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賭博覇王伝 零/福本伸行

共有

著者: 福本伸行
巻数: 7巻

福本伸行の新刊
賭博覇王伝 零の新刊

最新刊『賭博覇王伝 零 7巻


出版社: 講談社
シリーズ: 講談社コミックスDX


賭博覇王伝 零』(とばくはおうでん ゼロ)は、福本伸行による日本の少年漫画作品。

概要

福本伸行の作風が色濃く出たギャンブル漫画である。ただし、『週刊少年マガジン』掲載と言う事もあり、暴力表現は(他の福本作品に比べれば)やや抑え気味になっている。また、ギャンブルに至っても他の福本作品のギャンブルよりは謎解きの要素が強い。

『週刊少年マガジン』2007年40号から連載開始され、2009年13号を以って第一部が完結した。第二部は第一部終了時に2009年6月開始と予告されていた(後述)が、年現在開始されておらず、事実上の休載となっている。

2010年にコンビニコミック版が刊行されている。

あらすじ

義賊として世間を騒がせた少年・宇海零とその仲間は、大富豪・在全無量が建設中のギャンブルと遊園地の融合施設「ドリームキングダム」に呼ばれる。在全が全財産を賭けて参加するギャンブルの代打ち、すなわち王を求めている為、零や他の者たちが集められたのだった。賞金1000億円で振り込め詐欺の被害者全てを救う為、王を目指して園内のギャンブルに挑戦する零だが、そこは生命を、精神を、肉体を賭ける究極のギャンブルばかりだった。

