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惑星のさみだれ/水上悟志

共有

著者: 水上悟志
巻数: 全10巻

水上悟志の新刊
惑星のさみだれの新刊

最新刊『惑星のさみだれ 10


出版社: 少年画報社
シリーズ: YKコミックス


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

asadukioh RT @mangatrigger: ということで、連続ツイートとなりましたが、これが僕らの覚悟です。『スピリットサークル』も『戦国妖狐』も『放浪世界』も『惑星のさみだれ』もホントのホントにおもしろい漫画なので、ぜひともこの機会に楽しく読んでみてください! https://t.c
Marguerite_aty 【惑星のさみだれ 7 (ヤングキングコミックス)/水上 悟志】を読んだ本に追加 →http://t.co/NEdvTPvMnH #bookmeter
renn_vita 【定期POST】【好きな漫画】惑星のさみだれ、しおんの王、3月のライオン
kuronisiki さっき惑星のさみだれ一巻から最後まで読んでギンガサンダーに載ってる64,5まで全部読みおわったなんというか言葉にならないなぁ本当にいい漫画だと思う
ikamiki RT @Youichi_Biscuit: よく読み直す漫画:惑星のさみだれ。ドロヘドロ。第七女子会彷徨。神太刀女。

惑星のさみだれ』(ほしのさみだれ)は、水上悟志による日本の青年漫画作品。

概要

『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)2005年6月号から2010年10月号にかけて連載。作者にとっては以前同誌で連載されていた『散人左道』に続く、2本目の長期連載作品となった。緊張感のある設定と作者特有の暢気な作風のギャップが特徴。

あらすじ

主人公の雨宮夕日は、ある朝、言葉を喋るトカゲから世界を救う騎士の1人として選ばれたことを告げられる。最初は無関心な夕日だったが、敵である魔法使いが生み出した泥人形の襲撃を受ける。死を覚悟したその時、守るべき姫である朝日奈さみだれに救われ、更に常人ならざるさみだれの気概に触れたことで彼女に忠誠を誓う。ここにひとつの主従が生まれ、この時から夕日の戦いが始まった。

用語

指輪の騎士
それぞれ従者たる獣によって選ばれた、魔法使いと戦って倒す事を目的とする12人の騎士。それぞれ従者である獣の名を取って「○○の騎士」と称する。騎士として選ばれた者の手には証である指輪が現れる。戦いに臨むことに強制力はなく、選ばれた当人の自由意志による。ただし、騎士となることを拒んでいた夕日は泥人形に否応なく襲われている。騎士として選ばれる者は、全員が魔法使いと同等の存在に成り得る可能性を持つ者である。
契約の報酬
騎士として選ばれた者は、契約の見返りとして1つだけ願いを叶える権利を手に入れる。それは命懸けとなる戦いに臨むことの報酬であると同時に、戦いを拒む者に対する交換条件でもある。ただし、「死者を蘇らせる」「敵の大元である魔法使いを倒す」など、叶えられない願いも多い。また、他人の死を願うことは出来るが、それを叶えた者はその業を背負う事で戦いにおける死亡率が高まるというペナルティを課せられる。
従者
騎士として選ばれたものにそれを告げ、パートナーとして傍らに寄り添う獣たち。戦いの関係者以外にその姿は見えない。騎士とは一定以上の距離を離れることが出来ず、強引に離しても空間転移で戻ってくる。食事はとらず、騎士の体からエネルギーを受け取っており、そのためか騎士と身体状態が同調している。また、従者である獣と騎士の性格・性質には因果関係がある。騎士が死亡した場合、その存在は消滅する。
掌握領域
指輪の騎士となった者が手に入れる、泥人形と戦うための特殊能力。指輪に意識を集中することで発動する。いわゆる念動力だが、使い手によって様々な特性がある。エネルギー源は純粋な体力であり、体を鍛えることで効果や持続時間を強化できる。技としての固有名称は使い手が独自に命名した物で、特に名付ける必要は無い。
幻獣の三騎士
黒竜(インビジブル)、霊馬(ユニコーン)、神鳥(フレスベルク)からなる3人の騎士。騎士でありながら精霊アニマと契約を交わした姫に匹敵する強大な力を持つとされているが、当初は12人の獣の騎士の中にその存在はなく、謎に包まれていた。後にダンスがアニマの手により馬からユニコーンとなり、獣の騎士が変化してなる存在だと判明した。
アニマが一定の条件の元で(インビジブルの際は力を望んだ夕日と白道の決闘)、従者を変身させる(何故かフレスベルグの際はバニーガール風のマジックスタイルで)。南雲宗一郎の霊馬(ユニコーン)、白道八宵の黒竜(インビジブル)、茜太陽の神鳥(フレスベルク)が幻獣の騎士となったが、全ての獣が幻獣への変化が可能なのかは不明。
ビスケットハンマー
魔法使いアニムスが生み出したとされる、地球を打ち砕く巨大なハンマーにして最大の泥人形。軌道上に浮かび、「そこにある」と意識した者のみが目視できる。極々まれにその存在を知覚しないまま、気配を察知する者もいる。
ブルース・ドライブ・モンスター
精霊アニマが生み出したと思しき、対ビスケットハンマー用カウンター小天体兵器。「可視なる絶望」であるビスケットハンマーを認識してなお、希望を持つことができた者が見る事が出来る。アニマによれば、「これが見える者を待っていた」らしい。

