと企む。しかし協調関係にあったシルヴィアの裏切りによって、自身がその光子砲の標的となり死亡する。
フラテリス
ギリアムに仕える人造人間。変形ゴーグルを付けて、黒のスーツに蝶ネクタイを締めた筋肉質な執事の姿をしている。『遭遇王女』にてO郡警察署でキザイアやフランシスカらと闘った。王族以外の者に対しては非常に好戦的な性格を思わせる。ギリアムと共に列車移動中のエミールと姫一派を襲撃したものの、エミールに跳ね返されたメガ粒子列車砲の爆炎に消えた。
ギリアムの血の戦士。正式名称は不明。6つの目と巨大な口を持つ蜘蛛のような怪物。
ソード・ビーイング
ギリアムの所持する生きた剣にして血の戦士。たとえ折られてもギリアムの血があれば再生する。

デュケーン一派

デュケーン
王族の一員で、ギリアムなどからは長兄(第1王子)と呼ばれているが、前回の王位継承権争いでの生き残りである。マントとマスクを着用している。性格はそれほど残忍ではなく、姫との争いを無駄だと思い回避した。
戦闘においてはロボ・ワイルドマンの背後に一瞬で回り込むなど、その身体能力の高さを窺わせた。リザを人質にしてロボを姫と戦わせた張本人でもあり、リザの追う兄の敵である。
シルヴィアの考察によれば、前回の王位継承権争いの際に最後まで生き残るも、他の兄弟が生き延びていてしまったせいで王とは認められず、今回の王位継承権争いにも参加し、兄弟達へ多数の刺客を送りつけて兄弟間の憎悪をあおり、争いを活性化させる「ゲームマスター」のような役割を担っているらしい。
フラング
デュケーンに仕える人造人間。犬の形をしているが、蝶ネクタイはちゃんと着けている。他の人造人間が喋るときは「フガ」であるが、フラングは「ガ」と言う。
ドローン
デュケーンに仕える殺人マシーン。

サリエリ一派

サリエリ
王族の一員で、姫の兄に当たる第3王子。『破壊王女』において、姫がヒロに透明人間によって仕留められたと明かした兄その人である。しかしその真相は異なり、実はフランケン・シュタイン博士の館において博士の定めた掟を破り、透明人間を使い事故を装って姫を暗殺しようとした為に、博士によって制裁を加えられた結果死亡したのであった。
風貌爽やかで一見優しげだが、残忍な性格。笹鳴霊園の死者再生事件の際シルヴィアによって遺体を盗まれ蘇生するが、姿は生前とは全く異なっており、自分の名前などの記憶も一部失っているようであった。教会にて姫に襲いかかるが返り討ちにされ、最終的にデュケーンによって燃やされる。
反則的な手段を用いた事により戦いの最初期に脱落する結果となったが、蘇った際にはかなりの戦闘能力を披露しており、決して能力が低いわけではなかったようである。
フランツェル
サリエリに仕える人造人間。主の蘇生に伴って復活した。顔は包帯で覆われていて不明だが、フラテリスやフランツと同様に執事の格好をしている。

