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警察署長/やぶうちゆうき たかもちげん 高原泉脚本

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著者: やぶうちゆうき たかもちげん 高原泉脚本
巻数: 4巻

やぶうちゆうきの新刊
たかもちげんの新刊
高原泉脚本の新刊
警察署長の新刊

最新刊『警察署長 4


出版社: 講談社
シリーズ: 講談社漫画文庫


警察署長の既刊

名前発売年月
警察署長 1 2003-12
警察署長 2 2003-12
警察署長 3 2004-01
警察署長 4 2004-01

警察署長』(けいさつしょちょう)は、たかもちげんによる青年漫画。ナショナル劇場のテレビドラマ『こちら本池上署』(2002年〜2005年放送)の原作でもあった。

たかもちげんの死去にともない、アシスタントやぶうちゆうきにより続きが描かれている。併せて全15巻が出版された。

概要

「たかもちげん」によるもの

「モーニング」(講談社)にて1999年10月28日号より連載開始。椎名らの推理や頓知(とんち)で解決に導く。 作者たかもちは、2000年4月頃から療養のため5月の販売号より長期休載状態となる。同年7月5日に大腸癌により逝去。連載当初、既に癌に冒されていた事を承知の上で執筆にあたっており、休載前の作品が絶筆となった。没後にモーニング誌上で訃報を掲載の上、(3巻目で)未完のまま、連載は一旦終了となった。

取り上げられる事件は殺人・窃盗(スリ)・保険金詐欺・偽装結婚・暴力団関係など多岐に渡り、比較的サスペンス要素が強い。代理母出産(2話・1999年11月4日号)やオレオレ詐欺をストーリーに盛り込むなど(2000年X号・3巻収録)、時代に対して先見の明があったとされる。

「やぶうちゆうき」によるもの

追悼読切

たかもちの逝去から半年余り経過した2001年2月発売のモーニング9号にて「たかもちげん氏追悼読切」と銘打って、たかもちのアシスタントをしていたやぶうちゆうきが(たかもちげん×やぶうちゆうき名義)執筆する(アシスタントが遺志を引き継ぎ執筆するのはごく稀なケースだが、藤子・F・不二雄の大長編ドラえもんシリーズ、 臼井儀人のクレヨンしんちゃんなどがある)。

再連載

2001年5月より脚本担当の高原泉を加え、再び連載開始された。追悼読切では、たかもちの作画と遜色なくあたかも、たかもちが生前描いたように見間違える程の出来であったが、この再連載からはやぶうち版などと言われているように、椎名ら登場人物の顔つきがたかもち作画とは異なり徐々に軟らかさのあるものへ変わっている。また、当初は脚本の影響かダイイングメッセージを含めるなど推理ものの傾向があったが(脚本を加えた警察漫画は秘密警察ホームズなどがある。)、次第に椎名の思いがけもしないアイディアやヒントを署員や地域住民に実践させ、犯人検挙や防犯(犯罪抑止力)の向上といった結果に結びつくストーリーへ転向してゆく。本作では、殺人や暴力団関係は取り上げなくなり、窃盗(空き巣)・強盗(ひったくり)関係の事件が多く登場する。

2003年4月10日発売号のモーニングを以て掲載誌をイブニングに移籍して連載が続けられ、2004年10月発売号で連載終了。引き続き同誌で物語の舞台を警視庁に広げた続編の『警視正 椎名啓介』へ、本池上の登場人物などの世界観も引き継がれている。

連載の後期及び『警視正〜』はたかもちの設定から大きく逸脱し、地域と自治体の犯罪抑止に関してのストーリーが中心となっており、一般人と警察官との交流を描いたハートフルな漫画との評もある一方、たかもち時代からのファン層からは「警察の太鼓持ち漫画」と酷評されている。

『警察学校物語』

警察署長(やぶうち版)の特別編として、並行して短期間イブニングに同時連載された。中村あずさを主人公とし、短大生が女性警察官になるまでの様子を描いている。警察学校の授業風景や寮生活などが分かるようになっている。監修は元警察官の飯塚訓。