登場人物

※キャストはドラマCD版のもの。

主人公

雨宮 夕日 (あまみや ゆうひ)
声:柿原徹也
主人公。平凡な大学生として日々を送っていたが、ある朝目覚めると目の前にいた言葉を喋るトカゲ、ノイによって指輪の騎士の一角であるトカゲの騎士に選ばれる。頭の回転が速く、無愛想で冷淡な性格の合理主義者だが、それは多分に内心の弱さを隠す壁でもある。あまり物事に動じずクールに振舞うが、頑固な一面も持つ。基本的にスケベで、セクハラやHなアクシデントを楽しむ癖がある。異常に酒に強く、初めて飲酒した際には一緒に飲んだ氷雨からざると評されていた。また、カナヅチで合宿で海に行った際には同じくカナヅチの花子と茜の3人で固まっていた(もっとも、さみだれに呼ばれると即座に海に向かっていった)。好物はラーメンで、近所のラーメン屋「界王軒」に本人曰く週一で通っている。
幼い頃家族に不幸があり、それを原因として祖父から虐待を受けていた。その為、重度の人間不信に陥っており、全ての物事に対し無関心な日々を送っていたが、さみだれとの出会いによって強く感化され、姫にして魔王である彼女に自身の全てを捧げる事を誓う。騎士となって以降さみだれやノイと接し、東雲半月との出会いと離別、さみだれの家庭の事情に関わる等の様々な経験を経て性格も少しずつ変化していき、祖父とも和解の道を歩む。
泥人形との戦いで東雲半月が自らをかばい死亡したことが元のトラウマも重なってPTSDとなり、一時的に泥人形と戦えなくなった。だがノイの言葉と白道を救うためにそれを克服し、同時に半月の交わしていた騎士の契約によって半月の技を託された。自身の身体能力や経験・感覚が伴っていないため、純粋な戦闘能力では三日月やさみだれには及ばなかったが、三日月に敗北したことをきっかけに足りないものを見出し、日々の訓練で成長を続けている。
掌握領域は「掌握空域 天の庭(バビロン)」。薄く伸ばしたドーム状の掌握領域を広げることにより、相手の動きを阻害し、かつ自分の動きの補助をさせるというものである。本人はこれを「考えることをやめては使えない力」と称している。この技は夢の世界における生前の東雲半月との戦闘の際に発現したもので、それまでは長らく掌握領域に名称をつけていなかった。平時における掌握領域の運用法は、足場に生み出して高く飛翔したり落下時に減速したりするというもの。念動力であるため夕日以外の人間にも作用し、夕日を追って崖から飛び降りた泥人形の姿勢を崩したり、さみだれの足元に領域を作って撃ち出したりもしている。また、風巻の泥人形との模擬戦において領域を変形させ、半月の方天戟と同型の掌握領域を放ったが、威力は半月のものには劣っている。
作者はキャラクターデザインの雛型として、自身の短編作品『がんばってちゃんとやめよーぜ』の主人公、水島の可能性を示唆している。
ノイ=クレザント
声:西村朋紘
トカゲの姿をした夕日の従者であり友人。騎士道精神を重んじ、正義感が強い生真面目で実直な性格。夕日の冷酷な部分を知る唯一の存在であり、夕日とは度々衝突しながらも次第に理解を深め、パートナーとして絆を育んでいく。夕日が精神的に追い込まれる局面で彼を救い、また己の無力さを嘆いた時には逆に夕日に救われた。
日常生活においてはTV番組や映画などを人並みに楽しむなどコミカルな一面も見せている。また夕日が気にしているポイントを的確に突くのが上手いのか、度々逆さ吊りにされる事もあった。姫でありながら魔王としての側面を持つさみだれと、それを強く信奉する夕日達の事を苦々しく思っており、何とか止めようとしている。
度々読者に対して状況の説明をしたり、内容と掲載時期のズレにツッコミを入れたりとメタフィクション的行動を取る。その度に夕日に「何言ってんだ」と突っ込まれるという、作者の心情代弁を担う役でもある。
朝日奈 さみだれ (あさひな さみだれ)
声:水樹奈々
ヒロイン。精霊アニマと契約を交わした騎士たちの守るべきにして、内心では愛する世界を永遠に自分の物にしたいがために自分がいる世界の破壊を望む魔王。普段は明るく闊達な性格だが、魔王としての威厳に溢れた冷酷な一面も持つ。夕日と会う夢の中では常に魔王としての表情が顔を覗かせている。
連載開始時点で15歳、作中で16歳の誕生日を迎えた。長く関西で暮らしており、関西弁で喋る。小柄ながら大食家で、大盛りラーメンを完食して賞金を獲得し、達成の記念写真の下に挑戦不可の張り紙が貼られている。家族からの愛称は「さみ」。夕日の暮らすアパートに隣接する一戸建て住宅で暮らしており、知り合った後はベランダ越しに夕日の部屋へ度々訪れている。
アニムスに単独で対抗し得る存在であり、騎士たちの苦戦する泥人形もまるで問題にしない強大な力を持つ。当初は強大すぎる力に頼り切り、それを振り回しているだけだと東雲半月に指摘されたが、その後半月との特訓を続け彼の死後にはその技の1つを修得する事に成功した。また、時間とともに姫としての力が上昇している。ただし、その力はあくまでアニマから供給されている物であり、アニマがダンス・ダークをユニコーンに変貌させた際には日常生活に支障を来すまで体力が落ちた。
幼い頃から重い病を患っており、それに起因する諸々のコンプレックスを抱えている。アニマとの契約で姫となったことで健康になっているが、アニムスとの戦いを終えて契約が完遂されれば再び瀕死の状態に戻ると本人は考えている。そのため、アニマの力を使ってアニムスを打倒すると同時にその手で世界を砕こうとしている。夕日とは以前に面識があるらしいが、夕日は忘れており詳細は不明。父以外の家族は彼女が赤子だった頃から長く海外で暮らしており、年に数回しか帰国しなかった。そのため心の奥では彼女らに対して壁を作り、特に彼女が一番辛い時に帰ることのなかった母に対してはそれが自分を想っての事だと理解しつつも直接会うことを避け続けていたが、夕日の後押しを受けて和解した。
作者はキャラクターデザインの雛型として、短編作品『がんばってちゃんとやめよーぜ』のヒロイン、がんばってちゃんの可能性を示唆している。他にも作者の他作品の登場人物と友人同士と言った裏設定があり、32話でその様子が描かれている。
アニマ
声:阿澄佳奈
さみだれと契約を交わし、彼女を姫とした精霊(プリンセス)。その正体は大敵である魔法使いアニムスの双子の妹であり、世界をかけた戦いの根幹を司る存在。さみだれとの契約後は眠りにつき、その力はさみだれの意志で振われているが、アニムスによればイレギュラーな出来事であり、本来はアニマがさみだれの意識を乗っ取っているはずの模様。理由は不明ながら、目覚める前にはさみだれの姉である氷雨の夢の中に登場し、さみだれのことを聞いていた。
アニムスとの戦いも佳境に入る中で唐突に目覚め、さみだれや騎士たちの前に姿を現す。不思議な衣装をまとった無表情な少女の姿で、傍若無人と言っていい程にマイペースで何を考えているかわからない。馬の騎士の従者ダンス=ダークを幻獣の三騎士の一角であるユニコーンへと変貌させた際は、騎士たちを一方的に招集して一方的に解散させていた。その振る舞いの傍若さゆえか、ノイを除く従者達は彼女の目覚めを聞いた際に一様に溜息をついた。
カジキマグロの騎士秋谷は、アニマが夕日に何かしらの可能性を見出していることを示唆しており、実際に夕日と対面した時も彼に興味を示した。ただし、マイペースな態度は夕日に対しても変わらず彼の質問に対してもなかなか答えない。

