HOME > コミック > 監査役野崎修平

監査役野崎修平/能田茂

共有

著者: 能田茂
巻数: 12巻

能田茂の新刊
監査役野崎修平の新刊

最新刊『監査役野崎修平 v.12


出版社: 集英社
シリーズ: SCオールマン


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

GERAGERA_ICHIBA ★コミック追加★ 「サトラレ + サトラレneo」「監査役野崎修平 + 銀行大合併編 + 頭取野崎修平」「羊のうた」「ブレイブ・ストーリー」「人間失格」…などなど、人気コミック続々追加中! ゲラゲラ市場はこちらから♪ → http://t.co/u44qxxO1
comicBUNKO 「新・男樹」「監査役野崎修平」「戦海の剣」と、オールマンは硬派なイメージが強い雑誌でしたが、個人的には「P女子寮のネコ」(とみさわ千夏)「けだものカンパニー」(唐沢なをき)とかギャグの連載が好きでした(u)

監査役野崎修平(かんさやくのざきしゅうへい)は、周良貨原作、能田茂作画の経済漫画。MANGAオールマン→ビジネスジャンプ(集英社)に連載されていた。

概要

大手都市銀行の「あおぞら銀行」(現在のあおぞら銀行は連載開始当時はまだ日本債券信用銀行の時代であり、本作品とは全く関係ない)を舞台に、それまで都下の一支店の支店長に過ぎなかった主人公の野崎修平が監査役に就任し、銀行内における様々な不正や経営問題を巡って悪戦苦闘する様子を描いた。

日本の企業において存在が事実上形骸化していた監査役にスポットを当てた珍しい作品として、連載当時人気を博した。また企業におけるコンプライアンス問題などを先取りした作品でもある。

連載進行中にバブル崩壊に伴う不良債権処理問題やそれに伴う銀行の合併など、金融業界が大きく変化したことから、連載後期になるとそれらに関する問題が多くを占めるようになり、連載末期の「銀行大合併編」では、みずほ銀行の合併をモチーフとした「新日本銀行」の合併劇(それに伴うシステム障害の発生など)等が描かれた。

