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陰陽師/岡野玲子

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著者: 岡野玲子
巻数: 13巻

岡野玲子の新刊
陰陽師の新刊

最新刊『陰陽師 13


出版社: 白泉社
シリーズ: ジェッツコミックス


陰陽師の既刊

名前発売年月
陰陽師 1 1999-07
陰陽師 2 1999-07
陰陽師 3 1999-07
陰陽師 4 1999-09
陰陽師 5 1999-09
陰陽師 6 1999-09
陰陽師 7 1999-10
陰陽師 8 1999-10
陰陽師 9 2000-03
陰陽師 10 2001-06
陰陽師 11 2002-12
陰陽師 12 2005-08
陰陽師 13 2005-10

陰陽師』(おんみょうじ)は、夢枕獏の小説『陰陽師』を原作とする岡野玲子の漫画作品。

1993年から2005年に、『コミックバーガー』『コミックバーズ』(いずれもスコラ)、『月刊メロディ』(白泉社)で連載された。2006年、第37回星雲賞コミック部門を受賞。

概要

『コミックバーガー』1993年7月号から1996年4月号、『コミックバーズ』1996年7月号から1999年5月号、『月刊メロディ』1999年8月号から2005年5月号に連載。単行本は全13巻がジェッツコミックスから発行された。

平安時代における希代の陰陽師・安倍晴明の活躍を描く。天徳から応和年間が舞台となっており、うち単行本第7巻から第11巻では天徳4年(960年)が描かれている。

流麗な絵柄による当時の平安京や怨霊たちの描写や、意図的な外来語の挿入、原作以外の独自の取材による創作で人気を博した。原作に忠実な漫画化というよりは、設定を同じくするリメイクとも言うべき作品であり、オリジナルキャラクターも登場する。後半からは原作から離れた独自のストーリーが展開されていき、登場人物の内面描写が顕著になっていった。原作者さえ知らなかった設定を巧みに利用しており、夢枕獏は「原作を超えた作品」と評価している。また、歴史上の人物が登場したり実在の出来事が関連するエピソードに関しても時代背景や史実に基いたものになっている。

登場人物

ここでは岡野玲子が漫画化した『陰陽師』に登場する人物や怨霊、物などを登場順に紹介する。

主要人物

安倍晴明(あべのせいめい)
本作の主人公。作中では陰陽師・安倍益材(あべのますき)と橘文子(たちばなのあやこ)の子とされており、陰陽道、式神の達人。梵語をも操る。幼い頃から怨霊が見えるなど、特異な能力を持っていたためキツネの子と呼ばれ、周囲から恐れられていた。陰陽道の師匠・賀茂忠行にその才を愛され、弟子として仕え学ぶが、忠行の子である賀茂家の跡継ぎ・保憲との確執のため賀茂家を飛び出す。ポーカーフェイスが特徴でなかなか他人には本心を表さないが、唯一源博雅には心を開いており親交を深めている。朴念仁の博雅とは違い、男女の密かごとについては貴族のたしなみとして身につけている。非凡な知識と学識を誇り、博雅が始終持ち込む数々の奇怪な事件を解決する。
源博雅(みなもとのひろまさ)
晴明の親友。醍醐天皇の孫で克明親王の子。村上天皇の年上の甥にあたる。管弦をこよなく愛し、また優れた才能を持つ。食事もせず、一日中、篳篥を吹くこともしばしばなほどである。性格は非常に誠実、純粋、真面目で(怨霊との約束を守る程)皆に好かれている。その風貌は痩身で奥目、鼻が高く、彫が深いので当時の感覚では美男とはいえない。当時の都の貴族には珍しく、男女の密かごとについてとても疎い。貴族のたしなみとされる恋の歌の意味も解せず、男女間の機微もわからないため艶やかなエピソードは殆どない。忠義な家臣・俊宏の策略で何も知らされないまま方違えと称して連れて行かれた先は、今まさに自分の婚儀が執り行われようと準備のすっかり整った、これから妻となる女性の住まう邸宅であったが、それでも気づかない体たらくであった。菅原文時に漢学や詩の師事をするが全く上達しなかった。自身は自覚がないが、本当は天に愛でられし楽の申し子であり、その笛の音は賊や怨霊の心を浄化するほどの美しさを秘めている。
実在の博雅も「今昔物語」などに伝奇的なエピソードが記されている人物である。
真葛(まくず)
晴明の妻であり見鬼(鬼が見える)。漫画版オリジナルキャラクター。一人称は「おれ」で、男言葉で会話する。人か、人にあらざるものかは曖昧である。勘がよく、少女らしからぬ博識さと豪胆さ、舌鋒の鋭さで怨霊となった菅原道真を碁で負かしたうえに論戦でも言い負かす程の非凡な聡明さを持つ。よく博雅を手玉にとってはからかっている。その一方で晴明を魂のレベルで献身的に支え、至上の愛を注ぐ。物語の後半で晴明との子を宿し、出産する。
「晴明の妻は式神を恐れた」といわれていることから初登場時は式神を嫌っているそぶりを見せるが、その後はうまく利用しているらしい。

