HOME > コミック > 火輪

火輪/河惣益巳

共有

著者: 河惣益巳
巻数: 8巻

河惣益巳の新刊
火輪の新刊

最新刊『火輪 第8巻


出版社: 白泉社
シリーズ: 白泉社文庫


火輪の既刊

名前発売年月
火輪 第1巻 2005-03
火輪 第2巻 2005-05
火輪 第3巻 2005-07
火輪 第4巻 2005-09
火輪 第5巻 2005-11
火輪 第6巻 2006-01
火輪 第7巻 2006-03
火輪 第8巻 2006-05

火輪』(かりん)は、河惣益巳の漫画作品。「花とゆめ」で連載された。白泉社からコミックス全17巻、文庫版は全8巻が出版されている。

概要

舞台となるのは中国をモデルとした架空の異世界で、道教神話の神々(厳密に見ると独自の設定が付加されている)が存在している。物語のモチーフは封神演義。主人公は謎の出自を持つ性別不明の半神ラン・リーアン。竜王剣の盗難をきっかけに中国と天界を写し絵のごとく進む物語。リーアンは四方将神の一柱・青龍である東海竜王の眷属として成長したが、彼の成人とともに、天界・地界は戦乱の世となっていく。

登場人物

ラン・リーアン(琅亮)
本作品の主人公。東海竜王の眷属として成長した出自不明の青年。白真珠の精であるパイリンの養い子。
人界に盗み出された竜王剣を取り戻すことを目的として活動するが、それをきっかけに自身の出自を知ることとなり、乱世の中心へと巻き込まれることになる。
当然のようにコアンを「傲兄」と呼んでおりコアンの自分に対する扱いを普通だと思っていたが、実際には破格なまでに特別扱いであり、つれなくされ孤独に苛まれるカイの嫉妬と憎悪の矛先となった。
実は、「竜王剣の3真珠」の長姉である金真珠の精ユイホワとファンリー公主の末裔である地仙タイ・ワンの子で、『豎眼』を持つ『黄龍』にして『麒麟』である。その血と能力はユイホワの願いにより、長い間、コアンとパイリンによって封印されていた。更には、カイの代替物に天帝に据えようとたくらむロンチーに担ぎ上げられた理由も、ここにある。

竜族

アオ・コアン(敖広)
四方将神の一柱、東の青龍。天界随一の眷属である竜族の長。
リーアンの父親代わりでもある。白真珠の精であるパイリンに思いを寄せていたが、五千年の時を経て漸く彼女への想いを断ち切り、そのパイリンの子であるカイの愛を受け入れ決してパイリンの身代わりなどではなくてカイ自身として彼女を正妃として娶る。
実は『黄龍』であり、『豎眼』の保持者。しかし、その事実を誰も知らなかった。
リーアンとカイからは親しく「敖兄(アオけい)」と呼ばれている。
シアン(祥)
コアンの父であり竜族の先代の王。パイリンをコアンの婚約者とした。パイリンの妊娠を知った際、昇竜山に籠もらせて密かにパイリンに出産させた。この子がカイである。
ファンリー(汎梨)公主
コアンの妹で、カイの婚約者だったが、兄とカイの関係を知り、愛想を尽かして人間に降嫁する。その末裔が碧の国主の一族である。故人。
ホン・イフェイ(紅依緋)
竜族の名門、紅(ホン)家の十妹(シーメイ)で普段はそう呼ばれる事が多い。「火竜」である。女ながら気性も激しく、強い戦士でもあり、竜軍の将を務める。称号は炎華将軍。リーアンを養育した一人であり、彼に想いを寄せるが、リーアンはシンシアと結ばれたために報われることはなかった。

竜王剣の三真珠

パイリン(白玲)
白真珠の精。三真珠精の末妹にして、未来の竜王妃、広の婚約者だった。コアンが恋しても見つめるだけだった時、その叔父ユウもまた彼女を愛していたため、悲劇が起った。
天帝カイの実母。リーアンの養い親。白真珠のイメージどおり無垢で繊細な心を持ち、外からの影響を最も受けやすい性質を持つ。受け入れ切れないときは自身の感情を封印し、元の真珠に戻ってしまうという不安定なものでもある。
但し、我が子カイに対してだけは別で、母とは知らずに破壊しようとしたカイが真珠態のパイリンを手に持ち『豎眼』を開いた途端、正気を失いながらも人型を再び取った。
ユウを殺された恨みを抱きカイを渡すまいとして、ヘイシャオに煽られ彼女に協力して水晶宮を震撼させる。しかし、コアンを守ろうとするカイが力尽き倒れたため、激しく動揺する。如何に自分とユウが与えた命でもカイはただコアンを愛するしかできず、怨恨の共有を拒んで静かに眠れと諭された。5千年の愛憎の果てに、我が子に抱かれて永遠に目覚めぬ「深遠の眠り」に就く。
昱花を「大姐(ターチェ)」、黒韶を「二姐(アルチェ)」と呼び、慕っている。
ヘイシャオ(黒韶)
黒真珠の精。情欲をそそる美貌を持ち、また情深く艶冶な美女。幼い玉皇太子・開を誘惑したとして天界を追放された。その際、真の事情を知らずに責めた昱花は、そのことを後悔している。人界で皇帝の寵妃となり、リュイ(分身)を産んで死に、黒真珠に戻ったとされる。水晶宮にいた頃は先の竜王シアンの愛人(アイレン)だった。永久に死ねない不死の身なればこそ怨嗟を必要としたが、コアンに転生を促された際は不死だから死ぬことさえ無理だと可能性の問題で拒んだ。しかし、『豎眼』の力で魂魄を引き剥がせば可能だと言われ、死を喜んで受け入れシアンの元へと逝く。
ユイホワ(昱花)
金真珠の精。清冽で凛とした美女で、西の果てにある遥地で暮らしていた。遥地での官職名は「九天玄女」。竜吉(ロンチー)を始めとする西王母の娘たちの養育係を引き受け(押し付けられ)た。特にロンチーからは「姐々(チェチェ)」と慕われている。
東の碧国の公子タイ・ワンと愛し合うが、18年前、突然姿を消した。

