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魔太郎がくる!!/藤子不二雄A

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著者: 藤子不二雄A
巻数: 12巻

藤子不二雄Aの新刊
魔太郎がくる!!の新刊

最新刊『魔太郎がくる!! 第12巻



twitterでのコメント (関係ないのに引っかかることもあります...)

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魔太郎がくる!!』(またろうがくる)は藤子不二雄による日本のホラー漫画作品。1972年から1975年にかけて『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載。

概要

毎回「袋」・「ロープ」などさまざまなアイテムが題材となり、魔太郎はそのアイテムで苛めを受けるが、終盤で魔太郎がそのアイテムを使用した復讐を展開するというコンセプトで描く、陰湿な人間の心の側面を描いたサスペンスフルな怪奇ドラマとなっている。

藤子不二雄は本作について『自分がいじめられっ子だったこともあるのですが、いじめられっ子が実は凄く強くて、やられた相手に大逆襲するような作品なら面白いだろうと思ったのが本作の出発点です』と語っているように、全国のいじめられっ子のうっぷんを代弁し、それを豪快に晴らしていくカタルシスに満ちた作品である。

基本的に一話完結であるが、魔太郎を陥れようとする謎に満ちた不気味な赤ん坊・阿部切人(あべ きりひと)とその両親の謎に作品の路線が変更され、物語は連続性を帯びていく。やがて迎えるクライマックスに至って、魔太郎出生の真実が明かされると共に、人類存亡を賭けた壮大な善と悪の戦いが描かれ、恨みを晴らす物語からファンタジー・ホラーへと変化していった。

あらすじ

ひ弱な中学生、浦見魔太郎は毎回同級生や傍若無人な連中から激しいいじめなど理不尽な目に遭う。しかしオカルトの知識に長けた彼は得意の魔術「うらみ念法」を駆使して壮絶な復讐を行う。彼は我慢の限界を超え虐げられた時、決め台詞の「こ・の・う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・かなお、このセリフは藤子・F・不二雄の作品『エスパー魔美』のエピソード「ヤミに光る目」(初出『マンガくん』1978年第3号)にもパロディ的に使用されている。とつぶやき(宣言し)行動を開始する。黒魔術によって魔王サタンと契約し、黒マントを羽織り、赤バラ模様のシャツを着て出陣し、加害者に対して壮絶な復讐を展開する。だがある日、魔太郎の自宅の直近に阿部切人という赤ん坊とその親が引っ越してきてからは、逆に切人たちから魔術を駆使した虐めを受けるようになる。魔太郎の魔術の上手を行く切人とは何者か、魔太郎自身は……

原作の改編とその事情

本作は発表当初、魔太郎の恨みの晴らしかたの一部が過激で、ほとんどの場合自分を苛めた者を殺害または廃人にまで追い込んだ。「いじめっ子をパワーショベルで引き裂いた上に遺体を生コンクリートで埋める」、「恐喝してきたチンピラをゴミ袋に詰めて執拗にバットで殴り、そのまま遺体をゴミに出す」、「過剰なしごきをしたコーチを水中で虎バサミに掛けた挙句に溺死させる」等々、その手口も凄惨さを極めた。

初単行本化作品(秋田書店刊)は雑誌初出とほぼ同じものが収録発売されていたが、その後の少年事件の凶悪化・深刻化などの社会情勢を考慮し、後年発刊された作品全集『藤子不二雄ランド』刊行にあたってエピソード全133話のうち大幅に描き直された話が34話、欠番扱いとなった話が25話ほど存在する(「エピソード」項参照)。魔太郎の漫画の誕生秘話を描いた番外編の1話『魔太郎の生い立ち』(チャンピオン1975年46号掲載)だけは当初から単行本未収録となっている。

また「あなたの恨みを買います」というお遊びレベルで考えていた雑誌企画に対し、ハガキではなく便箋で真剣に恨みを晴らしたいことを綴る投書が多かったため、漫画での表現を現実的なものから幻想的なものへ変更した。(読売新聞「時代の証言者」)

本作は度々アニメ化の企画が持ち込まれていたが、そういった事情からか作者は映像作品にすることを拒否しているという。

後年、成人した魔太郎を描いた後日談『魔太郎が翔ぶ』全2話(『ハワイに吹いたうらみ風』ならびに『香港に燃えたうらみ火』)、須麻切人(すま きりと)と名前を変えた切人を主人公にした作品『切人がきた!!』『魔太郎がくる!!』との関連はない。が執筆された。

