超犬リープ/桑田次郎
著者: 桑田次郎
巻数: 3巻
最新刊『超犬リープ 3』
『超犬リープ』(ちょうけんリープ)はSF漫画。原作は平井和正、作画は桑田次郎(現・桑田二郎)。連載は昭和40年(1965年)10月から昭和42年(1967年)8月まで、秋田書店の月刊漫画雑誌「まんが王」にて。
概要
ロボット犬リープが主人公。当初はMMM団との対決がメインとなっていたが、第5話で同組織は壊滅。以降は未来人や宇宙生命体、妨害同盟、恐竜などが登場する。
エピソードリスト
- 第1話 恐怖の地震砲
- 地震砲を開発した牧博士は、娘とともにMMM団を脱走。リープに助けられる。
- 第2話 殺し屋クルップ兄弟
- MMM団はリープを手に入れるべく、クルップ兄弟を派遣する。
- 第3話 怪獣サンダー
- 生みの親・オビ技師に救われたリープは、放浪の旅に出る。自殺しようとする少女を救うリープだが、その頃、謎の銀色の怪獣が暴れていた。
- 第4話 偽のエコー
- MMM団の首領ラインハウゼンは、死を逃れるため、リープの電子頭脳に自らの記憶を移植しようとする。
- 第5話 おばけ犬
- 記憶(電子頭脳)のないリープが放浪、騒動を起こす。MMM団の壊滅が描かれる。
- 第6話 未来人の復讐
- 70世紀から未来人が来襲。20世紀の人類を滅ぼそうとする。
- 第7話 怪生命アニマ
- 精神生命体(アニマ)が宇宙から飛来。自らの行動を自律できない彼らは、トラブルを引き起こす。被害は拡大し、新幹線の暴走に発展する。
- 第8話 妨害同盟
- 田西博士が発明した反重力装置を狙い、妨害同盟が暗躍する。彼らは撃退したが、時空に異変が起こり、恐竜が現れた。
登場人物
リープ
- ロボット犬。SF社のオビ技師長(技術部長)が製作した。
- 普段はシェパードの姿をしている。この姿でも、ペンを咥えて文字を書く(「リープ」という名も、自分から紹介した)。
- 製作の経緯
- 娘(エコー)の愛犬リープ(シェパード)が、交通事故で死亡。悲嘆にくれるエコーのため、ロボット犬を製作した。
- 性能
- 目はサーチライト。
- 飛行時は翼が出る。
- 口からはフラッシュ弾。
- 耳には高性能の聴音機が内蔵されている。
- 尾から電撃を放つ。
リープの関係者等
- 田中次郎(たなか じろう)
- リープと仲の良い少年。
- 田中善右ェ門(たなか ぜんうぇもん)
- 次郎の父。警視総監。階段を転げ落ちる癖がある。
- 牧博士(まき)
- 地震の研究家。地震砲を製作した。フルネームは不明。
- 第2話以降は登場しない。
- 牧千波(まき ちなみ)
- 牧博士の娘。田中家に住み続けている。
- オビ(第2話終盤より)
- リープの開発者。元、SF社の技師長(「技術部長」と表示される場合もある)。
- ロボット犬リープを連れ、自家用飛行機でSF社から逃亡するが、娘を事故死させてしまう。
- 娘の死後は、リープを「魔犬」と忌避し、アルコール中毒になっていた。
- 少女(サンダーの飼い主)を介抱する事によって、アルコールから離れる。偽のエコーとの出会い、MMM団首領の手術を経て、第5話以降は後見人となる(助言などを行う)。
- エコー
- オビの一人娘。生まれながらの小児麻痺で、両足が不自由(松葉杖を使用)。
- SF社からの逃避行の最中、ロッキー山脈上空で事故に遭い、死亡。
ゲスト
- 少女(第3話~第4話)
- サンダー(虎)の飼い主。氏名は不明。元はサーカスの団員(父親はオーナー)。
- 生きる気力を無くしており、食事もしない。何度も自殺を試みる(その度にリープや次郎に止められている)。
- オビ技師の介抱により、食事を取るようになったが、その後の消息は不明。
- サンダー(第3話)
- 虎。実験のため銀色の防護服を着ており、拳銃ぐらいの火器は通用しない。
- 未来人の女性(第6話)
- 自らの醜さを呪っている。原因(核戦争)を作った先祖(20世紀の人類)を絶滅させる為、20世紀に襲来。
- 田西博士(たにし )(第8話)
- 反重力装置を発明した。
- 妨害同盟(第8話)
- 既存の企業の権益を守るため、新技術を封印しようと暗躍する。『8マン』にも同様の組織が登場している。
MMM団
テロ組織で、死の商人。MMM(スリーエム)団の由来は、軍隊(military)・殺人(Murder)・狂気(MAD)の頭文字から。
本部はモビィ・ディックという原子力潜水艦(名前の由来は『白鯨』から)。構成員は爆弾を埋め込まれている。
SF社を支配下に置いている。
第1話 恐怖の地震砲
- リンツ伯爵
- ムチを持っている。部下の命を何とも思っていない、非情な性格。地震砲を誤作動させ、自滅する。モデルは先輩SF作家小松左京の『エスパイ』に現れる悪役リンツ伯爵であろう。
- リンツ伯爵配下の3人組
- ポール
- 黒服の男。レーザー砲でリープを狙撃したが、反射され自滅する。
- アブドーラ
- 大男。バンボからは「アブドウラ」と呼ばれた。リンツに処刑(爆死)される。
- バンボ
- リンツ伯爵と同じく自滅する。
第2話 殺し屋クルップ兄弟
- クルップ兄弟
- リープの捕獲を目的として派遣された。非情で残忍な性格。
