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王道の狗/安彦良和
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著者: 安彦良和
巻数: 6巻
最新刊『王道の狗 6』
『王道の狗』(おうどうのいぬ)は、安彦良和の漫画作品。月刊「ミスターマガジン」1998年1号から2000年3号に掲載された。単行本は講談社ミスターマガジンKCより全6巻、白泉社JETSCOMICSより全4巻出版。 明治末期の日本、朝鮮、清王朝を舞台に、秩父事件から日清戦争、辛亥革命までの東アジアの歴史と、それに翻弄された人々の運命を描いた。
2000年に第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。
概要
自由党の壮士として秩父事件・大阪事件に関わるも、逃亡時の資金難から強盗事件を犯してしまい、思想犯ではなく一般犯罪者として北海道の監獄に収容された主人公・加納周助と、同じく新潟天誅党の風間一太郎は明治政府の石狩道路建設の強制労働現場から脱獄。アイヌ人・ニシテや日本人開拓者・徳弘正輝、武道家・武田惣角の助けを受け、加納は朝鮮の開明派政治家金玉均の護衛役として、風間は明治政府の閣僚・陸奥宗光の側近として新しい人生を歩む事になる。 本作は金玉均の側近、孫文の協力者として「王道」を目指す加納と、陸奥宗光の側近として「覇道」を推し進めようとする風間の相克を中心に、明治日本の対外政策を描く。
登場人物
オリジナル・キャラクター
- 加納周助
- 後に変名としてアイヌ名「クワン」、日本名「貫真人(つらぬき・まひと)」、支那名「貫真人(クワン・ツァオレン)」、
- 武田惣角・徳弘正輝らの人物と触れることで「王道」に、金玉均・孫文との邂逅で大アジア主義に目覚める。
- 風間一太郎
- 後に変名としてアイヌ名「キムイ」、日本人名「財部数馬(たからべ・かずま)」
- 北海道に金鉱を探しにきた山師・財部数馬を殺し、彼の名を奪ったことや、アイヌ人・タキとの情欲を重ねることで「覇道」に目覚める。後に古河財閥に取り入り、その縁から陸奥宗光に仕える。
- タキ
- アイヌの娘。風間の妻となったあと津田塾に関係しアメリカに渡りのちに英語教師。
実在する登場人物
- 武田惣角
- 大東流合気柔術の始祖。合気道の始祖・植芝盛平の師匠
- 徳弘正輝
- 元近衛連隊の士官。竹橋事件の後、現在の上湧別町中湧別地区に入植。農学者として北海道の開拓に尽力した。
- 金玉均
- 朝鮮の改革派政治家。李王朝の「逆賊」として暗殺される。
- 孫文
- 辛亥革命の中心人物。本作では主人公・加納らの助けを得て革命に邁進する。
- 福沢諭吉
- 慶應義塾大学創始者。援助を求める金玉均を冷たくあしらう。
- 勝海舟
- 本作では加納を有望な壮士として保護。加納に新造軍艦の艦長職を与える。
- 小山六之助
- 日清戦争の終戦交渉のため訪れた李鴻章の暗殺を企てる。
- 李鴻章
- 清王朝の実力者・外交官。北洋艦隊司令官。
- 田中正造
- 衆議院議員。足尾銅山鉱毒事件の追求に深く関わる。
- 陸奥宗光
- 明治政府の外相。日清戦争の終戦交渉に手腕を振るおうとする。
関連項目
- アジア主義
- 大アジア主義講演