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重機甲兵ゼノン/神崎将臣

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著者: 神崎将臣
巻数: 4巻

神崎将臣の新刊
重機甲兵ゼノンの新刊

最新刊『重機甲兵ゼノン 4


出版社: 講談社
シリーズ: アッパーズKC


twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

poo1007 ラクガキしてたら子供の頃漫画の模写をするのが凄い好きだったの思い出した。ブラックエンジェルズとキン肉マンの絵を真似していっぱい描いてたよ。初めて絵でお金を頂いたのは少年ビッグの読者コーナーに載った神崎将臣先生の『重機甲兵ゼノン』の読者イラストです!
dtlandbl 神崎 将臣著『重機甲兵ゼノン (1) (リュウコミックス)』http://t.co/QQrO8BcT #BL #comic
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dtlandbl 神崎 将臣著『重機甲兵ゼノン (1) (リュウコミックス)』http://t.co/N3ddPO3 #BL #comic
dtlandbl 神崎 将臣著『重機甲兵ゼノン (1) (リュウコミックス)』http://dtland.info/bl/4199500545.php #BL #comic

重機甲兵ゼノンの既刊

名前発売年月
重機甲兵ゼノン 1 2000-11
重機甲兵ゼノン 2 2000-12
重機甲兵ゼノン 3 2000-12
重機甲兵ゼノン 4 2001-04

重機甲兵ゼノン』(じゅうきこうへいぜのん)は神崎将臣による漫画作品。1986年から1987年にかけて、小学館『少年ビッグコミック』に連載された同誌のヤングサンデーへの誌名変更に際し連載終了。

現在は2006年から続編である『XENON-199X・R-』が「月刊COMICリュウ」で連載中講談社アッパーズKCで再版された際の最終巻にて、打ち切りにより描くことのできなかった物語がダイジェストで書き下ろされたが、それとは異なる形で物語が進んでいる(神崎将臣の記事も参照)。

ストーリー

墜落事故を起こした旅客機、234便に乗っていたはずの叶飛鳥は全ての記憶を失い東京の街を彷徨っていた。謎の失踪を遂げて三ヶ月が経っていた彼と再会した新田薗子、郷田竜二は飛鳥の体の異変を目の当たりにする。彼は軍事秘密組織「赤い海」に改造されたサイボーグ、「X-777(エックス-スリーセブン) 重機甲兵(バイオダイバー)ゼノン」であった。

組織の脱走者である飛鳥を狙い「赤い海」の刺客が次々と襲う。「人間」であることを奪われ超人的な能力を持った飛鳥であったが、目の前で最愛の母が殺される。怒りに燃えたとき飛鳥の記憶は蘇り、全てを思い出すと共についに彼の“ゼノン”が発動した。

飛鳥は巨悪を叩き潰すことが出来るのか?自らを飛鳥の「業」と嘯く謎の男、「赤い海」の幹部“トウノ”の目的は?

かくして叶飛鳥の「赤い海」との「人間」の尊厳を掛けた「生きるための」戦いは始まった。

概要

悪の組織に肉体を改造された主人公が復讐の戦いを開始するという、石ノ森章太郎の作品へのオマージュが伺える設定となっている。くわえて‘80年代のアニメ・漫画のリアル路線の流れにある当作は、日常シーンなどにコミカルな描写はあるものの大凡が重厚かつ緻密な作画とされている大友克洋の影響が見受けられる。。特撮ヒーロー的な要素とシリアスなストーリー、メカニックや兵器などのリアルさとアニメ的なキャラクターが稀に見るバランスで描かれた。