所属不明

王族や純血の吸血鬼からの刺客であると思われるものの、誰の配下かまでは不明確な者、倒された者達はここに分類する。

ロボ・ワイルドマン
リザの兄。『蘇生王女』に登場。妹思いで礼儀正しく高潔な人狼族の戦士。長らくファーストネームが不明だったが、『巨獣王女』にてキザイアより「ロボ」という名前であると判明した。
かつては姫に仕えていたが、姫の兄であるデュケーンに人質に捕られてしまったリザの命を救うため、命じられるままに主君殺しの汚名を背負う覚悟で満月の晩に姫を襲撃する。
その後トライオキシンで蘇り、デュケーンの命を奪おうとするが、攻撃を悉くかわされる。最終的にデュケーンの部下によって再度焼死させられることになる。
透明人間
『破壊王女』に登場。名前は不明。ヒロの転校初日に姫の兄弟の誰かに刺客として送り込まれた。見えざる糸(テグス)を使って姫の殺害を試みるが、ヒロによって間一髪のところで止められる。その後、姫が屋敷に火をつけたため体が火達磨になり、屋敷から出てきたところをチェーンソーで攻撃されて敗れる。
その姿は科学的なセンサー類をも欺けるほどで、さらに霊体のように自分と同じ不可視の存在を目視する事が出来る。また、自分の意思で他者に姿を認識させる事も出来るようである。
かつてサリエリが透明人間を雇い姫を暗殺させようとした事があるが、それが後に姫の屋敷に送り込まれてきた者と同一人物であったのかどうかは不明。姫はサリエリを殺した犯人を透明人間だと信じていた。
アレク・カリム・サロメ
『殺戮王女』に登場。血の戦士となった人狼族の3人組。彼らに対するリザの反応からすると、人狼が血の戦士となることは本来種族の誇りに反することであるらしい。原作では所属不明だが、アニメ版ではセブランの配下となっている。
アレ
『密室王女』に登場。特に名前は存在せず、姫からは「アレ」としか呼ばれない。蜘蛛のような脚と幾つもの眼球を持った姿の怪物で、人体に侵入しては、内側から食い破って殺していた(アニメ版では精気を吸い取って気絶させるのみ)。特別な弱点は存在せず、徹底的な「破壊」のみが対処法。原作では誰が放ったか不明だが、アニメ版ではツェペリが放ったと思わせる場面がある。
王(ファラオ)
『消耗王女』に登場。ミイラ男の軍勢を率いて姫の屋敷に攻めてきた。原作では終始無言であったが、アニメ版では普通に台詞を喋っている。また、原作では刃を仕込んだ杖で姫に挑んだが、アニメ版では単なる杖で殴りかかるだけだった。
コウモリグモ
『白黒王女』に登場。名前の通り、蝙蝠と蜘蛛を掛け合わせたかのような姿をしている。大群をなしてシャーウッドの屋敷に攻め入る。アニメ版ではツェペリがシャーウッドを襲うために放った。
偉大なる次の文明の支配者、悪夢の攻撃者
『昏睡王女』に登場した個体は夢を操り、『廃屋王女』に登場した個体は時空を操る能力を持つ。モデルはイスの偉大なる種族と思われるが、こちらはラッパ状の触手を持たない。仲間意識が強いらしく、同胞を葬った姫を種族全体の敵と認識したようである。
複製植物
『霧中王女』に登場。刺した生物の複製を作り出して、当人に成り代わるが、能力まで同一化されない。火炎が苦手の可能性がある。「アレ」同様に宇宙から隕石と共に飛来したという説がある。

