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狂四郎2030/徳弘正也

共有

著者: 徳弘正也
巻数: 20巻

徳弘正也の新刊
狂四郎2030の新刊

最新刊『狂四郎2030 20


出版社: 集英社
シリーズ: ジャンプコミックスDX


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

katze0118 ずっと狂四郎2030読んでるわ。 この人の漫画はホントに心にくる。
minto_1021 最近、狂四郎2030という漫画を読んでる。下ネタ満載だけどよく読むと内容はかなりシリアスで考えさせられる内容。
comicBUNKO RT @omame_shiba: お豆しばフォロワーに推薦する三大漫画『寄生獣』『狂四郎2030』『藤子F不二雄SF短編』どれも下品だったりエグかったり理屈っぽかったりするけど、そこらへんはお豆しばフォロワーなら耐性あるはず。自分の価値観が変わるくらい面白いから是非読んでみて!
comicBUNKO RT @na2kan: 好きな漫画トップ3というか人にオススメしたい漫画トップ3は「北斗の拳」と「エリア88」と「狂四郎2030」なんだけど、一般人には大変オススメしづらいラインナップになってるっていうね…。狂四郎は是非若いうちに読んでほしい素晴らしい作品だけど、とても1 ...
comicBUNKO RT @honekaga: 『元ネタ紹介 『狂四郎2030』 徳弘正也:作』 http://t.co/mTyQK3CjIb こんなんだったんだ

狂四郎2030の既刊

名前発売年月
狂四郎2030 1 1998-04
狂四郎2030 2 1998-07
狂四郎2030 3 1998-11
狂四郎2030 4 1999-04
狂四郎2030 5 1999-08
狂四郎2030 6 1999-12
狂四郎2030 7 2000-04
狂四郎2030 8 2000-09
狂四郎2030 9 2001-02
狂四郎2030 10 2001-06
狂四郎2030 11 2001-10
狂四郎2030 12 2002-02
狂四郎2030 13 2002-06
狂四郎2030 14 2002-10
狂四郎2030 15 2003-02
狂四郎2030 16 2003-06
狂四郎2030 17 2003-10
狂四郎2030 18 2004-02
狂四郎2030 19 2004-06
狂四郎2030 20 2004-10

狂四郎2030』(きょうしろう2030)は、徳弘正也による近未来SF冒険漫画。

概要

「スーパージャンプ」にて1997年21号より2004年16号まで連載された。

遺伝子が全ての優劣を決めるという思想、徹底的な管理社会、人殺しの心理、「理想郷」が抱える矛盾など、人間の持つ負の側面に深く踏み込んだ骨太なストーリーに加え、どんなにシリアスな場面でもギャグを挟むのを忘れない作者のスタイルも健在である。あおり文では当作品を「近未来SF冒険SEXYバイオレンスラブロマンスせんずりコメディちんこ漫画」と表現した。

ひたすら暗く絶望的な世界観の中、狂四郎とユリカの「逢いたい」という一途な想いを貫く姿と、狂四郎の相棒バベンスキーの存在が、人間の心の強さを表現している。

あらすじ

第三次世界大戦後の日本は優生学思想を背景としたゲノム党の独裁により男女隔離政策がとられる徹底的な管理社会となっていた。そんな中、元軍人で巡査の廻狂四郎はバーチャルSEXマシンを介して知り合った志乃(ユリカ)に逢うため、関東から北海道の中央政府電子管理センターを目指す。