- モデルロボット犬に追われ、自動車で崖から落ちて死亡。
- コルバート博士
- SF社で20年も研究に携わり、良い成績を残している。
- 悪人ではないが、小心者であるため、クルップ兄弟に加担、リープを調査した(会社命令でもある)。
- ホッホマイヤー
- 法的にリープを抑えようとしたが、失敗。リープの追跡を受けた際、誤って同僚を死亡させる。
- 千波と同じ牢に入れられ、リープの侵入を知る。それをクルップ兄弟に知らせるが、本部からは処刑命令が出ていた。次郎・千波と脱走するが、銃殺される。
第3話 怪獣サンダー
※サブタイトル(エピソードの構成)は、サンワイドコミックス版による。
- ラインハウゼン
- MMM団の首領。余命いくばくもない。第4話にも登場。
以下の2名は、引き続き第4話、第5話にも登場。
- ジャベル博士
- 「ヨーロッパ一の名医」と呼ばれている。策略家でもある。
- 偽のエコー
- ジャベル博士に整形され、エコーそっくりの外見をしている。本物と違い、両足に障害はない。
第4話 偽のエコー
- マリア
- オビの助手として手術のサポートを行う。オビを尊敬し、MMM団を裏切る。
第5話 おばけ犬
- テトロフ
- MMM団幹部。ジャベル博士の裁判で、生存に投票した。彼と組み、リープを狙う。
超科学の産物
オビの製作した物
- リープ
- #リープを参照。
- モデルロボット犬
- リープと同時に作られた。構造は同じ。
- 意志(電子頭脳)はなく、オビに操られている。
MMM団の使用した武器
第1話 恐怖の地震砲
- レーザー砲
- トラックに乗せて運搬。使用時は鏡を使用し、反射させた(反射衛星砲と同じ使用方法)。
- 地震砲
- 製作者の牧博士によると、水爆以上の威力がある。元は地震の研究(実験)のために開発された。
第2話 殺し屋クルップ兄弟
- 冷凍爆弾
- リープを倒すために用意していたが、ホッホマイヤーが誤って仲間に使用した。
- メーザーガン
- クルップ(兄)が使用。リープを行動不能に陥れる。
- 超音波ナイフ
- クルップ(弟)が使用。次郎に奪われ、逃走に使用された。
第3話 怪獣サンダー
- サイボーグ犬(ドーベルマン)
- リープを倒すためにジャベル博士が用意した。3匹で1チーム。
その他
- タイムマシン
- 70世紀人が使用。飛行能力を備え、火器を有している。
コミックガンマ版
1995年から1996年にかけて竹書房の漫画雑誌「コミックガンマ」にてリメイクされている。エグザクト企画によって企画され、ストーリーは風野真知雄が担当。作画は大貫健一。リメイクに当たっては設定がほぼ刷新されている。平井・桑田の両名は原作者として名義のみの登場。
連載途中に雑誌が廃刊となり、打ち切り。コミックスは発刊されていない。
掲載一覧
- 1995年 11月号 FILE1:謎の来訪者
- 1995年 12月号 FILE2:リープ死す?
- 1996年 1月号 FILE3:もう一匹の犬
- 1996年 2月号 FILE4:超犬出現!
- 1996年 3月号 FILE5:謎の古代獣
- 1996年 5月号 FILE6:リープの秘密
- 1996年 6月号 FILE7:明日への闘い
他の平井和正作品との関係
- 8マン
- 前作に相当する(直接の関係は語られていない)。作画も、同じ桑田次郎。
- 「妨害同盟」と同じ機能の組織が登場する。
- エリート
- 同時期に連載。作画も、同じ桑田次郎。
- サイボーグ・ブルース
- 超音波ナイフが登場。その他、レーザー砲などSF兵器を揶揄するシーンがある。
- 超革命的中学生集団
- 「妨害同盟」
と同じ機能の組織(「<企業防衛同盟>」)が登場する。
- 東京が大変だよ
- 短編。『妨害同盟』
と共通するプロット(「横丁のマッドサイエンティスト」による反重力装置の発明、恐竜の出現)。
関連項目
- 8MAN infinity
- 本作の登場人物(田中善右ェ門)が登場。その他、リープ(登場時は「3匹で1チーム」だった)、サンダーという名のマシナリーも登場する。
- サイボーグ009
- 『移民編』の設定と、本作の70世紀人の設定に共通点がある(平井と石ノ森章太郎には親交がある)。
備考
最初の単行本化(全1巻)の際、編集がひどかったので平井が絶版とさせた。昭和62年(1987年)、朝日ソノラマのサンワイドコミックスで全2巻として全話が刊行された。サンワイドコミックスの1巻は、通常のコミックス(サンデーコミックスなど)の1.5巻分(以上)に相当する。
以下は、サンワイドコミックス第1巻の解説(西部直樹)による。
- リープの名前は、跳躍(leap)に由来する。
- 最初のコミック化の際(上記)、エピソードは1/3しか収録されなかった。
- リープは『8マン』と『ウルフガイ(アダルト・ウルフガイ)』の橋渡し役。
作者の登場シーン
- 第2話
- 桑田次郎が速筆のマンガ家として、平井和正が遅筆のライターとして登場。
- 第3話
- 両者が登場。平井は酔っ払っていた(桑田が酔っているかどうか不明)。
- 第8話
- 両者が登場。平井は余裕があるが、桑田は締め切りに追われ、徹夜続きで朦朧としていた。