その他の敵対者

その他、王族や純血の吸血鬼の配下ではないが、姫一派と敵対した者達はここに分類する。

ポセイ・どん
『交渉王女』に登場。山奥の湖で暮らす半漁人一族の一員。人間と同程度の大きさである他の半漁人達と異なり、山のように大きな体をしている。姫への不信感からリザと決闘するも敗れる。決闘後、原作では明らかに死んでいるようにしか見えない姿で倒れていたが、アニメ版ではその後も生きている上にリザに惚れている。また、名前は原作では不明だったが、アニメ版にて設定された。
首無し騎士
『疾走王女』に登場。馬に乗った騎士の姿をした怪物。笹鳴峠に出没しては、己の首を捜し求めていた。原作では鎧の中身が存在しているが、アニメでは鎧を纏った霊(つまり中身が無い)になっている。
幽霊船の怨霊
『洋上王女』に登場。巨大なサメの怨霊。取り付いている船の一室に人魚を幽閉して、船をおびき寄せては海難事故を引き起こして人の魂を喰らい続けていた。
赤錆村の覆面男
『生贄王女』に登場。ダム計画により廃村となった赤錆村において、昭和40年に発生した連続少女暴行殺人事件の犯人。車が故障したために村へ迷い込んだ姫とヒロを標的として狙った。
風貌はランニングシャツとサスペンダーを装着したズボンを着た中年太りの男で、紙袋を被って顔を隠している。凶器は草刈鎌。
アニメ版ではダム計画反対派のリーダーという設定になり、殺人の目的も計画賛成派の村人を老若男女無差別に狙っての犯行へと変更されている。また、原作より大柄に設定され、人間とは思えないほどの巨体になった。
姫やヒロに強い印象を残していたようで、後に『昏睡王女』の悪夢にて攻撃者としてその姿を利用される。
看守
『女囚王女』に登場。怪物刑務所の看守。何者かに買収され、リザとカロラインの決闘の最中のどさくさに紛れて、姫を陵辱しての暗殺をもくろむが、ラッドによって妨害され、ヒロに倒された。
カロライン・ルゴシュ
『女囚王女』に登場。怪物刑務所の女子監房の吸血鬼のリーダー。限られた数しか存在しない純血の吸血鬼だが、リザとの決闘において「お前は私が今まで戦ってきた奴の中では最強ではない」と言われ、倒された。囚人であるにもかかわらず、囚人服ではなくスーツを着用していた。これは令裡のセーラー服などと同様、蝙蝠への変身時にも変化しているので、本体と一体化しているものと考えられる。
轢き逃げ犯の怨霊
『激突王女』に登場。13年前に女性ばかりを狙った連続轢き逃げを繰り返してきた男の怨霊。魔術師の手によって怨霊化したトラックに乗り、暴走していた。
赤骨温泉郷の狐一族
『湯煙王女』に登場。赤骨温泉郷をテリトリーとした邪神族。温泉郷を結界で囲み、訪れる湯治客を飼育して、やがてそこから退去する者の魂を糧にしていた。
死神
『往生王女』に登場。いつでもドライブする時はしっかりシートベルトを着用する姫が、なぜかシートベルトを付けないでいすゞ・ギガに乗っていたところ、飛び出してきた猫を避けようと運転するフランドルが急ハンドルを切った弾みで車外に放出され、半死半生の狭間に立たされた時、姫を冥界へと策術を用いて連れて行こうとした。

その他

人間

小淵沢 望(こぶちざわ のぞみ)
ヒロの友人で、眼鏡をかけたおたくな少年。ヒロからは「ブッチー」と呼ばれている。令裡をストーカーしている際、令裡が吸血鬼だという事実を知ってしまうが、結局はその部分の記憶を令裡によって消されてしまう(後に『秘境王女』にて再びその事実を知るが、このときも記憶を消された)。ヒロに対して好意的に接しているが、ヒロに「令裡吸血鬼説」を執拗に語り、それに対して何も反論しないヒロを「否定している」と決め付けるなど、人の話を聞かない性格をしている。
シャーウッド一派のフィールドワークに記録係としてたびたび同行しているが、危機的状況においても夢中で解説を続ける、劉劉を「パンダの着ぐるみを着た男」と本気で考えているなど、周囲の状況が読めない上に思い込みの激しい一面もある。また、フランシスカに惚れているが、彼女の正体にも気づいていない。
アニメ版では令裡以外にも姫とリザと紗和々を盗撮しており、特にメイドの紗和々に興味を持つ。また、ヒロとは互いにただのクラスメイトであり、アニメでの彼の友人は吉田と村山である。さらに吸血コウモリの大群に襲われた吉田と村山を助けずに写真を撮ったり、再登場した際にも“姫達と暮らしているヒロに嫉妬して吉田と村山と共にヒロを殴ったこと”に関して謝罪しなかったりと、原作より自己中心的な性格に描かれている。
城島 親夫(じょうじま ちかお)
『死霊王女』『脱出王女』に登場。山間部の小さな街である「G県B市」で発生した、死霊の被害に巻き込まれた男性。職業は警備員。猟が趣味で、そのための銃も所持していた。姫一行や数人の生存者と共にスーパーマーケットに立て篭もっていたが、脱出の為の犠牲となってしまい、死霊化する寸前に姫の手で射殺される。
本編では名前は明かされなかったが、単行本5巻のケルベロッテちゃんの項で判明した。
アニメ版では登場しない。
マスター
紗和々がパフェを賞味している喫茶店の主人で、髭を生やしたダンディーな風貌の男性。
原作では1コマ登場するだけという背景同然の扱いだったが、アニメ版では紗和々の登場頻度増加に伴って出番を得た。紗和々と同様に物語の本筋に大きく関わることはない。紗和々に対して恋心を抱いており、パフェをおごる、割引券を大量にプレゼントする、果ては店名を「紗和々」に改名しようとするなど、回が進む度に行動はエスカレートしている。また、喫茶店の店名は原作では不明だが、アニメ版では「伊達男(ダンディー)」とされている。