登場人物

主要登場人物

廻狂四郎(めぐり きょうしろう)
誕生してすぐにM型遺伝子異常者として両親から引き離され、関東厚生病院に入れられる。そこで兵士としての訓練を積み、14歳で空軍少年航空隊に入隊。第三次世界大戦では各地の激戦をくぐり抜け、後期はMAS(陸軍特殊部隊)隊員として要人暗殺や破壊工作で活躍。本来なら少佐以上の地位に就いてもおかしくない軍歴・戦功だが、M型遺伝子異常レベルAという出自の為、戦後は治安警察の平巡査、しかも最も過酷な「敗残兵狩り」という軽輩に留まっていた。
狂四郎の唯一の慰みはバーチャルSEXマシンの仮想世界内で出会った志乃。その志乃が現実に存在する女性であることをバベンスキーから知らされると、志乃にプロポーズをし、インターネット上で祝言を挙げる。だが次第に現実の志乃=小松ユリカに逢いたいと思いが募り、彼女がいる北海道の中央政府電子管理センターを目指す。それは、国家反逆者として治安警察に追われることを意味していた。
実戦経験もさることながら、仮想世界内での稽古により武芸百般に通じている。又、関東厚生病院時代で行われた訓練によって、神経性の毒ガスや、様々な毒に対する耐性を持ち合わせている。身体上の特徴として、尻に縦横に刻まれた傷があるが、13歳の時に関東厚生病院に末光博士が視察に訪れた時、無礼をはたらいた罰として尻叩きの刑を受けたことによるものである。狂四郎は単に末光博士を鋭い目つきで見てしまっただけだったが、末光博士が立腹したため、狂四郎は厳しい仕置きを科せられることになった。狂四郎少年は病院の中庭に据え付けられた懲罰台の上に腹ばいに縛りつけられ、ズボンとパンツをはぎ取られて尻をむき出しにされた。そして大柄な看守2人によって尻叩きの刑が執行開始となった。この罰は竹刀で裸の尻を何百回も打つもので、狂四郎少年の白くなめらかなむき出しの尻は次第に真っ赤に腫れあがり、ついには尻の皮が破れ、血が流れ出すほどであったが、狂四郎は脂汗を流しながら歯を食い縛って、むき出した尻への数百叩きという、つらく恥ずかしい刑を耐え抜いた。この過酷な尻叩きの刑の結果、狂四郎の尻には一生消えない傷跡が残ってしまったのだった。
大戦末期において暗殺に従事するようになってからは精神を病み、女性や幼児すら躊躇無く殺す殺人マシンのような人格になっていた。普段はお気楽な性格をしているが、ひとたび戦いとなれば当時の人格が揺り起こされ、冷酷な殺し屋と化す。本人はそのことにひどく苦悩しており、自分を「人間」として繋ぎとめてくれるユリカに安らぎを見出す一方で、彼女にだけは殺人鬼としての自分の顔を知られたくないと思っている。
小松ユリカ(志乃)
男女隔離政策の緩衝材であるバーチャルSEXマシンの管理を行う公務員。食料省電子室に勤めるA級プログラマーだが、M型遺伝子異常レベルCのため下級公務員に留まっている。
魅惑的な肉体の持ち主のため、16歳の時から上司より性的虐待を受け続けてきた(なお作中で確認できる限り、彼女に性的虐待を行った人物は全員殺されている)。バーチャルSEXマシンの仮想世界内でなぜか剣術の稽古にあけくれる変わり者(狂四郎)に興味を抱いた彼女は、江戸時代の武家の娘・志乃として仮想世界に入り込み、狂四郎と出会う。
料理は苦手。
バベンスキー
八角清高のクローン脳を移植され、博士の知識を吸収した天才犬。犬種はラブラドール・レトリバーらしい。
彼の脳は博士のクローンに再移植されるはずだったが、博士の急死で命をとりとめる。その際に狂四郎と知りあい、行動を共にする。バベンスキーの名は博士が倒れた際にバビンスキー反射(作中では『バベンスキー』と表記)を試したことから狂四郎に付けられた。
博士の知識だけでなく家族や知人に対する感情も一部引き継いでいる。本作きってのツッコミ役であり狂四郎の最高のパートナーとして、二人三脚で北海道を目指す。
後に、育ての親でもある八角博士の生家で博士がM型遺伝子理論の提唱者である事を示す記念碑を発見し、博士の研究が後のゲノム法のきっかけになっていた事を知り、愕然とする。
飛鳥
中央政府電子管理センターにあるバーチャルSEXマシン管理用コンピュータ。狂四郎たちの仮想世界内における生活に感情移入し、バベンスキーと共に彼らのブレーン役となる。「彼」によると、M型遺伝子異常者とはゲノム党独裁政策のための方便にすぎないという。なお、外見は東映時代劇スターだった中村銀之助の若い頃がモデル。コンピューターながらそうとう機微に富み、時折ジョークを飛ばすなどもするお茶目さも見せる。なお、彼の現実の姿は超大型のスーパーコンピューターである。

