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課長令嬢/たかちひろなり

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著者: たかちひろなり
巻数: 2巻

たかちひろなりの新刊
課長令嬢の新刊

最新刊『課長令嬢 2


出版社: 講談社
シリーズ: 少年マガジンKC


課長令嬢の既刊

名前発売年月
課長令嬢 1 2010-02
課長令嬢 2 2010-09

課長令嬢』(かちょうれいじょう)は、たかちひろなりによる日本の漫画作品。『週刊少年マガジン』(講談社)にて、2009年37号から2010年34号まで連載された。単行本は全2巻。読切が好評だったため、週刊連載に移行した。作者の「たかちひろなり」は、読切掲載時は「高地ひろなり」という名だった。連載終了後、『マガジンSPECIAL』の2010年10月号に特別読み切りが掲載された。

あらすじ

転校生の綾瀬ちづるは転校日初日、ひょんなことから「5階建ての家に住む、社長令嬢のセレブ」という誤解をされる。実際は団地の5階に住む「課長令嬢」なのだが、ちづるは今更本当のことを打ち明ける訳にもいかず、自分をセレブと偽るために四苦八苦する。

登場人物

綾瀬家

綾瀬 ちづる(あやせ ちづる)
本編の主人公。漢字では千鶴。東京都立桜ヶ丘高校の1年生女子生徒で、普通の団地の5階に住む課長の娘。しかし何故か「社長令嬢」と謳われているため、その正体がバレないよう、転校初日から取り繕いに四苦八苦している。ひょんなことから、「個人宅で組織している軍隊がある」という噂が立ち、あだ名が「将軍(ジェネラル)綾瀬」になる。
公平以外の周辺人物が全員ボケであり、それを相手にしているため賢く見えるが、彼女自身も実はかなりの天然である。
左利きではあるが、作中には右手で物を持つシーンなどがいくつか見られる。
コンピュータゲームの知識に乏しく、インベーダーゲームのようなものしか知らなかったが、34話目で兄に勧められてネットゲームを始めた。ゲーム上でのハンドルネームは、「マップる」(ちづる→ちずる→マップる)。
10年後は高倉と結婚、現在と同じアパートに暮らしている。
綾瀬 十志郎(あやせ とうしろう)
ちづるの兄。高校卒業後、大学受験・就職活動共に失敗した「世間に迷惑をかけてる、妹に忘れ物を届けに行くぐらいしかやる事のない害虫」で、かれこれ害虫歴3年。だが、妹への愛は本物で、普段の兄妹仲も良い(しかし、取り繕い中のちづるにとっては、バレるきっかけを与えかねない迷惑そのもの)。父親共々、ちづるが社長令嬢と言われていることを知らない。
ちづるに「お兄ちゃんには一言言えば一緒に冒険に出かけたりする親友がたくさんいる」と説教したり、ちづるの制服を法律さえ無視するフリーすぎるマーケットに売るなど、かなりの常識知らず且つボケキャラで、人間のクズ。ロリコン趣味と誤解に本人のアホさ加減が相俟って、警察のお世話になることもしばしば。ちづるには完全に将来を諦められており、その見放され方は振り込め詐欺犯にも同情されたほど。妹可愛さ故に、高倉に無駄な敵愾心を燃やしている。ネットゲーム上でのハンドルネームは、「クロスホワイト」(十志郎→十しろ→クロスホワイト)。
割と筋肉質な体型である。
10年後は現在と全く変わらず、「20歳のニートが30歳のニートになった」(ちづる)。
綾瀬 ユリコ(あやせ ユリコ)
ちづるの1歳下の妹で、綾瀬家の末っ子。漢字では百合子。今年高校受験を控えている中学3年生だが、凄まじい程のバカ。第一志望はちづるが通う桜ケ丘高校だが、そのアホさ故に、「万が一にでも合格したら、あっさりと私の正体をばらす」とちづるに恐怖感を持たせている。また、付き合っている友人も、ちづる曰く「類が友を呼んでるような」友達。
珍答の例として「何とかは風邪を引かない」の皮肉が通じない、受験勉強に使うテキストが「小学3年生の楽しい算数」、中学3年でローマ字が頭に入ってないなど。
頭は悪いが運が異常に良く、懸賞に応募して景品を当てることが多い。
10年後は「子供目線で描かれていて素晴らしい」絵本作家としてブレイク、現在と同じ家で締め切りに追われる生活を送っている。
綾瀬 一郎(あやせ いちろう)
ちづる、十志郎、ユリコの父親。一般企業の課長。しかし、連載当初から会社を辞めた疑惑が浮上しており、ちづるは「課長令嬢ですら無くなった!?」と不安がり、回を追うごとにその疑惑(求人情報誌を見る、平日に「動物園に行こう」と娘を誘い始めるなど)は深まっていったが、本当は部下の清水という女性のミスを庇った結果、僻地へ左遷されていた。その左遷先は清水曰く、「刑務所のがマシ」「行っても行かなくても同じ」ぐらいの劣悪な職場環境らしい。また左遷先では人数の都合上、役職自体は部長である(本人曰く「業務内容や権限は係長同然」)。綾瀬家はちづる、十志郎、ユリコ、父の4人家族で、母親は7年前に亡くなっていることが発覚した。
10年後は本社に復帰、清水の部下の係長として働いている。
綾瀬 レイコ(あやせ レイコ)
ちづる、十志郎、ユリコの母親。漢字では零子。作中未登場。
綾瀬家はちづる、十志郎、ユリコ、父親の4人家族であることは、高倉に家族を紹介したときに、ちづる自身が言っている。専業主婦ではなく、働いていたようだが、7年前に亡くなっている。そのため、本人について作中では詳しく触れられていない。

