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機動旅団八福神/福島聡

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著者: 福島聡
巻数: 9巻

福島聡の新刊
機動旅団八福神の新刊

最新刊『機動旅団八福神 9巻



twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

gariana96 機動旅団八福神 6 #manga
gariana96 機動旅団八福神 5 #manga
KTetsuro RBはともかく、メチャクチャ趣味が一緒です!(笑)RT @mouiranaiyouuu: 最近読んだ面白かった漫画:  ライドバック 機動旅団八福神 018 ピンポン(神!映画も神!!) 青い春(映画のが良かったけどこれも良い) スケッチブック  
nyoron_t 機動旅団八福神 5巻に★をつけました! http://t.co/AVDArs0v #comicab #comic #manga
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機動旅団八福神』(きどうりょだんはちふくじん)とは、福島聡が月刊『コミックビーム』誌上で2004年8月号から2009年1月号まで連載していた近未来SF漫画。単行本は全10巻。重厚なタッチと難解なストーリー性が特徴であり、第九回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門の推薦作品に選ばれた。

後日談の「ロングロングアゴー」が隔月刊『Fellows!』誌上でvolume3からvolume7まで連載されており、『機動旅団八福神』第10巻として刊行された。

あらすじ

“中国”に侵略され属国となり“アメリカ”との戦争に邁進する近未来の日本。環東軍に入隊した名取不二雄は、第一機動旅団に配属された日、不思議な言動の白髪の少女と奇妙な容貌の人型兵器に出会う。その直後、彼らは“アメリカ”のビーム兵器に攻撃される。瀕死の重傷者を救おうと必死になる名取をよそに、少女は現場に現われた軍服姿の女性に促され、奇妙な人型兵器福神に乗り込み、敵へと向かう。

世界観

舞台は近未来、極東危機と呼ばれる緊張状態の後、「神の左手」と呼ばれる中国軍のハイテク兵器による全土への攻撃、通称極東の粛清を経験した日本が、“中国”が構築した汎亜細亜共栄圏の中に組み込まれた世界である。降伏文書を読み上げるべき天皇の不在のまま迎えた敗戦の後、“中国”からの攻撃によって疲弊した日本は、政治的にも経済的にも安定し、着々と復興を遂げているが、それはかつての盟友“アメリカ”との決別を意味した。

汎亜細亜共栄圏とは、“中国”が周辺諸国を飲み込む形で形成した連邦的結合であり、日本がかつて構築を目指した大東亜共栄圏的な性質(実質的には中心国である“中国”の覇権である、など)を持つ。日本の他にも、朝鮮半島やカンボジア、マラッカ海峡などの東南アジアなどが含まれており、それらの地域の防衛を担当するのが環東軍、環西軍、環南軍、環北軍である。米中対立の高まりに備えて、日本及びその周辺の防衛を担当する環東軍は旧自衛隊を中心に組織されているが、自衛隊自体は任務を災害支援と国内治安維持に限定されて防衛局内に復活している。しかし、国防の任務を環東軍に奪われたことから、自衛隊内には鬱屈した感情が溜まっている。

一方、“アメリカ”は世界の覇者たる地位を失いつつあり、更に極東における盟友、日本と韓国が“中国”の支配下に置かれたことから、再び極東における覇権を取り戻そうとして戦争へ進んでいる。“アメリカ”は未だに世界の技術の最先端であり、ハワイに拠点を置くアンチ=ニュートン社を中心に最新の兵器を開発している。

6巻までで、スイス、ユーロ連合、イスラエル、ロシア、インド、などの国が存在することが分かる。スイスには敗戦直前に天皇及び皇室が亡命している。

福神とリカオンについて

福神とは、環東軍とよつば重工業が開発したスーツタイプの人型機動兵器である。赤いずんぐりとした福神スーツの中には特殊なゼリーが詰められており、スーツを着用することで、操縦者の力を十倍にまで増大することが出来、またどんな砲弾や衝撃でも耐えることが出来る。環東軍ではこれらを輸送艇『宝船』で輸送することで機動的な作戦を可能にしている。 弱点は、どんなに衝撃に強くても刃物ではあっさりと切れてしまうこと、防御能力には長けている反面機動性に欠けるということ、そしてスーツ内に詰められたゼリー状の物体にはアレルギー反応があるということである。最初の問題はこれを克服する為の装甲を備えた新型福神が開発されたが、後者二つに関して言うと操縦者の先天的な能力に委ねるしかないのが現状である。

