鉄コミュニケイション/たくま朋正
著者: たくま朋正
巻数: 1巻
最新刊『鉄コミュニケイション 1』
『鉄コミュニケイション』(くろがねコミュニケイション)とは、ストーリー原案・かとうひでお、漫画・たくま朋正によるSF漫画作品。および、それを原作としたアニメ作品、ライトノベル作品。
概要
「月刊コミック電撃大王」(メディアワークス)連載。
原作と世界観や主人公陣営の顔ぶれ以外の共通点はない秋山瑞人による外電小説が、電撃G's文庫より『鉄コミュニケイション』全2巻で刊行。電撃G's文庫の廃刊後は電撃文庫から再版。
ストーリー
共通
文明崩壊後の地球。5体のロボットのグループは、コールドスリープされていた人間の少女を発見する。人類最後の生き残りかもしれない少女・ハルカは、クレリック、スパイク、リーブス、トリガー、アンジェラの5体のロボットと暮らしている。
コミック
ハルカとクレリックたちとの心の交流や、生き残りの少年・カナトとの出会いや葛藤が中心。
小説
探検に出かけたハルカは、自分とそっくりの女の子を見かける。大捜索の末、再び出会った少女・イーヴァは、自分は人間に似せて作られたロボットで、相棒で動物型戦闘用ロボットのルークと旅をしていると話す。用心棒を雇わないかと突如提案するイーヴァ。友達が欲しいハルカは大喜びで、クレリックたちは警戒しつつもそれを受け入れる。イーヴァは、ルークにさえも決して明かそうとしない秘密を抱えていた。
登場人物
共通
- ハルカ
- 主人公。人類最後の生き残り (?) 。推定年齢13歳。救命ポッドでコールドスリープに入っていた。クレリックたちに発見されて以降、一緒に暮らすようになる。重い境遇にもめげない、明朗快活な性格。
- クレリック
- メンバーの参謀役である教育型ロボット。ハルカの教育係でもあり、彼のメモリーに蓄えられた情報量は膨大で、自身の持つ演算能力も非常に高性能。性格も理論家で合理的な行動を好むが、いざと言う時の余裕ある態度や皮肉めいた冗談等、ユーモラスな一面も持ち合わせている。メンバーの誰もが信頼を寄せている。
- スパイク
- ニット帽がトレードマークのお手伝いロボット。ハルカの世話係であるが、ハルカ自信の行動力に振り回される事が多く、気苦労が耐えない様子。それでも、ハルカからは勿論の事、メンバーからも深く親しまれている。
- 大量生産されている型らしく、カナトの砦で同型機と思われるロボットが大量に破壊されていた。
- リーブス
- ドクロ面のような顔にマッチョなボディと、概観こそ無骨だが口調と性格はお姉系。力仕事は元より、炊事洗濯も得意でメンバーのまとめ役。性格が女性な為、見た目に似合わず意外な物が苦手だったりする。
- トリガー
- UFOに手足がついたようなフォルムをしている。マスコット的存在。いたずら好きな性格で、玩具の銃でしょっちゅうスパイクを困らせている。しかし、有事の際は強力な実銃を構え、ハルカやメンバーを守る等頼れる一面も持っている。
- 後頭部部分にスイッチがあり、いたずらをすると大抵リーブスによって機能凍結されている。
- アンジェラ
- 女性型戦闘用ロボット。近接戦闘を得意とし、主武装も片刃のブレード。普段はゴーグルを着けており、性格柄ぶっきらぼうな口調で喋る。孤独を求める性格で、メンバーとは一定の距離を置こうとしていた。しかし、ハルカと出会い共に暮らす事で、仲間と共に過ごす温もりを知り、性格も徐々に柔らかくなる。
- ロボット三原則というロボットの基本プログラムが施されていないらしく、地下格闘場において賭博格闘技のファイターとして戦っており、その際、工場主と護衛を殺害してしまった。
- 性能は既に他のメンバーとは掛け離れており、圧倒的なパワーを誇り、バズーカが直撃してもほとんど無傷。
- カナト達の砦に侵入した際、防壁で閉じ込められたが、そのパワーで無理矢理突破した。
アニメ・コミック
- カナト
- ハルカと同じく、人類の生き残り。
- ホーニー
- カナトと共にいたインテリジェンスロボット。
- カナトの護衛兼保護を目的として作られていたが、融通が利かず、カナト以外の人類はいないという事を唯一としてしまった為、火星で生き残っていた人類を消去する為にフライヤーを修理させた。
- フライヤー自身は既にプログラム的な死亡を迎えており、自身がメインプログラムとなることで制御していた。
- ソーン
- ホーニーと共にカナトを保護する為に作られていたインテリジェンスロボット。
