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愛しのアイリーン/新井英樹

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著者: 新井英樹
巻数: 6巻

新井英樹の新刊
愛しのアイリーンの新刊

最新刊『愛しのアイリーン 6


出版社: 小学館
シリーズ: ビッグコミックス


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

inuuaaaa RT @nimurahitoshi: とにかく『宮本から君へ』や『愛しのアイリーン』の新井英樹の新作『ひとのこ』は、キリストについての異様なマンガで、とてもおもしろい
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愛しのアイリーンの既刊

名前発売年月
愛しのアイリーン 1 1995-11
愛しのアイリーン 2 1996-02
愛しのアイリーン 3 1996-05
愛しのアイリーン 4 1996-07
愛しのアイリーン 5 1996-10
愛しのアイリーン 6 1997-01

愛しのアイリーン』(いとしのアイリーン)は、新井英樹の漫画作品。ビッグコミックスピリッツに連載された。 小学館から単行本全6巻が発売されたが、現在は重版未定で絶版扱い。後に大都社より全2巻で復刊された(現在ではこちらも絶版している)。また、コミックパークにて印刷注文対応がされるようになった。

概要

農村の少子高齢化、嫁不足、外国人妻、後継者問題、といった社会問題に真っ正面から取り組んだ作品。特に、国際結婚が内包している種々の問題に対しては丁寧に書かれている。終盤にかけては夫婦の愛情、母から子への愛情などにテーマが広がっていく。

あらすじ

農家を営む老齢の両親と暮らす宍戸岩男。まもなく42歳を迎えるが、いまだに独身である。
一人息子を溺愛する母・ツルは、毎夜、一人寂しく自慰を行う岩男の姿を覗き見ており、なんとか嫁をもらえないものか心配をしている。見合い話を持ち出そうとはするが、岩男は頑として応じない。

そのような折、同僚の吉岡愛子から、誕生日プレゼントとしてゴリラのぬいぐるみと手紙をもらう。岩男はすっかり舞い上がり、彼女への恋愛感情を抱くようになる。 しかし、吉岡愛子はその清楚で穏やかな見た目とは裏腹に、男性関係が非常に乱れていることを同僚の斉藤から聞き知る。 自身にとっての最後の恋、そして結婚のチャンスを確信していた岩男は、我を見失うほど取り乱し暴走してしまう。

そして岩男は思いを伝えるため吉岡愛子の家へ行き告白をするが、振られてしまう。このことがきっかけとなって、岩男は以前、社長からもちかけられた「フィリピン人との国際結婚」のことを思い出し、国際結婚斡旋会社ドラゴンブライダルを訪問。約300万円を費やし、フィリピン人のアイリーンと半ば自暴自棄に結婚を決めることとなる。当然、昔気質の母・ツルがそれを受け入れるわけもなく猛反対。アイリーンに対し嫌悪と激しい怒りを示す。まともに口を聞かないばかりか暴力を振るい、猟銃を向けるなど殺意すら顕わにする。岩男は何とかアイリーンから好かれようと模索したり、ツルからも守ろうとはするが、女性の扱いに疎いためかなかなかうまくいかない。また、ことあるごとに嫌がるアイリーンに性的関係を迫り続け、2人の気持ちも通じ合わない。そもそも言葉も通じず愛情もなく、なかば金で買ったような結婚関係もうまくいくはずがない。

そのような中、外国人女性を相手に女衒を営んでいると名乗る塩崎・ホセの2人組が現れる。 ツルに金を渡し、強引にアイリーンを連れ出そうとするが、岩男はそれを食い止めるため2人を思わず猟銃で撃ち抜いてしまう。 アイリーンと岩男は2人を山中に隠し家に帰る。取り返しのつかないことをしてしまった恐怖と不安を共有するようになったためか、2人はその日を境に結ばれるようになる。

一方、塩崎らの仲間から、岩男への嫌がらせが始まる。だんだんエスカレートしていく嫌がらせに、もともと気の小さい岩男は精神的に追い詰められていく。 極度の不安からか次第に性欲も暴走を始め、アイリーンのみならず女性と見るや誰かれかまわず関係を求めるようになり、特に吉岡愛子とは何度も関係をもつようになっていく。 毎日ビクビクしながら生きている岩男だが、この頃から日々、森に文字を刻み書き綴っていくようになっていた。

ある日、文字を書いている途中に足を滑らせてしまった岩男は後頭部を強打、そのまま亡き人になる。 岩男が死の際まで書き綴っていた文字、それは「アイリーン」であった。 数日後、アイリーンが岩男を発見。岩男の死体を見たツルはあまりのショックで気が動転、木に頭を打ち言語障害と下半身不随を患ってしまう。 アイリーンから介護を受けつつも、すべてはアイリーンがもたらした災厄だと信じるツルは、寝込みのアイリーンに包丁を向ける。しかし、誤って岩男の死体に包丁を突き立ててしまう。このことを悔い、ツルは死を決意する。アイリーンに姥捨てを求め、半ば脅迫に近い状態で自分を山へ運ばせるツルだったが、アイリーンから家に帰るよう説得される。しかし帰路の途中、アイリーンの中に宿っている岩男の子供を感じ取りながらツルは死を迎える。

5年後。アイリーンは別の男性と再婚していた。その腕の中にはその男性との間に出来た乳児がいる。 そしてそこへ駆け寄ってきたもう一人の子供の姿があった。 その子こそ、岩男とアイリーンの間に生まれた子供なのであった。