一方、リカオンとは、米軍と結託した軍需企業、アンチ=ニュートン社が開発した人型機動兵器で、骸骨を思わせるような白い細身のロボットを遠隔操作によって操縦し、更には半重力マシーンによる空中戦も可能であり、高い機動性を以って福神との戦闘で常に優位に立っている。鯨に擬装可能な原子力潜水艦リッコーヴァー号によって太平洋を横断して日本に侵攻してくる。

ファインマン博士らは、凶悪犯罪者など法律上人間ではなくなった人間の脳に手を加えてその体をリカオンの部品に使用し、人が死なない戦争を目指す。これを知った名取は、これを情報戦に利用して“アメリカ”の非人道性を世界中にアピールすることを思い立った。

登場人物

環東軍・汎亜細亜共栄圏

名取不二雄(なとりふじお)
福神隊隊長。黒縁眼鏡をかけた穏やかな容貌である。何事も深く考える思慮深さと、そこで得た信念を貫こうとする強情さを併せ持つ。人が死なない戦争を理想としており、人を救いたいという想いから軍に入隊。学生時代は友人がおらず、パシリにされることもあった。父親は精神病患者を雇う工場の社長だったが、息子が軍に入隊することを知った直後、自殺している。考え事をする時に口元に手をやる癖がある。2号機に搭乗する。
半井亜矢(なからいあや)
福神隊隊員。真っ白な髪を持つ少女で、無気力な言動が目立ち、命令が無ければ何もしない。しかしその戦闘能力は隊内随一であり、戦闘時には残酷なまでに生き生きとした表情になる。沖縄でゲリラの老婆に影響されて以降、精神的に変化の兆しを見せる。1号機に搭乗する。
王玲花(ウォンレイファ)
福神隊隊員。“中国”本国から派遣された留学生で、半井同様福神隊の主要戦力として期待されている。半井に悉く張り合ったり、上官の指示に歯向かったりするなど、一見気の強いように見えるが、実はそれによって自らの自尊心が傷付けられることを快楽としている、いわゆるマゾである。3号機に搭乗する。
布施幹夫(ふせみきお)
福神隊隊員。どんな人間でも顔を見れば性質が分かるという類稀なる観察眼を持つが、隊内一の変人で、突拍子も無い言動が目立つ。趣味はクラシック音楽。7号機に搭乗する。
“アメリカ”のスパイだと思われていた布施は、アメリカに亡命しようとする張六明の造反に際して、「本営諜報部特殊情報員七号」という本来の身分を明らかにし、彼を解任逮捕する。
向田兆治(むこうだちょうじ)
福神隊隊員。陸上自衛隊第一空挺団出身の屈強な兵士。格闘技や銃剣術、サバイバル術などに精通した最強の歩兵であるが、一方で喧嘩っ早い性格であり、自衛隊内で自らを持て余していたところに福神隊隊員の募集ポスターを見て志願した。4号機に搭乗する。
夏目宇宙(なつめこすも)
福神隊隊員。整った顔立ちを持ち、かつ話し上手なので、当初は隊内のムードメーカー的存在だったが、自分が昔住んでいた街(横田基地周辺と思われる)が極東の粛清によって焼き払われ、そこを生き延びたことからぶつけようの無い復讐心を抱いており、名取の正義感などに対して斜に構えて反目することが増えてくる。5号機に搭乗する。
弓削豪(ゆげごう)
福神隊隊員。地方出身の軍事マニアで、小銃分解以外に取り立てて目立った面が無い。その為訓練期間中に発狂寸前までに追い詰められるが、名取と触れ合うことで回復、無事念願の福神隊に配属される。6号機に搭乗する。
中道晶(なかみちあきら)
福神隊隊員。祖父は福神スーツの開発者、父は第一機動旅団衛生班班長。戦争が嫌いで、亡き祖父が開発した技術が戦争に利用されることを嫌う。凛々しい顔立ちに違わず熱血な性格で、隊員によくハッパをかける。唯一の救護兵で、白地に赤十字の入った福神に搭乗する。
四方田(よもだ)
福神隊の生みの親である妙齢の女性将校。階級は軍曹だが、福神隊の運用の全てを握るかなりの権力者。合理的かつ冷酷非情な考えの持ち主で、整った顔立ちに常に険しい表情を浮かべている。
中国本国の本営からの命で福神隊の顧問から外された四方田は、その後カンボジアで福神隊の前に再び姿を現した時には軍を辞め、大手NGOのプロトコールのメンバーになっていた。
張六明(チャオリゥミン)
5巻より登場。四方田の後任の福神隊顧問。階級は准尉。自尊心が強く、隊員全員の首に爆弾付きペンダントを着用させるなど、自らへの絶対的服従を強いる。移動手段に自転車を愛用している。
マラッカ海峡での戦闘時に宝船をリカオンに襲撃され、顔や体の左半分に大火傷を負う。その後、出世の道を絶たれたと思い込んで自暴自棄になった張は、アメリカに亡命しアンチ・ニュートン社に再就職しようと画策する。
白金(パイジン)
6巻より登場。双子の中国人の少女。白い髪をボブカットにしている。捕虜となった半井の代わりに1号機に登場する。
白紅(パイホン)
6巻より登場。双子の中国人の少女。白い髪をショートカットにしている。白紅は本国に送還された王の代わりに3号機に搭乗する。
長官
第一機動旅団の責任者。頼りなさげな小男で常にプルプル震えている。しかしいざ戦闘が始まると震えはぴたりと止み、冷静沈着に部隊に指揮を取る生粋の将校と化す。
雀健民(シャオケンミン)
第一機動旅団の中国軍人。スキンヘッドに顎髭と言う厳つい容貌。長官に対して軍上層部の意向を述べるという、いわば目付け役。日本人通訳を常に従えているが、片言の日本語なら喋れるらしい。
千年屋晴香(ちとせやはるか)
軍需産業のよつば重工業社長。蝶ネクタイを愛用するなど奇抜な言動が目立つ。福神の開発を担当している企業の代表者で、軍事機密に当たることにも触れる事が出来る。
実はアンチ・ニュートン社らが中心となる謎の組織のメンバーであり、奇抜な言動は全て計算の範囲内であった。