続編として『頭取野崎修平』がある。

主な登場人物

あおぞら銀行

野崎修平(のざき しゅうへい)
主人公。あおぞら銀行・地蔵通り支店の支店長を務めていたが、支店の統廃合に伴う人事異動で役員である監査役に栄転する。
監査役としては、当初は「不正を徹底的に追及する」「その結果銀行がなくなったとしても、それは銀行が社会的に必要とされていなかったというだけのこと」として行内の不正を徹底的に追及する姿勢を取っていた。一方で監査役室に割り当てられている予算・人員不足や、行内の他部署の非協力的な姿勢が原因で、不正と思われる事例が見つかってもそれを深く調査できない状況が度々発生することにもどかしさを感じている。
監査役としての不正追及の手が京極頭取らにも及びそうになると、京極は「大手ゼネコン再建のために社長として出向して欲しい」「専務になって欲しい」などと出世をえさに度々野崎を監査役から外そうとするが、野崎はそれを拒否し監査役に留まった。
ただ後半になると、武田等の影響もあって徐々に経営者としての思考が芽生え始め、越後屋百貨店の再建問題の際には「多くの社員を路頭に迷わすわけにはいかない」として自ら越後屋への出向を志願(それを条件に同案件に関する全権委任を京極に認めさせた)。しかし越後屋側から「出向は不要」とされたため、結局監査役の座に留まっている。
後に新日本銀行からあおぞら銀行が分離した際に専務となるが、その直後に「あおぞら銀行が債務超過状態にある」として国有化されたため、責任を取って役員を辞任した。
家族は翻訳家の妻と元気な一人娘がいる。
石橋(いしばし)
野崎付きの運転手として配属されたが、野崎が監査役として独自の調査を行うのに人手が必要になったため、監査役室のスタッフとして働いている。飄々とした性格。
吉野美保(よしの みほ)
監査役室付きの秘書。やはり実質的な野崎のスタッフの一員となる。女を武器に野崎に擦り寄る橘祥子のことを良く思っていない。
沖田浩二(おきた こうじ)
初登場時は検査部の社員。後にあおぞら銀行を退社して、あおぞら銀行時代に入手した様々な会社の弱みに関する情報を元にコンサルタント業を始める。
実は父親は大手生命保険会社の大日本生命(あおぞら銀行の大株主でもある)の社長だが、兄弟の中で唯一東京大学に入れなかったことなどが原因で父親から「三流の人間」呼ばわりされており、それに反発して生きている。
銀行を辞めた後もインターネット経由で行内の信用情報データベース等に不正アクセスを繰り返していたが、それを野崎に見破られており、不正アクセスを見逃すことを情報提供の交換材料とされたこともある。
京極雅彦(きょうごく まさひこ)
あおぞら銀行頭取。自らの権力維持のためには手段を選ばないが、その一方であおぞら銀行の未来のため行内の改革や若返りの必要性を感じており、その観点から野崎を監査役に起用したり、武田を呼び戻し専務に据えたりした。ただ野崎・武田らの動きが自らの予想を上回り、自らの地位も危うくなることがしばしば起こることに対して苦々しく思っている。作品初期のころは清濁併せ呑む人物として描かれていたが、次第に地位にしがみつく権威主義者として描かれるようになる。
大合併編では合併した新日本銀行のCEOの一人となるが、自らの主導で誕生した新日本銀行をぶち壊しにした野崎らの動きをつぶす目的で、「坂本レポート」を元に数字をアップデートしたレポートを金融庁に提出し、分離早々のあおぞら銀行を国有化へと追い込む。
入行当初橘一郎と寮で同室だったが、取引先の呉服屋が先物取引に手を出しているのを知り融資を打ち切ったところ、数ヵ月後資金繰りに詰まったその呉服屋は倒産し主人は自殺してしまった。元々は学者肌の大人しい性格だったが、その事件を機に「この力の頂点にはどのような権力があるのか知りたい」として権力志向に走るようになった、と橘一郎が回想している。
武田真吾(たけだ しんご)
紳士気風の強いあおぞら銀行にしては珍しい武闘派役員。関連会社のあおぞら興産の社長を務めていたところ、東都政策研究室との関係が悪化したことに伴う対応策のひとつとして京極により銀行に呼び戻され専務となる。
当初は少々の不正には目をつぶり利益拡大を図る姿勢から、東都政策研究室と手を結ぶなど野崎と対立するが、あおぞら銀行の行員やその家族に次々と危害を加える東都の動きに憤慨し東都と決裂。その後「東都を検察に売ったのは武田だ」という噂を柳沢副頭取に流され、逆上した海藤らはその真偽を確かめることなく部下に武田を襲わせたため、腹部を刺され重傷を負った。
怪我から回復後、銀行再建のために京極を頭取の座から追い落とす必要があるという点で野崎と見解が一致し共闘することに。その結果新日本銀行から分離した新生あおぞら銀行の頭取となるが、その直後に銀行が国有化され、野崎共々その座を追われた。
林一郎(はやし いちろう)
あおぞら銀行の専務だったが、東都政策研究室への一連の利益供与に関わっていた責任を取らされる形で解雇・告発される。
阿部(あべ)
初登場時は支店統括第四部長。後に取締役総合企画部長となるが、東都政策研究室への利益供与問題の責任を擦り付けられ銀行を追われた。