その他の神仙

ヤン・ジン(楊戩)
清源妙道真君の仙号を持つ若き仙人で、主人公リーアンの師。
仙人になる前(人の頃)は武人だった。一千年前、華に滅ぼされた辰王朝の王族で、皇帝就任の責から逃れるため玉鼎真人(仙人)に弟子入りした。かつて天帝カイに滅ぼされた鳳凰族の王で四方将神の一柱、南の朱雀の力と遺志を受け継ぎ、天帝と華王朝に復讐を誓った。しかし、所詮は他者の私怨ゆえに矛盾に苦しむ。リュイ蘇生のために朱雀としての命を代償とし、無益な怨恨から解放されて妻ロンチーの元に還った。
ロンチー(竜吉)公主
遥地の金母(西王母)の娘でジンの妻。
その美貌で天界人を惑わしたという罪により天界を追放され、鳳凰山に棲んでいた。
後にジンの子を身ごもり、母の後を継いで西王母となる。
ホー・シュン(胡勲)
四方将神の一柱、西の白虎。リーアンのよき友となる。リーアンからは「胡哥々(ホーココ)」と呼ばれる(「哥々」は「兄貴」ほどの意味)。育ての親でもあるユイホワに慕情を抱いている。
カイ(開)
天帝。無限の神通力を持つという額の第三の目『竪眼』を持つ『黄龍』である。後にコアンの正妃となる。コアンの父の弟である叔父・祐(ユウ)とコアンの正妃に定められていたパイリンとの間に生を受けるが、『豎眼』を持つ『黄龍』であったため、後継に窮していた先の天帝により実子とされ、実の両親から引き裂かれた。
玄武
四方将神の一柱で北の王。霊亀族の長で最後の生き残り。己の死期を覚り、リーアンに亀甲宝珠を託す。
ユーミン(悠明)
ロンチーに仕える女仙。リーアンに想いを寄せる。
彼女がリーアンに渡したある物が、彼の運命に大きな影響をもたらす事となった。

人間

華王朝

リュイ(律)
華王朝の第4皇子で後に宰相となる。皇帝の寵姫だった黒真珠の精ヘイシャオの生んだ皇子として宮廷で育つ。容姿はヘイシャオと瓜二つの超美人。
黒真珠(ヘイシャオ)を復活させるため、憎悪や怨嗟の“気”を集めるべく乱世を引き起こす。ヘイシャオが自身の卵子をベースに自分の記憶を植え付けた一種のクローン体であるため、オリジナル体のヘイシャオの目となり耳となって陰謀を巡らせた。しかし、ヘイシャオとは別個の存在であり、異なる心を宿すのでヘイシャオにしてみれば何の気概もないつまらない男に映るレンに惹かれてゆく。
先の朱雀の代替行為である復讐のためにジンに殺されてしまうが、リーアンの『豎眼』と共にコアンに迫られたジンの反魂術で再びレンの元に戻った。
レン・ソンツェン
華の凄腕の将軍。西方で生まれ、盗賊征伐の効により都へ召し出され皇子リュイの付き人となった。
リュイに心底惚れており、彼(彼女)のためなら魂すら捧げられると言い切る。その本性ゆえリュイに魅かれる者は多いが、男でも女でも構わないと言ったのは彼一人である。
『地仙』の才があり、それ故無欲で純粋な性格。
淡国討伐の際、リーアンの手にかかり命を落とすが、リュイの行なった反魂(はんこん)術によって、蘇生。最終回、ジンの反魂(はんこん)術で蘇生したリュイと再会を果たした。その後は、リュイと共に「いずれ、どこかの仙洞に放り込んでやろう」(広(コアン))と言う事から、仙界にいると思われる。
ショウ(寿)
華王朝の第3皇子。己の武勇に慢心し(実際にはレンら周囲の者たちのおべっかによるところが大きいが)「竜王君」と追従されている。粗暴で単純、嫉妬深い。リュイに操られて病弱な長兄と英明な次兄を殺害し、さらに父帝を弑逆して皇帝を僭称、乱世を招く元凶となる。リュイいわく「昏君(愚王)」。