“アメリカ”

ノーマン=ヒューム :リカオン10号機のハンドラー。生まれつき足が不自由であるにもかかわらずリカオン隊のエースである。この世を支配するものに対する憎悪を抱いている。
活字中毒の母親と二人でルート15沿線に住んでいたが、ある日突然自我を失い、気がつくと母親を殺していたという経験があり、その後街で再び殺人衝動に駆られて大量虐殺をしたらしき記述がある。
ギャリー
リカオン11号機のハンドラー。神経質そうな顔の男で、戦いに熱中するきらいがある。アカマツをして騎士道精神が無いと言わしめた。
ブラウン
リカオン9号機のハンドラー。ゴリラのような厳つい顔立ちの男で、顔に違わず豪快な一面を見せる。
アカマツ
リカオン隊の隊長。日系人。人類が死なない戦争という考えを信奉している。
ジュリエッタ=ビアンキ
未来の出来事を予想できるという超能力を持つヒスパニック系の少女。アンチ=ニュートン社の近未来眺望戦略室の一室で暮らし、超能力を軍事利用に協力している。日本の横田基地にいたことがあり、その当時に夏目と出会い、互いに微かな恋心を抱いていた。
ファインマン博士
アンチ=ニュートン社の研究室にいる博士で、半重力マシンやリカオンを開発してきた天才。白目になることが多い。