怪物・その他

フランケン・シュタイン博士
王国の中立地帯に研究所を構え、そこに住んでいる王族付きの人造人間の製作者である科学者。既に肉体は滅んでしまったのか、脳髄だけが巨大な培養槽に浮かんでいる。従って移動はできないため、誰かに用があるときは出向くのではなく、相手を呼び出す。怪奇ものに登場する科学者らしく、相手が誰であろうと口調は常に尊大であり、フランダースを呼び出した際に、フランダースを連れてきた王族であるエミールを、その下僕であるフランダースのおまけだと言い放つ。キザイアの第一印象は「人の話を聞かないタイプ」。それらのことから、かなりの高齢であると思われる。
研究所内の様子、会話などはカメラ等を通してすべて把握することができ、それらを通して眼前にいない者とも会話ができる。中立地帯での自衛、警察権を持ち、地域内での殺生は誰であろうと決して許さない。ちなみに彼の眼の代わりとなっているカメラは本来は視認することができない霊魂状態となったヒロを認識できるほど高性能である様子(透明人間はさすがに無理らしい)。
ラッド
『女囚王女』に登場。怪物刑務所の監房でヒロと相部屋だった地中人で、モグラのような風貌をしている。温厚な性格をしており、ヒロとは投獄したその日に打ち解けていた。以前から姫にあこがれを抱いており、その特技を使って女子監房へ忍び込んで姫の姿を見に行こうとした際、偶然にも看守の企みを知り、ヒロとともに姫の暗殺を食い止める。その結果、出所後に姫の屋敷に正式招待される栄誉を得る。
アイダ・カヌ
『女囚王女』に登場。怪物刑務所の女子監房の人狼族のリーダー。新入りのリザを最初は半分人間として見下していたが、リザとの決闘で敗れた後に実力を認め、リザを新たなるリーダーとして、吸血鬼側リーダーのカロラインと対決させた。父親(母親の可能性もある)の名前はマハダ・カヌ。