登場人物

メインキャラクター

叶飛鳥(かのう あすか)
都立須賀山高校3年に在籍していた高校生だったが、「赤い海」に拉致され「X-777(エックス-スリーセブン) 重機甲兵(バイオダイバー)“ゼノン”」として改造される。三ヶ月後「赤い海」を脱走するが乗り込んだ旅客機が墜落し、記憶を失った浮浪者同然の姿で東京に帰還。新田園子の保護を受けて帰宅するが先回りしていたトウノ、そしてジェイスンに母を殺され記憶を取り戻す。
ジェイスンと戦い倒すが母を殺されたことから世を拗ね、“ゼノン”の生みの親である協力者・新田兵衛門との不和は解消しなかった。しかし、園子の説得で決意を新たにし、襲い来る赤い海からの刺客「デーモンズ・トライアングル」や「赤ひげ」・「青ひげ」と戦いながらも戦士として、人間として成長していく。
郷田竜二(ごうだ りゅうじ)
須賀山高校応援団団長であり、在学中は飛鳥と都度衝突を繰り返していた。“ゼノン”となった飛鳥に関わった事で配下の団員を皆殺しにされ、それ以後は飛鳥の仲間として行動する。
空手の使い手であり、「赤い海」のエージェントや米軍の兵士ですら一撃で倒す腕前の持ち主だが、サイボーグと比べ非力な自分に思い余り自ら“ゼノン”になろうとトウノの許を訪れる。しかし「赤い海」の兵器商船を襲撃した飛鳥と陽子により、施術前に救出された。
冴野陽子(さえの ようこ)
兵衛門に協力するフリーカメラマン。しかしその実体は「赤い海」に拉致され下半身を機械化されたサイボーグ。本名は「水野陽子(みずの ようこ)」。国体女子陸上の短距離走選手で三冠王を達成したが交通事故に遭い再起不能となり、その後「赤い海」によりサイボーグ手術を施される。自身から未来を奪った劇中に生殖に関する女性としての機能を喪失していると思わせる台詞がある。「赤い海」を激しく憎んでおり、飛鳥たちと共に戦う。
サイボーグとしての能力は「脚力」。時速120kmで疾走することができる。
新田兵衛門(にった ひょうえもん)
薗子の祖父であり科学者。「人体と機械の融合」の研究者。十数年前「赤い海」に拉致され家族を盾に研究を強要され、結果、“プロジェクトX”――「ゼノンシステム」の基礎を考案した。
しかし実験の為、無関係な人々をサイボーグの施術対象として拉致する「赤い海」の所業に堪えかね脱走。その報復として妻・道代を殺されるも、全財産を投じ戦いの準備を進めていた。うらぶれた風体の老博士だが、飛鳥たちの良き理解者であり、心強きサポート役。
新田薗子(にった そのこ)
都立須賀山高校2年生。飛鳥に想いを寄せる少女。記憶喪失となって街をさまよっていた飛鳥を助けたことから、「赤い海」との戦いに巻き込まれる。普通の少女だが、「悪魔の三角形(デーモンズ・トライアングル)」(後述)に人質にされた際には、飛鳥のため自ら舌を噛み切り自決を図るなど思い切った行動を取ることもある。
飛鳥が“ゼノン”――サイボーグであることを知り衝撃を受けるが、「赤い海」の兵器商船のタンカーへと戦いに赴く飛鳥に想いを打ち明け、心の支えとなった。
リサ
都立須賀山高校2年生。薗子の友人。はっきりとものを言うタイプで、言葉遣いはボーイッシュ。薗子と共に飛鳥を助けたことから「赤い海」との戦いに巻き込まれる。市村慶一郎(後述)率いる「赤ひげ」(後述)らと“ゼノン”の戦いを目撃した際、飛鳥の正体を知り思い悩む。その末、決意を見せる薗子の心に触れて彼がサイボーグであることを告げてしまう。

