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生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと/永瀬ようすけ

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著者: 永瀬ようすけ
巻数: 全1巻

永瀬ようすけの新刊
生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのことの新刊

最新刊『生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと 3


生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと』(うまれるかちのなかったじぶんがアンナのためにできるいくつかのこと)は、永瀬ようすけによる日本の漫画。『月刊アクション』(双葉社)の2013年7月号から2015年4月号まで連載された。全21話。

概要

  • 32歳の主人公がタイムスリップにより小学生時代からの人生をやり直す過程を描いた作品。同様の設定では主人公が恋人や世界を良い方向へ向かわせる歴史改変SFが多く見受けられ、本作のタイトルもヒロインを救うことを連想させているが、実際にはそれらとは正反対の物語が展開されることで話題となった。主人公は性格が非常に屈折したエゴイストという設定であり、「許しがたい」「苛立たしい」「吐き気がこみ上げる」との声が上がっている。作者自身も、この主人公を「クソゲス野郎」と呼んでいる。だが、そうした卑しさだからこそ却って目を離すことができないといった意見や、そうした卑しい人間を見ることに一種の快感を覚える者に本作を勧める声もある
    • 2014年にテレビ情報誌『テレビブロス』(東京ニュース通信社)で開催された漫画賞企画「ブロスコミックアワード」では、「どうにかしろよ! 胸クソ部門」の第2位に選ばれた
    • 2015年にニコニコ静画でアナザーエンディングが公開された。

    あらすじ

    2015年の初夏、東京都。うだつのあがらない生活を送っていた向井和也は、小学校来の友人である小杉京太・杏奈夫妻に子供ができたと知る。自分とは対照的に幸せな2人への嫉妬と絶望の末に自暴自棄となり、泥酔した勢いで母校の小学校で変質的な行動に走ったところを警備員に発見され、逮捕を逃れようとした際に屋上から転落する。気がつくとそこは20年前の1995年の世界であり、彼自身も記憶は大人のままで、当時の小学6年時の肉体に戻っていた。和也は初恋の相手である杏奈に想いを告げて理想の人生を築き直そうとするが、杏奈はその頃からすでに京太と両想いで、和也は入りこむ隙を見失い、欲望のままに生きようと決意し、実行に移した。

    登場人物

    1995年当時の東京都の北原小学校6年2組の生徒たち。和也、杏奈、京太の3人も第1話の現代の場面のみ30歳代の大人として登場後、第2話以降は1995年の世界で小学校の生徒として登場する。また、単行本第1巻の巻末書き下ろしエピソード「同窓会」には、2015年の郁美、慎也、さつきも登場している。

    向井 和也(むかい かずや)
    主人公。物語開始当初の2015年現在では無職・童貞・ロリコン・32歳の男性。事故により1995年の世界で小学6年生からの人生をやり直すことになる。屈折した性格であり、慎也の死をきっかけに、まだ世間の知識に乏しい級友たちを手玉にとり、欲望のままに生きてゆく。
    保田 杏奈(やすだ あんな)
    和也の初恋の相手。2015年現在では京太の妻であり、京太と共に和也の唯一の友人。1995年の世界では敬虔なカトリックの家の生れの少女。ずっと友人として遊んでいた和也が変貌してゆくことに戸惑いつつも、彼を信じ続けるが、事件に巻き込まれる。
    小杉 京太(こすぎ きょうた)
    2015年現在ではエリートサラリーマンにして杏奈の夫、1995年の世界では和也の親友。後に杏奈と交際し始めた後も和也との友情を大事にしていたが、それが和也の嫉妬と羨望を買い、彼の心を屈折させる一因となった。
    いづる(の中にいる杏奈の娘)が元々いた世界では、さつきと結婚している。そのためいづるからは恨まれている。
    九条 郁美(くじょう いくみ)
    性に興味を持つ早熟な少女。その性格を利用されて早々に和也に犯される。その後も和也の性欲のはけ口となりつつも次第に彼に惹かれ、傀儡同然の存在となってゆく。いづるの攻撃から和也を庇うが、最期は和也に殺される。
    和也が本来いた2015年では、三児の母になっている。
    相田 慎也(あいだ しんや)
    和也へのいじめを行う少年。郁美の幼馴染みであり、密かに郁美に想いを寄せているため、郁美が和也に惹かれてからは執拗にいじめるようになった。後に和也の恨みを受ける形で間接的に殺害される(ただし、和也に彼を殺害する意図は全く無かった)。
    和也が本来いた2015年では、巻末書き下ろしの同窓会のシーンに登場している。
    二ノ瀬 さつき(にのせ さつき)
    タロット占いの得意な少女。人の心を読み取る能力を持つ。いじめっ子から自分を庇ってくれた杏奈にのみ心を開いている。和也が未来からやって来たことは知らないものの、占いで和也の本性と杏奈に迫る危険を知り、杏奈を救おうとする。いづるの行動に協力するが、和也に犯されたことが原因で自殺する。
    和也が本来いた2015年では、セラピストになり、本も執筆している。
    いづる(の中にいる杏奈の娘)が元々いた世界では、京太と恋人(ないしは夫婦)になっている。そのためいづるは「ママの希望を奪った一人」として良い印象は持っていなかったが、彼女の死には動揺していた。
    外海 いづる(とのがい いづる)
    杏奈の従姉妹。物語中盤で和也たちのクラスに転校してきたが、和也の小学校時代の記憶にはその存在はなかった。初対面の時点から和也に異様な敵意を抱き、杏奈を救うため、和也の殺害を図る。
    正体は、別の時間における杏奈の娘。その世界では杏奈は和也に犯されて13歳で女児を出産後、25歳のクリスマスの、とある出来事がきっかけになり、精神に異常を来して自殺。杏奈の娘は成長後に自分の素性を知り、杏奈を捨てて奔放に生きていた和也を殺害して自殺。その魂が1995年へと遡り、事故で生死の危険にあった外海いづるの体に入りこんでいた。

    書誌情報

    • 永瀬ようすけ『生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと』 双葉社〈アクションコミックス〉、全3巻
      1. 2014年6月10日発行、ISBN 978-4-575-84424-5
      2. 2014年10月10日発行、ISBN 978-4-575-84504-4
      3. 2015年5月9日発行、ISBN 978-4-575-84620-1

    脚注