同級生達

高倉 公平(たかくら こうへい)
ちづるの同級生。ちづるが「私の家」と言っていた、大邸宅の本当の家主。ちづるにその真意を問い質しているところを、同級生が「ちづるに高倉が告白している」と誤解したことから始まり、次々起こる不幸な偶然が墓穴を掘っていつの間にか「高倉は妄想癖の強いストーカー」という疑いに発展、危うく逮捕・退学になるところをちづるの咄嗟の「高倉はウチの住み込みの使用人」という言い訳で救われて本当に使用人として振舞うようになった。
初登場を機にツッコミ担当となり、綾瀬家に巻き込まれてばかりのある意味で一番可哀想な人物。家はカップ麺を主に製造する大手食品企業で、父親はそこの社長。同級生たちにはちづるの余計な一言に誤解も相俟って、「使用人兼ボディーガードで、元グリーンベレー」「令嬢と使用人の禁断の愛の末に産まれた子供がいる」と思われている。また、ちづるに対しては内心で「ちづるが演じているキャラは断じてセレブではなく、ただのバカ」「今時電車にも乗れないような奴を演じて何になる」と「本物」の立場からかなり毒づいている。しかし、壁の穴に引っ掛かっているちづるを鉄条網を気にすることなく向こう側から助けようとするなど、大事に思っている。普段は学校での癖と皮肉も加えてちづるのことを「お嬢様」と呼んでいる。
第12話で使用人を演じる為にちづる達と同じ団地に引越し、綾瀬家の隣である205室にて別荘も兼ねて一人暮らしを始めた。本人の与り知らない所で、十四郎によってネットゲームに参加させられており、そこでのハンドルネームは「タカクラ」。十四郎が高倉のPCで勝手にアカウントを取得してキャラの外見を不細工に設定して盗みや戦闘放棄などのやりたい放題の限りを尽される嫌がらせを受けている。
10年後はちづると結婚、プロポーズの言葉は高校時代の「社長令嬢は無理だけど、社長夫人にならしてやれるかもしれない」。最終回で登場した兄が会社を継いだ為すぐに社長にはなれなかったが、父親の会社に就職して26歳で課長への昇進が決定しており、それなりに順風満帆である。
矢上 歩(やがみ あゆむ)
ちづるの同級生である女生徒。公平と同様、本物のセレブだが、突然の親の事業の成功によるもので、セレブになったのは極々最近のこと(所謂成金)。桜ヶ丘高校のお金持ちの令嬢ポジションを独占していたが、ちづるの登場によって二番煎じ扱いになる。それが気に入らず、あの手この手でちづる(実際は高倉の財力に頼っているだけ)よりも自分のが上だと示そうとするが、全てが空回りな上、ちづるには勘違いから変な親近感を持たれ、所謂イタい子状態になっている。
白石 ゆかり(しらいし ゆかり)
ちづるの同級生。趣味は読書だが、官能小説を読むのが趣味。だがそれは、実家の本屋が経営戦略の一環として官能小説を集めた結果、実質的な専門店になり、それで自ずと周りに官能小説が多くなって、本人も詳しくなったのであって、彼女自身が変態な訳ではなく、一冊の本として官能小説を好いている。また、実家の本屋はその経営戦略が当たり、ネットを介してその手のマニア達がこぞって集まる繁盛店になっている(十志郎も常連)。
その他の同級生達
ちづるの同級生達で、名前は不明。ちづるが「社長令嬢」であると噂を広めた当人たちであり、未だにちづるをセレブだと思っている(悪意はない)。
彼女らのふとした一言が、ちづるにとっての無茶ぶりになっており、悪意がない分、責めることもできず、ある種の悩みの種になっている。

その他

松平 常彦(まつだいら つねひこ)
年配の俳優。38話目に登場し、綾瀬家に訪問する。出演作品は『課長 ウラ耕作』『暗礁乗り上げ刑事 鈴木』など。ちづるは松平のファン。
清水 京子(しみず きょうこ)
一郎の元部下。一郎が本社の課長として勤務していた頃、彼女の犯したミスを庇って、一郎は僻地に左遷された。その事をずっと負い目に感じている。
10年後は本社に復帰した一郎の上司になったが、生来の気の弱さと例の負い目は治っていない(「課長をアゴで使ってすみませんでした」などと何十件も細かい謝罪の留守電を残す程)。

単行本

  • 第1巻 2010年2月17日発売 ISBN 978-4-06-384260-9
  • 第2巻 2010年9月17日発売 ISBN 978-4-06-384369-9

『マガジンSPECIAL』2010年10月号に掲載された特別読み切りは収録されていない。

外部リンク