「赤い海」

トウノ
「赤い海」の幹部。叶飛鳥――“ゼノン”のもとに刺客を送り込み、飛鳥を試す様な行動をとる。自ら戦いに赴くことはないが、念動力や衝撃波、瞬間移動と言ったいわゆる「超能力」を持っており、「赤い海」のサイボーグですらその「力」の前には敵わない。正体は謎に包まれている。
ジェイスン・ボードガルド
204号のコードネームで呼ばれるサイボーグ。動作が不全となっている体の不快感を和らげるため、嗜好的に人を殺める。
「赤い海」の刺客としてトウノの指示で来日。幾人もの無辜の人間を殺し、ついには飛鳥の母をも殺害する。しかし、トウノにより“ゼノン”抹殺のため切り捨てられ、破損した体で飛鳥――“ゼノン”と戦うも敗れ、忠告を残して逝った。
両腕に殺人のためのギミックを備えており、伸縮自在の腕の鋭いクローを有する手指をもって離れた対象を切り裂くことが可能。さらに腕には人体に侵入して内部から破壊する無数のワイヤー状の触手を持ち、伸長・展開させ攻撃する。ジェイスンの死後、そのボディパーツは「赤ひげ」により失った飛鳥の右腕の修復のために使われ、触手を伸ばすギミックも受け継がれた。
元々は、売春婦の息子として生まれた男であり、母の愛を求めて力と金を保障した「赤い海」に自ら身を売りサイボーグとなった。だがその母親に機械となった体を見せ、拒絶されたため殺害しており、そのことが以後の彼の行動を決定付けている。
エイランド・ラーク、フィリップ・モーリス、ムハマド・モア・サムソン
元グリーンベレーの特殊工作員。「悪魔の三角形(デーモンズ・トライアングル)」の異名を持つ傭兵。
「赤い海」の人型歩行戦車、M・P(モビル・プロテクター)を駆り、「悪魔の掌」とも呼ばれる標的を包囲する三位一体の戦法「トライアングル」をもって叶飛鳥――“ゼノン”を苦しめた。
エイランドとサムソンは中南米の戦線で戦死したが、「赤い海」の手によって蘇ったサイボーグであった。フィリップは「赤い海」の“プロジェクトK”(薬物投与によって人体改造・強化を行うプロジェクト)によって特に反射神経系統を強化されており、彼らはそれら改造・強化された肉体をもって通常なら鈍い動作しかできないM・Pを自在に操り、“ゼノン”との二度にわたる死闘のうち一度目は退却に追い込んでいる。「トライアングル」を破る手立てを掴んだ飛鳥との二度目の戦いで彼らはことごとく倒されるが、エイランドは最後に「トウノは危険だ」と言い残した。
市村慶一郎(いちむら けいいちろう)
外部からの情報入力により脳を制御する「脳改造」の研究者。それによって操る猿(動物)や、サイボーグ「赤ひげ」、「青ひげ」を従い、トウノのもと飛鳥らを襲撃する。
過去、兵衛門とは学生時代の同期の友人であり、ライバルでもあった。また因縁のある関係で、市村は「脳改造」の研究を危険視した兵衛門の報告により大学を追放されている。加えて兵衛門とは一人の女性を巡っての恋敵であった。市村の元婚約者こそが兵衛門が亡くした妻「道代」であり、そのことも市村が兵衛門に抱く確執に繋がっていた。
市村は道代を手にかけたのが「赤い海」であることを兵衛門から知らされるも、「赤い海」の兵器商船のタンカーで飛鳥らを待ち受ける。しかし「道代を殺させたのは自分である」と嘯くトウノに無念のまま殺された。
赤ひげ、青ひげ
市村の「脳改造」の研究の成果と「赤い海」の技術によって作られたサイボーグ。インプットされた命令に忠実に動く高い戦闘力を持つ兵士(しもべ)であるが、自律した意思はなく、命令が無ければ敵と味方の区別もつかない。
赤ひげは巨体のパワータイプ。青ひげは細身で、俊敏な動きが身上のスピードタイプ。二体とも獣のような歯牙を備えており、隈取りの顔を思わせる凶悪な風貌である。数度にわたり叶飛鳥――“ゼノン”と戦いを繰り広げた。
赤ひげの武器はそのパワーであるが“ゼノン”に勝るほどのものではなく、サイボーグとしての性能は劣っていた。だが戦闘での破損を都度改修され、右腕に20ミリ砲を装備した三度目の戦いでは「ゼノンシステム」発動の瞬間を狙った「対ゼノン装甲弾」の射撃により、“ゼノン”の右腕を破断させている。
青ひげの武器は素早い動きと、そこから繰り出される両手の鋭い爪による斬撃である。そのスピードと身の軽さは崩落する建物の中で、空中の破片を足場とし次々に飛び移る離れ業を可能とするほどであり、爪は人体を容易に引き裂く切れ味を発揮する。しかし、スピードでは飛鳥を翻弄したが、パワーに勝る“ゼノン”に捉えられて捻り潰されるように破壊された。
赤ひげは最終的には脳髄のみをM・Pに搭載され飛鳥と戦ったが、“ゼノン”が装備したミサイルの一斉射撃の前に倒される。
“謎の人物”
トウノに指令を与える「赤い海」の役職。

その他

東亮一(ひがし りょういち)
世界記録を持つマラソンランナー。冴野陽子のスプリンターとしての先達であり、陽子からは先輩と呼ばれる。偶然再会した陽子を陸上競技の世界に再起させるべく説得するが、飛鳥らの戦闘とサイボーグである彼らを目の当たりとし、恐慌して陽子を拒否。逃げるように姿を消した。
須賀山高校応援団団員(すがやま-)、藤巻(ふじまき)
須賀山高校応援団団長である郷田の配下。郷田の指示で記憶喪失となった飛鳥を襲撃、捕らえるため追い詰めるも“ゼノン”の片鱗を見せた彼に逃げられる。その直後、ジェイスンに能力で粛清を加えるトウノを目撃したため、全員が死をもって口を封じられた。現場へと来た郷田に、そのうちの一人である藤巻のみ今際(いまわ)に会うが、再び現れた「赤い海」のエージェントの携帯型ミサイルランチャーの斉射から郷田を庇って命を失う。
園子の両親
一般的な家庭の夫婦であるが、父親は日本開発機器の重役を務める。また父親は兵衛門の研究に対しては理解がなく否定しており、そのため祖父と付き合いのある園子の行動についても厳しい。しかしその一方、母親は娘に対して理解を示す。