天皇家

郭仁(あつひと)
醍醐天皇。作中では名前だけしか出て来ていない。菅原道真が初登場時、今宵も苛めてやろうと言っていた。
藤壺(ふじつぼ)
左近(さこん)
安子(やすいこ)
村上天皇の中宮。右大臣藤原師輔の娘。同母兄弟に兼通、兼家などがいる。東宮憲平の母。少々嫉妬深く、主上のお気に入り、芳子に壷の破片を壁の穴から投げつけたことがある。
東宮(とうぐう)
名は憲平。後の冷泉天皇。父は村上天皇、母は中宮安子。
成明(なりあきら)
今の主上。村上天皇。摂政をおかずに君臨した気丈なる天皇であり、同時に楽にも秀でたため後世に名を残した。
芳子(よしこ)
村上天皇の女御。作中では氏は省かれているが藤原芳子のこと
最近、主上のお気に入りの女御。垂れ目が愛らしく、夜な夜な琴を教わっていたらしい。安子から妬まれる。

藤原家

藤原成平(ふじわらのなりひら)
晴明の力を疑い、蛙を殺してみよと言って、蛙の内腑をかけられた人物。後に、龍胆と祐姫とのイザコザに遭遇してしまい、食われる。
藤原兼家(ふじわらのかねいえ)
兄・兼通とは仲が悪い。気に入っている女性の元に訪れることを隠すため、妖に襲われたと博雅には言っていた。そのため、真に受けた博雅は晴明に相談した。兄とは凄絶な出世争いを繰り広げた。
なり姫
時姫(ときひめ)
兼家の妻。超子の母。兼通が妖に襲われたことを真に受けた博雅にさりげなくそれは嘘だということを教えた。
藤原超子(ふじわらのとおこ)
兼家、時姫の娘。
藤原高子(ふじわらのたかいこ)
藤原基経(ふじわらのもとつね)
藤原兼通(ふじわらのかねみち)
藤原修子(ふじわらのながこ)
藤原有序
藤原実頼(ふじわらのさねより)
藤原顕忠(ふじわらのあきただ)

陰陽師、方士、 巫女

賀茂忠行(かものただゆき)
安倍晴明を弟子にして、陰陽道を教え込んだ人物。晴明に陰陽師の才能を見出し、瓶の水をそのまま移すように、そのすべてを晴明に授けた。
智応(ちおう)
秦連茂(はたのつらしげ)
安倍高子(あべのたかいこ)
巫女。
智徳(ちとく)
賀茂保憲(かものやすのり)
賀茂忠行の息子であり晴明の兄弟子。陰陽師としてそれなりの能力を持ち、地位にも恵まれるが晴明の多大な才能に内心嫉妬していた。
原作小説よりも登場は早い。よって原作版とでは性格がかなり異なる。
丹蟲(たんちゅう)
秦具膽(はたのともみ)
賀茂光栄(かものみつよし)

怨霊、式神、人ではないもの

菅原道真(すがわらのみちざね)
雷公。藤原家に左遷され憤死した。眷族を率いる。怨霊になった後も学問を敬う心は消えず、勉学を軽んじられると激高する。左遷されたことを強く根に持つ一方で、都住まいのことを思い出しては涙を流したりと表情豊かな頑固親父として描かれる。
藤原時平(ふじわらのときひら)
藤原忠平の兄。晴明が幼い頃、賀茂忠行と共に遭遇した怨霊。その際、道真や眷族たちに引きずられていた。
桜(さくら)
玄象が盗まれたことで博雅が晴明に相談しに来たとき、晴明が話をしていた桜の化身。
文虫(ふみむし)
晴明の式神。
密虫(みつむし)
晴明の式神。藤の化身。
漢多太(かんだた)
インド出身の琵琶職人の怨霊で玄象の製作者。元はインドの小国の王子であったが、隣国との戦のため故国を脱出。唐に渡り、空海の船で来日する。平城の都で琵琶職人となったが、盗人に殺害された。成仏できず犬に憑いていた。宮中で亡き妻・スーリヤそっくりの玉草に惚れ、玄象を弾くことで妻を偲び自身を慰めていた。博雅の玄象の返還要請に交換条件として玉草との一夜の契りを望む。後日、その玉草に不意打ちを受け、怒り心頭に発し鹿島貴次を殺害。さらには名前を名乗った博雅を呪で縛り動きを封ずるが、偽名を名乗っていた晴明は縛れず、腹を刺される。最後は晴明の言葉で玄象に憑くことになる。
口なしの女
博雅の知人の僧、寿水が書いていた般若心経の「如」という文字の口の部分が汚れて無くなってしまったため寿水の前に現れた口の無い女性の妖。寿水の元を訪れた晴明がそのことに気づき、新たに「口」を書いて汚れの上から糊付けしたので元通りになる。
祐姫(すけひめ)
藤原元方の娘。村上天皇の側室だった。
龍胆(りんどう)
牛の無い牛車に乗る。
広目天の邪鬼(こうもくてんのじゃき)
東寺の四天王像のひとつから実体化。材料の古木が生えていた森で通行人を踏みつけていた。
黒川主(くろかわぬし)
かわうその化身。家族を殺した漁師を恨み、その娘を篭絡しようとした。
藤原元方(ふじわらのもとかた)
元民部卿。生前、兼家や安子の父である藤原師輔と対立していた。
綾女(あやめ)
晴明の式神。
土精(どせい)
晴明と博雅が過去に行く時、現れた鯰のような顔をした妖。
伴善男(とものよしお)
応天門の変で没落した人物。
伴中庸(とものなかつね)
伴善男の息子。
生江恒山(いくえのつねやま)
伴家の家人。主の政敵・源信に仕えている大宅小竹に接近する。
大宅小竹(おおやけのささ)
大宅鷹取の娘。伴善男らの呪詛を目撃し殺され、呪物の蟇蛙に魂が宿っていた。
大宅鷹取(おおやけのたかとり)
比丘尼(びくに)
食すと不老不死となる人魚の肉を食べた女性。およそ300年間生命を維持している。秦道満の娘。
普賢、文殊(ふげん、もんじゅ)
白蛇
壬生忠見(みぶのただみ)
天徳の歌合せで平兼盛の和歌に負けた。歌合せでの判定に納得がいかず、死亡後に怨霊となる。菅原道真が自らの仲間にしようとした。
罔象(みずは)
晴明の式神。
管ギツネ(くだぎつね)