指輪の騎士

東雲 半月 (しののめ はんげつ)
犬の騎士。つかみ所のない飄々とした青年。28歳。何でも屋を営んでいる。家伝と推測される古武術「古雲流」の達人で、暴力団を1人で壊滅させるなどした事から裏社会では風神と呼ばれ恐れられている。加えて犬の騎士はノイ曰く獣の騎士12人の中で最強の掌握領域を持ち、本来なら騎士数人がかりで立ち向かうとされる泥人形を1人で一方的に破壊し、姫として絶大な力を持つさみだれも軽々とあしらった。
幼い頃の出来事がきっかけで独自の正義論を持ち、最も身近な大人として夕日やさみだれに大きな影響を与えた。氷雨に対して一目惚れし、積極的にアプローチをしていた。
泥人形との戦闘中に夕日をかばって攻撃を受け死亡、死の間際に契約の報酬によって、自らの技を夕日へと譲り渡した。
掌握領域は槍のような力場を敵に打ち込む「方天戟」。
ルド=シュバリエ
犬の姿をした東雲半月の従者。自称武士で一人称は拙者。皮肉屋で夕日とは相性が悪い。半月は幼い頃に飼っていた犬の名であるノコと呼んでいるが本人は嫌がっている。前回の戦いについて最後まで記憶しており、夕日が半月を超えたときにはそれを教えると約束したが、半月が死亡したために教えることなく消滅する。消滅の際には「ふくろうに気を付けろ」という言葉を残した。
東雲 三日月 (しののめ みかづき)
声:白石稔
カラスの騎士。半月の弟で兄同様に戦闘に長けるが、古雲流の使い手ではなく戦い方は我流。普段は集団の中心にいる社交的な性格だが、内面は異常なほどの戦闘狂で強者と闘うためには手段を選ばず、暴走族を単独で壊滅させた事もあって闘鬼三日月とも呼ばれており、兄共々警察にも名前を知られている。戦闘狂という点を除けば明るいムードメーカーで良くも悪くも裏表の無い性格であり、面倒見のいい一面もある。
夕日と同じ大学に在籍しており彼の助言担当教員が氷雨だが、彼女のことをちゃん付けで呼ぶので本人からは怒られている。
強大だった兄の背を追い続けており兄の想いを受け継いだ夕日に執着するが、自分を一撃で吹き飛ばしたさみだれに一目惚れしたことで一時休戦としている。しかし、夕日が半月の技を継承したと知ると強引に戦いを仕掛け圧勝し、その時点での夕日の力の歪さを指摘した。
南雲と初めて私闘をした際には掌握領域の使い方も知らなかったが、その後1週間の山籠もりを経て多数の掌握領域を相手の周囲に張り巡らせ、それを足場にして三次元的な攻撃を行う「掌握結界 封天陣」を身に付けた。その際に夕日が泥人形戦で負った傷と左右対称の額の右に傷を負っている。
後に夕日が風巻の泥人形との模擬戦で使用した方天戟を見て兄の技だと気付き、封天陣全てを槍状にして撃ち下ろす作中初の広範囲攻撃「戟軍・封天陣」を編み出した。ただし、戟軍は体力の消耗が激しく1度の戦闘で1回しか使用できない。
対人戦では夕日や南雲を破ったほどの実力を持つが、戦闘狂な性格による独断専行が原因で泥人形との実戦経験は八つ目が最初。風巻の能力で作った泥人形相手の模擬戦には嬉々として参加している。
契約の願いを、インドを放浪中の際に、道端で踊っていた少女にパンをあげることに使った。
ムー
カラスの姿をした三日月の従者。非常に無口。
南雲 宗一郎 (なぐも そういちろう)
声: 稲田徹
馬の騎士。生存している騎士の中では最年長の42歳。集結した騎士たちのリーダー的存在で泥人形との戦闘ではさみだれも含めた他の面々に迅速な指示を出す。責任感が強く生真面目で、仲間たちに戦う者としての覚悟を促す一方で、まだ若い子供である昴、雪待、茜たちを戦場に出すことにためらいがあり、戦場においては身命を賭して守り通す覚悟でいる。
元刑事であり、正義に対して強いこだわりを持っている。かねてから警察という組織に思うところがあり、騎士として契約を交わしたことを契機に辞職した。コネがあるのか辞職後も裏社会に通じている様子。
戦闘においては多様な足技を使う。百烈脚という連続蹴りを必殺技としている(実際は60が精々らしい。但し若い頃は名前通りの百烈脚だった)。掌握領域は平面状の力場で相手を拘束する「傾天平面(たかまがはら)」。平らな正方形の領域で、他の騎士と領域を重ねることを想定したものでもある。
アニマの手でダンスが霊馬(ユニコーン)となった事で彼の力も大きく強化され、領域の形も正方形から帯状に変化し、八つ目の泥人形と短時間ではあるが互角に渡り合う程パワーアップした。その際の技名は「ドリルキック仮」。後に「仮」が取れ、「ドリルキック」と叫ぶようになる。
妻と宗二という名前の息子がいるが別居中。警察を辞職して以降無職だが、喫茶店ではさみだれらの分まで代金を払い、獣の騎士団の合宿時の費用をほぼ負担するなどしており、どこから金を出しているのか他の人物から疑問に思われている(株で成功、実家から借りるなど憶測による仮説は挙げられている)。パチンコ店から出てくるところや、漫画喫茶らしき場所にいる姿が描かれている。夕日らと喫茶店に入った時はパフェを頼み、アニマに突然呼び出された時はソフトクリームを舐めているなど、甘党でもある。
ダンス=ダーク
声:喜山茂雄
馬の姿をした宗一郎の従者。実直だが朴訥としてどこかとぼけた性格。男は乗せない主義で、それを知らずに乗ろうとした南雲を振り落として腰を負傷させた(南雲はその負傷により寝込んでいる間に辞職を決意)。
アニマによって、幻獣「霊馬(ユニコーン)」となった。能力が強化された以外は体の色が変わって角が生えただけで、その他の変化は無い。
白道 八宵 (はくどう やよい)
声:桑島法子
ヘビの騎士。おっとりした容貌と雰囲気を持つ巨乳美人。普段は温和だが、独特の価値観・生死観を持っており、非常時に瀕しては冷淡とも取れる判断を下す。いわゆる「怒らせると怖い性格」で、とある出来事以来三日月からは「姐さん」と呼ばれている。契約の報酬に、「家族が死ぬ時は笑って死ねるように」と願う。
学生時代から神余に剣術を習っており、戦闘では木刀を使う。掌握領域は武器に纏わせる紐状の「炎状刃(フランベルジュ)」。武器そのものの攻撃力を高める他、弾かれた武器を手元に引き戻すなどの利用を見せている。単独での攻撃力は泥人形の表面に軽い切り傷を付ける程度が限界だが、海での戦いにおいて南雲の傾天平面と領域を重ねる多重領域「炎の魔剣(フレイムタン)」(南雲命名)として七つ目の泥人形の片腕を切り落としている。
初めて泥人形と戦った際に助けられた事をきっかけに夕日に惹かれていくが、彼とさみだれの会話を偶然耳にし、彼らの本来の目的が地球の破壊である事を知る。その後アニマに招集され、夕日とどちらが幻獣の騎士黒竜(インビジブル)になるかを賭けて勝負した際には、掌握領域で竹刀を遠い間合いまで操り、殺さない程度に威力を抑えた対人戦闘を前提とする領域の使用法を見せ勝利し、夕日に対して自分の想いを告白した。