各編を通して登場する人物

八角清高
M型遺伝子理論を提唱した天才博士。(その名の通り)顔の輪郭は八角形。第三次世界大戦を予見し、幼犬(のちのバベンスキー)とともに隠遁生活に入る。機械工学や物理学にも通じ、タイムマシンの開発も行っていた(実際に稼働するかは不明)。自分のクローンを作り出し脳以外の器官の入れ替えをして延命していた。バベンスキーの脳を移植しようとしたが脳出血により死亡する。
二条憲政
日本国総統にしてゲノム党党首。同時に陸海空の三軍の全権を握る。日本を狂気の世界に変えた元凶。民主制の欠点を知り尽くしており、大衆の欲望を叶えるふりをしながら自らに有利な法案を成立させていったカリスマ政治家にして、大衆の圧倒的な支持を得ながら不要となると粛清を決断した歴史上、前例のない独裁者でもある。不老化手術に失敗し、大戦開始1年前には生きる屍のようになった。治療を受けている間に腹心の部下であるゲノム三将たちに実権を事実上簒奪され、全快した頃には既に地下宮殿に幽閉されていた。その為、再び権力を掌握する事に執念を燃やし、ゲノム党とは一定の距離を持つ旧自衛隊系秘密結社まほろばとの密約・協力でようやく外に出るが、それは予め内通者密告情報で状況を把握していたゲノム三将の罠として逆用され、惨めな失脚をする。
赤堀宗佑
国務大臣。ユリカをなぶり者にしてきた男達の一人。八木が登場するまでユリカの法律上の夫だった。性処理に利用していた女性に男根を食いちぎられてしまったため、性的不能に陥り、また女性に対する恐怖もそれによって生まれている。身分が上の者に対してはだらしなく、プライドにもまるで執着しない。アルカディア編にて脱税が発覚し二条ひかるに一族郎党打ち首にされてしまう。
赤堀早紀
赤堀の娘だが、父親からの命令で性の調教師をやらされており、かつてはユリカの調教も目論んでいた。父親似の不美人だが、意外と温厚・善良で人当たりも良く、宗佑に陵辱されるユリカに同情し何かと便宜を図ってやっていた。アルカディア編にて父の汚職の連帯責任を負わされ、打ち首にされてしまう。

八木編

八木少将
戦闘能力やカリスマ性が高い陸軍の若き少将。遺伝子的に完璧な人間とされる。ユリカに好意を寄せるが、動物じみた愛欲の

ためにユリカから気持ち悪がられ、嫌悪される。ユリカと狂四郎の関係を暴き、軍隊の総力を挙げて狂四郎を処刑しようとするが、ユリカの挑発に乗って単身福島まで狂四郎征伐に向かう。「完璧な人間」という歪んだ存在であるために、ユリカには時折トカゲ人間のようなグロテスクな姿に見えていた。

いずれ起こると予測される最終戦争のために造り出された人間。自らが造り出された目的と政府首脳の真意を知り、戦争がなくなり政府に切り捨てられる前に、同じく遺伝子操作を施された空、海軍少将と共にクーデターを起こそうとするも、彼自身の死によって未遂に終わる。異常なまでの回復能力を有しており、狂四郎から受けた刀傷、首を落とされても死なないなど人間離れしている。死後、殺し損ねた末光博士によってクーデターの計画を暴露されそれまでの功績を抹消された。なお狂四郎との戦いに負けた時のために録画したビデオでは生まれたときから『完全』を求められ続けてきたことへの苦悩をユリカに告白している。「完璧」とされてきた彼もまた、ゲノムに翻弄された哀れな歯車のひとつに過ぎなかった。
末光博士
八木を造った天才遺伝学者。ユリカに遺伝子手術を受けさせるために八木が呼び寄せた。自らの遺伝子から八木を造り出したため、彼の父親ともいえるが、受精卵の段階で様々な遺伝子操作を行っているため、遺伝子学上の繋がりはない。狂四郎の尻の傷は、些細な理由から末光博士が部下に命じて付けさせたもの。
桜子
八木の精子を受け入れる為だけに造られた女性。ユリカを目の仇にする。
八木とは異なる遺伝子操作(環境耐性)を施された。八木と同じく、ユリカの目にはニワトリ人間のように映っていた。

白鳥編

いつものように追っ手と戦う狂四郎は、ある時敵の一人に見知った顔を見つける。彼は、狂四郎が厚生病院で軍事訓練を受けていた頃の親友、白鳥みつるだった。再会を喜ぶ狂四郎に、しかし白鳥は刀を突きつけ、「国家反逆病が発病したな」と言い放つ。白鳥は未だゲノムの洗脳下にあり、たとえ旧友と言えど殺すしかない立場にあったのである。狂四郎は白鳥を説得し、元の親友に戻る事ができるか…。