登場人物

浦見魔太郎(うらみ またろう)
本作の主人公。友愛学園中等部に通う中学生。小柄で風采が上がらず善良な性格ゆえに、悪人から騙されたり利用されたりする。しかし超能力「うらみ念法」の使い手で、魔王サタンと契約しており、相手を猟奇的な恐怖に陥れ恨みを晴らす(魔力を復讐以外の目的で悪用したり、無辜の他者を虐げるためには使わない)。日蔭者ながら孤立はしておらず、想いを寄せるクラスメイトの由紀子と親交があるほか、しばしば共通の趣味などで友人が出来る。しかし大抵はいじめっ子や悪い大人のせいで離別する羽目になったり、裏切られて悲惨な目に遭わされたりする。なお必ずしも魔力を隠そうとはしておらず(無自覚の部分も多いため)、超能力者として霊能番組に、一般回答者としてクイズ番組などテレビに出演したことも幾度かある。本当の素性については本人も知らず、最終回で明らかにされた。波打った前髪が特徴。ファッションセンスが独特でバラ色のシャツを持っている。母がチョッキを作ってくれたときはしばらくそのチョッキを着用していた。好きなものは昔の武器、怪奇に関わるもの、模型、不思議絵。本棚に「火の鳥」「コロボックル」「なにかの本」「ヨムナ」「魔太郎がくる!!」「夢野Q作」「ドラえもん」「オバQ」「怪物くん」「ハットリくん」「少年チャンポン」「犯罪学入門」「うらみの本」等が収まっている。芸術のセンスがありクラスメイトの似顔絵を披露したりいじめっ子の人形を作ったりしたこともある。
浦見陽太郎(うらみ ようたろう)『魔太郎のパパ』
魔太郎の父親。魔太郎をかわいがりお土産を買ってきたりする。お人良しでひどい目に遭っても相手のせいだとは思わない。千代田区丸の内の丸井商事株式会社に勤務、営業課(2階)に所属している。同僚(押田くん)の妨害により係長職になり損ねるが、本編中実力で課長職に昇進している。運転免許を有するが運転技術はペーパードライバー並み。奥山村(関西?)出身。
浦見美代子(うらみ みよこ)『魔太郎のママ』
魔太郎の母親。優しいがしっかり者でこづかいには厳しい。魔太郎がいじめに遭っていることには気付いていないらしい。専業主婦。「残像写真」の時点で36歳。よく黒いタイトスカートを着用。
浦見次郎(うらみ じろう)
魔太郎の叔父。うらみの27番『きたない切手集めは許さない』のみ登場。2年間のアフリカ出張帰りに魔太郎の家に寄る。アフリカの切手をお土産にくれた。
浦見青三郎(うらみ せいざぶろう)
魔太郎の叔父。仕事の関係で世界各地を飛び回っており、見聞が広く、日本へ帰国した折には魔太郎の家を訪れて土産話を語ると共に珍奇な土産物をもたらす。彼が持ってきた土産のせいで魔太郎がいじめられることも多い。うらみの108番以降は『清三郎』となっている。
南由紀子(みなみ ゆきこ)
魔太郎のクラスメイト。美人でマドンナ的存在である。魔太郎に気遣ってかばうこともあるが、世間の言い分に負け見捨ててしまうことが多い(しかし魔太郎は彼女を誘導した人物のみ復讐する)。かばった結果余計魔太郎がいじめられることも多い。由津子という2~3歳くらいの妹がいる。いとこが数人いるが、1人を除いた全員が魔太郎の「うらみ念法」の餌食となった。魔太郎の数少ない味方。学校に行くときはよく黒のブレザーを着用。
阿部切人(あべ きりひと、藤子不二雄ランド版以降ではきりと)
浦見家の隣に引っ越してきた一家の子供。3歳。可愛らしい赤ん坊でありながら腹話術で話せる。更に魔力を持っており、性格は陰湿で残忍。執拗に魔太郎を罠にはめようとする。一方で魔太郎が誘拐に遭った際には助けるなど、憎めない一面もある。また閉所恐怖症という弱点も持っている。由紀子の妹・由津子に恋しており、顔を見ると興奮の余りおもらししてしまうほどである。最終エピソードで親ともども正体が判明する。一般的に名前の読みは「きりひと」だが、正確には「きりと」であると本人が断言している。魔太郎の友達というより腐れ縁。
切人のパパ
切人の父親。ハンサムに描かれているが魔太郎へのプレゼントには邪悪な念が込められていて、切人同様他人の不幸を楽しむ性格である。自業自得ではあるが、魔太郎にちょっかいを出しては散々な目に遭う。最終エピソードで切人と共に正体が判明するが、土壇場で意外な行動に出る。息子の切人と同じく魔太郎とは腐れ縁。
阿部真理亜(あべ まりあ)
切人の母。(切人と真理亜はキリストと聖母マリアのメタファ)。浦見美代子とは高校時代の同級生。夫や息子と違いしごくまともな人物。
怪奇やのマスター
怪奇映画のグッズなどを取り扱う店「MONSTER SHOP 怪奇や」の店主。常に「オペラ座の怪人」のマスクをかぶっており、素顔は不明。常連客の魔太郎と仲が良く、無料でオカルトアイテムをくれたり相談に乗ってくれたりする。魔太郎の数少ない味方。浦見美代子、浦見陽太郎、南由紀子と接触したことは1度も無い。
満月万太郎(まんげつ まんたろう)
「魔族」の幹部で、ニューヨークの本部に所属する。風貌は小太りに丸眼鏡の紳士だが、魔太郎をはるかに上回る魔力を持つ実力者である。魔太郎の出生の秘密を知っている。