登場人物

試験参加者

宇海零(うかい ゼロ)
本作の主人公。17歳。中学時代は超進学校である開難中学の特進クラスで、その中の三指に入る秀才だった。頭脳明晰で運動神経も良い上、窮地でも的確な状況判断が出来る。正義感も非常に強く、仲間3人を自分と一心同体と考えると同時に、直接対決の相手だった標に助け船を出すなど、自分の利益を度外視して誰に対しても優しさを向ける。
自殺サイトで知り合ったミツルら3人の自殺を強引に阻止し義賊になろうと持ち掛ける。巧みに振り込め詐欺グループから金を盗み被害者に返すことに成功するも、3人をヤクザに攫われてしまう。そして助けに行った場で「在全グループ」の総統、在全と出会い、半ば強制的に命がけの「王への試験」を受けさせられることとなる。
ドリームキングダムの狂ってすらいるアトラクションの数々を、間一髪なこともありながら次々と突破。在前達にも「王」としての器が認められた。一時期は心が折れそうになり、リタイアしようとするが、標から在前を倒す為の計画、命を顧みないその覚悟を聞かされ、自らの力で標と対等に並ぼうと決意し、復帰。紆余曲折あったものの、リングを3つ獲得した。
ミツル
零の仲間の義賊。零同様正義感が強く、代打ちとしての賞金を手にしたら振り込め詐欺の被害者全てを救おうと考えていた。最初は自殺を制止した零に反感を持ったが、義賊として活動することにより無意味と思っていた自分の人生に新しい風を吹かせてくれたことを感謝している。だが、入場試験の鉄球サークルで事故が発生し、零を庇って鉄球に激突し瀕死の重傷を負ってしまう。その後は零達に後を託し、戦線離脱した。
ユウキ
零の仲間の義賊。眼鏡をかけており、気弱だが温和な性格をしている。当初は私利私欲を捨て切れない部分があったが、ゲームの過酷さと零の偉大さを体感する内に、零こそが王になるべきと確信する。ゲームを続けるうちに零からこれ以上一緒に行動することは危険であると忠告を受けたものの、利益抜きで零の行く末を少しでも長く見届け、出来ることなら彼の力になりたいという気持ちから共闘の続行を決意した。
結果こそ実らなかったものの、「ザ・アンカー」にて、零が「アンカー問題」の配置に気づいた事がDJに悟られかけた時に、クイズの進行を促してごまかす等、ある程度の洞察力や機転を利かせる力はある様子。
ヒロシ
零の仲間の義賊。やや小太りで、零の仲間の中では最も私欲が強い様子。力不足により零抜きではまともに生き残れない状態にも関わらず、零にこれ以上一緒に行動することは危険であると忠告を受けて、半ば啖呵を切るように零と別行動することを決意した。後に「失われたリング」の会場前で再会。零にアトラクションの内容を聞かれた際、決別した筈のユウキが零と共闘していた事実を知り不貞腐れ、アトラクションの情報提供を拒んでいたが、零がリングを条件に求めるとリングに目がくらみ喜んで情報を提供した。後藤には情報を提供していることがバレていたが、失敗した者からの情報だということでペナルティは一切なかった。
末崎さくら(すえざき -)
零たち義賊に一杯喰わされた振り込め詐欺グループの社長であるヤクザ。在全の気紛れで王への試練の参加権を与えられた。コメディリリーフ的な役回りが多いが、彼の言動が零たちに閃きのきっかけを与えることも多い本作の狂言回し。
キングダム入場試験に落ちたものの、ミツルの欠員に図々しくも割り込んで突破。また、振り込め詐欺を稼業としていたせいか、キングダム内において強力な存在といえる零に共同戦線を契約させたり、その契約を実行出来る複数参加者で協力するアトラクションを前もって見つけ、そのアトラクションで必要とする大勢の参加者をキッチリ集めるなど、悪運やチャンスをかき集めるための行動力や交渉、説得する力には目を見張るものがある。身勝手な言動が目立つが、自分が信頼を寄せた相手には実直かつその責任を命懸けで全力で全うする面がある。かつては父と同じ外交官になることを目指していたらしく、国旗について詳しい。
ザ・アンカーで零、ユウキと地獄のような死線を潜り抜けたことから強い絆が芽生えており、その後は3人で行動していた。
板倉(いたくら)
振り込め詐欺グループの一員で末崎と共に試験への参加権を手に入れた。慶應義塾大学出のインテリヤクザで、頭が切れる長身の男。末崎の弟分だが、末崎自身短慮な性格なためか、内心では彼のことを小馬鹿にしている。実力を持つ者には敬意を払うようで、前述の経歴ながら年下である零や標の能力を素直に認めている。浅はかな意見は「却下」の一言でつっぱねる。
「魔女の館」の後、決勝進出に必要な残りのリング2個を自力で獲得している。
標(しるべ)
本名・年齢は明かそうとしないが、まだ年端もいかない少年。朴念仁で、常に冷静な姿勢を崩さない。鉄球サークルでは一番にサークルへ踏み込んだり、零が25分以上かかって解いた難問をほんの7~8分で解くなど、恐ろしく頭が切れる。本人曰く、人や物などの事象の「滅び」を時々感じることができるという。部下によれば、難易度ハードのアトラクションにすら無傷で平然とクリアして戻ってきたという。
彼の只ならぬ頭脳とカリスマ性に惹かれる者も多く、ドリームキングダム内で取り巻きが10人程ついた。彼等は従者同然の振る舞いで、標の守護や団体戦での頭数合わせといったサポートを殆ど自主的に行っている。
一見冷めているような雰囲気だが心中には「世界を変えたい」という熱い気持ちを秘めており、零に対して在全をある秘策にかけて倒そうと持ちかけ、後の共闘を約束している。在前のような老人ではなく、零や自分達のような若者こそが時代を引っ張るべきだという考えを持っている。
山口(やまぐち)
零の開難中学時代の同級生。その当時から天才肌の零を一方的にライバル視していた。ドリームキングダム内で零と再会したとき、既にリングを一つ獲得し、その時にギャンブルの危険性を理解していた事から、マイルド以上のアトラクションに挑戦していた事が伺える。クォータージャンプの壁役として零を自分の方(アウトゾーン)に跳ばせ転落死させようとするが、失敗して失格となる。
二宮(にのみや)
山口の仲間。クォータージャンプの壁役として零を自分の方(アウトゾーン)に跳ばせ転落死させようとするが、失敗して失格となる。鏡を使って落とそうとした。
村上(むらかみ)
魔女の館で末崎に集められたメンバーの一人。零から「危険な愚考」の注意を受けていたにも関わらず、第一の課題で零に異を唱えて勝手に動き、さらに零の方が正しいと証明されても過ちを認めようとしなかったため、結果メンバー全員を狂騒の渦に巻き込むことになってしまった。そういった登場期間の短い端役ながら。35639(みごろさナイン)など迷言が多い。
魔女の館のメンバーで決勝進出する人間を決める際、彼もその一人になったようである。