白鳥みつる
陸軍上等兵。狂四郎とは関東厚生病院時代の親友。狂四郎と同様に高い戦闘能力を持つものの人殺しが出来ず、大戦中は衛生班として専ら死体運びの日々であった。討伐部隊の一員として11年ぶりに狂四郎と再会する。人は殺せないものの格闘、刀剣、銃の扱いに優れ銃に関しては数キロ先の標的もピンポイントで狙撃できる程の腕前。最初は狂四郎を殺すことだけを考えていたがマイカの純粋な愛に触れ、最終的には捕らえにきた兵士からマイカを守るため狂四郎と共闘する。
マイカ
男性との性行為のためだけに生み出された、遺伝子操作によるデザインヒューマンで、自主的に行動したり、話をすることは遺伝子的に不可能とされている。だが、後に自我の目覚めと会話能力が生まれつつあるような描写がある。
反政府の人間を追跡するためのおとり(白鳥班が監視)として野に放たれ、狂四郎に保護されるが、後に白鳥の内面に惹かれ愛し合う仲になる。
有島博士、石川球太、山崎まゆ子
反政府軍として脱走者の救援活動を行う。元はゲノム党員として遺伝子研究を行っていた。
バル
極地戦闘用歩兵に開発されたデザインヒューマンだったが、自我を持って生まれたために廃棄されていた所を反政府軍に救われる。
当初は言葉を話すこともままならなかったが、有島達の献身的な介護と教育により、言葉と自我を完全に身につけた。
北島大尉
かつて戦場で白鳥に助けられて出世した男。しかしその事を公にされる事を恐れ、白鳥の抹殺を謀る。
M型遺伝子異常の存在を、全面否定か全面肯定(但し、反社会的・ネガティブなモノとして)のどちらかにしか置かれない作品世界に置いて、M型遺伝子異常の有益性・優秀さとしての肯定(但し、自分の為に利用する域は出なかった)を行った唯一の登場人物だった。

オアシス農場編

電子特殊開発室に出向を命じられたユリカは、そこに勤めるハルの頼みで、さおりという少女を救出するよう、狂四郎に仲介する。
それを承けた狂四郎はオアシス農場に潜入し、そこで目の当たりにした一般国民の過酷な生活と恐るべき思想教育、そして生まれて初めて生身の女性との性体験に心が大きく揺れる。
ハル
電子特殊開発室に勤める天才プログラマーだが、M型遺伝子異常レベルBのため下級公務員。自称、子供の心を忘れない32歳。
特権階級の女性専用バーチャルSEXマシンの開発をしている。
彼が開発したバーチャルSEXマシンは視覚、聴覚はもちろん、触覚、嗅覚までリアルに体感できる。
自分の家族であるさおりを助けるために、ユリカそして狂四郎を利用しようとする。狂四郎、ユリカ同様さおりに直接会ったことは無い。
さおり
周りの子供達が思想教育により洗脳される中、ただ一人でそれを拒み続けた13歳の少女。
その姿に胸打たれたハルにより、学ぶ機会を得て、知識を得たが、結果的に現実がどれ程残酷なものなのかを知ってしまう。
そのため、この現実を作り出した大人達に対して、強い不信感を抱いている。学問によって得た知識ばかりを信じる狭量さのために、大人達が体を張って自分たち子供を守ってくれる事実にも気付かずに、知識の少ない大人たちを軽蔑していた。
容姿のモデルとなったのは十代前半あたりの頃の安達祐実。狂四郎をバーチャル世界と現実世界両方で接触した初めての人物。
アザミ
売春グループのリーダー。彼女達は農場を監視する兵士達に身体を売っているが、その目的は老人や精神崩壊した女性達のノルマ緩和のためのお目こぼしや、兵士達が子供達に対して性的な接触を持たせないようにするための防波堤となることである。
字の読み書きが出来ないため、さおりからは特に嫌われている。
狂四郎に惹かれ、脱出計画に協力する。23歳。
天宮大尉
バーチャル教育ソフトの教師のモデル。さおりたちのいるオアシス農場に所長として新しく赴任した。冷酷無比で不要と見なした人物は、実戦兵士以上の射撃の腕で有無を言わさず射殺する。