その他

寛朝(かんちょう)
広沢の遍照寺の僧正。盗人を仁和寺の門の棟にめり込ませる程蹴り上げたこともある。
蝉丸(せみまる)
盲目の老人。羅生門に現れる妖に会うため、晴明、博雅と共に羅生門に赴いた。
玉草(たまぐさ)
鹿島貴次の妹で宮仕えをしていた。色は白く、額にほくろがある。貴次の策略で霊気を込めた小刀で漢多太を討とうと試みるが失敗する。その後の生死は不明。(羅生門の天井裏で晴明に救出されたときは気を失っているだけであるが、後日、博雅が晴明宅で見た玉草は式神であった)
鹿島貴次(かしまのたかつぐ)
博雅によると二年前、宮中に出現した猫の妖物を射殺した腕前を持つ。自分の妹が妖怪と契ることは後世までの恥として玉草に不意打ちをさせるが失敗する。漢多太の額に矢を当てるが、首を切り裂かれ死亡する。
兵衛の内侍
漢多太に盗まれた玄象が帰ってきたことに喜んだ主上が琴との弾き合わせの際、玄象で博雅よりも美しい音色を出した人。
寿水(じゅすい)
博雅の知人の坊主。かつて図書寮の役人をしていた。親の供養に般若経の写経をするため、桂川近辺の妙安寺に篭る。一日に十回、それを千日続けることを目指していたが、妖に悩まされるようになる。
赤毛の犬麻呂(あかげのいぬまろ)
菅原文時(すがわらのふみとき)
三善清行(みよしきよつら)
賀茂忠輔(かものただすけ)
賀茂綾子(かものあやこ)
惟雅(これまさ)
憲之(のりゆき)
有忠(ありただ)
実信(さねのぶ)
安成(やすなり)
左衛門督(さえもんのすけ)
平重広(たいらのしげひろ)
頼正(よりまさ)
弁の君(べんのきみ)
俊宏(としひろ)
石見(いわみ)
在原業平(ありわらのなりひら)
致行(むねゆき)
時方(ときかた)
近江(おうみ)
小萩(こはぎ)
源高明(みなもとのたかあきら)
父は醍醐天皇。母は藤原周子。
千晴(ちはる)
藤原秀郷の子、作中では氏は省かれているが藤原千晴のこと
重信(しげのぶ)
作中では氏は省かれているが源重信のこと
宇多源氏。宇多天皇の皇孫。敦実親王の五男で、母は藤原時平女
福麿(ふくまろ)
橘則光(たちばなののりみつ)
小野清麻呂(おののきよまろ)
太経(ふとつね)
忠正(ただまさ)
景直(かげなお)
源延光(みなもとののぶみつ)
源修(みなもとのおさむ)
元真(がんしん)
菅原道真の曾孫。菅原文時の四男で後に僧都・安楽寺別当
寛空(かんぐう)
綸子(いとこ)
浄蔵(じょうぞう)
父は三善清行
廣島(ひろしま)
玉手則近(たまでののりちか)
玉手清延(たまでのきよのぶ)
朝成(あさひら)
藤原定方の六男、作中では氏は省かれているが藤原朝成のこと
朝忠(あさただ)
藤原定方の五男、作中では氏は省かれているが藤原朝忠のこと
良岑遠年(よしみねのとおとし)

道具、物

玄象(げんじょう)
稀代の名器と呼ばれる琵琶。作者の霊によって盗まれる。
葉二(はふたつ)
博雅が自分の笛と交換で謎の少年(朱雀門の鬼)から受け取った笛。