エピソード

週刊少年チャンピオン掲載順。「・」がついているものは雑誌掲載時とそれ以外では内容が変わっているもの、「・」がついているものは単行本に収録されていないもの(収録状況は版によって異なる)。数えは「うらみの○番」で統一。

72年(30号~53号)掲載
  • うらみの1番 うらみはらさでおくべきか!!
  • うらみの2番 鉄のキバがひきさいた夜・
改変後は梶木と佐土が怪獣に変身したショベルカーに襲われているコマで終わる
  • うらみの3番 ゴミはふくろにしまつしよう・
  • うらみの4番 サルが空から落ちた!!・
同じ復讐方法が同作者の短編「無邪気な賭博師」でも使われている
  • うらみの5番 おかえしはコンクリート・パンチで!!・
  • うらみの6番 黒メガネをかけた中学生・
  • うらみの7番 サングラスをとればただの人!!・
  • うらみの8番 暴走カーを暴走させた!!・
  • うらみの9番 おぼれ方教えます・
  • うらみの10番 マムシがマムシにかまれた!!・
  • うらみの11番 ねじれた心にはねじれた顔!!・
改変後は白人黒人云々ではなく「顔が白と黒とで対照的」に変わっており、ハサミが墨汁に
  • うらみの12番 ニセ教師はイジメの先生だった!!・
  • うらみの13番 いじめるのも相手を選べ!!・
  • うらみの14番 ネズミがネコをかむ!!・
翌週掲載の「ネコ一匹にネズミ百匹」と内容統合
  • うらみの15番 バレーボールほど運動になるものはない!!・
改変後は石をつめたボールが「スーパー・うらみ・パワーボール」に
  • うらみの16番 天使のそばに近よるな!!
  • うらみの17番 よっぱらい牛は暴走する!!・
改変後は牛次郎が落ちるコマの背景が坂から謎の場所に
  • うらみの18番 投げ矢遊びは危険だぜ!!・
  • うらみの19番 必殺!!砕石げり!!・
改変後はブロックのなだれから高木の手が消されている
  • うらみの20番 ひとさらいには相手をえらべ!!・
  • うらみの21番 切られ役はやっぱり切られる・
改変後は心臓マヒからただひっくり返っただけに
  • うらみの22番 おれの手はすばやい!!・
73年(1号~53号)掲載

敵対者たちの最期

確実に死亡

間虫三平、吉良礼次郎、伊達一郎、クマ

ほぼ間違いなく死亡

梶木次郎、佐土博、フーテン、猿彦タツオ、蛾馬野猛(2回目)、暴走族、鮫沢、怨田、バレーボールの不良、牛次郎、日上一郎(投げ矢)、高木光明、猫田狂児、間似谷、星野(スター仮面)、酋長、風巻四郎、呪井、呪井の仲間、佐賀一郎、五利、五利の仲間、打振、獅子花、田貫、黒木、内木一郎、竜尾、由津子に憑いた悪霊、矢見、ピラニア、大川呑太、鳶油下太郎、黒井、悪井、瞳ひかる、手を売る男、荒木、吸血鬼の子孫