- 肉体的な行動はあまり得意ではなく、主に技術的な能力に特化している。
- カナト達と共に訪れた陸地で、戦闘により瀕死の状態になっていたフライヤーを修理したが、プログラム的には死亡してしまい、外部から飛行プログラムを組み立てた。
- アリスとリリスの製作者であり、親のような感情を持っている。
- アリス
- ソーンが作った金髪のインテリジェンスロボット。
- カナト第一主義の為、カナトの為ならば危険なこともやってしまう。
- 砦に侵入してきたアンジェラにバズーカを撃ち込み、倒したと勘違いした後、逆にやられている。
- ホーニーとソーンの会話から火星に生き残りがいることをカナトに話した為、ホーニーによって銃撃され、瀕死の重傷を負うが、電子頭脳は無事だった為、修理された。
- リリス
- ソーンが作った銀髪のインテリジェンスロボット。
- アリスと同じでカナト第一主義であり、カナトの為なら危険なこともやってしまう。
- アリスよりもドジなところがあるらしく、度々失敗をしている。
- ホーニーとソーンの会話から火星に生き残りがいることをカナトに話した為、ホーニーによって銃撃され、瀕死の重傷を負うが、電子頭脳は無事だった為、修理された。
- フライヤー(白)(形式番号00235)
- 本当はインテリジェンスロボットだったが、過去の大戦で戦闘用に改造されている。
- 干上がった川の中央で静かに眠っており、津波が来る事を知ったクレリック達により一時的にシステムを乗っ取られ、クレリック達に不信感を抱いた。
- フライヤー自身は既に人間不信状態になっており、大戦時に自分だけが生き残ったことを嘆き、そのまま津波によって破壊されることを望んでいた。
- だが、ハルカ達の為に一応陸地まで運び、そこで離脱したが、ホーニー達が修理したフライヤー(紅)とリンクし、状況を見ていた。
- 最終話にて中破状態となりながら、完全戦闘用に改造されていたフライヤー(紅)を撃墜させた。
- そして、ハルカとカナトを火星に送り届ける為に再修理された。
- フライヤー(紅)
- ホーニーと直結されたフライヤー。既にプログラム的な死亡を迎えている。
- 修理の際、通常のフライヤーより一回り巨大になった。
小説
- イーヴァ
- 小説版のもう1人の主人公。EG7という、人間に似せることを旨として開発されたロボット。額に貼った絆創膏の下にシリアルナンバーが刻印されている。もともとは顔・体格ともにハルカとは全く異なる姿をしていたが、ある出来事を契機に、死の危険さえも省みずに自らを作り変えた。ルークに置いていかれることを病的なまでに恐れている。ハルカに対しては狂的なまでの嫉妬と劣等感を持つが、決して表に出すことはない。
- ルーク
- 昆虫型戦闘用ロボット。ある組織が資金を度外視して開発した数体の極秘兵器3体のうちの一つ。性能はケタ違いで、実力を試そうと襲ってきたアンジェラを軽く一蹴した。その正体は、ハルカが幼少期に飼っていた大型狩猟犬「ひしゃまる」のサイボーグである(ただし、ルークもハルカもそのことを思い出せないでいる)。戦時下では数多くの任務をこなしてきた。戦争末期、ナイトやビショップと共に反乱を起こすが、その後人間に対するスタンスの違いからナイトたちとも袂を分かつ。イーヴァとはその時に出会い、一方的につきまとわれるうちに共に旅をするようになる。きわめて温厚な性格。
- ナイト
- ルークと同じ極秘兵器の一つ。その中でも圧倒的な強さを誇る(ルークでさえも単体ではほとんど歯が立たない)。人間を憎んでいる。戦争が自然消滅した後も常軌を逸した指令を出し続けるキングに反乱を起こした後、中心となって人間狩りを始める。少女を殺すことができないルークが離反(ハルカとの記憶が深層意識にあるため)したために裏切り者とみなし、制裁を加えようとしている。基本的に残忍だが、捕獲したイーヴァに対し非情に徹しきれなかった。人間狩りが生きがいだが人食いは禁止、十二進数をベースとした言語体系を開発するなどの独特の哲学を持つ。
- ビショップ
- 同型の極秘兵器の一つ。雌。言動は飄々としているが、性格は徹底して残虐。元々は愛嬌もある性質だったが、人間の血の匂いが変えてしまった。ルークが離反してからもナイトと行動していたが、イーヴァの処遇を巡ってナイトに追い散らされた。
- キング