シアが黒竜(インビジブル)となったことで幻獣の騎士となった彼女の力も大きく強化され、数本の長く太いひも状の掌握領域を操る「万首大蛇(よろずくびおろち)」を使うようになった。
オタクであり、コスプレを趣味としている。他人には秘密にしていたが、アニマに一方的に招集された際に皆の前でコスプレ姿を晒す事となる。
シア=ムーン
蛇の姿をした白道の従者。飄々とした軽い性格だが、八宵との初対面時に彼女の生死観に驚いたり、さみだれが七つ目の泥人形を吹っ飛ばした際には大口を開けて呆気にとられるなど、どちらかというと常識的。八宵のことを「やーこ」夕日のことを「あまみー(雨宮だから)」と呼ぶ等、他人を独特の呼び名で呼ぶ。幻獣「黒竜(インビジブル)」となり、全体的に巨大化して、小さい手足が生え、背には毛、頭部には2本の角らしき物が生えるなど文字通り竜の姿になった。
風巻 豹 (しまき ひょう)
黒猫の騎士。シャープな印象の名前とは裏腹に大柄な肥満体型、温和な性格で常に泰然としている男性。旅行が趣味。大食漢でさみだれと共に大盛りラーメンを完食して賞金を獲得し、さみだれ同様挑戦不可になっている。夕日たちの住む町に隣接する市にある大学に勤めて心理学の研究をしており、氷雨とは古い友人でもある。
深い知識欲を持っており、騎士の契約の際にはアカシックレコードの掌握を願ったが叶わなかった。夢を通じてアニムスと交流を持っており、アニムスやクーからは魔法使いに最も近い人間と言われている。アニムスから全知を求める仲間となる誘いを受けたが、知識は人類を幸せにする手段であって目的ではないという信念から拒絶した。また、夢でアニムスを攻撃した際に彼を守る茜太陽と対峙し、茜がアニムスの側に付いている事を知るが、何らかの思惑の元に黙殺している。
アカシックレコードの掌握を却下された代わりとして、掌握領域の特殊強化を願った。掌握領域は、大地から泥人形を生み出す「創造領域 地母神(キュベレイ)」。作り出した泥人形には1体目にゾンダーク(日曜日)、2体目にモンターク(月曜日)とドイツ語の曜日を名前にしている(8体目のフリューヒングはドイツ語で春の意)。通常の掌握領域も使用できるが、地母神と領域の併用が出来るかは不明。マジカル・マリーの姿で登場したマイマクテリオンに対する反応から、生き残っていた騎士たちの中で唯一マジカル・マリーのことを知らなかった模様。
クー=リッター
黒猫の姿をした風巻の従者。物腰丁寧で「~なの。」と言う語尾が特徴的。
星川 昴 (ほしかわ すばる)
鶏の騎士。中学1年生で雪待、茜らと同じ「年少組」。凛々しい外見のはきはきとした礼儀正しい少女で、雪待とは幼馴染。
三日月を介して夕日たちと合流する前は雪待、カジキマグロの騎士秋谷稲近と行動を共にし、泥人形を1体倒している。恩師である稲近の復讐に燃えており、強者を求めてアニムスを探す三日月と行動を共にするうち、彼を意識するそぶりを見せる。
態度や外見は闊達としているが運動は苦手で気が弱く、幼い頃は雪待によく守ってもらっていた。一方で思慮深く、冷静に状況を見極めることができる。稲近の矛盾の話を基にした最強の矛と盾を持つ「最強の戦士」の話を聞かされ、矛と盾が1つの物であれば矛盾はせず、どんな時も雪待と力を合わせるように教えられている。
掌握領域は雪待と2人で形成する「無敵の盾」と「最強の矛」。「無敵の盾」は泥人形の攻撃を防ぎ、その盾を相手にぶつけるのが「最強の矛」。獣の騎士で最強の威力を持つ犬の騎士である半月の「方天戟」でも一撃では泥人形の体表を削り取る程度だったが、「最強の矛」は稲近の攻撃でダメージを負っていたとはいえ泥人形を一撃で粉砕する程の威力がある。ただし、発動までに3秒から4秒の時間がかかる。
契約の報酬に、「雪待が幸せになりますように」と願う。
リー=ソレイユ
鶏の姿をした昴の従者。非常に短気で、失礼かつ乱暴な口を利くためよく昴にたしなめられている。
月代 雪待 (つきしろ ゆきまち)
亀の騎士。中学1年生で昴、茜らと同じ「年少組」。マイペースでおっとりしている糸目の少女で、昴とは幼馴染。
合流前は昴、カジキマグロの騎士秋谷稲近と行動を共にし、泥人形を1体倒している。
ゆったりとした物腰だが幼い頃は気が強く、昴に意地悪して泣かせる事もあった。また小学校3年の頃から稲近に空手を教わっており、上級生の男子を泣かせたり運動が苦手で気が弱い昴を守っていたりしていた勇敢な少女。現在も1人で空手の稽古を続けている。
自分にはない昴の思慮深さを深く信頼しており、泥人形に襲われ、稲近が倒れた局面でもうろたえる昴を叱咤し、判断をゆだねている。
九つ目の泥人形との戦闘中に茜が「因果乱流(パンドラ)」を使用する所を目撃したが、風巻にそれとなく口止めされた。
昴と同様に稲近から矛盾の例え話からなる一連の教えを受けた。
掌握領域は昴と2人で形成する「無敵の盾」と「最強の矛」。
契約の報酬に、「昴が幸せになりますように」と願う。
ロン=ユエ
亀の姿をした雪待の従者。老齢らしく落ち着いてのんびりした性格。
日下部 太朗 (くさかべ たろう)
ネズミの騎士。高校生。花子とは幼馴染で家も隣同士、部屋も向かい合っており窓から屋根づたいに行き来出来る。
強気な振る舞いをしているが根は小心者。しかし芯は強く、まっすぐな勇気を持っている。料理人を目指しており、料理の腕は中々のもの。花子に想いを寄せているが、当の花子は気づいている素振りを見せない。
最初は騎士として戦うことを渋っていたが、花子が願いの代償として生存率が下がったことで彼女を守るために戦うことを決意した。九つ目の泥人形との戦闘中に花子を庇おうとして死亡。死に際に花子へ自分の想いを告げた。騎士の契約の願いは花子が致命傷を負った際に回復させることで、太朗が庇わずとも花子は助かったため、花子の従者であるキルには無駄死にと言われたが、実際には太朗という大事な存在の死によって彼女が背負っていた業を贖っている。
なお彼は他の騎士と異なり、副題「騎士 ○○○○」(○には名前が入る)回の表紙で騎士の姿を見せるパターンではなく、単行本中扉の副題「勇者」でその姿を披露するという異なる演出が取られている。騎士団のメンバー達からはその素直で闊達な性格を愛されており、九体目の泥人形との再戦には全員が喪服、喪章を身につけて臨み、勝利した後は夕日や南雲、三日月までが周囲を憚らず涙を流した。
掌握領域は精密作業に特化しており、手にした野菜を細かく切り刻んで見せた。後に、夕日のアドバイスから空気を細かくかき乱して高温を発生させ、燃料(油など)を着火・爆発させる「荒神(あらがみ)」として完成させた。
ランス=リュミエール
ネズミの姿をした太郎の従者。威勢のいい性格だが小心者。キルの事は嫌いだと言っているが「古典的ラブコメ」について語り合い、太朗が死んで自らも消える間際には絶対に死なないように言うなど、根の部分では繋がっていた様子がある。