死亡した可能性あり

ポパイ、影島妖二、梶木(昔の武器)、西条信也、半田一郎、鷹井玉雄、別荘の一家、十狩冬彦、肉井、影裏、牛島、達也、田部重太郎、辛見矢五郎、怪味、拳田、通り魔、雪の怪物、熊尾大介(2回目)、引ったくり、蚊男、鮫津牙夫、大王の飼い主、加利、満月万太郎

負傷のみ?

蛾馬野猛(1回目)、才目双六、骨董マニア、熊尾大介(1回目)、サングラス団の2人、藤竜子、大木(不幸の手紙)

廃人化?

助野伴子、見城一郎、誘拐犯、日上一郎(魔太郎とそっくり)、銀一、猫田の猫、松葉杖の男、押田、木下、星野未来姫、木野弱志、木島歩、ブドウ酒の不良、変田、変目、土淵、ドラゴン団、毒蛾次郎、アタリ屋、金山、牙山

驚かされるだけで済んだ?

梶木次郎(新装版)、佐土博(新装版)、 小金井、熊手、浦見魔太郎(うらみはらされた)、サングラス団長、井張一郎、蛇女、阿部切人(ガラス割り)、躁野鬱夫、死野、ネズミに似た男、はく製マニア、切人パパ(キップ)、炎ドール

その他

阿部切人(悪魔のようなチビがきた、またきた)、空き巣、険一郎、魔礼に憑いた魔物、人仁盡、萩谷、切人パパ(悪魔のようなパパ)、大木(大小学生)、弓原、ヤドカリ一家

関連作品

一見おとなしそうだが実は狂気と残忍性を秘めている少年の復讐譚という点で『魔太郎がくる!!』のルーツとも言える作品がいくつかある。以下にそれらを列挙する。

  • 『スズキ・ミチオの秘密復讐計画』 - 1969年の作品。連載漫画『黒ベエ』の第2話。釣具店の息子のスズキ・ミチオ少年は、一見おとなしそうで度々いじめの被害を受けているが、実は常時携帯している黒い手帳を閻魔帳として自らが受けたいじめの被害を得点形式で逐一記録しており、得点が10に達した段階で加害者に残忍な復讐を実行している。ミチオの行動に興味を抱いた黒ベエは、彼に接近して味方になろうとするが…
  • 『串のはいった鞭』 - 1970年の作品。オムニバス短篇『ぶきみな5週間シリーズ』中の一篇。「もうすぐ高校生だというのにおとなしすぎる」ことを身内から懸念されている中学生ミチオは、叔父の中東旅行の土産として特殊な鞭を贈られる。この鞭は本来ラクダ用だが、内部にはバーベキュー用の鋭い鉄串が仕込んであり、ミチオの内部に秘められた攻撃性を触発する。しかしこの叔父はミチオの片想いの相手である若く美しい由紀子との間に縁談が持ち上がっていたため、由紀子を奪われそうになったミチオは叔父を空地に誘い込み、鞭の中の鉄串で刺し殺してしまう。やがて刺殺事件の犯人が検挙されぬまま半年が経ち、由紀子は別の男と恋愛を始める。依然として嫉妬心に燃えるミチオは手に鞭を持ち、由紀子の新しい恋人を狙って尾行を始めるのだった。
  • 『無邪気な賭博師』 - 1972年の作品。麻雀の天才少年がサラリーマン相手の賭け麻雀で大勝。サラリーマンたちがこの少年を子供と見くびって賭けの負債を踏み倒そうとした結果、復讐を受けて殺されるという内容の短篇。

単行本

  • チャンピオンコミックス「魔太郎がくる!!(秋田書店)」全13巻
  • 藤子不二雄ランド「新編集 魔太郎が来る!!(中央公論社)」全14巻
  • チャンピオンコミックス「新装版 魔太郎がくる!!(秋田書店)」全12巻
  • 中公文庫コミック版「魔太郎が来る!!(中央公論社)」全8巻
  • 藤子不二雄ランド「新編集 魔太郎が来る!!(ブッキング)」全14巻

脚注