- ルーク等3体に指令を出していた頭脳。クィーンに守られていたが、戦争が自然消滅した後も指令を出し続け、既に正常な機能を失してした。ナイトが首謀した反乱により破壊された。戦闘能力は無かった。
- クィーン
- キングを守護する為だけに存在した機体。戦闘に特化されていたが、ナイト等の反乱により破壊された。
- ポーン
- ルーク等をやや小型化した類似した外観を持ち、使役される戦闘ロボット。01から08まで存在した。
備考
コミックではスパイクが「ロボット三原則には逆らえない」という趣旨の発言をしているが、小説ではクレリックが「アイザック・アシモフはクソして寝ろってわけですよ」と語っている。 反面、双方共に兵器としてのロボットも多数存在しており、三原則の適用が全てには至っていない様が伺えるが、小説版には、家族である為に従わないというテーマが存在した。
書籍
コミック
- 鉄コミュニケイション(ISBN 4840209944)
小説
- 鉄コミュニケイション(1)ハルカとイーヴァ
- 鉄コミュニケイション(2)チェスゲーム
テレビアニメ
1998年10月5日 - 1999年3月29日、WOWOWのアニメコンプレックス内で放送された。1話15分、全24話。
「鉄コミュニケイション セレクション」として2007年12月にtvkにて放送。
声の出演
- ハルカ - 堀江由衣
- スパイク - 石川寛美
- リーブス - 堀内賢雄
- アンジェラ - 深見梨加
- クレリック - 大塚芳忠
- トリガー - 嶋方淳子
- カナト - 今井由香
- ソーン - 石井康嗣
- ホーニー - 大塚明夫
- アリス - 永沢菜教
- リリス - 小桜エツ子
- フライヤー - 広中雅志
- ラヴィニア - 勝生真沙子
- ハルカの父 - 安井邦彦
- ハルカの母 - 山口由里子
- カナトの母 - 佐久間レイ
スタッフ
- 監督 - 菊地康仁
- シリーズ構成 - 山田光洋
- キャラクターデザイン - 高橋しんや
- フライヤーデザイン - 山下いくと
- デザインワークス - 二村秀樹、増尾昭一
- 美術監督 - 桑原悟
- 色彩設定 - 関美恵子
- 撮影監督 - 岡崎英夫
- 音響監督 - 本田保則
- 音楽 - 川井憲次
- プロデューサー - 折原和弘
- アニメーションプロデューサー - 野村和史、宮下研史
- アニメーション制作 - A.P.P.P.
- 製作 - ポニーキャニオン
主題歌
- オープニングテーマ「my best friend」
- 作詞 - Sora / 作曲 - 川井憲次 / 編曲 - 船山基紀 / 歌 - 堀江由衣
- エンディングテーマ「Dear mama」
- 作詞 - Sora / 作曲 - 川井憲次 / 編曲 - 船山基紀 / 歌 - 堀江由衣
各話リスト
1 | 少女ハルカ | 山田光洋 | KIKU | KIKU | 小林利充 |
2 | 失われた記憶 | ||||
3 | オアシス | 久米一成 | しまだひであき | ||
4 | マシン(非AI戦闘体) | ||||
5 | アンジェラ(前編) | 二村秀樹 | 中沢一登 | ||
6 | アンジェラ(後編) | ||||
7 | キャンプ | KIKU 神原敏昭 | 神原敏昭 | 小林利充 | |
8 | 異変 | ||||
9 | シェルター | 阿部雅司 | しまだひであき | ||
10 | 真実 | ||||
11 | フライヤー | 中山岳洋 | 小林利充 | ||
12 | 旅立ち | ||||
13 | 新大陸 | 阿部雅司 | 谷圭司 | ||
14 | カナト | ||||
15 | 遺跡 | KIKU | 神原敏昭 | しまだひであき | |
16 | 憎しみ | ||||
17 | 母親 | 中山岳洋 | |||
18 | 人質 | ||||
19 | 再会 | 二村秀樹 | 阿部雅司 | 谷圭司 | |
20 | 生存者 | KIKU | |||
21 | ホーニー | 中山岳洋 | しまだひであき | ||
22 | 裏切り | 小林利充 | |||
23 | 発動 | 二村秀樹 | 菊地康仁 | 高橋しんや | |
24 | 再生 |
放送局
日本全国 | WOWOW | 1998年10月5日 - 1999年3月29日 | ||
神奈川県 | tvk | 2007年12月 - | 月曜 26時15分 - | セレクション放送 |
関連項目
- WOWOWアニメ