宙野 花子 (そらの はなこ)
カマキリの騎士。三つ編みに眼鏡と優等生的な外見通り成績優秀な高校生で太朗とは幼馴染。カナヅチ。
常に穏やかな微笑を湛えているが、実際は一時期の太朗との付き合いから喜怒哀楽の感情が希薄で生への執着も薄くなっており、海の戦いでは躊躇なく自分の身を囮にし、七つ目の泥人形の注意を引き付けた。しかし、その後はランスもいい顔をしていたと言うなど感情が戻りつつあった。九つ目の泥人形との戦闘において致命傷を負うが、太朗の騎士の契約の願いにより回復。
騎士の契約の報酬としてニュースで偶然見た連続強盗殺人犯を死に追いやったが、その為に業を背負い死亡率が高まるというペナルティを課せられていた。しかし、彼女を庇った太朗が死んだことで、大事な者の死によりその業の報いを受けたとアニマの口から語られている。太朗の死に際での告白に対し、彼が自分に想いを寄せていることを知っていると答えた。
掌握領域は分子の運動を抑制させ、水を瞬時に凍らせる極低温を発生させる。本人は適当に「よく冷え~る」と名付けていたが周囲から突っ込まれた。太朗の死後、戦う意思を新たにした際に能力名を「勇者の剣(クサカベ)」と名付ける。意識のリミッターを外した上で、水源から氷の槍を大量に生み出し投擲を行う攻撃力は、犬の騎士のそれに匹敵するものへと昇華している。11体目の泥人形との決戦時には、同じ温度操作能力として日下部 太朗の「荒神」を披露している。
キル=ゾンネ
カマキリの姿をした花子の従者。契約の報酬で他人の死を願えば死亡率が高まる事を、偶然か故意かは不明ながら花子に伝えなかった。「自分が付くのは最も勇気がある者」と話すが、ランスには「勇気ではなく思考放棄の捨て鉢」と責められた。
表面上は非常に冷酷で薄情な性格のように見えるが、太郎の仇を討とうとする花子をランスの最後の言葉を思い出しながら鼓舞するなど、感情的な一面も持つ。
茜 太陽 (あかね たいよう)
フクロウの騎士。12歳で雪待、昴らと同じ「年少組」。中性的な容姿の少年で、普段は年齢に似合わず落ち着いた振る舞いをしているが、感情的な面もある。ノイは初対面時に夕日と似ているとの感想を持った。カナヅチ。
アニムスの側に付いて彼を守護しており、アニムスは「神(ぼく)の騎士」と呼んでいた。しかし茜自身はアニムスを嫌悪している態度を隠さない。現在その事実を知るのは夢で対峙した風巻豹のみ。しかし風巻はその事を他人には喋らず、茜には「宿題は自分でやる物」という助言をしている。アニムスと風巻をまとめて「化け物ども」と悪態をつく一方で、風巻の真意を測りかねている。アニマにより騎士達が招集された際には白道の露出度の高いコスプレに対して赤面して目を逸らすなど、年齢相応な部分も見受けられる。
実母とは死別しており、父はあまり家に帰らず継母とは折り合いが悪い。2人とも再婚後に生まれた弟にかかりっきりで、父が帰宅するたびに半ば追い出されるような形で小遣いを貰って外食してくるよう言われるなど、家庭環境に恵まれていない点でノイの感想通り夕日と共通している。
10体目の泥人形の本体と、未完成ながら方天戟を使い単独で戦って勝利し、戦闘後にアニマの手でロキが神鳥(フレスベルク)となり幻獣の騎士となった。
掌握領域は混沌領域「因果乱流(パンドラ)」。時間をかき乱す能力で、誕生から間もないものなら簡単に破壊できるが、ある程度時間が経ってしまったものには効かない。ピュアノプシオン戦以降は傷の治療も行えることが判明した。他の騎士たちと同様の掌握領域も別に使える。
幻獣の騎士となってからは、能力を制御しおとなしくさせることで、スタミナ回復や衣服の復元などを広範囲で行える「時空静流」という混沌領域を使うようになる。これにより騎士達は体力を必要とする大技の連発も可能となったが、意識の疲労までは回復できないため使用するほどに太陽に疲労が蓄積していく。
本来太陽の時空系能力はアニムスが自身の能力を貸し与えていたものだったが、アニムスとの最終決戦で能力の返還を迫られた際、騎士の契約の願いを使用してそれを拒否した。
ロキ =ヘリオス
フクロウの姿をした太陽の従者で、老人のような話し方をし、落ち着いた雰囲気を持つ。騎士の側として勝てない戦いを続ける事に飽きたと話し、茜に裏切りを唆した。しかし、真意は何よりも自らがついた騎士を死なせたくないと思っており、その為には勝てる側に付いた方が良いという考えからの行動である。幻獣「神鳥(フレスベルク)」となり、体も全体的に大きくなった。
秋谷 稲近 (あきたに いなちか)
カジキマグロの騎士。夕日たちと合流する前の雪待、昴と行動を共にし、2人から師匠と呼ばれ慕われていた。2人と共に泥人形1体を倒したが、引き換えに命を落とす。名前はローマ字にすると回文になっており、夕日は偽名であると推測した。
500年間を生き続けた超能力者で、5歳のときに大地震(明応地震)による津波に攫われ、生還した際に神通力に目覚める。その噂を聞いてやってきた仙人の弟子となって修行をするなかで、ある時アカシックレコードとコンタクトし、全知者となる。彼はその半生において多くの者に多くの知識を授けながら、自分の全知が及ばないさまざまな経験を得ていく。その後、人生の終盤に向かうに連れて徐々にその能力は弱まり、現代においてはわずかな未来視と念動力のみしか行使できなくなっていた。本人は生涯最後の弟子である昴と雪待に力が流れていたためと考えたが、詳細は不明。
己がビスケットハンマーを巡る戦いで命を落とす事も500年前から知っており、命日の前日に夕日への手紙と自らの半生を綴った本を書き残す。アニマについても何らかの情報を持っていたらしく、手紙にはアニマが夕日に何らかの可能性を見出していることを示唆している。最期の日が近づくにつれ、全知の記憶を持ちながら死を恐れる自分を知る。死の間際、どのような超絶的な力を持とうと人としての心がある限り、自分を含めた騎士たちも魔法使いも同じ人間であるという言葉を昴と雪待に託し、2人によってその言葉はアニムスへと伝えられた。
雪待と昴を幼少の頃から最後の弟子としてさまざまなことを教え、彼女らに最期を見取られるのも知っていた。
掌握領域かどうかは不明だが、重傷を負った身で最後の力を振り絞り、雷を落とす「天沼矛(アマノヌボコ)」という技で泥人形にダメージを負わせた。契約の報酬は何も願わずに散る。
ザン=アマル
カジキマグロの姿をした稲近の従者。宙に浮かんだ巨大なカジキマグロで、インパクトのある容姿は稲近も驚かせたが、その威容の割に気弱で良識的な性格。「存在自体が出オチ」とは稲近の弁。
出会って早々に稲近から1ヶ月も経たない内に死ぬことを聞かされ、凹んでいた。
泥人形の攻撃から昴と雪待をかばって致命傷を負い、自らの役目は終えたとする稲近を叱咤し、尽きかけている命をもって最後の教えを子供達に施すよう促した。