主催者側

在全無量(ざいぜん むりょう)
在全グループ総統。個人資産だけでも3兆円以上所有している日本一の資産家。通称「金神」。81歳。
「王への試験」主催者であり、日本中の血縁者や実力者を参加者として掻き集めていた。零たちの素質を見込み、窮地に立たされていた彼等を救いあげたが、そのとき零は警戒心から感謝の意志を示さなかったので、彼を毛嫌いしている。軽率な言動が多く、そのことから決定的な屈辱や損失を被ることが多い。365人の愛人がおり、日替わりで可愛がっている。
究極的には、生まれ持っての「天運」を重視している。
後藤利根雄(ごとう とねお)
在全グループの幹部。58歳。「王への試験」の進行を務める。
「ドリームキングダム」を執り仕切り、参加者に極悪なギャンブルを出題している。しかし、理不尽なジャッジを下すことは断じてなく、フェアな一面も伺える。
零が万人に一人の逸材である事を認め、監視すると同時に他の参加者より優遇している。
名前と外見は作者福本の別作品『カイジ』に登場する利根川幸雄に似ている。
ジャック
指切りギャンブルで零と対峙した老人。幼少期、顔の右半分に大けがを負ってしまい、あまりに惨いためそれを半身と髪で隠している。
当のギャンブルに関しては一度しか敗北したことが無く(右手の小指のみ)、絶対的な自信を持って零を迎え撃つ。
城山小太郎(しろやま こたろう)
ザ・アンカーのDJ。本人は「小太郎・ヒルマウンテンウィリアムス・ハリソンジャガーサタケ・ジェームス城山」を本名だと言うが、免許証には上記の名前が記されている。
フレンドリーな振る舞いで参加者に接するが、その実態はギャンブルの過程で参加チームの絆が壊れる展開を望み、美談は嫌悪を隠せない醜悪な男。他にも暗に大ヒントを与え、死のプレッシャーなどからそれに気付けない者を容赦なく揶揄するなど、性格はとことん歪んでいる。アメリカかぶれで、零に片親がアメリカ人ではないかと推測された。
黒服
福本伸行作の漫画全般に登場するモブキャラ。ドリームキングダムの至るところに配置されていて、アトラクションの審判や、案内などの様々な雑務を行う。茶髪の者など、容姿が一般と異なる黒服も登場した。

登場ギャンブル

入場試験

非常に多人数である参加者を篩いにかけるための試験。合格すれば会場のゲートを通過して本戦に挑める。
ゲートは複数存在し、通ることになるゲート(主催者側があらかじめ割り振る)によって出題内容は異なるが、挑戦時に背負うリスクはいずれも同等であると作中では説明されている。
零たちのいたゲートでは下の問題を出題された。
鉄球サークル
敗北の代償:サークル内にいた場合のみ自身の命
カップの中に振られたサイコロの目を当てるゲーム。開始の前に出題者が4回サイコロを振り、4回目に出る目を当てるという6択クイズである。
3回目まではサイコロを振る映像をモニターから見る事ができ、その内容などから答えを導き出すことが肝である。
プレイヤーたちはそれぞれサイコロの目が書かれてあるサークルの中に入り待機する。なお、満杯となったサークルは空きができるまで入れなくなる。
出た目と違うハズレのサークルには真上から鉄球(直径はサークルとほぼ同じ)が落ち、ハズレサークル内のプレイヤーは死傷する可能性がある。
目当て自体に正解出来なくとも、解答時サークル内にいたプレイヤーは漏れなく本戦への出場権を与えられる。