秀明編

狂四郎は旅の途中、化け物じみた不気味な人間が兵士を襲っている場面に出くわす。見かねて兵士に加勢し、化け物を追い払うが、助けた相手は、バベンスキーの脳の元の持ち主・八角博士の息子である秀明だった。助けられた八角秀明は、反対派であった自分がなぜゲノム支持に転んだのか、いかにしてゲノム優生保護法が可決されるに至ったのかを語り始める。

八角秀明
八角博士の息子で陸軍大尉。“S”に瀕死の重傷を受けたところを狂四郎達に救われる。
優れた人格者で、恩人である狂四郎のために一肌脱ぐ。娘のみずほを溺愛している。
M型遺伝子理論を提唱した父に反発し、ゲノム優生保護法反対運動に身を投じるが、その象徴とされていた青年がM型遺伝子理論の通り殺人事件を起こしたため(しかも犠牲者は秀明の母であった)、ゲノム支持に転向する。
八角さくら
秀明の妻で陸軍中佐。“S”討伐プロジェクトの責任者。
結婚前は「花園さくら」の名前で女優をしていた。
マインドコントロールのプロフェッショナルとして、ゲノム党発足直後から諜報活動を行うエージェントだった。夫である秀明にも施し“S”討伐に向かわせた。
八角みずほ
秀明とさくらの娘で陸軍中尉。秀明からの愛情を受けて心優しい娘に育った。
父を心配する余り、軍を飛び出し、父を助ける。さくらが秀明にかけるマインドコントロールには気付いており、さくらのことを魔女と言っていたが、さくらに対する愛情も捨てきれずにいた。
胸が薄いため狂四郎の好みからは外れていた。
“S”
戦闘用デザインヒューマン。自分より強い相手と戦うことで自らを進化させ、加速度的に強くなる。農場や巡査を襲って殺戮を繰り返す謎の存在。イギリスが日本への破壊工作活動のために投入したとされ、データを取られている可能性があるために、最新鋭の兵器で片を付けることができない。と言われているが、実は…
亜田ジューク
2004年にM型遺伝子異常レベルA(国家反逆病)に第1号認定された。当時は17歳の男性。
M型遺伝子理論に反対する勢力により、反対運動の象徴として保護されていたが、東京ドームにおいてチャリティコンサートが行われた際、観客達の目の前で、ゲノム優生保護法に反対する野党・民々党の鷲山一郎代表と八角清高の妻・良江を殺害(東京ドーム殺人事件)。この事件がきっかけで、世論は一気にM型遺伝子理論支持に傾き、ゲノム党が政権を握るきっかけになった。なお、彼が殺人事件を起こした本当の原因と背景に、ある陰謀が張り巡らされている。

アルカディア編

憲兵と交戦中の狂四郎を突然助けた謎の飛行船。それは、ゲノム党の支配が及ばない離れ小島に築かれた小さな国家「アルカディア」の人間だった。デザイン・ヒューマンの失敗作「フェンリル」が跋扈し人の住めない場所として見捨てられた島に築かれた夜警国家。そこでは、全ての住人が各々の才能を発揮し、リーダーのユウキの下、一丸となってフェンリルと戦い平和を保つ理想郷だった。リーダーのユウキは、狂四郎の戦闘力を見込んで、アルカディアの一員となり、一緒にフェンリルと戦わないかと持ちかける。狂四郎は、ここでなら志乃と一緒に平和に暮らせるかもしれないと希望を抱くが…

