雨柳堂夢咄/波津彬子

『雨柳堂夢咄』（うりゅうどうゆめばなし）は、波津彬子による日本の漫画作品。

1991年から、『ネムキ 眠れぬ夜の奇妙な話』（旧『眠れぬ夜の奇妙な話』）で連載。「朝日新聞出版 眠れぬ夜の奇妙な話コミックス」より、現在までに12巻、「朝日新聞出版 ソノラマコミック文庫」より、現在までに7巻が刊行。一部例外をのぞいて、ほとんどが一話完結の短編集。

あらすじ

入口に大きな柳の木がある骨董屋「雨柳堂」。そこへ集まるのは、様々な“想い”を持った品々。骨董と人の織りなす愛情と因縁。主人の孫息子・蓮は、それらの“想い”を感じ取る不思議な力を持っていた…。

登場人物

キャストはドラマCD

蓮（れん）

声 - 櫻井孝宏

「雨柳堂」の主人の孫。店番やお使いなど、主人を手伝っている。外見は10代後半だが、実年齢は不明。物に秘められた“想い”を見聞きする力がある。また目利きの才があり、一目で贋作を見抜く。常に冷静で、滅多なことでは動じず、怒ることも少ない。着物以外では、常に黒い衣装を纏っている。祖父以外の身内については、一切不明（芳春に「親がいるか」と問われた際には、肯定しながらも、言葉を濁していた）

雨柳堂主人

声 - 青野武

「雨柳堂」の主人。蓮の祖父。目利きは出来るが、蓮とは違い、物の“想い”を見聞きすることは出来ない。本人曰く「鈍い」。蓮が、彼の息子の子なのか娘の子なのかは、語られていない。

深水 釉月（ふかみ ゆつき）

『つくろい』の仁平の弟子。つくろいの腕は確かで、それだけでなく、「特別な手」を持っており、“物”は直されるのを心地よく思っている。また、雨柳堂の物の怪たちに好かれてもいる。とある理由から、顔の右側にアザがあり、前髪を伸ばして隠している。仕事着でいることが多く、本人も弟子入り当初は男を装っていたため、間違われることが多いが、歴とした女の子。

篁 青二郎（たかむら　せいじろう）

骨董や掛け軸などの贋作で、詐欺などを行っている男。腕は確かで、雨柳堂の主人でさえ、贋作かどうか悩んだこともある（蓮には一発で見抜かれた）。秞月とは、ある関係にあって…。

京介（きょうすけ）

医院の書生。何故か物の怪に懐かれやすく、よく厄介ごとに巻き込まれる。人にも物の怪にも遊ばれやすい人。

池田のご隠居

声 - 堀井真吾

雨柳堂の常連客で、大の骨董好き。が、見る目はあまりなく、篁にも騙されたことがある。

レイモンド＝グラント

英国人。大学で日本芸術を研究している、雨柳堂の常連客。時折悩む様子を見せるものの、日本語は上手い。

和尚

物を供養している寺の和尚。蓮に修行しないかと誘うが、あっさりと断られる。

芳春（ほうしゅん）

寺で修行中の小坊主。人には見えないものが、見える性質をもつ。少々恐がりだが、優しい少年。

サブタイトル一覧

※巻数はコミックスのもの。

其ノ一

花椿の恋

宵待ちの客

十四夜の月に

我儘な名品

花に暮れる

太郎丸

金色の鳥

朝顔写し

其ノ二

はつ恋鏡

夜の子供

昼下がりの訪い

雛の宵

猫王

白露の壷

其ノ三

月の花影

過去の破片（かけら）

蔵の中の姫君

瑠璃の鱗

おもかげ行灯

寒月の笛

其ノ四

桜の国にて

秋草闇

菊香の君

夢を見る蔵

橋姫

夏の盃

其ノ五

つなぐ手

新月の客

紅葉狩り

籠の中の鳥

花野

春の寺

其ノ六

幽かな花

蜃気楼

月夜の恋人

井筒

其ノ七

虎月楼奇談

背守りの犬

夕暮れにはばたく

恋文

春待ち月

月琴諷話

其ノ八

お嬢様のお好み

鴉屋敷

むさし野

翡色の石

更紗夢紋様

通り悪魔

鬼の灯

其ノ九

午後の清香

おつかい猫

紫煙の夢

鬼のくる夜

たずね人

其ノ十

大晦

形見

嫁取り狐

夢喰い

夢わたり

最後の破片

秋黴雨

其ノ十一

秋の鈴音

霊果

鹿鳴草

茶師の家

春の猫

銀の台・金の盞

夏の言問い

其ノ十二

金魚白昼夢譚

柘榴石

犬筥

花酔いの季節

百物語の夜

禍禍しいもの

風にのる

ふくべ翁

菖蒲のころ

書誌情報

• 雨柳堂夢咄　其の1～12(1993/03～、続刊)
• 雨柳堂夢咄　其の1～7(文庫版2002/06～、続刊）
• 雨柳堂夢咄　其の1～11(新版2007/10～、続刊）
• 雨柳堂夢咄　其の1～6(新版文庫2007/10～、続刊）

画集

CD

• 雨柳堂夢咄 ドラマCD