予選

建設中のテーマパーク「ドリームキングダム」内に40種以上存在するアトラクションに挑み、勝利すると獲得できるリングを3時間以内に3個以上獲得すればクリア。
なお、獲得したリングは他プレイヤーへ譲渡可能なため、プレイヤー同士で勝負したり、交渉の道具に用いられる場合がある。
アトラクションのランクはジュニア、セーフティ、マイルド、変則マイルド、ハードに分かれている。ただしこのランクは「難易度」というより「リスクの大小を表したもの」と言う方が的確である。なお、獲得リングおよびペナルティはランクごとに分かれてはいるが実際はアトラクションによって変化する。詳細については各アトラクションの項を参考のこと。
成功者がクリアしたアトラクションの内容を他のプレイヤーに伝えることは禁じられており、伝えた時点で退場となる。しかし、挑戦するもリングを獲得できなかった者の助言は大目に見る場合もある(敗者の考察や助言は往々にして的外れであることが多いため)。また、実際は万全を期すために成功者が出たアトラクションはその時点で閉鎖される。
アトラクションによって一人で挑戦する物と、複数人数によるチーム形式で挑むアトラクションがある。リングは挑戦人数に応じた数になる。
なお、制限時間の対象はゲームの受付であり、既定の3時間が経過しても、残り時間がゼロになった時点でアトラクションの勝負が開始していれば、たとえ数十分かかるようなゲームでも最後までプレイすることが認められる。
なお、アトラクションの様子は監視カメラによって監視されている(主催者側が勝負の様子を見る他、挑戦者・出題者両者の不正を防いで公正を図る為)。
アトラクションの出題者が挑戦者に勝利しても、それによって主催者から特別に褒美が出るといったことはない。しかし、ジャックルームのようにコレクションが増えるなど彼等なりの娯楽が存在するため、出題者は本気で挑戦者を負かそうとしてくる。

アトラクションの種類

種類によって敗北の代償の大きさが異なる。敗北の代償の大きいものほど獲得リングも多くなると作中では説明されたが実際はその限りでは無い。また、完璧な戦略でクリアーした場合の「完全クリアー」と、戦略に不備があった場合の「暫定クリアー」の2種類に分かれるアトラクションもあり、その際は内容に応じて獲得リング数が異なる。なお、完全クリアーと暫定クリアーに分かれている事を明記していないアトラクションも存在する。
ジュニア
負けてもダメージ・退場共に無く、失うのは費やした時間だけである。よって、開始直後は長蛇の列ができ、入るのに後列の者は2~3時間かかることもある。
セーフティ
負けてもダメージはないが退場となる。ジュニアについで人気が高いため、入るのに時間がかかる。
マイルド
負ければ命までは取られないものの、体の一部などを失う危険性がある。
変則マイルド
成功者が出れば自分は失敗しても退場処分免除の特例がある。但し自分も含め成功者が出なければ生命の危険すらある。
ハード
負ければ生命の危険すらある。