二条ひかる
二条憲政の息子で行政監察官。役人の汚職を取り締まる立場にあり、その権力は相手に疑惑を抱いただけで死刑にできるほど。父親からの命令で、自ら罪人の首を刎ねてきたが、そのせいで精神のバランスが崩れ、たびたび自分が斬首して来た人々の幻影に悩まされている。ただしそれは、罪悪感というよりは殺しに慣れていないだけだと狂四郎は推測している。
その精神は、もはやバーチャルマシンですら気晴らしにならないほど深く病んでおり、仕事のストレスのはけ口として「アルカディア」を作りだした。アルカディア内ではユウキと名乗り、皆から慕われるリーダーとして振舞っている。そこでは自分は作戦を立てて指示するばかりで、数多くの島民が死んでゆくことも一切意に介さずストレス解消をしていた。
自らの精神に限界を感じた彼は、ユリカを人質にして狂四郎と狂言を演じ、名誉の負傷と見せかけて軍を退役しようと企むが、失敗に終わった。
山下雅人
海軍少佐でミンダナオ海戦の英雄。二条ひかるの身辺警護と、アルカディアの勇者としての役割を持っている。アルカディアの存在意義を知る唯一の人間で良心の呵責に苛まれ、めぐみに全てを打ち明けアルカディアの人々の生活を守る為フェンリルと戦い続けている。最初は狂四郎に対し警戒していたが、彼の戦争での功績を知るうちに彼に対する考え方が変わるようになる。
めぐみ
ユウキ(二条ひかる)のアルカディア内の妻。ユウキ(ひかる)よりも山下に惹かれており、山下に全てを打ち明けられた彼女は自分たちが生き残る為にゲームを続けていくことを示唆する。狂四郎をアルカディアの秩序を乱す異物として排除しようとした。

北海道編

北海道に上陸した狂四郎は、手探りで地雷除去をするデザインヒューマンの僧侶、無明と出会う。彼にも救い出したい家族がいると知った狂四郎は、互いの技術と人脈を持ち出し、中央政府電子管理センターを目指す。

光明、無明
極秘のデザイン・ヒューマン計画によって誕生した双子の兄弟。兄の光明は超天才だが外見は老化した子供。老化し幽閉状態の二条憲政の主治医も兼ねている為、唯一、二条と対面でき、その立場を利用して二条の復権工作と自らの院政を目論む。弟の無明は肉体的には完璧な容姿を持つ人間であったが、原因不明の病を発症し外見的に醜くなってしまい地下要塞から追放されて自暴自棄になっていたところを最海に救われ、僧侶になった。兄とテレパシーによって連絡を取り合っている。
ゲノム三将
二条憲政の腹心の三人の部下。それぞれ陸海空軍を統括する。二条が老化により行動不能になっている間に欲が出て、二条憲政を幽閉しトロイカ体制で政治の実権を完全に奪った。作品でははっきり描かれていないが、光明からは、3人が互いに牽制し合いいつかは2人を追い落として権力の独占を狙っている事を看破されている。西条の内部告発によりまほろばの作戦を逆に利用し二条憲政の権力を失墜させる。
西条
表向きは乱暴者の軍曹だが裏では「まほろば」の工作員。狂四郎のMAS(陸軍特殊部隊)時代のパートナー。狂四郎の過去を知る人物の一人。
ユリカが「まほろば」に関する情報を集めていた際、その工作員の中に自分がいなかった事で自分の扱いの軽さに嫌気が差し、ゲノム三将に「まほろば」の内情を告発。その功績を認められ大尉までのし上るが、自分の女にしようとしたユリカに殺されてしまう。
最海
地上に追放された無明を世話した和尚。実は、無明を監視する為極めて巧妙に仏門者を装ったゲノム党工作員だった。
米内元帥
旧自衛隊の中では、現ゲノム体制で最も高位に上り詰めた一人。旧自衛隊員には神格化されており、狂四郎の様な旧自衛隊系以外の軍人出身者からも敬愛されている。先細りにある旧自衛隊派をまきかえすために秘密結社「まほろば」を結成運営する老人。見た目は温和で、語り口は聡明そうだが実は心中の差別感情は高く、残虐性を秘めた老人。

