死神くん/えんどコイチ
著者: えんどコイチ
巻数: 8巻
最新刊『死神くん 8』
『死神くん』(しにがみくん)は、えんどコイチによる漫画作品。フレッシュジャンプ、月刊少年ジャンプで連載された。ジャンプコミックス全13巻、愛蔵版及び文庫版全8巻。
「死神」として魂を冥界へ連れて行く役を務める死神くんが、老若男女問わず毎回異なる登場人物に対して生の尊さを訴え、召天させていくヒューマンストーリー。死期の迫った人間、あるいは死期が迫っていないのに死の淵にある人間がメインとなることが多い。各話一話完結形式のショートストーリーで構成される。
連載までの経緯など
週刊少年チャンピオンで『アノアノとんがらし』終了後、マンガ家として仕事が無かったえんどコイチは、仕事を貰うために集英社に原稿の持ち込みに行くも断られてしまう。その後、苦心して書いた作品(『STOP!ザ・じ・さ・つ』)が担当編集者の茨木政彦(後の週刊少年ジャンプ編集長)に認められ、フレッシュジャンプ83年6月号に掲載される。その後も半ば押しかけ持ち込みが続き、そのまま連載の形となった。
『真の教育』と『うそつき探偵団』の間、ネタ切れに困って半年間休載したこともある(その間の作品は西遊記をベースに幼い少女と仲間たちとの冒険を描いた『ミラクルプッツン大冒険』だった)。
フレッシュジャンプ休刊後、月刊少年ジャンプより連載継続のオファーが来てそのまま継続、ただその頃ネタ切れしていたこともあり1年半しか続かなかった。その後、愛蔵版や文庫版(時代の状況に合わせて一部の作品が全面改稿されている)と再版されている。
『神の選択』(4人の乗った自動車が事故直前で死神によって時間を止められ「この中の誰か1人が死ぬ」と告げられるところからストーリーが展開する)は、日本テレビ系のオムニバスアニメ番組「週刊ストーリーランド」第12回『この中の誰かが死ぬ』の原作となった。
文庫版では、本人の選んだ数本のみがリメイクされている。この理由は当時の絵があまりにも下手であるからとのこと。なお、4本指が5本指に変更されている。
主な登場人物
- 死神くん
- 死んだ人間の魂を霊界に運ぶ死神。また自殺しようとする人間を説得したり想定外の死者(誤死)を出すことの阻止も仕事のひとつである。服装はスーツに蝶ネクタイを締め、ソフト帽をかぶっており、子供みたいな外見をしている。
- 普段は番号表記で呼ばれており、一般に死神くんと呼ばれているのはNo.413号である。本名や個人的な詳細は一切不明。
- 戦場などでは死神が二人一組で行動するケースもみられる。つぶらな目をしたNo.404号も時々登場する。
- 「死は運命だからあきらめな」と言いつつ「運命は自分で切り開くものだ」と言ったり、これから死ぬ人間のリストを作っているカア助に「こんな若さで死ぬなんて可哀想じゃないか」と文句を言ったり、言動が一致しない。
- 悪魔くん
- 半年に一回のペースで登場した魔界の黒き悪魔、の割には死神くんに似てかわいい(依頼主のおばあさんからはダッコちゃん人形に間違われたこともある)。3つの願い事をかなえる代わりに願い事をした人間の魂を奪う仕事をしている。死神くん(No.413号)とは犬猿の仲(もしくは腐れ縁)。攻撃的な魔法も使える。悪魔くんにもルールがあり、死亡予定1ヶ月未満もしくはすでに死んでいる人間は契約が無効になる、というもの。死神くんと同じく非情になりきれない面があり、悪魔くんが自ら契約を破棄したケースも。
- カア助
- 規則に厳しく口うるさい霊界ガラス。元々は死亡予定者の身辺調査・報告担当だったが死神くんの監視役に異動される。人間に助けられるもその人間が死亡予定者だったので、それをかばおうとして他のカラスにいじめられ逆に再教育される結果に。
- 規則を時々破る死神くん(No.413号)に呆れてそれをとがめながらも共感する、死神くんの結構いい相棒。
- 最終回で、平和の使者である余命少ない少女の命を狙う暗殺者に撃たれるも、奇跡的に復活した。
- 主任
- 霊界の中間管理職。時々規則を破る死神くんたちに頭を悩ませている。西洋の宗教画にみられる死神のイメージに近い外見を持つ。ゆえに人間からもすぐ死神と認識され、部下の死神たちからは「さすが主任。有名人だなぁ」と評される。
- 最終回で、No.413号が最大のタブー(死亡予定者を守るためにそうでない人間(先出の暗殺者)の魂を抜き取り魂の緒を切った=殺した)を犯して最後の審判にかけられた際に、彼を助けた。
作品リスト(愛蔵版・文庫版)
カッコ内の全面改稿や追記は文庫版になって時代に合わせて全面改稿されたことを表す。
第1巻
- 死神くん登場!
- STOP!!ザ・じ・さ・つ ☆初の掲載作品
- 赤ちゃん狂詩曲〜ベビーラプソディー〜
- 戦場の天使(全面改稿)
- 新しき旅立ち
- 死神くんVS悪魔くん
- 帰郷(ケータイの使用など)
- 誘拐犯の娘
- 因果応報
- 中村さんの名医さん
第2巻
- 歌あるかぎり(登場キャラクターの名前変更)
- 偽善者
- 死神くんの山神様
- 40人の子供たち
- 国籍を捨てた地球人
- 無気力からの生還
- 老人の幸せ
- ふたりの父親
- 本物サンタクロース
- 心美人(連載当時、雪の描写で指摘があった)
第3巻
- 最後の疾走
- 女優
- 世界の宝
- おばあちゃんの空き地(全面改稿)
- 人生ラーメン
- ふたりの甲子園
- 愛の時効
- 4人の立場
- いじめの構図
- 海へ…
第4巻
- 正義の味方
- 家庭の味
- あこがれの私
- 自殺志願
- ボクらの委員長
- 神の選択
- 最後の一球
- 老兵は去らず
- やさしき男たち
- 大岡裁き(全面改稿)
第5巻
- 帰ってきた父ちゃん
- 娘どろぼう
- 忠犬ノラ公
- 最後のメッセージ
- 過去からの逃亡
- 取りかえっこ人生
- コンクリート・ジャングル(動物園のライオンの扱いが先入観〜子供ライオンを捕えて動物園で飼う〜で書いていて、実際〜動物園で飼育・繁殖する〜と全く違っていた為)
- 真の教育
- うそつき探偵団
- 母ちゃんなんかいなくなれ
第6巻(フレッシュジャンプ収録最終巻)
- なにかしようよ!!
- 生きる価値なしろくでなし
- ヒーロー先生
- 蛍祭り
- 霊界カラス カア助登場
- だまされ上手
- ひとりぼっちが三人
- 老人たちの反乱(当時の老人ホームへの偏見を排除し、現在の雰囲気を考慮)
- 前世の殺人
- 砂漠のナイチンゲール
第7巻(ここから月刊少年ジャンプ収録)
- 日本一の家族
- 老刑事の犯罪学
- 本当の自分
- ルール
- 人間不信
- 兄弟のキックオフ
- うそつき太(全面改稿)
- 生きがい
- ドロボウ息子の親孝行
- 山を守る銃声
第8巻(最終巻)
- 復活の絵
- ひとり歩きのクリスマス(全面改稿)
- 千秋楽結びの一番
- 命のザイル
- ノアの方舟
- ミッドナイトジゴロ
- カーテンコール
- ピーマン食べた
- 死神失格1