登場人物

宍戸岩男
宍戸本家の一人息子。42歳。山を隔てたパチンコ店スワンに勤務。体は人の倍近くあり怪力の持ち主でもあるが、おとなしく気が弱い。女性の扱いはまったく慣れておらず、きわめて純情である。アイリーンから好かれようと努力はするが、欲求を抑えきれず強引な態度に出て怯えられることが多い。精神的にやや未熟で弱い面があり、追い詰められたり大きなショックを受けると、大声を張り上げたり大暴れしたりと、興奮して暴走を始める傾向にある。暴走した際、入院してもおかしくないような大怪我を負うことも多々あるが、包帯を巻く程度で普通に生活できるほど丈夫な体をしている。
本来は上に3人の兄あるいは姉がいたことになるが、いずれも死産、早死をしている。ツルから溺愛されている理由はただ一人息子ということだけではなく、なかなか授からなかった子宝であった点にもあると思われる。
最初はアイリーンをただの性的対象としか見ていなかったが、物語後半においては木にアイリーンの名前を刻みつづけるなど、徐々に愛情を抱いていったのだと思われる。
アイリーン・ゴンザレス
ゴンザレス家の次女。敬虔なクリスチャン。登場時は18歳だが容姿は実年齢よりもかなり幼く見える。タガログ語だけでなく英会話も可能。性格は、人懐っこくて明るくおおらかでよく笑う、家族思いでまじめだが頑固、といったいわゆる「フィリピン人女性のステレオタイプ」な性格をデフォルメしたものと思われる。姉がマニラで働いていたが海ヘビにかまれ死亡。その際、金がないことを理由に病院にすら連れて行ってもらえなかったこと、日本人と結婚して裕福になった村人を見たこと、などから国際結婚を希望。家族のために岩男との結婚を決意した。しかしやや世間知らずな面があり、自分の状況を頭では分かっているのだが気持ちが割り切れていない。マリーンからもそのことは何度も指摘されている。作中も悩みを抱えつづける姿が描かれる。
初登場から序盤にかけてはよく大声で笑っており暴れまわる様から能天気な性格に見えるが、マリーンとの会話や終盤の行動などを見る限り、特に頭が悪いわけではないらしい。自分に対し偏見を持たない正宗や子供には心を開き、仲がよい。マリーンのもとで勉強したことで、後半ではカタコトだが日本語を話せるようになった。再婚し、2児の母となる。
宍戸ツル
岩男の母。里子に出された後、宍戸本家へ嫁ぐ。岩男を異常ともいえるほど溺愛する。気が強く喧嘩っ早い性格で、猟銃やキセルを片手に暴れる姿がよく見受けられる。特に岩男に危害を加える者と、アイリーンに対しては非常に攻撃的である。目的のためには手段を問わず、嘘泣きなども駆使する狡猾な面がある。岩男には幸せになってもらいたいと心から願っており、嫁に求める要望は高い。古く固定観念的な考え方の持ち主であり、物語の舞台となる閉塞した山村を象徴するかのような人物。
宍戸源造
岩男の父。痴呆が進んでおり、まともな会話がほとんど通じない。岩男がアイリーンを連れて帰国した日(岩男とアイリーンが飛行機内にいた時刻)に老衰死。死の直前にはツルとの新婚旅行を思い出しており、木材を切り出して思い出のゆり椅子を作ろうとしていた。一時、まともな意識をもった際の台詞より、いつまでも親元から離れられない岩男を気にかけ、強く一人前の男になってほしいと思っていたことが読み取れる。享年75。
吉岡愛子
スワンに新しく入った従業員。23歳。離婚しており2歳の子どもがいる。兄夫婦と母親と暮らしている。男性関係は乱れており、斉藤以外にも従業員2名との関係がある。「一生のお願い」という言葉と強引で野性的な男性に弱いらしく、岩男にも少なからず好意を抱いているが、真剣な恋愛は苦手。アイリーンと結婚後の岩男には嫉妬心を見せる。終盤に別の男性とかけおちする。
マリーン
スナックひぐらしで働くフィリピン人。クリスチャンであるが自分の仕事を罪として懺悔し、割り切って働いている。大阪で働いていたため大阪弁で話す。日本人との恋愛の末にできた子供が故郷にいる。
アイリーンに日本語を教えただけでなく、よき相談相手でもあり世間知らずなアイリーンを諭すことが多い。また、岩男とアイリーンの間柄を気にかけ、2人がうまくいくようアドバイスをするなど世話を焼いていた。終盤ではひぐらしへの摘発が入るとの情報が入ったため大阪へ夜逃げする。
塩崎裕次郎
女衒。相棒としてホセを連れている。格闘技にも長けており、いとも容易くアゴの関節を外すことができる。同性愛者。
良江
スワンの事務員。岩男に好意を抱いており、関係をもったことがある。
斉藤
スワンの従業員。女好きで軽い性格をしており、誰でも口説く。バツ2である。最近はフィリピン人バーに通い詰めている。おとなしくあまり口をきかない岩男と比較的会話をしている人物である。
正宗
龍昇寺の坊主。31歳。戒律に厳しくまじめで穏やかな性格をしている。ツルからも坊ちゃんと呼ばれ信頼されている。アイリーンとの相談や世間話をしている間に少なからず恋愛感情が芽生えたのか、ひそかに気持ちを伝えようとする場面もある。2人の仲を疑った岩男によって顔に傷をつけられ、アイリーンとは隔絶することになる。
真嶋琴美
当初、岩男と見合いをする予定だった女性。27歳。果樹園経営者の次女で漬物工場勤務。古風でまじめな性格をしているが、物事にはっきりと白黒つけねば納得いかないらしく、やや融通が利かない点も見受けられる。自動車の運転がきわめて下手である。岩男の結婚で一度は破談になった見合いだったが、ツルの計らいで再度、見合いをすることとなる(ただし当人同士は見合いとは思っていない)。