用語解説

バーチャSEX
バーチャマシンによる、実在しない相手の性交。生身の人間との性交はひと握りの特権階級でのみ行われており、一般国民はこのバーチャSEXによって性欲を満たしている。これは子供を生まれなくさせ、普通の日本人を緩やかに絶滅させていく政策の一環であった。本来バーチャマシンは性交に限らず、あらゆる状況を疑似体験できる夢のマシンであったが、殆どの男性は性欲を満たすためだけに使っている。劇中では、バーチャマシンの所有率は軍人が99%、役人が87%、一般国民は32%となっている。
狂四郎が度々行く仮想世界は、江戸時代の設定となっているが一部(富士山)が時代と異なっている。
第三次世界大戦
2019年から2025年までの6年続き世界人口の約80%が死亡しアメリカと中国は消滅した。世界中で深刻になった人口爆発、環境破壊による食料不足、それに伴う緑地の減少による各国の対立が原因。日本は当初アメリカ側にたって参戦したが途中から離脱して防衛にまわり生き残ることができた。
ゲノム党
愛国主義の少数政党だったが、党首の二条のカリスマ性と謀略によって勢力を拡大し政権を掌握、日本を軍事国家に変えた。大戦後、国民の99%を粛清して代わりの勤勉で従順な“新しい国民”を導入することによりヒトラーも達成できなかった千年王国を実現させようとしている。モデルはナチス党。
M型遺伝子理論
人間の将来は、心の設計図であるM型遺伝子によって決定するとされる。これにより、M型遺伝子に異常があると将来、犯罪を犯す確率が高くなると解釈された。狂四郎はその中でも、将来国家に対して反旗を翻す可能性が高い「国家反逆病」キャリアとして、幼い頃から差別を受け続けてきた。
しかし、遺伝子の専門家である反政府軍の有島らは、環境要素を18%しか考慮していないM型遺伝子理論を「世界一いい加減な遺伝子理論」と切り捨てている。
オアシス農場
日本国民の99%が、男女に分かれて収容されている。
建前上、食糧自給率が100%になれば解放するとされている。しかし、ハルが「現在のアウシュヴィッツ」と称したように、実際はゆっくりと日本人を殲滅させるための施設。
運用管理の容易さから、女性用施設に警備の重点が置かれる。
国民健康データ法
当時、まだ連立与党内の少数政党でしかなかったゲノム党が2003年に提案し成立された。政府が民間企業に委託して遺伝子情報を収集することが出来る。
ゲノム優生保護法
M型遺伝子異常のある新生児を関東厚生病院を初めとする国の管理施設に隔離治療するための法律。
関東厚生病院
M型遺伝子異常の子供達を隔離治療する施設。病院とは名ばかりで、実態は少年兵養成施設。度々過酷な訓練が行われており、命を落とす者もいる。狂四郎や白鳥が少年時代を過ごした場所。
行政監察庁
他の行政機関から完全に独立した査問機関。公僕による汚職の取り締まりを行い、その処罰は苛烈を極める。
デザインヒューマン
国民の代わりの労働力として国家に開発された従順な“新しい国民”。農耕用、戦闘用など様々なタイプがある。作中では「S」や「マイカ」、「バル」等が該当し作戦戦闘に置ける内容が理解できるように知能が高く設定されているものから、会話すら出来ないで単一の事のみの作業に従事するものまで多様に存在する。
シティー
日本の各地に設立されている巨大な施設。オアシス農場での勤労優秀者や老人、病人が中で不自由なく暮らしていると国民は知らされている。狂四郎が仕事中に出会ったオカマ3人組が施設の中からのゴミから「シティー」の存在意義、何が行われているか、中に入った人達がどのような待遇にあるかを推測していた。施設を警備するロボットは侵入者に対し血液検査による識別を行っているが、非適正者に対してどうするかというプログラミングにバグがあったためそれを利用してオカマ3人組は施設のゴミの残飯をあさって生活していた。
アルカディア
男鹿半島沖約15kmにある小島。元は生物化学兵器の実験場であり、現在でも実験動物・フェンリルが生息しているため、ゲノムのコンピュータ上では人の住めない島とされている。
二条ひかるによってオアシス農場を脱走した2000人以上の人々が生活している。
夜警国家制度を採っている。
まほろば
粛清されかかっている少数の自衛隊出身の軍幹部たちが結成した反ゲノム勢力。所詮はゲノムに変わって実権を握りたいだけの同じ穴のムジナ。

狂四郎2030での歴史

2002年:住基ネット施行
2003年:ヒト遺伝子の解析が完了
国民健康データ法成立
2004年:八角清高、M型遺伝子理論を発表
東京ドーム殺人事件発生
ゲノム優生保護法成立
2005年:狂四郎誕生
2010年:全権委任法成立
ユリカ誕生
2014年頃:日本経済は破綻状態
2019年:第三次世界大戦 開戦
2020年:日本国新憲法によりインターネットの全面廃止
2025年:第三次世界大戦 終結。
男女隔離政策施行。一般国民をオアシス農場に強制移住。
2027年
狂四郎とユリカが仮想現実で知り合う。
2030年
狂四郎、様々な人々と知り合うことにより国家の洗脳が解け、ユリカのいる北海道にバベンスキーとともに旅立つ。