作中に登場したアトラクション

ジャックルーム
種類:マイルド
敗北の代償:自身の手指1本
参加者:零、他1名
挑戦者と部屋の主「指切りジャック」に指入れ台と12枚の鉄板が配布される。ルーレットで攻撃と守備を決めた後、守備側は指を台に入れ、鉄板で指を守る。
攻撃側はいずれか1本の指をノミで突く。この指が鉄板でガードされていないとその指はノミによって切断され、切断した相手のコレクションになる(つまり、切断された指を回収して接着の治療を受けることはできない)。鉄板を突いたら失敗となり、攻撃と守備を入れ替える。
これを最大で3巡繰り返す。なお、ルーレットによる攻守の順番決めは1巡ごとに行われる。
守る指は3巡で計15本に対し、鉄板は12枚なので3枚足りない。この守れない3本をどう分配していくかが肝となる。尚、両者ともに全ての攻撃を失敗した場合については、どうなるのか劇中において説明はなされなかった。
なお、攻撃側は相手の指に対しノミを突き立てなくてはならないが、裸の指さえ突ければ、その指を負傷または切断に至らせなくても勝利となる。
最初挑戦者には知らされないが、実は挑戦者に課せられた本当の命題は、ジャックの裸の指にノミを突き立てることではなく、まったく別のところにある。
もらえるリングの数は、満点の解答なら完全クリアーで既定の2個、少しでも減点要素がある場合は暫定クリアーで1個。
迷宮のトライアングル
種類:変則マイルド
敗北の代償:水槽役になった者の命
参加者:零、ユウキ、ヒロシ、末崎、板倉、ヤクザ(名前不詳)、山口、二宮、Aチームの水槽役、残り7チーム、別サークルで標をはじめ10チーム
3人が1チームとなり10チームが同時に参加する。(参加チームの数は明かされない)最初に突破できたチームにリング3個(チームで平等に分ければ1人1個)が与えられ、突破できなかったチームはリングはもらえないが失格処分はなくなる。
ゲーム開始前に「部屋は全て同じ。君たちは何…?」という質問とその答えの選択肢が50個書かれた紙が配られ、制限時間の30分以内にどのチームよりも早く正解を送信すれば成功。
解答は答えの番号をタッチパネルに入力することで行われる。解答権は各チーム1回。
なお3人のうちサイコロによって無作為に選ばれた一人(作中ではさいころを振ったとき、1番出目の小さかった人)は、「人質」としておよそ25分で呼吸不可能に至る高さ(人質の身長・体重による個人差あり)まで注水される水槽に入る。30分以内にいずれかのチームが正解したら排水されるが、30分経過するまで1チームも解けなかったら全チーム失格となり、水槽からの排水は行われず全ての(10人)水槽役はそのまま溺死する。
クォータージャンプ
種類:ハード(跳び役)、セーフティ(声役)
敗北の代償:跳び役は跳んだ場合のみ自身の命、声役は失格になるのみ
参加者:零、標(以上跳び役)、後藤、在全、山口、二宮、末崎、その他3人(以上声役)
5人で挑むゲームだが、チーム戦ではない。1人は正解と思わしき方向へジャンプを行う飛び役となり、残り4人は飛び役を誘導する声役となる。
なお、ゲームの性質上声役でクリアできるのは通常1人だけである零の時は一部主催者側が声役を担当していたことに加え、他の声役の反応も下記のルールとは明らかに矛盾していることから、何らかの特例があった事が伺える。
飛び役は鉄板を仕込んだゴーグルで目隠しした状態で、高さ数十メートルまでリフトアップした正方形の台の四方のうちから1つを選んでジャンプし、対岸にたどり着けば成功。制限時間は10分。時間切れの場合は当然失格となるが、ダメージは負わずに済む。
対岸が存在するのは1方向のみで、残り3方向は鉄壁となっており、その方向に飛ぶと鉄壁にぶち当たりそのまま転落死する。
台に乗ってから10秒間周りを見渡すことができるが、10秒経過後再び目隠しした状態で台が回転(零の場合は右回りに30秒、左回りに20秒)するため、ギャンブル開始時の位置関係は把握できない。
なお、飛び役には声役に関することを前もって説明されないため、声役が誰かは勿論、その存在すら知らない状態でゲームに挑むことになる。
投擲による安全方向の確認を行うと失格になるが、声役の真偽を探るために所持している小道具(硬貨など)を利用することは禁止されていない。
声役は跳び役の選ぶ4方向に1人ずつ配置され、通常は跳び役を説得してその方向がセーフであると信じさせる役目である。跳び役を自分の方に飛ばせた場合はリングが1個与えられるが、違う方向に飛ばれたり、タイムアップになった場合は失格となる。つまり、アウトゾーンに割り振られた声役は、跳び役を転落死させることが、リングを得ることはもちろん、失格にならないための絶対条件でもある。
アウトゾーンの声役3人は鉄壁の狭い覗き穴から中央の台を見るため、通常では見えない死角が存在するが、それをある程度克服するための道具を運営側から提供されることもある。