用語

怪物
作中に登場する異形の存在達の総称。姿や能力は共に多種多様で、「王国」と呼ばれる怪物の世界に暮らすものと、人間の世界で暮らすものとがいる。世界各地の神話・伝説や、近代のホラー映画・ホラー小説などに、その由来を見出せるものが多い。
王族
全ての怪物の頂点に君臨する種族。自らの血を死者に飲ませることで、自らを守る血の戦士(後述)を生み出す能力を持つ。成人前は外見も体力も人間と殆ど変わりなく、年齢に応じて成長・老化もする。身体能力も人間を大きく上回るものではない。成人後は光り輝く巨大な不死鳥となり、完全な不老不死の存在となるとされている。
成人になるにはすでに成人した王族の祝福を受ける必要があり、人間界のように一定の年齢に達する事が成人の条件ではない。現在のところはっきりしているのは、その世代の王族が最後の一人になった時点で、その者が成人とみなされるという条件である。従って、不適切な不死者を増やすことで王国に不要な騒乱を起こさないようにするため、王族の掟に従い、ただ一つの王座を巡って姉妹兄弟間の殺し合いが行なわれているとの設定である(物語開始時で既に死亡者も出ている)。
しかしいつまでも決着がつかない場合は先祖である不死鳥の判断により、次世代の王族が生み出され、戦いは持ち越しとなるようだが、その場合現世代の者達がどうなるかは今のところ不明である。
血の戦士
王族が死人に自らの血を飲ませる行為(契約)で生み出す、「半不死身」の生命体の総称。通常なら致命傷となるような外傷を受けても死ぬことがなく、多少の傷ならすぐに回復する。また、契約した王族の危機に際しては無意識に身体能力が強化され、体毛と瞳の色が白色(瞳は王族と同じ赤の可能性もある)に変化するのが特徴。ただし、王族には自分で殺した者とは契約を結んではならないという掟がある。
不死身である一方、数日に一度は王族の血を飲まないと効力が消えて死亡してしまうという弱点を持つ。また、一度血の効果が切れてしまうと、蘇生は不可能。また、王族の血は必ずしも最初の契約者のものである必要はなく、ヒロは姫の代わりにシャーウッドから血を与えられること、姫を襲った人狼の血の戦士は彼女の血を飲むことで補給を行っていた。存命している2人以上の王族の血を飲んだ場合、基本的に最初の契約者が優先されるが、最初の契約者が死亡した場合、次に血を飲ませた王族に血の戦士としての契約が完全に移行するのかどうかは不明。
血の騎士団
かつての姫の親衛隊。ヒロの先輩に当たる血の戦士達。姫の領土がセブランによって放たれた死霊によって侵され、姫の身に危険が迫った際、血の補給を絶たれる状態となることを承知で、姫をフランドルと共に逃がすために壁となり、最後まで忠義を尽くし守り抜きながら壊滅した。その生き残りが、兄たちの陰謀によって何回か刺客として姫の元に送り込まれている。
王国
怪物の暮らす世界。具体的にどのような領域であるのかは明示されていないが、王国と人間界を隔てているのは「物理的な距離」ではないという。また、人間界と同じく月が見えるらしい。
人狼
いわゆる狼男。主に狼の上半身と特に肥大化した前腕を持つ姿で現われるが、完全な人間の姿への変身も可能。強靭で素手の戦いを得意とし、高い聴力(人間の姿の耳と別に、頭頂部に狼然とした耳が生える)と嗅覚を持ち、満月の夜には最大の力を発揮する。生命力もかなりのものであり、リザの例を見るにかなりの重傷でも大量に食料を食べることですぐに回復するようである。弱点は銀の銃弾。同胞意識が強く家名を重んじ、戦いに生きる誇り高い種族であるが、中には例外も存在する。劇中の描写から、腕を胸前で×の字に組んで自分の名を名乗った後、「偉大なる戦士○○(自分の親の名)の娘(または息子)」と続けるのが同族間での礼儀であるということが伺える。
吸血鬼とは天敵同士で、過去には種族間での殺し合いの歴史がある。リザと令裡もその例に漏れず犬猿の仲である。
人間との混血で生まれた者はハーフブリードと呼ばれ、狼の腕と耳しか発現させる事はできないが、本人の鍛え方次第で純血の人狼の戦闘力をも上回ることが可能である様子。
吸血鬼
人間と変わらぬ容姿を持ち、血液を能力の媒介とする点で王族とも類似性があるが、根本的には異種族に当たる。飛行能力や催眠術、吸血による下僕化、コウモリへの分裂や使役など様々な能力を持つ。その一方で弱点も多く、日光の下では貧血に似た症状に陥って酷く動きが鈍るほか、水も苦手としている(風呂程度なら問題は無いが、沼・川・海などを恐れ、自力では渡ることが出来ない)。また、家人に招かれたことのない家には入れないという特殊な制限も持つ。ホワイト・アッシュの杭で心臓を貫かれると多くの場合は死に至る。十字架やニンニクは嫌うが、直接的な弱点ではない。
血を吸われて吸血鬼化した者は「下層吸血鬼」とされ、能力面で純血の吸血鬼より大きく劣る。純血の吸血鬼の多くは、高い知性と優雅な物腰が特徴である。生き血を好み、特に王族の血は最上のものとして狙う者も多い。
人造人間
人を模した姿の自律機械。作中での定義は明確ではないが、王国の高度なテクノロジーによって造られたアンドロイドと考えられる。基本的に自由というものは存在しないらしく、王族付きの個体以外は王国での労働に従事しているらしい。多くは外見的に人間と変わりない(ただ