登場人物

椎名啓介(しいな けいすけ)
主人公、警視正。母子家庭で育つが東京大学法学部卒。国家公務員試験I種をトップで合格し、警察庁へ。キャリアとして警視庁への異動を経て出世街道を突き進むが「ある事件」をきっかけに出身地を管轄に持つ本池上署長に。警察では異例とされる出身地の所轄で11年にも渉る長期勤務であることから昼行灯と呼ばれているが、頭脳明晰である。
たかもち版では、年齢相応の中年オヤジといった雰囲気で描かれ、会議で寝るなど昼行灯な性格が強調されていたが、やぶうち版では柔らかく若々しい顔つきに変わり、温和な性格となっている。
警察署長』の最終回で警視庁第一方面本部長への異勤が内定し、続編『警視正 椎名啓介』からは同職。異動後も署長官舎から近くのマンションへ引越し本池上在住を継続。就任当初から射撃訓練を奨励している。既婚者で1児の父。柔道六段。
青柳十三(あおやぎ じゅうぞう)
本池上署の副署長。ノンキャリアの警視。柔道五段。趣味は陶芸鑑賞。
相馬俊彦(そうま としひこ)
キャリアの警部であり、本池上署では刑事課長代理を勤めている。椎名の行いを良く思わない時がある。
堀内純子(ほりうち じゅんこ)
本池上署の生活安全課家事相談係主任。巡査部長。署員からは、「家事さん」と呼ばれている。警察学校卒業後初任地の本池上署に配属され、35年。
細谷直樹(ほそや なおき)
本池上署の刑事課鑑識係所属の巡査部長。第10巻から登場。同署の鑑識は細谷一人のため、状況によっては轢き逃げ等への交通鑑識も行なう。
篠田三郎(しのだ さぶろう)
本池上署の刑事課主任。巡査部長。いわゆる叩き上げの刑事。前田吾郎の教育係である。
前田吾郎(まえだ ごろう)
本池上署の刑事課所属の巡査。水木の後任。署内では唯一の似顔絵捜査官でもある。やぶうちが作画する第4巻から登場。
中村あずさ(なかむら あずさ)
佐賀県出身。駐在所で働く父の姿を見て警察官を志す。本池上署の地域課所属の巡査。初配属先が本池上署で、女性警察官は交通課に配属されるのが通例であるが、椎名署長の一任で地域課に配属される。
水木健司(みずき けんじ)
本池上署刑事課所属の巡査。国体に出場経験があり柔道四段。OLの彼女がいるも、刑事の職業上すれ違いがちである。たかもち版に登場していたが前田と入れ替わりに警視庁捜査一課へ異動。
堂上洸一(どうがみ こういち)
警視庁第一方面本部長。椎名とは同期の間柄で親友でもある。
江口加奈子(えぐち かなこ)
大阪府出身。現在、警視庁麻布署交通課巡査。
竹下雪乃(たけした ゆきの)
福島県出身。現在、警視庁元富士署生活安全課巡査。
清水友恵(しみず ともえ)
埼玉県出身。現在、警視庁上東署交通課巡査。
椎名英子(しいな えいこ)
椎名啓介の妻で絵本作家。旧姓、犬飼。東京大学文学部卒で、椎名とは大学時代に知り合う。椎名が署長となった2年後に、周辺の事情から披露宴を挙げずに婚姻するが、本池上商店街の人に迎えられ人前式をする。
椎名由美(しいな ゆみ)
啓介と英子の子供。5〜6歳の幼稚園児。
宮本憲一(みやもと けんいち)
毎朝新聞の記者で、入社一年目。本池上署がある、城南地区の担当。

コミックス

モーニングKC
  • たかもちげん「警察署長」1〜3巻
3巻前半で本作が絶筆となり、3巻後半にはたかもち氏の読切別作品2本が収載されるとともに、巻末に追悼メッセージが掲載されている。
  • 原案:たかもちげん 脚本:高原泉 作画:やぶうちゆうき「警察署長」4〜11巻
イブニングKC
  • 原案:たかもちげん 脚本:高原泉 作画:やぶうちゆうき「警察署長」12巻
  • 原案:たかもちげん 作画:やぶうちゆうき「警察署長」13〜15巻

文庫版

テレビドラマ化に合わせて、番組名のタイトルを併記している。5巻以降の続刊はされていない。

講談社漫画文庫
  • たかもちげん「TVドラマ こちら本池上署 原作マンガ -警察署長-」1〜2巻 (2003年12月)
  • 原案:たかもちげん 脚本:高原泉 作画:やぶうちゆうき「TVドラマ こちら本池上署 原作マンガ-警察署長-」3〜4巻 (2004年1月)