試合会場が屋外と開かれた場所にあり、非参加者は下から観戦することが可能である。そのためか、このアトラクションのみ終了後は他言厳禁の枷が甘くなるという点が見受けられる試合終了後に他言厳禁の枷を破っている者がいるが、質問者を含む2人には注意すら行われなかった。
本編では在全の思いつきにより零と標をサシで戦わせるギャンブルとして登場し、以下のルールが追加された。
  • 一般の任意で選べるアトラクションとは違い、強制参加である。参加を拒否したらその時点で失格となる。
  • 勝者はアトラクションクリア分のリング3個に加え、敗者の所持しているリング2個を奪う事が出来る。
  • 両者が成功した場合は短時間で決断に至った方を勝者とする。この場合敗者はクリアとはみなされないためクリアしたときにもらえるリング3個はもらえず、さらに勝者にリングを2個奪われる。但し失格処分は免除される。
  • 通常はプレイヤーが行う声役を、一部主催者側の人間が担当する(もちろん飛び役にその旨は一切明かさない)。
魔女の館
種類:ハード
敗北の代償:挑戦者21人の命
参加者:零、ユウキ、ヒロシ、末崎、板倉、村上、ヤクザ(名前不詳)、その他14人
門柱に掲げてある札に「鏖(みなごろし)の魔女」と書かれた館で行われるギャンブル。
21人で協力して魔女が出題する3つの課題に挑み、最後まで生き残った場合は21個(全員生還した場合、平等に分ければ1人1個)のリングを獲得できる。
課題は三つ首の魔女の像の頭から「魔女通信」というタイトルの手紙が吐き出される形で出題。「では…秒読みです。」のアナウンスがスタートの合図。
このゲームの肝は問題そのものよりも、21人というあまりに多すぎる仲間の統制をうまく取れるかというところにあり、ミスリードによる混乱を誘発するための要素が随所に盛り込まれている。
  • 第一の課題
このギャンブルは魔女の館の2階(2階は1階の天井の一部からしか入れない、完全な密室。なお、この密室は天井が高く、形は1辺の長さが14.14mの正方形になっている。)で行われる。21人全員入室したのち1階からの操作で閂を掛けられ、そのあと1つ目の首から第一の課題が出題される。魔女通信の文面(一部)は次の通り。
『助かりたかったら、この部屋に埋め込まれた呪い、見えない暗号を解いて。正しい道には兵隊が砲丸の左に1人、右に11人並んでいて砲丸の9番目と10番目がこのままでは「4」「2」って事なの。それが今、この部屋の運命。チャンスは2回。100分の2。』
この暗号を制限時間の25分以内に解けばクリア。解答は00~99の2桁の数字を魔女の像にある装置に入力することで行われる。解答権は2回。
時間が経つと無数の槍が四方の壁を突き破り、徐々に迫ってきて、開始から25分経つと参加者を突き刺し参加者は全員死亡する。正解すれば槍は停止する。
ちなみに、3問の中では参加者の混乱を誘う要素が最も多く盛り込まれている。
  • 第二の課題
第一の課題に正解すると全ての槍が壁に戻り、魔女の像が崩壊した後に2つ目の首から第二の課題が開始される。魔女通信の文面(一部)は次の通り。
『さて、皆さんが辿り着いた「第一の課題の答え」と皆さんの人数「21」実はこの2つにはちょっとした関係があるの。その答えが自ずと生き残りのカギネ。抱きしめてあげる。』
2つ目の魔女の首は分解することが可能で、中には解答パネルが用意されており、様々な数字の書かれたボタンが大量に配置されている。解答権は10回。
制限時間は5分。スタートと同時に四方の壁に無数の矢がセットされ、タイムアップになった瞬間に一斉に発射され、それまでに対策を打っていないと参加者は全員発射された矢に刺されて死亡する。
  • 第三の課題
全ての矢が発射されたしばらく後に3つ目の首から第三の課題が開始される。魔女通信の文面は次の通り。
『私の求刑は死刑。しかし司法の判決は無罪。そんなもの誤報。誤報だから死ね。最後の最後、誤報が皆さんを殺しますね。お楽しみに。』
制限時間は3分。今回は殺す手段がタイムアップまで明かされないため、挑戦者は自分達にどんな攻撃が来るのかを読み解き、その攻撃に対処しなければならない。制限時間内に対処できないと参加者は全員その攻撃によって死亡する。
3つ目の攻撃が終了したらゲーム終了のアナウンスが放送され、21個のリングを獲得できる。
ザ・アンカー
種類:ハード
敗北の代償:挑戦者3人の命
参加者:零、ユウキ、末崎
3人1組で挑戦する。半円形の建物が舞台。
ゲームの手順は以下の通り。
  • 3人それぞれベルトによりシートに寝かされた状態で体を固定され、アトラクションに入館。「ザ・アンカー君」という名前の錨(重さ30キロの上、底の部分が刃物状に加工されている)が参加者の頭上に吊るされ、振り子運動が開始される。
  • 参加者の前に大きい四角(B~Z)と小さい四角(A)のパネルが表示され、そのうちのB~Zの計25問の問題を3人が順番に解答する。問題は解答者がパネルを指定することで決定される。パネルをめくると1~4の数字とAのうちのいずれかが表示される。内容は以下の通り。
    1~4の数字
クイズに正解すると数字分だけUPポイントが、不正解だとDOWNポイントがたまる。