敵側

アニムス
世界を滅ぼすといわれる絶大な力を持った魔法使い。騎士の戦いは彼を倒すことで終了するとされる。常にパジャマのような姿で、外見は脱力して飄々とした冴えない男性だが、圧倒的な力を持っている。惑星のみならず、時空間をも容易に砕く程の超能力者。初登場時は、7体目ヘカトンバイオンの口の中から現れた。
正体は本人曰く未来から過去へと遡り原初まで収束する先進波であり、宇宙を創造した神という名の超能力者と対になる破壊神。しかし人間としての肉体を持って生まれたために「知りたい」という欲があり、その知識欲に従って全ての始まりを知るために機能しているという。
アニマは彼自身の妹であり、アニマは彼の破壊を止めるために姫と騎士達というゲームと駒を作っていると述べた。夕日はその言動から、ゲームのルールという制約を成り立たせる事で、アニマがアニムスとハンマーを抑止していると推測した。

その他

朝日奈 氷雨 (あさひな ひさめ)
夕日の通う大学の助教授で、さみだれの姉。夕日からシスコンと言われるほど妹を溺愛している。三日月の助言担当教員でもある。
母に付いてフランスに留学し27歳で博士号を取得。帰国後は大学(夕日、三日月、火渡が在学)の助教授についた才媛だが、それを感じさせないフランクな性格の持ち主。大学でも人気があるが、繊細な一面もある。アニムスとの戦いなどについては何も知らない一般人だが、夢で目覚める前のアニマと交流があり、アニマが目覚めてからも戦いとは無関係でありながらアニマの存在を認識できる。
さみだれに対する溺愛ぶりとは裏腹に、過去に起因する彼女と母との関係にひそかな悩みを抱えている。また、医学者として渡航した母と違い日本に残るという選択肢もありながら留学したため、自身もさみだれに姉として認められているかという悩みを抱えている。
半月に一目惚れされ交流を持つ中で次第に意気投合し、親密な間柄となるがその矢先に半月は死亡し、夕日に半月のことを好きだったのかも知れないと話し号泣。以降、半月に代わって大人の手本を見せることを誓うと共に、夕日とは折に触れて故人の思い出を共有することになる。
朝日奈 時雨 (あさひな しぐれ(?))
氷雨とさみだれの父。重病に冒されていたさみだれを救うために研究員であった妻の春子と娘の氷雨がフランスに渡った後、男手一つでさみだれを育てた。元々は奔放な性格で、さみだれがアニマとの契約によって健康を取り戻し、氷雨が帰国した後は1年の殆どを家で過ごさず、気ままに帰ってくるようになる。
仕事は小説家で、ペンネームは「蝉時雨」。夕日が彼の作品のファンである。
作者の別作品「散人左道」の主人公フブキと交流があることが仄めかされている。
朝日奈 春子 (あさひな はるこ(?))
氷雨とさみだれの母。博士号も持っている優秀な医学者で、さみだれの病気の治療法を研究するためにフランスに在住している。溌剌とした女性。
さみだれが幼少の頃に研究のため彼女の傍を離れており、さみだれには複雑な感情を持たれていたが、夕日のさみだれに対する後押しもあり和解。
仕事から帰宅した際には立ったまま寝ておりそのまま歩くという特技なのか夢遊病なのかよく判らない行動をする。
火渡 (ひわたり)
夕日と同じ大学に在籍する少女。フルネームは不明。オカルト好きで、超能力者のお嫁さんになることが夢。掌握領域を使う夕日を偶然目撃し、以降何とか夕日の心を射止めようと奮闘している。趣味嗜好を除外しても、どこかずれた感性の持ち主。
火渡の姉
南雲の刑事時代の部下。フルネームは不明。夕日の同級生である火渡の姉。未来視という超能力を持つ。
ショタコンで、南雲の持ち歩く息子の写真を無断で抜き取ってコピーするなどしていた。しかし正義感は強く、子供が被害を受ける犯罪に対して強い怒りを覚えている。
夕日の祖父
本名は不明。刑事だった夕日の父が銃の密売に関わっていた同僚に殺され、その葬儀の最中に母も失踪したことから人間に絶望する。それから夕日が大学に進学するまでの10年間、人に関わるなと言い聞かせ続け、言いつけを破れば鎖で縛り、物置に閉じ込めるという虐待を繰り返していた。その鎖のイメージは、夕日のトラウマとして何度か登場する。
夕日が大学に進学し、祖父の家を離れたのと入れ替わりに小石達と暮らすことになるが、その生活の中で本来持っていた優しさを取り戻し、夕日に謝罪した。
病気により自分が長くないことは知っていたが、夕日の騎士の契約により完治したと思われる。しかし、唐突な交通事故により死亡。後に夕陽の夢の世界に、夕陽の父とともに登場する。
小石 (こいし)
夕日の従妹。フルネームは不明。夕日が大学に進学し、祖父の家を離れたのと入れ替わりに家族とともに祖父の家で暮らす。純粋な明るさと優しさは、重度の人間不信に陥り、孫の夕日にもそうあるように強要し続けたはずの祖父を変えてしまう。
神余 (かなまり)
ホームレス。フルネームは不明。剣術の達人で、白道に請われて剣の指南を請け負っている。様々な方面の仕事に手を出したが本人曰く「剣術以外どれも才能がなかった」と、すべてに諦観した風に過ごしているが、別れた妻や病気の娘の存在に頭を悩ませる一面もある。
戦いとは無関係の一般人ながら、ビスケットハンマーの存在に気付いている様子が見られる。南雲とは古い知人であり、彼に頼まれてマークII手榴弾を仕入れてくるなど、その素性や人脈に謎の多い人物である。
魔法少女マジカル・マリー
作中に度々登場する劇中劇。媒体は深夜アニメ作品でパンチラシーンが多い。魔法少女が猛獣のようなパートナーを連れて、主に刃物や打撃武器などで敵を倒すという血なまぐさい作風。半月とさみだれがこのアニメについて語り合ったり、白道が登場キャラのコスプレをしたりしている場面などがある。
主人公のマリーは、作者の短編作品『怪人夏伍郎』(『水上悟志短編集げこげこ』収録)の登場人物である。