元々は野崎の部下だったが、ある倉庫会社が実は暴力団のフロント企業だったことを見抜けずに巨額の融資を実行した際にその責任を野崎が一人でかぶって関連会社に出向したため立場が逆転し、後に野崎の上司という立場となった。
森島(もりしま)
あおぞら銀行の人事部長。野崎の姿勢に早くから共感していた一人で、あおぞら銀行分離を求める運動の際には板垣とともに中心人物の一人となった。
諏訪(すわ)
あおぞら銀行の取締役。ただしその業務手法はかなり強引なものだったようで、諏訪の担当部署は在任期間中こそ高い利益を上げたものの、諏訪が部署を離れたとたんにどこも不良債権の山と化していた。リストラの一環で取締役を減らすことになった際にその対象となり、1期2年で取締役を追われることになったことに不満を感じ銀行から金を騙し取ることを計画するが、野崎・武田らに感づかれ失敗に終わる。
和田博和(わだ ひろかず)
初登場時は本店営業一部勤務。野崎に東都政策研究室のフロント企業の一つである「山田エージェンシー」が怪しいという情報を流すが、それが元で本店を追われ熊本に左遷。しかしそこで労働組合の支部代表となり、あらかじめ西日本の組合を味方につけるなどの策士ぶりを発揮して半ばクーデターのような形で労働組合の委員長に就任した。
西條進(さいじょう すすむ)
初登場時は不良債権の管理業務(実態はいわゆる飛ばし)を担当する業務推進部長。後にコンプライアンス統括室長となった。
業務遂行能力は高いが日和見な傾向があり、直属の上司である諏訪がリストラの対象となったと知るやすかさず武田に取り入り諏訪を告発したほか、その後コンプライアンス室長として京極の直属の部下となった後で、武田に直訴して合併推進委員会の委員長となったりしたものの、いずれも目論見は外れ結果は裏目に出ている。しかし野崎はその実務能力を高く評価している。
橘祥子(たちばな しょうこ)
初登場時は東銀座支店長。あおぞら銀行史上初の女性支店長である。あおぞら銀行初の女性役員の座を狙っており、野崎を利用しての出世をたくらんでいる。後に本店に戻り執行役員綜合企画部長。
出世のために男を踏み台にするのが得意で、かつては夫と娘がいる身でありながら武田の愛人だったことがある(詳細は不明だが現在は離婚している)。
坂本正義(さかもと まさよし)
初登場時は業務推進部で西條の部下。不良債権飛ばしを進める西條の姿勢に疑問を持ち、西條のパソコンに保存されているデータを無断でコピーして野崎に流そうとするが、寸前で西條に見つかってしまう。そのため懲戒解雇寸前まで追い込まれるが結局は地方への左遷という形で決着となる。その後人事異動で監査役室のスタッフとなり、野崎の片腕的存在となる。
コンピュータシミュレーションを得意としていて、監査役室への異動後は銀行のスーパーコンピュータを使ったシミュレーションによる「あおぞら銀行が実質的に債務超過状態にある」というレポートを作成した(そのため当該レポートは通称「坂本レポート」と呼ばれる)。
渡辺(わたなべ)
あおぞら銀行の検査部長。温和な性格の常識人で、東都政策研究室への利益供与事件の当初より野崎に協力的な数少ない人物の一人だったが、リストラの一環で関連会社に出向させられてしまう。
堺(さかい)
初登場時は渡辺の後任の検査部長。その後システム開発部長に異動する。神田生まれの江戸っ子だが、関西勤務が長かったため言葉も関西弁となり、典型的な関西人キャラとなってしまった。
当初は野崎に非協力的だったが、柏木が「実は野崎は京極の意向を受けて動いている」という嘘を吹き込んだところ急に野崎に協力的になり、監査役室のスタッフでは対応し切れない大規模な調査等に人員を提供したりしている。
柳沢秋保(やなぎさわ あきやす)
京極の懐刀的存在。関連事業部の参与という閑職に追いやられていたが(ただし関連会社への出向・転籍の対象となっていなかったところから、京極が万が一のために温存しておいたと見られる)、野崎らの動きに危機感を抱いた京極により呼び戻され副頭取に就任。行内では「カミソリ柳」の異名を持つほど狡猾で食えない人物。
板垣(いたがき)
初登場時は支店業務部長。行内では「ケンカ板垣」の異名を持ち、上司だろうと構わずに議論を吹っかける姿勢から行内には存在を煙たがるものも少なくなかった。本店に戻ってきてから本店の部長クラスの有志で「あおぞら銀行をよくする会」という勉強会を立ち上げ、後の新日本銀行からあおぞら銀行が分離する火種の一つとなる。
竹林(たけばやし)
システム開発部の調査役で、実質的な勘定系システム開発のリーダー。「あおぞらオンライン」と呼ばれる自行のシステムの先進性に絶対的な自信を持っており、(竹林から見れば)時代遅れのひかり銀行のシステムにシステムを一本化しなければならないことを苦々しく思っていたため、新日本銀行からあおぞら銀行を分離させる動きが出始めると分離派の中心人物の一人となる。
南場(なんば)
本来は業務企画部・合併準備室で西條の部下。しかしシステム統合の担当となったため、合併を強行しようとする京極・西條らと、システム障害の発生を予期し合併の延期を要求する竹林・野崎らの板ばさみとなり苦悩する。その関係で監査役室にもよく顔を出しており、西條よりも野崎を信頼するような発言もしばしば見られる。