碧国

タイ・ワン(戴望)
竜王アオ・コアンの妹ファン・リー公主を先祖に持つ東の大国碧の公子。地仙。
文武ともに群を抜いて優秀で、若くして「竜王君」と呼ばれ、周りからは国主となる事を望まれていたが、庶子であることを理由に弟に国主の座を譲り、海辺の岩屋へ隠棲した。それ故に地仙の力が目覚め老いることが極度に遅くなっている。ある日ユイホワと出会い愛し合うようになった。乱世のなかで自身の望まぬ立場に立たされる。
タイ・シンシア(戴杏沙)
セイの一人娘で碧国の跡継ぎ娘。
碧国娘子軍を率いる。美人で気が強く負けず嫌い。先祖であるファンリー公主に憧れを抱く。リーアンに対しては羨望混じりの嫉妬から来る対抗心を抱いていたが…。後にリーアンと結婚する。
タイ・ヤン(戴洋)
碧の国主。ワンとセイの父。老獪で抜け目が無いが、シンシアには甘いところもある。
タイ・セイ(戴綵)
ワンの弟。兄を心から敬愛しており、彼を差し置いて国主の座に就くことを頑強に拒み、事あるごとにワンの帰還を望んでいた。華軍との戦いで戦死する。

朱国

サン・テイ(桑締)
南の大国朱の国主。実はジンと実質上の彼の妻である侍女アチェンとの間に生を受けた子の末裔である。幼少の頃、華の王都舜に留学しており、タイ・ワンと面識がある。彼を敬愛し、新帝国の皇帝に就くことを望む。
イ・カン(怡敢)
朱国の将軍。ギョロ目に髭だらけのいかつい顔が特徴。有能な武人で、テイのよき片腕。己の武勇に自信を持つが慢心はせず、リーアンに叩きのめされた時も素直に賞賛し、以後彼をすっかり気に入ってしまった。

淡国

同国(及び西方域)の出身者の容貌は西洋人風であり、名前も他の「姓+名」ではなく「名+姓」の西洋式で、漢字表記はされていない。

イシク・トゥル
西の大国淡の国主。レンの率いる華の淡国討伐軍をリーアンの手を借りて一度は退けるが、再度来襲した華軍に国もろとも滅ぼされる。
アディリナ
表向きはイシクの異母妹だが、実はイシクと彼の侍女となった女奴隷(レンの母)との間に生を受けた愛娘。レンの異父妹に当たるが、彼がそれを知る事は無かった。生まれつき病弱で、レンの来襲直前に病没する。無自覚ながらリーアンの初恋の相手であった。
アディリナの母
イシクの侍女で初恋の人だったが、先父国主であったイシクの父に奪われ、数ヶ月の後にアディリナを産む。実はレンの生き別れた母親だった。シュホンに村を襲われ、夫を殺された後に淡国に売られ、奴隷として淡国城に買われたのだった。亡くなる直前、アディリナに「ずっとイシクさまが好きでしたと、伝えて。」と遺言する。

書誌情報

『火輪』白泉社(花とゆめCOMICS)

  1. 1992年8月25日 ISBN 4-592-12261-5
  2. 1993年1月25日 ISBN 4-592-12262-3
  3. 1993年6月25日 ISBN 4-592-12263-1
  4. 1993年11月25日 ISBN 4-592-12264-X
  5. 1994年4月25日 ISBN 4-592-12265-8
  6. 1994年7月25日 ISBN 4-592-12266-6
  7. 1994年11月25日 ISBN 4-592-12267-4
  8. 1995年3月25日 ISBN 4-592-12268-2
  9. 1995年6月25日 ISBN 4-592-12269-0
  10. 1995年9月25日 ISBN 4-592-12270-4
  11. 1995年11月25日 ISBN 4-592-12278-X
  12. 1996年3月25日 ISBN 4-592-12279-8
  13. 1996年7月25日 ISBN 4-592-12307-7
  14. 1996年10月25日 ISBN 4-592-12308-5
  15. 1997年2月25日 ISBN 4-592-12326-3
  16. 1997年6月25日 ISBN 4-592-12327-1
  17. 1997年9月25日 ISBN 4-592-12328-X 同時収録 熱砂流

『火輪』白泉社(白泉社文庫)

  1. 2005年5月15日 ISBN 4-592-88451-5
  2. 2005年7月15日 ISBN 4-592-88452-3
  3. 2005年9月15日 ISBN 4-592-88453-1
  4. 2005年11月15日 ISBN 4-592-88454-X
  5. 2006年1月15日 ISBN 4-592-88455-8
  6. 2006年3月15日 ISBN 4-592-88456-6
  7. 2006年5月15日 ISBN 4-592-88457-4
  8. 2006年7月15日 ISBN 4-592-88458-2