泥人形

アニムスや風巻の創り出した人形。人に酷似したものからまったく異なるものまで様々な形態のものがある。戦いが始まった当初から現れるたびに目玉の数が増え、その数に比例して強力な力を持つものとなっている。マイマクテリオンによると大雑把ながらも感情を持っているらしい。
本来姫を倒すことが目的のはずだが、なぜか今回の泥人形は騎士を狙っている。ネーミングや騎士の人数から風巻は全部で12体ではないかと推測している。劇中では「○体目」、「○つ眼」と呼ばれることが多い。また従者同様一般人には姿を見る事は出来ない。
指輪の騎士達は泥人形の出現を察知することができ、刃のイメージとして表現される。
アニムスの泥人形
一体目(ガメリオン?)
初めて現れた一つ眼の泥人形。人型で、両腕が刃物になっている。夕日を襲うも駆けつけたさみだれに粉砕される。
二体目(アンテステリオン?)
一体目と似た姿の二つ眼の泥人形。両腕の刃物は3本の指のようになっている。街中に現れ夕日を襲うが、さみだれに倒される。
エラペボリオン
人型で、左腕が無い代わりに巨大な右腕を持つ三つ眼の泥人形で、岩をも砕くパンチ力を持つ。夕日の実家に出現し夕日を襲うが、夕日の策により断崖絶壁から地面に叩きつけられ倒された。夕日が単独で倒した唯一の泥人形。
四体目(ムニュキオン?)
右腕が刃物になった四つ眼の泥人形。街中に出現し夕日を襲うが、かけつけた半月の方天戟の連撃によって倒される。なぜか交通ルールを守り、赤信号では横断歩道を渡らなかった。
五体目(タルゲリオン?)
球体に4本の腕がついた特殊な形状の五つ眼の泥人形。4本の腕を使って自在に飛び回る素早さを持つ。夕日をかばった半月を倒すも、同時にくらった方天戟で大きなダメージを負い、さみだれの一撃で撃破された。初めてさみだれの攻撃を防いだ泥人形でもある。
六体目(スキロポリオン?)
4足歩行で甲羅を背負ったような動物型の六つ眼の泥人形。口から出す針状の弾丸が武器で、秋谷に致命傷を負わせた。秋谷の天沼矛でダメージを負い、昴と雪待の最強の矛で倒された。劇中夕日が遭遇していない唯一の泥人形。
ヘカトンバイオン
怪獣のような姿の巨大な七つ眼の泥人形。人型で弱いが再生能力を有する三つ眼の泥人形と、獣型ですばしっこい四つ眼の泥人形が合体して誕生した。一度はさみだれに吹き飛ばされたが倒されておらず、アニムス出現のためのゲートとして機能した。
その後はしばらく休んでいたようだが、獣の騎士団の夏合宿の場に出現。夕日、さみだれ、三日月を除く騎士達を圧倒するも、風巻に一瞬の隙をつかれて体内からゾンダークに食い破られ、騎士団の掌握領域集中砲火で倒された。
メタゲイトニオン
巨大なトカゲのような姿の八つ眼の泥人形。巨大な口による噛み付きと、無数のトゲが生えた尻尾による強力な打撃が武器。
初戦では南雲のドリルキックで尻尾を破壊され退散した。2戦目では尻尾による攻撃で騎士団を苦しめるも、南雲の掌握領域で押さえつけられ、騎士団の領域集中砲火を受け倒された。
ボエドロミオン
巨大な人馬一体の騎士のような姿の九つ眼の泥人形。右腕がランスに、左腕が盾になっており、攻守ともに強力な泥人形。常にピュアノプシオンとともに出現し、騎士団の戦力を分断させる戦法を取る。初戦では南雲、風巻、昴、雪待を除く騎士団と対決し、太朗の命を奪うも、太朗が最期に放った荒神を喰らい逃走。
二戦目は太朗の仇討ちに燃える騎士団の猛攻を受け逃走するも、待ち受けていた花子によって倒された。
ピュアノプシオン
無数の群全体で1体という特殊なタイプの泥人形。「三神骸」と呼ばれる特別製の泥人形の1つ。1体1体は小さな一つ眼の泥人形で大して強くは無いが、1体でも残っているとそこから増殖し、戦う度に少しずつ強くなっていく。
劇中では6度も出現し騎士団を苦しめる。6度目の戦闘で戦闘に参加した全ての個体が倒され、その後太陽が彼の部屋の押入れに隠れていた最後の1体を倒し、完全に倒された。
マイマクテリオン
自在に姿を変える変身能力を持った11個眼の泥人形で、「三神骸」の1つ。本来の姿は饅頭のような姿だが、普段は少年の姿をとっている。
言葉を話す事が出来、半月や太朗に化けて騎士達をからかったり、読書や映画を観て知識を吸収しようとしたりする等、泥人形では初めて明確な意思を見せている。 太陽をよくつき合わせており、太陽の姿を借りて入れ替わる事もある。本や映画、人間の生活に興味を持ち、太陽にその協力をしてもらう。
初戦ではマジカル・マリーの姿で登場。さみだれ、南雲、風巻とフライタークを相手に圧倒する実力を見せた。2戦目では愛玩超人インコマンに変身して登場、騎士団を軽くあしらい、風巻の8体目の泥人形をも破壊した。最終戦では騎士団の猛攻に耐え切るも、風巻の3体の泥人形との相打ちに終わった。
ポジディオン
山よりも巨大な12個眼の泥人形で、「三神骸」の1つ。全身に無数のトゲが生えた人型で、太平洋上にアニムスが作り出した架空の島で騎士団と対決した。