その他

鷹山光司郎(たかやま こうしろう)
政府与党である民自党の大物政治家で、初登場時は現役の総理大臣。京極とは都立外山高校時代からの同級生で、京極は経営が傾きつつあったあおぞら銀行の生き残りを賭けて鷹山への資金供与を行っていた。
海藤義己(かいどう よしみ)
総会屋。「東都政策研究室」という右翼団体を率いている。若いころには銀行立てこもり事件を起こして逮捕されたりもしたが、後に政財界の大物といわれた伴堂栄二郎の弟子となり、その人脈・金脈を受け継いだ。
あおぞら銀行とは古い付き合いがあり、政府・民自党(特に鷹山ら)への資金供与の窓口となるついでに京極らから様々な便宜供与を受けていたため、その関係を絶とうとする野崎と様々なところでトラブルを起こす。
後に東銀座支店を舞台とした地上げおよびそれに伴う贈収賄事件(地上げの収益を鷹山の政治資金として還流させる予定だった)に関与していたとして逮捕される。
新堂(しんどう)
日本電気通信電話株式会社(モデルはNTT)の社長。野崎とは大学の同期で現在も親友。日本有数の大企業のトップという立場から野崎をバックアップする。
橘一郎(たちばな いちろう)
かつて野崎が、暴力団のフロント企業に巨額の融資を行ったことが明るみに出た責任を取る形で、関連会社のあおぞらファイナンス(主に債権回収業務を担当していた)に出向していた際の上司(当時はあおぞらファイナンスの専務)。その後あおぞら銀行専務を務めた後、あおぞら銀行の母体企業の一つである日本橋合資の社長となり、新日本銀行から旧あおぞら銀行が分離する際には野崎ら分離派の動きをバックアップした。
柏木龍馬(かしわぎ りょうま)
毎朝新聞の記者。元々は政治記者歴が長く、かつて鷹山の番記者を務めていたこともあるが、現在は金融担当の遊軍記者。林を背任罪で告発した際の野崎の姿勢を見て興味を抱き、その後野崎の仲間として行動するようになる。
佐藤剛士(さとう つよし)
あおぞら銀行の与党総会屋・佐藤寛次(さとう かんじ)の息子で、弁護士資格を持ちつつ父親の後を継いで総会屋となる。武田に気に入られあおぞら銀行の顧問弁護士となった。
松崎源陽(まつざき げんよう)
総会屋。元々は関西を地盤に活動していたが、海藤の後見人を務めていた関係から、海藤が逮捕され動きが取れなくなったのを見て関東に進出する。他の総会屋と異なり独自の思想を持っており、金銭的な興味はさほど示さず、古い長屋に住み部下も持たない一匹狼。そのため他の総会屋からは変わり者扱いされている。
嵐山(あらしやま)
越後屋百貨店の会長。もともとあおぞら銀行出身で京極の先輩に当たり、京極が頭取になる際にも裏でいろいろと支援をしていたようだが、バブル崩壊後経営に行き詰まる。それでも会長の座に居座っていたが、自宅前で社員が辞任を求めるデモを行っている様子を見て退陣を決断した。
中村宗右衛門(なかむら そうえもん)
全日本百貨店協会会長。これまで経営危機に陥った多くのデパートに乗り込み建て直しを実現してきたことから「再建屋」の異名を取る。越後屋再建を願う野崎のリクエストに答える形で越後屋百貨店の経営を引き受けることに。なぜか橘祥子と仲が良い。
上条力也(かみじょう りきや)
初登場時は「野武士集団」と異名を取るよつば銀行の副頭取。ただ次期頭取の最右翼として既に行内の実権を握っており、間もなく頭取に就任した。新日本銀行の合併交渉では京極の薦めに従い、国内の支店網を旧よつばの支店網を軸にすることに同意する。
五島六治郎(ごとう ろくじろう)
ひかり銀行の頭取。元々ひかり銀行の系列には大手コンピュータメーカーの日の丸コンピュータがあり、同社及びその関連会社にはひかり銀行OBも多数在籍しているなど非常につながりが深いことから、新日本銀行誕生に伴うシステム統合の過程において、ひかり銀行のシステムを新銀行でも採用するよう強く主張した。しかしその代償として合併において大幅に不利な条件を飲まされたほか、システム障害発生後は日の丸コンピュータの裏切りといってもいい行為に遭い事実上実権を失う。
鬼頭(きとう)
日の丸コンピュータ社長。ひかり銀行の役員フロアに顔パスで出入りできるほどの実力者。しかし五島のことをあまりよく思っておらず、新日本銀行の合併に当たっては「システムの重要性を知る良いチャンスだ」として、システム障害が発生することについて事前に部下から報告を受けていたにもかかわらずそれを放置。さらには障害発生後も「我々には全く責任はない」「責任はシステムを抱え込みたがる銀行の体質にある」と公言し新銀行の首脳陣を攻撃した。