超時空戦艦まほろば/松本零士

『超時空戦艦まほろば』（ちょうじくうせんかん - ）は、1993年から1998年にかけて小学館の月刊誌『ビッグゴールド』に断続的に連載されていた松本零士の漫画作品。短編連作『ケースハード』の1編として発表され、後に一部のエピソードを除き単独作品として単行本化。なお、ビックウエストのテレビアニメ『超時空シリーズ』とは一切無関係である。

ストーリー

ある日、しがない貧乏カメラマンの大山歳郎（おおやま としろう。公的には「土田司朗」と名乗っていた）は、1件のアパートの火災に遭遇、1人の老人を救出する。その際、歳郎は炎上する部屋の中で見たことも無い戦艦の写真をフィルムに収める。

老人は全身大火傷を負い、病床の中で歳郎に、写真の戦艦は大和型戦艦の幻の4番艦「まほろば」であること、そしてまほろばは戦没することなく、降伏することもなく今も人知れず戦い続けていることを告げ、持っていた短刀を歳郎に託し死亡。

そんな歳郎の前に謎の美女・羽黒妖（はぐろ よう）が現れる。それは歳郎がまほろばと遭遇するきっかけとなる。

まほろば

本作の主役メカとして登場する戦艦。艦名はヤマトタケルが詠んだと言われる日本書紀では景行天皇が詠んだとされる。和歌「やまと（倭）は　くに（国）のまほろば　たたなづく　あをかき（青垣）　やまこも（山隠）れる　やまと（倭）しうるはし」に由来する。「まほろば」の意味は「良い所・住みやすい場所」。この場合は大和や扶桑と同じく、日本（やまと）のことを意味しているとみられる。

作品中の設定では大和型戦艦の4番艦とされている。もっとも、まほろばは艦の大きさや武装が大和型とは異なるので正確には大和型戦艦ではなく、そのスペックはむしろ超大和型戦艦と言える史実における超大和型戦艦は大和型戦艦の艦体の設計を流用し、主砲は51cm砲を連装3基、計6門の予定だったという説が有力である。なお史実の大和型戦艦4番艦は第111号艦（艦名不明、建造中止となっている）である。。

日本海軍によって極秘裏に建造され、第二次世界大戦末期に完成、大和と共に坊ノ岬沖海戦に参加したが、大和の沈没によって反転し、その後連合国にも降伏せず、行方不明となっていた。しかし実は有志により運用され続け、黒い旭日旗を戦闘旗として掲げ、どこの国にも属さず、その時代における人類の敵と密かに戦い続けている。

主砲に3連装51cm砲を5基、計15門備える、大和を凌ぐ最大最強の超弩級戦艦である。本作の舞台の時代作中、1995年の日付の新聞が出て来る場面があり、連載当時の1990年代とみられる。には波動エンジンのようにも見えるデザインの主機関や主砲作中の登場人物の発言や、終盤にて宇宙空間で発砲していることからレールガンに換装されているようである。を含め大幅に改装されており、水上速力70ノット以上を軽く出せ、艦底にヤマトの第3艦橋に似た構造物を斜めに2つ備え、潜水能力や空中、更には宇宙空間への飛行能力をも有し、さらには艦内に1つの都市までが存在していた。

沈没した戦艦武蔵の眠りを妨げぬよう、守護している場面もみられた。基地には武蔵乗組員の遺体が多数、腐乱せず原形を保った状態で安置されている。

「まほろば」は同じく松本の漫画作品『新宇宙戦艦ヤマト』にも宇宙戦艦となって登場する。これはかつてのまほろばを水上艦から宇宙戦艦に改造したものとみられる。グレートヤマトの僚艦とされ、細部（艦橋部分の形状など）はかなり異なるが、おおまかな外観や武装からしてグレートヤマトの準同型艦といってもよい。また、羽黒妖は古代進32世らをグレートヤマトへ導き、「スターシアの娘」と共に第3艦橋の乗組員となっている。

また、同作においてまほろばは1000年間ヤマトを影で支え続けたとされる。月面のコペルニクスクレーター上に姿を現し、グレートヤマトと共に移動性ブラックホールを消滅させ、グレートヤマトに新しい乗組員を移乗させたが、その後の行き先は不明。

諸元

1945年当時

• 武装（推定）
  • 主砲：3連装51cm砲×5基（艦前部に3基、艦後部に2基）
  • 副砲： 〃 15.5cm砲もしくは20cm砲×2基（艦前後に1基ずつ）
  • 40口径89式12.7cm高角砲もしくは65口径98式10cm高角砲
  • 96式25mm高角機銃

西暦3199年

• 全長：グレートヤマトと同じ
• 重量：不明
• 性能：グレートヤマトと同等とみられる
• 主武装：グレートヤマトと同じ

他作品での登場

『銀河鉄道999』のエターナル編で、ヤマトやアルカディア号、クイーン・エメラルダス号と共にまほろばが登場している。

関連項目

• 架空戦記に登場する大和型戦艦

脚注