騎士団全員の掌握領域を重ね合わせた最終領域「流れ星の矢(ネガイカナウヒカリ)」の第1射で左腕を吹き飛ばされながらも進撃するが、さみだれとエンデに阻まれ、第2射をくらい倒された。実際の強さは不明。
風巻の泥人形
ゾンダーク
風巻がアニムスに招待された夢の世界で作り出した一つ眼の泥人形。頭部に4本の牙があり、回転しながら突進する。太陽の因果乱流(パンドラ)で倒され、残骸はヘカトンバイオンに喰われてしまった。
ゾンダークはドイツ語で「日曜日」の意味。
モンターク
上半身が人型、下半身が獣型の二つ眼の泥人形。メインの武器は針のついた尻尾で、拳自体には対した威力がなく、騎士団の模擬戦に使われていた。メタゲイトニオン戦にも使われるも、尻尾の一撃で粉砕された。
モンタークはドイツ語で「月曜日」の意味。
ディンスターク
風巻がメタゲイトニオンに近づけて作った三つ眼の泥人形。主な武器は牙で、背中には模擬戦用の手刀を持つ。メタゲイトニオンの脚に噛み付きダメージを負わせるも、粉砕された。
ディンスタークはドイツ語で「火曜日」の意味。
ミッドヴォッホ
4本の腕を持つ四つ眼の泥人形。4本のうち上2つは普通の腕で、下2つは刃状になっている。ボエドロミオンの槍を喰らい破壊されるが、夕日の方天戟との同時攻撃で槍を破壊した。
ミッドヴォッホはドイツ語で「水曜日」の意味。
ドンナスターク
5本の腕とキノコのような頭が特徴の五つ眼の泥人形。頭部には南雲が手配した手榴弾が複数収納されており、対ピュアノプシオン戦でそれを使用して自爆した。
ドンナスタークはドイツ語で「木曜日」の意味。
フライターク
巨大な腕を持つロボットのような形状の六つ眼の泥人形で、風巻が上部に搭乗する。風巻の自信作であったが、マイマクテリオンに破壊されてしまう。
フライタークはドイツ語で「金曜日」の意味。
ゾンアーベント
風巻が夕日の描いたイラストを元に作り出した七つ眼の泥人形。ヘカトンバイオンを思わせる巨大な怪獣型で、両腕も顔になっているのが特徴。騎士団の前で披露され、三日月と白道を相手の模擬戦でも善戦したが、本気になった白道に破壊されてしまった(ちなみに本人には壊す気はなかった)。
ゾンアーベントはドイツ語で「土曜日」の意味。
フリューヒング
右腕が丸ごと巨大な銃身になった八つ眼の泥人形。左腕は牙の並んだ口のようになっており、左腕で砕いて飲み込んだ岩や土を弾丸にして右腕から撃ち出す。マイマクテリオンの隙を突いて背後からゼロ距離射撃の連射を浴びせるが、直後に破壊されてしまう。
フリューヒングはドイツ語で「春」の意味。
9つ眼、10つ眼、11つ眼
自らの能力の極意をつかんだ風巻が、マイマクテリオン戦で作り出した泥人形たち。風巻が「アニムスの泥人形の雰囲気に似せる必要も無かった」と悟った為、これまでの泥人形とはかなり意匠が異なり、9つ眼は木の怪物(本来の眼のほか、2つの眼と口を思わせる穴がある)、10つ眼は甲冑を纏った人間型の戦士、11つ眼は毛むくじゃらで右腕が巨大な怪物(頭部はアリクイを思わせる)の姿をしている。
3体同時に創造され、3体がかりでマイマクテリオンに挑む。全て破壊されながらも、マイマクテリオンを撃破した。
エンデ
巨大なクーの姿を模した12体目の泥人形で、風巻曰く「最も信頼できる形」らしい。
さみだれとともにポジディオンと戦い、流れ星の矢(ネガイカナウヒカリ)の第2射までの時間を稼いだ。直後のアニムスとの最終決戦でも戦ったが、アニムスの攻撃を受け粉砕された。
エンデはドイツ語で「最後」の意味。
ツークンフト
本来12体までしか泥人形を生み出せない風巻が限界を超えて作り出した13体目の泥人形で、その姿は巨大な風巻そのもの。限界を超えたためか風巻の疲労は相当大きいようで、創造後は髪が半ば白髪と化していた。
ツークンフトはドイツ語で「未来」の意味。

脚注

既刊情報

少年画報社刊、ヤングキングコミックス

  1. 2006年1月27日発売 ISBN 4-7859-2605-8
  2. 2006年9月27日発売 ISBN 4-7859-2687-2
  3. 2007年5月28日発売 ISBN 978-4-7859-2787-5
  4. 2007年10月26日発売 ISBN 978-4-7859-2872-8
  5. 2008年5月26日発売 ISBN 978-4-7859-2967-1
  6. 2008年10月29日発売 ISBN 978-4-7859-3050-9
  7. 2009年4月30日発売 ISBN 978-4-7859-3153-7
  8. 2009年11月10日発売 ISBN 978-4-7859-3262-6
  9. 2010年5月19日発売 ISBN 978-4-7859-3385-2

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