数字に応じてクイズの難易度も変化する(1が最も簡単、4が最も難しい。ただし、後述の通りDJが別の難易度に問題の変更が可能である)。
A(アンカーパネル)
25枚あるパネルにある規則にしたがって5枚隠されている(ただし、後述の通りDJが位置を変更することが可能である)。アンカー問題出題中のみ錨の振り子運動は止められる。尚、本部からでもアンカーの操作が可能。
クイズに正解するとその時点で貯まっているUPポイントの分だけ錨が上昇、不正解ならDOWNポイントの分だけ錨が下降し、UPポイントとDOWNポイントは共にリセットされる。このとき錨が参加者の頭の位置まで下がると参加者の頭部を粉砕して参加者は死亡する。頭部の大きさには違いがあるため、参加者が全員同時に死亡するとは限らないが、その場合の解答権の所在は劇中で説明されていない。
  • 25問すべて終わると決算の強制アンカー(A)に挑戦。すべての問題が終わった時点で錨がスタート時よりも上に上がっていれば完全クリアーで全員2個ずつ(計6個)リングをもらえる。スタート時と同じかそれより下でも生き残っていれば暫定クリアーで全員1個ずつ(計3個)リングをもらえる。
参加者とDJのルールは以下の通り。
  • 参加者
    • 解答する順番を自由に決められる。但し、クイズをやることのみ伝えられ、その他の詳しいルールはまだ説明されていない段階で決めなければならず、詳しいルールが説明された後に順番を変更するのは不可能である。
    • 解答者以外の2人がクイズの答えを解答者に教えた場合、不正解扱いとなる。また、選択問題等で不正解を教え、消去法から答えを伝えるのも答えを教えたと同義として不正解となる。なお、後者のルールは末崎に選択問題が出題された際前者のルールの穴を利用し零から不正解選択肢を全て教えてもらい正解を導き出そうとしたため急遽説明された。
    • 出題中に答えのヒントを言っても不正解になる危険があるが、解答者に励ましなどの声援を送るのは可とされている。
    • 時間制限がある問題も存在する。制限時間以内に答えられない場合は不正解となる。
  • DJ
    • DJは参加者がパネルを指定した後、問題を出題する。問題はレベル別に用意されている中からランダムで表示されるが、気に入らない問題をスルーし、レベルの異なる別の問題を選んだり(例:パネルの数字が1であっても4ポイント相当の問題を出題できる。但しそれによってたまるポイントの量が変化することはない)、DJ自作の問題(ただしクイズとして成立し、かつ難易度が適当であると本部が認めた問題に限る)を出題することも可能。しかし、アンカー問題は変更が不可能で、どんなに気に入らなくても用意されている問題を出題しなければならない。
    • 問題に制限時間をつけるかどうかをある程度選択できる。また、制限時間のない問題でも、解答者が答えられそうにないと判断した場合、途中で制限時間を課すことも可能。
    • 2回だけ好きなタイミングで解答がほぼ不可能なスペシャル問題を出題できる(例:在全の愛人の数)。但し用意されている問題を見る前にスペシャル問題出題を宣言しなければならず、用意されている問題を見てからそれが気に入らないという理由でスペシャル問題を出題することはできない。なお、アンカーでスペシャル問題を出題してもよい。
    • DJはアンカーパネルの位置を好きな位置に変更できる。
なお、以上のことは参加者には知らされていない。
ちなみに、このアトラクションには本部も出題者も気づいていない抜け穴があり、そこにたどり着いた場合はその時点で暫定クリアー扱いとなるというルールがそうなった時点で急遽追加された。なお、この抜け穴は気づいたとしても使える状況はかなり限られているが、このかなり限られた状況下では気づいていなくても使ってしまう可能性もある。
失われたリング
種類:ジュニア
敗北の代償:費やした時間のみ
参加者:零、ヒロシ、その他52名ほど
純粋な宝探しで、部屋を模したステージ内のどこかに隠された小さいリングを探す。制限時間は5分、見つけたリングの数に応じてクリアの証としてもらえるリングと交換となり、最大で3個獲得できる。
8パターンのステージの中からルーレットで挑戦するステージを決める。
ステージが決まると建物が動き係員と共にステージ内に入る。ステージ内で詳細を説明し、スタートと言った時点から制限時間がカウントされる。その直後に係員が退場し、挑戦者は一人きりになる。
実は係員の説明にゲームの成否に直結するヒントが隠されており、リングの在り処は一定であるが、後の挑戦者にその実態を気づかれにくくするため、たまに1つほどわかりやすい場所にリングが隠されている場合もある。
ドロップ・リムジン
種類:ハード
敗北の代償:自身の命
参加者:零、ユウキ、ヒロシ、末崎、板倉、標、村上、その他17名
予選通過者全員に決勝の前に最後に課せられるギャンブル。予選通過者たちを乗せたリムジンが遠隔操作により崖の下に落とされる。生き残った者が決勝進出となる。