用語

ゼノン(XENON)叶飛鳥を指して呼ばれる“ゼノン”は、「赤い海」が特定のカテゴリーで製作したサイボーグの呼称であることが、ストーリーの展開により判っていく。また『重機甲兵ゼノン』では同じ「赤い海」のサイボーグのジェイスン・ボードガルド、冴野陽子(ゼノンの試作体と思われる)は正しく“ゼノン”であるのかは不明であったが、続編『XENON-199X・R-』において設定は変遷し、新たな要素が追加された。同続編では“ゼノン”は“XENON”と英字表記され、概念が拡張される形で技術体系全般を指す言葉となっており、登場するサイボーグのほとんどが“XENON”と呼ばれている。
「赤い海」の生体兵器開発プロジェクト、“プロジェクトX”によって生み出されたサイボーグ。叶飛鳥――「X-777(エックス-スリーセブン)重機甲兵(バイオダイバー)“ゼノン”」はそのプロジェクトの最高傑作であり、“終極点”と呼ばれる。
本来の体、生身の部分は脳と心臓のみであり、体の大部分は兵器として人間をはるかに超えた能力を目指し開発された機械体である。サイボーグ体は「ゼノンシステム」の発動により戦闘に特化した形態へと変化する“ゼノン”の発動シーンにおいて、「心臓の鼓動がある一定の心拍数を超えると自動的にもう一つの人工心臓に切り替わり、システムが発動する。その後は飛鳥自身の意思によって力を発動する」と説明される。
その皮膚は新型形状記憶合金「ゼノニクスK30」で覆われており、システムの発動によって硬質化した際には対戦車砲も跳ね返し、ミサイル攻撃にも耐える。人工筋肉が生み出すパワーは最大で常人の300倍。体に内蔵された各ブースターにより30mほどのジャンプが可能であり、それによってもたらされる行動スピードは白兵戦において絶大な威力を発揮する。「ゼノン一体で大都市を容易に制圧できる」とは、開発者にして「ゼノンシステム」の生みの親、新田兵衛門の言葉である。
「X-777」――叶飛鳥は、顔への「ゼノニクス装甲移植手術」前に「赤い海」を脱走したため、顔に装甲がなく弱点となっていたが、新田兵衛門によって作られたヘルメットによってカバーされた。しかし、ゼノンシステムの発動時のゼノニクスK30は硬質化の瞬間不安定となる弱点もあり、最も装甲が薄い関節部を狙った20ミリ砲の「対ゼノン装甲弾」の射撃に“ゼノン”の腕が破断されたこともある。
「赤い海」のサイボーグ技術は、施術者の生身の部分に悪影響をもたらし、ひどい場合には“拒否反応”による激痛をもたらす欠点がある(作中ではジェイスン・ボードガルド、冴野陽子などの飛鳥以外のサイボーグに発症)。“ゼノン”においてもそれは例外ではなく、叶飛鳥の脱走後に製作された同型の7体はどれもが失敗に終わったと、トウノの上司である“謎の人物”が語っているさらにその“拒否反応”が生じない叶飛鳥には「特別な何かがある」と語られており、それがこの作品を端緒として続く“XENONシリーズ”の『鋼-HAGANE-』、『XENON-199X・R-』にまで亘った伏線となっている。
「赤い海」
通称「ルージュ」と呼ばれる軍事兵器開発団体。
巨大で不定形であり実態は杳として掴めないが、強大な力を持っている。兵器開発のため非合法な実験・研究を行っており、目的のためならば暴力・殺人などの手段を行使することも厭わない恐るべき組織。影のように社会の深くまで浸透しており、マスコミを利用しての情報操作によりその存在を秘匿することなどは組織にとって容易い。あまたの日本の企業も支配下におかれている。
A~Zまでの26のセクションに分かれた兵器開発プロジェクトを有する。材料工学の“プロジェクトG”、薬物投与による人体改造・強化を行う“プロジェクトK”、そして生体と機械の融合によって兵器を生み出す“プロジェクトX”などがある。
モビル・プロテクター(M・P)
「赤い海」が製作した兵器。「人型歩行戦車」。普通の人間では自在に動かすことはできず、完全な性能を発揮させるには操縦者の薬物投与による反射神経の強化、またはそれに代わるなんらかのシステムが必要。

脚注