備考

  • この作品には福本がかつて同誌に連載していた『無頼伝 涯』(全5巻)が少年からの人気を得られず失敗したこともあり、少年誌へのリベンジ作品となっている。『涯』での失敗要因は「展開が遅すぎた」ことと考えており、『零』は『カイジ』の10倍のスピードで展開、5巻分を5話のテンポで、ギャンブルからギャンブルへのつなぎもできるだけ省いていく、と語っている*このマンガがすごい!2008(ISBN 9784796661416)内、福本伸行インタビューより
  • 単行本は他の『マガジン』の連載作品とは異なり、サイズやページ数が通常より若干大きいKCDXから刊行されている。また、一部の巻では雑誌掲載時のカラーページがそのままカラーで収録されている。
  • 2009年1月に発売された『マガジンドラゴン』2号で、読者から送られた悩み相談のコーナー「在全無量の人生相談 ズバリ!言うんじゃ!!」が掲載された。また、『週刊少年マガジン』2009年34号でも再開未定のお詫びという名目で再び悩み相談の募集が行われた。この企画は作者の福本自身が監修をしている。
  • 2009年4月発売の第8巻では再開予定が「2009年7月」と記述された。しかし、前述の通り再開予定は立っておらず、同作者による『賭博堕天録カイジ 和也編』が連載中の週刊ヤングマガジン2009年53号で中々、連載が再開されない事を謝罪する作者コメントが掲載された。

単行本

KCDX版
  • 第一巻 ISBN 9784063723953
  • 第二巻 ISBN 9784063754353
  • 第三巻 ISBN 9784063754735
  • 第四巻 ISBN 9784063755114
  • 第五巻 ISBN 9784063755572
  • 第六巻 ISBN 9784063756012
  • 第七巻 ISBN 9784063756364
  • 第八巻 ISBN 9784063756951
講談社プラチナコミックス版
  1. 命懸けの選抜試験、開幕!!編 ISBN 978-4-06-374648-8
  2. 生存率25%! クォータージャンプ編 ISBN 978-4-06-374656-3
  3. 狂騒! 烏合の衆編 ISBN 978-4-06-374666-2
  4. 地獄の首切りアンカー編 ISBN 978-4-06-374673-0

脚注

外部リンク